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全文

(1)

湖 成 マ ン ガ ン 塊 の 生 成 機 構 と そ れ に 付 随 す る 化 学 反 応 の 総 合 的 考 察 #

川嶋宗継●1、高松武次郎*2

琵琶湖北湖の湖盆では、堆積物の表層に多量のM n が蓄積していて、著しい場合には、

堆積物表面にマンガン塊の生成が見られる。この現象は、堆積物表層に存在する酸化還 元界面を介して、M n の可溶化と沈殿が繰り返された結果である。酸化還元界面が湖水中 に現れる南湖浚渫域では、 M nは湖水中に酸化物沈殿の懸濁層を形成して蓄積する。 M n の可溶化は化学あるいは微生物反応によるマンガン酸化物のMn2+への還元によって、他 方、沈殿は微生物反応によるMn2十のマンガン酸化物への酸化と、水域のp H が7 以上の 場合には、 Mn2+の懸濁物質(既に生成したマンガン酸化物など)への吸藩とによって起 こる。北湖湖盆の堆積物表層やマンガン塊はA sやPも多量に蓄積している。上記の機構 C a互Sr2+, Ba2+' 

Ni2+, 

Z炉などの二価陽イオンを多量に吸藩して陰イオンの有効な担体に変態し、引き続

いてヒ酸やリン酸イオンを蓄積する。蓄積の程度はPに比べてAsで著しいが、これはAs 由来する。

1.

緒言

湖 沼 に お け る 物 質 の 循 環 は 、 一 般 的 素 は 、 そ の ま ま 堆 積 物 の 中 に 留 ま り 続 に 次 の よ う に 記 述 で き る 。 溶 存 態 あ る

い は 粒 子 態 の 形 で 河 川 水 、 雨 水 、 及 び 地 下 水 と と も に 湖 沼 に 流 人 し た 元 素 の 多くのものは、加水分解、酸化還元、錯 形 成 、 化 学 的 吸 着 ・ 脱 着 節 の 化 学 的 因 子 に よ っ て 、 ま た 、 プ ラ ン ク ト ン 、 バ クテリア、魚介類に摂取されるという 生 物 学 的 作 用 に よ っ て 形 態 を 変 え な が

ら 、 い く つ か の 過 程 を 経 て や が て 堆 積 物 へ 移 行 す る 。 温 度 や 塩 分 と い っ た 物 理 化 学 的 因 子 の 作 川 を 受 け る だ け で あ っ て 、 水 に 溶 解 し た ま ま 流 出 河 川 を 通 し て 湖 沼 か ら 出 て い く 厄 素 は 、 少 数 で あ る と い っ て よ い 。 一 度 沈 降 し た 元

け る の で は な く 、 堆 積 物 中 で の 化 学 的 変 化 に よ っ て 間 隙 水 に 溶 出 し 、 堆 積 物 か ら 底 層 水 へ 再 度 拡 散 混 合 す る 。 包 括 的 に こ の 過 程 は 初 期 続 成 作 川 と 呼 ば れ る が 、 こ れ ら の 反 応 に は 沈 積 し た 有 機 物 の 微 生 物 分 解 の 結 果 起 こ る 酸 化 還 元 電 位 の 低 下 や

p H

の 変 化 等 が 大 き く 関 わ っ て い る 。 元 素 は 堆 積 物 中 に 移 行 し た後もこのように再分配や移動を繰り 返 す の で 、 堆 積 物 中 の 元 素 の 分 布 パ タ ー ン は 決 し て 静 的 で は な く 、 む し ろ 湖 沼 内 で 起 こ っ て い る 化 学 的 、 物 理 的 及 び 生 物 的 諸 反 応 の 動 的 な 連 関 の 揺 結 で あると 言 える 。

# 本稿を故小山睦夫

t,til:

1989年7月12 日逝去)に捧げます。

*  

I滋賀大学教育学部 2  │玉

l

立環境研究所

(92)  海 洋 化 学 研 究 第 8 巻第 2 号 平 成 7年 11

(2)

2.

研究の背景 2 5 m g  ・ 

m2 ・  ct・ 1

となる 。また、北湖の表 本論に先だって、これまでの研究経 層2 c mの平均リン濃炭 (1150 ppm) を 過のあらましを述べる 。琵琶湖湖底堆 川いて計算 した場合は 11.5 m g  ・ 

m 2  

・d・1  積物における尤素の鉛直分布を明らか となる。いずれの値も、セディメント にする 日的で、湖の全域から代表的な トラップ実験から得られた値 2.6 mg・ 

地点約40、[ばを選んで30 4 0 c m長のグ ffi"2 • d・l  [3] に比べるとはるかに大きく ラビティーコアサンプルを採取し、 中 なっている 。圃様に、 M n の沈降速度 は

220 m g  ・ 

m 2  ・  ct・ 1

と計りされ、セディメ び 原

f

吸光光度法を適用して37種の元 ントトラップ実験による値 12 20mg・

素 をこれまでに分析した [1]。同種の元 m・Z •

ct・ l

の10倍以上である 。また

As

に 素であっても鉛直分布の形態は水域に ついては、琵琶湖への流入鼠が近年急 よって微妙に変動するが、分布曲線の 激に増加した事実すら認められていな 形態的特徴から 6 形態に類型化するこ い。 このように、北湖の堆積物表血に とが可能である(図 l)。すなわち、 M n、 は、沈降速度から 予測されるよりはる

P

As

Sb

Zn

Ni

は堆積物の薄い表層 かに多贔の

M n

P

As

などが存在する に著 し< 裕積され、それ以ドの層 では ことになる 。これらの元素 に対しては、

急激に減少してほぼ一定の濃度 となる 。 湖水からの沈積だけではなく、堆積物 この特徴的な分布は、北湖の堆積物に のド層からの供給などを考慮する必要 共通していて、表培堆禎物への元素 の

濃縮は南湖に比べて 一層 明瞭に観察さ れる 。C u、P b及び H g も堆積物の表層付 近で濃度 が翡 くなる傾

lri]

にある 。 これ は、近年の人間活動によ ってこれらの 元素 の流人量が増えたこと、一度沈降 したものが堆積物中のフミン物質 (Cu の場合)や硫化物 (Pb や H g の場合)に 吸着保持され、容易に移動しなかった ためである 。その他の

28J

じ素の分布は 表層 から卜層 までほぼ一様である 。

堆積物 表面に杓しく蓄 積 する

M n

As

、Pに関して、 表}悦堆積物中の元素濃 度か らそれにみあう元素の沈降速度を 計算することができる 。まずP の場合、

湖の 最 深点付近の極薄い堆積物 表層 (0 2 m m層)中の濃度0.25% (w/w)、堆

積速度

1.4

ffiffi y・l  

[2]

、及び堆積物の

比重2.6

g  ・  cm‑3

か ら、その沈降速度は

Tranaacationa of T h e  Reaarch Institute of  (93)  Oceanochemiatry Vol. 8, No. 2, Nov. 1995 

がある 。

M n、

As

P

などが閥濃度で存在する 層 は堆梢物表面の茶褐色の層 、いわゆ る酸化層 であることが分かった 。酸化 層 の厚 さは、北湖の深部で2 3 m m、 南湖の浅部で5 7 m mである。酸化層

は還元層 の黒灰色に比して茶褐色を 吊 しているために、肉眼で容易に識別で きる。この色は主 にFeや

M n

の水和酸 化物に由来している 。そして、この彫 さは年間を通してほとんど変化しない。

酸化層が維持されるためには、底層水 中に溶存酸素 (DO) が存在 しているこ とが必要である 。北湖の底層水のD O は, 1950年頃から 富栄養化の進行に 伴って徐々に減少する傾向にあるが、

D Oが最低となる停滞期の後半におい

てさえ約 4 mg/I の濃度 ( D O 飽和度

40%

)を

f"II1J

ることは希である。これに
(3)

よって堆積物の表面を覆う酸化層 は, 北湖のほぼ全域で保持されている 。南

たグラビティ ーコアサンプルの表層泥 をフルイに移しj・寧に水洗して細泥を 湖では,北湖より 富栄投化が進

ft

して 除くと、果して、黒褐色のマンガン塊 いるが,平均水深が4 m と浅いために が多数見つかった 。マンガン塊の殆ど はけし粒大であったが、中には小豆大 の減少は通常観測されない。唯一の例 のものがいくつか含まれていた(写真:

外は,南湖浚渫域[注

l]

であって,こ 参照)。しかし、大きさに拘らずいずれ こでは夏季成)恐期に底}怜水が無酸素状 のマンガン塊もさらに小さい粒子の凝 態となり酸化)利が消滅する 。 ここで起 集体で非常にもろく 、少し力を加える

こる化学反応の特徴は次節の後半で詳 だけで細かく砕けた 。森川と立川に しく述べる 。 よって、琵琶湖では既に、湖成鉄の存 一方、これまでに取り糾んでいた研 在が知られているが

[4

]、今回見つ 究結果から,湖成マンガン塊の存在が かったマンガン塊はその形状、分布域、

充分に予想されたので、 1977年11 月、 元素組成などの、1灯で、湖成鉄とは別の 琵琶湖北湖中央部一僻の表層堆積物の タイプの酸化物であると予想される 。 調壺に併せて、湖底表血のマンガン塊 この発見を動機にして、湖成マンガン の探査を行った 。北湖最深部で採取し 塊の生成機構の究明に取り組む事 に

Relative  concentration 

0  

1  

0   .  (A) 

゜ ゜

2 0  

a:Mn.As  b:Sb,Zn 

c: I. L.

,Ni. P  

a:釦 b:Pb

(Hg)

c  

.a  L  

0 0   E3

̀q ‑8 pa 53  

a:Ca,Ba 

b: Na.Fe.Co,  c: 

(U) K、Rb,Cs,

Sr,Mg,Ti,  Cr.Hf

(U).Th,

rae earth  a  b  c  elements 

(B) 

Mn. A s、

2 0

(Ni)

Zn,Pb, 

Hg,(P)  (Ni)

other elements 

40 

I

1  堆積物中の元索の鉛直分布パターン A : 北湖中央部一帯 ;B: 南湖

a  

b  

c  

(94)  海 洋 化 学 研 究 第 8 巻第 2 号 平 成 7 年 11

(4)

なったが、以下に続く本論は,これら 一連の研究で明らかになったM nの湖 水と堆積物中における化学的並びに微 生物学的動態,及びM n の循環に伴っ て起こる他の元素の動態を詳述するも のである。

M n

の循環機構 一酸化層への蓄積一

M n は堆積物表面の極めて薄い酸化 層に蓄積されるが,その蓄積機構を明 らかにするためには,堆積物中の M n の化学形態を知る必要がある 。 まず、

蓄積されたM n を易置換性マンガンと 水和酸化マンガンとに区別して分析し た

[5]

。前者のM n は,採取直後の堆積 物(湿試料)から

0 . 2 M

硫酸ナトリウム で抽出できる化学形であって, M n (II)  に相当する。また,後者は易置換性マ ンガンを抽出し終わった試料中から亜 ニチオン酸ナトリウム(ハイドロサル ファイトナトリウム, N a

04) のクエ

ン酸ークエン酸ナトリウム緩衝溶液 ( p H  6.5) で可溶化されるマンガンで あって, M n 0 2 が主成分である 。

図2は,堆積物中の M n の分布を化学 形態別に描いたものである。北湖 3 地 点と南湖

l

地点のいずれにも 共通して,

M n が蓄積された表面酸化層 では水和 酸化マンガンの割合が高く ,下層の還 元層では逆にその割合が減少し,相対

的に M n (II) の割合が上昇する 。 この

傾向は,南湖では比較的ゆっくりと起 こるが,これは北湖と南湖の酸化層の 厚 さの違いを反映したものである 。北 湖と南湖の酸化層 で最も特徴的な違い

3. 

【写真]

Site G  

Site X  

Si te Y  

t‑‑ T'

5 m n    

琵琶湖産マンガン塊

c 0

戸 甘 且 B ]

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00 ︒ 冒 口

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£. da p 

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T  e 

 •9

:口[口□

図 2 堆積物中の M n の化学形態

A

:全マンガン濃度(%);

B

:易置換性マ

ンガンの割合(%);C :水和酸化マンガ ンの割合 ( % ) ; 0:その他の形態のマン ガンの割合( % ) ;G,X 及びT: それぞれ 北湖盆の水深97, 90, 7 1 mの地点; r:南 湖の水深3 mの地点(文献5参照)

Transacationa of T h e  Resarch Inatitute of  Oceanochem.Jstry Vol. 8, No. 2, Nov. 1 9 9 5  

(95) 

(5)

は,後者の表面にはM n(II)が全くイ

f

在 殆どの部分が遠)じ層 に埋没した段階で しないのに対し ,前者には M n (II) が 還元 ・脱府あるいは分解さ れ,M n (ll)と 30 40%検出されることである 。酸化 して間隙水に溶解する 。還元I習には,

層 の薄い北湖の場合, ド)付の還元層か 微姐の硫化水素の{f在 が

f

想されるが,

ら拡散に よって表面酸化層に供給され 硫 化 マ ン ガ ン の 溶 解 度 積 が 大 き い るM n(II)は,その再酸化速度が比較的 (3.16xt0・11,  [6])ので ,硫化物生成に よ 遅い(次節参照)ために元令に酸化され るM n(II)の不溶化 は起こらない。間隙 ず, 一部のM n (II)が酸化悩に吸沿保持 水に溶け出したM n(II)は, 1..方への拡 されて いると考えて よい。 また,堆積 散に よって表血酸化層 に逹し,そこで 物中の全マンガン濃度から易置換性と 再酸化されて水和酸化マンガンになる 水和酸化 マンガン濃度を差 し引いたも か,あるいはすでに酸化層 中に多贔 に のは, 鉱物由来のマンガン濃度に相当 存在する水和酸化 マンガンに吸着保持 する 。その割合は南湖で高 くなるが, される 。北湖では, M n (II) の一部は酸 狭く て浅い南湖では流入河川の影響が 化層 を通り抜けて底層水に溶出する よ り直接的に湖底堆積物に及んでいる

[ 注 2]

が,底層水中でも堆積物表層 と 結果である 。 同様の酸化・ 吸着反応が起こり, M n

以上の結果 を総合すると, M nの循環 (II) は水和酸化マンガン粒子 とな って 機構は次の ようになる 。湖底に沈降し 再び堆積物表血に沈降する 。M nは遠}じ た粒子状マンガン(風化残留物 ,プラ 層の卜層 と薄い表面酸化層並びに底彫 ンク トン遺骸,砕屑介機物 ,酸化物等) 水中でこの ような循環を繰り返し,次 は,風化残留物など一部分を除いて, 第に堆積物の表面に蓄枯される 。図3

21.  Feb.'78  31May '78  7  July'78  2   3  

05 

1  

゜ ,  ゜

1   2   3  

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50 

100 

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25Dec:7  8   1  July•82 21 July'86  OQ  1   0   0.25  05  0   0.25 

so 

固3 最深部底層水中におけるマンガンの鉛直分布

● :全マンガン;

0

:溶存態マンガン

05  0  75).JM 

(96)  海洋化学研 究 第 8 巻第 2 号 平成 7 年11 」M

' 

(6)

は、琵琶湖最深部における水相中のマ が分かった( │ 叉14)。 この水域では以季 ンガンの垂直分布である 。 に底層水が無酸素状態となり

[7]

,底 マンガンの酸化→遠Jじサイクルは, 層の無酸索水と表層 の酸素を 含んだ水 堆積物表層の薄い酸化船つまり酸化還 が接する界面(酸化遠}謁界面)が湖底の 元界面で進行する 。一)J, これに類似 上方5 mのところに形成され,比較的艮 の酸化還元界面が仮に湖水中に形成さ 期間継続して存在する 。図4 は,溶{T:

れる場合,この界面を介して M nは同 様の酸化ー遠)じサイクルを繰り返して,

態マンガン [D ‑M n:主としてM n (II)],  溶存態鉄 [D‑Fe: 主としてFe (II)],懸 湖水中にM n の豊富な層が出現しても 渇態マンガン (P ‑ M n : 主として水和 よいはずである 。果たして,この現象 酸化マンガン),懸濁態鉄(P‑Fe:水和酸 は南湖浚渫域で実際に観測できること 化鉄あるいは硫化鉄)及びD Oの湖水中

( D O )  0  

( M n,Fe}O  翌

20 M  

/  (E)q 

8 2

.  

 

. .  

D O  

a  

O

`  

1 0 0 %  

..J 

1.0).JM 

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.

  C  

ム 1 D O p  

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‑‑‑6 

8 侭 D ‑ M n

O L O  

笠 20

12  (Mn,Fe)O 

ヱム E  

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C

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b   a)  8  

>   ゜ 12 

2   M

‑ b  

 

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8  

゜ 2  

 

μ   一 M d

12 

r  

図4 南湖浚渫域における溶存酸素 ,マンガン,鉄の鉛虹分布

D O :溶存酸素; D ‑Mn: 溶存態マンガン; D‑Fe :溶存態欽; P‑Mn :懸渇態マ ンガン ;P‑Fe: 懸濁態鉄;観測日: 1982

7

4

LI 

(a,b), 1982

7

JJ 

22 

II 

(c,d) 

Transacations of T h e  Resarch Institute of  (97)  Oceanochestry Vol. 8 ,  N o.  2, Nov. 1 9 9 5  

(7)

の鉛直分布を示したものである

[8]

酸化還元界面は水深約 8 m に形成され

る。堆積物から溶出したD ‑ M n はこの

界面の約 0.5 m 上方で急激に減少し,

それに伴ってP‑Mnが生成する 。酸化還 元界面直上に見られる P ‑ M nの分布極

機構が関与していると考える(次節参 照)。先述の図4に見られるように, P‑

Feは酸化還元界面近傍で分布の極大を 示した後,下層に向かって再びその濃 度が増加するが,これは硫化鉄の生成 に基ずくものである 。他方,M nは,硫 大が維持されるためには,(i) 8  m 以深 化マンガンの溶解度が大きいために,

の無酸素の水塊内でP ‑ M nが還元され 底層水でのP‑Mnの増加は見られない。

てD ‑ M nが生じること,(ii) 下層から上 方に拡散したD ‑ M nが, 8 m以浅の酸素 を含んだ水塊に達すると迅速に酸化さ れ,再びP‑Mn となること,(iii) 上記の 反応 (i) と (ii) が酸化還元界面を介し てサイクルを形成することが必要であ る。 Fe もM n と同様にP‑Feの分布極大 を酸化還元界面の近傍に形成するが,

その極大はP ‑ M nより約0.5m下層に現 れる。 P‑FeとP‑Mnの分布極大が一致し ないことは, M n (II)  ‑ M n  (IV) 酸化還 元平衡の電位がFe (II)  ‑Fe (III) 酸化還 元平衡の電位に比べて高いことに起因 するが, P‑Fe とM n (II) の間に相互作 用が無いこと,すなわち,初期に生成 する水和酸化鉄がM n (II) を吸着 しな いこと,また併せて、 M n (II) の酸化を 触媒しないことを 示すも のである 。実 際,無酸素の底層水を注意深く採取し,

これに空気 を吹き込むと,水和酸化鉄 の沈殿が先ず生成し,その後水和酸化 マンガンがゆっくりと 生成する 。酸化 還元界面近傍のp H は約6.8で,そこに はD Oが上層から供給されるの で, Fe (II) が速い速度 で化学的に酸化される 条件は整っている 。しかし, M n (II) が 化学的に酸化されるには,このp Hは低

過ぎる。 M n (II) の酸化に対して,微生

物による酸化など化学的な酸化以外の

4.

マンガンの沈殿機構

M n  (II) の酸化速度にはp Hが大きく 影響する。 pH8.5 以上並びにp02

=  

1.0  atmの条件下では、 D O によるM n (II) の 酸化は観測できる程度の速さで 自己触 媒的に進行するが, p H 8以下ではきわ めて遅くなる

[9]

。砂,粘土,酸化物

などがM n (II) の酸化を触媒すること

が報告されている。例えば, p H

8

でも 砂粒子や鱗繊石 (y ‑FeOOH) が共存す

ると M n (II) の酸化が進行する [10、 11]。しかし,砂や粘土粒子 はp H 7では

Mn(II)の酸化速度に影響を 与えない し

[  12],  y  ‑ F e O O Hによる触媒反応も p H 8以下で は非常に遅くなるのも 事実で あ る [11]

一方,多くの異なった自然環境、例 えば土壌,洵水,下水管,冷泉,湖水 等において, M n (II) の酸化が微生物に よって容易に進行することが知ら れて いる 。微生物による反応は通常p H 6 8 で進む。著者らが研究対象としてきた 北湖の底層水,堆積物間隙水及び南湖 浚渫域の酸化還元界面は年間を通して

p H 7以下であるので,ここでは無機的

な粒子による触媒作用よりもむしろ微 生物が関与する酸化反応が優位に進行

(98)  海 洋 化 学 研 究 第 8 巻第 2 号 平 成 7年 11

(8)

100 

b  

5  lo xa‑P ndPo d

" ' p H  9.0 

p H  7.4 

o  p H  5.8  

5 

10'.I:

uo11 e1a‑

d

% 

2 4   4 8   7 2  

L a k e  w oer(pH 7.2)  o  +NoCl(O.OIM)  o  +NoN,(0.01M) 

4 8   7 2  

h  h 

10 

c

︒  

l)uw loXu on2a po d

△  △ 

0  +HaCl(O.OLok, ● wotor 

い)

4 0   h  

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A  

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(0.01Ml

Autac\V•

10 

' 

d  

5 

x5

‑‑9a

‑90d

o  :otter 4 8 h  

● ;otter  30m. 

°

2 0   6 0   8 0  

5   6  7  8   9  p H   10  11  12 

lOO 

7.6  7 .8  

6  8  7

5 

(= ‑︶

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..  

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k )   2 0  

h   3 0   0 ~o

図5 マンガンの沈殿機構に対する実験室実験

(a) 湖水試料中での沈殿生成の時間変化 ( 0 : pH5.8;● :p H  7.4; △: p H 9.0 ;   Mn(II) の初期濃度: l.8xl0'7M ; 温度 :25 °C) 

(b) 沈殿生成に対する N a N3とNaClの添加効呆 (pH= 7.2; 温度: 2s 0c; ● :湖水 ; (c)

□ 

沈殿生成に対するNaN3とNaClの添加効果並 びに翡温滅菌の効果 (pH = 8.5; 温

度 :25 °C ; ●:湖水;

O.O l M N a N犀 加 ;

0 :  

0.01 M  NaCl添加; △: 高温滅菌)

初期濃度:1.8xJ0・7  M )  

(e) 沈殿生成に対する窒素通気の効果 (温度: 25 °C ;〇 :窒素通気; ●: 空気通気;

図中の 数値は各時、点でのp H を示す; Mn(II) の初期濃度: 1.8xlo‑7M )  

Transacations of T h e  Resarch Institute of  O c e oche stry Vol. 8, No. 2, N o v.  1995 

(99) 

(9)

することになる 。微11:.物が関わる酸化 反応 を確かめる ために以下の ような検 討 (I)

(V)

を行 った [

I   3]

(I)

南湖から採取し た

p H 7.4

の試水に

N a O H

HCI

を加 えて

p H

を変化さ せ,ゆ っくりと撹拌しながらマン ガ

ンの沈殿率の経時変化を調べた結果 を図

5a

に示した 。

p H 7.4

では M n の 沈澱生成,つまり,

M n (II)

の酸化反 応はゆっくりと進行するのに対し

て,

p H 5.8

まで低 くすると予測して

いた通りに沈殿生成 は全く起こらな かった。逆に高くして

p H 9

に調整す ると,調整した 直後に

M n

の一部が 沈殿し,その後2時間 の休止期間を おいて再 び沈殿生成が進行した 。

(II)  p H  7.4

の試水を 孔径

0.45

μ 

m

のメ

ンブランフィルターで濾過したり,

試水にクロロホルムを添加したりす ると,沈殿 生成 は全 く起こらなく なった 。

(III) 

p H  

7.2の試水に殺菌剤である

N a N3

[注

4]

を添加すると,

M n

の沈殿生成 は完全に阻轡さ れた(図5b)。この化 合物を加えると, 試水のイオン 強度 を高 め,それが

M n

の沈澱生成の速 度に影響する危惧があるが,

NaCl

を 添加した参照実験が示すように,イ

オン強度の影響は殆ど無視しうるも のである 。

(IV) pH8.5

に調整した試水に

N a N3

を添 加すると, M n の沈澱率は 一定値(約

3 0 % ) に達して, 反応が停止する(屈

5c)。これは M n

(II)

の酸化が

N a N3

に よって阻害 される 効果と後に述べる ように, M n

(II)

が懸濁物質

(SS)

に 吸着 される効果が同時に起こった結

果である 。

(V) 試水に 高温滅歯や紫外線照射をほ どこすと沈殿生成は

H

立って遅く

なった[注

5]

以上 の事実 はいずれも湖水中の

M n (II)

の酸化が微生物の介在によって 起こっていること を示している 。

M n  (II)

を含 んでいる湖水の

p H

を調 整すると,その直後か ら30分 にかけて 一定量の

M n

が沈澱し,その量 は

p H

の 上昇に伴い増大する。図5dは,30分後 の沈澱率と試水の

p H

との関係を示し たものである 。

N a N3

を添加 して 生物反 応を阻害 した系でも沈澱率は

p H

と共

p H

曲線は 図5d のそれと一致した 。試 水に窒素ガスを通気した系(図 5e) で は, D O が除去さ れるの で,M n

(II)

の 酸化は起こらない。窒素を通気すると,

試水中の溶存二酸化炭素が輝散するの で

p H

が上昇 し,それにつれて M n の沈 殿率は高く なるが, 先の場合と同様に 以上の結果から,

p H

を調整した 直後 に試水中で観察される

M n

の沈殿生戚 は,

SS

への吸着の結果であると結論で

きる 。

p H 7

以上の水域では,

SS

への吸

着 も

M n

の沈殿機構として重要である ことが分かる 。すなわち,水相に供給 された M n

(II)

はまず速い反応で

SS

に 吸隋し,引き続いて 系内に残存する M n (I I) が微生物の介在に よってゆっくり 酸化されると考えられる 。 しかし,実 際の琵琶湖で ,どのような

SS

がM n

(II) 

を吸着するのか,またどのような種類 の微生物が

M n (II)

の酸化に関与して

(100)   海 洋 化 学 研 究 第 8 巻第 2 号 平 成 7 年 11

(10)

いるのかについては不明である。p Hが マンガン塊が存在した地点の表層堆積 中性の水域では, SSの表面に生息する 物の分析結呆を示す。表層堆積物の値 マンガン酸化バクテリアが重要 な働き

をしていると 言 われている。 Chapnick ら [14] は,オネイダ湖の好気的な底 層水において,濾過が酸化を阻害する

ことと,一度分離したSSをエタノ ール で処理し, 再 び濾過水に戻しても M n (II) の酸化が起こらないことを観測し た。このことから,彼らは水和酸化マ ンガンの生成がマンガン酸化バクテリ アの働きによってのみ起こると結論し

は微小なマンガン塊を含んだ結果であ る。マンガン塊はCa2+、

S

や、 Ba2+、Ni2+、

z

砧 な ど の2価の金属 イオンとヒ酸や リン酸などの陰イオンを 高濃度 に含ん で い る [15]。元素糾成は五大湖の1つ であるミシガン湖産のマンガン塊のも のと類似している[16]。A sの蓄積はミ シガン湖のグリーンベイのマンガン塊 にも見られる特徴であり,また, Ba2+

が高濃度 で含有される 事実 は多くの淡 ている 。 水 湖 の マ ン ガ ン 塊 に 共 通 し て い る

以上の結果を総合すると,南湖浚渫 [  17]。水和酸化マンガンは,中性付近 域の酸化還元界面直上で起 こる懸濁態 でアルカリ土類金属イオンや有機物と マンガンの生成,北湖底層水に存在す の錯生成定数が小さいZn2+などの2価 る高濃度の懸濁態マンガンの生成,並 金属イオンを選択的に吸着・捕集する。

びに北湖の堆積物表層 に見いだされる これらの陽イオンに加えて,湖底から マンガン塊の生成など, p H 7近傍の環 採取したマンガン塊や表層堆積物はヒ 境で起こるマンガンの沈殿生成には, 酸やリン酸などの陰イオンを濃縮して 微生物による酸化反応が主要 な働きを いるという典味ある 事実が知られてい すると判断できる 。加えて,琵琶湖で る。 これは後で詳しく述べるように,

は光合成が活発になる 夏期にしばしば M n の酸化ー還元サイクルと連動した別

p H  8.5以上の水域が出現し,この時河 の機構で説明されるものである 。表層

川から流入する溶存態マンガン M n(II)  への蓄積はA sの場合程顕著ではない。

は, SSへの吸着に よって迅速に沈殿す 琵琶湖では,マンガン塊と類似の機 ることになる 。 構で生成すると考えられる湖成鉄が北

5.

湖成マンガン塊の元素組成 北湖 中央部のマンガン塊の分布域は,

堆積物表層のマンガン濃度の高い地点 と一致す る(図 6)。 この地点 は水深が 約80

m

を超える琵琶湖の最深域でも あって,ここでは M nの溶出と再沈殿 のサイクルが繰り返され,高濃度の蓄 積が可能となる。表 lにマンガン塊と

Transacations of T h e  Resarch Institute of  (IO I)  Oceanochemistry Vol. 8, No. 2, Nov. 1995 

湖の北部一帯で見い出される 。琵琶湖 か ら 採 取 し た マ ン ガ ン 塊 と 湖 成 鉄

(フェロマンガン酸化物と総称する)と 他の湖から採取された淡水成及び海成 のフェロマンガン酸化物中の元素含量 には極めて良好な比例関係が認められ る(文献[18] の表2 と図 2参照)。図 7は、淡水成フェロマンガン酸化物(琵 琶湖産も含む)と海成フェロマンガン 酸化物の元素組成を比較したものであ

(11)

M n  ● わ0 3 t  

' 

> "  

.. 

jじ索 マ ン ガ ン 塊 表洞堆積物G 表府堆積物

x

M n   167()()()  44000  9000 

A l   491.IOO  71000 

‑‑‑‑

K   13200  45000  52000 

M g   10100  9900  10900 

N a   8(,00  6 4 "   5200 

C a   4300  3700  3400 

T i   2900  4⑱  4200 

p   2700  2200  2350 

n  

a   1  380  850 

‑‑‑‑

A s   720  304  225 

N i   340  49  34 

Z n   189  154  173 

S  r   IOJ  6()  51  R b   70  116  116 

C  ll  (,0  69  80 

(:  r   33  65  63 

I'b  2(1  47  5

C o   24  20  20 

L a   22  32  32 

T h   9 .6  14.  l   14.0   S C   7.6  11.9  12.9  

u  

4.9  5.2  3.9 

図6 琵琶湖表層堆積物におけるマンガン 表 l マンガン塊と表層堆積物の元素漉度

の水平分布 (p p m)  

  co‑ ‑e‑

5i) g‑

゜ .  ‑... .. .... ,   

. . .  C●  9I  C

・, .

N I ‑ l A . . . .  C c. 

●  ●● 

...•• ̀....,.,.^ 

C

・ ̀., .....

9 u  

E l e m e n t  

図7 淡水成及び海成フェロマンガン酸化物の元素濃度の比較

・ 冒 :淡水成フェロマンガン酸化物; 璽置璽: 海成フェロマンガン酸化物 (102)  海 洋 化 学 研 究 第8巻第2号 平 成711

(12)

る。元素の中には濃度の変動幅が二桁 に及ぶものもある 。 しかし,一般的傾 向として (i) 重金属や希土類元素の濃 度は,淡水成酸化物に比べて海成のも ので著しく 高い,(ii)主成分元素である F e とM n、アルカリ金属 とアルカリ土 類金屈の一部、及びB、P、A sなどの陰 イオンを形成する元素は,海成と淡水 成のフェロマンガン酸化物に同程度含

まれることが認められる。

フェロマンガン酸化物中の微量元素 の濃度は, 主成分元素の混合比(Fe/Mn 比),鉄やマンガン鉱物の構造,酸化物 が生成する条件(速度,

p H

及び酸化還 元状態)などに依存して変化すると 言 われているので,淡水成と海成のフェ ロマンガン酸化物での元素濃度の違い が何に起因するのかを判断するのは難 しい。 しかしいくつかの妥当な説明が 可能である。例えば,重金属や希士類 元素が海成酸化物に著しく濃縮される 理由の一つは,海成酸化物が淡水成の ものに比べ非常にゆ っく りと 生成され ることである 。すなわち淡水成酸化物 の生成速度が数mm/103year [例えば、

文献

17]

であるのに対して海成は数 mm/106year [例えば、文献19] であっ て,このために,海成酸化物には海水 中の微最陽イオンが吸着や共沈などの 作用で長い時間をかけて集められる。

海水の

p H

が通常淡水に比べて高い事 実 も重金属元素の海成酸化物への濃縮 に有利に働いている 。 また,アルカリ 金属 ,アルカリ 土類金属及び陰イオン 性元素が海成酸化物に余り濃縮されな い理由は,吸着力の弱いこれらのイオ ンでは,酸化物表面への吸着が,海水

Trancations of The Resarch Institute of  (103)  Oceanocbemistry Vol. 8, No. 2, Nov. 1995 

中に多贔 に存在する Na+、Mg2+、

CI・

な どの影響を強く受けるためである。

6.

水和酸化マンガンの新しい役割 ーヒ酸及びリン酸イオンの吸着一 A sやP は,通常の好気的な天然水中 では,その大部分がヒ酸イオンやリン 酸イオンとして存在する。それらを吸 着・捕集するためには正の表面荷電を 持つ

S S

が有効な吸着担体になる 。従 来,この

S S

の実体として,弱アルカ リ〜中性域に無電荷点

p H (pH,pc)

を持 つ水和酸化鉄,水和酸化アルミニウム 及びある種の粘土鉱物などが推定され てきた

[20]

。実際,これらが陰イオン を蓄積している 事実 は多数知られてお り,既に述べた湖成鉄がA s、P、B、V などを 高濃度で 含 む [

18

21]

のもそ の例である 。一方 ,水和酸化マンガン の

pHzpc

は約

2.3

と低く

[22

23]

,中性 付近の環境では負 に荷電するため,陽 イオンを吸着する能力は高い

[24

25

26]

が,逆にリン酸イオン,ヒ酸イオ

ン等の陰イオンの吸着剤としては働か ないと考えられてきた 。 しかし,琵琶 湖のマンガン塊にはA sやPの高度の濃 縮が認められ,事実を説明するために は,水和酸化マンガンとヒ酸イオンや リン酸イオンとの間に働く親和力につ いて新しい機構を考える必要がある 。 著者らは,比較的多量の2価陽イオ ンが共存する系では,水和酸化マンガ ン(例えば, J ‑ M n 0 2 ) はヒ酸イオン

[   15]

やリン酸イオン

[27]

をよく吸着 するという現象を見いだした。いずれ の場合 も, 2価腸イオンが共存すると
(13)

水和酸化マンガンが1陰イオンに対する う条件ドでは,水和イオン半径の蚊も 布効な担体となることをぷしている 。 小さいBa2+が最も多似 に吸着 し

[24

これは

2

価協イオンを吸沿した酸化物

26]

,その粘呆リン酸イオンの吸ん午年が の表血が陽イオンの吸沿:,:に)心じて, 最も翡くなる 。また,

2

I

湯イオンとし 中性から圧に荷砲されるようになるた てMn2+, Co2+及びNi2+といった遷移金

めである

[26] [11:6]

。水和酸化マンガ

J

属イオンを)

lj

いた場合にも,水

{ll

酸化

ンに吸着 する協イオンの州は

p H

のト マンガンはリン酸イオンをよく吸着す 外とともに増加するので,それに伴っ る

[it 8]

て水和酸化物表血もよりl[に荷寛し, 以上の吸沿実験の粘呆とマンガン塊 結果として陰イオンに対する吸杓能が や表陪堆積物がM nを始めとしてBa尺 増大する。

p H 3.5

から中性に向かって

p H

が 上昇するとき ,リン酸イオンの吸 沿率が増加するのはこのためである。

しかしアルカリ性領域では, 高濃度で 共存する水酸化物イオンとの競争によ

Sr2+、N 仔などの 2 価腸イオ ンを多址に 蓄梢している

li

実(第24 節参照)か

ら, A sやPは以ドのような槻構で堆私 物 表I,1

1

の水和酸化マンガン相に裕梢す ると推察される(図8)。北湖の堆梢物 り, 2 価陽イオンの効呆は

1:1

、'[たなく で は , 迎 尤 府 の 酸 化 遠 尤 慮 位 が + なり,陰イオンの吸オ年がは減少する 。 lOOmV以下になるので, A sの一祁は遥

2

価腸イオンのイ

i

IIt

はイオン種に 加 蔚で吸着力の弱い

lli

ヒ酸イオンに忍 よって異なる 。 リン酸イオンの吸着 に 元される 。そこでは硫化物イオンも詞 対するアルカリ

t

類金属イオンの有効 時に牛成される可能↑生があるが,その 性を比較すると,その順}#は Ba2+

>  S

濃度 は低いので, M nの場合と同様,虹

>  

Ca2+  

>  

Mg2+ となる

[27] [ 注 7]

。 こ ヒ酸イオンは硫化物を牛成することな の順序はアルカリ十.類金)感イオンの水 く容易に削隙水に溶解する 。溶け出し 和酸化マンガンヘの吸着のし易さの)頒 たA sは拡散によ っ て 表血酸化)薗に述ば 序と一致する 。すなわち,

p H

一定とい れ,そこでヒ酸イオンに再酸化されて

叩)気

8

ヒ素が堆積物表悩の水和酸化マンガン柑に暮柏される機構をぷす模式図 (M e2+ =  Mn2+, Ba2+,  Ni2+,  

S

や な ど)

(I()4)  海 洋 化 学 研 究 第8 巻第 2 号 平成 7 年 11

(14)

2価協イオンに富んだ水禾II酸 化 マ ン ガ ン相に吸消する 。 この時,堆積物表層 の 水 和 酸 化 マ ン ガ ン は 亜 ヒ 酸 イ オ ン の 酸化剤としても介効に働く [28]。堆 積 物 か ら 塩 酸 で 抽 出 さ れ る ヒ 素 は , 堆 積 物 表 層 で は 全 て ヒ 酸 イ オ ン で あ るが,

還 元/崎では, 一部 が 亜 ヒ 酸 イ オ ン で あ る事実 [29] も 1..の 機 構 を 裏 付 け てい る。このようにA sでは,それ自身の酸 化ー 還 元サ イ ク ル の 働 き が , こ の 元 素 の堆積物表層への蓄積を促進している。

同 時 に リ ン も 水 和 酸 化 マ ン ガ ン に 吸 済 して堆積物表)悦に裕梢するが, リン酸 イ オ ン は 水 和 酸 化マンガンヘの吸着力 が ヒ 酸 イ オ ン に 比 べ て 弱 い こ と , リ ン 酸イオンは還)じ)悟で形態変化しないこ となどの理由から,この元素の堆積物 表 層 へ の 蓄 積 はA sの 楊 合 程 顕著ではな い

l) 矢橋帰帆島(人[島)仕設のために,

1978  1980

 

年にかけて隣接水域より

湖底泥250ガ面を採取した 。 この浚 渫によって.湖底には500m x  500m x   13m (深さ)の競泳 プー ル型のくぼみ 地が形成された 。

注 2) 難溶性硫化物をII‑:成する鉄などはこ れによってしばしばIl[溶化が抑えら れる 。 これによってしばしば可溶化 が抑えられる 。

3) M nが堆積物か ら底/悦水へ溶出してい

ることは,炭季成1悦期の北湖底層水 のM nが湖底に近づくほど尚濃度と なる事実から明らかである(図 3)。

しかし,底

I

曽水中に{f在する M nは 大部分が懸渇態であるので,堆積物 表層と底層水中で起こる M n (II) の 酸化は, M n (II)の 部 が 堆 積 物 表 面 の酸化層を通過できる程度に遅いけ れども,底層水にM n (II) が蓄積し Trancations of T h e  Resareh Institute of  (105)  Oceanochemistry Vol. 8, No. 2, N o v.  1 9 9 5  

ない程度に速いとい った適当な迷炭 を保持していると考えられる 。 4) NaN3はM n (II) を酸化する微生物に

対する最も優れた阻判剤であるとさ れている [30]。

往5) 尚温滅歯した試水の沈殿率は約70%

であ って(図5c),この値は, NaN3を 添)

Ju

した楊合に見られた値(約3 0 % ) に比べて高い。 この違いは滅歯操作 中に試水のp Hが上昇したり, SSが変 質したりして, より多罷のM n (II) が SS に吸着したためと考えて よい。 こ れに対して,試水に紫外線を照射す ると,沈殿反応の阻害だけでなく,試 水中の無機粒子や微生物からのM nの 溶出が起こり,最終的に は実験開 始 時より溶存マンガンが増加した状態

となる 。

注6)ヒ酸イオ ンやリン酸イオンと2価陽イ オンとの溶解度積は比較的小さいの で,個々の吸着部位では,それらのイ オン間の反応も吸着に寄与している 可能性がある 。

度はそれぞれお よそ 2 .5x 1炉 M と 8xlM であり,リン酸イオンの吸沿 実験を行 った系での両イオンの濃度 にほぼ匹敵する 。

注8)遷移金屈イオンの場合には,アルカ リ 領域でのリン酸イオンの吸着率 が時 間と共に変化する(図 9)。 この現象 C o2+及びNi2+イオ ンのいず れにおいても見られ,経時変化の程 度はp H が翡いほど大きい。 これは,

水和酸化マンガンに吸着 した陽イオ ンが酸化物上で酸化され,糸,団朱とし て水和酸化マンガンの正味の正術電 が減少したためと考えられる 。閥い p HではM 炉は自己触媒的に酸化され るし、 C o20 3 .nH20 に酸化される (3,

(15)

化されに くいが、Niを':I:.成したり、 一 部はやはり酸化されたりしていると 思われる 。

9 0 0  

'   ︒

uo

dJosp< 

( o  1  59 

  . ,

● >  m , n  

2 ,' 

0  n   o  2 0  

2

.  

I O O r  lei• Co 

,. 

'  

10  6   7   8   9 1 0  

•(d 1  N 9 ,

. 

゜ . 

.p H  ,  10 

引用文献

9   10  ti 

p H  

図 9

Sr2+, Mn2+, Co2+, 

N杓が共存する系 でのリン酸イオンの水和酸化マン ガンヘの吸着率の経時変化 (Mn:

3.6 X  10‑4M; リン酸イオン: 3.2X  

I0‑6M; 2価

I

湯イオン: 2X  1M ; 水温: 25°C)

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(英文要旨】

A  Comprehensive Study o n  the Formation M e c h a n i s m  of Mn‑concretion  a n d  Its Related Chemical Reactions in L a k e  B i w a  

M. Kawashima 

Faculty of Liberal Arts and Education, Shiga University, Otsu, Shiga 520, Japan  T .  Takamatsu 

National Institute for Environmental Studies, Tsukuba, Ibaraki 305 Japan 

In the central basin of the northen part of Lake Biwa, M n  was found to be significantly enriched  in the surface sediment, and in extreme cases fonned Mn‑concretion. This phenomenon resulted  from repetition of the dissolution (as Mn2+)‑precipitation (as Mn‑oxides) cycle of M n  across the  redox boundary of the sediment. W h e n  the redox boundary appeared in the water column (this was  actually observed in a  dredged area in the southern part of the lake), M n  accumulated as the sus‑

pended Mn‑oxides in the lowest  layer of the epilimnion. In the dissolution‑precipitation cycle, Mn‑

oxides  were dissolved by chemical and/or microbial reduction to Mn2+  and it  was precipitated  again by microbial oxidationto Mn‑oxides.  In an aquatic environment of p H  greater than 7, ad‑

sorption of M n2+  onto suspended matter, including Mn‑oxides,  also contributes to the precipitation  of Mn. 

A s  and P  were also  found to be enriched in the surface sediment and Mn‑concretion in the  central basin.  Mn‑oxides, immediately after precipitation by the above mechanism, were found to  adsorb divalent cations (i.e.,  Mn2+, C a2+,  Sr2+, Ba2+, Ni2+ and Z n2+)  initially from the sediment pore  water and/or the lake water, and were found to eventually be transformed into an effective  scavenger for anions such as arsenate and phosphate.  A s  accumulated to a  greater degree than P. 

In the case of As, the redox cycle between arsenate (As5+)  and arsenite (As3+) probably enhanced its  accumulation. 

Transacations of The Resarch Institute of (107) 

Oceanochemistry Vol. 8, No. 2, Nov. 1995 

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