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裏磐梯地域の地表徘徊性甲虫相

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磐梯朝日遷移プロジェクト

裏磐梯地域の地表俳徊性甲虫相

緒勝祐太郎・塘 忠顕(福島大学・共生システム理工学類)

      要 旨

 磐梯山噴火や植生遷移の進行という自然的撹乱に加えて,植樹による人為的提乱も受けている福島 県裏磐梯地域において,植生が異なる4ヶ所で地表俳徊性甲虫相調査を実施した.その結果,9科39 属63種1572個体の地表俳徊性甲虫類が採集された.地表俳徊性甲虫相は植生ごとに異なり,噴火の 影響を受けた場所であるアカマツ優占林における種数と個体数が最も多くなった.これは林床植物の 豊富さが原因の一っであるものと思われた.

1.はじめに

 地表俳徊性甲虫類とは,オサムシ科を中心とする 地表を主な生活場所としている甲虫類の総称である.

オサムシ科の甲虫類の多くは飛翔するための後翅が 退化しており,移動分散能力が低く,種ごとに環境 選好性が異なることから,森林,草地,河原など,

環境が異なれば種組成も異なることが知られている

(石谷,1996).地表俳徊性甲虫類には後翅が退化し ておらず,飛翔することができるシデムシ科,ハネ カクシ科およびコガネムシ科の一部なども含まれる が,シデムシ科やコガネムシ科の一部を除けば,こ れらの多くも移動分散能力は高くない.

 近年,地表俳徊性甲虫類の中のオサムシ科とクビ ボソゴミムシ科は環境指標生物として有用であるこ

とが明らかとなり(矢野ら,1993;石谷,1996),様々

な環境における自然や人為の影響評価を目的として,

これらの種組成や季節消長等に関する研究が実施さ

れている(香川ら,2008;上田ら,2009;鈴木・桜谷,

2010;岡田・須田,2012),石谷(1996)は,オサム

シ科とクビボソゴミムシ科(いわゆるゴミムシ類)

は,その分布が撹乱の影響を反映する環境指標昆虫 であることを指摘している.また,ゴミムシ類を,

撹乱を回避して特定環境に生息する「擾乱回避型」

と,撹乱後の環境に速やかに侵入して分布を拡大す る「撹乱後侵入型」に区分している(石谷,1996).

このことは,地表の環境変化がゴミムシ類を主とし

た地表排徊性甲虫類の多様性や種組成,そして個体 数に大きな影響を及ぼしていることを示唆している.

 ところが,日本国内における地表俳徊性甲虫類に 関するこれまでの研究は,林相が異なる森林層ll用 形態が異なる農地などの様々な環境で調査を行い,

各林相や植生における地表俳徊性甲虫類の種組成や

季節消長を明らかにするものが主流であり(Yahiro・et

aL,1992;Ishitani and Yano,1994;佐野,1995;Ishitani et

al.,1997;久保田,1998;平松,2㎜,2002,2003,

2004,2008),提乱などによる環境変化が引き起こす 地表排徊性甲虫類の種組成の変化に関する研究は,

限られた地域や環境では実施されているものの,少

ない(谷脇ら,2004;Shibuya et aL,2008;JimbO et aL,

2013).また,植生遷移の進行が地表俳徊性甲虫類に 与える影響についてはほとんど明らかにされていな い.しかしながら,地表俳徊性甲虫類のような環境 の変化に敏感で,その種組成がその場所の地表環境 を反映しているとされる生物については,撹乱され た環境や植生遷移が進行する環境における種ごとの 生息状況や分布などの基礎データを継続的に蓄積す ること,群集構造を解明すること,そして多様性を 評価することが,景観と生物多様性の関係や環境保 全を考える上で重要である.

 福島県における地表緋徊性甲虫類の研究は,尾瀬 国立公園の発足に伴って実施された編入地域の山岳 域での調査など,生物多様性や自然環境保全のため

(2)

の基礎調査はあるものの(福島県生活環境部自然保

護iグループ,2005,2006,2008;草野,2006,2008,

2009;斎藤ら,2011;斎藤ら,2012),多くが県内各 地での採集報告であり(例えば久保田,1988;草野,

2011;田村,2013など),分布と植生との関係や,擾 乱と植生の遷移段階が地表俳徊性甲虫類の種組成に 与える影響を調べた研究は実施されていない.

 そこで著者らは,福島県のオサムシ科を主とした 地表俳徊性甲虫類の分布や生自状況といった基礎的 な知見を蓄積するとともに,植生や環境変化と種組 成との関係を明らかにすることを目的として,現在 も植生遷移が進行中であり,自然と人為による撹乱 がみられる裏磐梯地域において地表俳徊性甲虫相調 査を実施した.

H.調査地及び調査方法 1.調査地概要

 調査地である福島県裏磐梯地域は,福島県北部の 磐梯山,安達太良山および吾妻山に囲まれた標高約 800mに位置する高原状の地域である.裏磐梯地域に は,桧原湖,小野川湖,秋元湖,そして五色沼湖沼 群をはじめとする大小300を超すと言われる湖沼・

池沼が点在する(国土地理院,2003;富田(編),1994).

これらは1888年に起きた磐梯山の水蒸気爆発によ る山体崩壊によって発生した岩屑なだれが長瀬川上 流の一部を塞き止めたり,岩屑流が流れ山をつくり,

その間の窪地に水が溜まったりして形成されたもの である.この磐梯山噴火によって桧原湖の南側及び 桧原湖周囲の南半分は裸地になったが,その後の植 生遷移の進行と人為によるアカマツなどの植樹によ って現在見られる植生となった(阿部,2009).なお,

桧原湖の北側及び桧原湖周囲の北半分は噴火の影響 を受けていないため,この地域あ本来の植生である ブナ林やミズナラ林が見られるが,これらの森林内 及び隣接地には植林によるスギ林やカラマツ林が見

られる.

 そこで本調査では,桧原湖の東側に位置し,磐梯 山噴火の影響を受け,植生遷移進行途中の場所(流

れ山上にはアカマツが優占するが,それ以外の場所 はブナ科を除く落葉広葉樹からなる林,以下,アカ マツ優占林)と,この地域本来の植生が残っている 場所(ミズナラ林,ブナ林),さらにブナ林内の植林 地(カラマツ林)の計4ヶ所を調査地とし,各調査 地ごとに調査地点を2っずっ設定した(図D。

 アカマツ優占林(標高840m)の調査地点,アカ マツ1,アカマツ2は雑木林であるが,流れ山上に はアカマツが優占し,その他にはホオノキ,カエデ

Ni.j タ     l

       h      t

撤鶉紳

ブ琳力嶺林》F

5

: 滋・

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嵐鯖饗嘉

鱗 鑛

     ノ

へけ

 コ

∬\霧b瓶

 図1.裏磐梯地域における調査地

国土地理院発行1!25,000地形図「桧原湖」「磐 梯山」を使用した.

(3)

裏磐梯地域の地表緋徊性甲虫相

類,ヤマウルシ,クロモジなどの落葉広葉樹が見ら れる.ミズナラ林(標高900m)の調査地点,ミズ       ,ナラ1,ミズナラ2はミズナラが優占し,その他に

はカエデ類,イヌツゲ,アズキナシ,ヤマウルシ,

クロモジなどが見られる.カラマツ林(標高850m)

の調査地点,カラマツ1,カラマツ2はカラマツが 優占し,その他にはカエデ類,クロモジ,ウワミズ ザクラ,カヤ,ツルアジサイなどが見られる.ブナ 林(標高850m)の調査地点,ブナ1,ブナ2はブナ が優占し,その他にはオオカメノキ,イヌツゲ,ク

ロモジ,カヤなどが見られる.

 地表俳徊性甲虫相の調査は6月から10月までの各 月1回ずつ(6月は予備調査を含めると2回),2013 年6月9日〜11日(予備調査),6月22日〜25日,

7月17日〜19日,8月18日〜20日,9月19日〜21 日,10月22日〜24日,計6回実施した.

2.調査方法及び解析方法 1)採集調査方法

 地表俳徊性甲虫類の採集はピットフォールトラッ プ法(以下,Iyr法)にて実施した. PT法は取り扱 いが容易で調査者による個人差が小さく,調査に際

して調査地に与える擾乱的影響も比較的小さいこと から,地表俳徊性甲虫類の採集調査で一般的に用い

られる方法である.プラスチック製のコップ(口径 8cm,深さ10㎝)を各調査地点に10個ずつ,それ ぞれのコップの間隔がL5mから2mあくように設 置した.コップの中には誘引物質(ベイト)として カイコの虫雨の乾燥粉末であるサナギ粉を少量添加し,

側面下部には直径2mm程度の水抜き穴を数ヶ所開 けた.なお,第一回目の調査(2013年6月9日〜11

日)は,予備調査として実施したため,一部の地点 では設置したトラップ(コップ)の数を5個にした.

トラップを長期間設置し続けると,トラップに落ち た地表俳徊性甲虫類がタヌキ,クマ,ネズミなどの 哺乳類の餌になり,また,コップごと掘り返されて

しまうおそれもあったため,トラップは原則として 設置から二日後に回収した.採集されたサンプルは 地点ごとに回収し,乾燥標本にした後,同定と計数 を行った.

2)環境データの測定

 各調査地において,2013年IO月22日,10月24

日に植物相,照度,落葉落枝層の厚さの測定を行っ た.植物相調査と落葉落枝層の厚さの測定は各調査 地点のトラップ設置場所付近にて実施した.照度は 各調査地点のトラップ設置場所の地表からおよそ 20㎝のところで測定し,値は各調査地点間の相対照 度とした.

3)統計学的解析

 各調査地点のオサムシ相については,種組成の類 似度を算出した。また,調査地点間におけるオサム 湘の差異や変化を可視化するために,クラスター 分析を実施した.

 類似度はPiankaのα指数を用いた.αは下記の式 にて与えられる値であり,0から1の範囲の値をと る.0に近づくほど群集間の種組成は異なり,1に近 づくほど群集間の種組成は一致する.PAiおよびPBi はそれぞれ2つの調査地点AとBにおける種iの個 体数の割合である.

 さらに,上述したPiankaのα指数より算出した非 類似度(1一類似度)に基づいて,統計解析のフリー

ソフトウェアであるRを使用してWard法によるク ラスター分析を実施した。コマンドは青木(2009)

を参照した.

   ΣPAi・PBi

α=

ΣPAi2・ΣPB〜

m.調査結果

1.地表俳徊性甲虫相の調査結果

(4)

表1.裏磐梯地域で記録された地表俳徊性甲虫類一覧

頷査地

科名 和名 学名 アカマツ費占鉢 ミズナラ鉢 カラマツ替 ブナ綜 総5体致

アカマツ1 アカマツ2 ミズナラ1 ミズナラ2 カラマツ1 カラマツ2 ブナ1 フナ2

才サムシ秘 1ホソアカガネ才サムシ (b7σみμrL.σ解置〔庸恥【15 7 2 9

2ツクバクロ才サムシ α昭b∬66厘 ゐ加側馳ゐ卯習∫hk盛[5h』岡 1 1 2 7

3ア材サムシ (h㎎ゐ幽ゴ肛M ロ如α悶doピ 10 5

4クロナガ才サムシ 〃μ岬励暫∫ρ咽ご卍 贋(馳匡 2 2

5トウホククロナガ才サムシ 鋤如ω励 5σ伽㎎騨脚uf,〔仙nd 4 3 6 6 7 5

6ホソヒメクロ才サムシ Pr脚c4Fぬr肋㎜昂4f山P 呂q 3 4 7

7コア才マイマイカブリ 加閥18ごゆ如o泌∫加6σr朗凹蟹15hb鴨 1 3 1 1 6

アカガネオオゴミムシ h80用o閲 A4 塑r配f躍∫M・【5chubky 6 7

9クリイロナガゴミムシ ハご70f耐町A・ πご∫(B匿置 霊[ 2 2

ヨリトモナガゴミムシ Pg朗・∬」厩o呵o摺r肱に5 1 2 3

ニセクロナガゴミムシ Pκm∫r励図∫μ剛郡Mom寵1 1 τ 2

マルガタナガゴミムシ 伽帆此 A∬摺加M螂〔M・15hu助1 2 1 3

コガシラナガゴミムシ 伽・凶虻舳婦c曜8歯・∫{h引・15chu晦1 2 2 1 1 2 8

二7コウヒメナガゴミムシ P伽∬・ゐ卯・塊f曜∫E雷τcs 1 1

べ一ンナガゴミムシ P肋・r勧…9.欄 臆∫1㎞己雪 14 3 2

ホソヒラタ:臓ムシ P胤o如4㎝㎝σ〔E幽61 1 1

セアカヒ ゴミムシ icA 触 面∫鳳SGMkr} 1 1

才オクロツヤヒラタゴミムシ 斗肌勧瞬∫ゴ副Mo【5 h山kyl 4 1 5

クロッヤヒラタゴミムシ 伽醒伽f眺敏閉1腫5} 18 6 o 2 4

20 コクロツヤヒラタゴミムシ 恥・ゐ醐鋼幽削ゐ・(肱51 8 6 1 3

ヒメツヤヒラタゴミムシ 加響諌暫・鰍・凶・(隙ε雪) 1 1

22 マルガ9ツヤヒラタゴ竃ムシ 竃剛伽5肌馴・ 3(M・e5cbu』kyl 23 4 1 28

テビシデムシ秘 23 タカ才才ニニセテビシデムシ 恥剛ρゐ9脚献ロσ蜘翼雪Na㎞ζ 9 54 4

24 ホソムネコテビシデムシ 漁知㎝3・ρ加ρ・躍庸賃k緬ndl 1 5 6

アカアシテビシデムシ αm脚耀9冨∬脚岬副童fP・r賦噛 1 1

ルイステピシデムシ 伽叩M・9・卿廓々・ 髭㎜ncl 4 4 1 9

27 ラゼシデムシ科口不明種 C割oヒbご【kn.5. 1 1

シデムシ科 28 ウスイロオサシデムシ β・・A幽㎎㎝π蟹剛恥薩vh 1 5 4

29 ヨツポシモンシデムシ πPゐσ朋甜4r甘隠f鯉鮒Kmロ 2 2

ハネカウシ科 30 セマルハパビロハネカクシ 旋8朔加,ω謄Fご川∫訪 1 1

アロウヨツメハネカクシ α叩肋用・剛f翫hcじ咽h 4 1 2

32 セスジハネカクシ .{⑳.肌・9刷唄Sb甲1 2 2

33 トビイロセスジハネカクシ ・伽・り. 躍田 肥r(Sh誕Pレ 1 39

34 ヒゲフトセスジハネカクシ .伽ウ 榔σ・∬κ・朋岨馳岬} 1 1

35 エゾアリガタハネカクシ P曜4f闇α昭屠肛Wo鱈己 2 3 5

フタイロコガシうハネカクシ P俺∫伽加・丘・ゐ翻∫s㎞P 2 1 1 2 6

37 コゲチャホソ:】ガシ ハネカクシ 山きr畑躍珈朋耐(翫mhコuσ1 1 1

38 サビイロモンキハネカクシ α》P34【,「皿1jr鮎岬

2 1 4

39 才オアカバハネカクシ 」幽凹rロr伽朗∫(馳 } 1 1

フタスジイクビハネカクシ 翫ゐπo,。闇虻6鋸(Sh l 1 1 2

アカラヤキノコハネカクシ ∂・肋齢犀邸耐o卿抱r〔 [ 1 1

42 クロツヤクサアリハネカクシ Po崩r∫(  } 140 39

田0

脇 ネアカクサアリハネ シ P 衡飼 曜jco Sha刷 3 2 5

44 コクロツヤケサア1ル、ネカクシ P 伽臨め(S腕岬} 3 3

45 キイロフタミゾチビハネカクシ αM碑 σ伽ワ∫【F3uv凶 3 1

ズグロ7カテビハネカクシ 書 Aご財b. 撹 匝mh甜α 1 1

47 クサアリセミゾハネカクシ ん149吻7 α慨岬, 4 4

48 ナカアカヒゲフトハネカクシ 」㎞ぬ4鷹湘奴(b己z) 23 1 2 1

49 ウスア旋ゲフトハネカクシ .イ㎞毎ロ四冨帥fng 4 K蝕 1 1

50 ヒゲナガピ ア匹ヤドリ 伍P欄σ面犀醜岬如S㎞rp 4 4

ヒラタアリヤドリ 酌㎜∫・脚 ・犀8σr4 s細油 1

ハネカクシ嵩属不明種(11 Sにbb山(面.5P」 7 3 86 466

53 ハネカクシ昌口不明種(21 S byb此G㎝.5P、ユ 1 2 3

54 ヒメハネカクシロの一種 Aασ露. 4 4

55 ヒゲブトハ串カウシ亜 属不明種 Aヒ㏄㎞i(≧n.雪ρ 1 1

コガネムシ科 56 センラコガネ G剛「曜面酬伽庸M。㌫chu晦 1 3 1 6

マメダルマコガネ P⑳d冒璽ρロm初 営r w己巳¢r偽o鵬⇔ 17 2 2 2 6

ケシキλイ斜 モンクロアカマルケシキスイ 八セoρo屠げ5ゐご面儂醸1ごr} 1 1 2

59 ヨツポシアカマルケシキスイ 屠f冨吻c醒凹胴K曲ε611血a旭r5u 1 1

キスイムシ科 ●0ササマルキスイ ∫ごπ μρ脚吻廻「珊ぬ∫池㎞cd置佃御邸 1 1

ゴミムシダマシ科 ヒサゴゴミムシダマシ ∫・面 rイ・暫鼎9㌍伽r㎞ 1

キマワリ P々釘o戸崩4剛川r曜α躍ご町Mo15Gh山 1

ゾウムシ科 ホソヒメカタゾ ムシ イワゐロ 鳳碗即肱郡S㎞ρ 3 7      1

通蝕 10 23

個体鼓 290 246 172 240 100 167 238

1572

裏磐梯地域における地表俳徊性甲虫相調査の結果,

9科39属63種1572個体の甲虫類が採集された(表

個体,調査地カラマツ林では合計7科18属29種340 個体が採集された(表1).調査地点、ブナ1からは7 1).調査地点アカマツ1からは3科16属23種280 科19属22種167個体,調査地点ブナ2からは7科 個体,調査地点アカマツ2からは6科13属20種246

個体,調査地アカマツ優占林では合計6科21属31

18属23種288個体,調査地ブナ林では合計8科26 属31種455個体が採集された(表1).

種526個体が採集された(表1).調査地点ミズナラ

1からは5科12属17種172個体,調査地点ミズナ 2.環境データの測定結果

ラ2からは6科14属17種79個体,調査地ミズナラ 2013年10月22日,24日に実施した各調査地にお 林では合計7科19属28種251個体が採集された(表

1).調査地点カラマツ1からは7科16属26種240

ける植物相,相対照度,落葉落枝層の厚さに関する 調査結果と測定結果を表2に示した.

個体,調査地点カラマツ2からは4科7属10種100

(5)

裏磐梯地域の地表緋徊性甲虫相

表2−1.裏磐梯地域の各調査地の調査地点における照度

平均値±標準偏差

アカマツ優占林 ミズナラ林 カラマツ林 ブナ林

アカマツ1 アカマツ2 ミズナラ1 ミズナラ2 カラマツ1 カラマツ2 ブナ1 ブナ2

相対照度 54.5±25.1 70.3±10,1 20.1±14.1 19.2±11.7 24.7±11,5 19.3±17.8 234±26.4 17.4±19.1

3.統計学的解析結果

 各調査地における調査地点で記録されたオサムシ 科について類似度(Piankaのα指数)を算出した.

また,Eankaのα指数より算出した非類似度(=1一 α)を用いて実施したwad法によるクラスター分析 の結果を図2に示した.

IV.考察

1.裏磐梯地域の地表俳徊性甲虫相の特徴  本調査によって裏磐梯地域からは9科39属63種 の地表俳徊生甲虫類が記録された(表1).裏磐梯地 域における地表俳徊性甲虫類は,これまでにIO数種 が記録されており(阿部,2009),本調査ではこの中 の5種が採集された.したがって,今回の調査によ って裏磐梯地域における分布が確認された地表排徊 性甲虫類として,新たに58種が追加された.今回の 調査で記録されなかった裏磐梯地域の既知種は,山 地に生息する腐肉食のシデムシ科の種がほとんどで あり,本調査で使用した誘引物質(サナギ粉)には 誘引されなかったため,記録できなかったもの考え

られる.これらの種も,PTに添加する誘引物質を腐 肉にすれば採集されるものと思われる.

 今回の調査によって裏磐梯地域から記録された地 表俳徊性甲虫類の科ごとの個体数の割合は,ハネカ

クシ科が最も多く,65%を占め,オサムシ科が次に 多く,19%であった.科の構成には各調査地問で大 きな違いは認められず(図3),各科の種数にも差は 認められなかった(表3).異なる植生や林相で地表 俳徊性甲虫相調査を実施した先行研究のいくっかで も,本研究と同様に植生や林相が異なっても科の組 成には大きな違いは生じないことが示されている

(保田ら,1991;保田・佐藤,1992).したがって,

表2−2.裏磐梯地域の各調査地における植

物相と落葉落枝層の厚さ

の  om)

カマし噛 電・ パ  ピ

カエ7 スミレ

アカマツ優占林

ロモジ 奪 ご   マ

2.0〜30

エム 髄 セ1

ミズ ー ササ

カエ ミズナラ林 ヌツゲ

アズキナシ 2,0〜3,5

ヤマウルシ ロモジ 力一 い

カエ スバ  シン

ロモ朝

カラマツ林

ミズ  ー 2.O〜3,5

カヤ ツルアジサ

ササ

才オカメノ ξ

ブナ林 イヌツゲ 3.0〜5.0

ロモ呂

F O,

O

O,

O 

マ.

O

oi

O 

O.

O

  ド      リ      ヨロ     れ      に      Pt     e      N

昌llllll

       一

   ブナ林

      L三__三」L__コ

      カラマツ林  ミズナラ林 アカマツ優占鉢

図2.裏磐梯地域の各調査地点における オサムシ相の非類似度(1一α)に基づく

    クラスターデンドログラム

地表俳徊性甲虫類の科の組成が植生や林相によって 大きく異ならないのは普遍的な傾向と言えるのかも

しれない.

(6)

表3.裏磐梯地域の各調査地において採集された地表俳徊性甲虫類の科ごとの種数

オサムシ科 チビシデムシ科 シデムシ科 ハネカクシ科 コガネムシ科

その他

アカマツ 占林 13 1 1 13 2 1

ミズナラ 10 3 0 10 2 3

カラマツ林 11 2 1 11 2 2

ブナ 8 4 2 12 2 3

その他はケシキスイ科,キスイムシ科,ゴミムシダマシ科,ゾウムシ科の合計である.

0% 20%    40% 60%    80% 100%

アカマツ優占林

ミズナラ林

カラマツ林

ブナ林

■オサムシ科

■チビシデムシ科 隔シデムシ科

■ハネカクシ科

■コガネムシ科

■その他

裏磐梯地域全体

図3。裏磐梯地域の各調査地において採集された地表俳徊性甲虫類の科ごとの個体数の割合

 今回の調査で裏磐梯地域から記録されたオサム シ科は,6属22種であったが(表1),これらの多く は森林性種であった(cf石谷,1996).ところが,

全ての調査地で生息が確認された共通種はトウホク

クロナガオサムシLeptocarabtLS arboneus patexilis

(Nakane)とクロツヤヒラタゴミムシSynuchus

のyclbdenLs(Bates)のわずか2種だけであった(表

1).トウホククロナガオサムシは,東北地方の森林 帯ではオサムシ類(オサムシ亜科)における最優占 種となっていることが多く,森林であれば植生を選 ばず,カラマツ林のような人工的かつ生物多様性の 低い単調な環境にも生息していることが知られてい る(井村・水谷,2013).裏磐梯地域の人工林(カラ マツ林)や植生遷移の進行途中にある森林(アカマ ツ優占林)に分布するトウホククロナガオサムシは,

おそらく裏磐梯地域本来の植生であるブナ林やミズ ナラ林など,磐梯山噴火の影響を受けていない森林 に生息していたもの由来で,この約120年の間にそ のような森林から分布を拡大させてきたものである

と考えられる.一方,クロツヤヒラタゴミムシも森 林的環境に広く生息する森林性ジェネラリスト種で あり,撹乱後やや時間の経過した比較的安定した環 境の指標種であることが知られている(石谷,1996).

石川県の白山麓における異なる植生で地表性ゴミム シ類調査を行った平松(2003,2004)も,クロツヤ

ヒラタゴミムシが森林的環境を含むすべての調査地 から採集されたことを報告している.このようにこ れら2種は森林的環境に広く生息しているため,本 調査においてもすべての植生から記録されたものと 考えられる.

 アカマツ優占林のみで確認された種は,アオオサ ムシα1π伽副∫α1ぬChaudoh,クロナガオサムシ

Leptocat abiLS Pivceiulus Chaudoir,ニセクロナガゴミ

ムシPterostiChus.litli窓ineus Morawitz,セアカヒラタゴ

ミムシDolichtLS halensis(Schaller),ヒメツヤヒラタゴ

ミムシsynuchus dulcigr adiLS(Bates)の5種であった.

アオオサムシは,暗い森林内には少なく,雑木林な どのように人為的な影響を受けている場所,比較的

(7)

裏磐梯地域の地表緋徊性甲虫椙

明るい疎林,林縁に多い(東日本オサムシ研究会,

1989).クロナガオサムシは平地から丘陵さらに山 地に至る広い範囲に生息しているが,日光が直接地 面に届かないような欝閉森林には少なく,乾燥した ところよりも,やや1潤な森林を好む傾向がある(東 日本オサムシ研究会,1989;井村・水谷,2013).ニ セクロナガゴミムシは,著者らが調査を実施した,

会津駒ケ岳のブナ林,会津駒ケ岳のオオシラビソ林,

福島市内の福島市ノ」鳥の森から1個体ずつ得られて いる(緒勝2014).福島市小鳥の森の調査地点はア カマツやコナラが優占する雑木林であった.これら のことは,本種が森林的環境に広く生息する森林性 ジェネラリスト種であることを示唆するが,裏磐梯 地域ではアカマツ優占林を選好している可能性があ る.セアカヒラタゴミムシは,河川敷,農地住宅 地などといった植生が未発達な平地的環境に広く分 布し,不安定な環境を好む「撹乱後侵入型の種群」

の代表種である(石谷,1996).このような環境と雑 木林やアカマツ林との境界(林縁部)からの記録も ある(東日本オサムシ研究会,1989).アカマツ優占 林は裏磐梯地域における4つの調査地の中で最も明 るく(表2−D,撹乱の影響を受けている場所でも ある.また,アカマツ優占林の周辺にはススキなど が優占する草地的環境も散在している.おそらく,

アカマツ優占林でしか分布が確認されなかったこれ らの種にとっては,アカマツ優占林が最も好適な生 息環境であったものと考えられる.

 ミズナラ林のみで確認された種は,クリイロナガ

ゴミムシPtetostichtLS hoρlites(Bates)とホソヒラタゴ

ミムシpristosia ae ieola(Bates)の2種であった.これ

らの種は,福島県内のブナ帯や亜高山帯からの記録 があり,自然度の高い環境を生息場所として選好し ているものと思われる.ところが,本調査ではミズ ナラ林と同様に自然度の高い環境と思われるブナ林 からはこれら2種が採集されなかった.ただし,ミ ズナラ林においてもクリイロナガゴミムシとホソヒ ラタゴミムシはそれぞれ2個体及び】個体しか採集 されていないので,裏磐梯地域におけるこれら2種

の個体群密度はかなり低いのではないかと思われる.

このことがブナ林からは記録されなかった原因かも

しれない.

 カラマツ林のみで確認された種は,ホソアカガネ

オサムシC2rrabtLs vanvixemi Putzeysとニッコウヒメ

ナガゴミムシPtetostichus poむ・genus Batesの2種であ

った.ホソアカガネオサムシは,ブナを主体とする 温帯林や冷温帯林に生息する種である(井村・水沢,

20B).今回,調査を行ったカラマツ林は周囲をブナ 林に囲まれているため,採集された個体は,本来は ブナ林内に生息していたものと思われる.ただし,

採集された個体数が9個体と多いこと(表D,ブナ 林からは採集されていないことから考えると,本種 はブナ林よりもカラマツ林に対する選好性の方が高 いのかもしれない.一方,ニッコウヒメナガゴミム シは,平地や山地の森林環境に生息する森林性ジェ ネラリスト種であり,カラマツ林にしか分布しない

とは考えにくい(石谷,1996;岡田・須田,2012).

本調査では本種が1個体しか採集されなかったこと を考えると,カラマツ林で採集されたのは偶然で,

裏磐梯地域においてはどの森林においても生息密度 がかなり低いものと考えられる.

 ブナ林のみで確認された種は,アカガネオオゴミ

ムシTtigonognatha cuρtescens Motschulskyの1種のみ

であった.本種は森林性であり,林相に関係なく生 息することが知られているが(石谷,1996;平松,

2003),本調査ではブナ林だけから13個体が採集さ れたため(表1),少なくとも裏磐梯地域ではブナ林 に対する選好性が高いのかもしれない.

 アカマツ優占林がある場所は1888年に起きた磐 梯山噴火によって一度裸地になり,その後の植生遷 移の進行とアカマツなどの植樹によって現在見られ

るような森林となった(阿部,2009).桧原湖西部や 北部には噴火の影響を受けていない地域があり,そ

こには噴火以前の裏磐梯地域の植生であったブナや ミズナラなどからなる落葉広葉樹林が見られる.今 回の調査でアカマツ優占林でしか確認されなかった 上記の5種はこのような裏磐梯地域本来の植生であ

(8)

るブナ林やミズナラ林では分布を確認できなかった.

アカマツ優占林のみから採集され,個体数が少なか った4種はともかく,15個体も採集されたアオオサ ムシは噴火前にはどこに分布していたのであろうか,

 上述したようにアオオサムシは,撹乱された環境 に生息できる種である.可能性としては以下の2つ が考えられる.1つは磐梯山噴火の影響を受けなか った雑木林のような里山的な環境由来の可能性であ る.今回の調査は裏磐梯地域本来の植生であるブナ 林やミズナラ林では実施したが,桧原湖南部やその 周辺の噴火の影響を受けなかった里山的な環境では 調査を行っていない.このような場所に生息してい た個体群が,1888年の磐梯山噴火以降に,植生遷移 の進行とともに分布を拡大し,アカマツ優占林に侵 入,定着したのではないだろうか.今後,桧原湖南 部やその周辺の磐梯山噴火の影響を受けていない里 山的な場所で地表俳徊性甲虫相の調査を行い,この 可能性を検討することが必要である.

 もう1つは人為的移入の可能性である.噴火の影 響を受けた桧原湖南部の土地では,1907年頃よりア

カマツなどの植林が行われた(富田(編),1994).

この植林のためにアカマツなどの苗木や土とともに アオオサムシが侵入し,やがて植生遷移の進行とと もにアカマツ優占林にまで分布を拡大し,定着した のかもしれない.北海道では,植樹に伴うアオオサ ムシの移入例が知られている.現在,北海道の函館 付近に生息しているアオオサムシは,元々北海道に は分布しておらず,植栽木の土などと一緒に移入さ れたものと推定されている(井村・水沢,2013).し たがって,裏磐梯地域のアカマツ優占林に生息する アオオサムシが,裏磐梯地域におけるアカマツなど の植樹の際に,その苗木や土とともに移入された可 能性は十分に考えられる.

2.植生がオサムシ相に与える影響

 植生とオサムシ相との関係を明らかにするために 実施した輪rd法によるクラスター分析の結果,各調 査地のオサムシ相は2つのクラスターに分けられ,

ブナ林のオサムシ相がアカマツ優占林,ミズナラ林,

カラマツ林におけるそれとは大きく異なることが明 らかになった(図2).ブナ林のオサムシ相が他の植 生のそれと大きく異なる原因は,全ての植生で生息 が確認されたクロツヤヒラタゴミムシの個体数の違 いにあるものと考えられる.クロツヤヒラタゴミム シはアカマツ優占林,ミズナラ林及びカラマツ林で は最優占種であったが,ブナ林では個体数が少なく,

個体数の割合としても15%に過ぎなかった.

 カラマツ林,ミズナラ林及びアカマツ優占林にお いても,それぞれの植生間でオサムシ相は異なるこ

とが明らかになった(図2).逆に各植生内の2地点 間のオサム湘の類似度は非常に高かった.榊目の 違いはオサムシ相にほとんど影響を及ぼさず,むし ろ林相以外の様々な環境要因がオサムシ相に大きな 影響を及ぼすことが知られている(平松,2003).裏 磐梯地域においてもこのことが言えるのであれば,

本調査における各調査地内では環境要因が均一で,

調査地間ではそれが異なることを示唆している.で は,オサムシ相に最も影響を与えている環境要因は 何だろうか.

 各調査地から記録されたオサムシ科の種数と個体 数は,アカマツ優占林が13種と全ての調査地の中で 最も多く,個体数にっいても全体の45%を占めてい た(表1).一方,磐梯山噴火前の裏磐梯地域本来の 植生であるミズナラ林とブナ林のオサムシ科の種数 と個体数はアカマツ優占林と比べると少なかった

(表1).まず落葉落枝層はオサムシ科甲虫にとって 餌と成り得るミミズなどの土壌動物が生息しており

(金子,2007),生活場所としても重要である.とこ ろが,落葉落枝層の量を増やしてもオサムシ科の種 数と個体数にはほとんど正の影響を及ぼさないこと

が知られている(MagUia et al.,2004).裏磐梯地域の

各調査地における落葉落枝層の厚さは,アカマツ優

占林で2.0〜3.0・cm,ミズナラ林で2.0〜3.5 cm,カラ

マツ林で2.0〜3.5 cm,ブナ林で3.0〜5.0㎝であり

(表2−2),ブナ林のそれがわずかに他の植生のそ れよりも厚いが,全体的にはほとんど変わらなかっ

(9)

裏磐梯地域の地表俳徊性甲虫相

た.したがって,Magura et aL(2004)の指摘どおり,

落葉落枝層の厚さはオサムシ科の種数と個体数に違 いを生じさせた原因ではないものと思われる.

 各調査地の林床植生は,アカマツ優占林では草本 類7種とオシダ,ミズナラ林ではササ類のみ,カラ マツ林では草本類1種,シダ類およびササ類ブナ 林ではシダ類とササ類であった(表2−2).アカマ

ツ優占林の林床は草本類や低木が多く,主としてサ サ類が優占する他の3つの植生とは大きく異なって

いた.Shibuya et aL(2011)は林床植生や落葉落枝層

がオサム湘と関連していることを指摘している.

ササ類や低木以外の植生(主に草本類)によって構 成されている林床には,それを餌とする多様な草食 性昆虫が多く集まり,次にその草食性昆虫を捕食す る肉食性昆虫(オサムシ科)が集まるものと考えら れる.オサムシ科の餌は鱗翅目の幼虫,双翅目の幼 虫,それら以外の小昆虫,フトミミズ科のミミズお よび植物の果実や種子などが知られている(石谷,

1996).著者らは林床の植物相しか調査していないが,

草本の植物相が他の植生と比べて豊富なアカマツ優 占林は林床植生も他の植生と異なり多様であった.

そのため,オサムシ科やその餌となる生物にとって 良好な環境となり,結果としてオサムシ科の種数と 個体数が多くなったのではないかと考えられる.

 磐梯山噴火前の裏磐梯地域本来の植生であるブナ 林とミズナラ林から記録されたオサムシ科の種数と 個体数は,上述したようにアカマツ優占林と比べて 少なかった.この原因の一つはこれら2っの植生の 林床はササ類が優占しており,オサムシ科やその餌

となる生物にとって良好な環境ではないことが挙げ られる.また,ゴミムシ類の種多様度は人為による 擬乱の影響が少ない環境では低く,撹乱が生じてか

らやや経過した環境で高くなることが指摘されてい る(石谷,1996).裏磐梯地域のブナ林やミズナラ林 は提乱の影響が少なく,極相に近い環境であるため,

そこに生息できる種または選好する種だけが分布 しており,結果的に種数と個体数はアカマツ優占林 と比べて少なくなったものと考えられる.

 調査地カラマツ林はブナ林と隣接しているため,

オサムシ相に関しては,この2つの調査地間で違い は生じないのではないかと予想していた.ところが,

実際には大きく異なることが明らかになった(図2).

これは基本的にはブナ帯に生息するが(東日本オサ ムシ研究会,1989),上述したように裏磐梯地域では カラマツ林に対する選好性が高いものと思われるホ

ソアカガネオサムシの存在と,ブナ林で個体数が少 ないクロツヤヒラタゴミムシや本種と同属のコクロ

ツヤヒラタゴミムシSvnuchtLS〃melantho(Bates)やオ

オクロツヤヒラタゴミムシSyntichms nin dtLS

(MotschUlsky)などの種が,カラマツ林からは記録さ

れたのに対してブナ林からは記録されなかったこと に起因しているものと考えられる。

 本調査によって裏磐梯地域の桧原湖周辺では磐梯 山噴火の影響を受けた場所と噴火前の本来の植生が 残されている場所との間でオサムシ科の種組成,種 数,個体数が異なることが明らかになった.アカマ ツ優占林におけるオサムシ科の種数と個体数が他の 植生のそれと比べて多くなった原因を明らかにする

ためには,各調査地における気温,地温湿度植

生,餌資源の量などを定量的に調査し,どの環境要 因がオサムシ科の種数と個体数に直接影響を与えて いるのかを調べる必要がある.

謝辞

 本研究を実施するにあたり,株式会社ニチレイに は,調査地として社有地を提供していただき,調査 の際には様々な便宜を図っていただきました.また,

本調査の一部は株式会社ニチレイによる助成を受け て行われたものです.会津森林管理署の皆様,裏磐 梯自然保護官事務所の皆様には裏磐梯地域の国有林 内,磐梯朝日国立公園内の特別地域における調査の 機会をそれぞれ与えていただきました.また,福島 県生活環境部自然保護課の皆様には現地での調査許 可取得にご尽力いただきました.以上の方々に厚く 御礼申し上げます.調査にご協力いただいた著者ら の研究室の大平創氏,増渕翔太氏にも深く感謝申し

(10)

上げます.

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