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数種の糸状菌の生長に対するラウリン酸の影響

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Academic year: 2025

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(1)

数種の糸状菌の生長に対するラウリン酸の影響

西  上  一  義

島根大学文理学部生物学教室   (1975③9・6受理)

The E二臨cts ofLaur1c Ac1d−o皿the Growth ofSome Species ofFu血gi Kazuyos趾NIs亘IGAMI

       Ab鮒a砒

  The add1t1ona1e価㏄ts of1aur1c ac1d.as a carbon source on the growth ofノ理θ㎎棚〃∫

oη醐,ノW卿〃螂oc伽αc舳,此棚α〃〃肋α肋舳榊and肋伽α〃卿榊刎伽閉wereexammed

Laurlc ac1d has va1ue as a carbon source of these four kinds of肺ng1on p1ate cu1tu.re But th1s ac1d−has no va1ue to the growth ofアθ〃α〃卿肋α卯〃〃肋andア o〃〃伽on the stat1c11qu1d−

cu1tures Fa1r血hib1t1on e岱ects of1aur1c ac1d.were seen on the shaking11qu1d.cu1tures of these orgams血s A1most the pe㎡ect mh1b1t1ons of growth were seen on the anaerob1c cu1−

tures ofthese orgamsms w1th carbon d1o刈d臥

 脂質は水に溶け難いという性質を持っているために,微生物特に菌類による利用に関する 研究は立ちおくれていた。従って,菌類の生長に対する炭素源としての脂肪酸の価値の研究 の歴史も,同じ理由により比較的に新しいものである。しかし,脂質の分析技術が,RIの 利用やクロマトグラフィーによって,飛躍的に向上した現在,脂質代謝に関する研究は極め て活灘におこなわれるようになったエ淋4)。

 先に筆者は,数種の菌類の生長に対して,種々の濃度の脂肪酸が,炭素源としてどのよう な意味を持っているかを調べ,その際,ラウリン酸が特殊な影響を与えることを見出した5)。

この度の報告は,前報に引きつづき,数種の糸状菌に対するラウリン酸の牛長阻害効果を,

やや掘り下げて調べてみたものである。

       材料およぴ方法 材  料

 糸状菌として肋〃づα〃㈹α肋舳刎IF06352,Pθ榊α〃〃刎〃o勉伽榊IF04640,A卵卿π㈱

oη湖θIF04290,五砂昭〃㈱oo伽α6㈱IF04069の4種を使用した。

培養基

 (1)YP培地(basa1med1um)

      酵母エキス    3g

(2)

104 西 上 一 義

      ペプトン     10g       蕃留水.,.1000m1・

 (2)YPG培地

  YP培地に2%ブドウ糖を加える。

 (3)YPF培地

  YP培地にラウリン酸を加える。

培養条件

 液体培地は静置埼華と振鐙培養に使用し,前者は,さらに嫌気的条件を強める牟め,二酸 化炭素を封入した培養もおこなった。また,比較のため,平板培養もおこなった。培養時間 は,静置培養では150時間,振鐙培養では54時間。培養温度は30oC。

生長量測定

 1フラスコあたり,又は1シャーレあたりの菌体乾燥量で求めた。

       実騎結果

 (1)静置培養

 五抄θ械〃㈱oo伽α6㈱はYPG培地で非常によく生長する。しかし,炭素源のブドウ糖を        1

欠如させたYP培地では,収量は約   となった。このYP培地にラウリン酸を徐々に加え       5.5

てみると,1%までの濃度では,コントロールYP培地の場合と収量に大差はない。しかし,

4%にまでラウリン酸の濃度を上げると,この酸は炭素源としてフドウ糖以上の価値を持っ てい:ることがわかる。しかし,λ砂昭〃〃∫oη湖θに対しては,ブドウ糖ほどの価値を持ち得 ないようである。これに対して,P舳α〃㈹の2種に対しては,ラウリン酸は炭素源とし て価値を持たないか,又は生長阻害剤としての働をするということがわかった。(Fig.・1)

(3)

St a[ i c C u I tu r e 

Fig. 

 

 

100 

100 

= 50 

Penicillium 

10050

P.

m舳m

0 0

0,2 1,01,0  2,02,0  4.040 

YPG YP Laurlc AGid ( "/'. ) 

1 . Effect of lauric acid on the growth of four kinds of fungi in the static liquid culture  Medium YP ( asal medium) : 0.3  Yeast extract, I   Peptone. Medium YPG : YP,  2   glucose. Medrum 0.2  Lauric Acid : YP, 0.2  Lauric Acid. Medium I .O   Lauric Acid : YP, I .O  Lauric Acid. Medium 2.0  Lauric Acid : YP, 2.0  Lauric  Acid. Medrum 4.0   Lauric Acid : YP, 4.0  Lauric Acid 

(4)

106

西上一義

 (2)振鑑培養

 前述のように,鋤昭〃伽に対して炭素源としての意味を持ったラウリン酸も,振盤培養 をすると,きぴしい生長阻害剤として働くことになる。2種のPθ枕棚舳に対しても全く 同様である。(Fi&2)

;;

o

100 岬1rgil1蝸 0岬1

50

100 ^.06㎞a8㎝S

50

m

100

s11川g川tHl

P8皿icilli山m舳irum

8 50

10050

P.

m側m

o 0

0.2 1.0 2.0 4.0

0   0

皿2  10  20  仏0

       YPG   YP    [aOri0加id(%)

F1g2 E岱ect of1aunc ac1d.on the growth of four kmds of fung11n the shakhg11qu1d.

  cu1ture The compos1t1on ofmed1a1s the same as F1g1

(5)

 (3)二酸化炭素封入静置培養      一一

 A砂昭泌鮒,肋〃肋肋肋共に,二酸化炭素による嫌気条件下の培養で,増殖量は非常に強 く抑制された。ほぼ完全な栄養物質を含んだYPG培地のもとにおいてさえ,λ抄θ卿〃㈱

      1

○悩αθは,ほとんど一の収量となった。炭素の主たるものの欠如したYP培地においても,

      8

生長量は極めてわずかとなり,特に五06加αo伽,Rα肋〃㈱,P〃o肋肋榊においてその生 長阻害度が大きかった。炭素源としてラウリン酸を与えた時には,4種の菌に対する生長阻 害は一層大きなものとなり,殆んど完全な生長阻害となった。(F1g.3)

肌舳州6 阯1汕

U ■ 凹■一■U w  凹 I ■ ㎜    ,   ^s岬i11蝸

州Za8

1005010050100珊

^︐

0帥閉8阯3

P州11ium 6itri09m

1

てoo

50

P.mi伽㎜

        0  0  02  10  刎  ω

       w6   [。㎜ri6加i岬)

F1g3 E価㏄t of1aur1c ac1d on the growth of four khds of血ngl m the anaerob1c11qu1d−

  cu1ture Thecompos1t1on ofmed.1a1s the sameas F1&1

(6)

108 西 上 一 義

 (4)平板培養

 前記3種類の培養条件と比べて,この時はかなり対照的な結果となった。ラウリン酸は炭 素源としてよく利用された。YPG培地の中のブドウ糖は2.0%であるから,ラウリン酸の炭 素源としての価値は同濃度ではブドウ糖に殆んど匹適する。4%にまで濃度を上げると,さ

らに収量は増加し,ラウリン酸が良い炭素源となることを示している。(Fig.4)

Platc lt岬9 100

50

100

冒50

o

翻 圃翻

ム1岬gi1l1l1r岬

10000

P. 00tat㎜m

50

i

        0  0  皿2  1.0  2,0  4.01.

       YPG  YP   Lauri0^Cid(×)

F1g4 E伍ect of1aur1c ac1d on the growth of four kmds of fung1m the p1ate cu1ture   To each medium3%agar was added Another compos1t1on of med1a1s the same   as Fi&1。

(7)

       考     察

  般的に高級脂肪酸は,糸状菌にとって良い炭素源となる。しかし,ラウリン酸(12C)

のように炭素数がやや減少してくると,菌によっては炭素源としての価値を持たれなくなる ことがある。また,培養条件が変ることによって,ラウリン酸は同一菌種に対しても,炭素 源となったり,生長抑制物質になったりする。このたぴ使用した4種類の菌では,A卿悠弘 zω∫とP舳クc倣㈹に対して平板培養をお・こなうと,ラウリン酸はすべて良い炭素源となった。

しかし,液体培地で振艶培養をおこなうと,その傾向は全く反対の結果となり,ラウリン酸 はすべて生長抑制効果を持った。培養条件をさらに嫌気的にして,気相に二酸化炭素を封じ た液体静置培養では,ラウリン酸の生長阻害効果は一層顕著なものとなった。これに対して,

通常の液体静置培養をおこなうと,ラウリン酸はA卿椴伽3属の2種に対しては,炭素源 として働き,肋〃伽〃伽榊6伽加ω刎に対しては,促進的にも阻害的にも働かず,R〃0勉肋榊 にはきびしい生長阻害をおこなっている。このようにラウリン酸の生長阻害様式は単純では ない。このたびの報告では現象面の報告のみにとどまったが,さらにこの酸の生長阻害機作 について今後調べてゆく予定である。

       結     論

(1) ラウリン酸は2属4種の糸状菌A吹妙伽∫oリ湖θ,A抄昭〃伽0c伽α0舳,Pθ枕 加刎  α肋舳榊,P㈱α〃㈱犯0肋㈱に対して,寒天平板培養をおこなうと良い炭素源となる。

 しかし,液体静置培養の場合,肋舳〃z㈱o伽舳肋には炭素源として意味を持たず,

 P肋κ棚㈱〃0肋㈱にはさらに生長阻害物質として働く。

(2) 振盤培養をおこなうと,ラウリン酸はこれら4種の糸状菌に対して,すべて生長阻害剤  として働く。

(3) この阻害効果は二酸化炭素による嫌気的条件下の培養で一層促進された。

       文     献

1)TAUss0N,W01928B1och帥Z19385−93

2)THALERHand−GG趾sT1939B1ochem.Z302121イ36 3)丁亘ALERHandWEIsENL0服1941B1ochemZ30888−102

4) STERN,A1M!,z J.ORDAL and H O HALv0Rs0N1954 J BAcTERI0L6824−27 5) NIs亘IGAMI,K1970 Mem Fac L1t&Sc1,Sh1mane Unw,Nat Sc1.3101−111

参照

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