複素解析学序論 , 07/06/01.
■コンパクト集合と連続写像
5/18 配布のプリントの最後の定理:
定理 0.1. コンパクト集合 K ⊂ C 上で定義され た実数値連続関数 f は, K 上で有限な最大値を取 る: ∃z 0 ∈ K s. t. f(z 0 ) ≤ f(z) ∀z ∈ K .
注意 0.2. 実 1 変数の連続関数に対しても同じこ とが成立するのだった: 「有界閉区間上の連続関数 は最大値を持つ」.
問 0.3. 上の注意 0.2 を証明せよ.
より一般に,次のことが成り立つ:
定理 0.4. f : X → Y を位相空間 X から位相空間 Y への連続写像とする.このとき, X のコンパク ト部分集合 K の像 f (K) は Y のコンパクト部分 集合.
証明 . f(K) ⊂ S
λ V λ , V λ は開集合,を f (K) の開 被覆とする.すると
K ⊂ f −1 (f (K)) ⊂ f −1 ( [
λ
V λ ) = [
λ
f −1 (V λ ).
f は連続で V λ は開集合だから f −1 (V λ ) も開集合,
よって K ⊂ S
λ f −1 (V λ ) は K の開被覆. K は コンパクトだから,有限部分開被覆が存在する:
∃λ 1 , . . . , λ n s. t. K ⊂ S n
i=1 f −1 (V λ
i). よって f (K) ⊂ S n
i=1 V λ
i, すなわち K ⊂ S
λ V λ の有限 部分開被覆が存在する.
■ Gauss 平面と Riemann 球面
複素関数の理論の先駆けは L. Euler (1707.4.15–
1783.9.18) の業績である.更に C. F. Gauss (1777.4.30–1855.2.23) は複素関数論の基礎に到達 していたが,論文として発表することはなかった.
複素関数論の基礎理論は, G. F. B. Riemann (図 1 1 )の学位論文「複素一変数関数の一般論の基礎」 , 1851 によって切り開かれたといってよい.この論 文は,日本語で読むことができる:足立恒雄,杉 浦光夫,長岡亮介編訳, 「リーマン論文集」,朝倉 書店.附属図書館の整理番号は 410.4/R44/Ri.
1図は
Wikipedia
から.図 1: Georg Friedrich Bernhard Riemann, 1862.9.17 – 1866.7.20
定義 0.5. 位相空間 X が Hausdorff 位相空間(或い は第二分離公理を満たす)とは, ∀x, y ∈ X, x 6=
y に対して,開集合 U, V ⊂ X, x ∈ U, y ∈ V , U ∩ V = ∅ となるものが存在することをいう.
位相空間 X の点 x の近傍 N とは, x ∈ U ⊂ N と なる開集合 U が 存在するような部分集合をいう.
位相空間 X が局所コンパクトとは, ∀x ∈ X に 対してコンパクトな近傍が存在することをいう.
問 0.6. 1. R が,絶対値による距離に関して局 所コンパクト Hausdorff 位相空間であること を示せ.
2. R 2 が,絶対値による距離に関して局所コン
パクト Hausdorff 位相空間であることを示せ.
よって C もそうである.
定理 0.7. X を位相空間とする.次は同値:
• X は局所コンパクト Hausdorff 位相空間.
• X に一点を付け加えた集合 X ∗ = X ∪ {x ∞ } に適当に位相を入れて,コンパクト位相空間 とすることができ,かつ, X は X ∗ の部分位 相空間であるようにできる. X ∗ を X の一点 コンパクト化,もしくはアレクサンドロフの コンパクト化などという.
証明 . 松坂和夫, 「集合・位相入門」,岩波書店(附 属図書館の整理番号: 413.9/M43/Sh=d ), p. 219–
を参照.
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注意 0.8. Gauss 平面 C は局所コンパクト Haus-
dorff 位相空間なので,上の定理から一点コンパク
ト化が存在するが,具体的に次のようにして構成 することができる.
定理 0.9. Gauss 平面 C を, (x 1 , x 2 , x 3 ) を座標と する 3 次元 Euclid 空間 R 3 の x 1 x 2 平面と同一視 する.原点を中心とする半径 1 の球面 x 2 1 + x 2 2 + x 2 3 = 1 を考える.北極 N = (0, 0, 1) 以外の一点 P = (x 1 , x 2 , x 3 ) が与えられた時, N と P とを結 ぶ直線は,平面 C とただ一点 z = x + iy で交わ る.このように球面上の N 以外の点を C に投影 することにより, N を除いた球面と C とが, 1 : 1 かつ両連続に対応する(図 2 ).
x y
z
x y