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PDF 光学 2006年度 図の説明 八木隆志

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(1)

第1章 幾何光学 1.1 幾何光学の概念

1.1 ホイヘンスの原理と光線

光源

波面(球面)

球面波 平面波

光線 波面(平面)

波面:波の位相が一定である

面光線:波面に垂直な線でエネルギーの流れを示す

光が伝播している空間において、光波の位相(山とか谷とか)が一定である面を等位相 面とか波面とか言う。波面に垂直に立てた法線をたどっていくと光線が形成される。光線 は光のエネルギーの流れを示し、電磁波のポインティングベクトル S

=

E

×

H の方向を 向いている。

光源が無限に小さい点であれば、この光源から放射される光の波面は球面となる。これ を球面波という。点光源から無限に遠い空間では光波の波面は平面と考えられ、この波を 平面波という。波の進み方についてホイヘンスの原理がある。ホイヘンスの原理によれば、

任意の波面上に点光源が無数に並んでいて、この点光源からの球面波(これを要素波とい う)を連ねた面、つまり包落面が次の瞬間の波面を与える。これを数学的に定式化したも のが、後述するキルヒホッフの積分定理(Kirchihoff’s Integral)である。

r

i θ

θ

=

1.2 反射の法則

波面の進み方を考えると、光の反射法則が導ける。図1.2において、入射光の波面が だ け進んで反射面に到達するとき、反射光の波面が だけ進んだとする。明らかにこの両者

R

1

R

2
(2)

は等しいので、つまり

R

2

= R

1なので図中の直角三角形の合同からθi

=

θrである。これら

の角度は反射面に垂直に立てた法線に対する入射および反射の角度なので、入射角と反射 角が等しいという反射の法則を与える。

2 2 1

1

sin θ n sin θ

n = n

1

sin θ

1

= n

M

sin θ

M

n

n2

図1.3 屈折の法則

ここで、光が屈折率 の媒質から の媒質へ入射する際の入射角と屈折角の関係を求め る。この図1.3において、入射波面が媒質1の中をBからB’まで距離 だけ移動して境界 面に到達したとする。ところで、屈折率の意味は、真空中の高速 を媒質中の光速 で割っ たもの、

n

1

n

2

R

1

c v

1

1

1

c v

n =

である。既に境界面に到達した波面はこの時間内に だけ媒質2を進む とすれば、 および を進むのに要する時間は等しいので

R

2

R

1

R

2

2 2 1

1

v R v

R =

つまり、

n

1

R

1

= n

2

R

2 あるいは、

R

1

R

2

= sin

θ1

sin

θ2

を用いれば、

2

1 θ

θ

sin

sin

2

1

n

n =

である。この関係を屈折の法則という。

次に、屈折率 、 、 ・・・ の媒質が層を形成し、各界面が平行な平面であると し、媒質1から媒質 2へ入射角 で入射したとする。ここで、媒質 M へ出て行くときの 屈折角 を求める。図1.4から、最初の境界面で

n

1

n

2

n

3

n

M θ1

θM

n

1

sin

θi

= n

2

sin

θ2 であるが、2番目の境界で、

n

2

sin

θ2

= n

3

sin

θ3

であり、M-1番目の境界では

n

M1

sin

θM-1

= n

M

sin

θM であり、結局
(3)

M 3

2

i θ θ θ

θ

sin sin sin

sin

2 3

1

n n n

M

n = =

••

=

より、

n

1

sin

θ1

= n

M

sin

θM

となる。この結果によれば、M 番目の媒質へ抜けていく屈折角は途中の媒質によらない。

したがって、もしM番目の媒質が最初の媒質と同じ屈折率なら、つまり、

n

1

= n

Mなら

M

1 θ

θ

=

である。例として、平行なガラス板の表面に多層の薄膜が付いている場合、薄膜へ の入射角とガラスから出てくる屈折角は等しい。眼鏡やカメラレンズについている反射防 止膜が光の進行方向に影響を与えない理由である。

1.2 光線追跡(Ray Tracing)

伝播する光線を特徴付けるものとして、光線の光軸からの高さと光軸に対する傾きがあ る。光軸上の任意の位置での光線の位置と傾きが与えられたならば、いろいろな光学的空 間を通過したあとでの光線の位置と傾きを予言することが出来る。それを可能にするのが

:光軸からRayまでの高さ

′ = dr r dx

1 1 2

1 1 2

r d cr r

r b ar r

+ ′

′ =

+ ′

= ⎟⎟

⎜⎜ ⎞

= ′

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

⎥ ′

⎢ ⎤

= ⎡

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

1

1 1

1 2

2

r M r r r d c

b a r r

M : Translation Matrix1.4 Ray行列と応用

1 1

r , r ′

2 2

r , r

r

: 光線の傾き

光線行列である。図1.4において、光軸を

x

軸に取り、ある光学素子に対し、光軸からの高 さ および光軸に対する傾きが

r

1

1

dr dx

x x1

r ′ =

= である光線が入射しているとする。この光学

素子から出てくる光線の高さと傾きが、それぞれ

r

2および

2

dr dx

x x2

r ′ =

= であって、関係

r

2

= Ar

1

+ B r

1

r

2

′ = Cr

1

+ D r

1

あるいは、行列を用いて、

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

⎟⎟ ′

⎜⎜ ⎞

= ⎛

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

11

2 2

r r D C

B A r

r

と書き表せるとき、右辺の2行2列の行列を光線行列とかABCD行列と言う。

(4)

r3,r3 r4,r4 r1,r1

r2,r2

r5,r5

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

= ′

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

⎥ ′

⎢ ⎤

⎥ ⎡

⎢ ⎤

⎥ ⎡

⎢ ⎤

⎥ ⎡

⎢ ⎤

= ⎡

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

1

1 1

1 1 1

1 1 2 2

2 2 3 3

3 3 4 4

4 4 5

5

r M r r r d c

b a d c

b a d c

b a d c

b a r

r

1.5 光学素子の組み合わせとRay行列

図1.5には光線がレンズに入り、レンズをでてから自由空間を進み、2枚目のレンズを通 過してから更に自由空間を進み、スクリーンに当たるものである。図中の行列で、

⎥ ⎦

⎢ ⎤

1 1

1 1

d c

b

a

、 、

⎢ ⎤

2 2

2 2

d c

b

a ⎥

⎢ ⎤

3 3

3 3

d c

b

a ⎥

⎢ ⎤

4 4

4 4

d c

b a

はそれぞれ、最初のレンズ、最初の自由空間、2枚目のレンズ、および2番目の自由空間に ついてのABCD行列である。これらの光学素子を次々に光線が通過するので、最終的には これらの行列の積で与えられる行列を入射光線の(位置、傾き)ベクトルに掛けることに なる。

ここからは、様々な光学素子についてのABCD行列を求める。

(1) 距離Aの自由空間:

A

1.6 厚さAの自由空間

入口の面で光線の光軸からの高さを 、傾きを

r

1

r′

とすると、距離 だけ離れた出口の 面では

A

r

2

= r

1

+

A

r ′

、 および

r

2

′ = r

1

の関係がある。すなわち、

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

⎟⎟ ′

⎜⎜ ⎞

= ⎛

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

11

2 2

1 0 1

r r r

r A

であるのでABCD行列は

(5)

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

⎛ 1 0 1 A

で与えられる。

(2) 薄肉レンズ:

1.7 焦点距離 f の薄肉レ

厚さが無視できる焦点距離が

f

のレンズに光線(

r

1

, r

1

)が入射したとする。レンズか ら出るときの光線の高さは変わらず

r

2

= r

1 である。ところで、入射光線と同じ傾き でレンズの中心を通る光線は直進し、レンズから

f

の位置に置いた平面と高さ

fr′

1で交 差する。高さおよび傾きが と

r

1

r′

1 でレンズに入射する光線はこの平面上の同じ高さ

f r ′

の 位 置 で 交 差 す る の で 、 こ の 光 線 が レ ン ズ か ら 出 た と き の 傾 き は

(

1 1

)

1 1

2

f r r f r f r

r ′ = ′ − = − + ′

である。これを行列の形で書けば、

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

⎟⎟ ′

⎜⎜ ⎞

= −

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

11

2 2

1 1

0 1

r r f

r r

であるので、レンズのABCD行列は

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

− 1 1

0 1

f

となる。凹レンズでは

f

として、負の値を用いる。

(3) 屈折率の界面(平面)での屈折:

屈折率

n

1

n

2の界面に光線(

r

1

, r

1

)が入射する。この光線は( )として界面から 出ていくとする。入射角と屈折角をそれぞれ

2 2

, r r ′

θ

1および

θ

2とすると、Snellの法則により、

2 2 1

1

sin θ n sin θ

n =

で あ る が 、 入 射 角 お よ び 屈 折 角 が 非 常 に 小 さ い 場 合 、

1 1

1

tan

sin θ ≈ θ = r′

および

sin θ

2

≈ r′

2 と出来るので、Snellの法則は

n

1

r

1

′ = n

2

r

2

と表せる。これより、

r

2

′ = n

1

r

1

′ n

2 である。今の場合

r

2

= r

1 であるので、ABCD

行列は

(6)

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

2

0

1

0 1

n n

1.8 屈折率の界面(平面)

と表せる。

(4) 屈折率の界面(球面)での屈折:

x θ

1

θ

2

θ

2

α γ β

R

n

1

n

2

1.9 屈折率の界面(球面)

屈折率

n

1

n

2の界面が半径

R

の球面である場合を考える。球面の曲率中心が光線の 進む方向と逆の方向、図1,9では球面に対して左側、の場合

R

を正の値にとる。この面 に光線(

r

1

, r

1

)が入射する。この光線は(

r

2

, r

2

)として界面から出ていくとする。入 射角と屈折角をそれぞれ

θ

1および

θ

2とすると、Snellの法則により、

n

1

sin θ

1

= n

2

sin θ

2

で あ る 。 と こ ろ で 、 図 1.9 を 参 照 す る と 、

θ

1

= β − α

で あ り 、

( β α ) sin β cos α cos β sin α

sin − = −

であること、および、

α

β

が共に非常に小さく、

1

cos α ≈

cos β ≈ 1

sin α ≈ tan α = r′

であり、また、

sin β

r

1

R

であることを用 い る と 、

sin ( β − α ) = r

1

R − r

1

で あ る 。 ま た 、

θ

2

= β − γ

、 お よ び 、

( β γ ) sin β cos γ cos β sin γ

sin − = −

cos γ ≈ 1

sin γ ≈ tan γ = r

2

な ど か ら 、

( )

1

sin β γ − = r R − r

2

が 得 ら れ る 。 こ れ ら を Snell の 法 則 に 代 入 す る と 、

(

1 1

)

2

(

1 2

)

1

r R r n r R r

n − ′ = − ′

となり、これから

r′

2を表すことが出来る。

1

2 1 1 2

1 2

2

r

n r n R n

n

r ′ = n − + ′

(7)

この結果と、

r

2

= r

1 を考慮するとABCD行列は

⎟ ⎟

⎜ ⎜

⎛ −

2 1 2

1 2

0 1

n n R n

n n

で与えられる。

(5) 球面ミラー:

x θ

1

θ

2

α γ β

R

1.10 球面ミラー

半径

R

の球面に光線(

r

1

, r

1

)が入射する。この光線は(

r

2

, r

2

)として反射面から反 射されて出ていくとする。入射角および反射角をそれぞれ

θ

1および

θ

2とする。ここで、

1 2

θ θ =

であることを利用するが、まず、

θ

1

= − β γ

および

θ

2

= − γ α

であることから、

図1.10を参照して、

( )

1 1

sin θ = sin β γ − = sin β cos γ − cos β sin γ = − r ′ r

1

R

および、

n θ

2

= sin ( γ α − ) = sin cos γ α − cos sin γ α = r

1

R + r

2

≈ si

である。ここで、

cos α 1

cos β ≈ 1

cos γ ≈ 1

sin β ≈ tan β = r′

1

sin γ

r

1

R

、 および

sin α ≈ tan α = − r′

2 を用いた。ここで、

r

2

は光線が進む方向に対して計算さ れるものであるので、

tan α = − r′

2であることに注意する。

ここで、上の2式が等しいとして、 2

2

1 1

r R r

r ′ = − + ′

が得られる。この結果と、

r

2

= r

1 を考慮するとABCD行列は

⎟ ⎟

⎜ ⎜

− 2 1 0 1

R

で与えられる。

(8)

(6) 平方依存屈折率分布; この場合の ABCD 行列式の求め方についてはフェルマーの原 理についての説明を参照されたい。

ABCD 行列を用いれば、光線がいろいろな光学素子を通過した後の光線の高さと傾きが 求められる。例として、厚肉レンズ;2 面の曲率半径が

R

、面間隔が であるレンズに光 線 が入射するとき、レンズから出てくる光線の と

( r

1

, r

1

′ ) r

2

r′

2を求めてみよう。このときの

d

ABCD行列は次のようになる。

空気およびレンズの屈折率をそれぞれ 1および とるす。最初、面 1に入るが、この場 合では(4)の行列で および

n

1

= 1

n n

2

= n

とし、面 1 の曲率中心がレンズに対して光線の進む 方向にあるから、曲率として

− R

を代入する。面2では

n

1

= n

および とし、面2の曲 率中心がレンズに対して光線と逆方向にあるから、曲率として

2

= 1 n

R

を代入する。さらにレン ズの厚さ

d

の自由空間を光線が進むことを考えると、光線行列は以下のようになる。

( )

( ) ( )

⎟ ⎟

⎟ ⎟

⎜ ⎜

⎜ ⎜

+ −

⎟ ⎠

⎜ ⎞

⎛ + −

⎟ ⎠

⎜ ⎞

⎛ − + −

⎟ =

⎜ ⎜

⎛ −

⎟⎟ −

⎜⎜ ⎞

⎟ ⎟

⎜ ⎜

⎛ −

nR d n nR

d n R

n

n d nR

d n n

nR d n

R n

n 1

1 1 1 2

1 1 1

1 0 1 1 0 1 1

0 1

これより、

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

⎟⎟ ′

⎜⎜ ⎞

= ⎛

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

21

2 2

D C

B A

r r r

r

により、レンズから出てくる光線の高さと傾きが求まる。

n

1 2

1.11 厚肉レンズ

1.2 フェルマーの原理

屈折率が空間的に不均一であるとき、光はどのように進むのであろうか。光の進み方を 可視化した説明法としてはホイヘンスの原理が知られている。ホイヘンスの原理を定量的 に説明することでこの問題に答えようとするのが後述のキルヒホッフの積分定理である。

この原理によれば、空間の任意の位置に於ける波動場は観測点を除く任意の空間領域での 波動場情報を積分することで与えられるとするものであり、一種の因果律を提供する。こ

(9)

れとは別に、光の進み方を「光線」の軌跡で与え、光線が満たすべき条件を自然の原理と して与えるものが「フェルマーの原理」である。この原理は天から与えられた原理という

よりは、Maxwell 方程式系で予言される光の伝播の方向、つまりポインティングベクトル

の方向を連ねることで光線を与えることと等価であることをあらかじめ注意されたい。

フェルマーの原理では、光線が任意の2点を結ぶとき、その経路は光学的行路長

( )

x,y ds

n L

= ∫

A

が極値を持つようにして与えられる。ここでの極値とは、通常は最小値である。この積分 の意味は、2 点間をある曲線 で結び、その曲線に沿って微小変位 だけ移動したとき、

微小変位に屈折率をかけたものを加え合わせることを意味する。屈折率が 1 である真空中 では、これは単純に曲線 の長さである。屈折率に移動距離をかけたもの

A ds

A

nds

を光学的光路長という。

フェルマーの原理では 2 点間を結ぶ光学的光路長が最小になるように光線は進むというこ とである。

それでは、このように光学的光路長を最小にするような光路をどのように求めるのであ ろうか。真空中での2点間を結ぶ最短光路は、この2点間を結ぶ直線であることは自明で ある。屈折率が異なる 2 種類の媒質が平面境界面で分離されているとして、一方の媒質中 のA点から片方の媒質中のB点まで、光がたどる光路を求めてみよう。(図1.12a)また、

同一の媒質中のA 点から B 点まで、鏡面Mで反射して到達する光路を求めてみよう(図 1.12b)。図を参照してA点からB点までの光路長は

( )

2

2 2 2 2

1

h x n g d x

n

L = + + + −

である。ここで、

x

を変化させて

L

を最小とする

x

の値を見つける。そのために、

( ) ( )

2

0

2 2 2

2

1

=

− +

− −

= +

x d g

x d n x

h x n x

L

を要求するが、これは

( ) ( )

2

2 2 2

2 1

x d g

x d n x

h x n

− +

= − +

を満たす

x

を求めることである。ところで、この関係は入射角

θ

1と屈折角

θ

2を用いて次の ようにあらわせる。

2 2 1

1

sin θ n sin θ

n =

(10)

これは、屈折の法則(Snellの法則)に他ならない。

A

B O h

x

d g

A h

x

B

O d

θ

1

θ

1

θ

2

(a) (b)

n

1

n

2

n g

図1.12 屈折および反射の法則

次に、同様の方法でA点からB点まで反射面で反射された光線の道筋を検討する。この場 合の光路長は、上述の屈折の場合での光路長で

n

1

= n

2

= n

と置いた式で与えられる。この 結果

sin θ

1

= sin θ

2 あるいは

θ

1

= θ

2

という反射の公式が得られる。

次に、屈折率が空間的に任意の分布をしている場合では、どのようにして光路を具体的 に求めるのであろうか。図1.13を参照して考えよう。A点からB点までの光路長は

( ) x y

ds

n ,

を光路 A

: y = y ( ) x

に沿って加えたものである。 の中の

n y

は光路を与える

y ( ) x

であり、この関数 を見つ

けることが目標である。ところで、

( ) x

y

dx dx dy dy

dx ds

2 2

2

1 ⎟

⎜ ⎞

⎝ + ⎛

= +

=

であるので、

n ( ) x , y

dsを曲線

y = y ( ) x

に沿って加えていくということは、

x

軸上で

( ( ) ) dx

dx x dy

y x n

2

1

, ⎟

⎜ ⎞

⎝ + ⎛

という関数を積分することに他ならない。つまり、

(11)

= ∫

b

( ( ) ) + ⎜ ⎝ ⎛ ⎟ ⎠ ⎞

a

x

x

dx dx x dy

y x n L

2

1 ,

をいろいろな関数

y = y ( ) x

で計算し、この積分値が最小になるような関数 を見つけ出 すことである。このような作業を変分法という。尚、

( ) x

y c

L

; は真空中の高速、は A 点か らB 点までの所要時間を与えるので、要するに最も所要時間の短い光路はどれかという問 になる。(

自然は合理的だ

c

図1.13 最短光路を見つける

( x

a

, y

a

)

A

( x

b

, y

b

)

B x y

y dy y +

x x + dx

( ) x y y =

( ) x ( ) x y

y = + εη r

s

d

ここで、関数

y ( ) x

L

を最小とする光路であると仮定する。この光路から少しだけ任意 にずれた光路を

y ( ) x + εη ( ) x

という形で与える。

η ( ) x

は滑らかで微分可能な任意の関数で A点とB点で

η ( ) ( ) x

a

= η x

b

= 0

である関数である。こうすることで、関数

y ( ) x + εη ( ) x

はA点とB点で

y ( ) x

となる。

ε

はいくらでも小さくできる任意のパラメータであり、

ε → 0

とすることで光路を

y ( ) x

に一様に近づけることが出来る。

)

ここで

dx y ′ = dy

n ( ) x , y 1 + y ′

2

= g ( x , y , y ′

とおくと、この2つのパスに沿う光路長の差(これを変分という)

( ) ∫ (

∫ + ′ + ′ − ′

=

b

a b

a

x

x x

x

dx y y x g dx y

y x g

L , εη , ε η , ,

δ )

)

= ∫

b

( + ′ + ′ ) ( − ′

a

x

x

dx y y x g y

y x

g , εη , ε η , ,

ε

の関数とみなせる。ここで、

g ( x , y + εη , y ′ + ε η ′ )

Y = y + εη

Y ′ = y ′ + ε η ′

とおき、

ε

のベキ級数に展開する。

( ) ( ) ε

ε ε η ε

ε εη

ε

ε 0 0

, , ,

,

=

=

=

=

∂ ′ + ∂

∂ + ∂

= ′ + ′ + ′

d Y d Y

g d

dY Y y g y x g y

y x g

y Y y

Y

(12)

⎟ +

⎜ ⎞

⎛ ′

∂ ′ + ∂

∂ ′

∂ + ∂

⎟ ⎠

⎜ ⎞

+ ∂

2

2 2

2 2

2 2 2 2

2

2 1 2

1 ε

ε ε ε ε ε

ε d

Y d Y

g d

Y d d dY Y Y

g d

dY Y

g

( ) ηε η ′ ε

∂ ′ + ∂

∂ + ∂

= ′

=

=y Y y

Y

Y

g Y

y g y x g , ,

′ +

∂ ′ + ∂

′ ′

∂ + ∂

+ ∂

2 2 2 2 2 2 2 2 2 2

2 1 2

1 η ε η η ε η ε

Y g Y

Y g Y

g

したがって、

dx ( ) P

Y g Y

L g

b

a

x

x Y y Y y

ε

2

ε η ηε

δ ∫ ⎟ ⎟ +

⎜ ⎜

⎛ ′

∂ ′ + ∂

= ∂

=

=

と書ける。ここで、

ε

2

( ) P

ε

2次以上の項である。光路

y ( ) x

が光路長

L

に極小値を与 えるということは

→ 0

ε

に於いて

→ 0 ε δ L

であることを要求する。

dx ( ) P

Y g Y

g L

b

a

x

x Y y Y y

ε η

ε η

δ ∫ ⎟ ⎟ +

⎜ ⎜

⎛ ′

∂ ′ + ∂

= ∂

=

=

であるので、

∫ ⎟ ⎟

⎜ ⎜

⎛ ′

∂ ′ + ∂

= ∂

=

=

b

a

x

x Y y Y y

Y dx g Y

g

L η η

ε δ

ε 0

lim

であり、これより、

∫ ⎟ ⎟ =

⎜ ⎜

⎛ ′

∂ ′ + ∂

=

=

b

a

x

x Y y Y y

Y dx g Y

g η η 0

であることが要求される。この積分の第2項は部分積分により

∫ ∫ ∫ ⎟ ⎟

⎜ ⎜

∂ ′

− ∂

⎟ =

⎜ ⎜

∂ ′

− ∂

∂ ′

= ∂

′ ′

=

=

=

=

=

=

b

a b

a b

a b

a

x

x Y y

x

x Y y

x x

x y x Y x

x Y y

Y dx g dx dx d

Y g dx

d Y

dx g Y

g η η η η

(13)

ここで、

η ( ) ( ) x

a

= η x

b

= 0

を用いた。

ところで、

y g Y

g

y

Y

≡ ∂

=

および

y g Y

g

y

Y

∂ ′

≡ ∂

∂ ′

=

のことであるので、結局

0

b

a

x

x

g d g y dx y dx η ⎛ ⎜ ⎝ ∂ ∂ − ∂ ∂ ′ ⎞ ⎟ ⎠ =

が得られる。

η

は任意の関数であるので、上記の積分がゼロであるためには、

g d g 0 y dx y

∂ ∂

− =

∂ ∂ ′

であることが要求される。これは変分法におけるオイラー(Euler)の方程式と言われる。

ここでの結論は、最短の光学的光路長を与える光路

y ( ) x

は上記オイラー方程式(微分方程 式)を満たすものとして求めることができる。

フェルマーの原理をいくつかの屈折率分布に対して適用し、光路を求める。

(1) 真空中の2点を通過する光路:

こ の 場 合 、

n ( ) x , y 1 + y ′

2

= g ( x , y , y ′ )

に お い て 、

n = 1

と す る 。 し た が っ て 、

1 y

2

g = + ′

y′

を陽に含む関数である。したがって、

= 0

∂ y

g

および、

1 y

2

y y

g

+ ′

= ′

∂ ′

であり、

y′

x

の関数であることを考慮すると、オイラー方程式は

0

1

2

′ = +

− ′

y y dx

d

となる。これは

x

について積分できて、

C

1を定数とすると、

1

1

2

C y

y =

+ ′

が得られる。この式を

y′

について解くと、
(14)

2

2 1 1

1

C C

y C =

± −

′ =

となる。ただし、定数項を

C

2とおいた。この微分方程式を解くと、

y = C

2

x + C

3

が得られる。ただし、 は別の定数である。これが光学的光路長を最短とする光路を与え る関数 となる。これはあきらかに直線であり、定数 と は2点AおよびBを通過 するという条件から決定できる:

C

3

( ) x

y C

2

C

3

b a

b a

x x

y C y

= −

2

b a

a b b a

x x

y x y C x

= −

3

(2) 屈折率が垂直方向に線形に依存する場合:

例えば地表付近の空気密度が地上からの高さ に対して減少するために、空気の屈 折率が

y

( y

n

n =

0

1 − α )

のように変化する。(下図参照)

図1.14 放物線を描く光線

y

x

( 1 αy )

n

n =

0

− n

2

光線

x

ここで、

n

0は地表における屈折率である。実際には

y ≈ 1000 m

α y ≈ 0 . 0001

程度 であり、したがって、

α ≈ 10

8という小さな値である。ここで、地表近くを伝播する 光線の光路を求めよう。地表が水平であるとし、地表に沿って光軸(

x

軸)をとる。

今の場合、光路として光軸近傍を伝播するものを考えるが、これを近軸近似といい、

具体的には

y ′ << 1

とか などの近似を適用する。まず、オイラー方程式を書き 出す。

<< 1 y ′′

1 y

2

n g = + ′

としてオイラー方程式に代入すると、

(15)

y y n y

g

′ ∂ +

∂ =

2

1

1 y

2

y n y

g

+ ′

= ′

∂ ′

であることより、

0 1

1

2

2

⎟ ⎟ =

⎜ ⎜

⎛ + ′

− ′

′ ∂ +

y y n dx

d y y n

となるが、近軸近似により、

y ′ << 1

および であるので、オイラー方程 式は

2

<< 1 y ′

− ( ) ′ = 0

∂ n y

dx d y n

と近似的に表せる。さらに、屈折率

n = n

0

( 1 − α y )

を代入して、

n

0

y

n = − α

および、

( ) n ( y ) y n y n ( y ) y

dx y d dx n

d ′ =

0

1 − α ′ = − α

0

2

+

0

1 − α ′′

より、

( )

0

( 1 ) 0

2 0

0

+ ′ − − ′′ =

′ =

∂ −

∂ n y n n y n y y

dx d y

n α α α

となる。ここで、

α y << 1

および

y ′

2

<< 1

の条件を考慮することで、

n

0

y ′′ = − α n

0

となる。この解は 2 1 2

2

1 x C x C

y = − α + +

であり、光路は上に凸な放物線を描く。ここで

C

1

C

2は積分定数である。

原点

( 0 , 0 )

から上方へ角度

θ

で光線を発射すると、

dy dx

x=0

= tan θ

であるので

C

1

= tan θ

、および、

C

2

= 0

が得られ、光路として

α tan θ 2

1

2

x x y = − +

が得られる。

また、

( 0 , 0 )

および

( x

b

, 0 )

を通過する光路を求めてみると、

C

1

= α x

b

2

およ
(16)

C

2

= 0

となり、光路は

y α x α x

b

x 2 1 2

1

2

+

=

となる。

この具体例としては蜃気楼がある。2 点間の距離として

x

b

= 100 km

とした場合、光 路の最高点は地表から

y

max

= α x

b2

4 = 25 m

の高度になる。

(3) 屈折率が

y

の二乗に比例する場合:

屈折率が

n = n

0

( 1 − α y

2

)

で与えられる場合を考える。これは、屈折率のダクトと呼ばれるもので、光ファイバ ーを通る光、電離層プラズマを伝播する電波などで見られるものである。(下図参照)

光線

(

2

)

0

1 αy

n n = − y

0

y′

0

x y y′

0 x =

図1.15 二次関数型屈折率分布に捕捉された光線

y y n

n = − 2

0

α

および

( ) n y n y y n y n y y n ( y ) y

dx

d ′ = − 2

0

α ′

2

+ ′′ = − 2

0

α ′

2

+

0

1 − α

2

′′

をオイラー方程式に代入して、

n d ( ) ny 2 n

0

y 2 n

0

yy

2

n

0

( 1 y

2

) y

y dx α α α

∂ − ′ = − + ′ − −

∂ ′′ = 0

を得るが、ここで、

y ′

2

<< 1

および

α y

2

<< 1

の条件を賦課すると、上記方程式は

− 2 α y − y ′′ = 0

となり、これより

y ′′ = − 2 α y

(17)

が光路を決定する方程式として得られる。これは単振動を記述する微分方程式と形式 的に同じであり、一般解は

y = A sin ( 2 α x + ϕ )

である。ここで、

A

および

ϕ

は任意の定数である。これらは境界条件で決められる。

= 0

x

y = y

0 お よ び

y ′ = y

0

で あ れ ば 、

A cos ϕ = y

0

′ 2 α

お よ び

sin y

0

A ϕ =

であるので、

y = A sin ( 2 α x + ϕ ) = A sin 2 α x cos ϕ + A cos 2 α x sin ϕ

sin 2

0

( cos 2 )

0

2

1 α x y α x y

α ⎟ ⎠ ′ +

⎜ ⎞

= ⎛

が得られる。更に、これを微分して

( cos 2 x ) ( y

0

2 sin 2 x ) y

0

y ′ = α ′ − α α

であるので、この結果を光線行列表示としてまとめると

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

⎟ ′

⎟ ⎟

⎜ ⎜

⎟⎟ =

⎜⎜ ⎞

0

0

2 cos 2

sin 2

2 2 sin 2 1

cos

y y x x

x x

y y

α α

α

α α α

と与えられ、任意の位置

x

に於ける光線の位置と方向が決められる。

参照

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