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剛体の運動

ドキュメント内 第2章 質点系と剛体 2.1 二体問題 O - TUT (ページ 41-52)

                                                         

 

図 2‑25 コマの歳差運動 

(116 ページからのつづき)   

しかし、ここでは、コマの軸のまわりの回転が十分に速い場合を考え、自転の角運動量 に対して歳差運動の角運動量は無視できると仮定する。 

 

その場合、角運動量Lはコマの軸と一致しているとしてよいことになる。そこで、軸に 沿って支点からベクトル Lを引き、この矢印の先端をPとする。支点OからPまでの距 離は角運動量の大きさLに等しい。 

 

歳差運動のために、Pz軸のまわりを半径L sinθの円を描いて回る。この円運動の角 速度(歳差運動の角速度)をΩとして、微小時間dtの間にPP’へ移るとすれば、PP’

の距離はΩdtに等しい。 

 

また、ベクトルOP’は時間dt後の角運動量であって、PからP’へ引いた矢印は角運動量 の変化dLに等しい。時間dtを十分に小さくとれば、PP’の方向はコマの軸とz軸を含む 平面に垂直で、重力のモーメントNの方向と一致している。これらの間には、式(2.65) が成り立つわけである。 

 

PL sinθの半径でz軸の周りを回り、その角速度はΩであるから、角運動量の変化 dLの大きさをdLとすると、これはPP’の距離に等しく、 

      dLL sinθ・Ω dt (2.66)  となる。従って、式(2.64)、(2.65)より、 

      L sinθ・Ω dtMglsinθdt

Ω=Mgl/ L (2.67)  が成り立つ。これは、歳差運動の角速度Ωをコマの質量M、支点から重心までの距離l、 および、コマの自転の角運動量Lの関数として与える式である。 

 

同じコマでも自転が速ければ角運動量 Lは大きい。従って、コマの自転が速ければ速い ほど、歳差運動はゆっくりであることが上式からわかる。 

   

軸のまわりのコマの慣性モーメントをI、軸のまわりの回転の角速度をωとすれば、 

LIω       (2.68)  であるから、式(2.67)は次式のようになる。 

Ω=Mgl/ Iω (2.69)   

 

高速で回転しているコマは重力が働いても倒れないで歳差運動を行う。この様に高速で 回転している物体は力の方向に倒れないで、力に対して垂直な向きに回転軸が移動する。

これをジャイロ現象という。 

 

[問題 2‑19] 

コマの質量 M=5.0kg、支点から重心までの距離l=3cm とし、コマの密度 0.8g/cm3、半 径2cm、厚さ0.5cmの円板型であるとして、歳差運動の角速度を求めよ。ただし、角 速度をω=20πラジアン/sとする。

   

[問題 2‑20] 

地球の歳差運動(以下、参照)の向きは、自転と逆の向きであることを示せ。 

   

Coffee break  地球の歳差運動 

地球は少し扁平な回転楕円体であり、地軸はその対称軸である。地軸は地球の公転軌道 面の法線に対して 23°27’の傾きをなしているため、太陽や月が地球におよぼす引力は地 球の中心に対してモーメントを持つことになる。 

 

例えば、太陽に近い地球の部分は遠い部分よりも大きな引力を受けるので、下図に示す ように、引力のモーメントは地軸を立たせる向きに働く。 

 

このため、地球は自転と反対の向きに歳差運動を行い、その周期は約 26000 年である。

現在、地軸は北極星を示しているが、歳差運動により、その方向は少しずつずれている のである。約 1 万 2 千年後には織姫星として有名なこと座のベガが北極星として輝くこ とになる。また、2000 年前には東京からでも南の空低くに南十字星が見えていた。 

                                 

   

図 2‑26 地球の歳差運動 

<球突きの問題> 

次ページの図に示すように、水平面上においた一様な球に、中心を含む鉛直面内で水平 な撃力を与えたときの運動を考える。 

 

撃力の力積を J とすると、撃力はきわめて短時間だけ作用するので、摩擦力の力積は無 視でき、力積は運動量の変化に等しいから、式(2.27)より、質量Mの球は次式で与えら れる速度v0で動き出す。 

      Mv0J (2.54)   

同時に、撃力のモーメントにより回転運動も生じる。撃力 F が面から高さlのところで 水平に与えられたとすると、重心に対する力のモーメントは(la)F である。また、F’

を摩擦力とすると、106ページより、回転に対して、 

     

(

a

)

F aF' dt

I dω = l− −

      (2.55) 

 

上式を撃力の働く短い時間内で積分すれば、球は、 

      Iω0 =

(

l−a

)

J       (2.56)  で与えられる角速度ω0で回転し出すことがわかる。上式の左辺は力積モーメント(または 角力積)と呼ばれる。 

 

一様な球の慣性モーメントは、[例題 2.11]より、 

      2 5 2Ma

I =  

である。 

 

次ページの図に示すように、球が水平面に接するところにおける回転のための速度の大 きさaω0は、式(2.56)より、 

     

( ) ( )

aM J J a

I a a a

2 5

0

= −

= l− l

ω      (2.57) 

であるが、これは球の進行と逆向きなので、式(2.54)、(2.57)より、 

     

( )

J

aM J a

aM a M

a J

2 5 7 2

' 0 0 5

0 ≡v − ω = − l− = − l

v    (2.58) 

は、球が面に対して滑る速さである。 

 

(122 ページにつづく) 

   

                                               

  図 2‑22 球突き 

l>7a/5の場合、v0'=v0aω0 <0となる 

(120 ページからのつづき) 

 

球が面に対して滑る速さは、 

     

( )

aM J J a

aM a M

a J

2 5 7 2

' 0 0 5

0 ≡v − ω = − l− = − l

v    (2.58) 

 

従って、突く高さlによって、次の3つの場合がある。 

l=7a/5ならば、球は滑らないで進む。

そのため、滑りの摩擦力は生じないで(転がりの静止摩擦はあるが)、球はほとんど はじめの速さで転がり続ける。

運動している球が、静止している同一質量の他の球に正面衝突すれば、それを動か して自分は静止する。

l>7a/5ならば、v 0’<0。

回転の方が速いので、摩擦力は直進運動を助長し、回転を減速する向きに働く。

そのため、球は滑りがなくなるまで、しばらくの間は直線運動が加速され、それか らほぼ一定の速さで進む。

運動している球がv 0’<0の間に、静止している同一質量の他の球に衝突した場合、

それを動かした後もなお直進する。球突では押し球がこの場合に相当する。

(124 ページにつづく) 

 

  図 2‑22 球突き 

l>7a/5の場合、v0'=v0aω0 <0となる 

(122 ページからのつづき) 

 

l<7a/5ならば、v 0>0。

滑りの摩擦力は球を減速させるとともに、回転を加速させる。

滑りの摩擦係数をμとすると、摩擦力の大きさはμMg であるから、直進の速度を v、回転の角速度をωとすると、

      Mga

dt I d dt Mg

M dv =−µ , ω =µ

    (2.59) 

がしばらくの間は成り立つ。

従って、直進の速度をvは、式(2.54)を用いて、

      gt

M gt J µ µ = −

=v0

v      (2.60) 

また、106ページより、摩擦力μMg による回転の速度は、式(2.55)〜(2.57)と同 様にして、次式のように得られる。

     

gt t

Mg Ma a

a t Mg I a a a

Mg dt a

I d

µ µ

µ ω

ω µ

2 5 2

5

'= 1 ⋅ = 2 ⋅ =

=

 

よって、回転の速度は、上式と式(2.57)を用いて、

     

( )

M gt J a gt a

a a a

aω ω ω ω µ µ

2 5 2

5 2

' 0 5

0 − +

= +

= +

= l    (2.61) 

で表される運動がv=aωになるとき、すなわち、(2.60)=(2.61)を計算すると、

     

( )

µ Mga

J t a

7 5 7 − l

=       (2.62) 

となり、v=aωの運動が上記の時間まで続く。

上式を式(2.61)に代入すると、

     

M J a 7 5l

=

v       (2.63) 

が得られ、最終的に上式の速さになり、以後は滑らずに転がる運動①に移行する。

もし、この前に他の球に衝突すると、直進運動が止められ、残っていた逆向きの摩 擦力によって球は逆に加速されて戻ってくる。これは、球突きの引き球に相当する。

式(2.63)が摩擦力μに依存しないことは興味深い。

l<a の時は、球は逆さの回転(ω0<0)で運動し始めるが、その他の点ではl<7a/5 の場合と同じである。

   

図 2‑23 球突き 

l<7a/5の場合、v0'=v0aω0 >0となる 

<バットに与えられた撃力> 

次ページの図に示すように、点Oを通る軸のまわりに自由に回転できる剛体があり、重 心をGとし、OG上の点Pにおいて、OGおよび回転軸に垂直な方向に力積Yの撃力を与 えるとき、軸に生じる抗力の力積を考える。抗力が生じないようにするには、どこを打 てばよいか?

次ページの図に示すように、OGをx軸にとり、撃力がはたらく点をP(x,0)とする。

点O のまわりの剛体の慣性モーメントをI とし、力積Yによって生じた回転の角速度を ωとすれば、106ページ式②より、Iω=(回転軸まわりの角運動量)であるので、

      Iω=xY

軸における抗力による力積のxy成分をそれぞれX0,Y0とし、剛体の質量をM、重心の 得た速度の成分をu, vとすれば、

      M uX0 ,      M

v

 Y0Y ここで、OGhとすれば、

      u=0,      v=hω 従って、上式と式①を用いて、

      X0 =0,      

 

 −

= x

Mh I Y0 ω

軸の抗力がなくなるとき、すなわち、Y0 =0になるようなxの値をx0とすれば、

     

Mh x0 = I

このときのOをP に対する打撃の中心という。O に軸をつける代わりに、手でOを握っ た場合、ここから重心の側にx0だけ離れた点Pに撃力を与えれば手にショックを感じない。

ドキュメント内 第2章 質点系と剛体 2.1 二体問題 O - TUT (ページ 41-52)

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