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レーザー速度計を用いたスプリント評価の試み

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Academic year: 2021

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(1)

〔研究ノート〕

レーザー速度計を用いたスプリント評緬の試み

ApProaching for assessment of sprint abihty

     by a董aser measurement dev圭ce

     黒須雅弘 中田有紀

Masahiro KUROSU Yuki NAKATA

キーワード:レーザー速度計、速度変動.スピード曲線、ピーク値 Key words:laser measurement device, variation of sprint velocity, speed liner, peak value 要約  アスリートの走能力を測定方法は、定められた距離の走タイムを計時する方法が一般的である が、それは、被測定者が専門とする競技特性を十分に考慮して決定されたものかは不確かなもの である。本研究では、サッカーと野球選手を対象にレーザー速度計を使用したスプリント中のス ピード曲線を測定した結果を報告する。レーザー速度計を使用して測定したスピード曲線をもと に疾走中の最高速度や速度変動.または複数の測定結果を観察することができる。 Abstract  In order to measure ability of sprinting speed, an athlete, who runs for certain distance, is typi㈱lly timed by a chronograph. In the report of this study, we tried to measure speed curve of sprinting of baseball players and soccer players using a laser measurement device. The laser measurement device is able to show a peak velocity of sprinting, variation of sprint velocity, or comparison between one race and other races on a speed curve. 禰.緒言  陸上競技の短距離レースにおいては、最高速度に到達した後、可能な限りそのスピードを維持 しながら、または、減速幅を最小限に抑えながら走り切ることが好タイムを記録する要因とされ ている。2006年にJustin GATLIN(USA)選手が当時の男子100m世界記録(9秒77)をマー クしたレース中の測定に携わったSami KUITUNENらによると、 GAT:LIN選手は最高速度 (m/sec。)に到達した60m地点を境に減速しているが、50m地点で記録した同速度が70m地点で

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も確認できたと報告している(D。同類の分析方法による実践報告は、陸上競技短距離選手の疾 走中の速度変動を計測し、試合やトレーニングの為にフィードバックしている東海大学のスプリ ンターサポートプロジェクトが代表的である(3)。  サッカーやラグビーのようにボールを扱いながら相手プレイヤーの動きやゲーム展開を見極め て自身が行うプレイを決断するような競技においては、不規則的な走スピードの変化が繰り返し 行われる(2)。特に伊與田らによると.ラグビーのゲーム中におけるプレイヤーは、walking(ウォー キング)一trotting(トロッティング)一sprinting(スプリント)という動きの種類に大劉され、 完全に静止している状態は限りなくゼロに近いことが報告されている(2)。  本研究では、疾走中の速度変動に着目し、従来通り走タイムを計測するのではなく、レーザー 式速度測定器を用いて速度変動を測定しスピード曲線を観察した。今回は野球選手の50mスプリ ントとサッカー選手の10mスプリントを対象にした測定結果をもとに研究や指導に活かすことが できるよう基礎的研究資料を得ることを目的とした。 盤、方法 2一咽.被管建渚  野球選手男性3名(18歳)、サッカー選手男性7名(内ゴールキーパー3名、20±2歳)を対 象にした。 2−2.測定手順  レーザー式速度測定器Laveg名port 301S(:LDM301S)を用いて、野球選手の50 mスプリント とサッカー選手の10mスプリント.それぞれの速度変動を測定。レーザー速度計(図2.1)とは. 移動する目標物(被測定者)に一定の周波数の半導体レーザー光を投射して(図2。2)、被測定者 から反射して返ってくるまでの時間をもとに被測定者の位置を時々刻々と検出する(2)。この位 置データを微分し、疾走中のある地点での瞬間疾走速度を算出できるシステムとなっている(2)。 計測データは即時に速度計に接続されたパソコンに送信されるため、測定直後には「距離・速度」 のグラフ上にスピード曲線の波形が表示され、疾走中の速度変動を観察することが可能である。 図2。1::LDM301Sレーザー速度計(前面) 図2。2:LDM301Sレーザー速度計(後面)

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 出走時のスタートは、スタンディングスタートを用いたスタート方法を採用。被測定者の身体 が完全静止したのを確認後、被測定者の任意によるタイミングで出走。レーザー速度計は、被測 定者の約5−7m後方に設置。被測定者の両肩甲骨下部から脊柱部をレーザー光の目標的とし、 出走約1秒前からゴール後約2秒程度の走速度を測定。  レーザー速度計から得られた全ての試技のスピード曲線中に示されるピーク値(100%)に対 する変動を実績値/ピーク値×100の数式を用いて算出した。

3.結果

 野球選手3名の50mスプリントにおける5m毎、および1m毎の平均速度を算出し、その速度 変動を図3と図4に示した。図5は、3選手の平均値をもとにスピード曲線とピーク値に対する 変動である。30−50m地点でピーク速度に到達し、以後、減速現象を辿り、ゴール地点ではピー ク速度の92−98%まで減速している。  図6にサッカー選手各7名の10mスプリントにおける1m毎の平均速度を算出した速度変動を 示す。図7は7選手の平均値によるスピード曲線とピーク値に対する変動である。図8はサッカー のゴールキーノ{一3名の10mスプリントにおける1m毎の平均速度の変動である。ゴール地点に 向かって右肩上がりのスピード曲線ではあるが.フィールドプレーヤーもゴールキーパーも共通 して、5−6m地点周辺でピーク値の80−90%の速度に達し、その後、停滞、または減速してから 再び加速期になる波形が観察できた。     10 9 8 7 6 ︵8の\∈︶遡蝦 5 4 3

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0−5       5−10      10−15      15−20     20−25     25−30      30−35     35−40     40−45     45−50       距離(m)         一→一野球選手A 一’■一野球選手B 一一●一’野球選手C   図3野球選手の50mスプリントにおける5m毎の速度変動

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1    .り①o\∈翌翌 で鐡〔〔〔鞭謬〔〔〔蕪鯉鰯臨〔罫〔〔鰯鵡〔讃鞠〔 〔離鞭〔〔 罫 ’. ’・ 7

三焉藷ξ岳三焉鵠ξ岳5焉鵠ξ岳三藷鵠ξ岳三焉鵠ξ

6二二めめ ?????? 葺§羅§鶏鶏§婁§耳彗§

9.00   一一一野球選手A     野球選手B  ………野球選手C 図4:野球選手の50mスプリントにおけるlm毎の速度変動 EO寸,◎o寸 8.00 0    0    0 0    0    0 77    β0    ︻J do㎝、∈遡蝦 4.00 3.00 =■ =■ 旨■ = 1 1 旨 ■ ■ ■ 旨 旨 旨 旨 1 1 1 1 1 1 1 1 r ﹁ ■ ■ r r ﹁ ■ ==冨1 =■L’♂●一 1 Uキーの…一卜 @旨 ’一一● = │旨1一一 怦齊一一 P一一↓一一↓。。︷﹂ 旨 旨 1 旨旨1 ●●ト●r・●1旨旨 r 7 7 ■ ■ r r ﹁ ■ ”1 3 = 3 3 3 3 3 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1■ ■1 1■ 1■ 1■ 1■ 1■ 1■ 1■ 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 , 噌 ■ ■ r r , 噌 1 1 1 1 1 1 1 1 ﹄■’ ■ =■ 旨■ =■ 旨■ 旨■ 旨■ 旨■ 旨■ ’ 1 1 1 1 1 1 1 1 1 豆 r= =, 噌旨 ■= ■旨 旨r r旨 ,旨 噌旨 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 1 1 1 1 1 1 1 1 1

﹂.1■■IIII ﹁1■■IIII ﹂.1■■IIII ﹂.1■■IIII

0−5    5−10   10−15   15−20   20−25   25−30   30−35   35−40   40−45   45−50       距離m 120.00 10000 80.00 60.00 40.00 20.00         一●一走速度m/sec. 一一●一・ピーク値に対する変動96 図5野球選手(n−3)の5m毎の速度変化とピーク値に対する変動の平均 1     .。06、∈嘔咽 メ 轡  0−1m  1−2m  2−3m  3−4m  4−5m  5−6m  6−7m  7−8m  8−9m  9−10m 図6:サッカー選手(n−7)の10mスプリントにおけるlm毎の速度変動

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0 0 0 0 0 9 0 0 8 0 0 7 0 0 6 0 0 5 0 0 4 0 0 3 0 0 2 oo 0 0 0 .8ω\∈運蝦 120.00 100.00   ま 80.00   球 6… 蒋   逼 4α。。↑ 20.00        0.00     0−1m   1−2m   2−3m   3−4m   4−5m   5−6m   6−7m   7−8m   8−9m   9−10m        距離m        一●一速度m/sec. 一■一ピーク値に対する変動% 図7サッカー選手(n−7)の10mスプリントのlm毎の速度変動とピーク値に対する変動の平均  8.00  7.00  6.00 d5.00霧 \ E4.00 蝦3.00  2.00  1.00  0.00   l         l         l         l   l         l         l         l   l         l         l         l   l         l         l         l   l         l         l         l   l         l         l         l ■■■■■■■■ 。■■■■■■■■■1■■■■■■■■■■■■■■■■■■■   l         l         l         l   l         l         l         l   l         l         l         l   l         l         l         l   l         l         l         l ■■■■■■■■L■■■■■■■」■■■■■■■■」■■■■■■   」 ■■lll   l         l         l   l         l         l                 __k…」一伊半商葺  ・        ノ       

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       12345678910

      距離m        一●一走速度m/sec. 一一●一・ピーク値に対する変動% 図8 ゴールキーパーの10mスプリントのスピード曲線とピーク値に対する変動の平均 羅.考察  陸上競技100mのスピード曲線は10m毎の速度変化を示すもの(1)が一般的である。しかし、今 回のように野球選手の50mスプリントにおける5m毎のスピード曲線(図3)では確認できなかっ た著しい加減速が繰り返される波形が1m毎(図4)のスピード曲線では見ることもできるため. 短い間隔の速度変動を観察することは5mや10m間隔では発見することができない現象も確認で きると考えられる。国内外のトップスプリンターのスピード曲線の測定を行っている広規らは、 疾走中にピッチを上げることを脚の切り返じ動作と表現し、減速距離を短くしたり、速度を 維持する局面になるとも報告している④。このことから、野球選手Bのスピード曲線は加減速 の激しい波形でもあり、ピッチとなる脚の切り返し動作が他の2選手よりも劣っていると考えら

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れる。  サッカー選手の50m疾走タイムとその5m毎の速度変動を測定した大串らは、5m−15m地点 の立ち上がり速度が高い選手は50m走のタイムも高い(5)と報告していることから、今回実施し た10mスプリントはサッカー選手の走能力評価にもつながることが考えられる。同研究では30m 地点で最高速度に到達すると報告されている(5)ため、短い間隔でスピードの緩急が激しく不規 則的に行われるサッカー競技であっても50mスプリント測定は必要かもしれない。しかし、サッ カーのように10mにも満たない距離の疾走の連続を有する測定の場合、短い距離間隔内の速度変 動を求めることにより、立ち上がり速度を観察することができる。

5、結論

 レーザー式速度測定器を用いた速度変動の分析は、従来の走タイムから評価できなかった疾走 中の加減速や、スピード維持能力を見ることができ、今後のスプリント研究や指導に役立つこと が考えられる。 藍引用・参考文献灘 (1)Sami Kuitu簸en, Dino Palazzi and Esa Peltola JUSTIN GAT:LIN WR 9。77−RACE ANA:LYSIS   short Report sports Department, AsPIRE − Academy for sports Excellence, Doha, Qatar,   2006 (2)伊與田康雄,宮下節,武井光(1989)ラグビープレイヤーの走行距離とスピードに関する研究lVTR   を用いたD,LT法による走行分析.筑波大学体育科学系運動学研究/筑波大学体育科学系運動学研究分   里予5・号 pp.127433 (3)広川龍太郎、高野進、末績慎吾、金子太郎、植田恭史(2005)陸上競技短距離競技者≦末綾慎習の100   rn走:中の疾走速度分析、東海大学紀要体育学部34号 研究資料pp.93−96 (4)広川龍太郎、高野進、植田恭史(2003)スプリンターサポートプロジェクトー末績慎吾選手のスピード   分析・9秒台への挑戦一 東海大学紀要体育学部32号pp.25−28 (5)大串哲朗、戸苅晴彦、大橋二郎(1982)サッカー選手の短距離疾走スピードについて 日本体育学会   人会号(33)pp。680

参照

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