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ラベンダー香気抽出物の保存中における 成分変化の検討

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Academic year: 2023

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化学と生物 Vol. 55, No. 3, 2017

本 研 究 は,日 本 農 芸 化 学 会2016年 度 大 会(開 催 地:札 幌 コ ンベンションセンター)の「ジュニア農芸化学会」で発表さ れたものである.発表者らは,日常の消費生活において,香 水や食品の保存に冷暗所が推奨されることが多いことから,

光と熱の品質への関与に着目した.さらにその一因としてに お い 成 分 の 劣 化 が あ る の で は な い か と 考 え,長 期 間 に わ たって検討を行っている.

本研究の目的・方法および結果

【目的】

市販の香水や食品のラベルにはしばしば保存方法とし て「冷暗所に保存」という記載がされている.このこと から,成分中の香気成分が熱と光により分解し,その結 果製品の品質に影響を与えているのではないかと考え た.そこで試料として乾燥ラベンダー花弁から抽出した 精油を用い,紫外線および熱処理後,精油成分にどのよ うな変化が起こるのか,またその影響はどちらが大きい のか探索することを目的として実験を行った.

【方法】

1. 試料

富良野産乾燥ラベンダー花弁5 gに40 mLのヘキサン を加え,超音波を30分当てて香気成分を抽出した.こ の操作を繰り返し,大量の抽出物を調製した.

2. 紫外線処理

ガラス製透明バイアルに15 mL分の抽出物を入れパラ フィルムで密封し,図1に示すような木製の暗箱の内部 に静置し,上部からブラックライトによる紫外線(波 長;254 nm)照射を室温下で2時間および4時間行っ た.

3. 熱処理

上記と同様のバイアルに15 mL分の抽出物を入れ,パ ラフィルムで密封し,図2に示すような40℃の定温器内 に2時間および4時間静置した.

ラベンダー香気抽出物の保存中における  成分変化の検討

大宮北高等学校

新井悠太,牛島康貴,渡辺竜世,関根和暉,天野遥子,伊藤大透,神田快翔,

木村真優(指導教員:竹野徹美)

図1紫外線処理に用いた木製の暗箱とブラックライト

図2熱処理に用いた定温器

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

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4. 機器分析・成分測定

紫外線および熱処理した抽出物はロータリーエバポ レータにかけて溶媒留去を行い,得られた精油100 mg あたり1 mLのジクロロメタンを加え,そこから1 µLを 取りGC測定に供した.精油中の主要香気成分であるリ ナロールと酢酸リナリルについては別途,スタンダード 化合物(試薬1級)を同条件でGC測定し,そのリテン ションタイムから各抽出物のクロマトグラム上のピーク の同定を行った.それらのリテンションタイムは近接し ており,明確な分離が得られなかったため,リナロール と酢酸リナリルの2本のピークを合わせたピーク面積を 測定し,クロマトグラム上の溶媒を除いた全体のピーク

面積に対する割合を算出した.

【結果】

図3に紫外線および熱処理を行った精油中のリナロー ルと酢酸リナリルの量の変化を示した.紫外線処理で は,照射2時間目以降から無処理のものと比べ香気成分 が減っていることがわかった.熱処理では4時間処理を 行っても香気量に大きな変化は見られなかった.このこ とからラベンダーの精油は,紫外線により香りが薄まっ てしまうことがわかった.

【考察および今後の課題】

今回実験に用いたラベンダー花弁抽出物の形態では,

香気の変化に及ぼす影響は熱より紫外線のほうが大きい ことが示された.

上記の実験のほかに発表者らは,乾燥ラベンダー花弁 の素材のままでのにおいの変化についても検討を行って いる.しかし特に紫外線処理を行う際,容器に入れた試 料全体を均一に照射することができず,再現性のある データを得にくかった.今後は熱,紫外線処理とも均一 に行われるよう処理の手法を工夫することにより,正確 な変化の傾向をつかむことが可能になると思われる.

また発表者らは今後,ラベンダーの産地,紫外線の波 長,定温器の温度などの条件の違いによる香気成分の変 化についても実験をしていきたいと述べている.

本研究の意義と展望

食品はもとより,香水・洗剤・シャンプーなどの香り 製品は,われわれの生活を豊かなものにしてくれる.そ れらの品質に対し香気成分の果たす役割は大きい.発表 者らはメーカーの示す保存条件がどのように品質にかか わるか,化学的な根拠を示すべく香気成分の研究を行っ ており,その発想は学術面だけではなく,産業界にとっ ても非常に意義深いものと言える.種々条件による香気 化合物の変化,さらにその変化がどのように品質に影響 するかを見極めることは困難な道のりであると思うが,

さらにますますの発展を祈りたい.

(文責「化学と生物」編集委員)

Copyright © 2017 公益社団法人日本農芸化学会 DOI: 10.1271/kagakutoseibutsu.55.217 図3紫外線処理および熱処理を行った乾燥ラベンダー花弁抽

出物中のリナロールと酢酸リナリルの変化

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

参照

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