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大学地域連携事業 : 高齢者の骨を守るための栄養ケア対策

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Academic year: 2021

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─   ─39 [目  的]  我が国では、高齢化が進み、平成25年 9 月15日現在の65歳以上の高齢者人口は約3186万人 と推計されている。これは、総人口の25. 0%、つまり 4 人に 1 人が高齢者という状況で、人 口・割合ともに過去最高となっている。京都市においては、平成26年 9 月現在65歳以上の人 口は37万2380人で、高齢化率を行政区別にみると、最も高いのは東山区(31. 5%)、次いで 山科区(26. 9%)で京都市全体の高齢化率25. 3%よりも東山区は4. 6ポイントも高くなって いる。一方、高齢化率が最も低いのは、南区及び西京区(23. 3%)である。このように京都 市においても、 4 人に 1 人が高齢者となっているため、高齢者に対する支援活動は極めて重 要である。この高齢化に伴い、要介護状態となる高齢者が急増している現状であり、要介護 の原因は、運動器の障害(22. 9%)で、骨密度の低下が大きく関係していると考えられてい る。運動器の障害のために自立度が低下し、四肢の骨折リスクを上昇させるため、骨粗鬆症 の発症を予防することは大きな課題だと言える。  そこで、京都市在住の高齢者の方々の骨密度を測定し、高齢者の健康寿命の延伸を図るこ とを目的に実施した。 [実施方法] ① 調査場所 京都市老人福祉センター 17カ所 ・中京老人福祉センター・北老人福祉センター・洛西老人福祉センター・上京老人福祉センター ・山科老人福祉センター・右京老人福祉センター・南老人福祉センター・醍醐老人福祉センター ・西京老人福祉センター・下京老人福祉センター・左京老人福祉センター・淀老人福祉センター ・東山老人福祉センター・右京中央老人福祉センター・山科中央老人福祉センター ・久世西老人福祉センタ・伏見老人福祉センター ② 実施月日 平成24年11月~平成26年12月( 2 年間) ③ 対 象 者 50歳~90歳の高齢者男女1014名(男136名 女878名) ④ 骨密度検査方法  骨密度測定には FURUNO 社の超音波骨密度測定装置 CM-200を使用した。 ◆超音波骨密度測定装置 CM-200とは  踵骨の骨内伝播速度を測定するコンパクトな装置で、測定時間は約10秒とスピーディーで 測定結果は内蔵プリンタにより基準値グラフとともに印字され、骨粗鬆症の一次スクリーニ ングや集団検診などに最適である。 ◆測定原理  踵骨の両側にある振動子によって超音波を送受信させ、踵骨の骨内伝播速度(Speedof Sound)を測定する。骨の密度が高いほど骨内伝播速度は速くなる。X線を使用していない ため、特別な場所やスタッフを必要とせず、妊娠中の方でも安心して測定できる。

大学地域連携事業

─高齢者の骨を守るための栄養ケア対策─

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─   ─40 ◆測定方法 ①右足の靴下・ストッキングを脱ぐ。左足でも可。 ②踵の赤い印の部分をアルコール綿で拭く。 ③黄色の印の部分に超音波ゼリーをたっぷり塗る。 ④シートキーで年齢と性別を入力する。 ⑤ハンドルが空転するまでまわして踵を挟み込む。 ⑥スタートボタンを押すと測定開始。(約10秒) ⑦ピーと音が鳴り、測定結果が印字されると測定終了。 ◆判定方法 % AGE:被験者の年代別の平均値に対する割合 % YAM:若年成人平均値(20~44歳)に対する割合  原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改定版)の「脆弱性 骨折なし」の場合の診断基準を参考にし、% YAM の80%以 上を「正常」、% YAM の71~79%を「骨量減少」、% YAM の70%以下を「骨粗鬆症」と判 定した。 ◆骨粗鬆症の診断基準  骨密度に脆弱性骨折の既往・合併を加えて判定され、骨折リスク予知にいっそう優れたも のになっている。 原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版) [骨密度の測定結果]  骨密度の実測調査は、男性136名、女性878名の合計1014名で実施した。骨密度実測調査の 対象者の年齢構成を図 1 に示した。年齢構成割合をみると、50歳代が 2 %、60歳代が27%、 70歳代が55%、80歳代以上が16%であった。 Ⅰ.脆弱性骨折あり 1 .椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり 2 .その他の脆弱性骨折があり、骨密度が YAM の80%未満 Ⅱ.脆弱性骨折なし 骨密度が YAM の70%以下または-2. 5SD 以下

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─   ─41  年齢と骨量(Speedofsound)を図 2 に示した。年齢が上がるにつれて、骨量は低下する 結果となり、骨量は女性の方が男性より有意に低い結果であった。  対象者の性別、年代別の原発性骨粗鬆症評価の結果を図 3 に示した。男女間において、有 意差が見られ、女性では骨量減少も含めると、約90%の方に骨粗鬆症の疑いがあることが分 かった。また、高齢になるにつれて骨粗鬆症と評価される方が有意に増加しているが、60歳 代の方でも約40%の人が骨粗鬆症の評価となった。  骨密度検査の結果について説明し、骨密度を測定された方々に、栄養クリニック編集の 「骨を元気にするレシピ集」の冊子を配布して、食生活の支援を行った。 [考  察]  今回の事業は 2 年間をかけて、京都市内の老人福祉センターを拠点に活動し、京都市の高 齢者の方々に骨密度への関心を持ってもらう啓発活動ができ、健康寿命の延伸対策に役立て ることができた。高齢者の大部分の方は骨密度が YAM(若年成人平均値)よりもかなり低 い傾向であったが、気軽に参加してもらうことができ好評であった。骨密度の低下は骨折、 さらには寝たきりの原因となるので、骨密度を高めるためにカルシウム、ビタミンD・Kを 多く含む食品の摂取の重要性や運動の必要性を栄養クリニック編集の「骨を元気にするレシ ピ集」の冊子を活用して食生活改善の栄養教育を実施し好評であった。  (宮崎由子)

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