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探究的な学習を充実させる総合的な学習の時間の単元展開
−学年の系統に応じた内容と言語活動の充実−
「知識基盤社会」といわれる現代においては,知識を覚えることだけに 集中するのではなく,必要に応じて取り出し,整理・分析し,新しい知を 創造することが重要となる。そのため,21世紀を生きる子どもたちには, 自ら考え,主体的に判断する力,物事を客観的かつ分析的,批判的に考察 する力(クリティカルシンキング),コミュニケーション能力,などを育 成することが求められる。 平成23年に小学校学習指導要領において,総合的な学習の時間の目標に 「探究的な学習」を行うことが明確に位置付けられ,探究の過程が示され た。「探究的な学習」を充実させることで,子どもたちに「学び方」や「課 題や対象についての明確な考えを表現すること」などが身に付き,「生き る力」が育まれるのである。 教育課程が完全実施となって2年が経過しようとする今,京都市の現状 を調査し,調査結果を基に,探究的な学習を充実させるためには,各学校 で学年の系統に応じてどのように総合的な学習の時間の単元展開をすれ ばよいのかを構想した。結果,主体的に活動する子どもの姿が見られ,探 究的な学習が充実した。また,子ども自身が,身に付けた力や学ぶことの 有用性を実感することができた。目 次
はじめに ···
1第1章 探究的な学習を充実させる総合
的な学習の時間
第1節 教育課程において求められている総 合的な学習の時間の方向 (1)教育課程において求められているもの ·· 2 (2)取組の現状 ··· 3 第2節 探究的な学習を充実させるための課題 (1)単元構想上の課題 ··· 7 (2)学習過程上の課題 ··· 9第2章 探究的な学習の充実をめざした
単元構想と評価
第1節 総合的な学習の時間における問題意 識の調査 ··· 10 第2節 探究的な学習の充実をめざした単元 構想の視点 (1)学年の系統化を図る ··· 12 (2)協同的な学びの場を設定する ··· 14 (3)探究的な学習を確かにする学習過程を つくる ··· 16 第3節 探究的な学習の充実をめざした評価の 視点 ··· 18第3章 学年の系統に応じた単元展開と
評価の実際
第1節 探究的な学習を充実させる単元展開 (1)協同的な学びの場の設定 ··· 21 (2)学習過程をつくる ··· 24 (3)言語活動を通して学ぶ ··· 29 第2節 探究的な学習を充実させる評価 ··· 33第4章 総合的な学習の時間のさらなる
充実のために
第1節 研究の成果と課題 ··· 35 第2節 生きる力を育む総合的な学習の時間 (1)主体的に学ぶ ··· 37 (2)生きる力を育む ··· 38おわりに ···
39[付表] ···
40 <研 究 担 当> 進藤 弓枝 (京都市総合教育センター研究課研究員) <研究協力校> 京都市立朱雀第四小学校 京都市立葵小学校 <研究協力員> 汐満 裕子 (京都市立朱雀第四小学校教諭) 髙田 葉月 (京都市立葵小学校教諭)はじめに
平成23年3月に発生した未曾有の東日本大震災 を受け,文部科学省で有識者会議が開かれた。防 災教育の目標の第1項には,「周りの状況に応じ, 自らの命を守りぬくため『主体的に行動する態度』 の育成」(1)が挙げられた。地震や津波が起こっ たときに,どうすればよいかを自分で瞬時に判断 し,行動することが第一に求められたのである。 女子サッカー,日本代表「なでしこジャパン」 の佐々木則夫監督は,「世界一になるためのストラ テジー」と題した雑誌の取材の中で,「積極的に能 動的にみんなで連携して動く」(2)ことが第一と答 えている。選手たちは,自分たちのコンディショ ンやチームの状態が悪くなると,ビデオを見て話 し合い,ミーティングを繰り返し,自分たちで改 善を図っていたという。試合が始まると,大声援 の中,瞬時に判断し,あの広い7140㎡のピッチを 90分間動き回らなければならない。だれかの指示 を待つのではなく,自分で判断し動くことが一番 のストラテジーなのである。 現代の課題がどこにあるのかを確認するなら ば,二つの取組とエピソードが物語るように,想 定外の出来事をはじめ,社会生活の中で様々な困 難な場面に直面したとき,的確に判断し主体的に 行動する力の重要性が改めて浮き彫りになってい るのである。 21世紀は,グローバル化が進み,情報が溢れ, 答えのない課題や未だかつて出会ったことのない 課題に直面するであろう「多文化共生の時代」と いわれる。この時代を生きる子どもには,「自己を 確立しつつ,他者を受容し,多様な価値観をもつ 人々と共に思考し,協力・協同しながら課題を解 決し,新たな価値を生み出しながら社会に貢献す ることができる個人」(3)であることが求められて いる。すなわち,コミュニケーション能力,問題 解決能力,実践力等が求められているのである。 これらの力は,「社会を生き抜く力」であり,学 習指導要領に示される「生きる力」にほかならな い。そして,この「生きる力」を育むためには, 「総合的な学習の時間」(以下,「総合」)の果たす 役割は大きい。なぜなら,「総合」は,自ら課題を 見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し, よりよく問題を解決する資質や能力を育てること をねらいとしているからである。 そこで,昨年度の研究を踏まえ,今年度は教育 課程における「総合」の実態や教員の意識につい て調査し,探究的な学習が充実するための単元展 開について明らかにしたいと考えている。 (1) 東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者 会議『東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する 有識者会議 中間とりまとめ』2011.9 p.4 (2) 佐々木則夫「世界一になるためのストラテジー」『初等教育 資料』(No.855)平成24年2月号 2012.2 p.48 (3) 文部科学省「子どもたちのコミュニケーション能力を育むた めに」『コミュニケーション教育推進会議(審議経過報告)』 2011.8 p.1第1章 探究的な学習を充実させる総合的
な学習の時間
第1節 教育課程において求められている総合的 な学習の時間の方向 これまで,実生活,実社会の中では,与えられ た情報を理解し,覚え,反復することが求められ ていた。しかし,「知識基盤社会」となった今,莫 大な知識を覚えるのではなく,必要に応じて取り 出し,吟味し,検討し,新しい知を創造すること が重要とされる。そのため,21世紀を生きる子ど もたちには,自ら考え実行する力,物事を見聞き したままに受け取るのではなく,客観的かつ分析 的,批判的に考察する力(クリティカルシンキン グ)などを育成することが求められる。それに合 わせ,学習形態も,〈一斉学習〉から〈一人学び→ グループ学習→全体交流〉へと変化してきている。 大学においても近年,授業者が一方的に知識を 伝達する講義形態に代わって,「アクティブ・ラー ニング」と総称される学習形態が導入されるよう になってきた。中央教育審議会大学分科会大学 教育部会によると,この「アクティブ・ラーニン グ」は, ・学習者が能動的に学ぶことによって,後で学 んだ情報を思い出しやすい。 ・異なる文脈においてもその情報を使いこなし やすい。 という理由から用いられる学習形態である。発見 学習,問題解決学習,体験学習,調査学習等が含 まれるが,教室内でのグループ・ディスカッショ ン,ディベート,グループ・ワーク等を行うこと でも取り入れられると定義されている(4)。 このように高等教育においても,初等中等教育 で育成された能力を受け,「学生の思考力や表現力を引き出し,その知性を鍛える双方向の課題解決 型の能動的な授業を中心とした高い学士課程教育 へと質的に転換」(5)したことは意義深い。 そのような中,小学校において平成23年4月に教 育課程が改訂され,2年が経過しようとしている。 教育課程において,「総合」に求められているもの と,実際に各学校がどのような現状にあるのかを 確認しておきたい。 (1)教育課程において求められているもの 「生きる力」を育むという基本理念が変わらず 受け継がれていることは,先にも述べた。では, 「生きる力」とは,一体どのような力であろうか。 梶田は,従前の「生きる力」と区別し,「確か な学力を基盤とした『生きる力』である」(6)と述 べている。また,門脇は,「生きる力は,『社会力』, すなわち『人が人とつながり社会をつくる力』で ある」(7)と述べている。つまり,「生きる力」と は,自ら学び,自ら考えることのできる力であり, 他者を理解し,互いに協力し合いながら,主体的 に課題を解決することのできる力であると考え る。そしてその力は,『子どもたちのコミュニケー ション能力を育むために(審議経過報告)』で定義 されたコミュニケーション能力※1とも合致する。 文部科学省から平成22年1月に出された「総合」 の指導資料『今,求められる力を高める総合的な 学習の時間の展開』(以下,指導資料)において, 第2章,第1節「学習指導の基本的な考え方」は, 次の五つの項から構成されている。 中でも,「探究的な学習」は,第1項に位置付 けられ,第2節では,探究的な学習における学習 指導が「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」 「まとめ・表現」の四つのプロセスごとに詳しく 紹介されている。 また,教育課程が全面展開した平成24年4月以降 に,文部科学省『初等教育資料』において,表1-1 のような特集が組まれている。特に注目すべきは, No.880(平成23年12月発行)以降,記事の見出し に「探究」という文言が増えてきている点と, No.883(平成24年2月発行)で「総合」の特集が組 まれた際のテーマが「総合的な学習の時間における 探究的な学習」となっている点である。 指導資料やこれらの特集記事から,教育課程に おいて「総合」のめざすべき方向がうかがえる。 つまり,「総合」の改訂の趣旨を実現するためには, 「探究的な学習」が大きな鍵を握っているのである。 ①探究的な学習 「総合」では,自ら学び,自ら考える力等を育 むために,既存の教科等の枠を超えて「横断的・ 総合的な学習」となることをめざしてきた。この ことに加え,今回の教育課程では「探究的な学習」 となることが,目標に明確に位置付けられた。 「探究的な学習」とは,問題解決的な活動が発 展的に繰り返される学習活動のことである。一つ の課題を解決することでまた新たな課題が生ま れ,その課題解決に向かって粘り強く取り組む活 動が繰り返されるのである。 無藤は,この学習のことを「教師の側で正答の 類を必ずしも想定しておらず,現実場面に入る中 で,様々な情報を収集し,また,体験から学び, 自分なりの課題を子どもが立て,その解決を求め ていく活動」(9)と述べている。「雪博士」として 1 探究的な学習 2 協同的な学習 3 体験活動の重視 4 言語活動の充実 5 各教科等との関連 (8) 表1-1 平成23年4月以降,『初等教育資料』で「総合」 について特集された記事一覧 年 月 特 集 記 事 No. 平 成 二 十 三 年 4 スタート!新学習指導要領 [新学習指導要領具体化の要点] 論説:総合的な学習の時間(田村学) 872 6 言語活動の充実と授業改善 座談会:各教科等における言語活動の 充実とその具体化 874 7 論説:総合的な学習の時間における言 語活動の充実とその具体化 (田村学) 事例:東京都新宿区立大久保小学校 875 8 教師の指導力の向上と授業研究 論説:総合的な学習の時間における指 導力向上と授業研究の充実 (田村学) 事例:横浜市立大岡小学校 東京都大田区赤松小学校 新潟県小千谷市立千田小学校 876 11 各教科等における評価方法等の 工夫改善 論説:総合的な学習の時間における評 価方法等の工夫改善(田村学) 事例:新潟県胎内市立中条小学校 879 12 思考力・判断力・表現力を育む 授業づくり 論説:思考力・判断力・表現力を育む 授業づくりのポイント (木原俊行) 事例:探究的な活動を通して,思考 力・判断力・表現力を育む授業 880 平 成 二十四年 2 総合的な学習の時間における探 究的な学習 座談会:探究の価値を,今,改めて考 える 事例:茨城県牛久市立神谷小学校 東京都八王子市第四小学校 883 3 社会参画への意欲や態度を形成 する教育の推進 解説:総合的な学習の時間における社 会参画への意欲や態度の形成 (田村学) 事例:北海道北見市立美山小学校 884 4 検証!学習指導要領の全面実施 [振り返っての成果と課題] 論説:探究的に学ぶ子どもの姿の具現 (田村学) 885 6 自ら学ぶ子どもを育てる授業づ くり 論説:探究のプロセスにおける授業づ くりのポイント(田村学) 事例:堺市市立北八下小学校 東京都立葛飾ろう学校小学部 887 8 授業改善に向けた教材研究の工 夫 論説:総合的な学習の時間における教 材研究のポイント(田村学) 事例:横浜市立戸部小学校 889
知られた物理学者の中谷は,かつて,研究は「警 視庁型」と「アマゾン型」の二つの方法があると 随筆に書いていた。「警視庁型」は,追求する答え を犯人に例え,犯人を逮捕するためにはどうすれ ばよいかを考え,捜査する研究方法である。この 「警視庁型」は,犯人がいることが前提となる研 究である。それに対して「アマゾン型」は,いる かもしれないし,いないかもしれない犯人を捜す 研究である。「アマゾンの流域には新種の生物がい るかもしれないが,いないかもしれない。しかし, まずは行ってみよう。」というのである(10)。この 「アマゾン型」の研究が「総合」の「探究的な学 習」とつながる。アマゾンの流域というフィール ドが,「総合」の場合,子どもたちが生活する社会 なのである。 「総合」では,答えが一つに定まらない問題, 容易には解決に至らない問題を扱う。それが,自 分たちの住む町の魅力であったり,生き方の問題 であったりする。「総合」では「何を学ぶのか」よ りも「どのように学ぶのか」という探究の過程を 重視し,結果として「学び方」と「課題や対象に ついての明確な考えを表現すること」を学ぶこと になると考える。 ②探究の過程 『小学校学習指導要領解説 総合的な学習の 時間編』(11)(以下,解説書)では,探究の過程 を次のように示している。 この探究の過程は,いつも①から④のプロセス が順序よく繰り返されるわけではなく,順番が前 後することもあれば,一つの活動の中に複数のプ ロセスが同時に設定されることもある。 また,探究の過程を図1-1のように,図式化し ている。図に示されているように,スパイラルな 構造の各過程で探究が繰り返され,学びが深まる と同時に,生きる力が育まれていく。つまり,矢 印の向かう先には自己の確立があると考える。 ※1 コミュニケーション能力とは,「いろいろな価値観 や背景をもつ人々による集団において,相互関係を深 め,共感しながら,人間関係やチームワークを形成し, 正解のない課題や経験したことのない問題について, 対話をして情報を共有し,自ら深く考え,相互に考え を伝え,深め合いつつ合意形成・課題解決する能力」 のことである。 (コミュニケーション教育推進会議審議経過報告 「子どもたちのコミュニケーション能力を育むため に」2011.8 p.5) (2)取組の現状 「総合」は,今回の教育課程の理念のもとに実 施されて2年が経過しようとしている。そこで,開 始してはじめの1年間の実施の状況について確認 しておきたい。 ①全国における現状 文部科学省の教科調査官である田村は,『初等 教育資料』(No.885 平成24年4月号)の特集「検証! 学習指導要領の全面実施」で,次の四つの成果と 二つの課題を挙げている。 ①【課題の設定】体験活動などを通して,課題を設定 し課題意識をもつ ②【情報の収集】必要な情報を取り出したり収集した りする ③【整理・分析】収集した情報を,整理したり分析し たりして思考する ④【まとめ・表現】気付きや発見,自分の考えなどを まとめ,判断し,表現する 図1-1 探究的な学習における児童の学習の姿 〈成果〉 ◇補充学習のような知識・技能の習得を図る教育や運動会 の準備などと混同された実践がかなり改善されてきて いる。 ◇探究的な学習の価値に目を向け始め,探究による学力 の向上に向けた取組が増えてきている。 ◇特に,整理・分析の過程に関する事例が,思考ツール などの開発とともに深まってきている。 ◇各学校における全体計画,年間指導計画,単元計画な どが質的に向上し,授業実践の質も高まってきている。 〈課題〉 ◆一部の学校において不適切な学習活動が改善されてい ないため,改善の方向性を具体的に例示し,適切な学 習活動となるように対応する。 ◆子どもが課題解決をする中に,ものや人と関わる体験 活動をし,話し合ったり伝え合ったり考えたりする言 語活動を位置付けることをイメージし,探究的な学習 の実現に向けて取り組む。 (12) ■探究の過程を経由する。 ①課題の設定 ②情報の収集 ③整理・分析 ④まとめ・表現 ■自らの考えや課題 が新たに更新され, 探究の過程が繰り返 される。 課題の設定 情報の収集 整理・分析 まとめ・表現 ■日常生活や社会に目 を向け,児童が自ら課 題を設定する。
筆者は,昨年,拙稿「主体的な学びを支える総 合的な学習の時間における言語能力の育成」(13) において,「総合」の課題を二つ挙げた。 □ 「総合」の趣旨・理念が正しく理解されず, 間違ってとらえられてしまっているため,望 ましい実践が行われていない。 □ 学校教育全体で,思考力・判断力・表現力 等を育成するための各教科等と「総合」との 連携が十分に行われていない。 1点目の課題については,田村が述べるように かなり改善してきていると考えられる。それは, 今回の改訂で「総合」が第5章として独立したこ と,解説書に加え指導資料がつくられたことによ るものが大きい。 2点目の課題については,これまであまり意識さ れてこなかったというのが現状ではないだろう か。『初等教育資料』において,No.888(平成24年7 月発行)に初めて特集「各教科等の関連を図った教 育課程の創造」が組まれたことからも推測できる。 ②本市における現状 全国における現状を踏まえ,本市における現状 を,小学校全173校で作成された「平成23年度 総 合的な学習の時間 全体計画」(京都市教育委員会 による調査)を基に,「具体的な学習活動」「学習 活動にあてる時間数」「他教科等との関連」の三つ の視点から整理,分析した。 a 取り上げた単元の具体的な学習活動 表1-2は,全国における「総合」の具体的な学習 活動,表1-3は,本市における「総合」の具体的な 学習活動(いずれも平成23年度計画)である。 本市においては,横断的・総合的な課題として, 人権,生き方探究(キャリア教育)についてもあ えて欄を設けた。なぜなら,この二つの学習活動 は,本市の特色として挙げられるからである。特 に,第5学年の生き方探究(キャリア教育)の学 習活動が97.1%であるのは,「京都まなびの街 生 き方探究館」で行われる体験学習を取り入れた「ス チューデントシティ学習」※2が全小学校で実施さ れているためである。(100%ではないのは,173校 中5校が「スチューデントシティ学習」を「総合」 で扱っていないためであると考えられる。) 全国と本市の実施状況を比較してみると,全 国,本市ともに,第3学年で「地域・暮らし」の 学習活動が多い(全国74.0%,本市80.9%)。ほか にも,第4学年での「環境」(全国60.2%,本市 75.1%),第5学年での「生き方探究」を除くと「環 境」(全国59.6%,本市58.9%)の学習活動が多い など,その割合に多少の相違があるものの,具体 的な学習活動の傾向は似ていることがわかる。 第3学年で全国,本市ともに「地域・暮らし」 を実施する学校が多いのは,学習指導要領「総合」 において「地域の人々の暮らし,伝統と文化など」 が地域や学校の特色に応じた課題として例示され たことによると考える。また,特に本市での数値 が高いのは,学校運営協議会が多く設置されてお り(173校中140校,平成24年2月10日現在)学校と 地域とのつながりが深いためであると推測できる。 更に,本市における「国際理解」「情報」の二 つの学習活動について内容を詳しく調査した。 ⅰ「国際理解」 平成23年度,本市の第5・6学年において,外 国語を用いてコミュニケーションを図るなどの英 語活動を行う学校が 0となった。また,第3・4学 年においてもそれぞれ1.1%と減少し(京都市小中 一貫教育特区を除く),改善されてきている。これ は,学習指導要領において「外国語活動」が教育 課程上に位置付けられたこと,「総合」において「探 究的な学習」を展開することが明確に示されたこ とによると考える。 ⅱ「情報」 「情報」では,コンピュータのスキルを身に付 ける学習や情報モラルの学習活動を行う学校が少 な か ら ず あ っ た ( 第 3 学 年 30.0 % , 第 4 学 年 28.3%,第5学年28.9%,第6学年26.0%)。学習 指導要領「総合」において「探究的な学習」とす ることを明確にしたことにより,今後,情報に関 する学習活動の見直しが必要である。 表1-2 全国における「総合」の具体的な学習活動(%) ※複数回答 (平成23年度計画)(14) 表1-3 本市における「総合」の具体的な学習活動(%) ※複数回答 (平成23年度計画) 国際理解 情報 環境 福祉・健康 その他 地域・暮らし 伝統・文化 その他
第3学年 36.2
45.3
41.2
34.6
11.5
74.0
38.5
9.4
第4学年 35.7
45.7
60.2
54.3
13.4
53.2
30.0
10.2
第5学年 25.9
50.8
59.6
39.2
17.9
47.8
33.9
12.1
第6学年 39.8
51.3
33.1
38.1
25.6
38.8
48.3
11.3
学習活動 学年 横断的・総合的な課題 地域や学校の特色に応じた課題 国際理解 情報 環境 福祉・健康 人権 生き方探究 その他 地域・暮らし 伝統・文化 その他第3学年
34.1 56.6 40.4 23.7 30.6 3.4
5.7 80.9 49.1 2.8
第4学年
30.0 56.6 75.1 64.2 32.4 11.5 5.7 38.7 31.2 7.5
第5学年
13.9 57.8 58.9 23.1 26.0 97.1 8.0 34.6 31.7 6.3
第6学年
37.0 59.0 31.7 30.6 39.9 12.1 11.5 35.8 64.1 6.9
学習活動 学年 横断的・総合的な課題 地域や学校の特色に応じた課題b 具体的な学習活動にあてる時間配分 次に,「探究的な学習」を意識して学習活動が 行われているかという視点で,現状をみていく。 右に示した図1-2∼図1-5は,本市における,各 学習活動にあてる時間数を学年ごとに示したもの である。「情報」「国際理解」「人権」において10 時間以下で実施している学校が多いことがわか る。特に「情報」においては,全学年とも6割を超 える(第3学年63.3%,第4学年63.3%,第5学 年66.0%,第6学年61.4%)。更に詳しく分析する と,第5学年の「情報」においては,5時間未満で 実施している学校が全体の26.0%を占めている。 一方,21時間以上かけて実施している割合が多 い学習活動を学年ごとにみると,第3学年では「地 域・暮らし」(実施校の70.5%),第4学年では「環 境」(同57.2%)「福祉・健康」(同48.6%),第5 学年では「環境」(同54.2%),第6学年では「伝 統・文化」(同48.6%)であることがわかる。 また,第5学年で行う本市独自の「スチューデ ントシティ学習」は,標準指導時数として18時間 が設定されている学習活動である。この学習活動 を,18時間で実施している学校は46校,18時間よ りも短い時間で実施している学校は16校,18時間 よりも多い時間で実施している学校は104校もあ る。その中には,60時間かけて行う学校もある。 同様に,第4・5学年で行う長期宿泊などの野外 活動や第6学年で行う修学旅行といった宿泊行事 を「総合」の学習活動として実施している学校は 45校あった。そのうち,「修学旅行で広島に行くこ とをきっかけとし,事前に歴史について調べ,実 際に広島を訪れることで更に平和についての追究 活動を行い,最終,自分の考える平和についてま とめる」など,探究的な学習を意識して単元を展 開している学校が9校あった。残りの36校のうち12 校は,事前指導やその行事に向けた係活動として 時間を設定しており,24校についてはどのような 学習活動をするのかは不明であった。 ここで注目すべき点がある。今年度4月に提出 された平成24年度の全体計画を平成23年度のも のと比較してみたところ,171校(統合のため前年 度より減)中140校は何らかの見直しを行っている ことが明らかとなった。見直しの仕方としては, 次の三つのタイプに分けられる。 図1-3 第4学年の学習活動にあてる時間数の比較(%) (平成23年度計画) 図1-4 第5学年の学習活動にあてる時間数の比較(%) (平成23年度計画) 図1-5 第6学年の学習活動にあてる時間数の比較(%) (平成23年度計画) 1 単元は変えずに,時間数を変更する。(87校) 2 単元は変えずに,学習活動を変える。そのため, 時間数も変更する。(24校) 3 単元を変える。(29校) 図1-2 第3学年の学習活動にあてる時間数の比較(%) (平成23年度計画) 66.0 63.3 16.9 24.3 53.6 28.6 31.8 44.2 26.0 31.6 25.8 27.0 26.8 57.1 36.4 26.9 4.0 5.1 30.6 23.4 8.9 14.3 16.7 21.2 4.0 0 26.6 25.2 10.7 0 15.1 7.7 国際理解 情報 環境 福祉・健康 人権 生き方探究 地域・暮らし 伝統・文化 1~10時間 11~20時間 21~30時間 31時間以上 83.3 66.0 18.8 55.0 57.8 1.2 35.6 49.1 8.3 27.0 27.1 17.5 26.7 69.6 23.7 15.1 4.2 6.0 25.0 10.0 6.7 22.0 6.8 15.1 4.2 0 29.2 17.5 8.9 7.1 33.9 20.7 国際理解 情報 環境 福祉・健康 人権 生き方探究 地域・暮らし 伝統・文化 1~10時間 11~20時間 21~30時間 31時間以上 45.2 61.4 46.9 46.2 42.6 28.6 37.7 25.7 32.3 31.7 24.5 23.1 17.6 42.9 24.6 25.7 12.9 5.9 16.3 19.2 22.1 14.3 16.4 16.5 12.9 2.0 16.3 13.5 19.1 14.3 21.3 32.1 国際理解 情報 環境 福祉・健康 人権 生き方探究 地域・暮らし 伝統・文化 1~10時間 11~20時間 21~30時間 31時間以上 61.4 63.3 21.9 51.2 64.2 33.4 7.9 30.1 24.6 30.6 31.3 19.5 17.0 33.3 21.6 27.7 8.8 6.1 28.1 14.6 11.3 0 26.6 25.3 5.3 0 18.8 14.6 7.5 33.3 43.9 16.9 国際理解 情報 環境 福祉・健康 人権 生き方探究 地域・暮らし 伝統・文化 1~10時間 11~20時間 21~30時間 31時間以上
実際に1年間実践してみて,「これでは,時間が 足りない」「そのためにはどうすればよいか」と考 えた学校もあるであろう。また,単元を振り返り, 「探究的な学習」となっていないことに気付き, 単元を見直した学校もあるであろう。事実,宿泊 行事を学習活動として実施する学校は,3.2ポイン ト減少した。これは,「総合」を「探究的な学習」と して実現しようとする意識の表れであると考える。 c 他教科等との関連 本市における「総合」と他教科等との関連につ いて整理したのものが,表1-4である。 国語科や社会科との関連を意識している学校 は,全学年において100校を超えている。特に第3 学年の社会科は160校であり,全体の92.5%の学校 で関連を意識している。 図1-6は,「総合」と国語科の3領域1事項との関 連について,学年ごとにその割合を示したもので ある。特に「話すこと・聞くこと」(第3学年38.5%, 第4学年48.3%,第6学年47.3%)「書くこと」(第 3学年38.5%,第4学年43.1%,第5学年54.0%, 第6学年51.6%)との関連を意識していることが わかる。 例えば第3学年では,国語科の単元「質問をし たり感想を言ったりしよう」「ほうこく書を書こ う」との関連を意識する学校が多い。前者は,出 来事の報告,説明,感想や質問の仕方について学 ぶ単元である。後者は,資料研究の報告書を書く プロセスや報告書の型を学ぶ単元である。また, 選書や摘読の力が身に付く単元でもある。このよ うに国語科で身に付けた知識・技能を「総合」の 探究の過程で活用することで,より確かな力が身 に付くと考える。ほかには,国語科の教材「三年 とうげ」(第3学年)と「総合」の国際理解の学習 活動,資料「手と心で読む」(第4学年)と福祉の 学習活動,資料「平和のとりでを築く」(第6学年) と平和の学習活動というように,内容の関連を意 識している学校がある。 一方,社会科では内容の関連が多い。例えば第 3学年では,単元「わたしたちのまち」(105校) と「地域の人々が受けついできたもの」(88校)(副 読本『わたしたちの京都』)との関連が多い。4ペー ジ表1-3からわかるように,第3学年の「総合」で は,「地域・暮らし」の学習活動が全体の80.9%を 占めていることとも一致する。知識・技能の関連 も考えられるが,ある学校が,「社会科の授業の発 展的な扱いで行う」と述べているように,内容の 関連を意識していることがわかる。中には,社会 科の「適切に資料を選択し,調べ学習をしたり様々 な情報からまとめたりすることができる」という 学びのスタイルや「地図の見方,かき方」との知 識・技能の関連を意識している学校もある。 また,少数ではあるが特別活動の学級活動,児 童会活動,学校行事(主に遠足・集団宿泊的行事) との関連を意識している学校もある。 以上,全市小学校の「平成23年度 総合的な学 習の時間 全体計画」から,本市における「総合」 の現状を明らかにした。この現状を基に,第2節 では,探究的な学習を充実させるための課題につ いて述べていく。 ※2 「スチューデントシティ学習」のねらいは,「日常 生活に関わる社会のしくみや経済の働きを理解させ る」「社会的・職業的自立をめざし,自らの生き方を 考える力を育成する」の2点である。プログラムは, 「事前学習」「体験学習」「事後学習」で構成されて いる。「事前学習」「事後学習」は,各学校で担任の 指導により行われ,「体験学習」は,〈京都市スチュー デントシティ〉において行われる。「スチューデント シティ学習」を実施するに当たっては,ジュニア・ア チーブメントの教育プログラム・教材などを活用し, 京都市ならではの伝統文化や産業などの視点を盛り 込んだ独自のプログラム開発を行っている。 なお,ジュニア・アチーブメント(本部 アメリカ) は,1919年に米国で発足した世界最大の経済教育団体 で,民間・非営利の活動は現在,世界97ヶ国に広がり をみせ,4万社の企業支援を受けて青少年の社会的適 応力の育成を目的とした教材や指導法の開発を行い, 教材を無償で教育機関に提供している。日本において は1995年に日本アイ・ビー・エムの椎名武雄会長(現 表1-4 本市における「総合」と他教科等との関連(校) ※複数回答 (平成23年度計画) 図1-6 本市における「総合」と国語科の3領域1事項との 関連 (平成23年度計画) 47.3 16.0 48.3 38.5 51.6 54.0 43.1 38.5 1.1 28.0 8.6 11.9 2.0 11.1 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 6年 5年 4年 3年 話すこと・聞くこと 書くこと 読むこと 伝国 ※3 学 年
国語 社会 算数 理科 音楽 図画工作 体育 家庭 道徳 特別活動
第3学年
112 160 4
66 8
1
3
34 4
第4学年
131 139 8
66 4
2
5
30 9
第5学年
108 148 3
57 3
4
6
35 28 9
第6学年
116 147 3
34 6
4
12 24 43 10
相談役)を理事長に,ジュニア・アチーブメント日本 が設立された。学習プログラムには「体験型実技演習 プログラム」「コンピュータ・シミュレーション」「セ ミナー・講習会」等があり,「スチューデントシティ 学習」は「体験型実技演習プログラム」の一つである。 ※3 「伝国」とは,「伝統的な言語文化と国語の特質に 関する事項」の略である。 第2節 探究的な学習を充実させるための課題 田村は,図1-1(3ページ)のように探究の過程を 図示したことで探究的な学習についてのイメージ を適切に伝えられたと効果を認める一方,「図式化 したものを示すことはデメリットもある」(15)と 述べている。そもそも子どもが生き生きと学ぶた めのモデルとして探究的な学習のイメージを図式 化したのだが,その目的を見失い,モデルが一人 歩きし, 形骸化することを危惧しているのであろ う。確かに,教師主導でこのモデルが展開された としても,子どもには力が付かない。探究的な学 習は,子どもが主体でなければならない。子ども の中に何らかの必然性があり,「もっと知りたい」 「もっとやってみたい」という意欲をもって,モ デルに示された学習活動に主体的に取り組むこと が重要なのである。 大切なのは子どもの実態であり,意欲である。 だからといって,子どもに任せきりにするという のではない。無藤が「教師の意図があるべき」(16) と述べるように,目の前の子どもに寄り添い,子 どもの実態をしっかりと把握した上で,探究的な 学習となるように教師が意図的に学習活動を設定 しなければならない。 そこで,「総合」における実施状況を調査した 結果からみえてきた,探究的な学習を充実させる ための本市の課題について,単元構想,学習過程 の二つの視点から考えてみたい。 (1)単元構想上の課題 単元を構想する上での課題として,次の2点が挙 げられる。 ①学習活動にあてる時間数と内容 第1節において,「国際理解」と「情報」,「人権」 を扱う単元の時間数が少ないことを明らかにし た。特に,第5学年の「情報」では,5時間未満で 実施している学校が全体の26.0%を占めていた。 扱う時間数が多ければよいというものではないが, 時間数が少ないとどうしても,探究的な学習を展 開する上で無理が生じる。ましてや,5時間では問 題解決さえ行えないのが実状ではないだろうか。 そこで,探究的な学習が展開できるように,一 つの単元にあてる時間について検討を行うことが 求められる。指導資料の第2章「年間指導計画の 作成」において「年間指導計画例」で示されてい る単元の時間数を基に考えてみても,探究の過程 を繰り返すのであれば,少なくとも20時間程度の 時間が必要であると考える。 また,「スチューデントシティ学習」は,「総合」 で扱う場合,単元を構想するときに工夫が求めら れる。「スチューデントシティ学習」だけで単元を 構想するのではなく,例えば,この学習をきっか けとして,仕事観,勤労観をテーマに探究的な学 習を展開するなど,「総合」の単元の中に「スチュー デントシティ学習」を組み込むことが大切である。 扱っている学校は少数ではあるが「特別活動」 に位置付けられる遠足・集団宿泊的行事について も同様のことがいえる。先に述べたように,宿泊 行事を「総合」の学習活動として実施している45 校のうち12校は,事前指導や係活動に時間をあて ている。これでは,探究的な学習を展開するのに は無理がある。「総合」の単元の中に「宿泊行事」 での学習活動を組み込むような構想が求められ る。例えば,防災をテーマに,地震について調べ, 実際に修学旅行の機会を利用して阪神・淡路大震 災で被害を受けた場所を訪ね,見学,調査などの 追究活動を行い,事後,わかったことをまとめ, 新たに生まれた課題を別の手段で追究するなど一 連の学習活動を探究的な学習にすることが必要な のである。 つまり,探究的な学習を展開するためには,単 元を構想する際に次のような二つの工夫が重要で ある。 ○単元を構想するに当たって,1単元あたり20 時間程度は設定する。 ○ 「スチューデントシティ学習」や「宿泊行事」 についての単元を構想する場合,独立して単 元を構想するのではなく,探究の過程に体験 や追究活動の一つとして組み込む。 ②他教科等との関連 小学校学習指導要領第1章総則第4「指導計画 の作成等に当たって配慮すべき事項」では,各教 科等との関連について次のように規定している。 1(1)各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的, 発展的な指導ができるようにすること 1(4)児童の実態等を考慮し,指導の効果を高めるため, 合科的・関連的な指導を進めること (17)
「総合」と他教科等とは,「知識・技能」と「内 容」の二通りの関連の仕方がある。第6学年の国 語科の光村図書の単元「自分の考えを明確に伝え よう」を例に,それぞれの関連の仕方について以 下に示す。 本市においては,「総合的な学習の時間 全体 計画」に,「各教科等との関連単元」という欄が設 定されたことで,各学校において他教科等との関 連が意識されるようになったことは成果といえ る。しかし,他教科等との関連を意識していない 学校や特定の教科との関連しか意識していない学 校もみられる。 第1節で,国語科とは「知識・技能」の関連が 多く,社会科とは「内容」の関連が多いと述べた。 このほかの教科等についても詳しく調査してみる と,算数科や図画工作科,体育科,家庭科とは「知 識・技能」の関連,理科や音楽科,道徳,特別活 動の学校行事とは「内容」の関連が多い。このよ うに,教科等によって関連の仕方に特徴がある。 また,表1-4(6ページ)から,国語科や社会科との 関連を意識している学校が100校を超える一方,算 数科のように関連を意識している学校が少ないな ど,関連を意識しやすい教科と意識しにくい教科 があることがわかる。 しかし,本市の平成23年度「生活科・総合的な 学習教育研究会」の夏季研修会で,前文部科学省 主任視学官の嶋野は「総合」の単元を構想すると き組み入れる五つの活動の中に「実験・観察の要 素」と「基礎的な算数活動」を挙げている(18)。 このことからもわかるように,他教科等の「知識・ 技能」や学習過程との関連を図り,効果的で効率 的な指導を行うことは,子どもたちに確かな力を 付けるために重要な視点となる。 ある学校では,「総合的な学習の時間 全体計 画」の「各教科等との関連単元」の欄に,関連す る教科等のねらいを次のように挙げている。(一部 抜粋) このように各教科等で付けたい力を意識して 「総合」の単元を構想することは意義深い。 また,「総合」と社会科や算数科,理科との「知 識・技能」の関連を意識している学校は少ないが, 今後,意識して単元を構想していくことが求めら れる。例えば,次のような「知識・技能」の関連 が考えられる。 このほかにも,それぞれの教科での学び方とい うべき学習過程も「知識・技能」の関連として挙 げられるであろう。 これらの優れた取組や,教科等との関連の仕方 を具体的に例示しながら,探究的な学習となるよ うに全市へ広げていくことが大切だと考える。 また,他教科等との関連を教師が意識するだけ ではなく,子ども自身が意識できるようにするこ とも大切である。なぜならば,学習の主体者は子 どもだからである。 [第4学年 社会] 適切に資料を選択し調べ学習をしたり,様々な情報 からまとめたりすることができる。 [第4学年 算数] 数学的な見方や考え方を身に付け,理論的思考が できるようにする。 [第5学年 理科] 身近な自然から体験活動をし,問題解決をしたり科 学的な見方や考え方ができるようにしたりする。 [第6学年 特別活動] 集団の一員としての自覚を深め,協力してよりよい 生活を築こうと自主的に行動することができる。 [社会科] 「地図の見方,かき方」「見学や調査のしかた」 「資料の読み取り」「資料を使っての説明の仕方 [算数科] 第3学年「表とグラフ(棒グラフ)」 第4学年「表とグラフ(折れ線グラフ)」 「調べ方と整理のしかた」 第5学年「平均」「単位量あたり」「割合」 第6学年「資料の調べ方」「見積もりを使って」 「割合を使って」 [理科] 「実験・観察の仕方」「結果の整理の仕方」 「考察の仕方」 「知識・技能」の関連 自分の考えを明確に伝えるために,この単元で学 ぶ知識・技能は次の五つである。 ・課題の設定の仕方 ・課題の解決の仕方 ・意見文を書く手順 ・意見文の文章構成 ・スピーチの仕方 国語科で身に付けたこれらの知識・技能(学び方) を「総合」の探究の過程で活用するという関連の仕 方をさす。 「内容」の関連 この単元でこれらの知識・技能を身に付けるため に読む,教材「『平和』について考える」資料「平 和のとりでを築く」に書かれている内容を「総合」 の題材とする関連の仕方をさす。
(2)学習過程上の課題 田村は,学習指導要領完全実施1年を振り返っ て,「ややもすると体験活動だけが目的となり,そ のことによってどのような学習が成立しているか は十分に問われてこなかった」(19)と述べている。 本市においても,「総合」の学習過程を,図1-7に 示した「調べて,まとめて,発表する」としてい る学校があることから,同様の課題があると考え られる。「体験活動や調べ学習をして,まとめて発 表する」イコール「総合」の学習と考える傾向が あるのではないだろうか。 しかし,探究的な学習では,「何のために体験 活動や調べ学習をするのか」「その体験をして(調 べ学習をして)何がわかったのか」「そこからどう 考えるのか」が重要なのである。そのために,話 し合ったり,伝え合ったり,考えたりする言語活 動が,学習過程上に適切に位置付けられなければ ならない。そして,それらの言語活動には必ず思 考を意識することが求められる。 つまり,図1-7に示した過程に加え,「課題を設 定する」活動と,「思考する」活動を設定すること が大切となる。また,従来の「発表する」活動か ら,双方向性のある「交流する」という活動に意 識を変える必要がある。図1-8に示すように,この 学習過程は,学習指導要領の「総合」の解説で示 された「探究の過程」の「課題の設定」「情報の収 集」「整理・分析」「まとめ・表現」と一致する。 いま,求められるのは,「思考する」活動,つま り「整理・分析」のプロセスを充実させることで ある。「整理・分析」では,収集した情報を課題と 結び付けて思考する。情報を収集しても,思考し ないと学びは深まらない。学びが深まらないと, 「まとめ・表現」も表面的なものとなってしまう。 では,「思考する」とは,一体,どのような活動 なのだろうか。 指導資料によると,「収集した情報を種類ごと に分類したり,細分化して因果関係を導き出した り,批判的・複眼的な視点で分析したりする」(20) ことであるとしている。思考は本来,頭の中で行 うものであり,実際には見えないためにイメージ しにくい。だからこそ,思考を具体化する必要が ある。例えば,「比較する」「関連付ける」「分類す る」「分析する」などの具体的な思考の方法を示す のである。 ある学校では,「総合的な学習の時間 全体計 画」の「各教科等との関連単元」の欄に,言語活 動や具体的な思考の方法を下のように示してい る。(一部抜粋) このように,他教科等で身に付けた言語活動や 具体的な思考の方法を,「総合」で活用することが 大切なのである。 また,「思考のための図式」を用いることで, 情報や考え方が可視化できる。指導資料では,「思 考のための図式」を思考ツールとしてベン図,座 標軸等が紹介されている。可視化することで,思 考が確かなものとなり,関係性も見つけやすくな るという利点がある。はじめは教師に教えても らってツールを活用していても,ツールの有用性 を実感した子どもは,ほかの場面でも自発的に ツールを活用できるようになるであろう。そのた めにも,学習過程に「振り返り」の活動を位置付 けることで,子どもが学びを実感することが大切 となる。「振り返り」の活動については,第2章で 詳しく述べることにする。 これらの優れた取組やツールを紹介し,全市へ 広げていくことで,「思考する」活動,「整理・分 析」のプロセスにおける言語活動が充実すると考 える。 (4) 中央教育審議会大学分科会大学教育部会「予測困難な時代に おいて生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ (審議まとめ)」2012.3 p.22 (5) 前掲(4) p.20 (6) 梶田叡一「新しい時代の教育に望むこと」『初等教育資料』 (No.833)平成20年4月号 2008.4 p.2 (7) 門脇厚司「異なる価値を受け入れ,共に育つ子どもを育てる」 『初等教育資料』(No.885)平成24年4月号 2012.4 p.68 図1-7 ある学校の考える「総合」の学習過程 図1-8 求められる学習過程と「探究の過程」 [3年] 国語:「報告する文章を書こう」(収集・表現) 社会:「わたしたちのまち」(調査・比較・表現) 調べる まとめる 発表する 課題の設定 情報の収集 整理・分析 まとめ ・表現 課題を設定する 調べる 思考する まとめる 交流する
(8) 文部科学省『今,求められる力を高める総合的な学習の時間 の展開』2010.11 pp..17∼18 (9) 無藤隆「新しい時代の幼稚園,小学校教育に求められている もの」『初等教育資料』(No.833)平成20年4月号 2008.4 p.17 (10)中谷宇吉郎「比較科学論」『中谷宇吉郎随筆集』岩波文庫 岩 波書店 2011.1 p.277 (11)文部科学省『小学校学習指導要領解説 総合的な学習の時間 編』2008.8 (12)田村学「探究に学ぶ子どもの姿の具現」『初等教育資料』 (No.885)平成24年4月号 2012.4 pp..47∼48 (13)進藤弓枝「主体的な学びを支える総合的な学習の時間におけ る言語能力の育成−探究的な学習を実現する言語活動の構 想−」『平成23年度研究紀要』京都市総合教育センター 2012.3 (14)文部科学省「平成23年度公立小・中学校における教育課程の 編成・実施状況調査の結果について」 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles /afieldfile/2012/01/31/1315677_1_1.pdf 2013.2.20 (15)田村学「探究の価値を,今,改めて考える」『初等教育資料』 (No.883)平成24年2月号 2012.2 p.72 (16)無籐隆「なぜ,今,探究学習が必要とされるのか」『「探究 型」学習をどう進めるか−学習の創造的発展と問題解決力の 育成−』2008.7 p.14 (17)文部科学省『小学校学習指導要領』2008.1 p.15 (18)嶋野道弘「探究心をわきたたせ,確かな学びをつくるために」 『研究収録第22集 探究心をわきたたせ,確かな学びを創る 子ども』京都市小学校生活科・総合的な学習教育研究会 2012.3 p.82 (19)前掲(12) p.48 (20)前掲(8) p.31
第2章 探究的な学習の充実をめざした単
元構想と評価
第1節 総合的な学習の時間における問題意識の 調査 ①意識調査の目的と方法 a 意識調査の目的 第1章では,「総合的な学習の時間 全体計画」 を基に,本市における現状と課題について明らか にした。そこでは,新たな教育課程を基に全体計 画が立てられ,1年間実施した後,見直しや改善が 行われたことも明らかとなった。 そこで,2年目の実践が行われている現在,教 員がどのような問題意識をもっているのかについ て調査した。これにより,各学校での指導の現状 を明らかにし,新たな「総合」の取組の検証をす るとともに,今後の指導の在り方を検討する材料 としたい。 b 意識調査の方法 平成24年7月27日に京都市勧業館みやこめっせ において実施された「生活科・総合的な学習教育 指導講座」(京都市教育委員会,京都市生活科・総 合的な学習教育研究会主催)に参加した本市の教 員85名を対象に,アンケート調査を行った。 質問は大きく分けて「単元を構想するときに大 切にしていること」「単元を構想するときに困って いること」の二つである。 「単元を構想するときに大切にしていること」 については,16の項目について「特に」「時々」「あ まり」「全く」の4段階で解答を求めた。また,「単 元を構想するときに困っていること」については, 16の項目について選択形式(複数回答)で回答を 求め,自由記述の欄も設けた。 ②意識調査の結果と考察 表2-1は,「単元を構想するときに大切にしてい ること」の16項目についての回答結果をまとめた ものである。有効回答数は85である。 次ページ表2-2は,「単元を構想するときに困っ ていること」について16項目の中から選択形式で 回答を求めた結果である。複数回答とし,選択の 数に制限はしなかった。85名中,どの項目も選択 しなかったのは7名,15項目を選択したのは2名 で,一人平均3.9項目を選択した。 表2-1 教員の意識調査結果➊「大切にしていること」 回 答 内 容 常に 時々 あまり 全く 無答 1 内 容 ①学年の系統性 43.5% 50.6% 4.7% 0.0% 1.2% 2 ②各教科等との関連性 38.8% 54.1% 5.9% 0.0% 1.2% 3 知識・ 技 能 ①学年の系統性 38.8% 47.1% 14.1% 0.0% 0.0% 4 ②各教科等との関連性 40.0% 54.1% 5.9% 0.0% 0.0% 5 単 元 の 展 開 ①素材(テーマ)との出会わせ方 74.1% 18.8% 5.9% 0.0% 1.2% 6 ②追究活動 のさせ方 学習課題,学習計画を立てる活動 48.2% 43.5% 8.2% 0.0% 0.0% 7 見学したり体験したりする活動 67.1% 30.6% 2.4% 0.0% 0.0% 8 図書館やコンピュータで調べる活動 27.1% 57.6% 14.1% 0.0% 1.2% 9 インタビューしたりアンケートをとったりする活動 37.6% 51.8% 10.6% 0.0% 0.0% 10 地域の方やゲストティーチャーとの協同的な活動 50.6% 41.2% 5.9% 1.2% 1.2% 11 ③学習形態の工夫(グループ交流など) 54.1% 42.4% 3.5% 0.0% 0.0% 12 ④表現活動 57.6% 36.5% 5.9% 0.0% 0.0% 13 ⑤振り返る活動 49.4% 47.1% 3.5% 0.0% 0.0% 14 評 価 ①自己評価 34.1% 48.2% 14.1% 1.2% 2.4% 15 ②子ども同士の相互評価 16.5% 57.6% 24.7% 0.0% 1.2% 16 ③指導と評価の一体化 36.5% 51.8% 9.4% 0.0% 2.4%a 「大切にしていること」から見えてくること 「総合」の改訂のポイントとして挙げられる 「体験」「協同」と関連の深い「7 見学したり体 験したりする活動」「11 学習形態の工夫(グルー プ交流など)」が「常に」「時々」を合わせると 97.7%,96.5%となっていることが注目すべき点 である。また,「10 地域の方やゲストティー チャーとの協同的な活動」も91.8%と高い数字で ある。これらのことから,改訂の趣旨が多くの教 員に周知されているととらえることができる。 b 評価についての課題 「困っていること」において,一番多くの教員 が選択したのは,「11 評価をどのようにしたらよ いかわからない」(43.5%)であった。また,<評 価>に関連のある「付けたい力」についての項目「9 付けたい力をどのように育てたらよいかわからな い」も32.9%と高かった。つまり,教員が最も課題 であると感じているのは<評価>のことである。 また「大切にしていること」の調査において, <評価>については,全ての項目で「常に」の回答 が4割を下回っている。特に「15 子ども同士の相 互評価」においては,16.5%と意識が低い。「時々」 を合わせても,「14 自己評価」は82.3%,「15 子 ども同士の相互評価」は74.1%,「16 指導と評価 の一体化」は88.3%しかなく,他の項目と比較す ると意識が低いことがわかる。 これらのことから,付けたい力の不明確さが, 評価の困難性を招いているのではないかと考えら れる。また,評価方法が明確ではないために,評 価に対する意識が低いともいえるのではないだろ うか。そうであるならば,付けたい力を明確にす ることを前提とし,付けたい力に応じた評価規準 の設定と評価方法の開発が求められる。 c 単元の構想・単元づくりについての課題 「困っていること」で次に多いのが,「12 学 習課題をどのようにつくらせたらよいかわからな い」(41.2%)であった。このことから,「課題の設 定」に困難を感じていることがわかった。これを 解決するためには,どのように単元を構想するの かを考え,課題を醸成させるプロセスを工夫する ことが大切になると考える。これは,「1 探究的 な学習になりにくい」が29.4%と,ほかに比べて 高い割合を示していることとも関連しており,〈単 元構想・単元づくり〉に課題がみられるというこ とにつながる。合わせて,自由記述の中にも以下 のような記述が見られた。 中でも,下線の「単発の授業が多い①」という 記述は,筆者が第1章第2節(1)①で「1単元にあ てる時間が少ないことが課題である」としたこと を裏付ける結果となった。また,「体験活動の充実 の仕方②」や「体験活動の生かし方③」,「思考操作 のさせ方④」を課題として挙げていることは,第 1章第2節(2)で,田村が「探究に学ぶ子どもの 姿の具現」(初等教育資料No.885)で述べているこ とを受け,筆者が「学習過程の見直し」を課題と したことを裏付ける結果となった。 また,「大切にしていること」では「7 見学した り体験したりする活動」の回答が多く,追究活動に おける体験活動への意識は高いものの,「8 図書館 やコンピュータで調べる活動」や「9 インタビュー したりアンケートをとったりする活動」の割合が ほかと比較するとやや低い傾向にあった。これら のことから,教育現場では探究的な学習を展開す るための指針となるものが求められていると考え る。どのようにすれば探究的な学習となるのか, 〈単元構想・単元づくり〉に関する課題 ・単元をどのようにつくればよいかわからない ・単元の構想の仕方がわからない ・テーマの設定の仕方がわからない ・探究的な学習をスパイラルに展開するためにはどう すればよいか ・探究の学習過程を実際の単元でどう位置付ければよ いかわからない ・単発の授業が多い① ・体験活動を充実させる方法がわからない② ・体験活動で終わらせないためにはどうすればよいか③ ・どのように思考させたらよいのか。どのような思考 ツールを使えば有効なのかが難しい④ 表2-2 教員の意識調査結果➋「困っていること」(複数回答) 回 答 内 容 選択率 1 単 元 の 構 想 探究的な学習になりにくい。 29.4% 2 内容について,学年の系統性をどのように意識したらよいかわからない。 23.5% 3 内容について,各教科等との関連性をどのように意識したらよいかわからない。 15.3% 4 知識・技能について,学年の系統性をどのように意識したらよいかわからない。 16.5% 5 知識・技能について,各教科等との関連性をどのように意識したらよいかわからない。 12.9% 6 テーマをどのように設定したらよいかわからない。 28.2% 7 コミュニティティーチャーなどの人材の確保が難しい。 36.5% 8 時間数が 70 時間に削減されて,単元が構想しにくくなった。 12.9% 9 付けたい力をどのように育てたらよいかわからない。 32.9% 10 単元のなかにどのように言語活動を位置付けたらよいかわからない。 16.5% 11 評価 評価をどのようにしたらよいかわからない。 43.5% 12 指 導 の 仕 方 学習課題をどのようにつくらせたらよいかわからない。 41.2% 13 学習計画をどのように立てさせたらよいかわからない。 27.1% 14 追究活動をどのようにさせたらよいかわからない。 23.5% 15 集めた情報をどのように整理させたらよいかわからない。 18.8% 16 表現活動をどのようにさせたらよいかわからない。 8.2%
探究的な学習の過程に体験活動や言語活動,思考 操作をどのように位置付けるのか,追究活動の方法 などについて具体的に示していく必要性を感じる。 d 各教科等との関連・学年の系統性の課題 自由記述には〈年間計画〉に関して,以下のよ うな課題が挙げられた。 これらをみると,下線で示すように,「学校と して」「学校全体で」という文言が多く用いられて いることに気付く。学校全体で年間計画を作成す ることで,「各教科等との関連」や「学年の系統性」 も明らかとなり,見通しがもちやすくなるであろう。 このことは,表2-3教員の意識調査➌が示すよ うに,多くの教員が<各教科等との関連><学年の系 統性>を重視していることからもわかる。ただし, 実際の構想においては,「各教科等との関連」「学 年の系統性」のどちらについても1∼2割程度の教 員が課題と感じているという現状がある。 更に,自由記述には次のような課題があげられ ている。 これらのことから,〈各教科等との関連・学年 の系統性〉を学校全体で意識し,付けたい力の系 統表や年間計画を作成したり,年間計画に各教科 等との関連を示したりしていくことを重視すべき であると考える。 e コミュニティティーチャーの課題 〈コミュニティティーチャー〉に関しては,「大 切にしていること」において「10 地域の方やゲ ストティーチャーとの協同的な活動」の「特に」 「時々」を選択した割合が91.8%と高い。これに ついては,「総合」において多くの教員が協同的な 学びを意識していることの表れであると,前にも 述べた。これに対して,「困っていること」において 「7 コミュニティティーチャーなどの人材確保」 が36.5%とほかに比べると高いことがわかる。自 由記述においても以下のような記述が見られる。 つまり,〈コミュニティティーチャー〉との協 同的な学びの大切さはわかっているが,課題も多 いのである。そこで,〈コミュニティティーチャー〉 についての条件整備を行うことが必要と考える。 詳しくは,次節で述べる。 第2節 探究的な学習の充実をめざした単元構想 の視点 (1)学年の系統化を図る 第1節で,教員が<各教科等との関連><学年の系 統性>が大切だと感じていることが明らかとなっ た。<各教科等との関連>については,拙稿「主体 的な学びを支える総合的な学習の時間における言 語能力の育成」(21)においてその重要性について 述べた。年間計画に各教科等との関連を示すなど, より一層の具現化を図ることが望まれる。 <学年の系統化>については,解説書「第6章第 2節年間指導計画の作成において」に,「年間計画 を作成するに当たっては,当該学年までの児童の 学習経験やその経験から得られた成果について事 前に把握し,その経験や成果を生かしながら年間 計画を立てる必要がある」(22)と記述されている ことからも明らかなように,「内容」と「付けたい 力」の両面から確かにしていかなければならない。 ①「内容」の系統化を図る 「内容」の系統化を図るにあたって,三通りの 方法が考えられる。一つは同じ「内容」の単元を 〈年間計画〉に関する課題 ・学校として系統立てて年間計画を立てていきたい ・学校全体で足並みをそろえて「総合」を行うことが 大切だと思う ・学校としてカリキュラムづくりを行っていかないと いけない ・年間計画を立てることが大切だとわかっているが, 実際は立てられていない 〈各教科等との関連〉に関する課題 ・各教科等との関連があいまい ・各教科で学んだことが十分活用できていない 〈学年の系統性〉に関する課題 ・付けたい力が学校として系統的に設定されていない ので,子どもに力が付けられているか不安 ・知識・技能の系統表がない ・これまでにどのような力が付いているのか,どこま で力を付けるのかがわからない ・学校として力の系統表が必要 ・系統的に指導できていないので,本当に子どもに力 が付いているのかわからない 〈各教科等との関連〉〈学年の系統性〉に関する課題 ・学校として,縦と横の系統性を確立すること 〈コミュニティティーチャー〉に関する課題 ・コミュニティティーチャーの確保 ・担任が変わると,コミュニティティーチャーと継続 しにくいこと ・コミュニティティーチャーとの打合せ,共通理解の 図り方 表2-3 教員の意識調査結果➌ 各教科等との関連 学年の系統性 内 容 知識・技能 内 容 知識・技能 大切にしている 92.9% 94.1% 94.1% 85.9% 困っている(複数回答) 15.3% 12.9% 23.5% 16.5% ※「大切にしている」の数字は,「特に」と「時々」の数字を合わせたもの