香川大学経済論議 第63巻 第1号 1990年6月 117-147
西ドイツにおける遡及的合併
日 次 はじめに 西ドイツにおける合併制度の概略田 村 詩 子
- 西ドイツにおける遡及的合併と合併基準日 (ー) 合併契約書 仁)遡及的合併と合併基準目 的合併基準日と貸借対照表 四 日本における遡及的合併 付合併貸借対照表の基準日と合併期日 (斗合併契約脅の内容 五 お わ り に はじめに ヨーロッパ経済共同体条約第54条第3項g号に基づき, 1978年10月 9日, 合併ディレクティブ(Verschmelzungsrichtlinie)と呼ばれている,株式会社の 合併に関する第3
ディレクテイブが発せられた。これを国内法として会社法に 導入するため,西ドイツにおいて, 1982年 10月25日,合併に関する西独株式 法の規定および関連法の諸規定が改正され(Gesetz zm Durchfuhrung der Dritten Richt1
i
nie des Rates der Europaischen Gemeinschaften zur Koor -dinierung des Gesellschaftsrechts (Verschmelzungsrichtlinie-Gesetz)),
1983*
本稿作成にあたり, Dr Marcus Lutter教授(Bonn大学),及び, Dr. Hoffman-Becking 弁護士に御教示頂いたことに謝意を表します。 ( 1) BGB1 1982 1, 1425ff118ー 香川大学経済論叢 118 年1月1日から施行されている。しかし,諸法にわたるこれらの規定を,株式 会社だけでなく他の形態の企業に関する合併法とともに組織変更法において統 ーするため, 1988年11月その草案が作成された。 他方,日本において,昭和
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年の「商法・有限会社法改正試案」により,従 来の合併手続の改正提案がなされるとともに,西独株式法と同様に,遡及的合 併制度が導入されようとしている。すなわち,試案七 4は,合併による計算の 承継に関する試案七3によらないときは,-合併貸借対照表の基準日(5参照) の後の消滅会社の計算は,存続会社の計算と合体して行うことができ,合併に よる承継財産の評価は,合併貸借対照表の記載による(遡及的合併)Jとしてい る。そして,この趣旨につき,-ドイツでは,計算関係および株主の利益配当の 関係を合併手続が行われる営業年度の初めに遡らせて合体して処理する f遡及 的合併』が行われるのが通例であるといわれる。つまり,営業年度が変わる時 点と財産の内部的移転とを合わせることにより,手続および計算の簡易化をは かることが可能となる」と説明されているからである。 その後の「商法・有限会社法改正要綱案」の七9(→は,-消滅会社の8付の貸 借対照表の日の翌日から合併期日までの期間が6月を越えない場合において, 合併契約書に遡及的合併の方式によるという定めがあるときは 8付の貸借対 照表の日の翌日以降の消滅会社の計算は存続会社の計算の一部として処理する ことができる。ただし,その日から合併期日に最初に到来すべき存続会社の決 算期までの期間が一年を越えるときは,この限りでない。」としている。しかし, 「消滅会社の計算は存続会社の計算の一部として処理することができる」こと ( 2) 詳細につき ,Priester, Das neue Verschmelzungsrecht, NJW 1983, S 1459参照。な お,本稿では, 1965年西独株式法の条文を引用するについては,単に, ( )条と記載す るのを原則とするが,合併に関する, 1965年株式法であっても1982年改正前の条文につ いては,旧( )条と記載する。 1965年株式法以外については, 1937年株式法等である ことを明示する。(3) Diskussionsentwurf, Gesetz zur Bereinigung des Umwandlungsrechts, Text und Begrundung, 15.
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1988, Bundesanzeiger Jg.40, Nr 214a(4 ) 大谷禎男「合併J,稲葉威雄=大谷・商法・有限会社法改正試案の解説,別冊商事法務
119 西ドイツにおける遡及的合併 -119-については,次のような批判がある。すなわち,-消滅会社の計算は存続会社の 計算と合体して行うということ」を「消滅会社の財産がこの貸借対照表の日の 翌日以降,実質的に存続会社に移転する」というふうに解することは困難であ る。「つまり,消滅会社の財産が実質的に存続会社に移転するということになれ ば,移転したときから以降は,もはや消滅会社の取締役はその会社の経営権・ 管理権を失ってしまい,したがって,貸借対照表の日の翌日以降の消滅会社の 取締役は,法律上は取締役であるけれども,何ら企業の経営に関与する立場に なく,存続会社の恥締役がやることになるJ,と解するのか,と指摘されている。 このような疑問に答えるためには,西ドイツにおける合併制度,特にその遡 及的合併制度につき検討する必要がある。
ニ
西ドイツにおける合併制度の概略 (1) 西ドイツにおける株式会社の合併法は, 1937年株式法において現代的な 合併法 (233条以下)が規定されたことに始まる。それ以前の1897年の商法典 上,株式会社聞の合併のみであり,株式会社の合併につき,即時合併でない合 併(Fusionohne sofortige Verschmelzung)または不真正合併(uneigentliche Fusion)と称される合併(商法305条),および即時合併(Fusionmit sofortige Verschmelzung)と称される合併(商法306条)とに類型化されていた。不真正 合併は,清算を行う合併であるのに対し,即時合併は,清算を行わないという 約定のもとになされる合併であり吸収合併のことである。 1937年株式法による合併法は,消滅会社の株主の保護を図るとともに,吸収 合併だけでなく新設合併についても規定し,また,株式合資会社,有限会社等 との合併もできるようになったのである。1965年に改正された株式法におげる 合併法は1937年株式法を継承しているが,株主保護を強化しようとしたもので (5 ) 大隅健一郎=上柳克郎=河本一郎他・商法・有限会社法改正要綱案をめぐる問題点,法 律 懇 話 会 記 録 第19号(大阪工業会)(平成l年)42頁以下(大偶発言)。 ( 6) Staub's Komm. zum HGB, 1921, ~~ 305, 306 大隅「会社合併の本質」竹田先生古 稀記念・商法の諸問題(昭和27年)298頁,参照。-120 香川大学経済論叢 120 あった。しかし,それも十分とは言えず, 1982年の改正により,さらにその強 化が図られている。
1937年以来,西独株式法は,合併の方法として,吸収合併 (Verschmelzung durch Aufnahme, 1965年株式法 340条以下)および新設合併 (Verschmelzung durch N eubildung, 353条)のニ形態、につき規定している (339条)。通常の合 併形態として吸収合併が予定されており,新設合併は例外的形態とされており 吸収合併に関する規定が準用されている。 有限会社の合併に関しては, 1980年の有限会社法の規定においてではなく, 増 資 法(Kapitalerhohungsgesetz)において規定されている(増資法 19条以 下)。株式会在と同様,吸収合併及び、新設合併の二形態につき規定されており (増資法19条),新設合併については,吸収合併に関する規定が準用されてい る(増資法32条)。 株式会社の合併に関する株式法の1982年の改正は株主および債権者の保護 の改善をその趣旨とするが,その主たる改正点は, 複数の会社を同時に吸収合併することを可能にすること 株主総会の前に最少の事項が記載された合併契約書草案の作成を要する こと (340条) 取締役の合併報告の導入 (340条 a) 合併の検査の導入,特に,独立の専門家による株式の割当比率の検査の 導入,および書面により検査報告をすること (340条 b) 異なる種類の株式の特別決議の必要性 (340条 c3項) 株主総会の前に合併契約書または合併契約書草案を開示すること 株主総会の前に年度決算書,営業報告書および取締役・検査役の報告書 を開示することを要すること (340条 d) 債権者保護を消滅会社の債権者にまでも拡大すること 社債権者および享益証券の保有者の保護の導入 (347条 a) ( 7 ) K Schmidt, Gesellschaftsrecht, 1986, S. 296f;Baumbach/ Hueck, Komm zum AktG, 13. Auf.l(1968) Ubersicht vor~ 339 Anm.3
121 西ドイツにおける遡及的合併 -121-合併の無効の制限 新設合併への規定の準用 等である。 (2) 株式会社の合併は,法による段階的手続きを経なければならない。合併 当事会社の取締役は,合併についての合意の後,合併契約書草案 (Entwurfeines Verschmelzungsvertrags)を作成するか,株主総会の承認が得られることを条 件とする合併契約書 (Verschmelzungsvertrag)を先に締結する。合併契約書に おける最も重要な記載事項は,株式の割当比率である。株主総会による合併契 約書または合併契約書草案の承認決議のために,各合併当事会社の取締役は, 合併報告書を作成し
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条a),合併契約書または合併契約書草案を独立の合 併検査役に検査させなければならない(
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条b
)
。合併契約書または合併契約 ( 8) Gesetzentwurf der Bundesregierung v. 20 1L 1981, BT -Drucksache 9/1065; Beschlusempfehlung und Bericht des Rechtsausschusses v.. 23. 6.. 1982, BT -Drucksache 9/1785 (9) I日法上,合併契約書草案という諮は,明文上用いられていなかったが,デイレクティブ 上のVerschmelzungsplanに対応して,規定された。合併契約書草案と合併契約書のニ諮 を用いることにより,両者を識別するとともに,合併当事会社の株主総会の前にも後にも 合併契約が締結されることを明らかにするものであり,柔軟な対応を可能にするもので ある,とされている(BT-Drucksache 9/1065, S..15)。合併契約書草案が合併承認総会前 に作成され,総会による授権に基づき合併契約が締結されることができ,承認総会前に合 併契約が必ず締結されなければならない,ということはなくなったのである。 Ganske,Anderungen des Verschmelzungsrechts, DB 1781, 1551, 1552f; Geβ,ler, Komm zum
AktG(1979)~ 340 Rdnr 2ff参照。なお, Entwurf eines Verschmelzungsvertragsの訳 語につき,合併計画書または合併覚書とするのが適当であろうが,日本では,合併覚書は, 合併契約替の作成・締結に先だって,合併当事会社関で合併に関する基本的事項あるいは 合併契約書に記載されない重要事項などについて交換されることが少なくない。また,合 併当事会社の代表取締役によって調印される一種の契約としての性質を有するものとし て作成される合併覚書がある一方で,他方,単に道義的な遵守を期待するにすぎないもの として作成交換されるものもあるという実情(大隅=今井宏・注釈会社法(8)のII(昭和44 年)29頁,松井一郎「合併覚書・合併契約書の作成」新版合併ノ、ンドブック(昭57年) 109頁以下)に鑑みると,西ドイツでは,合併契約書草案と合併契約書の記載事項が同様 であることから,本稿では,合併契約書草案とすることとした。 組織変更法草案第4条(Verschmelzungsvertrag)の2項において,合併契約が第13条 により必要とされる株主総会決議後に締結される場合には,この決議前に書面による合 併契約書草案が作成されなければならない,として明文によりその趣旨が明らかにされ ようとしている。
-122- 香川大学経済論叢 122 書草案は,合併承認のための株主総会開催前に登記所に提出される。合併契約 書または合併契約書草案・直近3年の営業年度の年度決算書・中間貸借対照表・ 取締役報告書・検査報告書が,合併承認の株主総会開催前遅くとも
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月前に, 会社の営業所において株主の閲覧に供されなければならない。合併承認株主総 会において,株主は,当該会社の業務に関してだけでなく,他の合併当事会社 の業務に関しでも知る権利を有する(
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条d
)
。そして,合併当事会社の株主 総会が承認決議をする(
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条 c)。合併により資本が増加する場合には,これ につき更に株主総会決議を要する。しかし,存続会社が消滅会社の株式または 自己株式を有する場合には,資本の増加がなされないことがある(
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条)。合 併登記は,まず,存続会社においてなされ,その後,消滅会社においてなされ る。(
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)
合併は,存続会社の合併登記によりその効力が発生し,消滅会社の財産 が債務をも含めて包括的に存続会社に移転し,消滅会社の株主が存続会社の株 主となり,そして,消滅会社は消滅するのである。重要な改正のーっとして, 複数の会社を同時に合併することを可能にするために,規定を根本的に変え, 合併の効力の起点が変更された。1
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年改正前の1
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年株式法によれば,合併の効力は消滅会社がその本庖 の所在地に登記することによって生じ(株式法旧3
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条3
項4
項),存続会社 の登記は付、随的な手続でしかなかった。しかし,この制度が,複数の会社の同 時合併の障害の一因であったため,改正法は,これを逆にし,すなわち,存続 会社の登記に因ることとしたのである。それに伴い,消滅会社の登記の際の チェック機能として,備考において,合併が存続会社の登記をもって効力が発 生する旨の記載をしなければならない(
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条1
項3
文)。 消滅会祉の商事登記の申請権限が存続会社の取締役にあることには変わりが なく(
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条1
項2文),それは合併の処理を円滑に行うためである。 自己株式が生じるのを避けるため,合併の効力が生じるとともに,消滅会社(10) Schilling, Groβkomm.zum AktG 3.. AufL (1974)~ 346 Anm.ll; Krajt, Kδlner Komm. zum AktG (1972)~ 346 Anm. 4
123 西ドイツにおける遡及的合併 -123-の株主が存続会社の株主となること,が規定されている。これは,存続会社ま たは第三者が消滅会社の計算で有する株式または自己株式には,適用されない のである (346条 4項 3文)。
(
4
)
合併契約書の記載事項は,通常それ程多くはなく,一般の書式によれば, 六 八項目程度であるが,その第一条の財産移転 (Vermogensubertragung)に おいて,消滅会社の業務が存続会社の計算で行われるものとみなされる時点, を記載しなければならない。 これは,合併基準日 (Verschmelzungsstichtag)と称されており, 1965年株式 法の 1982年の改正により合併契約書の法定記載事項とされたが (340条 2項 6 号),改正前においても実務において合併契約書に慣習的に記載されていたもの であり,これが,日本で参考とされている,西ドイツにおける遡及的合併制度 のことである。 ー 西ドイツにおける遡友的合併と合併基準日 (一) 合併契約書 合併契約書は,その法的性質によれば,財産法上および会社法上,債権法的 かつ物権的に効力を生じさせる契約である。 合併は,存続会社の本庖の所在地の登記簿に登記をすることにより,物権的 にその効力が生じ,消滅会社の全財産が債務をも含め存続会社に移転し (346条 3項),かつ消滅会社の株主が存続会社の株主となる。これに反する合併契約は, 無効である。それは,合併の法的効果として生じるものである。 合併当事会社の取締役は,合併契約書を締結するか,書面による合併契約書 草案を作成するが (340条 1項),合併契約書または合併契約書草案に少なくと (1l) Priωter(Fn 2) S 1460; BT -Drucksache, 9/1065 S.. 18(12) Kγ'aft(Fn 10)~ 341 Anm. 2;Godin/ Wilhelmi, Komm zum AktG 4.. AufL (1971)~
341 Anm 1;Wurdinger, Aktien-und Konzernrecht, 2. AufL (1966), S. 225f
(13) Schilling(Fn10)~ 339 Anm. 4;Luther / Hap,ρ, Formular-Komm II, 2.. Aufl, Han-十
dels-und WirtschaftsR II (1982) Form 2. 401, Anm 8;Fischer / Lutter / Hommelhof,
Komm. zum GmbHG, 12. Aufl (1987), ~ 21 KapErhG, Rdnr 2;Priester, Scholz Komm. zum GmbHG 7..AufL (1988)~ 21 KapErhG Anm 1
-124- 香川大学経済論叢 も記載されなければならない事項が,法定された。すなわち, 1 合併当事会社の商号および本店の所在地 124 2 各消滅会社の積極財産および消極財産の総体を存続会社の株式の割当に 対して移転するという合意 3 株式の割当比率,および金銭が支払われる場合にはその金額
4
存続会社の株式の割当交付に関する事項(詳細) 5 前号の株式に対して貸借対照表利益配当請求権を与える時点,およびこ の請求権に関する総ての特別事項 6 消滅会社の業務が存続会社の計算で行われたものとみなされる時点、7
存続会社が,個々の株主ならびに優先株式等の株主に与える権利,また はこれらの者に予定される措置8
合併当事会社の取締役員もしくは監査役または合併検査役に与えられる 特別利益 である (340条 2項)。 合併契約書は,公証人による書面によらなければならない (341条 1項)。 このような合併契約書または合併契約書草案への記載事項につき, 1937年株 式法235条も, 1965年株式法旧 341条も何ら明文化していなかったが,実務上 既に記載されていたものであり,それを第三ディレクティブが採用したことか ら, 1982年の改正により明文化したにすぎないものである。 他方,有限会社の合併契約書の法定記載事項の数は株式法に比し少なく(増 資法21条参照),絶対的記載事項であると解されている。しかし,実務上は, 株式法による書式に倣っており,株式会社の合併契約書とほぽ同様である。 (l4) BT -Drucksache, 9/1065 S. 15株式法340条2項が,組織変更法草案においては,第 5条l項(合併契約書の内容 lnhaltdes Verschmelzungsvertrags)として,規定されて いる。 (15) Priester(Fn 13)~ 21 KapErhG, Anm. 4 ; Fischer / Lutter / Ho抑 制lhof(Fn 13) Rdnr3ff:Lutherj Happ (Fn 13) Form 2406; Hofj押wn-Becking,Munchener Vertragshand
-buch, Bd.. 1, Gesellschaftsrecht, 2.. Aufl (1985) IX.. 22;Roωedder. / Zimmermann, Komm. zum GmbHG(1985), ~ 77 Anh. 77 Rdnr.. 405;Schilling/Zutt, Groskomm. zum GmbHG 7.AufL (1984)~ 77 Anh.. II, ~ 21 Anm. 22, ~ 24 Anm.17.
125 西ドイツにおける遡及的合併 -125-(ニ) 遡及的合併と合併基準日 (1)株式法340条 1項 6号の,消滅会社の業務が存続会社の計算で行われた ものとみなされる時点は,合併基準日 (Verschmelzungsstichtag)と称されてい たが,法定記載事項とされた後もそう称されるであろう,とされている。 合併契約書の書式によれば,例えば,
A
株式会社によりB
株式会社の吸収合 併契約が1984年 6月5日締結された場合,第1条「財産移転」の1項では,株 式法339条1項2文 1号によりB
株式会社の全財産が権利義務とともにA
株式 会社に移転される吸収合併である旨, 2項では, 1983年12月31日までのB社 の貸借対照表が終結貸借対照表とされる旨, 3項では,B
社の財産移転が,1984 年1月1日から内部的に効力を生じ,この時点から, B社の取引および業務がA
社の計算で行われるものとみなされる旨,が記載される。 (16) Priester(Fn 2) S. 1461, Fn 48; H.の
rman-Becking,Das neue Verschmelzungsrecht in der Praxis, FS fur Fleck, ZGR-Sonderh. 7 (1988), S. 111;Schedlbauer, Sonder -prufungen im Zusammenhang mit Verschmelzungen (Teil),1WPg 1984, S.. 41 Fn 28, 参照。 (17) Hoffman-Becking(Fn 15) IX 13 (18) 合併契約書の書式(Hoffman-Becking(Fn 15) IX.13Luther/Happ(Fn 13) Form 2 401)によれば合併契約書は概ね次のようである, 1984年6月 5日 合併契約書 (A株式会社によるB株式会社の吸収合併) ~ 1 財産移転(Vermogensubertragung)-A社へのB社の全財産の移転 (1)株式法339条1項2文 1号によりB社の全財産が権利義務とともにA社に移 転される(吸収合併) (2) 1983年12月31日までのB社の貸借対照表が終結貸借対照表とされる (3) B社の財産移転が, 1984年1月1日から内部的に効力を生じ,この時点から, B社の取引および業務がA社の計算で行われるものとみなされる ~2 反対給付(Gegenleistung)-A社の株式のB社の株主への割当交付 (1) A社がB社の額面50D Mの無記名株式3株に対しA社の額面50DMの無記 名株式1株を塁手j当交付し,かつ利益配当権が1984年1月1日から生じる (2)各株主への特別権,または取締役員,監査役または合併検査役への特別利益は 供与されない ~ 3 資本の増額(Kapitalerhohung) 合併の履行のため,A社はその資本金を,1984年1月1日から利益配当権が生じる 額面50D Mの新無記名株式を発行することにより, ( ) DMか ら ( ) D M増額し ( ) D Mとする-126 香川大学経済論叢 126 1982年の改正により明文化される前も,実務上,合併契約書に,終結貸借対 照表の基準日に次ぐ日から消滅会社の業務が存続会社の計算で行われるものと みなされるという条項が記載されるのが通例であった。このように合併の基準 日が設定される意義を,消滅会社の株主の存続会社での利益配当権の起算点を 意味すると解するのか,または,合併の債権法的遡及効が合意されたことを意 味すると解するのか,が問題にされていた。
(
2
)
合併の債権法的遡及効を定めたものとする見解によれば,この条項は債 権 法 的 遡 及 効 条 項(Schuldrechtliche Ruckwirkungsklausel)と 称 さ れ て い る(了)登記簿に合併登記をするより前の時点において,外部的関係において財産 の移転を遡及させることを,合併契約書に定めることはできない。しかL"契 約当事者の内部関係において,あたかも合併の効力がそれ以前に定められた基 準日に生じるかのように,設定することはできる。合併当事会社の内部関係に おいて遡及関係を定めることは,通例である,とされていた。 このような慣例の歴史は古く, 1937年株式法の合併契約書に関する規定(235 条)の注釈においても,合併の会社法的(物権的)効力は登記によってはじめ て生じる (1937年株式法240条3項 1文)が,実務上は合併契約書に合併の債 ~ 4 受託者(Treuhander) B宇土が,与えられるべき株式の受領およびB社の株主への交付の受託者としてZ 銀行を指定する。受託者は, A祉の株式を要求する権利を有する。受託者は,合併の 登記後B社の株主に遅滞無くその株式の交付に対し B社に交付することを,指示さ れる ~ 5費用および税(Kostenund Steuern), 当該契約およびその履行から生じた費用および税一受託者の費用を含め,株主総 会および資本増加の費用を除きーが,両当事者によって折半される。合併の失敗の場 合も同様である ~ 6 条件(Bedingungen) 当該合併契約は, A社およびB社の株主総会の承認を要し,両社の承認が( )ま でになされ,かっA社において( )までに商業登記簿に登記される場合のみ,有効 である(19) Henn, Handbuch des Aktienrechts, 3.. AufJ.(1987) S 497
(20) Luther / Ha)う>p(Fn 13) Anm 13; Krajt (Fn 10)~ 339 Anm.54, ders~ 341 Anm 18, ders. ~ 345 Anm. 12 ; Priιster (Fn 2) S. 1461 Fn 48
127 西ドイツにおける遡及的合併 127ー 権法的遡及効に関する定めをするのが通例である,とされていた。もっとも, この債権法的遡及効については,債権法的に財産が移転する日への合併の遡及 効が定められ,かつ消滅会社の業務が既にその日から存続会社の計算でなされ るのが通例であるとか,または,遡及的合併とは,合併登記により合併が効力 を生じる時点より前の時点が財産の移転のための基準となるという債権法的取 決めをすることなのであり,そして債権法的財産移転の基準日から,存続会社 は消滅会社につきその計算をなすのであるとか,様々な注釈がなされていたの である。しかし,合併契約の締結後合併登記までの間,第三者に対して,合併 契約の法的効果を生じさせるものではない。特に,存続会社が何等の義務を有 するものでないのは,財産の移転が,合併契約による法律行為からなされるの ではなく,包括承継の法的効果としてなされるからである,と解されてはいた のである。 合併契約書についてこのように解されるのは,合併契約が企業契討21293条 以下)に対応するものと位置づけされているからである。すなわち,企業契約 は,それが会社の本;屈の所在地の商業登記簿に登記されてはじめて有効になり (294条),拘束力のあるものとなる。企業契約の登記にはこのような創設的効 力があるが,他方,契約当事者は,その権利義務および契約において想定され た効力を,契約が有効となる前のある時点に遡及させることができる,と解さ れている。それは,計算処理に基づく理由により遡及させるのである。契約締 結年度の初日,営業年度の初日,または,特定の計算処理の期首,において,
(21) Schilling, Groskomm zum AktG, 2. Aufl (1962), ~ 235 Anm 4, ~ 239 Anm. 7 ; Schlegelberger / Quassoωski, Komm zum AktG, 3. AufL (1939), ~ 235 Anm 3
(22) Mohring/Tank, Handbuch der AktiengeselJschaft, Bd..1, 1967, Rdnr 1 665; Baumbach/ Hueck, Komm zum AktG, 7 Aufl.(1951)~ 235 1, D.; Boftcher / Meilicke,
Umwandlung und Verschmelzung von KapitalgeselJschaften, 5. AufL (1958), ~ 235 Anm 22. (23) 企業契約とは,支配契約・利益供与契約,他の企業のためにする企業の経営,利益共同 関係,一部利益供与契約,経営賃貸借契約および経営委任契約である (291条, 292条)。 詳細につき,ヴェlレディンガー・河本一郎編・ドイツと日本の会社法(改訂版)(1975) 292頁以下参照。 (24) BT -Drucksache 9/1065, S 15
-128ー 香川大学経済論叢 128 当事者間で,契約がこの時点から既に有効でトあるかのように設定するためにな されるのが,通例である,とされていることによるものである。 この見解による合併契約書の記載をみると, 1982年改正前のものではある が, 1978年
5
月8日に締結されたA
株式会社によりB
株式会社の吸収合併の合 併契約書の第1条 (B会社の財産をA会社に移転すること)の3項において, 財産の移転につき,独立の決算検査役の証明の記載がなされ,かつ取締役およ び監査役により 1977年の年度決算が確定された1977年12月31日までのB会 祉の年次貸借対照表が,基礎とされる。A会社へのB
会社の財産の移転は, 1977 年12月31日24時/1988年1月l日O時から両当事会社の内部関係において 効力が生じる。この時点から, B会社の全業務はA会社の計算で行われるもの とみなされる。 1977年営業年度の損益計算書およびB会社の株主総会が行った 利益処分決議は,A
会社を拘束する,と記されている。 (3) しかし,このような考え方に対しては,少なくとも誤解によるものだ, との批判がある。すなわち,遡及効は合意によって生ずるのではなしそれは 法上生じるのである。すなわち,合併登記の法的効果として,消滅会社は消滅 し,その積極・消滅財産,業務は,そこから生じる損益をも含めて存続会社へ 移転する。消滅会社の消滅と存続会社への包括承継により,総ての権利義務の 担手としての唯一の権利主体が残存しているのみであれもはや存在しない消 滅会社を債権法的遡及効という意味において合併が既に以前から効力を生じて いたかのように取り扱う義務を存続会社に負わせるものではない。この合併基 準日を設定することは,計算の処理の境界線を引くことを意味している。すな わち,消滅会社の業務が存続会社の計算で行われるものとみなされる時点から, 存続会担による業務の計算処理が始まり,消滅会社はもはやその業務について (25) K ropff, Aktiengesetz, 1965, S. 382f; Biedenkopf
I
Ko,ρρensteine,ァKolner Kommzum AktG
S
294 Anm. 17;Wurdinger (Fn 10)8..284:GeslerjH.φ
rmehl, Komm zum AktG (1976)S
294 Anm. 28; Baumbach/ Hueck (Fn 7)S
294 Anm 8;Godin/ Wilhelmi (Fn 12)S
294 Anm. 6;Wurdinge冗 Groβkomm zum AktG, 3. Aufl (1975),s
294 Anm 5129 西ドイツにおける遡及的合併 -129-の計算を行わないのである,と解する見解である。 この見解をとる同一注釈者による, 1980年有限会社法の下での有限会社にお ける合併基準日に関する注釈をみると次のようである。すなわち,合併契約書 に,合併当事会社聞の関係において債権的に合併の効力が生じる時点,すな わち,終結貸借対照表に次ぐ日から消滅会社の業務は存続会社の計算で行なわ れるものとみなされる,と記載されるのが通例である。合併がなされることに より,消滅会社の全業務は存続会社のためにかつ存続会社に対してなされるか ら,合併契約書にこのような定めをおくことは問題はあるが,その意味するこ とは,まず第一に,終結貸借対照表に計上された純益のみが,消滅会社の社員 の自由に任せられる,すなわち,合併の効果が生じていない段階では,その分 配を決議することができる。次に,消滅会社の社員は,存続会社において,こ の基準日から利益配当権を有する。合併後,基準日からあたかも既に存続会社 の社員であったかのような地位におかれることなのである。さらに,基準日を 設定することにより消滅会社が宣言したことになるのは,この基準日から,存 続会社の立場にたって適切で、ない業務執行に該当するような業務をもはや行わ ないということ,及び,消滅会社の業務執行機関はその限りにおいて合併の場 合のために存続会社に対し報告義務を負うのである,とされている。 (4) 合併基準日は,消滅会社の株主が存続会社により割当てられる株式につ いての利益配当の起算日として,の意義を有している。すなわち,合併基準日 を設定する意義は間接的であり,合併基準日まで各合併当事会社はその株主に 利益配当をするが,合併基準日から消滅会社の株主が合併新株式につき利益配 当請求権を有することに,その意義がある。もっとも,後述するように,場合 によっては,これと異なる定めをすることはできる。
(27) Barz, Rechtliche Fragen zur Verschmelzung von Unternehmungen, AG 1972, S.. 3; Schilling (Fn 13)~ 341 Anm 7; Hoffman-Becking (Fn 16) S. 111 ; Schedlbaue,r(Fn 16) S.41
(28) Schilling / Zutt (Fn 15)~ 77 Anh.,!I ~ 21 Anm. 22, ~ 24 Anm.. 17
(29) Schilling(Fn 13)~ 341 Anm. 7; Barz(Fn 27) S.. 3; Marte況s,Kontinuitat und
-130- 香川大学経済論叢 130 これは, 1937年株式法の合併契約書に関する規定 (235条)の注釈において も,合併契約書に定められた債権法的財産移転の時から消滅会社の株主はもは や消滅会社に対する利益配当権を有しない,とされていたのである。 通例,合併により割当てられる存続会社の株式の利益配当の起算日は, 1982 年の改正前においても実務上合併契約書に記載されていたが,同改正によって 法上記載することを要することになった
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3
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条1
項5
号)。例えば,その基準 日が12月31日と設定された場合には,消滅会社の株主は,新営業年度の1月 1日から存続会社の株式の利益配当権を有することになるのが,通例である。 しかし,これは,強制的ではない。存続会社の株式の利益配当の起算点がもっ と遅く設定される,例えば,新営業年度の第2半期の期首から起算されるとす る,合併契約をも定めることができる。合併基準日が消滅会社の年次貸借対照 表の基準日でもある場合には,その日で消滅会社の株式の利益配当請求権が終 了することによる,存続会社の株式の利益配当の起算点までの時間的空白は, 妥当な株式割当比率の決定において考慮されるか,または何らかの方法で考慮 されなければならない。利益配当権の起算点が遅く設定されることは,消滅会 社の株主のために割当て比率を有利にすることにより調整されることができる のである。 また,合併契約の効力が合併契約の締結より後の営業年度上の時点に生じる 場合には,その聞の営業年度の利益配当に関する条項が合併契約書に記載され ることが望ましい,とされている。 (5) 以上のように,消滅会社の業務が存続会社の計算で行われるものとみな される合併基準日を設定することを,合併の債権法的遡及効を定めたことを意 味すると解するか,または,計算処理の境界線を引くこと,ひいては消滅会社 の株主の存続会社での利益配当請求権の起算点を設定することを意味すると解 するのか,ということなのである。 (30) Baumbach/ Hueck (Fn 22) Anm.1, D (31) Schilling (Fn 13)~ 341 Anm..7; Hoffman-Becking (Fn 16)s
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110; Barz (Fn 27) S.. 3 ; Luther / Happ (Fn 13) Anm.15.131 西ドイツにおける遡及的合併 -131 しかし,合併の債権法的遡及効を定めたとする見解も,その後,見解を改め ており,今や,以前の多数的見解ともされている(;2)また,債権法的遡及効とい う表現を用いている場合であっても,計算処理の境界を画するという意である ことでもあるようである。 もっとも,最近の合併契約書においても,前記の第
1
条(財産の移転)と同 様の記長ネ,B
会社の 1985年12月31日の貸借対照表をもって終結貸借対照表 とする。B
会社の業務は, 1悶98槌6
年1月1日O時よりA
会社の計計“算で行われるも のとみなされ2
は,内部的関係において, A会社の計算で行われるものとみなされる,とされ ており,その記載方法は種々である。 他方,合併の債権法的遡及効を定めたことを意味すると解する見解において も,合併の基準日の設定は,消滅会社の株主の存続会社での利益配当請求権の 起算点を定めることにつき意義を有するのであるプ)1937年株式法の注釈にお いても,消滅会社がその株主に対して利益配当を何時までかつどの程度支払う かという条項を合併契約書に定めることが実務上なされていた。それが明示的 になされなければならないのは,さもなければ,消滅会社によって資本準備金 の全額が利益配当されうるからである,とされていたケすなわち,合併契約書 に合併の債権法的遡及効を定めることにより,合併当事者は,合併が既に早や 効力を生じているかのような状況に置かれていることからの義務をまし,これ が取りも直さず,株主の利益配当請求権に関することなのであった。(32) Mohring/Nirk/Tank, Handbuch der Aktiengesellschaft, 2. Aufl.(1983), Bd 1,
Anm.I791
(33) HV -Einladung (GHH) vom 17. Apri11986. (GHH (Gutehoffnungshutte Aktienver -ein AGによるM..A. N.. (Mashinenfabrik Ausburg-Numberg AG)の吸収合併>. (34) HV -Einladung (NWK) vom 29.. Juli 1985. (Preuβischen Elektrizitats-AGによる
N ordwestdeusche Kraftwerke AGの吸収合併)。
(35) HV-Einladung (MGV) vom 11 Mai 1987. (MGV (Mercator Getranke-und Ver -packungstechnik AG)によるHuK(Holstein und Kappert AGの吸収合併)。
(36) Schilling (Fn 21)~ 239 Anm 7; Lutherj Happ (Fn 13) Form 2401, Anm 15 (37) Bottcher / Meilicke (Fn 22) Anm 22
132- 香川大学経済論叢 132 (三) 合併基準日と貸借対照表 (1) 西ドイツにおいて,合併基準日は,終結貸借対照表の基準日と同ーの日 に設定されるのが通例である。終結貸借対照表は,消滅会社の合併の登記申請 のための添付書の一つである (345条3項1文)。合併契約書に記載されること を要せず,また,必ずしも消滅会社の最終営業年度の貸借対照表が終結貸借対 照表と同一でなければならないことはない(345条3項2文, 3文)が,前記の 合併契約書第l条2項にみられるように,消滅会柾の最終営業年度の貸借対照 表を終結貸借対照表とする旨が記載されるのが通例である。 終結貸借対照表の基準日は,定時株主総会が決算後8月内に開催されなけれ ばならないこと
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条1
項2
文)に対応するよう,1
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年株式法により,合 併の登記申請の日から遡って8月内に定められなければならない,と改正され た(345条3項)。最終営業年度の決算貸借対照表を終結貸借対照表として利用 することが可能であるべきであり,かつ,定時株主総会において,最終営業年 度の収益の使途についても合併についても,決議することが可能であるべきで ある,ことに因る。 (2) 最終営業年度の貸借対照表と,合併契約書の締結または合併契約書草案 の作成との聞に6月以上の期聞が経過した場合には,1
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年の改正により新た に,中間貸借対照表が作成されなければならないことになった(340条d2項3 号)。中間貸借対照表は,株主に新しい情報を提供することを可能にするもので ある。この趣旨から,合併契約を承認する株主総会の招集の時点,遅くとも1
月前から,他の書類とともに,会社の営業所に備置かれなければならず,かつ, 各株主にその請求により遅滞なく無料でその写しが付与されなければならな い。これに対して,決算検査役による検査は,不要である。 中間貸借対照表が作成され,備置かれるのは,最終営業年度末,すなわち, 最終営業年度の貸借対照表の基準日が,合併契約の締結または合併契約書草案 作成の日から遡って6月を越えて,存する場合である。例えば,合併契約が7 (39) Krotげ (Fn25) S. 460;Hoffman-Becking(Fn 16)5..108133 西ドイツにおける遡及的合併 133ー 月中に締結されるか,または合併契約書草案が作成される場合には,一一営業年 度が麿と合致すると仮定して一一最終営業年度の貸借対照表により 12月31日 までに与えられる情報に時事性をもたせるために中間貸借対照表が作成されな ければならない。この中間貸借対照表の基準日は,合併契約書の締結または作 成に先立つ第3月めの初日とされなければならない。例示すれば,それは 4 月1日になることになるが,基準日として3月31日とはならない。 (4) 合併契約の締結に際して,登記が遅延する場合の措置をしておくべきか どうか,および,如何にしてなすべきか,が取締役にとり問題である。終結貸 借対照表の基準日が,契約において定められた計算規定の承継の基準日と同ー である。当初定められた終結貸借対照表の基準日が,登記の遅延によりもはや 維持されえない場合には,合併契約書で定められた日は変更されなければなら ない。 実際に厄介なのは,利益配当権に関する基準日に対する問題である。合併契 約書において,合併により割当られる存続会社の株式が当該営業年度に配当請 求権を有することになる,と定められた場合には,解決し得る問題はない。合 併の登記が翌年の営業年度になって,またはもっと後に,なされうる場合,割 当てられた株式の権利が生じる時にはその株式の利益配当がなされうる営業年 度が経過しているのである。 このような事態のために,時として,合併契約書において遅延のための条件 を記載することによって,対処されることがある。合併が定められた期日まで に存続会社の登記簿に登記される場合にのみ合併契約書は有効である,とする。 このような条項の難点は,明らかに困難をもたらそうとしている消滅会社また は存続会社の株主に,理由のない取消の訴え,およびそれにより惹起される登 記の遅延が合併契約書全体を無にするような機会を提供することになることで ある。 したがって,近時の合併契約書には,基準日の変更
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とい (40) BT -Drucksache 9/1065, S.. 18;Ganske(Fn 9) S. 1554; Priester(Fn 2)5..1463; H似rman-Beckiηig(Fn 16)5..109134 香川大学経済論叢 134 う条項において様々な基準日が予め定められるのが通例のようである。例えば, 合併が,終結貸借対照表および利益配当の起算点につき定められた基準日から 8月を越えた後に,登記申請される場合には,消滅会社の次年度の年度決算基 準日が当該基準日となる。さらに,この新基準日がその8月内に登記申請され えないことにより実現しない場合には,基準日の更なる延期を合併契約書に記 載しておくことができるのである。また,基準日を変更することにつき異なる 規定をすることも可能である。すなわち,終結貸借対照表およひ、利益配当権の 起算点についての基準日が 1年の経過によるのではなく,単に6月の経過に より,変更し,基準日の6月後を新たな基準日とするのである。 基準日を変更するためのこのような条項が無条件に薦められるのは,取消の 訴えが予想される場合である。基準日が流れることにより,重要な問題が生じ る。合併登記の申請および登記が遅延すればするほど,株主総会により確定さ れた合併比率がもはや終結貸借対照表の基準日の両当事会社の資産評価に合致 しないという,危険が増大するからである。 四 日本における遡及的合併
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合併貸借対照表の基準日と合併期日 (1) 以上の西ドイツにおける遡及的合併制度の内容から明らかなように,合 併は,存続会社の本庖の所在地の登記簿に登記をすることにより,物権的にそ の効力が生じ,消滅会社の全財産が債務をも含め存続会在に移転し (346条 3 (41) NWKとPreuβischenElektrizitats-AGとの合併契約書(注34)第8条,MGVとHuK との合併契約書(注33)第7条,参照。第1条3項で, 1986年9月 30日の経過をもって HuKのすべての取引および業務は内部的にMGVの計算でなされる,と定められている MGVとHuKとの合併契約書の第7条「基準日の変更」によれば,合併がまず1987年5 月31日までにHuKにより登記申請がなされない場合には,財産の奇│継に関しての基準 日として1987年9月 30日の経過をもって当てることとし,そして新株式の利益配当に 関しての合併基準日として1987年10月 1日をもって当てる。次年度の5月 31日を越え て更なる登記の延期がなされる場合ごとに,当該基準日をもって基準日として当てるも のとする,と定められている。 (42) GHHとM.A.Nとの合併契約書(注.33)第7条,参照。 (43) Hoffman-Becking (Fn 16) S. 118f1
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西ドイツにおける遡及的合併 135-項),かつ消滅会社の株主が存続会社の株主となる。これに反する合併契約は, 無効である。それは,合併の法的効果として生じるものである。 そして,合併契約書において,合併基準日を消滅会社の年度貸借対照表の基 準日に設定することにより,その翌日から消滅会社の業務が存続会社の計算で 行われるものとみなされ,そしてそれに伴い,通例として,消滅会社の株主が 存続会社により割り当てられる株式につき利益配当権を有することになる時点 でもあることを意味する。これが,西ドイツにおける,合併の基準日を設定す る趣旨の現在の通説的見解であるようである。 本稿で紹介したように,1
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年西独株式法の注釈書および1
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年西独株式 法の初期の注釈書において,合併の基準日を設定することは,すなわち,合併 当事会社が内部的関係において合併の債権法的遡及効を定めたこと,だと解さ れていたのは,現在では,批判されているのである。 (2) 西ドイツにおける合併基準日と同様の日本の改正会社法に設けられよう としている合併貸借対照表の基準日が,日本の現行商法上の合併期日とどのよ うに異なるのか,また,日本の改正法において,この基準日をどのように解す るか,が問題である。 現行合併制度上,合併期日において,消滅会社の財産が存続会社に引き渡さ れ,また,存続会社の株式が消滅会社の株主に割り当てられ,合併当事会社が 実質的に合体する(;4)しかし,合併は合併登記によって効力を生じ,合併の効力 発生とともに存続会社は消滅会社の権利義務を包括的に承継する(商法4
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条1
項,1
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条,1
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条)。すなわち,占有ないし財産の管理は,合併期日に引き 継がれるが,法律上,消滅会社の全財産についての権利は,合併登記の日に, 包括承継によって移転する。したがって,合併期日後も合併登記までは消滅会 (45) 社の財産を構成する権利義務の主体は消滅会社である,と解されている。他方, 前記のように,西ドイツでは,合併契約書に,合併が内部的に効力を生ずる日 (44) 大隅=今井・注(
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掲文献114頁,鈴木編・株式実務(新版) V合併(昭和3
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年)1
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頁。 (45) 大隅=上回明信=鮫島真男他・合併手続一実務家のためにー(昭和3
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年)77頁以下(大 隅発言),大隅=今井・新版注釈会社法(1)(昭和6
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年)418頁以下。136- 香川大学経済論叢 136 としての合併基準日が記載されるが,それは,西独株式法上,消滅会社の業務 が存続会社の計算で行われるものとみなされる時点のことである。すなわち, 計算処理の境界線を引くことであり,合併当事会社の計算が合体することを意 味するが,財産の引き渡しはなされない。 日本の改正会社法による遡及的合併制度導入により,合併貸借対照表の基準 日に次ぐ日に合併したものとみなすこと,を,基準日に消滅会社の財産が存続 会社に内部的・実質的に移転する,すなわち,合併当事会社が内部関係におい て合併の遡及効を定め,合併の効力があたかも基準日に生じるかのように定め る,と解すれば,この合併貸借対照表の基準日とは,現行合併制度における合 併期日と同様となる。現行商法上の合併期日の性格として,消滅会社が存続会 社と内部的にはその日に一体となる,とか,または,合併当事会社が内部的・ 実質的に合体する,と解されているからである。したがって,合併貸借対照表 の基準日に実質的に消滅会社財産の引き渡しがあり,存続会社がその管理権限 を有する, と解することになる。しかし,消滅会社の財産は形式的には消滅会 社のものであるから,合併貸借対照表の基準日以後は実質的所有者である存続 会社のためにその財産を管理する,いわば,消滅会社の取締役は,存続会社の 財産を消滅会社の名において経営管理するのである。 現行商法上,合併期日と合併登記との聞に期間があることから,その聞の法 律関係に問題があることに鑑み,商法・有限会社法改正試案七2(注)1前段に おいて「合併は,合併契約書の承認後,合併の公告(七11)をしたうえ,合併 期日に合併の登記をして行う」として事実上の合体の時期と法律上の合体の時 期とを一致させることとしている。したがって,この前提のもとでは,合併貸 借対照表の基準日,合併契約書の締結,合併承認総会,という段階的手続きを 経て,そして,合併期日すなわち合併登記,により合併の法的効力が生じるも のとする合併制度である。 (46) 鈴木竹雄他・株式会社の合併一会社法セミナー(昭 31年)294頁以下;大隅=今井・注 (9)掲 文 献113頁以下;竹中正明他・新版合併手続一解説と問題点の解明ー(昭 58年)358 頁以下。
137 西ドイツにおける遡及的合併 -137-合併契約書の締結前に設定される合併貸借対照表の基準日に,合併当事会社 が内部的・実質的に合体する,または内部的効力が生じる,ことの意味は何か, である。合併の法的効力が合併登記がなされる合併期日に生じるのであるから, 合併の効力発生を条件として,合併貸借対照表の基準日に合併の内部的・実質 的効力を生じさせようとするものである,と解することになる。また,それは, 合併契約締結前に存する日に合併が内部的・実質的になされたものとみなす, ことでもある。しかし,合併貸借対照表の基準日に実質的に消滅会社の財産の 引き渡しがあり,存続会社がその管理権限を有する,と解することはできない。 それは,改正試案による合併期日の位置付けの趣旨にあわないからであり,そ して,合併契約書締結前に消滅会社の財産の管理権限が存続会社にあるとは解 しえないからである。したがって,この合併貸借対照表の基準日は現行の合併 期日とは同様ではない。 (3) では,合併貸借対照表の基準日に合併当事会社が実質的にではないが内 部的に合体すると解することはできるであろうか。 合併当事会社が実質的に合体することは,前記のように,消滅会社が財産を 引渡すこと,および,存続会社の株式が消滅会柾の株主に割り当てられること, を意味する。すなわち,合併期日において合併によって消滅する会社は,その 権利義務一切と株主に関する書類を,存続会社に引き渡し,消滅会社の実質的 内容はこの時点、で空っぽになる,と解されている。したがって,合併当事会社 が内部的に合体することとは,消滅会社の計算が存続会社の計算と合体して行 われることのみである。それは,合併貸借対照表の基準日の翌日以降消滅会社 の業務が存続会社の計算で行われたものとみなされることなのである。そして, 合体の時点から,消滅会社の株主に割り当てられる存続会社の株式の利益配当 の起算をすること,または,後日から起算すること,を,合併契約書に記載す ることにより,計算処理を明確にしておく。しかし,これは,消滅会社の株主 が実質的に存続会社の株主となったことを意味するのではない。 (47) 鈴木編・注(44)掲文献161頁。
138 香川大学経済論議 138 現行合併制度の下において,合併契約締結後も,各合併当事会社が別々にそ の財産を善良な管理者の注意をもって,または,重大な変更を加えない義務に より,管理し,そして,合併期日に,消滅会社の財産の管理権も存続会社に移 転し,合併当事会社は内部的・外部的に一体化する,と解されている。そして, 合併契約書に,-甲および乙は,この契約締結後,合併期日に至るまで善良なる 管理者の注意をもって業務の執行および財産の管理運用をなし,その財産およ び権利義務に重大な影響を及ぽす行為をなす場合は,あらかじめ甲乙協議のう え実行する。」というような規定がなされるのが通例である。この合併当事会社 が「内部的」に一体化する,と同様に改正法において,合併貸借対照表の基準 日の翌日以降消滅会社の財産が存続会社へ内部的に移転する,と解すると,そ れは,前記の西独合併法における合併の遡及的効力であり,日本の現行合併期 日,と同様になってしまうのである。 しかし,実際には,消滅会社の財産は,合併貸借対照表の基準日後も,合併 契約締結後も,通常の業務執行により変動するものであり,その変動する財産 が合併登記のなされる合併期日に存続会社へ移転するのである。その聞の財産 関係が,存続会社の計算により処理されるだけのことであり,各合併当事会社 の取締役は,その財産に重大な変更を加えない義務は有しても,実質的にも形 式的にも各々の会社への取締役としての責任を負い,合併契約前と同様の業務 執行権限を有するのである。 したがって,合併貸借対照表の基準日に合併当事会社が内部的に合体すると 解することも誤解を生じうる。すなわち,改正会社法における遡及的合併制度 の下での合併貸借対照表の基準日には,その制度的概念を明確にしないことか ら問題が生じるおそれがある。 したがって,日本の改正会社法において,改正要綱案七9付の「消滅会社 の計算は存続会社の計算の一部として処理することができるJ,または,改正 (48) 鈴木他・注 (46)掲文献234頁以下,参照。 (49) 下記一覧表における,山水電機=山和総合サービス,の合併契約欝第 6条。詳細につき, 大隅=今井・注(9)掲文献120頁以下,参照。
139 西ドイツにおける遡及的合併 139-試案七
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を「消滅会社の計算は,存続会社の計算と合体して行うということ」 は「消滅会社の財産がこの貸借対照表の日の翌日以降,実質的に存続会社に移 転する」というふうに解するべきではない。すなわち,貸借対照表の日の翌日 以降も存続会社の経営は存続会社の取締役,消滅会社の経営は消滅会社の取締 役が行い,ただそれに基づく計算だけが合体されることなのである。 (ニ) 合併契約書の内容 (1) 商法 409条は,吸収合併の合併契約書に記載することを要する事項を定 めている。法定記載事項とされているのは,発行予定株式数の増加(一号),合 併新株と合併比率(二号),資本・準備金の増加(三号),合併交付金(四号), 合併承認総会の会日(五号),及び,合併期日(六号)である。この必要的記載 事項の記載を欠くときは原則として合併契約は無効であるが,発行予定株式総 数,合併交付金につき記載のないこともあり,さらに,合併期日をも含めたこ れらの記載を欠いても合併契約は当然には無効ではなく,一種の相対的記載事 (50) 項,と解されている。 これら以外に任意的に記載される事項として,消滅会社財産の引継,合併契 約締結後の当事会社の善管注意義務,新株式の利益配当の起算日,消滅会社従 業員の引継,取締役の選任,消滅会社役員の退職慰労金,合併条件の変更・解 除,等がある。 このような日本における合併契約書の記載事項と,西ドイツにおげるのとは, 類似的である。前述した,西ドイツにおける合併基準日の変更につき,日本に おいては,例えば r第4
条 甲乙合併の期日は,平成2
年4
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日とする。た だし,合併に関連する諸手続の進行状況に鑑み,必要と認められるときは,甲 乙協議のうえこの期日を変更することができるJ (山水電機=山和総合サービ ス)と記載されており,実務上既に慣行となっていることから,日本では,記 載の要否に関する新たな問題とはならないようである。合併期日の変更は,合 併契約全体からみて合理的な範囲内であることを要し,この範囲内で合併を実 (50) 大隅=今井・注(9)掲文献 67頁, 118頁,上柳「合併」会社法・手形法論集(昭和56年) 204頁以下,龍田節・会社法 (1989) 367頁。140- 香川大学経済論叢 140 行できないかぎり,当初の合併契約は失効すべきであり,この場合には,あら ためて各当事会社において合併契約を結びその承認決議を経ないかぎり,合併 は不成立に終ることになる,と日本で解されている点が西ドイツとは異なる。 (2) ところで,日本における合併当事会社の合併期日,消滅会社の財産の引 継,存続会社の新株式の利益配当の起算日がどのように設定されているのか, その実態を簡単にみてみる。なお,下記の一覧を作成するにあたっては,最近 5年間になされた吸収合併の中から 100%子会社の吸収合併を除いて抽出した 合併契約書より,作成することとした。 合 併 当 事 会 社 合 併 期 日 財消産滅の会引社継 利起益配算当の日 合 併 交 付 金 丸輿=朝日クレジット 5 .59..7.1 5 59.2..29 5 59..3.1 昭合和成高分子=昭和ユニオン 5 603.1 5 58.12..31 合併期日 #(5 60.1.1 -合併期日前日) 三国コカ・コーラボトリン グ=サツキコカ・コーラ 5 60.71 5 59..12 31 5.60 U 有 キャンニング 鐙紡=カネボウ合繊 5 ..61 5 1 5..60 4..30 5 61 5.1 第一建設工業=竜野開発 5..60.12.1 5..60.531
*
オリエンタルチエン工業= 5 611.1 5 60.6.30 串 無 オリエンタル機械 ミネベア=かねもり 5 61.4.1 5 .60.3 31 合併期日 #(5 60.10.1 -合併期目前日) 住友銀行=平和相互銀行 5 61 10 1 5 613 31 合併期日 エスイーシー=協和カーボ 5..6112.1 5..616.30 合併期日 ン ヤマエ久野=丸中 5.6110..1 5..61 9..30 合併期日 西友=関西西友 5 63.3 1 5..62.2..28 合併期日 信シ州ジャスコ=カネマン 5 62..8.21 5 62..2.20 5..62..2 21 ャスコ 名古屋三越=新潟三越 5 62.3.1 合併期日の前日*
無 不動化学工業=不動ケミカ 5..6212.1 5..61 11 30 合併期日 1レ トー吾ア嬬ス製チ網ω.-1レ=東伸製 5..62.10.1 5..62..3.31*
綱 = 東洋シャッター=日本 5.62..10.1 5.61. 9..30 5.6210..1 無 シャッター (51) 大隅=今井・注(9)掲文献117頁,上柳・注(50)掲論文208頁。 (52) 資料版商事法務NO.1-No.73に掲載されている合併契約書承認議案から抽出したもので ある。141 西ドイツにおける遡及的合併 日本工具製作所=日立超硬IS ..62 10..1 クラウン=田尻機械工業 1 5 ..62 10 1 三井物産=物産不動産 15..62.10.1 大成ポリマー=昭和ファイ 15 63..12 1 ンノTック │ 信州ジャスコ=ほていや 15..63.8..21 厚木ナイロン工業=厚木ナ I5 63 12 1 イロンミサワホーム=アツ ギメカトロ 自動車鋳物=三和金属工業
I
5 63 12..1 横川│電機=三鷹工業 11989.4.1 ニチメン=萱因不動産=東15..64.41 京登因不動産 兼松江商=総合管財 15..63.101 東急百貨庖=まちだ東急百 IH 1 8.1 貨庖 中野組=南塚口ビル 1 H..2A.1 グンゼ=新大阪造機 1 H 1 10 1 クラレ=協和ガス化学工業IH 1 10.1 コスモ石油=アジア石油I
H 1 10 1 日本鋳造=京浜機械 1 H 1 10.1 同和鉱業=同和興産 1 H 2 1 1 東芝=日本電子力事業 I H 1 10 1 唱 目 ム 刊 日 日 日 2 期 期 期 6 併 併 併 S 合合ム口 1 A 唱i 1 よ ハ u qtdn ぺ υ η ペ υ n J ' u q d η o q υ ハ 日 n r u 。 , h M 。 , U の ノ “ n h U ρ h υ F n v ρ h υ Q U ハ b q u q u S ..63 2.20 I 5 63 2 21 5.62.11 30I合併期日 5 63.3.31 I合併期日 1988..331 合併期日 5..63 3.31 1合併期日 5..63.3.31 1合併期日 H 1 131 合併期日 H 13.31 I H.. 2 4 1 5 . 63. 9..30 I H L 41 H 13 .31 I H ..2..4 1 H 1 3.31*
H.13..31 合併期日 H 1.3 31 I H 2 4 1 H 1 3 31 合併期日 141-有 #無(S63 9. 21~ 合併期日) #(5 62.12.1 -5631130) #(5 63.41 -S 63 11 30) 有 # (H L4.1-H..2 3.31) 有 有 無 ユアサ・プナショク=山野I
H 110.31I
H 1.531I
H 16.1 1#無(H16ゅ1 -合併期日) 山種産業=山種米穀I
H 1 10 1I
5. 63 10 31I
H 1. 10. 1 有 常磐興産=常磐興産倉庫I
H 110.1I
H 1.331 合併期日 エブエスケー=四国製紙=1 H 2.41 創研化工 山水電機=山和総合サ}ビIH 2..4.1 ス H L131 I H.2..41 H 1.3 31 1 H ..2 41 1 #(H 1.4.1 -合併期日の前日) *合併契約書に利益配当の起算日の条項がない #合併契約書に利益配当に代わる合併交付金を支払う旨の条項がある #無:合併契約書に利益配当に代わる合併交付金を支払わない旨の条項がある 有 ;合併契約書に,利益配当に代わるものかどうかにつき明記されていないが,一定の金額を合 併交付金として支払う旨の条項がある 無 ;合併契約書に合併交付金を支払わない旨の条項がある(
3
)
この一覧表における消滅会社財産の引継に関しては,合併契約書において, 例えば r第5
条 乙は平成元年1
月3
1
日現在貸借対照表,損益計算書その他 同日現在の計算を基礎とし,爾後合併期日までの関においてその資産,負債に142- 香川大学経済論議 142 変動を生じたものについては,平成2年1月31日現在の計算書および別に計算 書を添付してこれを明確にし,合併期日においてその資産,負債その他一切の 権利義務を甲に引継ぎ,甲はこれを承認する。J(山水電機=山和総合サービス) と記載されているのが通例であり,この基礎とされる消滅会社の貸借対照表の 基準日を抽出したものである。 合併期日における財産の引渡は,引き渡される財産の内容を明確にするため, 財産目録・貸借対照表を示してするのが当然である。この場合,合併期日にお ける財産目録・貸借対照表を作成するのが最も適当であるが,実際上それが困 難であれば,合併契約書作成の基礎となった財産目録・貸借対照表に,その後 の財産の変動を明らかにする計算書を添付しでもよい。また,決算期と合併承 認総会の会日とが接近しているような場合には,合併承認総会前の最終の決算 貸借対照表が合併貸借対照表として流用されるのが通例である,とされてい る。 改正試案は,貸借対照表の基準日が合併承認総会の前6月以内でなければな らない,としている(改正試案七5。) この期準日から合併期日までの期間として,前記一覧表上の会社においては, 6月または12月が最も多く,時として5月 8月,または11月というものも あり,他方, 14月または 15月というものもある。 (4) 消滅会社の株式に対して,合併比率を調整するために,または,消滅会 社の最終営業年度の利益配当に代わるものとして,合併交付金を支払うことが でき,支払う場合には,その旨および金額を合併契約書に記載しなければなら ない(商法
4
0
9
条4
号)。しかし,前記一覧表上の会社の中には,合併交付金を 支払わないことを明記するところもある(前記一覧表において,合併交付金の 欄に「無」と記載した)。また,合併交付金を支払う場合でも,例えば r第1
0
(53) も っ と も 第7条 乙は,合併期日の前日におけるその資産,負債および権利義務の 一切を合併期日において甲に引き継ぐ。J(名古屋三越=新潟三越)のような記載の場合も ある。 (54) 上柳・注 (50)掲論文213頁,大隅=今井・注 (9)掲文献50頁以下,松井・注 (9)掲文献 162頁。143 西ドイツにおける遡及的合併 -143-条 甲は,合併期日後の乙の株主名簿に記載された株主に対して,その所有す る乙の株式