平成26年6月
自由民主党
東日本大震災復興加速化本部長
大 島 理 森
様
要 望 書
三 陸 沿 岸 都 市 会 議
八 戸 市 ・ 久 慈 市 ・ 宮 古 市 ・ 釜 石 市
大 船 渡 市 ・ 陸 前 高 田 市 ・ 気 仙 沼 市
要 望 項 目
頁
1.道路予算の確保と幹線道路網の整備について………1
2.三陸沿岸地域をつなぐ鉄道の堅持と早期の全線復旧につい
て………3
3.三陸沿岸地域の港湾の早期整備と利用促進について……5
4.三陸沿岸地域の地震・津波防災対策の強化について……6
5.三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興の推進に
ついて………7
6.永続的で適切な漁業資源の管理をはじめとする水産業の振
興について………8
7.地域医療体制の整備充実について………9
8.再生可能エネルギー等の普及促進について………10
9.復興事業に対する国の支援の継続について………11
10.普通交付税の算定について………12
1 道路予算の確保と幹線道路網の整備について 三陸沿岸地域は、幹線道路網の形成が不十分であり、地域の産業、経済、 医療、防災を支える基礎的インフラである高規格幹線道路等を「命の道」と して、その整備促進を強く要望してきました。 東日本大震災では、三陸沿岸を縦に走る三陸縦貫自動車道や沿岸と内陸を 結ぶ複数の幹線道路が緊急輸送路や住民の避難路として利用され、正に「命 の道」であることが明確になりました。 今後、甚大な被害を受けた三陸沿岸地域の復興と安全・安心な暮らしが営 めるまちづくりには、高規格幹線道路を主軸とした縦貫道と横断道の一体的 な道路整備や復興計画と一体となった国道 45 号の改良整備が重要課題とな っています。 また、政府は東日本大震災の復興期間を 10 年間とするとともに、当初の 5 年間を集中復興期間と定め、復興枠として道路予算を別枠で確保するなど、 復興道路の建設を強力に推進して参りましたが、平成 27 年度の集中復興期 間の満了とともに復興予算の枠組みを見直されることが懸念されています。 つきましては、復興道路、復興支援道路などの道路交通網の早期整備及び 既存の道路の整備改良について、次の事項を要望します。 1 三陸縦貫自動車道、三陸北縦貫道路、八戸・久慈自動車道の「復興道路」 と、東北横断自動車道釜石秋田線、宮古盛岡横断道路の「復興支援道路」 及び復興関連道路については、集中復興期間の延長を実施するとともに、 平成 28 年度以降も復興枠並びに特別交付税を堅持のうえ、通常の公共事 業とは別枠の道路予算を確保し、震災復興のリーディングプロジェクトと して、早期全線開通を図ること。 2 内陸部と沿岸部を結ぶ重要路線である一般国道 281 号の地域高規格道 路への指定と改良整備の促進及び内陸部と沿岸都市にアクセスする一般 国道 340 号の改良整備を促進すること。 3 被災地の早期復興のため、津波により壊滅的な被害を受けた箇所におい て、各市町村の復興計画と一体となった国道 45 号の改良整備を促進し、 そのための予算を確保すること。
・国道281号は、岩手県盛 岡市から岩手県久慈市に至 る一般国道 ・国道340号は、岩手県陸 前高田市から北上山地を縦 貫して青森県八戸市に至る 一般国道 ・国道45号は、宮城県仙台 市から太平洋沿岸を経て青 森県青森市に至る一般国道
3 三陸沿岸地域をつなぐ鉄道の堅持と早期の全線復旧について 東日本大震災によって三陸沿岸地域をつなぐ鉄道は、駅舎、線路、橋梁 等の鉄道施設が甚大な被害を受け、長期間の運休を余儀なくされています。 三陸沿岸地域をつなぐ鉄道は、通院、通学等沿線住民の生活に欠くこと のできない交通手段であるとともに、観光客の受入や地域間交流の促進を 図る上で重要な交通基盤となっており、三陸沿岸地域の早期の復旧・復興 を実現するためには、地域の復興計画と歩調を合わせた鉄道の早期の全線 復旧が強く望まれます。 三陸沿岸地域をつなぐ鉄道のうち、三陸鉄道北リアス線及び南リアス線 については、国の全面的な支援により、南リアス線が本年 4 月 5 日に、北 リアス線が 4 月 6 日に全線の運行再開を実現しましたが、JR各線につい ては、平成 24 年3月 17 日に全線運行を再開した八戸線を除き、未だ復旧 の目途が立っておらず、膨大な復旧費用の負担がその一因となっています。 三陸沿岸地域をつなぐ鉄道の一部が廃線となり鉄道網が寸断されるこ とになれば、大震災からの復旧・復興に取り組む人々の心に暗い影を落と すこととなり、観光産業をはじめとする地域経済に多大な悪影響を及ぼす など地域の衰退を招くことは明白です。 よって、国においては、東日本大震災からの復旧・復興に取り組む地域 を支援する視点に立ち、被災した地域の鉄道の全線の復旧事業に対し、特 段の財政的支援措置を講ずるよう、次の事項について要望します。 1 鉄道の全線復旧に向けた課題を速やかに解決し、復旧を早期に決定で きるよう、東日本旅客鉄道株式会社に対する助言・指導を強化すること。 2 鉄道復旧までの間の代替交通及び地域内の公共交通を確保するため に必要な財政支援措置等を講じること。 3 復興まちづくりに欠かせない鉄道の早期復旧のため、市町村の復興計 画に基づく鉄道敷のかさ上げ等について、財政支援措置を講じるととも に、内陸への路線付け替えなどについても、市町村の負担のない新たな 支援制度を創設すること。
5 三陸沿岸地域の港湾の早期整備と利用促進について 東日本大震災により、湾口防波堤や公共ふ頭などの港湾施設が甚大な被害 を受けるとともに、地盤が沈下し、満潮時には公共ふ頭が一部冠水するなど、 港湾機能が十分に発揮できない状況になりました。 また、港湾関連企業をはじめとする臨海部の主要企業も壊滅的な被害を受 けたため、地域の雇用・経済情勢は深刻な状況です。 港湾は、景気浮揚、雇用確保への対応など住民生活や産業振興を支える大 変重要な社会基盤であり、被災地域の復興を効率的に進めるためには地域経 済活動の拠点である港湾の早期整備と港湾物流機能の強化を進めていくこ とが必要不可欠です。 つきましては、復興の礎となる三陸沿岸地域の港湾施設の早期整備、機能 拡充と利用促進を図るよう、次の事項について要望します。 1 八戸港、久慈港、宮古港、釜石港、大船渡港、気仙沼港の重要港湾及び 地方港湾の早期整備と、港湾物流機能向上に係る施設の機能拡充を図るこ と。 2 津波対策及び湾内の静隠度向上による新たな産業の振興など、三陸沿岸 地域の発展上重要な役割を果たす湾口防波堤の早期復旧及び整備を図る こと。 3 復旧・復興整備に係る建設資材等の輸送に際し、港湾施設の利用促進に つながる支援措置を講ずること。
6 三陸沿岸地域の地震・津波防災対策の強化について 三陸沿岸地域は、明治三陸大津波をはじめ、これまで幾度となく地震・津 波の被害に見舞われ、多くの尊い命と財産を失ってきました。 特に、平成 23 年3月 11 日の東日本大震災による津波において、当地域は 未曾有の被害を受け、三陸沿岸地域における津波防災対策の充実・強化は喫 緊の課題となっています。 中でも、東日本大震災の教訓として、地震と津波から市民の生命、財産を 守るためには、津波防御施設や地震・津波観測体制の一層の強化に加え、迅 速な避難行動を促すための避難体制の構築、防災教育の徹底、津波到達点の 共通表示、避難道路や避難広場の整備など、ハード・ソフトの施策を組み合 わせた多重防災型まちづくりを図ることが重要となっています。 つきましては、再びこのような惨禍を繰り返すことがない災害に強い安 全・安心な地域づくりのため、次の事項について要望します。 1 多重防災まちづくりに必要な湾口防波堤、防潮堤等の海岸保全施設の整 備促進及び強化を推進するとともに、陸閘・水門の遠隔操作化等の整備を 図ること。 2 地震・津波観測機器の充実をはじめ、観測網の強化と東北地方津波防災 支援システム全体の強化・拡充を図ること。 3 避難体制の構築や津波防災教育の充実に向けた支援措置を講じるとと もに、津波到達点の共通表示など、国の全面的な支援による多重防災型ま ちづくりを推進すること。 4 海岸から円滑に避難するために必要な道路や避難広場等の整備に対し て、復興交付金や社会資本整備総合交付金等による柔軟かつ積極的な対応 を行うこと。
7 三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興の推進について 昨年5月 24 日に三陸沿岸地域の自然公園を再編し、新たに「三陸復興国 立公園」が創設されましたことは、東日本大震災で被災した三陸沿岸地域に とって、非常に明るい話題であり、観光産業をはじめとした地元雇用の創出、 地域の振興に大きく寄与し、当地域の復興の起爆剤になるものと期待してい るところです。 また、環境省では、東日本大震災からの復興に資するため、平成 24 年5 月に「三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興のビジョン」を策定 し、三陸復興国立公園の創設をはじめとした7つのプロジェクトを地域の要 望を聞きながら推進するとしています。 そのプロジェクトの一つである長距離遊歩道「みちのく潮風トレイル」は、 豊かな自然環境や歴史、文化などの当地域の魅力を体感できる新たな観光コ ースとして、交流人口の拡大に結びつくものであり、昨年 11 月 29 日に一部 が開通したところであり、更に、青森、岩手、宮城の3県が県境を越えて取 り組んできた「三陸ジオパーク」が昨年9月 24 日、日本ジオパークに認定 されました。これらに加え、ご当地ナンバー導入等の手法も視野に入れ、一 層の観光客の誘客拡大と観光地としてのブランド化に繋げたいと考えてい ます。 つきましては、豊かな自然が生む「三陸ブランド」の再生を図るとともに、 この震災の経験と教訓を次の世代に伝承しながら、三陸地域の未来を切り拓 く新たなエネルギーを生み出す「創造的復興」に資するため、次の事項につ いて要望します。 1 グリーン復興プロジェクトの具現化と事業推進に向けた積極的な取り 組みを図ること。
8 永続的で適切な漁業資源の管理をはじめとする 水 産 業 の 振 興 に つ い て 三陸沿岸地域は、寒流の親潮と暖流の黒潮が交錯する世界有数の三陸漁場 を抱え、豊かな水産資源とリアス式海岸の地形を生かした天然の良港を数多 く有し、古くから漁業が盛んに営まれてきました。 しかしながら近年、三陸沿岸地域における水産業を取り巻く環境は、大震 災による海洋生態系の改変をはじめ、水産資源の減少、輸入水産物の増加に 伴う魚価の低迷、さらには、燃料の高騰など厳しい状況に置かれ、漁業就労 者は年々減少するとともに、高齢化が進行しています。 一方、魚食文化の普及や健康志向の高まりとともに、水産物の安定供給が 喫緊の課題となっています。 つきましては、国民の食生活や地域経済を支える水産業の振興を図るため、 次の事項について要望します。 1 永続的で適切な漁業資源の保護・管理や、漁業経営の安定化に向けた各 種施策の充実を図るなど、水産業の振興に関する種々の取組みを強化する こと。
9 地域医療体制の整備充実について 三陸沿岸地域の医療体制は、絶対的な医師数の不足により、地域の医療需 要に十分に対応できない状況にあります。 加えて、東日本大震災により、県立病院をはじめとする医療機関が壊滅的 な被害を受けたことにより、さらに弱体化し、地域住民にとって極めて深刻 な問題になっており、被災した医療機関の一日も早い再建や常勤医師の地域 的偏在の是正に向けた取り組みの強化が望まれています。 このような状況下で、東北地方に新たに医学部の設置が検討されています が、医学部設置には教員等の医師を確保する必要があり、そのために更なる 医師不足が生じることのないよう対策が必要です。 また、救命救急医療体制については、平成 25 年4月から、青森・岩手・ 秋田の北東北3県において、県境を超えた広域連携の試行運行が行われてい ますが、広域連携の運航マニュアルでは、岩手県北地域において 15 分以内 で到着できる青森県の病院に出動を要請するには、岩手県のドクターヘリ及 び防災ヘリが対応できない場合に限られていることから、広域連携が効果的 に運航されない状況となっています。 つきましては、住民が安心して暮らせる地域社会を実現するため、地域医 療体制の整備充実が図られるよう、次の事項について要望します。 1 被災した医療機関の一日も早い再建と医師不足をはじめとした地域医 療の弱体化を改善するため、地域医療を担う医師の養成と均衡ある配置を 確実に行う方策を講ずること。 2 医学部の設置に当たっては、その教員確保のため、各地域の医師を教員 等として吸収することで、各地域の病院における医師確保に影響を与えな いよう、新設医学部においては、既存の病院で医師として勤務する者の採 用を禁ずるなど配慮すること。 3 ドクターヘリの空白地域を解消し、運航を効果的に行うため、県境を越 えた運用等について特段の措置を講ずること。
10 再生可能エネルギー等の普及促進について 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー導入の取組みを推進す ることは、エネルギー政策上のリスク分散という観点からも重要です。 しかしながら、三陸沿岸地域は系統送電網の能力が低く、大規模な再生可 能エネルギーの導入を進めていくには、地域における電力計画に対応した送 電網の整備が必要になります。 一方で、再生可能エネルギーの供給量は不安定な要素を含むため、安定エ ネルギーの確保を同時に進める必要があります。 このことから、再生可能エネルギーに係る課題解決に向けた取組みを加速 させるとともに、安定エネルギーの確保を包括的に進めるよう、次の事項に ついて要望します。 1 再生可能エネルギー導入に係る支援制度の拡充を図ること。 2 再生可能エネルギーの普及には、送電網の強化が不可欠であることから、 国と電力会社が一体となって強化に取り組むこと。 3 安定エネルギーの確保等を図るため、国において、組織の体制・機能の 拡充強化を図ること。
11 復興事業に対する国の支援の継続について 国においては、復興庁の創設や復興特区制度の制定など、被災地の復興に 向けて様々な支援を行い、そのうち平成27年度までを集中復興期間と位置 づけています。 しかしながら、今次津波による被害は甚大であり、住民の住まいと暮らし の確保や水産業をはじめとした産業・経済の復興、安全な地域づくりのため の海岸保全施設等が完全に復旧するまでには、相当の時間を要するとともに 膨大な事業量とこれに伴う多額の費用負担が見込まれます。 つきましては、被災自治体が復興計画に描く復興まちづくりと被災者の生 活の再建を確実に進めるため、次の事項について要望します。 1 復興交付金などによる復興事業実施のための財源確保や、マンパワー不 足解消のための人的支援など、集中復興期間以降も被災地の復興が成し遂 げられるまで、国の責任において支援を継続すること。
12 普 通 交 付 税 の 算 定 に つ い て 三陸沿岸地域においては、未だ多くの被災者が県外等において避難生活を 続けています。そのため、被災地においては、一時的かつ急激に人口が減少 しています。 普通交付税算定基礎の人口は国勢調査数値が用いられますが、次の調査は 平成27年度に行われ、当該数値をその後5年間にわたり算定基礎とするこ とは、被災自治体の財政に甚大な影響を及ぼします。 また、普通交付税算定において、合併自治体の合併算定替適用期間が間も なく終了し、今後段階的に削減され平成33年度には一本算定となります。 しかしながら、復旧復興事業を抱える被災自治体においては、膨大な事 務・事業量を抱え、本来のコスト削減への取組など一本算定への対応が困難 な状況です。 つきましては、被災地の実情に配慮した普通交付税の算定について、次の 事項を要望します。 1 被災地の人口動態を考慮して、普通交付税の算定について、平成22年 国勢調査人口を引き続き算定基礎とするなど、被災地に配慮した方策を講 ずること。 2 被災自治体の事務・事業量等を考慮して、普通交付税の合併算定替特例 期間を延長すること。