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分子標的薬の重篤な副作用 外部用

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分子標的薬の重篤な副作用

慈恵ICU勉強会 201993

東京慈恵会医科大学附属病院 薬剤部 影山 明

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分子標的薬とは

ü 従来の抗癌剤はDNA複製や合成、タンパク質合成阻害 などにより、非選択的な殺細胞効果を示す薬剤が多い. ü 分子標的薬は、癌細胞の増殖及び進行に関与する特定 の標的因子を阻害することで、癌細胞に対して選択的な 抗腫瘍作用を示す薬剤であり、抗体薬と小分子薬に分 類される. ü 作用点の種類は、膜受容体・膜上分化抗原・チロシンキ ナーゼ・プロテアソームなど多岐にわたる.

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標的因子の種類

<血管内皮増殖因子(VEGF)> VEGFはがん細胞から産生される血管新生因子であり、がん細胞 の増殖に関与する. <上皮成長因子(EGF)> EGFはDNA合成や細胞増殖に関わる成長因子であり、その受容 体(EGFR)に変異が出現した場合、がん細胞の増殖に関与する. <ヒト上皮成長因子受容体2型(HER2)> HER2は細胞機能調節に関与し、HER2に変異が出現した場合、 がん細胞の増殖に関与する.

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標的因子が同じ場合でも適応癌種が異なり、投与経路も異なる 成分名 商品名 投与経路 標的因子 がん種 抗 血 管 新 生 薬 E  G  F  R 阻 害 薬 H  R  E  2   阻 害 薬 ベバシ ズマブ アバスチン div VEGF 結腸・直腸癌 /非小細胞肺癌 /卵巣癌 /子宮頸癌 乳癌/悪性神経膠腫 スニチニブ スーテント po VEGFR  (マルチ ) 消化管間質腫瘍 /腎細胞癌 /膵神経内分泌腫瘍 ソラフェニブ ネクサバール po 腎細胞癌 /肝細胞癌 /甲状腺癌 エルロ チニブ タルセバ po EGFR 非小細胞肺癌 ゲフィ チニブ イレッ サ po 非小細胞肺癌 セツキシマブ アービタッ クス div 結腸・直腸癌 /頭頚部癌 トラスツズマブ ハーセプチン div HER2 乳癌/胃癌 ? ? ? ? ? ? ? 各薬剤の添付文書を参照・作成

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ヒト化抗体 ヒト抗体 キメラ 抗体 マウス 抗体 アテゾリズマブ オファツムマブ セツキシマブ イブリツモマブチウキセタン アレムツズマブ ダラツムマブ ブレンツキシマブベドチン ブリナツモマブ イノツズマブオゾガマイシン ネシツムマブ リツキシマブ エロツズマブ パニツムマブ オビヌツズマブ ラムシルマブ ゲムツ ズマブオゾガマイシン トラスツズマブ トラスツズマブエムタンシン ベバシズマブ ペムブ ロリズマブ ペルツ ズマブ モガムリズマブ 2019年8月現在 63成分の抗体薬・小分子薬 が承認されている 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の検索ツールより検索し、作成 キナーゼ 阻害剤 マルチ キナーゼ 阻害剤 BRAF阻害剤 MEK阻害剤 プロテアソ ーム 阻害剤 PARP阻害剤 VEGF阻害剤 mTOR阻害剤 FLT3 阻害剤 アキシチニブ ダコミ チニブ セリチニブ エンコラフェニブ トラメチニブ ジメチルスルホキシド アファチニブ ダサチニブ レンバチニブ ダブラフェニブ ビニメ チニブ アベマシク リブ ニロチニブ ベムラ フェニブ アレクチニブ パゾパニブ イブルチニブ パルボシク リブ イマチニブ バンデタニブ イキサゾミ ブ オラパリブ アフリベルセプトベータ エムト レクチニブ ボスチニブ カルフ ィルゾミブ エルロ チニブ ポナチニブ ボルテ ゾミ ブ オシメ ルチニブ ラパチニブ クリゾチニブ ルキソ リチニブ ゲフィ チニブ レゴラフェニブ エベロリムス キザルチニブ スニチニブ ロルラ チニブ シロリ ムス ソラフェニブ テムシロリ ムス

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免疫チェックポイント阻害薬

ü 免疫チェックポイントは「過剰な免疫反応が生じた場合の ブレーキ」として知られている. ü 癌細胞はその免疫チェックポイントを活性化して、免疫機 能を低下させる作用がある. ü 免疫チェックポイント阻害薬は、癌細胞による免疫低下を 阻害し、免疫機能を亢進させる作用がある.

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免疫チェックポイント阻害薬の一覧

2019年8月現在 6成分の免疫チェックポイント 阻害薬が承認されている 各薬剤の添付文書を参照・作成 成分名 商品名 標的因子 がん種 販売開始 悪性黒色腫・非小細胞肺癌・腎細胞癌 ホジキンリンパ腫・頭頚部癌・胃癌・悪性胸膜中皮腫 イピリムマブ ヤーボイ抗C TLA-4抗体 悪性黒色腫・腎細胞癌 2015/8 悪性黒色腫・非小細胞肺癌・尿路上皮癌 高頻度マイクロサテライト不安定性を有する固形癌 アベルマブ バベンチオ抗PD -L1抗体 メルケル細胞癌 2017/11 アテゾリズマブ テセントリク抗PD -L1抗体 非小細胞肺癌 2018/4 デュルバルマブ イミフィンジ抗PD -L1抗体 非小細胞肺癌 2018/8 2014/9 2017/2 ニボルマブ ペムブロリズマブ オプジーボⓇ キイトルーダⓇ 抗PD -1抗体 抗PD -1抗体

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ü 分子標的薬の出現により、固形癌患者の生存期間が 過去10年間で著しく改善した.

Lancet Lond Engl 391:1023–1075

ü 今後は分子標的薬の進歩によって、多種多様な組み 合わせが作られていくことが予想される. Int J Cancer 134:1257–1269 J Immunother Cancer 5:16 ü そのような展望がある中、有害事象の出現がしばしば 問題視されることがある.

分子標的薬への期待と問題

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分子標的薬の有害事象

ü ほとんどの有害事象は、CTCAEによるGrade1-2の重症度 であるとされている. ü 有害事象の種類としては、皮膚・消化器・末梢神経系・肝 臓・内分泌系などの複数臓器系を含んでいる. ü 分子標的薬の有害事象は、標的因子に関与があるため、 予測可能とされている.

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ü VEGFは腫瘍血管新生に関与する因子であるため、有害 事象としては出血・高血圧が生じると報告されている. ü EGFRは皮膚・粘膜に多く存在するため、有害事象としては 皮膚障害・爪囲炎・下痢・消化管穿孔などが生じると報告 されている. ü HER2は腫瘍細胞だけでなく心筋にも存在するため、有害 事象としては心不全が生じると報告されている. The Oncologist 2007;12:1443–1455 標的因子がどのような部位に多く存在しているかを把 握することで、有害事象の予測は可能な場合がある

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免疫関連副作用

ü 免疫関連副作用(irAE)は、免疫チェックポイント阻害薬を 使用することで、自己免疫が活性化され、その結果、がん 細胞だけでなく正常細胞も障害されることで生じる副作用 である. Blood. 2011;118:499-509. ü 一般的なirAEは、下垂体炎・大腸炎・肝炎・肺炎・発疹など が言われている.

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目的 : 免疫チェックポイント阻害薬によるirAEが報告された症 例に関するシステマティックレビュー

方法 : Medline / EMBASE / Web of Science / PubMed ePubs / Cochrane CENTRALのツールを用いて検索を行った.

対象薬剤 : イピリムマブ(n = 234) / ペムブロリズマブ(n = 10) / ニボルマブ(n = 7)

対象癌種 : 悪性黒色腫(95.6 %)

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<イピリムマブ> ü 消化器イベントが最も多く、39.7%(93名/234名)であった。 診断としては大腸炎が34.2%(80名/234名)であり、そのう ち致死的な消化管穿孔は5.1%(12名/234名)であった. ü 内分泌イベントは33.7%(79名/234名)であった。診断とし ては、下垂体炎が29.1%(68名/234名)であった. ü 皮膚イベントは25.6%(60名/234名)であった.

各薬剤の有害事象

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<ペムブロリズマブ> ü 皮膚イベントが最も多く、50.0%(5名/10名)であった。診断 としては、皮膚炎が30.0%(3名/10名)であった. <ニボルマブ> ü 内分泌イベントが最も多く、42.9%(3名/7名)であった。診 断としては、3名とも自己免疫性甲状腺疾患であった. 薬剤の種類によって、頻発する有害事象の種類は異なる

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<有害事象に対して治療が必要となった症例数> イピリムマブ : 208名 / 216名 (96.3 %) ペムブロリズマブ : 8名 / 9名 (88.9 %) ニボルマブ : 6名 / 6名 (100 %) <治療内容> コルチコステロイド・ホルモン補充療法・インフリキシマブ・免疫調節薬(タクロリムスなど)

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ü 分子標的薬の潜在的な有害事象を認識することが必要 であり、ICU入室した重篤な有害事象の種類・症状に関す るデータが必要である.

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検索方法

ü 検索ツールは「Pubmed」を使用.

ü 見出し語句は「薬物関連有害事象」と「分子標的薬(49成 分)」を用いて検索.

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分子標的薬の

49成分

erlotinib sunitinib palbociclib nivolumab

gefitinib sorafenib ribociclib pembrolizumab afatinib pazopanib abemaciclib atezolizumab cetuximab axitinib crizotinib durvalumab panitumumab lenvatinib ceritinib avelumab osimertinib regorafenib alectinib everolimus rociletinib aflibercept lorlatinib temsirolimus trastuzumab ramucirumab brigatinib vismodegib pertuzumab cabozantinib vemurafenib vandetanib TDM-1 olaparib dabrafenib nintedanib lapatinib niraparib trametinib

neratinib rucaparib cobimetinib bevacizumab talazoparib ipilimumab

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対象症例

ü 2019年3月までにFDAが承認した分子標的療法による治 療を受けた固形癌患者かつICU入室をもたらしたすべて の症例報告及び薬物関連有害事象を含む症例.

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除外症例

ü 小児 ü 妊婦 ü 適応が腫瘍でない症例 ü FDAが承認していない分子標的薬またはホルモン療法の 組み合わせに関する症例

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情報収集の内容

<患者背景> ü 年齢 ü 性別 ü 癌の部位 ü 化学療法・放射線療法・コルチコステロイドの併用歴 <ICU入室時の確認事項> ü 臨床症状 ü 治療開始からICU入室までの時間 ü 合併症の診断

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<ICUでの管理> ü 臓器支援 ü 手術 ü 抗菌薬治療 ü 免疫抑制療法 ü コルチコステロイドの使用

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5%以上

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Pubmedで検出された 総レポート数 (n = 54682) 症例報告・シリーズに該当する レポート数 (n = 7344) 対象症例数 (n = 253)

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患者背景

ü 対象症例数 : 253例

ü 性別 : 男性 157名・女性 96名

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分子標的薬と対象症例数

ü 抗血管新生薬 : n = 102名 ü 免疫チェックポイント阻害薬 : n = 85名 ü EGFR阻害薬 : n = 33名 ü HER2阻害薬 : n = 10名 ü mTOR阻害薬 : n = 8名 ü BRAF阻害薬 : n = 7名 ü ALK阻害薬 : n = 3名 ü その他 : n = 5名

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対象症例の癌種

ü 悪性黒色腫 : n = 64名 ü 腎臓癌 : n = 46名 ü 肺癌 : n = 44名 ü 大腸癌 : n = 40名 ü 乳癌 : n = 18名

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消化器イベント : n = 69名 (消化管穿孔 : 44 名・肝炎 : 10 名)

心血管イベント : n = 58名 (中毒性心筋症 : 15 名・心筋炎 : 13名)

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呼吸器イベント : n = 29名(肺炎/間質性肺疾患 : 13 名・急性呼吸窮迫症候群 : 11 名)

神経系イベント : n = 39名(可逆性白質脳症: 11 名) 感染症イベント / 腎イベント : n = 13 名 / n = 10 名

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皮膚イベント : n = 4 名 筋肉イベント : n = 3 名 内分泌イベント : n = 3 名

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全体: 1.4 カ月 (範囲 : 0.03 - 54カ月)

抗血管新生薬 : 1.8 カ月 (範囲 : 0.03 - 54 カ月)

免疫チェックポイント阻害薬 : 1.4 カ月 (範囲 : 0.2 - 16 カ月) EGFR阻害薬 : 1.0 カ月 (範囲 : 0.2 - 4.5 カ月)

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抗血管新生薬の結果

ü 抗血管新生薬を投与され、ICU入室した症例数は102名 であった. ü 消化器イベントは42.2 % (43名/102名)であり、最も多い有 害事象であった。「消化管穿孔」は25.5 % (26名/102名)で あり、そのうち16名がベバシズマブに起因している. ü 消化管穿孔を生じた患者のうち、30.8 %(8名/26名)は術 後の敗血症性ショックにより死亡している.

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ü 心血管イベントは22.5 %(23名/102名)であり、中毒性心 筋症の症例数は7名であった。中毒性心筋症による死亡 率は51.7 %(4名/7名)であった. ü 神経イベントは11.8 %(12名/102名)であり、可逆性白質 脳症(PRES)の発症率は9.8 %(10名/102名)であった。ベバ シズマブによるPRESの症例数は8名であり、PRESによる 死亡率は30.0 %(3名/10名)であった. ü 呼吸管理が必要となった症例数は55名、循環管理が必 要となった症例数は23名であった. ü ICUにおける死亡率は、29.4 %(30名/102名)であり、その うち、使用薬剤の内訳はベバシズマブは12名、スニチニ ブは7名、ソラフェニブは8名であった.

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Anti-angiogenic-related adverse events n (%) n All n = 102 Bevacizumab n = 47 Sunitinib n = 28 Sorafenib n = 15 Axitinib n = 5 Pazopanib n = 3 Regorafenib n = 3 Aflibercept n = 1 Gastrointestinal Digestive perforation Digestive fistula Digestive hemorrhagia Hepatitis Acalculous cholecystis 43 (42.2) 26 (25.5) 6 (5.9) 3 (2.9) 7 (6.9) 1 (1.0) 20 (42.6) 16 (34.0) 4 (8.5) 9 (32.1) 4 (14.3) 1 (3.6) 3 (10.7) 1 (3.6) 10 4 1 3 2 3 1 2 1 1 Cardio-vascular Toxic cardiomyopathy Takotsubo syndrome Coronary vasospasm Myocardial infarction Acute aortic dissection Tamponade

Ischemic colitis Intracardiac thrombus Ischemic cerebral vasculopathy

23 (22.5) 7 (6.9) 5 (4.9) 2 (2.0) 2 (2.0) 3 (2.9) 1 (1.0) 1 (1.0) 1 (1.0) 1 (1.0) 8 (17.0) 3 (6.4) 2 (4.3) 1 (2.1) 1 (2.1) 1 (2.1) 7 (25.0) 2 (7.1) 1 (3.6) 1 (3.6) 2 (7.1) 1 (3.6) 3 1 2 3 1 1 1 2 1 1

Tumor necrosis-related events Tumor lysis syndrome Pneumothorax 3 (2.9) 1 (1.0) 2 (2.0) 1 (2.1) 1 (2.1) 1 1 1 1 Respiratory

Interstitial lung disease

Acute respiratory distress syndrome Pneumothorax 5 (4.9) 2 (2.0) 1 (1.0) 2 (2.0) 3 (6.4) 1 (2.1) 2 (4.3) 1 (3.6) 1 (3.6) 1 1 Neurologic PRES Intra-cranian hemorrhagia 12 (11.8) 10 (9.8) 1 (1.0) 9 (19.1) 8 (17.0) 1 (2.1) 1 (3.6) 1 1 1 1 抗血管新生薬に関連する有害事象

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免疫チェックポイント阻害薬の結果

ü 免疫チェックポイント阻害薬を投与され、ICU入室した症 例数は85名であった. ü 消化器イベントは23.5%(20名/85名)であり、穿孔性大腸 炎または腸炎の発症率は17.6 %(15名/85名)であった. ü 心血管イベントは31.8 %(27名/85名)であり、中毒性心筋 症 : 15.3 %(13名/85名)、心膜炎 : 10.6 %(9名/85名)であっ た.

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ü 神経イベントは27.1 %(23名/85名)であり、多発根神経炎 : 12.9 %(11名/85名)、重症筋無力症 : 10.6 %(9名/85名)で あった. ü 呼吸管理が必要となった患者数は57.6 %(49名/85名)、循 環管理が必要となった患者数は27.1 %(23名/85名)、血漿 交換が必要となった患者数は25.9 %(22名/85名)であった. ü irAEに対して用いた薬物治療の内容は以下の通りであっ た. 1 ) 高用量ステロイド 81.2 % (69名/85名) 2 ) 静脈内免疫グロブリン 27.1 % (23名/85名) 3 ) インフリキシマブ 12.9 % (11名/85名) 4 ) その他の免疫調節薬 9.4 % (8名/85名)

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ü irAE後のICU死亡率は28.2 % (24名/85名)であった. ü 単剤療法での死亡例に関する詳細は、劇症心筋炎は7 名、神経イベントは9名、穿孔性腸炎は3名、呼吸窮迫症 候群は1名であった. ü さらに、イピリムマブとニボルマブの併用療法での死亡例 は、4名であった。詳細は劇症心筋炎 2名、免疫療法によ る敗血症ショック 1名、重症筋無力症 1名であった.

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Immunotherapy-related adverse events n (%) n All n = 85 Ipilimumab n = 34 Nivolumab n = 33 Pembrolizumab n = 8 Ipi + Nivo n = 10 Gastrointestinal Colitis/enterocolitis

Colitis complicated by perforation Ileitis complicated by perforation Hepatitis 20 (23.5) 3 (3.6) 12 (14.4) 3 (3.6) 2 (2.4) 18 (52.9) 3 (8.8) 11 (32.4) 2 (5.9) 2 (5.9) 1 (3.0) 1 (3.0) 1 (10.0) 1 (10.0) Neurologic Guillain-Barre-like syndrome Meningoradiculoneuritis Meningoencephalitis Myasthenia gravis Bulbar myopathy 23 (27.1) 9 (10.6) 2 (2.4) 2 (2.4) 9 (10.6) 1 (1.2) 8 (23.5) 4 (11.8) 2 (5.9) 1 (2.9) 1 (2.9) 8 (24.2) 2 (6.0) 1 (3.0) 5 (15.2) 6 (75.0) 3 (37.5) 2 (25.0) 1 (12.5) 1 (10.0) 1 (10.0) Cardiac Pericarditis Pericarditis complicated by tamponade Takotsubo-like syndrome Fulminant myocarditis Coronary vasospasm Myocardial infarction Toxic cardiomyopathy 27 (31.8) 1 (1.2) 8 (9.4) 1 (1.2) 13 (15.3) 1 (1.2) 1 (1.2) 2 (2.4) 5 (14.7) 1 (2.9) 1 (2.9) 1 (2.9) 1 (2.9) 1 (2.9) 17 (51.5) 7 (21.2) 8 (24.2) 1 (3.0) 1 (3.0) 1 (12.5) 1 (12.5) 4 (40.0) 4 (40.0) Respiratory Pneumonitis

Acute respiratory distress syndrome

7 (8.2) 3 (3.6) 4 (4.7) 1 (2.9) 1 (2.9) 5 (15.2) 2 (6.0) 3 (9.1) 1 (10.0) 1 (10.0) Muscular Polymyositis 3 (3.6) 3 (3.6) 1 (3.0) 1 (3.0) 1 (12.5) 1 (12.5) 1 (10.0) 1 (10.0) Renal

Acute interstitial nephritis

2 (2.4) 2 (2.4) 1 (2.9) 1 (2.9) 1 (10.0) 1 (10.0) Other events Type 1 diabetes Thrombotic thrombocytopenic purpura 3 (3.6) 1 (1.2) 2 (2.4) 1 (2.9) 1 (2.9) 1 (3.0) 1 (3.0) 1 (10.0) 1 (10.0) 免疫チェックポイント阻害薬に関連する有害事象

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EGFR阻害薬の結果

ü EGFR阻害薬を投与され、ICU入室した症例数は33 名で あった. ü 呼吸器イベントは30.3%(10名/33名)であり、間質性肺疾 患 : 18.2 % (6名/33名)、急性呼吸窮迫症候群 : 12.1 % (4 名/33名)であった. ü アレルギーイベントは21.2 % (7名/33名)であり、その全て の症例がセツキシマブ関連の薬物有害事象であった.

(43)

ü 呼吸管理が必要となった患者数は78.8 %(26名/33名)、循 環管理が必要となった患者数は21.2 %(7名/33名)であっ た. ü 高用量ステロイドによる治療を行った患者は39.4 %(13名 /33名)であった. ü ICUにおける死亡率は39.4 %(13名/33名)であった. ü 急性呼吸窮迫症候群を認めた4名は全例が死亡した. ü セツキシマブ関連アレルギー患者は入室日に2名が死亡 した.

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Anti-EGFR-related adverse events n (%) n All n = 33 Gefitinib n = 8 Erlotinib n = 5 Afatinib n = 1 Cetuximab n = 16 Panitumumab n = 3 Respiratory

Interstitial lung disease

Acute respiratory distress syndrome

10 (30.3) 6 (18.2) 4 (12.1) 3 2 1 4 3 1 3 1 2 Hypersensitivity IgE-mediated

Aspecific infusion reaction

7 (21.2) 2 (6.1) 5 (15.2) 7 2 5 Cardiac Toxic cardiomyopathy Pulmonary embolism 3 (9.1) 2 (6.1) 1 (3.0) 1 1 1 1 1 1

Tumor necrosis-related events Tumor lysis syndrome

Pneumothorax

Cerebral lesion cystic transformation Digestive perforation 4 (12.1) 1 (3.0) 1 (3.0) 1 (3.0) 1 (3.0) 2 1 1 1 1 1 1 Neurologic PRES Unexplained seizure 2 (6.1) 1 (3.0) 1 (3.0) 2 1 1 Gastrointestinal Digestive perforation Digestive hemorrhagy 2 (6.1) 1 (3.0) 1 (3.0) 1 1 1 1 Dermatologic

Toxic epidermal necrolysis

1 (3.0) 1 (3.0) 1 1 Infectious events 4 (12.1) 1 1 2 Infectious events

Pleural empyema (Propionibacterium acnes)

Disseminated HSV-1 infection Necrotizing fasciitis 4 (12.1) 1 (3.0) 1 (3.0) 2 (6.1) 1 1 1 1 2 2 EGFR阻害薬に関連する有害事象

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その他の結果

ü その他の分子標的薬(HER2阻害薬・mTOR阻害薬・BRAF 阻害薬・ALK阻害薬)を投与され、ICU入室した症例数は33 名であった. ü HER2阻害薬であるトラスツズマブを投与した患者10名の うち、3名が中毒性心筋症と診断され、うち1名が死亡した. ü mTOR阻害薬であるエベロリムスを投与した患者8名のう ち、2名が間質性肺疾患と診断され、うち1名が死亡した.

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(47)

Discussion

ü ICU入室が必要な症例253名のうち、そのほぼ半数が抗 血管新生薬の使用と関連しており、ICUでの死亡率は 30.8 %であった. ü ベバシズマブを評価した臨床試験では消化管穿孔の発 現頻度は1 - 6 %であった. ü 抗血管新生薬による心血管イベントは23名であるが、そ のうち7名が死亡している.

(48)

ü 抗血管新生薬を開始した直後のタンパク尿症および高血 圧症の患者は、その後に心血管イベントの危険性が高い ことが示唆されている. N Engl J Med 375:1457–1467 ü マルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブ・スニチニブは 投与前、投与中の心血管評価が重要であると報告され ている.

J Clin Oncol Off J Am Soc Clin Oncol 26:5204–5212

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Discussion

ü 現在報告されている致死的なirAEは、大腸炎または回腸 炎であり、これは臨床試験の結果と一致するものであっ た. ü イピリムマブとニボルマブの併用による致死的な穿孔性 腸炎は1名のみが文献に報告された. ü 今回のレビューでは、ICUにおけるirAEの致死率は28.2 % とかなり高率であった.

(50)

目的 : WHOの医薬品安全性監視データベース(Vigilyze)から免疫 チェックポイント阻害薬による致死的な有害事象を調査する 調査期間 : 2009年から2018年 1月まで 対象薬剤 : 抗CTLA4薬 (イピリムマブ・トレメリムマブ) 抗PD-1抗体薬 (ニボルマブ・ペンブロリズマブ) 抗PD-L1抗体薬 (アテゾリズマブ・アベルマブ・デュルバルマブ)

(51)

ü 致死的イベントは613名報告された. ü 抗CTLA4薬による死因は大腸炎が多く、70 % (135名/193 名)と報告された. ü 抗PD-1抗体薬/抗PD-L1抗体薬による死因は肺炎が多く、 35 % (115名/333名)と報告された. ü 抗PD-1抗体薬/抗CTLA薬の併用による死因は、大腸炎 : 37 % (32名/87名)、心筋炎 : 25 % (22名/87名)、肺炎 : 14 % (12名/87名)と報告された. 頻度が高い致死的なirAEは薬剤によって異なり、大腸炎 以外に肺炎や心筋炎の病態に注意する必要がある

(52)

免疫チェックポイント阻害薬に関する112の臨床試験から19217人のデータを抽出. 各免疫チェックポイント阻害薬の死亡率は0.3 - 1.3 %の範囲であった.

今回のレビューではirAEにおける死亡率は28.2 %であり、過去の報 告よりもかなり高率であった

(53)

Discussion

ü 今回のレビューにおける全体のICU死亡率は31.6 %で あった. ü 分子標的薬を投与する前に自己免疫検査を実施する必 要がある. ü 自己免疫疾患の患者に対しては、分子標的薬の治療 中・治療後にモニタリングを行うべきである.

(54)

目的 : EMBASE及びMEDLINE電子データベースを使用しICU に入室した固形癌患者の死亡率を調査する. 調査期間 : 1997年~2011年まで 報告された癌種 : 肺癌・頭頚部癌・結腸癌・食道癌・乳癌・膵臓癌・胃癌・泌尿 器癌・前立腺癌・悪性黒色腫

(55)

ICUでの平均死亡率 : 31.2 % (95%CI 24.0 – 39.0 %) 院内平均死亡率 : 38.2 % (95%CI 33.8 – 42.7 %)

今回のレビューでは、ICUでの死亡率は31.6 %であり、過去の報告と同程度であった

(56)

Cancer 123(11):1904–1911. ü 自己免疫疾患を有する患者に対して、免疫チェックポイント 阻害薬を投与することは、自己免疫疾患の悪化につながる 可能性がある. ü 自己免疫疾患の例としては、炎症性腸疾患・自己免疫性肝炎 ・ギランバレー症候群などが挙げられる.

(57)

ü コホート研究では、以下の内容が報告されている. 1 ) 基礎疾患として自己免疫疾患を有する悪性黒色腫患者 30名に対してイピリムマブを投与した場合、27 %の患者が自 己免疫 疾患の悪化を認めた.(死亡例は1例) 2 ) 基礎疾患として自己免疫疾患を有する悪性黒色腫患者 52名に対してペンブロリズマブまたはニボルマブを投与した 場合、30 %の患者が自己免疫疾患の悪化を認めた.(死亡例 はなし) 自己免疫疾患を有する患者に免疫チェックポイント阻害薬 が投与されている場合には自己免疫疾患の悪化に注意が 必要であり、モニタリングが必要である

(58)

Discussion

ü 救急救命医や腫瘍血液内科医は分子標的薬の特徴的 な有害事象を認知することで、分子標的薬の減量や一時 的な中断の判断を迅速に行うことができる。 ü ステロイド不耐性irAEに対しては、インフリキシマブやタク ロリムスなどの免疫調節薬の使用が有効な可能性があ る。

(59)

対象薬剤 : イピリムマブ・ペンブロリズマブ・ニボルマブ 1 ) 皮膚イベント ü 発現頻度は約30 - 45%であった. ü Grade 3-4の場合、ステロイドの投与が推奨される. ü スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症の 発生も報告され、死亡例もあった. Cancer J. 2016 Mar-Apr;22(2):121-9.

(60)

2 ) 消化器イベント ü 発現頻度は約30 %であった. ü 好発部位はS状結腸・上行結腸・下行結腸. ü イピリムマブ・ニボルマブの併用療法では、発現頻度が高く、 重症度も高い. ü Grade 3 - 4の場合にはメチルプレドニゾロンの静脈内注射を開 始する. ü ステロイド不耐性大腸炎と判断された場合には、インフリキシ マブ 5mg/kgの投与を行い、症状の改善やステロイド治療期間 の短縮が確認された.しかし、インフリキシマブを第一選択とし た前向き試験は行われていない.

(61)

3 ) 肝毒性 ü 発現頻度は約1-2%と頻度は低いが、併用レジメンでは約 15%と頻度が高い. ü ほとんどの症例がステロイド反応性であった. ü ステロイド不耐性の場合、ミコフェノール酸500mgを12時 間ごとに投与・タクロリムスの投与が有効であるという報 告もある.

(62)

Limitations

ü 今回のレビューでは、分子標的薬と他の抗がん剤との併 用レジメンも含まれているため、分子標的薬のみの評価 ではない. ü 分子標的薬の投与量に関しては言及していない. ü 重篤な分子標的薬関連有害事象の患者はICU入室を拒 否された可能性があり、今回のレビューには含まれてい ない.

(63)

ü ICUとHDUでの区別ができていない.

ü 公表された症例のみをレビューに含んでいるため、過小 評価している可能性がある.

(64)

Conclusion

ü 今回のレビューは生命を脅かす抗がん剤関連有害事象 を呈する患者の管理及び転帰に関する実質的な情報提 供となった. ü 免疫チェックポイント阻害薬は有害事象の予測バイオ マーカーを確認した上で、最適な治療用量やスケジュー ルを立てる必要がある. ü 分子標的薬の有効性は広く知られているが、有害事象に 対するモニタリングも必要である.

(65)

私見

ü 今回のシステマティックレビューから、抗血管新生薬はICU 入室症例数が多く、免疫チェックポイント阻害薬はICU入室 症例における致死率が高いことが判明した. ü 臨床の現場において、分子標的薬の投与既往がある場合 には、致死的な薬物有害事象が発現している可能性を考 慮する必要がある. ü 昨今、多種多様な分子標的薬が承認されていく中、薬剤師 として薬剤特有の有害事象・検査項目を理解し、適切な情 報提供を行う必要がある.

参照

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