情報数学 I − A No.12 補足資料
束(Lattice)
(X,≼)を順序集合とする.
∀x, y∈Xに対して,{x, y}の上限(x∨y)と下限(x∧y)が存在するとき,X を束という.
定理1 集合Xの各要素x, yに2つの演算∨,∧が定義されていて,x∨y, x∧y がX に属すとする.このとき,∀x, y, z∈Xに対して演算∨,∧が
• 結合律: (x∨y)∨z=x∨(y∨z), (x∧y)∧z=x∧(y∧z)
• 交換律: x∨y=y∨x, x∧y=y∧x
• ベキ等律: x∨x=x, x∧x=x
• 吸収律: x∨(y∧x) = (x∨y)∧x=x を満たすならば,Xは束である.
証明. 各要素x, y∈Xに対して,2項関係≼を x≼y def⇔ x∨y=y と定めるとき,≼が順序関係であり.
x∨y= sup{x, y}, x∧y= inf{x, y}
であることを示そう.ベキ等律より
x≼sup{x, x}=x∨x=x より 反射律 x≼x を得る.
次に,
x≼y かつ y≼x とすると,
x∨y=y かつ y∨x=x となるので,交換律より
x=y∨x=x∨y=y より
反対称律 x≼y かつ y≼x ⇒ x=y を得る.
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最後に,
x≼y かつ y≼z とすると,
x∨y=y かつ y∨z=z となるので,結合律より
x∨z=x∨(y∨z) = (x∨y)∨z=y∨z=z
すなわち
x∨z=z となるので,推移律
x≼y かつ y≼z ⇒ x≼z
を得る.よって,2項関係≼は順序関係であり,(X,≼)は,順序集合となる. 次に,x∨y= sup{x, y}を示す.まず,結合律より
x∨(x∨y) = (x∨x)∨y となり,ベキ等律より
x∨(x∨y) = (x∨x)∨y=x∨y
となるので,
x≼x∨y を得る.同様に,結合律とベキ等律より
(x∨y)∨y=x∨(y∨y) =x∨y
となるので,
y≼x∨y
を得る. ゆえに,x∨yは{x, y}の上界の元である.ここで,{x, y}の任意の 上界の元をzとすると,
x≼z, y≼z であり,
x∨z=z, y∨z=z である.ゆえに,
(x∨y)∨z=x∨(y∨z) =x∨z=z
となるので
x∨y≼z 2
を得る. zは{x, y}の任意の上界の元であったから,x∨yは{x, y}の最小上 界,すなわち,{x, y}の上限である.よって,
x∨y= sup{x, y}
が成り立つ.次に,x∧y= inf{x, y}を示す.まず,結合律より x∧(x∧y) = (x∧x)∧y
となり,ベキ等律より
x∧(x∧y) = (x∧x)∧y=x∧y
となるので,
x∧y≼x を得る. 同様に,結合律とベキ等律より
(x∧y)∧y=x∧(y∧y) =x∧y
となるので,
x∧y≼y
を得る.ゆえに,x∧yは{x, y}の下界の元である.ここで,{x, y}の任意の 上界の元をuとすると,
u≼x, u≼y であり,
x∧u=u, y∧u=u である. ゆえに,
(x∧y)∧u=x∧(y∧u) =x∧u=u
となるので
u≼x∧y
を得る.uは{x, y}の任意の下界の元であったから,x∧yは{x, y}の最大下 界,すなわち,{x, y}の下限である.よって,
x∧y= inf{x, y}
が成り立つ.
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