• 検索結果がありません。

尿素を原料とするアンモニア燃料・水素エネルギーシステムの研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

シェア "尿素を原料とするアンモニア燃料・水素エネルギーシステムの研究 "

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成24年度)

テーマ4 小課題番号4.2-4

尿素を原料とするアンモニア燃料・水素エネルギーシステムの研究

キーワード(水素生成,アンモニア燃料,ウレアーゼ) 雑賀 高 野原徹雄**

1.はじめに

筆者らは,次式に示すよ うな化石燃料に頼らないア ンモニア(NH3)を水素(H2)キャリアとする燃料電池 発電システムを開発してきた1)

NH3  0.5 N2 + 1.5 H2, H2 + 0.5 O2  H2O + 2.4eV (1) しかし,アンモニアが化 石燃料由来であること,生 産に大きなエネルギーを使うこと,安全性等が問題で ある.それらを解消するた めに,様々な物質から回収 でき,安全性および使用実 績が豊富な再生エネルギー である“尿素”を原料とするNH3燃料・H2エネルギー システムについて新たに研究を進めている2). 本研究では,より小さいエネルギーで尿素をNH3へ 分解可能な酵素触媒であるウレアーゼを使用した尿 素加水分解実験により,NH3生成速度について検証し た. Lineweaver-Burkプロ ット等により,尿素濃度に 対する最大反応速度やミカエリス定数を算出し,阻害 剤ありなしによるNH3発生 量計算を可能にした.また 燃料電池による緊急用発電システムへの適用可能性 も示した.

2.2010/2011年度の成果 概要

現在,代替燃料として考えられる H2および NH3

の可能性について,内燃機 関等で使用されているガ ソリンやバイオ燃料の代表 であるメタノールとの比 較 3) を Table11,2)に示す.H2は質量あたりでのエネ ルギー密度は高いが,体積 あたりのエネルギー密度 で は 不 利で あ り, 液 化す るた め に-253℃ま で 冷却 す る必要がある.それに対し,NH3はわずか-33℃で冷 却するか,LPG自動車の燃 料タンクと同等の約 8気 圧まで圧縮すれば液化が可 能になる.また, メタノ ールとの比較では質量およ び体積あたりのエネルギ ー密度はほぼ同じである.実際に1940年代にはガソ リンの不足により,NH3を 燃料とするバスが北欧の 交通機関として運行されていたこともある.

しかし,NH3の有毒性, 製造時の大きいエネルギ ー消費および化石燃料由来 の炭化水素系原料の使用

等について懸念が残る.そのため,NH3分子を含有 し,様々な物質より回収可 能,安全性および一般へ の使用実績が豊富な“尿素 (Urea, (NH2)2CO)”を次 式のようにNH3のキャリア 燃料として検討している

2)

(NH2)2CO + H2O  2NH3 + CO2 (2)

Table1に示すように質量 あたりのエネルギー密度

はNH3より劣るが,常温で は固体のため,体積あた りのエネルギー密度は NH3と同等である.さらに,

尿素水生成時の潜熱も冷却 エネルギーとして利用可 能で,安全安価に長期間の 在庫も可能なため,より 小さいエネルギーによるNH3への変換が可能な場合,

有望な代替エネルギーとしての可能性がある.

仮に NH3から H2→燃料 電池→発電の検討結果 3) の上流に,回収尿素を酵素 触媒のウレアーゼによっ てNH3へ加水分解をした場 合のWell to Wheelの計

算結果をFig. 1に示す.こ の結果より,理論上では

燃料電池による高いエネルギー効率が得られる.

Table 1 Properties of current and alternative fuels

1,2)

Solid Gasoline Methanol H2 NH3 Urea H2 concentration (wt%) 15 12.6 100 17.8 6.7

Boiling Point (C) - 64.4 -253 -33.3 132.7

Density (g/L) at 20C 728 795 70.9 680 1335

Energy Density (kJ/g) 43.44 19.96 118.59 18.63 9.07 Energy Density (kJ/L) 31624 15868 8408 12668 12106

Melting heat (kJ/mol)

at 25C and 1atm - - - 34.18 -15.4

Properties Liquid

3.酵素触媒を使用したNH3発生量および発生速度

Fig. 2 に示した実験装置に よる,ウレアーゼ触媒

での尿素加水分解によるNH3生 成最適条件は,これ までの実験結果より尿素水濃度 10wt%,尿素水温度 40℃ 以 下 , 尿 素 水 pH6.4~7.4( 使 用 ウ レ ア ー ゼ 最 適 pH)である2).しかし,酵 素触媒は様々な物質によ り反応速度が低下し,NH3がウレアーゼの阻害剤に なる報告 4)もある.それら の確認のため,尿素のモ

* :工学院大学グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

** :工学院大学非常勤講師

(2)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成24 年度)

テーマ4 小課題番号4.2-4 ル 濃 度 を 変 化(5~20wt%)さ せ た 尿 素 水 溶 液 100g を

S(基 質)と し , ウ レ ア ー ゼ 触 媒 20,000Unit( 理 論 上 0.02mol/min の NH3発生可 能)にて NH3発生反応速 度を検証した.

Fig. 3にNH3への各尿素 水濃度での最大反応速度 の実測結果を示す.5wt%ま では反応速度に大きな差 が 認 め ら れ る が ,10wt%以 上 の 尿 素 濃 度 で は 差 が ほ ぼなく,最大反応速度 Vmax=1.44×10-6mol/secになる ことが確認された.しかし ,理論上のウレアーゼ触 媒の最大反応速度は 3.33×10-4mol/sec であり,実際 に は 理 論 上 の 約 0.5%の 反 応 速 度 に 留 ま っ て い る こ とが判明した.

次 に , ミ カ エ リ ス 定 数 Km を 算 出 す る た め に ,

Lineweaver-Burkプロットを 作成し,理論上のウレア

ーゼ触媒反応速度(阻害剤 なし)との比較も行った

結果をFig. 4に示す.プロ ットの形状比較およびウ

レアーゼの活性中心に重金 属の Ni を含んでい るこ とを考慮すると,非拮抗阻 害のタイプと推測される.

そのため,E(酵素) + I(阻害 剤) → EIの平衡定数を KIとした場合,阻害剤の NH3存在下の反応速度 vI

は,次式となる.これより,NH3生成速度や量の推 測が可能になり,緊急時に 長期保管してある尿素と 水を加水分解し,発生したNH3にてアルカリ型燃料 電 池(AFC)を 駆 動 さ せ る 非 常 用 電 力 シ ス テ ム の 可 能 性も考えられる.また,非拮 抗阻害のタイプではE,

ES(酵素-基質複合体)に結合 して阻害するため,結合

後 の 解 離(E と の 解 放)が 起き る よ う な 処 理 をす る こ とにより,NH3反応速度効 率のさらなる向上が考え られる.

4.おわりに

(1) Lineweaver-Burkプロットに て,ウレアーゼ触媒 による実験結果より,最大 反応速度およびミカ エリス定数を算出し,生成物である NH3による ウ レ ア ー ゼ へ の 非 拮 抗 阻 害 の 可 能 性 を 示 し た . (2) NH3生成速度の推測より,AFCによる緊急用発

電システムの適用可能性を示した.

参 考 文 献

(1) T. Saika, T. Nohara, et al, JSME International Journal, Series B, Vol. 46, No. 1, pp. 78 -83, (2006) (2) 野 原 徹 雄 ,雑 賀 高 , 日エ ネ 誌 ,90, 895-904,(2011) (3) R.Halseid, Dissertation No.2004:25-Mar., NTNU, (2004) (4) 丸尾 文治, 酵素ハンドブック, 朝倉書店, p.583, (1982)

Fig. 1 From well to wheel of urea/NH3 fuel (HHV base)

Fig. 2 Experimental apparatus and pictures

Fig. 3 Reaction rates of each urea hydrolysis by urease

Fig. 4 Km calculation result by Lineweaver-Burk plot

参照

関連したドキュメント

水素エネルギ システム Vo1...

研究論文 水素エネルギーシステム

水素エネルギーシステム Vol.28,No.1(2003) 資 料 -102-

原子力水素研究の経緯 エネルギー・キャリアーとしての水素を再生可能 エネルギーや原子力により生産する構想は

水素エネルギーシステム Vol.30、 No.1 (2005) 研究室紹介 研究室紹介 豊橋発の異分野融合をめざす水素材料工学研究室 西宮

水素エネルギーシステム Vol.33, No.2 (2008) 若い研究者の声 若い研究者の声 走れ水素自動車 上遠野 晶 武蔵工業大学大学院

【この研究開発の応用が期待される用途】

Storage(水素貯蔵材料としての遷移金属水素化物と 錯体水素化物に対する第一原理的研究) 著者 三輪 和利 号 2133 発行年