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地盤・基礎・地下構造物の変形と環境上の諸問題に関する研究

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Academic year: 2021

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博士論文データ項目

論文題目:地盤・基礎・地下構造物の変形と環境上の諸問題に関す

る研究

著者:堀田洋之 研究科、専攻名:環境科学研究科、環境動態学専攻 学位記番号:環論第 2 号 博士号授与年月日:2006 年 3 月 23 日 論文の要旨 本論文は第1章の序論から第8章の結論までの8章からなる。 第1章「序論」では、建設事業における環境問題への現実的で適切な対応は、必要十分 な機能・性能を確保した上で、それ以上人為的な手を加えないことであるという考え方を 示す。環境意識を持って設計・施工の合理化に取り組み、従来の Q・C・D・S の価値基準に 環境問題独自の評価指標を取り入れることで対応すべきことを述べる。具体的には、必要 以上に地盤の変形に抵抗しない合理的な 基礎・地中構造物を実現することにより過 剰な設計・施工を防ぎ、省資源・省エネル ギーを図る「環境にやさしいやわらかい基 礎・地中構造物」の考え方を提示する。次 に本論文を構成する 5 つの課題に関する 既往の研究について述べ、最後に本論文の 構成と概要について述べる。 拘束圧小 拘束圧小 拘束圧大 拘束圧大 載荷 除荷 圧縮 リバウンド ひずみ 応力 拘束圧小 拘束圧小 拘束圧大 拘束圧大 載荷 除荷 圧縮 リバウンド ひずみ 応力 図1 一定拘束圧下における 応力-ひずみ曲線概念図 第2章「構造物建設時の地盤の変形係 数」では、最初に大規模逆打ち工事現場に おける施工時のリバウンド・沈下計測結果 について述べる。計測結果より得られた地 盤の応力-ひずみ関係の分析より、地盤掘 削による除荷・構造物構築による載荷時の 挙動を適切に表現するためには地盤のヤ ング係数の拘束圧依存性とひずみ依存性 を同時に考慮する必要があることを示す。 この問題の解決方法として一定拘束圧下 における応力-ひずみ関係の概念(図1) を導入し、載荷・除荷時の挙動を統一的に 表現できる砂の変形係数評価法を提案す る。実測値の回帰分析により応力-ひずみ 曲線のパラメーターを決定し、地盤挙動を 適切に表現できることを示す。次にこの方 法を砂の三軸試験結果に適用し、同様に試 験結果をよく表現できることを示す。最後 にこの方法を施工時の挙動予測に用いる ことによる環境問題への貢献について言 及する。 第3章「繰返し載荷を受ける基礎地盤の 沈下挙動」では、繰返し載荷を受ける基礎 地盤の沈下挙動に関して、構造物のロッキ ング振動による砂地盤の沈下と地震時の 繰返しせん断による粘性土地盤の沈下に 50 cm 30 cm 35 cm 7 2 5 6 19.2 cm 22.5 cm 1・2:Accelerometer (lateral) 3~6:Accelerometer (vertical) 7・8:Laser displacement     transducer 15 cm Centrifugal acceleration Excitation Exciter 8 1 3 4 Toyoura sand Rotation 75 cm (a) Section 図2 遠心力場における起振機実験

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関する遠心模型実験結果について述べる。 前者においては遠心力場における起振機 実験(図2)及びジャッキによる繰返し水 平載荷実験を行い、基礎の沈下量と繰返し 載荷回数,加振加速度振幅,有効拘束圧, 基礎の根入れ,地盤の相対密度,載荷振動 数,転倒モーメントとの関係について考察 する。また、土質要素試験に基づく沈下量 評価法の道筋を示す。後者においては粘性 土地盤上のフローティング基礎構造物の 遠心模型振動実験(図3)を実施し、粘性 土地盤においても加振による繰返しせん 断により間隙水圧が上昇し、それが消散す るのに伴い圧密沈下が生じることを示す。 また粘土の繰返しせん断後圧密試験より、 生じる体積ひずみと繰返し載荷回数,有効 拘束圧,繰返しせん断応力比との関係を導 き、土質要素試験と数値解析に基づく沈下 量評価法を提示する。最後にこれらの評価 法を構造物基礎の設計に適用することに よる環境問題への貢献について言及する。 第4章「地盤液状化後の基礎の沈下挙 動」では、地盤液状化後の基礎の沈下挙動 に関して、社本らによる砂地盤液状化後の 残留変形理論に基づく沈下量評価法を詳 細法と簡易法の 2 通り提示する。詳細法は 地盤の液状化を考慮した数値解析より地 震時最大せん断ひずみを求め、理論上得ら れる残留ひずみが得られるような等価な 地盤定数を設定して自重による収束計算 から最終沈下量を求める方法である。簡易 法(図4)は地盤の補正N値と地震時の繰 返しせん断応力比の関係より地震時最大せん断ひずみを求めて残留体積ひずみを計算し、 一次元状態での等価な地盤定数を設定して構造物荷重による沈下計算を行う方法である。 構造物,偏心荷重,地盤改良の有無の条件を変えた遠心模型振動実験を実施し、上記評価 法の適用性の検証を行っている。最後にこ れら評価法を基礎の設計に適用すること による合理化・省資源化に言及する。 第5章「地震時・地盤液状化時の杭基礎 の挙動」では、地震時・地盤液状化時の杭 基礎の挙動に関して、前半では張らの土圧 理論に基づいた杭の水平地盤反力の評価 法(図5)を示し、杭の水平載荷試験結果 との比較検討より、ある程度の深度以深で は良い対応を示すことを述べる。現状使わ れている計算式との対応についても述べ る。後半では社本らの砂地盤液状化後の残 留変形理論に基づく側方流動時の杭基礎 の挙動・被災状況の簡易評価法を提示する。 45cm (13.5m ) 75cm 25cm (7.5m ) 6cm (1.8m ) ゴムメンブレン レーザー変位計 :加速度計 :間隙水圧計 加振方向 構造物模型 珪砂8号 (Dr = 40 % ) カオリン粘土 (σ'c= 120 kPa) 回転方向 + 遠心加速度 40g 2cm (0.6m ) -( ): 実寸換算 寸法 G ravel 砂礫(珪砂3号) 図3 粘性土地盤上のフローティング基礎 構造物の遠心模型振動実験

梁要素

構造物荷重

Steinbrenner

の近似解法

液状化層

原地盤の沈下量

に応じて剛性を低減

図4 液状化後の簡易沈下量算定法 水平変位 Δ K0σ'z 受働側 主働側 θ dθ 法線方向土圧 Kθσ'zcosδm ob 周方向摩擦応力 Kθσ'zcosδm obtanδm ob B K0σ'z 杭 x y 図5 杭周面に作用する土圧

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地盤の補正N値と地震時の繰返しせん断応 力比の関係より残留体積ひずみを計算し、側 方流動による水平変位量を求めて、応答変位 法(図6)により杭に生じる応力・変形を求 めるものである。1995 年兵庫県南部地震の 被災事例 3 件による検証を行い、条件の単純 なもの程対応が良いことを示す。最後に杭の 設計に上述の方法を適用することによる最 適化・省資源化に言及する。 杭頭 ピン又は 回転拘束 杭体 (梁要素) 相互作用ばね 強制変位 図6 応答変位法解析モデル 第6章「積層導坑トンネルの挙動」では、 大断面トンネル構築法として小口径のシー ルドトンネルを積み重ねる形で覆工構造体 を構築する積層導坑トンネル(図7)の施工 法・特徴について述べ、遠心模型実験により 砂地盤・粘土地盤における構造体としての支 保機構・安定性を検討する。トンネルは地盤 種別に応じて構造体に作用する土圧・導坑間 接触圧が異なる性状で安定するような変 形・支保機構を有することを明らかにする。 また、楕円形断面の場合の円形断面との違い についての検討を行い、更に内部掘削時の挙 動に関する結果を提示する。最後に工法適用 による資源・エネルギー消費量・産業廃棄物 の低減効果について言及する。 図7 積層導坑トンネル 第7章「環境負荷低減へ向けての成果の適 用」では、第2章から第5章で提案した変形 評価法を適用し、環境負荷を低減する道筋に ついて 2 つの事例を想定し、どのような流れ で検討を行い、どのような環境負荷低減効果 が期待できるかについてその概略を示す。建 物基礎の設計・施工を行う上で各種の評価に より基礎形式が支持杭基礎から直接基礎の 方向へ向かうにつれ、やわらかい基礎となっ て資源使用量・エネルギー消費量・CO2排出 量が低減でき、環境負荷低減効果は大きくな ることを述べる。 第8章「結論」では各章の研究成果についてまとめた上で、必要以上に地盤の変形に抵 抗しない設計・施工を行うことが従来の許容応力度法に代わる新たな方法へつながるもの であり、さらには環境にやさしい構造物であることを述べて全体を閉じている。

参照

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