五 調 査 法
植生の調査方法は対象と昌的により様々な方法が考えられる。ここではBr撫n−Blanq殺etによ る植生調査方法を用いて植生図が作製された。
1. 植 生 調 査
Bτaun−Bla簸quet!964による植生調査法には次の3つの特徴がある(Westh誼, V&E. Marei 1973)
1) 植物群落は植物相の構成種によりみとめられた様々なタイプが理解される。群落の全ての 構成種は,他のどのような特色よりも,それぞれの環境との関連をより強く示している。
2) 群落を構成している種の中には,ある種は他のより強い結びつきを示すものがある。現実 的なクラスわけおよび環境との結びつきから,これらの種の生態的つながりは,より効果的 に,生物環境を指標する。これらの種牛は診断種群(標甲種,区分種,随伴種)とされる。
3) 診断種群は,基本的単位である群集の系統化された分類体系の中の群落を常に構成する。
等等群落の分類は植生学の最終属的ではないが,群落間の結びつきや環境を理解するために は,植物群落の分類は,きわめて貴重である。
したがってBraun−Blanquetによる植生調査法(全推定法)は,移動能力のない個々の植物の 集合体としての種の組み合わせを基礎とした植物群落が,生命集団の側からのそれぞれの環境と の関連をより適確にあらわし,総合的な,しかも生物的環境指標となりうる。
八丁原では1973年6月から11月目かけて現地調査による植生調査(Vege重ationsaufnahrme,
relev6)が行なわれた。植生調査に際しては,調査対象域内の全出現種に対して階層別に完全な種 のリストがつくられた。群落階層は森林のような多層群落については高木第1層B、(Baumschit−
cht−1),高木第2層あるいは}1【i高木町B2(Baumschicht−2),低木層S(Strauchschicht),草本 層K(Krautschicht),癬苔層M(Moosschicht)にわけて各階層の全植被度が与えられた。
ついで各層の出現種について全的定法(Brau恥Blaquet 1964)セこより総合優i占度(Artmachti−
gkeit)(緯度Decku捻gsgrad;5階級Ellenberg 1956他)とともに群度Sosiabitatが与えられ
た。
a.被度(Deckungsgrades, cover−a馳痴a穐ce)
植物が空間を占めている寄合。5〜rの7段階にわけられる。
5:被度が調査面積の75〜100%を占めている。
4 : 〃 50〜75傷 〃
3: 〃 25〜50タ6 〃
2:きわめて個体数が多いか,調査地の5〜25%を占めている。
2m 個体数が極めて多い。
2a◆5〜125%を占めている。
2b ●12 5〜25% 〃
1・きわめて低い被度て個休数が多い場合,あるいは個休数は多くはないか被度が高い場合。い すれも被度か調望地の5%以下。
÷ きわめて低い被度てわずかな個体数。
r.!か2聖体。
被度のうちrはきわめてまれに1個休くらいか生育している場合に使われている。
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2 1 ÷ Flg 5 Braun−Blanquetによる被度の配分模武
Schematlsche Vertellung des Deckugsgrades nach Braun.Blanquet 1964
b 群度(Soziabi翫at, soc量abihty)
群度は種の水平パターンであり,個々の植物個体かどのような形て生育しているか5階級て示
される。
5.大きな塊て生育するか,完全に調査地域をおおうカーベノト状に生育する。ほとんど純粋 な個体群。
4:大きな斑紋状,あるいはカーペソトに穴かあいているような状態。
3.小桝の斑紋状。
2●小群状あるいは2・3個体ずつ生育する。
1:単生。
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Fig。6 BraunBlanquetによる群度の配分模式
Schematische Verteilung der Sozlabilitat nach Braun.Blanquet!964
被度,群度を記載することにより,植生の群落機構や,群落組織をより明確に形づけることが
できる。
植生調査面積は種数一面積曲線による最小面積(Minimum・Areal)(宮脇1967,1977他)以 上の大きさがとられた。調査面積はあまり大きくすると群落の異質な部分が混入する恐れがある。
したがって均質と考えられる植分について最小面積より,少し大きい面積が方形区または不定形 で調査区がとられた。
各植生調査では海抜高度,方位,傾斜,微地形,植物季節(花期,実期),隣接植物群落,人 為的干渉の種類と程度などが記録された。種の生活力についてはとくに回につくものについての み記録された。生活力の判定は細かく区分するほど主観が入りやすいので,実際の野外調査では,
とくに生活力の弱い種についてのみ,六度,群度の右肩に印を2・2。のように付記された。
植生調査(アウフナーメ』)についてはTab.2に示されている。
2. 群落組成表の作製
現地で得られた調査資料は,ほぼ同じ群落に属すると考えられる資料ごとにまとめられ,それ ぞれの群落組成表に組まれた。群落組成表は5mm:方眼紙を利用して以下の手願で作業が進めら
Tab.2 植生調査の一例
Ein Beispiel f且r eine Vegetationsaufnahme Aufn. NL AM−4 Dat. 73.1L7 0rt大分県九重・上泉水山
Aufn. von AM. KF. KK:. u. KI,
B−1 281n 80タ6 B−2 12m 50%
S 3m 80%
K O.8m l%
M 一%
Exp. u. Neigumg N 15。
銭6he廿. M.1180m 20×30qm Mikrorelef u. Boden Artenzahl 14種
B14・2 ブナ
3・2 ヨグソミ不バリ 1・1 ウリハダカエデ !・2 コハウチワカエデ 1・2 ネコシデ
B23・3 リョウブ 1・2 シラキ 1・2 ヨグソミ不バリ 1・1 エゴノキ 1・1 ホウノキ 1・! フナ
十 オ八一アサガラ 十 コハウチワカエテ 十 ハリギリ
S
K
5・4 1・2
スズタケ タンナサワフタギ カナクギノキ1くi
れた。
1:アウフナーメの素表(Rohtabelle, primary or raw table)への組み入れ。
2:素表を常在度表(Stetigkeitstablle, pregence table)に常在度の高いものから並べて書き かえる。
3:部分表(Teiltable, partial table)の組みかえによる診断種群,識別種群の発見。
4:局地的に有効な識別種群の有無による識別種表(DiHerenzierte Tabelle, differentiated table)への組み替えQ
(3から4への部分表作業は何回も組み替えを行なう)。
5:統合された総合常在度表(ローマ数字表:Ubersichitstabelle, synoptic table)による標徴 四型,区分超群の発見。
6:識別種表から群落表(Phytocoenon table)・群集表(Sy聡axon table)への組みかえ。
九重山地,阿蘇地域についてはいくつかの発表論文が出されているので,現地で得られた調査資 料と比較検討された。
3. 植生図の作製
植生図は各植分についての植生調査資料を群落組成表により比較検討された結果,科学一般に 用いられる類型化の概念により,抽象化された植生単位の具体的配分を地図上に描いたものであ る。今回は八丁原地域の自然環境診断,立地診断のための現存植生図,および,自然環境や景観 の保全,復元の基礎としての潜在自然植生図が描かれたQ
1)現存植生図
現存植生図は現存する具体的な植生を地図上に示した図である。八丁原現存植生図は縮尺1:
10000の地形図上に描かれた。
現地における植生調査の際に,相観による植生図が現地で描かれ,均質と考えられる野分を中 心に各相観の異なる植分,あるいは海抜高度,斜面など自然環境の異なる野分について植生調査 を行ない,調査地点がプロットされた。さらに室内作業で群落単位の抽出を行ない,プロットを 対照させ,空中写真で広がりが確認された。さらに第2回目調査で補足調査を行ない,植生調査 を平行させて,現存植生図の確認が行なわれた。
植生図では森林は緑色系,乾生草原は黄色,湿生草原は青色で示されている。
2) 潜在自然植生図
潜在自然植生は,現存植生の如何を問わず,それぞれの立地の潜在自然植生維持能力を現地調 査を基礎に理論的に表現したものである。八丁原地域では火入れ,伐採,植林などにより山地 地域にわずかに自然植生が残されているにすぎない。したがって,残存している自然植生,残存 木,代償植生,土壌断面,さらに広く久住,阿蘇地方の残存現存穂生の植生調査資料との比較に より潜在自然櫨生が決定された。土地利用形態景観なども加味して潜在自然植生図が描かれた。