第9章 学術情報
2. 教育の国際化
2-1 海外からの留学生の受け入れ
留学生では、第一期中期目標・中期計画期間中の留学受入増に向けた施策とその成果、
ならびに、第二期中期目標・中期計画に従い、学部も大学院も中国から多くの学生を受入 れてきた(実績については本節末尾の表を参照)。
教育面のうち、入学者の選抜においては、学部段階で留学生対象の特別試験を実施して いる。詳しくは、第3章を参照されたい。大学院においては、平成18年(2006)度に修士 課程のみの経営管理大学院と公共政策職大学院(いずれも専門職養成機関)が開設された ことに伴い、大学院経済学研究科は 5 年一貫の博士課程(研究者養成を主眼とする)のみ となり、2年間のみの留学を前提とする留学生特別選抜試験は廃止され、留学生も5年一貫 コースの試験によって選抜されることになった(第2章2-2参照)。これらは、留学生側の 専門職大学院へのニーズに対応した措置であり、選択肢の多様化と評価しうるものである。
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またこれらの制度変更後も、海外からの留学生を含む他大学の修士課程修了者のための博 士後期課程の編入は継続されており、留学生が 3 年間での博士学位の取得を目標に博士後 期課程から本研究科で学ぶことも可能である。平成18年(2006)度から平成21(2009)
年度の間には、計 3 名がこれにより博士課程に入学している(下記別途選考等の合格者は これとは別)。
これらの試験に際しては、留学生も国内学生と同一試験問題によって試験されているが、
留学生の教育課程・学習歴・言語環境の相違などのありうるハンディキャップに対しては、
試験科目の数と時間数により負担の軽減が図られている。日本語による試験が不適当な学 生のために特別試験を行うこともあり、国費・政府派遣の留学生や特別コース(下記)の 学生の選考の際に適用されている。
その他、大学間・部局間交流協定に基づいて、交換留学生(半期~1年程度の短期)を「特 別聴講学生」として受け入れている。これらの多くの留学生は、学部・大学院の学年開始 前に来日し、特定の指導教員の指導をうける研究生として、特定のテーマに関する研究を 行いつつ、上記各課程・コースへの入学・試験に備えることが多い(第2章も参照)。
学部・研究科の総計で150名を超える留学生に対応するため、2名の留学生担当教員が配 置され、留学生向けの授業や、留学生対象のチューターの選定、留学生の学習・生活両面 の相談にあたっている。また下記東アジアコースの担当教員や、全学・部局間協定担当教 員などをはじめ、その他の教員も、これらコースの運営の中で、また個別に、これら留学 生の支援を行っている。留学生の歓迎会、研修旅行も毎年の行事になっている。平成 18
(2006)年度には、TAを用いた留学生支援室が開設され、学習面・生活面での支援を担っ ている。これらの留学生対応のため、留学生担当教員・国際交流関係の各委員会関連教員・
教務関係教員・執行部を構成員とする「国際交流教育委員会」(21年度末に旧来の「留学生 室運営委員会」より改組)が設けられている。
この間の教育国際化に関する実績として特筆すべきは、平成21(2009)年10月より、「東 アジア国際人材開発コース」を開設したことである(第2章3-3、4-3も参照)。同コースは、
a)日本語能力に欠けても学科の学力を十分有する者、b)海外に在住する者で、日本留学の希 望と能力を持つ者を掘り起こすために設置された。同コースは、「主に英語による授業で学 位取得可能なコース」であり、英語と日本語の双方で講義等を提供している。平成21(2009)
年度には、同コースに 5 名の学生が入学した。同コースの募集・選抜は、海外募集の入学 試験(書類および電話面接試験)と国内募集の入学試験(筆記および面接試験)によって いる。またこれら同コースの入学生のうち、毎年 3 名を国費留学生として推薦している。
この奨学金制度は、彼らの渡航にとって極めて重要なインセンティブとなっている。これ らの事実については、ホームページ上でも広報している。
また、同じく平成21(2009)年度には、交流協定先である人民大学(中国)内に「京都 大学・人民大学聯合経済研究中心」を設置し、交流を強化した。その結果、上記の「東ア ジア国際人材開発コース」にて、その1期生として人民大学から1名の学生を受け入れた。
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それ以前においては、同様の海外拠点を中国復旦大学内に設置しており、同様の事業を 行なってきた。またその他にも、各地の交流協定締結校からも同様の趣旨で留学生を受け 入れている(第3章5-1、5-2も参照)。
表10-1 経済学部・経済学研究科における留学生の受入状況
項 目 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度
国内受入の 目的別人数
※各年度の 在学者数
①留学人数合計 218 188 173 174 155
(米国) 0 1 0 1 0
(欧州) 14 9 5 13 5
(アジア) 195 172 158 145 138
(その他の国) 9 6 10 14 12
[学士課程] 38 38 40 38 39
[修士課程] 70 47 31 31 38
[博士課程] 62 63 57 47 35
[その他] 48 40 45 58 43
<学生交流協定対象> 12 9 4 14 13
②研究(研究生、
特別研究学生)
37 30 42 44 31
2-2 本学部・研究科の学部学生・大学院生等の海外への留学
本学部・研究科に在籍する学生が、全学レベルの交流協定締結大学や部局レベルの交流 協定締結大学(15 大学 18 部局)、並びにその他の学習・研究に適した海外の大学で学ぶこ とも奨励されている。過去数年は、毎年 10 名を超える学生が、部局の承認を得た上で在学 のまま海外に留学している。授業料免除協定を締結した交流先大学(国立政治大学社会科 学院〔台湾〕、ヨハン・ヴォルフガンク・ゲーテ大学経済学部〔ドイツ〕、イェンシェピン ク大学国際ビジネススクール〔スウェーデン〕)への留学の場合には、授業料が免除される。
また渡航費・滞在費についても、文部科学省、京都大学教育研究振興財団、各種財団、渡 航先大学、渡航先各国の留学生支援財団などからの奨学金等の支援制度があり、一部の留 学生はこれを利用している。他方、当然ながら、在学中の留学でも完全に私費によって留 学する場合もある。期間は、1 セメスター(半期)、1 学年、1.5 学年等、事例により多様 であるが、海外大学で受講し留学先で単位認定を受けた単位は、帰国後ないし留学先での 認定後に、本学部・本研究科で審査の上、経済学部・経済学研究科の単位として適当なも のは本学の専門単位として読み替えられ単位認定されている。
近年の特筆すべき取り組みとしては、いわゆる「大航海プログラム」があげられる。京 都大学大学院経済学研究科は、文学研究科・経営管理大学院とともに、2009年 2月より 2013 年 1月までを実施期間として、「京都エラスムス計画-持続的社会発展に向けた次世代アジ
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ア共同研究リーダー育成」を開始している。同プログラムは、日本学術振興会の「組織的 な若手研究者海外派遣プログラム」(平成21年度)の枠内で行われるものであり、若手研究 者 が行う2ヶ月程度以上のまとまった期間の海外派遣を内容としている。平成22年度にお いては、大学院生、ポスドク等について合計 70名程度を予定し、特にポスドクの 2ヶ月以 上派遣を 16名程度予定している。
その他、全学レベルでの取り組みとの関連では、京都大学が加盟しているAPRUやAERUな どの国際大学連合が主催する学生キャンプやワークショップに、学部生や大学院生が参加 することもあり、その際には大学側より一定の経済的支援も行われる。
今後の課題としては、学生交流協定を持つ学部間交流協定の実質化(学生への周知・応 募支援体制の整備による送り出し数の増加)や、本学学生の留学希望先地域・国に合わせ た交流協定締結先(特に英語圏)の開拓・再編などが考えられる。エラスムス計画には応 募が殺到しており、潜在的なニーズは高いと考えられるので、組織的な取り組みが必要で あろう。
表 10-2 経済学部・経済学研究科からの学部学生・大学院生海外派遣実績
項目 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度
海外派遣の
目的別人数
①留学人数合計 15 16 20 13 14
(米国) 1 4 8 1 8
(欧州) 9 8 9 3 4
(アジア) 3 1 0 3 1
(その他の国) 2 3 3 6 1
[学士課程] 12 10 12 10 13
[修士課程] 2 1 2 0 0
[博士課程] 1 5 6 3 1
[その他] 0 0 0 0 0
[学生交流協定対象] 10 10 9 9 5
②研究 1 1 4 1 1
③国際シンポジウム
2-3 国際交流授業・外国語による授業
京都大学は、英語による留学生対象の特別コースとして KUINEP を設けている。経済学研 究科・経済学部は、全学共通科目であるこの科目の提供に以前から協力しており、毎年数 名の教員が、KUINEP の経済学・経営学関係の科目を担当している。また経済学研究科では、
上記のように「東アジアコース」を設け、英・日両言語で授業を提供している。その他、
下記の「国際会議と研究者交流」欄で言及される各種セミナー類には、多くの場合、大学 院生も多数参加している。学部の演習においても、工場見学等の多彩な内容を持つ海外研