第6学年○組 国語科学習活動案
指導者 O・K 1.つけたい力 読みを深める力,考えを伝え合う力
2.教材名 川とノリオ
3.教材について
(1)教材観
現行学習指導要領5,6年内容C(1)ウ「登場人物の心情や場面についての描写など,優れ た叙述を味わいながら読むこと。」では,第1学年から第4学年までの筋の展開に重点を置きなが ら,場面の様子を想像する中で人物像などを思い描く学習から第5学年及び第6学年においては,
登場する人物について,心情や性格,考え方などをより多面的にとらえることができる時期であ るので人物の心情を表現や叙述と関係付けて,自分の読みを確かなものとして高めていく学習に することが望まれる,とある。
本教材は,単元名「人間を見つめて読もう」にもあるように,単に人物の気持ちを読み取るだ けではなく,状況とかかわりながら強く生きる人間のあり方についてまで考えよう,という趣旨 の,「読むこと」教材である。ここでは,意識的に優れた描写を味わい,登場人物の心情や場面の 様子を想像しながら物語を読み,自分なりのしっかりとした感想を持つことをねらいたい。
(2)児童の実態
本学級の児童(○○名)は本を読むことが好きな児童とそのことに抵抗を感じる児童とで二分 化されている。休み時間になると,晴雨にかかわらず読書をしている児童と多少の雨でも外で遊 んでいる児童とに見事に別れる。それは読書タイム時の読んでいる本の種類にも表れ,前者はじ っくりと文学的な本を読み進めるのに対し,後者は歴史漫画や趣味やスポーツの解説本などを読 んでいる。本単元を学習するにあたりアンケートをとったところ,次の通りであった。
・物語文を読むのが 好き 11 名(おもしろい,読みごたえあり)
まあまあ好き 11 名(じっくり読める,楽しい)
あまり好きではない 0 名 きらい 0 名 ・発表することが 好き 0 名
まあまあ好き 7 名(わかってもらえるとうれしい)
あまり好きではない 8 名(人前が苦手,緊張する)
きらい 7 名(何を言っていいかわからない)
・話す時に気をつけていること(複数回答) 言葉遣い,丁寧に話す 14 名 大きな声,相手を見て 7 名 伝わりやすく,感情込めて 5 名 どういう話題にするか,話の組み立てを考えて 5 名
・聞く時に気をつけていること(複数回答) 目を見て,手を止めて 10 名 聞き漏らさず,メモを取る 9 名 何を話しているか考えて,感想を持って 5 名
・戦争のことを よく知っている 1 名
まあまあ知っている 11 名(曾祖母に聞いて,本などで見て)
あまり知らない 9 名(興味はあるが・・)
ほとんど知らない 1 名
上記のアンケート結果からもわかるように,物語文を読むということが好きと答えた児童が程 度の差こそあれ多くいる。しかし理由を見ると話の展開のおもしろさを好むものが多く,人物の 心情や場面の状況を深く掘り下げてという本単元の価値に近づくものはそれほど多くはない。ま た,発表することが好きと答えた児童ときらいと答えた児童は半々であった。特にきらいという 児童のほとんどが人前で失敗することを恐れていたり,またその経験があったりすることもわか った。話す・聞くに関しては,話し方,聞き方の基本的な態度面をあげる児童がほとんどであっ たが,相手に伝わりやすいように組み立てを考えて話したり,相手が何を言おうとしているか考 えて感想を持ちながら聞くと答えた児童もいた。これは発表することが好きと答えた児童と相関 している。このような実態から,深い読みからくる感動体験と誰もが賞賛される簡単な紹介文発 表会を経験させ,児童全てが文章を読むことがもっと好きになるように仕向けたい。最後に戦争 については,予想以上に多くの児童が知っていると答えた。地域がら祖父母・曾祖父母との同居 の児童が多く,話を聞かされていることや,総合学習でアフリカの現状について調べた中で,世 界では今なお多くの児童が紛争・戦争に巻き込まれていることを知ったからと考えられる。その 関連の本もよく読まれている。しかし,まあまあ知っているという自己理解そのものにかなりの 差があり,時代背景については丁寧に地域の方の協力も得ながらとらえていこうと考えている。
(3)指導観
児童の実態やこれまでの経験から,ただ受動的に読み取ることに終始する児童が多いことが予 想される。そこで児童が「気になった表現」「わかりにくかった表現」「好きな表現」などを取り 上げ,五感を総動員して作品世界に浸らせながら,時間の経過を踏まえ,場面ごとに整理して読 み取らせたい。また,人物の心情を想像する手がかりとなる表現を探したり,場面の様子を思い 描く学習では,互いの考えを発表して話しあい,読み深めることが重要である。自分の考えを発 表することで自分の想像がより確かになり、他者の考えを聞くことで自分の想像がより豊かにな る。この話し合う学習活動を大事にしたい。さらに,主体的に作品とかかわって読むために「こ の物語を読んでみたくなるような,簡単な紹介文を書き,互いに読みあったり発表したりする。」
という手立てを前もって用意し,児童に伝えておくことによって,より意欲的に学習に取り組め るようにさせたい。
教材文は戦争,とりわけ広島の原爆を取り扱ったものであるため,それについての十分な理解 や経験者の話を聞くといったことが重要である。総合学習などと関連させて時代背景などを調べ させたり,父母や祖父母からも感想や体験談を聞くなどの活動を取り入れ,より身近なこととし てとらえられるようにしていきたい。
仮説との関わり・仮説検証の手立て 仮説1
文章の姿・・・次ページ
① 単元名「人間を見つめて読もう」にあるように,そこに登場する人間「ノリオ」「母ちゃん」
「父ちゃん」「じいちゃん」らの心情に着目しながら初発の感想を書く。
その感想の交流から,読みの課題を作る。感想を交流させながら,登場人物の心情や場面に ついて,優れた描写を味わうこと,場面ごとの登場人物の心情について読み深めていくことを 課題とすることを確認する。
② 場面の移り変わりをとらえる。(①~⑨)
エピローグから季節・月日ごとに場面が移り変わる。場面の様子をとらえながら,登場人物 の気持ちの変化もとらえる。特に川の描写を中心に。
仮説2
① いろいろな表現の工夫(比喩表現,擬人法,体言止め)を知り,それらに着目して読むよう にする。これらの表現がノリオら登場人物とその周囲の状況を象徴しているような効果をも たらしている事に気づくようにする。
文章の姿をとらえ,課題を持つことができれば,主体的に読むことができるだろう。
文章の読み取り方の基礎,基本が身につけば,意欲的に読むことができるだろう。
② 戦時中の用語,とりわけ空襲や原爆,防空壕,もんぺ,ぞうすいなどについて調べる。祖父 母曾祖父母らから聞き取りができれば,皆に紹介して用語について情報を共有しておく。
③ 工夫して音読する。
読み取った登場人物の心情を表すように音読する。
仮説3
① 話し合いの場の工夫
内容によって,グループでの話し合いや一斉での話し合いの場を設け,多くの意見交換がで きるようにしていく。
② 母ちゃんに手紙を書く
場面ごとに,あくまで現在の自分の言葉でノリオから母ちゃんに手紙を書く。そうすること で,ノリオに関わる人たちの気持ちも代弁できるし,ノリオ自身の気持ちも想像できる。
③ 簡単な作品紹介文を書く
紹介文を書き,それらを読み合い,感想を話し合うことでいろいろな角度から読み深められ る。
4.教材の目標
関心・意欲・態度 ○人物の心情を場面と合わせて読み,自分なりの感想をもとうとする。
読む ○叙述に即して,登場人物の心情や性格,考え方などを多面的にとらえ,情景
などの表現に着目して読むことができる。
言語活動 ○登場人物の心情を手紙などにして書き表すことができる。
5.指導計画(7 時間)
過 程
つけたい力 学習活動(◆評価方法,評価規準) 形態
課 題 を 持 つ (2)
・物語の大筋をつかみ,気に入 った場面についての感想を書 くことができる。
・比喩や体言止めなどの表現の 工夫についてその効果を考 えることができる。
・気に入った場面を理由をつけ て紹介することができ,友達 の意見に反応できる。
・読みの課題を理解することが できる。
○教師の範読を聞く。
○登場人物を確認する。
○場面の移り変わりをとらえる。
○初発の感想を書く。(気に入った場面)
◆気に入った場面についてその理由を加味して感想 を書くことができたか。(ノート点検)
○比喩や体言止めについて知り,文中から見つけ,ど ういう効果を持つか考える。
◆比喩や体言止めの意味や効果についてノートに書 いている。
○感想を発表する。
○各場面の登場人物の気持ちや普遍の川について考 える。
○読みの課題をとらえる。
◆自分の感想を発表するとともに,友達の感想と比べ ながら聞くことができたか。(観察)
◆場面の移り変わりを理解し,読みの課題をとらえる
一斉 一斉 一斉 個人
個→
一斉
一斉 一斉 一斉 読み取ったことを表現していく場を工夫すれば,意欲的に読むことができるだろう。
感想を書こう
ノリオの置かれた状況の変化を読み取る。
ことができたか。(ワークシート)
追 求 す る (3)
本 時
・母ちゃんとノリオとの一続き の「追いかけっこ」を読み取 ることができる。
○ノリオの置かれた状況を把握する。
○戦争の中にあっても,小さな幸せな二歳のノリオの 姿をとらえる。
◆読み取ったことをもとに,自分の考えをワークシー トに書くことができたか。
○幸せなノリオの気持ちになって音読する。
◆場面に合わせた雰囲気や気持ちに合わせて読んで いるか。(観察)
○母ちゃんに手紙を書く。
◆ノリオの母ちゃんへの気持ちが書かれているか。
個→
一斉
グ ル ー プ 個人
・「8月6日」(原爆投下)から
「また秋」を読み,ノリオの 置かれた状況の変化を読み 取ることができる。
○ノリオの置かれた状況の変化を読み取る。
◆自分の考えをはっきりとワークシートに書くこと ができたか。
○ノリオの悲しみを考えて音読する。
◆場面に合わせた雰囲気や気持ちに合わせて読んで いるか。(観察)
○母ちゃんに手紙を書く。
◆ノリオの母ちゃんへの気持ちが書かれているか。
個→
一斉 グ ル ー プ 個人
・変わらない川の流れと変わっ て行かなければならないノ リオについて読み取ること ができる。
○ノリオと川とのかかわりを最終的にとらえる。
◆ワークシートにノリオの心の変化を書くことがで きたか。
○寂しさを抱えながらもがんばっていこうとするノ リオの気持ちになって音読する。
◆場面に合わせた雰囲気や気持ちに合わせて読んで いるか。(観察)
○母ちゃんに手紙を書く。
◆ノリオの母ちゃんへの気持ちが書かれているか。
個→
一斉 グ ル ー プ
個人 ま
と め る (2)
・この物語を読んでみたくなる ような簡単な紹介文を書く ことができる。
・紹介文を読み合い,感想を話
し合うことができる。 ○作品全体のまとめや特徴を簡単に紹介する。
○自分が気に入った場面(こと)とその理由を簡単に 説明する。
個人 母ちゃんと追いかけっこをする幸せな二歳のノリ
オの気持ちを読み取ろう。
8月6日を中心に,ノリオの置かれた状況の変化 を読み取ろう。
また,8月の6日が来るの場面を中心に,川とノ リオのかかわり(川はノリオに何を言いたいのか) を読み取ろう。
この物語を読んでみたくなるような紹介文を書き,
お互いに読み合い,感想を話し合おう。
◆気に入った場面がその理由も考えて簡潔に書かれ ているか。
○その紹介文の良さを見つけ,肯定的な感想を発表す る。
◆優れた表現に言及しながら,紹介文に対する感想を 述べているか。(観察)
一斉
6 本時の指導(5/7)
(1) 目標
関心・意欲・態度 ○積極的に発言したり,聞いたりすることができる。
読む ○悲しみを乗り越え,前向きに生きようとするノリオの心情を読み取ることが できる。
言語活動 ○ノリオの気持ちになって母ちゃんに手紙を書くことができる。
(2)展開
時配 学習活動 教師のかかわり(・指導 ☆評価◆評価規準・方 法)
資料 5 分
5 分
10 分
10 分
5 分
1.前時までの学習を振り返り,
本時の学習範囲を確認する。
2.時が流れても変わらない川の 様子をとらえる。(線を引く)
3.再び八月六日を迎えたノリオ の様子をとらえる。
○戦争の日々思い出すノリオ
○仕事を中断してやぎと戯れる ノリオ
○再びカマを使い出すノリオ
4.最終場面で川はノリオに何と 呼びかけているのかをとらえ る。
5.気持ちを込めて
・ノリオが川とどのように関わってきたか確実 につかませる。(父母の死,かわいそうなノ リオ)
・プロローグとの関係についても考えさせる。
☆川の様子の書かれた文を見つけられたか。
◆川の様子を表す文に線が引けているか。(机 間指導)
・川に来ているノリオの気持ちを考えさせる。
・戦争で家族を亡くして寂しい,母ちゃんがい なくて寂しい。でも・・・。その気持ちを読 み取らせる。
☆ノリオの心の変化を読み取ることができた か。
◆ワークシートにノリオの心の変化(寂しい。
でもがんばろう)が書き込めているか。(机 間指導)
・これまでずっとノリオを見つめ続けてきた川 の役割について考えさせるようにする。
・グループの中で積極的に意見交換させる。
☆川の普遍性を読み取ることができたか。
◆ワークシートに川とノリオのかかわりにつ いて書き込めているか。(机間指導)
・ノリオの気持ちを意識して音読をさせる。
ノート
ワ ー ク シ ート
ワ ー ク シ ート ノリオの置かれた状況の変化を読み取ろう。
10 分
「サクッ,サクッ,サクッ,
母ちゃん帰れ」の部分を音読 する。(仮説 2)
6.天国の母ちゃんに手紙を書く。
(仮説3)
☆積極的に気持ちを表現しようとしているか。
◆ノリオの気持ちを音読で表現できたか。(観 察)
・ノリオになりきって書くように指導する。
☆ノリオの新たな気持ちを込めて手紙が書か れているか。
◆会いたい,寂しい,でもがんばる。といった ノリオの決意が書けているか。
付箋紙
(3)板書計画
川と ノリ オ
いぬいとみこ
1.一人が発表2.同じ場面や同じ理由について書いた人も発表3.聞いていた人の発表4.その部分を音読