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精神発達遅滞児の脳波学的研究 : 第一報

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(1)

223

不日

精神発達遅滞児 の脳波学的研究

―― 第一報 ――

障害児病理

Electroencephalographic Stadies of W【

enta■

y Retarded Children

A Parelinlinary Report

Kazuko TANAKA

現在

,精

神発達遅滞(mental retardation)は

,一

つの発達障害 として捉 えられている。すなわち,

アメ リカ精神発達遅滞学会

(American Academy of Mental Ratardation,AAMR)の

定義1)に

る`精神発達遅滞 は

,一

般的知的機能が有意 に平均 より低 く

,同

時 に適応行動 に障害 を伴 ってお り, それが発達期 に現れ るものを指す″とす るのが一般的である。 そして知的機能 は

,通

常検査 による 知能指数

IQで

計 られている。 一方

,知

的活動 の基 は脳機能活動であ り

,脳

活動 を機能的に客観的に表記す るのが脳波 である。 したがって

,脳

波 も又

,児

の精神発達 の状況 を知 る基本的情報である。 この見地 に立 っての脳波の 分析結果 は

,必

要かつ有意義 な情報 として

,教

育面 に提供で きるもの と考 えられ る。実際,Bergerか の研究 に始 まり現在迄 には

,精

神遅滞 に関す る脳波学的研究 は種々成 されて来ている。 しか し

,現

在なお精神発達遅滞児 の1函波検査結果 を障害児教育上 に活用す ることは,充分 には行われていない。 そこで

,今

後 の教育指針 を立てるに有用な基本的情報 として教育現場 に提供す るために

,本

学教 育学部附属養護学校 に在学中の児 の脳波 を測定 し

,種

々分析することを試みた。 今回は

,精

神発達遅滞児の精神発達 と脳波 との関係 を発達面 に視点 を当て ゝ分析 し

,第

一報 とし て報告す る。 平成

4年

度 (1992年度

)本

学教育学部附属養護学校在学中の児童生徒56名のうち

,脳

波記録が可 能であった ものは52名である。 その内10名はてんかん児である。てんかんは

,精

神発達 の程度 とは 別 に

,疾

患 として個有 の波 を脳波 に示す。今回 は精神発達 と脳波 との検索を目的 としてい るため, 対

(2)

1

対象児一覧表 No 年令 ・性 才 障 害 名 精神発達 遅 滞 度

IQ

他 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 22 23 24 25 26 27 28 29 30 3 . 32 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 男 女 男 男 男 男 男 男 男 男 男 女 男 男 女 男 女 女 男 男 女 女 男 男 女 男 女 女 女 男 女 女 女 女 男 男 男 女 男 男 男 男 6 6 9 9 9 10 12 ・2 ・2 ・2 ・2 ・2 ・2 ・3 ・3 ・3 ・4 ・4 ・4 ・5 ︲5 5 5 5 6 6 6 6 6 6 6 ・6 ・6 ・6 ︲6 ・6 ・6 ・7 ︲7 ︲7 ︲8 ︲8 自閉症 ダウ ン症候群 精神発達遅滞 ダウン症候群 精神発達遅滞 精神発達遅滞 自閉症 ダ ウ ン症候群 自閉症 自閉症 精神発達遅滞 精神発達遅滞 精神発達遅滞 プラダー ウ ィ リー症候群 脳性麻痺 プラダー ウ ィリー症候群 精神発達遅滞 ダウン症候群 ダウン症候群 ダ ウン症候群 精神発達遅滞 自閉症 精神発達遅滞 脳性麻痺 ダ ウン症候群 精神発達遅滞 自閉症 精神発達遅滞 副 甲状腺機能低下症 ダウン症候群 精神発達遅滞 ダ ウン症候群 精神発達遅滞 精神発達遅滞 プラダー ウィ リー症候群 精神発達遅滞 精神発達遅滞 自閉症 自閉症 自閉症 自閉症 自閉症 中 重 中 中 中 中 中 中 軽 中 重 軽 中 中 中 中 中 中 中 重 軽 軽 中 中 重 軽 軽 中 中 重 重 重 中 中 中 中 中 中 重 中 重 重 1発達性失語症 WISC―

R65

WISC―

R61

WISC―

R49

WISC―

R54

WISC―

R測

定不能,関節 ロイマ WISC―

R63

WISC―

R56

WISC―

R53

WISC―

R預

」定不能

,場

面19E黙 WISC―

R演

」定不能 WISC―

R測

定不能 WISC―

R測

定不能 WISC―

R41

WISC―

R40

WISC―

R40

WISC―

R40

WISC―

R42

WISC―

R40

WISC―

R測

定不能 WISC―

R44

WISC―

R測

定不能 WISC―

R測

定不含と

(3)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

1号

(1993) 上記の理 由か ら10名のてんかん児 を対象か ら除外 した。したが って対象 は,てんかんの合併がな く, 既往 にけいれん発作 も意識喪失発作 も認 められない42名の附属養護学校 に在学中の児童生徒である。 これ等対象児 の概要 は表1に示す通 りである。

1.脳

波の言己録方法 平成

2年

(1990年

)7月

∼平成

4年

(1992年

)12月

の期間に

,附

属養護学校保健室内に設置 され た脳波記録室 にて脳波記録 を行 った。 脳波計 は三栄測器多用途脳波計lA57型を用い

,電

極配置 は

10/20国

際電極法 に従い

,両

耳柔 を不 関電極 とする頭皮上単極誘導及び双極誘導 による記録 を行 った。1回の記録時間 は30∼ 60分で

,覚

醒時安静閉眼状態の ものである。 ただ し

,閉

眼不可能 な児 については

,日

を布 で覆 って行 った。全 例 に閃光刺激 を

,又

,可

能な限 り

3分

間強制過呼吸及び開閉眼の条件下での記録 も行 った。

2.脳

波の判定方法 基礎波 について は

,年

令 を考慮 して周波数

,律

動及び左右差等 に注意 して総合的に判定する一方, 後頭部誘導波 について周波数 を計測 した。 発作波 については

,下

記の ものが認 め られた。

a.発

作性汎性高振 巾徐波群発又 は徐波律動異常

(HVS)

b.発

作性汎性高振 巾鋭徐波律動異常

(HVSh)

C。 発作性汎性棘徐波複合

(SWC)

d.発

作性局所性徐波 (f―Slow)

e.発

作性局所性棘波 (Sp)

f.6 Hzフ

ァン トム棘徐波複合

(6 PhSW)

g. 6又

は 7 Hz陽 性棘波

(6∼

7 PS) この内

a∼ eは

異常 としたが

,f,gに

ついて は

,論

議 の多い ことを考慮 して上 げるに とどめた。 今回 は主 として発達状態 との関係 を検索す る関係上

,脳

波 は

,基

礎波 (背影脳波

)と

発作波 とを 区別 して検討 した。

3.病

歴及び発達等状況の検索 障害

.病

歴 については

,保

護者 による記載や

,診

断 を受 けた医師および医療機関 よ りの聴取 によ り行 った。現在 の発達状況 について は

,附

属養護学校 の担任教師 による諸検査及び記録

,そ

して学 校 における児の状況 の観察 に基づいて行 った。

1.年

,性

別 対象児 の性別

,年

令 を表2に示す。総計42名であ り

,男

性26名

61.9%,女

性16名

38.1%で

ある。 男性 は女性の約

2倍

である。 年令 は

, 6才

1/Jヽ学部

1年

)か

ら18才 (高等部

3年 )で

あ り

,平

均 は12.9才である。男性13.5才, 女性14.6才で

,平

均年令 には性差 は認 め られない。 法 方 結

(4)

226 田中和子 :精神発達遅滞児の脳波学的研究

2

性別年令分布 年令才 男 女 計 6 1 1

2(4.8)

7 0 8 0 9 3 1

1(2.4)

1 7(16.7) 1

3(7.1)

1 2

3(7.1)

3 5(11.9) 5 13(13.0) 1 3 2

2(4.8)

計 26(61,9) 16(38.1) 42(100.0) 平均年令才 13.5=L3.ユ 14.6=生2 7 12.9±2.6 人(%)

3.精

神遅滞度 精神遅滞の検査 は

,小

学部中学部で は遠城寺式 及び津守式発達検査が主 として行われ

,高

等部で は

WISC―

Rの知能検査が主 として行われている。 表

3

障害別性年令分布 年令才生 理 群 染色体異常群 自閉症群 他 群 男 女 男 女 男 女 男 女 6 l 1 7 2 1 l 11 2 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 3 4 2 2 1 1 2 1 2 計 9 7 16 (38.1) 8 4 12 (28.6) 8 3 11 (26.2) ︲ 2 一 3 ぐ7 . . ナ 人 (%)

2,障

害の種類 対象児全例 に精神発達遅滞 は認 め られ るが

,現

在及び既往 にてんかんを思わせ る症状 は認め られ ていない。 この42名は

,既

往 に格別 な神経疾患の認 め られないいわゆる生理群 と

,精

神発達遅滞 と関係があ ると思われる神経疾患の認 め られ る病理群 とに分 けられ る。生理群 は16名 (男性

9名

,女

性7名), 病理群 は26名 (男性17名

,女

性9名

)で

ある。更 に

,病

理群 は

,障

害 の種類 と数 によ り三群 に分 け ることがで きた。すなわち

,染

色体異常群 と自閉症群及び他 の群 とである。その内訳 は

,染

色体異 常群ではダウン症候群

9名

及びプラダーウィリー症候群

3名

の計12名 (男性

8名

,女

4名

)で

あ り

,自

閉症群で は自閉症11名 (男性8名

,女

3名

)で

ある。その他の群 は脳性麻痺2名及び副甲 状腺機能低下症1名の計

3名

(男性1名

,女

2名

)で

ある。 これ ら42名の障害別性年令分布 を表 3に示す。染色体異常群及 び自閉症群 で男性が女

4

精神発達遅滞度分布 性の約

2倍

と多い ゝのが 目立つ。 軽 度 中 度 重 度 男 2(7.7) 17(65。 4) 7(26.9)

26“

1.9) 女 4(25.4) 9(56.3) 3(18.8) 16(38.1) 計 6(14.3) 26(61.9) 10(23.8) 42(100,0) 人 (%)

(5)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

1号

(1993) このように児 によ り検査方法が異 っているので

,こ

れ等 を基 に精神遅滞 の程度 を大 まかに

,軽

度, 中度

,重

度 と

3大

別 した。すなわち

,発

達検査で は児 の発達年令 に歴年令 を考慮 に入れ

,又, IQ

で は目安 として∼56を軽度

,55∼

40を中度

,39∼

以下及び測定不能 を重度 とし

,更

にそれぞれの社 会適応性 を考慮 して分類 した。 その結果 は表4に示す ように

,軽

度が6名14。

3%,中

度が26名 61.9

%そ

して重度が10名

23%で

ある。中度遅滞 を認 めるものが26名62%と最 も多数 を占めている。

4.脳

波所見 脳波 は基礎波 と発作波 とを分 けて検討 した。

A.基

礎波

1)全

誘導 をみる と

,規

則的なαリズム (regular α

wave ttythm)(図

1)の

他 に

,広

汎性徐波 性律動異常 (diffuse slow wave dysThythmia)(図 2)11名

26,2%,広

汎性低電位性律動異常(diffuse low voltage dysrhythmia)(図

3)5名

11.9%,広

汎性速波性律動異常 (dittuse fast wave dysrhy‐

thmia)(図

4)5名

.9%,局

所性徐波 (focal slow wave act

ity)1名 2.4%お

よび広汎性持続

性α(diffuse continuous α

)1名

2.4%が

認 め られた。 この様 に徐波傾 向を示す ものが多 くみ られ た。 Fpi―AI Fp2 A2 Wねか “ Ч ヽ ユ),¨中 彰φ`ぃ ヽ蜘 ∼∼"W螂 ハ 台ヵ Ppl― Al ψ判 ′ェ 却 いu/Mw妹 日 、 ド 蝸wぃれ 即 蜘 蜘V酢 ゛ 榔 脚 W対 勺 か 碑 T3A二 部_∼_― 学∼_ぃつヽ″∼υ―“崩ゎれ_´_´_マ` hハ T4A2 れ ∼_∼ “、_"ン、 一―マいいw咀、ヽャ_、_^か_ C3Al 型ヽい∼菊 味Aげ学 ↓ 猟 コ胸喝 ″∼ "町″い四虐 ッ 判 W、 C4 A2 酌 咄m咄 か 硼 ぱ時 … 蜘 山 れ 叩 r巧 かvM却 01 Al 、 ∼ぃ_ぃ れ ャ_釣 `一 ― Ⅲ郵 時 一 一 ∼ぃ′… Ⅲ訥 抑、ガ ハ蹴 02A2 勺 肺 ハ痢mハいれ、ハ〃 ´、,_` ∼菊 "ヽ一 ― ヽ∼ヽぉ ′ゝ∼υl゛∪゛ し、 " Pp2 A2 ¬ 虚 巾 璃 い 蝸Wよル ヽ 押 ぜ ぬ 叫 ぱ 呵 十憫 泄W即 い 竹 町 μ へ ψ ″ ル 汎 △ コ は 出 T3AI r,・ レ仲w瀾 んクV箪胸W、Ⅲド椰 ン`潮 Ⅲ ハ湘 町ⅢⅢⅢ悧 И ⅣハWコ噺 おwttwれ いヽ朝r)ヽン、構 坤 ハかハィ T4 A2 烈転コ!4∼ね却 ⅥW悧ビvv理学 剰 肺 ピΥ Ⅲ 和 勺V塩叫 ψW蜘悦 ∼掏 ツ トサ ロ ‐ へ か 、 C2 A: pおヘッれ哺 郡Apv拍蜘n々漸 脚 刹 いげ 内H,Nゝ ハrヽVヽ淑 筑 βⅢl「ョv、刊│ル 坤 力切 兜巧 μ聯 Ⅲ ハv

C4 A2 ′与VVヤ、 剤 、r硼ぃΨtW脚颯 勺 嶋郁 いⅢ ハA州伽WttWqnΨvЧnい力 A卜 いぃ脚ヽか‐Aか榔 ヽ へ

01=A二 内 勺 噺w嘲即 山 哄 ∼ヽ Aい叫m中wヽおⅢ賄ぉ蜘 化的漸 レ´判ιh彰捐yゝpV拍 呻卿n¨w熟部 ッ∼w F3A: F4 A2 F7Al Fs A2 ECG 02A2 F2Al F4 A2 F7AI FB A2 図

1

規則的なα律動 (17才男 自閉症) _J50″v ECG斗 コ 必 ―コ ♂ 碧 永 蝸 ド ヤ ー 図

2

広汎性徐波性律動異常 (12才男 自閉症) 噺Wぱ町 制 印¬ザ呵 守的訥与〆wいwtv VttVし耐h謝〕1的嗚 劇 ヽ脚 押W¬Wu特VAn〕 げ凸

(6)

228 田中和子 i精神発達遅滞児の脳波学的研究 小 6E 9[

10-呵

M[ ヤ [ 18[ 才 図

5

対象児の後頭部B凶波周波数 ●優位周波数 ○出現周波数 ―高頻度出現 ――低頻度出現 図

3

広汎性低電位性律動異常 (16才男 生理群精神発達遅滞) 56 7 8 910H12 13 14 15 16 17 Hz Fpl―AI w呼 一 "れ 中 ― … Fp2 A2 … ‖"叩 壻 イ`ヨ/ コ ツ 割 町 事″ ― ムr予 ― φ 望 々ヽ_Υ… 1 T3A・ 対 ‖ 岳 併 小 中 い ′!晰 "鸞Ⅲ… Ⅲ … ‐ い T4 A2ru州 円 … 判 卜廓 ‥N璃`お 帥 Ⅲ … 1引碑 蜘 咄 導 C3Al … … … _お … … 仲 ― ヽ冽^…へ C4 A2 01 Al 02A2 F3Al F4A2 F7Al FB A2 ECG 図

4

広汎性速波性律動異常 (13才女 脳性麻痺) 図

6

生理群精神発達遅滞児の後頭部周波数 ●〇― ‐― 図 5に 準ずる

(7)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

1号

(1993) 229

2)後

頭部周波数 小児 において

,脳

波 の発達が最 も早い とみ られている後頭部 の周波数 について検討す る。周波数 は分析装置が無 いため

,視

覚的 にスケールによる計測 を行 った。 図

5は ,42人

の後頭部 の周波数 を個々に表 し

,年

令順 に並べて表記 した ものである。主たる周波 数 (優位周波数

)を

●で記 し

,混

在す る周波数 を○で示 した。又

,比

較的多 く認 められ る周波数 は 実線で表 し

,少

量 しか認 め られない周波数 は点線で表 した。 ① 全体を概観すると,各 年令全体 を通 して,優 位周波数 は

9∼

10Hzに 集中している。すなわち, 33名

78.6%が

この範囲に入っている。これを年令的に追ってみると

,6才

で既に

9∼ 10Hzが

主体 と なっているが

6∼

7 Hzのθ波の混在 も多 く周波数の散つきがある。15∼ 16才頃になって主体 は

9∼

10 Hzと 不変ではあるがθ波の混在 は少な く

,1lHz以

上の高周α波の出現がみられている。 ② 次に

,障

害別 に後頭部周波数を検討する。先に述べたように

,生

理群16名

,染

色体異常群12 名

,及

び自閉症群11名の

3群

について比較検討する。 生理群では,図 6に みられるように12才までは主体が 9 Hzで あるが,14才以上になると10Hzと な り,16才以上ではθ波の出現が見 られな くなっている。周波数の散つきも少な く士ヒ較的安定 してきて いる。すなわち

,年

令 と共に脳波 も成人のパターンに近付いてきている。 染色体異常群(図

7)で

,優

位周波数は

9∼

10Hzを 示す ものが多いが

,

しかしθ波やβ波を混在 するものが多い。周波数の散つきが多 く15∼ 16才になっても7 Hzθ波を混在 している。脳波的に年 令的成熟が認められない。 W   ︲ 8 才 図

7

染色体異常群児の後頭部周波数 。優位周波数O出現周波数 ―高頻度出現 ―低頻度出現 図

8

自閉症群 児の後頭部周波数

oO一

――図 7に 準ず る

(8)

田中和子:精神発達遅滞児 の脳波学的研究 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 図

10

障害別精神発達遅滞児後頭部周波数の散つきHZ

6 7 8 9 10

12 13 14琵

9

障害別精神発達滞児後頭部優位周波数 15[ 16E 才 6     9   1 0       ・ 2       B     ・ 4 ・6         ・7 才 ― 図

12

中度精神発達遅滞群児の後頭郡周波数 。

O一

― 図11に準ず る ii、

__霙

ぶ三

00 90 80 70 60 50 ………生理群

N=16

…‐卜‐一染色体異常群

N=12

___自

閉症群

N=11

。優位周波数O出現周波数 ―高頻度出現 一=低頻度出現

(9)

鳥取大学教育学部研究報告 毅育科学 第 35巻 第

1号 (1993) 231

一方 自閉症群 (図

8)で

,優

位周波数 は

9∼

10Hzと変 りはないが

,全

体的 に周波数 の散つ きが 少ない。 θ波 の混在 の少ないのが 目立つ。 θ波の混在 は11名中3名

(27.3%)の

みである。 以上

3群

間の特徴 を要約する と

,生

理群で は

,脳

波の成熟 は遅れてはいるが順次年令 と共 に成熟 して行 っている。 しか し染色体異常群 で は

,周

波数 も徐波傾向が強 く散つ きも多 く

,年

令 による脳 波の成熟がみ られない。 自閉症群 で は

,反

対 に周波数の徐波傾向が少な く散つ きも少 ない。 このよ うにわずかなが ら各群 それぞれに異 なったパ ター ンが認 め られた (図

9,図

10)。 ③ 次 に精神発達遅滞度別 に後頭部周波数 を検討す る。 軽度精神発達遅滞群 (図

11)は 6名

と少 ないが

,優

位周波数 は 9 Hzの slow α waveである。散つ きは少な く安定 している。中度精神発達遅滞群 (図

12)及

び重度精神発達遅滞群 (図

13)は

,優

位 周波数 は同 じ く

9∼ 10Hzで

あ り,年令が高 くなるにしたがって周波数の散つ きが減少す る傾 向が認 められた。 これ ら

3群

間で は

,軽

度精神発達遅滞群 に最 も安定度 の高い傾向が伺 われた (図

14,図

15)。 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 H多 図

14

精神発達遅滞度群別精神発達遅滞児後頭部優位周波数 ―……軽度群

N=6

-千 ―中度群

N=26

__『_重度群

N=10

︲ 7   ︲ 8   才 図

13

重度精神発達遅滞群 児の後頭部 周波数 ●優位周波数 ―高頻 度 出現 ○出現周波数 ―低頻度 出現 ▲‐ ■i、 L‐‐一 ヽ1

15

精神発達遅滞度群別精神発達遅滞児後頭部周波数の 散つ き … Ⅲ… 軽度群

N=6

-◆―中度群

N=26

___重

度群

N=10

(10)

232

田中和子 :精神発達遅滞児の脳波学的研究 表

5

過呼吸負荷 によるslow build up 年令才 十 十 一 不 能 6 2 7 0 0 1(100.0) 1 2 1(100.0) 1 0 3(50.0) 3(50.0) 6 1 1(50.0) 1(50.0) 2 1 0 2(50.0) 1(25.0) 1(25.0) 4 1 5(38.5)

1(7.7)

7(53.8) 1(50.0) 1(50.0) 2 ユ 2(100.0) 2 計 14 (41.2) 2 (5.9) 18 (529) 34 (100.0) 8 人 (%) 表

6

開眼によるα―block 年令才 十 十 一 ? 6 1(100.0) ユ ユ 7 0 8 0 2(1000) 2 1 1(100.0) 1 0 4(66.6) 2(33.3) 6 1 1(100,0) 1 3(100.0) 3

2(666)

1 (33.3) 3 2 8(72.7)

1(9.1)

2(18.2) 3(100.0) 2(100.0) 計 25 (75.8) 2 (6.1) 6 (18.2) 33 (100.0) 9 人 (%)

(11)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

1号 (1993) 233

3)過

呼吸負荷 によるslow build up

3分

間強制過呼吸負荷中の脳波 にはsfow build upの所見が高率 に認 め られた。その結果 を表5に 示す。対象児42名中8名は過呼吸が不可能であった。協力の得 られたのは34名である。 この34名に ついてみると

,10才

以下で は例数が2名と少ないが100%slow build upさ れている。12才∼15∼才 ではほ ゞ

50%に

認 め られ

,16才

∼17才でや ゝその率が下 る傾 向を示 し

,18才

になって ようや くslow build upが認 め られな くなっている。

4)開

眼 によるα―block 対象児の多 くは

,検

査者 の指示 に従 って開眼閉眼 を行 うことは難 しく脳波記録中 も開眼状 の もの が多か った。彼等 には眼 を布で覆 い これによって視覚的刺載 を返断 した事 とした。 したがって彼等 の場合 には,この布 の覆 いを取 った り当てた りして開閉眼状 とした。この様 にして記録 したにもか ゝ わ らず開閉眼の判定 のつ きかね るものが

9人

み られた。判定可能であったのは33人である。 この33 人 について基礎律動であるα波が開限 によりblockされ るか どうかを見た結果 を表6に示 した。この 表にみ られる様 に

,9才

12才 16才の各2名計6名にα―Ыockが認 められていないが,全体的に見れば

76%に

α―block力浦忍め られている。

B.発

作波 突発性 (発作性

)異

常波 として は

,表

7に示 した ように

,発

作性汎性棘波複合

(SWC)(図

16)1

2.4%,発

作性汎性高振幅徐波群発又 は徐波律動異常

(HVS)(図

17)11名

26.2%,発

作性汎性高 振巾鋭徐波律動異常

(HVSh)(図

18)5名

11.9%そ

して発作性局所性徐波及び棘波 (f‐

Slow&Sp)

1名

6.3%が

認 め られた。これ らを合わせ ると18名

,42.9%で

ある。なお他 に

6又

は7 Hz陽 性棘 波3 表

7

障害別発作波 障 害 別 群

SWC

HVS

HVSh

f Slow&Sp 他 計 (他を除 く) 生 理 群

N=16

1 (6.3) 6 (37.5) 1 (63) 1 (6.3) 1 (6.3) 9 (56.3) 染色体 異常群

N=12

1 (8.3) 2 (16.7) 4 (33.3) 3 (25.0) 自 閉 症 群

N=11

3 (27.3) 1 (9.1) 1 (9.1) 4 (36.4) 他

N=3

1 (33.3) 1 (33.3) 1 (33.3) 2 (66.7) 計

N=42

1 (2.4) 11 (26.2) 5 (11.9) 1 (2.4) 7 (16.7) 18 (42.9) 注

)SWCⅢ

…棘波複合 HVS・ ¨汎性高振幅徐波群発又 は徐波律動異常

HVSh…

鋭徐波律動異常

f Slow&Sp…

局所性徐波及び棘波 他…6又は 7 Hz陽 性棘波複合 6 Hzフ ァン トム棘徐波 後頭部徐波 (%)

(12)

田中和子:精神発達遅滞児の脳波学的研究

16

発作性汎性棘波複合(SWC) (16才女 生理群精神発達遅滞) 刃ム即 "訥 rコun時υ卜hυ 拍ψ呻へヽかッ¬r,t中 蜘ⅢⅢAぃ 脇twⅢυ拍四v`ゆ 刊ψ ▼れγ`∼"蜘′`お いれ^wψ匈瀾ド`い゛W、 A∫ヽ一 ♂り r″“的ネ ″カ″■ ^、ハツMか的 剌aptゃは ‐ u、彰Aぃ nン彬かv ぃ い れ勺Mん淑 鵬 u詢 刹 ドに wJ〕内 μttur部勺耐 型 珀 v即ば 判転wvЪM岬 坐P型坐型JL胆`やお4』4♂f狛沸ハ′u増∼VヽAw、か 的 中 件ド ∼∼いぃヽ翻… へ_J― H― ― _l_」 ― ― ― ″ヘー 発作性汎性高振巾鋭徐波律動異常 (HVSh) (16才女 副 甲状腺機能低下症 現在血清Ca値正常) Fp:Al Fp2 A2 T3Al T4A2 Ca Al C4 A2 01 Al 02A2 F3Al FttA2 F7Al Fs A2 ECG T3 Al T4A2 C3Al

碑W射げ ,いW樹ハrw\いげw噛内h、心 `咄 v仙壻ィ螂 け おⅢ 、ャurv札″ゅw劇″ いυ И ∼ か`VAおい ツNヽ的Aいコ れ ヤ ヽ負 代V巧々口 単 ′W、 C4A2即〕w哨嘲 叩 体れ ィ憫 ↓ 郷 岬 脚J側H肺 Oェ Al 刈名ハ♂颯Ⅳ いい炒・‐′彰Whい 卜かコハⅢ 刀V∼ "〃 “ 呻恥 し嗽Jい ^Ⅲφ剖 だいム F3A・ F4 A2 F″ Al Fa A2 ECG 150μv ―^1/ヒーーコ″ヘーーー4ノヘ、十一学J♂と壁二」ャッヘ__1 発作性汎性高振 巾徐波群発 (HVS) (12才女 自閉症) 図17 表

8

年令 と発作性徐波 年令才 N

HVS

2 0 0 3 3(100.0) 1 1(100.0) 3(42.9) 5 2(40.0)

1(7.つ

3 1(33.3) 2 計 11(26.2)

T341 T4A2 C3Al C4A2 01 AI 02A2 F3 AI F4 A2 F7 AI Fs A2 ECG 図18 人 (%)

(13)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

1号

(1993) 235

7.1%, 6 Hzフ

ァン トム棘徐波複合2名

4.8%及

び後頭部徐波

2名 4.8%も

認 め られた。 このように主な発作性異常波型 は徐波成分である

HVSで

ある。徐波 は脳波の発達 と関わ りの深い ところか ら

,こ

れ を年令別 に見 てみる と

,表

8に見 られるように10才以下 の低年令児 に高率 に認 め られてい る。又

,障

害別 に見てみる と

,表

7に見 られ るように

,生

理群 に37.5%と 高率 に認 め られ た。染色体異常群で は少な く

8.3%で

あった。 考

察 本研究では

,精

神発達遅滞を精神の発達障害 として捉え

,そ

れ と脳波の発達 との関係を検討する のを目的 とした。そのため

,発

達 とは関係な く脳波上特異な異常所見を示すてんかんも既往 にけい れん発作や意識喪失発作等てんかんを思わせる症状 も認められない精神発達遅滞児のみを対象 とし た。又

,脳

波 は服用 している薬物の影響 を受け易いが

,本

研究対象児では副甲両腺機能低下症の1 名が服薬 しているのみである。 したがって薬物の影響 は殆んどないものとして分析 を進めた。

1.基

礎波の発達 脳波の判定は通常基礎波 と発作波 とを分けて行 うが

,発

達 と最 も関係の深いのは基礎波である。 そこでまず基礎波について検討する。 脳波の基礎波は年令 と共にδ波か らα波へ と変化 してい く。

4期

に大別すると以下のごとくである。

Itt

δ波 (周波数3 Hz以下の波

)優

位期

18ヶ

月まで

Htt

θ波 (周波数

4∼

7 Hzの波

)優

位期

6才

まで Ⅲ期 不安定相

6∼ 9才

Ⅳ期 α波 (周波数

8∼

13Hzの波

)優

位期安定相

10才

以上

>

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16才

19

小児脳波の発達過程 後頭部 の周波数 と年令 との関係 正常小児132例 の検討 (Lindsiey,D.B)。

(14)

286 田中和子 :精神発達遅滞児の脳波学的研究 すなわち学童期 になると,θ波 は減少 して

,波

が優位 とな り

,8∼

9才

では

8∼

9 Hzのslowα

wave

か ら10∼12Hzのfastα waveへと変化 し,10∼13才で安定 して くる。13∼ 15才でほ ゞ成人様 のパター ンとなる。これが健常児 の大 まかな基礎波の発達的変化である3ち なお脳 の部位 での波の発達 の様子 は多少異 な り

,後

頭部が最 も早 く成熟す ると云われている。LindsieyOに よれ ば(図19),覚醒閉眼時 における後頭部脳波の周波数 は年令 と共 に増カロし,ほ ゞ

3才

を境 にα波の出現 をみるようになる。そ して学童期以後では

10Hz前

後の比較的安定 したα波 になるとされている。 そ こで

,本

研究で も脳波の基礎波周波数の分析検討 を後頭部誘導波で行 った。 図5に見 られ るように

,対

象児の後頭部脳波の周波数 は

,9∼

10Hzα 波が主であるが,θ波 の混在 も多 く全般的 に不安定である。15才以上で は比較的安定 しているもの もあるが,17才迄 はθ波の混在 も多 く未熟 な ものが多い。

1)精

神発達遅滞度 と基礎波の発達 一般 に脳波 の未熟度 と精神遅滞度 とは関係があると言われている。ωつので,本研究で も精神発達遅 滞度 と後頭部周波数の発達変化 との関係 の分析 を試みた。図

11,図

12,図

13がそれである。 これで 見 ると,軽 度精神発達遅滞群児 において優位周波数 は,中 度重度の ものよりもむ しろ遅 く9 Hz slow α waveである。 しか しθ波の混在 は認 め られな く安定 している。一方

,中

度お よび重度精神発達遅 滞群児 においては

,年

令が長ず るにしたがってθ波 の混在 は減少 して はいるが,16∼17才でなお混在 が認 め られ る。軽度精神発達遅滞群児 の優位周波数 は 9 Hzで あるが,θ波の混在 の様子やα波の安定 度 を考慮すれば

,軽

度精神発達遅滞児 の方が中度重度精神発達遅滞児 よ りも脳波 は発達 していると 考 えられ よう。 しか し

,症

例数が

6例

と少な く

,年

令 も12才 15才及 び16才のみであるので明言 はで きない。中度精神発達遅滞群児 と重度精神発達遅滞群児 との間には明 らかな差 は認 め られなかった。

2)障

害 と基礎波の発達 次 に視点 を変 え障害別 に後頭部周波数の年令的推移 を検討する。 グループ として絞 り得た

3群

, すなわち

,生

理群 (内因性精神発達遅滞

)16名

,染

色体異常群 (ダウン症候群

9名

,プ

ラダーウィ リー症候群3名

)12名

及び自閉症群11名の

3群

について比較検討す る。 生理群児 (図

6)に

おいては

,年

令が高 くなるにしたがって周波数 もわずかなが ら速 くな り安定 度 も増 している。16才になってようや く

9∼ 10Hz2波

優位でθ波 もな くな り散つ きも少な く安定 して 来ている。健常児 と比較すれば

,約

5∼ 6才

の遅れが認 められ るが

,そ

れな りに年令 と並行 して脳 波 も発達 していると考 えられ る。14∼ 15才時 にθ,β波の混在が多 く散つ き多 く不安定 な時期がみ ら れ るが,健 常児 において

,9才

迄 は

2波

は次第 に増加 し脳波 は順調 に発達 して来 ているのが

9∼

10才 頃にα波の増加停止又 は減少する時期があるとの鈴木動の報告 もあり,この事 を考 え合わせれば,14∼ 15 才時の脳波の不安定 さはこれ等生理群児 において も

,遅

ればせなが ら

,そ

の一時停滞 の現象 として 理解 もで きる。 染色体異常群児(図

7)に

おいて は

, 6才

か ら16才に至 る迄一貫 してθ波の混在が認 め られ る。周 波数の散つ きも大 きく年令 による脳波 の発達 は余 り認 め られない。又

,14∼

15才の

3名

で は特 に周 波数の散つ きが大 き く

(5∼ 15Hz)こ

の点 に関 して は

,生

理群児 と同様 に脳波的発達過程 の一停滞 期 と推測で きる。 自閉症群児 (図

8)に

おいては

,反

対 に

,総

じて周波数の徐波成分 は少 な く散つ きの少いのが特 徴的である。 このように

3群

それぞれ異ったパター ンを示 した事 は非常 に興味深い。 生理群精神発達遅滞児 の脳波基礎波の発達のパ ター ンは

,前

記 の如 く一時停滞期 を経過 しなが ら

(15)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

1号

(1993) も周波数 は順次低周α波 よ り高周α波へ と進み

,徐

波 の混在 も減少 し安定化 して行 っている。これ を 健常児 と比較す ると

,質

的な差 はな く時間軸 の差つ ま り″発達 の遅れ〃として理解で きる。 これ は脳 が病的障害過程が加わっていない故 とも解せ られ る。一方染色体異常群では,後頭部周波数 はα波優 位 とな りつ ゝも徐波成分が多 く脳波の安定度が悪 い。 しか も年令的変化が認 められない。つ ま り脳 波の成熟が余 り見 られない。一般の発達検査や生活適応面で は生理群 と余 り変 りがないのに脳波 の 発達度 は生理群 よ り可成 り悪 い。染色体異常 による障害が

,脳

に病的発達過程 を起 しているのであ ろう。生理群 とは質的 に異 ったパター ンと考 えられ る。 そして自閉症群であるが

,脳

波的には最 も 安定 したパター ンを示 している。

6才

ですでに

9∼

10Hzα の出現 を認 め

,15才

以上で は

, 1例

を除 きα波 は安定 してお り

,17∼

18才ではfast αを認 めている。Gibbs10)始め梶谷

0,岡

らつによれば

,ダ

ウン症候群 の基礎波 は徐波が基調であ り発達 も或程度で止 るとしている。そしてそれ は脳 の機能成 熟 とも関係があるとしている。本研究で も徐波成分が多 く脳波的未熟 との見解 に異存 はない。一方,

自閉症 の基礎波 については,Stevensら 11)は自閉症 の或一群 にvery normal“

hypermature"EEG所

見が認 め られた と報告 し,Hermelinら 二りは自閉症でα活動の連続性恒常性 を,又 ,村瀬 らも13)9∼11 才の早期 に速 いα活動 を認 めた と報告 している。この点 においても本研究結果 は大体 の一致 もみてい る。 こ ゝで

,ダ

ウン症候群 と自開症 とを比較 してみると

,日

常生活上で は

,脳

波の未熟であるダウ ン症候群 の方が基本的生活技能 は高 く社会適応 も良 く,脳波ではhypermatureと 言 う程 に成熟型 を示 している自閉症児の方が,,ヒ較 にな らない程 に基本的生活技能 も社会適応 も良 くないものが多い。 このgapは何故であろうか ?自 閉症児の脳波の発達 の良い事実 を考慮すれば,自開症児の脳 は,個 の神経細胞 レベルで は良 く発達 しているが

,何

等かの原因によって

,統

合的機能の発達が障害 され ている と解す ることはで きないであろうか?今後 の研究 に機待 したい。

2.負

荷 による脳波の変化 脳波記録時の負荷 として

, 3分

間強制過呼吸 と開閉眼 とを行 った。

脳が未熟である程過呼吸時 に脳波 は徐波化す る (sIOw build up)こ とが知 られている。それ故小 児では幼い程徐波化 の程度が強い。 しか し中等度以上 の著明な徐波化 は異常 と見なされている。表

5に示 した ものは中等度以上 のslow build upが認 め られた ものである。梶谷0は,健常児では

5∼

9 才で

27%,10∼

14才で

18%,15才

以上で は

0%に

slow build upが認 め られるとしている。 これ と比 較すると

,本

研究 における児 の反応 は

,10才

迄 は

100%,12才

∼17才は約

50%で

あ り

,極

めて過敏 で ある。脳波的 には

,そ

れだけ未熟性が強い と言 える。 開眼 による脳波の反応 も,健常児 においては

3才

頃か らα波のblockingが 認め られ るところ,本研 究対象児 においては学令児でなおα波のblockingが 認 め られない ものが

14%に

ある。やはり未熟性故 と考 えられ る。

3.発

作波 発作波で最 も多 く認 め られたのは徐波成分である発作性汎性高振 巾徐波又 は徐波律動異常

(HV動

であつた。棘波成分 を含 まず明 らかなてんかん波 とは言えないが正常で は認められない波である。 これ は42名中

m名

26.2%に

出現 した。出現率 を年令的 にみると(表

8),10才

以下では全例 に

,12才

以上で も

8∼ 43%に

認 め られている。発達 と関係が有 るのであろうか。障害別で は(表

7),生

理群 に16名中

6名

37.5%と 最 も高率 に認 め られた。染色体異常群で は12名中1名

8.3%の

みであった。ダ ウン症候群で は

,基

礎波 は徐波傾向が強いが発作波 は少 ない と言 うのが諸家00010の見解であ り

,本

研究で もそれ と同 じ結果である。

HVSは

一応 はてんかん領 の異常波 と見 なされてお り

,行

動異常, 自律神経発作症 との関係 も論議 されて来ている。精神発達遅滞児 は

,症

状があって も自らそれ を適

(16)

田中和子 :精神発達遅滞児の脳波学的研究 切 に訴 える事が しばしば困難であ り

,そ

のために症状 を見逃 されている事 もある。 その観点か らの 観察

,検

討 も必要であ ろう。 発作性汎性鋭徐波律動異常

(HVSh)と

こついて も同 じ事が言 えるであろう。棘波複合

(SWC)の

認 め られた

1例

には

,け

いれん発作 は認 められないが

,情

動不安

,突

発行動が認め られてお り

,て

んかん性 の もの も否定 し得 ない と思われた。 ま と め てんかんを除いた精神発達遅滞児42名の脳波を発達的見地 より分析検討 し

,以

下の結果を得た。

1.42名

の精神発達遅滞児を

,精

神発達遅滞度で大 まかに軽度

,中

度及び高度に分 けると

,軽

度 は

6名

14.3%,中

度 は26名

61.9%そ

して高度 は10名

23,8%で

あり

,中

度精神発達遅滞児が

62%と

中 核 を成 していた。

2,こ

の42名を障害別に区分けした所

,以

下の

3群

に絞 り得た。生理群16名

38.1%,染

色体異常 群12名

28.6%及

び自閉症群11名

26.2%で

ある。

3.後

頭部脳波の周波数を計測 し年令的分析を行 った ところ

,全

般的に脳波 は未熟の傾向がみら れたが

,各

群 それぞれ異ったパターンも認められた。すなわち, ① 生理群児においては

,健

常児より約

5∼

6年

遅れなが らも健常児の発達にそった発達が認 められた。 ② 染色体異常群児においては

,全

般的に徐波傾向が強 く

,周

波数の散つ きも多 く

,し

かも年 令的成熟過程が余 り認められなかった。 ③ 自閉症群児においては

,徐

波傾向を認めるものは少な く

, 3群

の中では最 も安定成熟 した 脳波が認 め られた。

4.障

害 による脳波の基礎波発達パターンの相違 は

,脳

障害の質の差

,そ

れによる脳 の発達障害 状況の相違 を反映 しているもの と考 えられる。 5。 したが って

,各

群 それぞれ に児の学習能力 にもパ ター ンの差 の有 ることが考 えられ る。教育 面での対応 も

,各

群 それぞれ異 った工夫が必要 と思われ る。 今回の研究 は障害児脳波検索の第一歩であ り

,今

後 も引続 き研究 を進 めて行 く予定である。 現在迄 にダウン症児の脳波 に関する研究報告 は多々見受 けられ るが

,自

閉症児の脳波 に関す る研 究報告 は極 めて少 ない。 これ は自閉症児の脳波 を記録す る事が非常 に困難 なためであろう。幸い, 著者 は附属養護学校諸先生方の温い強力な御協力 をいた ゞいて難 しい障害児 の脳波検査 を行 うこと がで きた。 こ ゝに

,御

協力いた ゞきました諸先生方 に心 よ り謝意 を表 します。又

,脳

波記録 に御協 力いた ゞいた小林康子先生及 び斉藤信良氏

,鍵

本裕志氏 に感謝致 します。

1)Butterfield,EC:Journai name,format and policy changes Amer,J,Ment Retard,92:242(1987) 2)Berger,H:jber das Electroencephalogram des Menschen.Arch.F Psychiat,9416(1931)

(17)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 笛1巻 第

1号

(19931 239

4)Lindsley,つIB.:A longitudinal study of he occipital alpha rllythm in 40rlatal cllildren:frequcIIcy a却 ampl■ude ttatldardsi J:Gelaet,Psychol,,5,197(193.9).

5)Kj∝

ze鳴 α&smith F・ 1動rainpotelatials in the hereditaFy typ Of mental deficidlcy, PSych01.Bull,,3生

「035(193η.

6)梶

谷喬 :精神薄弱児の脳法学的研究 第 1編 精神薄弱児の脳波に関する研究`精神神経学雑誌165:192(19631.

7)岡

鎖次 :精 神薄弱児の脳波に関する研究

.精

神神経学雑誌 72:555(1970).

3)鈴

木善之 :学 童期における脳波の発達に関する研究

`精

神神経学雑誌 17:812(1970).

9)Gi照

、ユA,,ct al i Electroencephalograわ hiC FeSpOnse to oveFVentnatiola and its Felatio4 to.4ge.工 Pediat, 23497(1943).

10)Gibbs,E.L.:ElectFOenCephalogFaphic ttudtt Of mentaily retarded peる o Anaer!J.Mentt Defic,,6儀

236(1つ601

11)Stevelas,J.and MilstdR,■ I Severeご部diatric DitЮrdett oFCltildhoodi ElectroencephalogFam ana clnicよ1

Correlatio4.Am.J,Disease.s Child l'0:182(1"Ol,

1瘍 Hermelh,B and Oconner,N(平井久他訳)1自閉症 の知覚.岩崎学術出版(1977).

13)村瀬寛他:自閉症の発達に伴 う脳波背影活動の変化 について一発達障害 を伴ゎない精神疾患および自閉症以外の 発達障害 との比較研究―

.臨

床脳波 32:291(1990).

(18)

表 1  対象児一覧表 No 年令   ・性 才 障 害 名 精神発達 遅 滞 度 IQ  他 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 22 23 24 25 26 27 28 29 30 3. 32 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 男女男男男男男男男男男女男男女男女女男男女女男男女男女女女男女女女女男男男女男男男男669991012・2・2・2・2・2・2・3・3・3・4・4・4・5︲55556666666・6・6・6︲6・6・6・7︲7︲7︲8︲8

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