9 . 位相空間の間の連続写像
科目: 数学演習IIA( f組)
担当: 相木
プリント5において距離空間における連続写像の定義をしたのを思い出そう.連続写 像の定義は実数値関数に対する連続性の定義の自然な拡張になっていた.
このプリントではさらに一般化し,位相空間から位相空間への写像に対して「連続」
という概念を定義する.
位相空間の間の連続写像
(X,OX)と(Y,OY)を位相空間とする.写像f :X →Y が以下を満たすとき,f はX からY への連続写像であるという.
∀O ∈ OY, f−1(O)∈ OX
(1)
定義域と値域が距離空間であり,位相が距離位相で与えられているときは上の定義と距離 関数を用いた連続の定義は同値であったことを思い出そう(プリント5参照).上の定義 は「距離」に言及せずにできるので距離空間とは限らない,一般の位相空間における写像 の連続性の定義として採用できるのである.
一般的に「位相空間」というと様々なものがある(距離空間は距離位相によって位相 空間とみなすことができ,プリント4で定義した「野田線の駅」など一見数学とは関係な いような対象物さえ含まれる).上で与えた位相空間における連続写像の定義は,それら 全てに対応するような形で与えているため適応範囲は広いが,場合によっては写像の連続 性を確かめるための方法としては実用的でない.実数上で定義された実数値関数なども位 相空間から位相空間への写像とみなせるが,その連続性を示すには「距離」などの性質を 用いた方がはるかに簡単である(演習問題(9-5)参照).
しかし,位相空間自身や写像fが抽象的な形で与えられていたり,「ある一定の性質を 満たす全ての写像が連続であることを示す」などの場合には(1)に従って連続性を示す他 ないときもあるので,定義(1)はやはり重要である.
実連続関数
位相空間(X,OX)からRへの写像f :X →RのことをX上の実数値関数という.ま た,X上の実数値関数fが(1)の定義の下で連続なとき,(ただし,Rにはユークリッ ド距離から定まる距離位相Od(1) を入れるものとする)fは実連続関数であるという.
定義域が一般の位相空間のとき,x, y ∈ Xに対してその和や積を定義することはできな いが,X上の実数値関数に対してf(x) +f(y)やf(x)f(y)などは実数の和・積として定義
1
される.したがってX上の関数f, gとx∈Xに対して (f+g)(x) =f(x) +f(x)
(f g)(x) =f(x)g(x)
のように定義すればX上の関数の和や積を定義できる.f, gが連続であればf+g, f gも 連続になることがR上の関数のときと同様に示される.
写像の連続性と同値な命題
(X,OX)と(Y,OY)を位相空間とする.写像f :X →Y が以下のいずれかを満たすこ ととfが連続写像であることは同値である.
(i) Y の任意の閉集合Aに対してf−1(A)はXの閉集合である (ii) ∀x∈Xに対して以下が成り立つ
Y におけるf(x)の任意の近傍V に対してf−1(V)はXにおけるxの近傍である
予約制問題
(9-1) X, Y を空でない集合とし,OY をY の任意の位相とする.位相空間(X,P(X))か ら(Y,OY)への任意の写像は連続であることを示せ.
(9-2) Xを空でない集合,(Y,OY)を位相空間とし,f :X →Y を全射な写像とする.X の部分集合系を
OX ={O ⊂X | f(O)∈ OY}
によって定めたとき,一般にはOX はXの位相を定めない.これを示せ.
(9-3) Xを空でない集合とし,O1, O2をXの位相とする.恒等写像idX :X →Xに対 して以下が同値であることを示せ.
(i) idX は(X,O1)から(X,O2)への連続写像である (ii) 位相O1は位相O2よりも強い
早いもの勝ち制問題
(9-4) 位相空間(X,OX),(Y,OY)と写像f :X →Y に対して以下の2つが同値であるこ とを示せ.
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(i) fは連続である
(ii) ∀x∈Xに対して以下が成り立つ
Y におけるf(x)の任意の近傍V に対してf−1(V)はXにおけるxの近傍である
(9-5) (R,Od(1))をユークリッド距離から定まる距離位相を入れた位相空間とし,写像
f :R→ Rをf(x) =x2 によって定める.以下に沿ってfが連続写像であること
を(1) に従って証明せよ.
(i) gを集合Xから集合Y への任意の写像とし,Y の任意の集合族{Aλ}λ∈Λに 対してA= ∪
λ∈Λ
Aλとおき,
g−1(A) = ∪
λ∈Λ
g−1(Aλ)
が成り立つことを示せ.
(ii) Rの部分集合系Bを
B={(a−ε, a+ε)| a∈R, ε >0}
によって定めるとBはOd(1) の基底になる(基底になることは認めてよい).
これと(i)の結果を合わせてfが連続写像であることを(1) にしたがって証明 せよ.
(9-6) Xを空でない集合,(Y,OY)を位相空間とし,f :X → Y を写像とする.Xの部 分集合系OXを
OX ={f−1(O) | O∈ OY}
によって定めるとOX はXの位相であることを示せ.ただし,(9-5)(i)の結果を認 めてよい.
(9-7) (9-6)で定めたXの位相は,写像f が連続となるようなXの最弱な位相であるこ とを示せ.
(9-8) (X,OX)を位相空間とし,空でない集合Y の位相をOY ={∅, Y}によって定める.
このとき,任意の写像f :X →Y は連続であることを示せ.
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