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— 「認知文法」の図法を制約する —

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(1)

概念化の ID 追跡モデルの提案

— 「認知文法」の図法を制約する —

黒田 航 kuroda@nict.go.jp ( ) 情報通信研究機構

1 概念化の ID 追跡モデルとは何か ?

本論文は,認知文法の枠組み[13, 14, 15] で意味構 造の記述のために使われる図法をより効果的な記述の 道具にするための提案をID追跡モデル(ID Tracking

Model: IDTM)の名称で提示する.IDTMは玉突きモ

デル(Billiard Model)に取って代わる概念化のモデル で,基本原理として次のことを仮定する: (i) IDの追跡は ヒトの事態認識の構成要素である; (ii)モノの認識は異 なる時点での状態が同一IDの下で結びつけられること

からなる; (iii)モノの状態の集合は(概念メタファーを仲

介にしないで)状態空間内部の軌跡として認識される.

以下,§1.1でこのモデル化を動機づけていることを 簡単に説明してから,§1.2でモデルの具体的な説明に 入る.

1.1 ID追跡理論の導入の動機

1.1.1 相互作用の(比喩によらない)視覚化の必要性 認知文法の枠組み[13, 14, 15]で意味構造の特徴づけ に用いられる図法は玉突きモデルと呼ばれる存在論的 メタファーを基盤としている.それは作用連鎖(action

chain)が概念化の(比喩的)基礎となっている考えの上

に成立している.そのモデルでは「力」と,その行使に よって生じる「動き」が基本的で,「状態変化」はそれか ら派生するものだと考えられている.この知見は[1]な どとも共有され,認知言語学で広く受け入れられている 考えであるが,例えば[18]: 150-154が指摘するように,

言語一般的なものだとは考えがたい.

以下で私は「状態変化は力によって運動から派生する ものだ」という考え(あるいはバイアス)に基づかない,

より認識内容に忠実な,状態中心の概念化のモデル化を ID追跡モデル(IDTM)という名称の下に試みる.最終

この論文は,第四回日本認知言語学会の口頭発表「概念化のID 追跡モデルの提唱:認知文法の図法の拡張」(2003/09/14)に基 づきながら,その後のモデルの開発の進展を反映するように改 訂したものである.なお,準備にあたって,黒宮公彦(大阪学 院大学)との討論が有益であった.この場を借りて感謝したい.

なお,残存する過誤はすべて筆者の責任である.

的な目標は,認知文法が流布させた玉突きモデルの対案 となるような動詞の項構造,文の意味構造の記述のため の枠組みを提案することである.IDTMは,解釈の一定 した言語非依存的な意味構造の視覚化のための手法を提 供する.

1.1.2 力を仮定しない相互作用のモデル化の必要性

IDTMは認知言語学の支配的見解と異なり,事態認知 に関して比較的客観主義的な観点,具体的には生態心理 学的な観点[6]を採用し,事態の認識=概念化が比喩的 な理解を介さず,外界の情報状態に対して(なるべく)知 覚に近い形で行われると考える.それによれば,概念化

=認識は“読み取り” (construal)である以前に,環境に中 に客観的に存在する“不変項” (invariants)を発見し,そ れらを組織化することである.

この考えを以下で事態進展モデル(stage evolution model)とその構成要素のID追跡(ID tracking)の概念 で緻密化する.

1.2 固有ID仮説とID軌道の概念

すでに述べたように,IDTMは作用連鎖という形でモ デル化されるエネルギー伝達メタファーを基盤としない 概念化のモデルである.そこでは状態変化が中心的な役 割を演じ,動作はそこで生じる相互作用の理由づけのた めに導入される媒介的なものだと理解される.

状態変化を枠組みの中心的に据えるため,次のように 仮定する:

(1) 固有IDによる状態集合のモノ化(仮説1): 認識 された状態の集合は,固有なIDをただ一つ付与 されることで一つの“モノ”となる

(2) 固有IDの下での状態集合の軌道化(仮説2): 同 一IDの下でモノ化された状態の集合が時間軸に 展開されると,それは抽象的な状態空間内での“ 軌道” (trajectory),あるいは“経路” (path)を形成 する

次のことは強調しておきたい: IDTMでは,仮説1に あるようなモノ化,仮説2にあるような経路化が“概念

(2)

メタファー” (conceptual metaphor) [12]によって媒介さ れるものだとは考えない.それはむしろ,生態心理学が 強調する意味での認識内容の不変項に相当するものだと 理解される.実際,ID軌道=ID経路の土台にあるのは,

知覚可能な運動の理想化ではなく,抽象的な状態空間の 概念である.以下ではまず,このことを確める.

1.2.1 IDの定義

[i],[j],[k]がIDであるのは,それらがIDの有限集合 R ={[i],[j],[k], . . .}の要素であるときに限る.RID 源(泉) (ID source)と呼ぶ.Rは未定義概念である.

1.2.2 事態の定義

状態の全体集合S ={s1,s2, . . .}を絶対時間T ={t1,t2, . . .}で分類すると,S ={M(t1),M(t2), . . .}となる.M(t) を事態(stage)と呼ぶ.

おのおのの事態がM(t)={X(t),Y(t),Z(t),. . .}の形で 表現できるのは,m(t)(∈M(t))のIDが(少なくとも,あ るRについて)固有であるときに限る.

1.2.3 M の認知科学的/認知言語学的特徴づけ M(t)はモノの状態の集合が一定のパターンで組織化 されたもので,フレーム構造[17]をもつ.当然,この組 織化のパターンが概念化に反映する.この意味でMは“ 理想認知モデル” (Idealized Cognitive Model: ICM) [11], あるいは“意味フレーム” (semantic frame) [5],あるい はその断片である“場面” (scenes)と見なすのは適切で あろう.

1.2.4 事態進展の図示

図1はM事態進展(stage evolution)を時間tに 沿って追跡したものである.M(t), M(t0), M(t00)は三つ の時点t,t0,t00でのMの状態を表わす.

M (t1 ) M (t2) M (t3 )

X [i]

Y [j]

Z [k]

on ID track 1

on ID track 2

on ID track 3

図1 時間発展するMt,t0,t00 での切断面 M(t),M(t0),M(t00)とX,Y,Zの軌跡との交点

X , Y , Zの状態遷移は三本のID軌道と見なせる.三本 の軌道とM(t)との交点(○で示した)がX , Y , Zの時点 tでの状態X(t), Y(t), Z(t)である.

図1ではM(t)のX , Y , Zの状態,すなわちX(t), Y(t), Z(t),並びにそれらのあいだの非対称的な相互作用を太 線で示し,それらにプロファイルがあたっていることを 明示した.

1.2.5 事態進展図は何を表わし,何を表わしていないか

以下のことには注意が必要である.図1のような 態進展図は,状態の変化と不変化を区別しない.同じ軌 道X に乗っているX , X0は,X=X0かも知れないし,

X6=X0かも知れない.それは図を見ただけではわから ない.その区別を捨象し,図示しないことが事態進展図 の有効性である.

もう一つの注意:事態進展図は,モノの位置変化と状 態変化を区別しない.変化と不変化の区別を捨象したの と同様,位置変化と状態変化の区別を捨象し(実際,位 置変化は状態変化の特別な場合でしかない),その区別 を図示しないことが事態進展図の有効性である.従っ て,X(t), Y(t), Z(t), . . .は,それらの“実空間での位置” を表わすものではない.事態進展図が表わしている位置 は,状態空間の中で異なるIDをもつことに対応する抽 象的な意味での位置,一種の“番地”である.

1.2.6 事態進展に関与する関係のクラス

図1にある関係ネットワークの全体は,M(t)の要素 と次のRr, Rs, Rdの三種類の部分ネットワークから構成 される:二つの時間切断のあいだの(i)再帰的(reflexive) な二項関係の部分ネットワークRr; (ii)静的(static)な二 項関係の部分ネットワークRs; (iii)動的(dynamic)な相 互作用の二項関係の部分ネットワークRd

例えば,M,M0間の事態進展を考えた場合,関係ネッ トワークは次のようなものから構成される:

(3) M: {X,Y,Z, . . .}

M0: {X0,Y0,Z0, . . .}

Rr: {X→X0, Y→Y0, Z→Z0, . . .}

Rs: {X→Y , Y→X , X→Z, Z→X , Y→Z, Z→Y , . . .}

Rd: {X→Y0, X→Z0, Y→X0, Y→Z0, Z→X0, Z→ Y0, . . .}

IDTMはM,M0,Rr,Rs,Rdの要素をプロファイル化を 媒介にして言語形式に対応づける.

1.2.7 多段階プロファイル

具体的には,概念化には(3)にあるような相互作用の ネットワークからの有意味な成分を選択するプロセスが 含まれ,それがプロファイル化(profiling)に相当すると 考える.ただし,IDTMでは単にプロファイルの有無を 問題にするだけでなく,それに強度{0, 1, 2, 3}を設定 し,効果的な表現を狙う.具体的には,(i)強度1以上 のプロファイルをもつものはベースに存在し(強度0の プロファイルをもつものはプロファイルがあたっていな いのと等しい),(ii)強度2以上のプロファイルをもつも のが語彙的に実現されると想定する .詳細に関しては

§2.2.2を参照せよ.

(3)

1.3 IDTMの関連理論との関係

すでに明言しておいたように,IDTMの中心的な目標 は認知文法[13, 14, 15]の図法を恣意性を減少させるよ う制約することであるが,そのほかの関連モデルとの関 係を簡単に述べておきたい.

1.3.1 Mental Space理論との関係

IDTMにIDの共有(ID sharing)という仕組みを導入 すると,複数モデルL, Mの並行性が自然に表現できる.

この場合,L,MはMental Space理論(MST) [2, 3]の

ペース(space)に相当し,この点でIDTMはMSTの拡

張という側面をもつ.MSTが得意とする複数モデルの あいだのID共有の記述に関連するIDTMのモデル化を 次の図2に簡略的に示す.

M (t1 ) M (t2) M (t3 )

L (t1 ) L (t2) L (t3 )

R (= M0)

X [i]

Y [i]

Z [k]

on ID track 1

on ID track 2

on ID track 3 A[i]

B[j]

C[k]

on ID track 4

on ID track 5

on ID track 6

f1 f2

f1 f2

f1 f2 [i]

[j]

[k]

図2 L,Mの並行的時間発展([i],[i],[k]ID共有あり)

R (= M0)はID源で[i],[j],[k]はRの要素である.F

={f1, f2, . . .}はID anchoringと呼ぶ操作である.f1,f2 によってAXBYCZは,おのおの[i],[j],[k]

のID共有を許され,L, Mという異なるモデル=スペー スのあいだで対応関係が実現される.この点は[9]で詳 しく論じる予定である.

1.3.2 IDTM写像への制約を表現する

IDTMはMSTほど多種類の“連結作用(素)” (connec- tors)を必要としない.例えば,ID connectorの機能は

ID anchoringによって媒介されるID共有によって実現

される.

これは連結の場合に限られることではなく,より一般 的に問題を述べると,MSTや比喩写像理論(Metaphor- ical Mapping Theory: MMT) [12]で想定されている(概 念)写像((conceptual) mapping)のほとんどが,IDTM では複数の関係ネットワークのID共有という記述に回 収されると期待しうる.もちろん,この見通しの実証は 今後の課題である.

2 認知文法の図から IDTM の図への橋渡し

2.1 英語の典型的他動詞の概念化

議論を(4)の事例の意味構造の視覚化のための条件を 考察することから始めよう.

(4) A. XBREAKY [他動,使役] (e.g., He broke the window.)

B1. XBREAKYWITHZ [他動,使役,具格] (e.g., He broke the window with a hammer.) B2. XUSEZTO BREAKY [他動,使用]

(e.g., He used a hammer to break the window.) C. ZBREAKY [具格主語,他動,使役].

(e.g., The hammer broke the glass.) D. Y BREAK[自動,?使役].

(e.g., The window broke.)

図3に示したのは,状態の時間的進展を非明示化した 簡略的な図法による(4)意味構造の視覚化である.

2.1.1 関係ベクトル

a, b, c, di(i = 1, 2, 3)のような要素を“(関係)成分” (components)あるいは“(関係)ベクトル” (vectors)と呼 ぶ.これらに和や差を定義すれば,生成意味論の頃の盛 んだった語彙分解(lexical decomposition) [16]と同じ ような仕方で語彙の意味成分を記述する力をもつ.例え ばa = b+cab, cのベクトル和へ分解可能である ことを意味する.この点に関連して,[10]は(i) XKILL

Y , (ii) X{BAKE,MAKE}Y , (ii) XWIPEY,W (Wは結果述 語)の興味深いIDTM流の語彙分析法を提案している.

2.1.2 事態進展の明示化/非明示化

図1, 2では事態進展が明示されていたが,事態進展を 捨象し要素の相互作用のみを静的に表わすことも可能で あり*1,認知文法の図法とIDTMの図法を比較するため には,この方がわかりやすいので,事態進展を捨象した 図3に基づいて,しばらく話を進める.図1, 2のような 図の記述力は,§3でもう一度検討する.

区別のため,図1, 2にあるモデルの事態進展を明示 した図を事態進展明示図(explicit stage evolution dia-

gram: ESED)と呼び,これに対し,図3にあるようなモ

デルの事態進展を明示しない図を事態進展非明示図(im- plicit stage evolution diagram: ISED)と呼ぶ.ISEDは

§2で明らかにするように認知文法の図とIDTMの図法 であるESEDの仲介役になる図法である.

図3において,(O)は語彙的実現の生じていない中 立なプロファイル状態(ただし強度1のプロファイルは 当たっているのですべての要素はベース内に存在する

*1これは(3)RdRsに縮退したことに等しい.

(4)

Y d2 Z

a b

c

NEUTRAL: NO PROFILING a: [+transive,–reflexive,s=1]

b: [+transitive,–reflexive,s=1]

c: [+transitive,–reflexive,s=1]

d1,2,3: [?transitive,+reflexive,s=1]

X d1

d3

Y d2 Z

a b

c X break Y (X,Y,a PROFILED) a: [+transive,–reflexive,s=3]

b: [+transitive,–reflexive,s=1]

c: [+transitive,–reflexive,s=1]

d1: [?transitive,+reflexive,s=2]

d2,3: [?transitive,+reflexive,s=1]

X d1

d3

Y d2 Z

a b

c Y break (itself) (Y,a,d2 PROFILED) a: [+transive,–reflexive,s=2]

b: [+transitive,–reflexive,s=1]

c: [+transitive,–reflexive,s=1]

d1: [?transitive,+reflexive,s=3]

d2,3: [?transitive,+reflexive,s=1]

X d1

d3 Y

d2 Z a

b

c

X use Z to break Y (X,Y,Z,a,b PROFILED) a: [+transive,–reflexive,s=2]

b: [+transitive,–reflexive,s=3]

c: [+transitive,–reflexive,s=2]

d1: [?transitive,+reflexive,s=2]

d2,3: [?transitive,+reflexive,s=1]

X d1

d3

Y d2 Z

a b

c Z break Y (Z,Y,c PROFILED) a: [+transive,–reflexive,s=2]

b: [+transitive,–reflexive,s=2]

c: [+transitive,–reflexive,s=3]

d1: [?transitive,+reflexive,s=2]

d2,3: [?transitive,+reflexive,s=1]

X d1

d3 Y

d2 Z a

b

c

X break Y with Z (X,Y,Z,a,b PROFILED) a: [+transive,–reflexive,s=3]

b: [+transitive,–reflexive,s=2]

c: [+transitive,–reflexive,s=1]

d1: [?transitive,+reflexive,s=2]

d2,3: [?transitive,+reflexive,s=1]

X d1

d3

(O) (A)

(D) (B2)

(C) (B1)

図3 事態進展を明示せずに表わした図: s = N はプロファイルの際立ち(salience)の強度がN であることを表わす

状態)を表わしている.(A)はX BREAKY [= (4)A]の,

(B1)はX BREAKYWITHZ [= (4)B1]の,(B2)はX USE

ZTO BREAKY [= (4)B2]の,(C)はZBREAKY [= (4)C]

の,(D)はY BREAK(ITSELF) [= (4)D]のプロファイル 化状態を,おのおの表わすものである.

2.2 IDTMの図法を効果的にするための規約

図3にある図が記述的価値をもつものであるために は,それらが一定の規約の体系,すなわち「図法」に従っ たものであることが必要である.規約が明示的な意図法 は恣意的であり,図法が恣意的であれば,図示によって 表わされる内容は恣意的である.

認知文法の場合,これは特にプロファイルの効果を制 約する問題として理解される必要がある.というのは,

いずれ§2.3.1で見るように,認知文法の図法ではプロ ファイルの有無(あるいはその強さ)が適正であるかを 判定する外的基準が明らかでないことが,図法の混乱の 元になっている.私がIDTMを開発した動機の一つは,

そのような混乱を収拾することである.

2.2.1 プロファイルの弁別性ための条件

次のことは特に注意が必要である: IDTMのモデル化 では,動詞がプロファイルし,その結果として語彙化す るのは関係成分であって,事象枠全体ではない§2.3で 見るように,これは,概念化のモデル化,並びにその視覚 化の問題に関してIDTMと認知文がおおきく異なる点 である.これは(B1)/(B2)の区別に現れたBREAK/USE の語彙的選択を図で表現するための前提である.

IDTMのモデル化は,このほかにも動詞と前置詞の並 行性を捉える点ですぐれている.優劣の判断は読者に委 ねるが,この点で興味深いのは,図3にある図法は,次 のようなプロファイルへの制約からの帰結であるという ことである.

(5) 動詞と前置詞のプロファイルの弁別性条件(図法 規約A): 動詞のプロファイルする部分と前置詞 がプロファイルする部分には(重なりがあっても よいが)異なりがなければならない

これは次にあるようなプロファイル化に対する一般的 な表現性への条件からの帰結である:

(7) プロファイル化の弁別性条件(図法規約A0): プ ロファイルが言語の形式的要素の意味を表わす ものならば,異なった要素m1,m2がある場合,

m1,m2のプロファイルには常に異なりがなけれ ばならない(m1,m2のプロファイルに重なりがあ るのは構わない)

(8) プロファイル化の簡潔性条件(図法規約B):

部分の意味(e.g.,形態素のプロファイル)と,それ らから構成される全体の意味(e.g.,句の,文のプ ロファイル)の構成関係が,可能な限り単純な手

段(e.g.,プロファイルの有無,ないしは強度)を

用いて区別されていなくてはならない

これらの条件が満足されない場合,プロファイルの使 用は効果的ではない.認知文法の図法には(7, 8)のよう な拘束性はなく,これが.認知文法特有の図法の曖昧性 の基になっている.

更に,これらとは独立に次の語彙条件が成立している とすると,

(8) a. 動詞の主語条件(語彙条件L1): 動詞V に は内在的な主語S(V )があり,それは常に実 現されなければならない

b. 前置詞の主語条件(語彙条件L2): 前置詞P には内在的な主語S(P)があり,それは常に 実現されなければならない

次のことが帰結する:

(9) 共有の必然性: X V Y P Zという形式では,S(P) は(排他的に) XYのいずれかである

例えば,(4)B1でb成分の語彙的実現であるwithの主

語句はheで,目的語句はa hammerである.

次の節では,(7, 8)の表現性の問題を回収するために IDTMが想定する図法規定の幾つかを概観する.

(5)

2.2.2 IDTMの図の解釈条件

図3にある図を解釈の可能性の幅を決定する条件を以 下に規定する:

(10) プロファイルの段階性の表現(図法規約1):

プロファイルには程度の差があり,その程度は“ 際立ち” (salience s)の大きさによって表わせると 仮定する(設定するsの段階は{0, 1, 2, 3}の四 段階)

(11) ベース内存在の条件(図法規約2):

要素xの際立ちs(x)が1以上の場合,xはベース に存在する.s(x)が1に満たない(つまりs(x) = 0の場合),xはベースに存在しない.

(12) プロファイルの語彙的実現 (lexical realization) (図法規約3):

要素xの際立ちs(x)が2以上の場合,xは語彙的 に実現される

(13) 語彙的実現の際の選択性(図法規約4):

競合関係にある成分は際立ちの最大のものだけが 語彙的に実現される.例えば{X(t),X(t0), . . .}は 語彙的実現に関して競合関係にあり,そのうち一 つだけが一つの形態素によって実現される*2. (14) 語彙的実現の際のプロファイルの共有可能性(図

法規約5):

異なる成分(e.g., a, d2)が同一の語彙(e.g., break) によって実現されること(プロファイルの共有) には問題がない

2.2.3 視点の投影と語彙選択の条件

IDTMでは強度2以上のプロファイル化は常に語彙 的実現を伴うと仮定している.しかし,それ以外の要因 も語彙的実現に関係しているのは明らかである.例え ば,(B1)と(B2)の区別は最大強度の成分がa =BREAK, b =USEのどちらかであるかによって決まる.これは 視点の投影のちがいがプロファイル化の程度の違いと なり,その結果がWITH/USEという異なる語彙が選択 である.売買フレーム[4]の視点の交替(X buy Y for Z // X pay Z for Y )と同様のことが,P1: X break Y with Z // P2: X use Z to break Y の視点の交替で起こってい る.P1: hsecondary:with(X,Z), primary: break(X,Y)i//

P2:hprimary: use(X,Z), secondary: break(X,Y)iは明ら かである.この区別が記述できることは,§2.2.2の(10) で明示したプロファイルの段階性の表現が効果的である ことの証拠である.

以上の注意の下で,次の節では,ISEDを認知文法の

*2この論文ではどんなプロファイル同士が競合関係にあるかを詳 しく論じる余裕はなかった.

図法と比較し,問題点を明らかにする.

2.3 認知文法の図法の検討

認知文法[13, 14, 15]では(4)のようにX V Y(P Z)(た だしX,Y,ZはNP,V は動詞,Pは具格マーカーの前置 詞)のような統語パターンがある場合,X,Y,Zのあいだ に図4に示すような作用連鎖が成立しているとする(い ずれの図でも f1,f2はおのおのTRからLM1へ,LM1 からLM2へ働く「(効)力」だとする)*3

V

V´´

V

V´´

V

V´´

V

V´´

LM2 LM2 LM1 f1 f2 TR

LM1 LM2

f1 f2 TR

LM2 f1 f2

TR

f1 f2

TR LM1

(A) TR break LM2 (B) TR break LM2 with LM1 = TR use LM1 to break LM2

(C) LM1 break LM2 (D) LM2 break

LM1

図4 (4)の構文パターンの作用連鎖による表現*5

図4の(A):単純他動詞構文, (B):中継物を伴う他動詞 構文, (C):具格主語構文, (D):単純自動詞構文 は,図3 の(A), (B1, B2), (C), (D)におのおの対応する.

2.3.1 認知文法の図法の問題点

図4を図3と比較すると,認知文法の図法は少なくと も以下のような問題点をもつことが判明する.

(15) 図法の表現力の不足: 二つの図法にはb=f1, c=f2のような対応があるけれど,図3のa, d2, d3の成分に対応する要素は,図4にあるような認 知文法の図では表現されず,それは概念化に対す る何らかの一般的制約を体現したものでもない.

認知文法ではプロファイル効果に段階性が仮定されて いないので,B1, B2のような語彙化の区別を自然に表 現できない.

(16) プロファイル効果の濫用: (7)のプロファイルの 弁別性条件(A0)が認知文法の図法では満足され ていない.つまり,語彙化の問題とプロファイル 化の問題が切り離されている.

これ故,認知文法の図法でのプロファイルの利用は,

意味構造の特定という目的のために効果がない.実際,

認知文法の図では,どれをとっても,どの語彙的要素が どの意味要素(プロファイル)に対応しているのかとい

*3V00LM2内部の破線の矢印は力なのか移動なのか,一義的に は解釈しかねる.

(6)

形式と意味の対応関係の問題に関して少なからず恣意 性がある.例えば,次のような問題が生じるのは不可避 である:

(17) 前置/後置詞のような要素の語彙的意味の表示の 問題,特に文全体の意味への貢献の問題が真剣に 考慮されていない.

実際,前置/後置詞が事象構造のどの部分をプロファ イルしているかという問題は,ほとんどの場合,不問に されている.

認知文法では動詞のプロファイルは事態構造全体であ るため,部分の意味と全体の意味との構成関係が単純 に見積もられすぎている感があるのは,否めない.これ は認知文法が,その論敵であるはずの(語彙)概念意味 論[7]などと同じ「動詞中心主義」に罹っているという ことであり,些か皮肉である.

2.3.2 作用連鎖モデルの問題点

以上の注意の下に,更に認知文法の図法の下地となっ ている作用連鎖の考え方自体に内在する難点を,次のよ うな形で指摘することも容易である.

(18) 概念化の複雑性のすべてを「力学(エネルギーの 伝達)のメタファー」に還元しようとして,失敗 している.

実際,主体X が道具Zを使用してY に働きかける 場合,Zの存在は随意なのであるが,働きかけとX⇒ Z⇒Y (X = TR, Z = LM1, Y = LM2)のように架空の因 果性を,まるで必然的なものであるかのように概念化に 押しつけている.これは誤ったメタファーによって正し い表示が阻害されている例であり,実際,これが図3の a成分が認知文法の図法で表現されない理由であると同

時に,(4)B1, B2が図で区別できない理由でもある.

このような誤ったモデル化の原因となっているのは,

状態モデル(e.g., L,M)の事態進展=位置変化[(3)のRr クラスの関係]を,個物(e.g.,{X,Y,Z, . . .})の相互作 用[(3)のRdクラスの関係]から区別していないためで ある.

3 進展明示図法が提供する具体的分析

まず§3.1で“break”の項構造に係わる概念化を,その

自他形の対応と共に表現する.§3.2で“into”が“break”

の自他形と共起する場合の概念化を表現する.最後に

§3.3で“壊す”と“壊れる”の概念化を表現する.

3.1 BREAKの項構造のESED表示

図3の(B1, B2)のESEDは,図5 (B1, B2),図3の (A)のESEDは,図5 (A),図3の(C)のESEDは,図 5 (C)で,図3の(D)のESEDは,図5 (D)である.プ

ロファイルの強度が1以下の成分には見やすさのために ぼかしを入れた.

M (t ) M ( )

M (t ) M ( )

M (t ) M ( )

M (t ) M ( )

M (t ) M ( )

M (t ) M ( )

Z(t) Z(t´)

u q r

q´

r´

d2 d3 d1

w

p´

p

Y(t) Y(t´)

X(t´)

Z(t) Z(t´)

u q r

q´

r´

d2 d3 v

d1

w

p´

p

Y(t) Y(t´)

X(t) X(t´)

Z(t) Z(t´)

q u

r

q´

r´

d2 d3 d1

w

p´

p

Y(t) Y(t´)

X(t´) v

v X(t)

X(t)

Z(t) Z(t´)

s q r

q´

r´

d2 d3 d1

w

p´

p

Y(t) Y(t´)

X(t´) v

X(t)

Z(t) Z(t´)

q u

r

q´

r´

d2 d3 d1

w

p´

p

Y(t) Y(t´)

X(t´) v

X(t)

Z(t) Z(t´)

q u

r

q´

r´

d2 d3 d1

w

p´

p

Y(t) Y(t´)

X(t´) v

X(t)

(O) (A)

(B1) (B2)

(C) (D)

図5 相互作用の明示的事態進展図

3.1.1 関係成分の特徴

次に図5の主要な関係成分の意味特徴を挙げる.

(19) a. d1,d2,d3: [causative, ?transitive, +reflex- ive]

b. u,v,w: [+causative,+transitive,reflexive]

c. p: [+accusative,+transitive,reflexive]

d. q: [+intrumental,+transitive,reflexive]

e. r: [+accusative,+transitive,reflexive]

これらの特徴は内在的なものと言うより,「読みとら れる」ものである.この点で主観化の働きが関与する余 地は,IDTMの場合でも十分にある.ただし,Rr,Rs,Rd の要素は認識の不変項であり,その存在に関して主観的 な「読みとり」が影響する余地はない.

3.1.2 プロファイルの語彙的実現

(B1) X BREAKYWITHZの場合: X , Y , Zはおのおの X(t), Y(t), Z(t)を,BREAK{v,p,d2}を,WITH{q}(あるいは{q0})を,おのおの語彙的に実現 する.

(B2) X USEZTO BREAKY の場合,X , Y , Zはおのお のX(t), Y(t), Z(t)を,USE{u,q,d3}を,TO BREAK{v,p,d2}を,おのおの語彙的に実現 する.

(C) ZBREAKY の場合,Y , ZはおのおのY(t), Z(t)

(7)

を,BREAK{w,r,d2}を語彙的に実現する.

(D) YBREAK(ITSELF)の場合,YY(t)を,ITSELFY(t0)を,BREAK{d2}を語彙的に実現する.

3.1.3 形態素とプロファイルの対応は一対一ではない

「プロファイル成分一つについて形態素一つ」という 一対一の対応はない.概して言うと,形態素が実現して いるプロファイルは分散され,同一のプロファイルが異 なる形態素に共有されているのが普通であるようだ.

3.2 状態変化指定述語intoESED表示

(20)はBREAKの自他動詞形と状態変化(の軌跡)を指 定する述語INTOW との共起関係を表わしたものであ る.Wは常に状態名詞(位置名詞を含む)である*6

(20) a. XBREAKY (INTOW )

(e.g., He broke the window (into pieces).) b. YBREAK(INTOW )

(e.g., The window broke (into pieces).) c. ZBREAKY (INTOW )

(e.g., The hammer broke the glass.)

図6は(20a)の意味構造を示したものである.

M (t ) M ( )

Z(t) Z(t´)

u q

r

q´

r´

d2 d3 d1

w

p´

p

Y(t) Y(t´)

X(t´) v

X(t)

W(t) W(t´)

t s t´

d4

図6 X V Y PW (V :BREAK; P:INTO)

この場合,次のような語彙的実現がある.

(20a) X BREAKY INTOW の場合,X , Y , W は,おの おのX(t), Y(t), W(t0)を,BREAK{v,p,d2}を,

INTO{r,s}を,おのおの語彙的に実現する.

次に,これを日本語の“壊す”,“壊れる”と比較して みよう.

3.3 IDTMの記述の言語中立性

3.3.1 「壊す」と「壊れる」

IDTMは日本語の格助詞の役割も自然に表現する.こ れを示すために,(21)にある“壊す”と“壊れる”の自他

*6本論文では明示しなかったが,WYの属性に結びつけられた Y˜という概念クラスに属する.詳細は[8]を参照されたい.

形式の交替を,(4)にある“break”の例との対比で考察 する.

(21) B1. XZYを(Wに)壊す B2. XZを使ってYを(Wに)壊す

C. ??ZYを(Wに)壊す D. YZで(Wに)壊れる

(21)DでZは具格より原因格のほうが解釈しやすいの

と,(21)Cが不自然だという点で,明らかに“壊す”と

“break”との間に完全な並行性は見いだせないとはいえ,

IDTMは両者の共通性をうまく記述する.

(21)の“壊す/壊れる”の自他交替,具格標識,結果標 識は,IDTMでは図7のようなESEDによって特徴づ けられる.ただし,図7(B2, D)のプロファイル状態は

(21)B2, Dに対応するものである.

M (t ) M ( ) M (t ) M ( )

u

w q

r

q´

r´

d2 d3 d1

p´

p

Y(t) Y(t´)

v X(t)

W(t) W(t´)

t s t´

d4

Z(t´) X(t´)

Z(t)

u

w q

r

q´

r´

d2 d3 d1

p´

p

Y(t) Y(t´)

v X(t)

W(t) W(t´)

t s t´

d4

Z(t´) X(t´)

Z(t)

(B2) (D)

o

^X(t) ^X(t´)

o´

図7 “XYZを使ってWV Y ZWV ESED

X(t),ˆ X(tˆ 0)のような要素の特徴づけは紙面の都合上,

割愛する.詳細は[8]を参照されたい.

3.3.2 プロファイルの語彙的実現

詳細にはまだまだ議論の余地があるけれど,図7(B2) では次のような語彙的実現があると考えられる: (B2) “XY1Z2使ってW に壊す”の場合,X ,

Y , Z, W は,おのおのX(t), Y(t), Z(t), W(t0)を,

“壊す”は{v,d2}を,“-が”は{o}を,“-を1”は {p}を,“-を2”は{q}を,“使う”は{u}を,“-て” は{q0}を,“-に”は{s}(あるいは{s,t0},あるい は{t0})を,おのおの語彙的に実現する.

(B1) “XY1ZW に壊す”の場合,“-で”は{q}

を実現する.

(D) “YZWに壊れる”の場合,Y , Z, Wはおの おのY(t), Z(t), W(t0)を,“壊れる”は{d2}を,“- が”は{p}を,“-で”は{r}(あるいは{r,w})を,“- に”は{s}(あるいは{s,t0})をおのおの実現する.

(8)

3.3.3 IDTMの意味構造記述の言語中立性

図5, 6と図7の比較から明らかであるように,英語 と日本語の違いは(i)プロファイルのあて方へのバイア スの違い(英語にはX,o,ˆ o0のような要素は不要),(ii)プ ロファイルがどう語彙化されるかの違い(日本語は静的 な関係成分 p,q,r, . . . を格助詞によって分離的に実現) の,二種類の違いに帰着しうる.

認知文法の図法を日本語の項構造の分析にあてはめた 研究はほとんどない.これは認知文法の人気を考えると 不思議なことであるが,認知文法の枠組みで助詞のプロ ファイルを考える際の困難を考えると,その理由も理解 できないわけではない.

4 結論

認知文法の図法とIDTMが認可するESED, ISEDの 二種類の図法のこれまでの対比から明らかなことは,

作用連鎖の考えに基づく認知文法の図法の記述力 は,事態進展非明示図法(ISED: e.g.,図3)の記 述力に劣る.理由: ISEDは玉突きモデルが表現 する情報をすべて表現するが,その逆は真ではな い.例えば,図3のa成分が玉突きモデルでは表 現されていない.

ISED (e.g., 図3) の記述力は,事態進展明示図

法(ESED: e.g.,図1, 2)の記述力に劣る.理由: ESEDはISEDが表現する情報をすべて表現する が,その逆は真ではない.例えば図3のRdの成 分が事態進展なしの図法では表現されていない.

結論: ESEDは認知文法に対し,(i)あらゆる情報

を,(ii)より正確に表現するという意味で,上位 互換的である.

動詞の項構造のような抽象的な構造の記述に関する限 り,IDTMは認知文法の図法で表現しうるものは(i)す べて(ii)より詳細に(iii)より言語中立的に表現すること が示された.この卓越性故に,IDTMは認知文法の図法 を制約し,言語の意味構造の視覚化において真に有意義 な一般化を手助けするものである.

参考文献

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[18] 定延 利幸. (2000).『認知言語論』.東京:大修館.

参照

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以上,テルペン合成酵素の細胞活性がボトルネックの 一つであることは明快である.しかし,どのテルペン合 成酵素を選べば細胞生産効率が高いかは,試してみない とわからない.さらには,酵素のどの特質が足をひっ ぱっているかも,ケースバイケースのようである.この ような状況においては,実質的に,進化工学が唯一の希 望となる.つまり,野生型と似て異なる多くの酵素変異