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ドキュメント内 分子標的薬の重篤な副作用 外部用 (ページ 46-65)

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ü ICU入室が必要な症例253名のうち、そのほぼ半数が抗 血管新生薬の使用と関連しており、ICUでの死亡率は 30.8 %であった.

ü ベバシズマブを評価した臨床試験では消化管穿孔の発 現頻度は1 - 6 %であった.

ü 抗血管新生薬による心血管イベントは23名であるが、そ のうち7名が死亡している.

ü 抗血管新生薬を開始した直後のタンパク尿症および高血 圧症の患者は、その後に心血管イベントの危険性が高い ことが示唆されている.

N Engl J Med 375:1457–1467

ü マルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブ・スニチニブは 投与前、投与中の心血管評価が重要であると報告され ている.

J Clin Oncol Off J Am Soc Clin Oncol 26:5204–5212

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ü 現在報告されている致死的なirAEは、大腸炎または回腸 炎であり、これは臨床試験の結果と一致するものであっ た.

ü イピリムマブとニボルマブの併用による致死的な穿孔性 腸炎は1名のみが文献に報告された.

ü 今回のレビューでは、ICUにおけるirAEの致死率は28.2 % とかなり高率であった.

目的 : WHOの医薬品安全性監視データベース(Vigilyze)から免疫 チェックポイント阻害薬による致死的な有害事象を調査する

調査期間 : 2009年から2018 1月まで 対象薬剤 :

CTLA4 (イピリムマブ・トレメリムマブ)

PD-1抗体薬 (ニボルマブ・ペンブロリズマブ)

PD-L1抗体薬 (アテゾリズマブ・アベルマブ・デュルバルマブ)

JAMA Oncol. 2018 Dec 1;4(12):1721-1728.

ü 致死的イベントは613名報告された.

ü 抗CTLA4薬による死因は大腸炎が多く、70 % (135名/193 名)と報告された.

ü 抗PD-1抗体薬/抗PD-L1抗体薬による死因は肺炎が多く、

35 % (115名/333名)と報告された.

ü 抗PD-1抗体薬/抗CTLA薬の併用による死因は、大腸炎 : 37 % (32名/87名)、心筋炎 : 25 % (22名/87名)、肺炎 : 14 % (12名/87名)と報告された.

頻度が高い致死的なirAEは薬剤によって異なり、大腸炎 以外に肺炎や心筋炎の病態に注意する必要がある

免疫チェックポイント阻害薬に関する112の臨床試験から19217人のデータを抽出. 各免疫チェックポイント阻害薬の死亡率は0.3 - 1.3 %の範囲であった.

今回のレビューではirAEにおける死亡率は28.2 %であり、過去の報 告よりもかなり高率であった

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ü 今回のレビューにおける全体のICU死亡率は31.6 %で あった.

ü 分子標的薬を投与する前に自己免疫検査を実施する必 要がある.

ü 自己免疫疾患の患者に対しては、分子標的薬の治療 中・治療後にモニタリングを行うべきである.

目的 : EMBASE及びMEDLINE電子データベースを使用しICU に入室した固形癌患者の死亡率を調査する.

調査期間 : 1997年~2011年まで 報告された癌種 :

肺癌・頭頚部癌・結腸癌・食道癌・乳癌・膵臓癌・胃癌・泌尿 器癌・前立腺癌・悪性黒色腫

ICUでの平均死亡率 : 31.2 % (95%CI 24.0 – 39.0 %) 院内平均死亡率 : 38.2 % (95%CI 33.8 – 42.7 %)

今回のレビューでは、ICUでの死亡率は31.6 %であり、過去の報告と同程度であった

ICU死亡率 院内死亡率

Cancer 123(11):1904–1911.

ü 自己免疫疾患を有する患者に対して、免疫チェックポイント 阻害薬を投与することは、自己免疫疾患の悪化につながる 可能性がある.

ü 自己免疫疾患の例としては、炎症性腸疾患・自己免疫性肝炎

・ギランバレー症候群などが挙げられる.

ü コホート研究では、以下の内容が報告されている.

1 ) 基礎疾患として自己免疫疾患を有する悪性黒色腫患者 30名に対してイピリムマブを投与した場合、27 %の患者が自 己免疫 疾患の悪化を認めた.(死亡例は1例)

2 ) 基礎疾患として自己免疫疾患を有する悪性黒色腫患者 52名に対してペンブロリズマブまたはニボルマブを投与した 場合、30 %の患者が自己免疫疾患の悪化を認めた.(死亡例 はなし)

自己免疫疾患を有する患者に免疫チェックポイント阻害薬 が投与されている場合には自己免疫疾患の悪化に注意が 必要であり、モニタリングが必要である

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ü 救急救命医や腫瘍血液内科医は分子標的薬の特徴的 な有害事象を認知することで、分子標的薬の減量や一時 的な中断の判断を迅速に行うことができる。

ü ステロイド不耐性irAEに対しては、インフリキシマブやタク ロリムスなどの免疫調節薬の使用が有効な可能性があ る。

対象薬剤 : イピリムマブ・ペンブロリズマブ・ニボルマブ 1 ) 皮膚イベント

ü 発現頻度は約30 - 45%であった.

ü Grade 3-4の場合、ステロイドの投与が推奨される.

ü スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症の 発生も報告され、死亡例もあった.

Cancer J. 2016 Mar-Apr;22(2):121-9.

2 ) 消化器イベント

ü 発現頻度は約30 %であった.

ü 好発部位はS状結腸・上行結腸・下行結腸.

ü イピリムマブ・ニボルマブの併用療法では、発現頻度が高く、

重症度も高い.

ü Grade 3 - 4の場合にはメチルプレドニゾロンの静脈内注射を開

始する.

ü ステロイド不耐性大腸炎と判断された場合には、インフリキシ

マブ 5mg/kgの投与を行い、症状の改善やステロイド治療期間

の短縮が確認された.しかし、インフリキシマブを第一選択とし た前向き試験は行われていない.

3 ) 肝毒性

ü 発現頻度は約1-2%と頻度は低いが、併用レジメンでは約 15%と頻度が高い.

ü ほとんどの症例がステロイド反応性であった.

ü ステロイド不耐性の場合、ミコフェノール酸500mgを12時 間ごとに投与・タクロリムスの投与が有効であるという報 告もある.

Limitations

ü 今回のレビューでは、分子標的薬と他の抗がん剤との併 用レジメンも含まれているため、分子標的薬のみの評価 ではない.

ü 分子標的薬の投与量に関しては言及していない.

ü 重篤な分子標的薬関連有害事象の患者はICU入室を拒 否された可能性があり、今回のレビューには含まれてい ない.

ü ICUとHDUでの区別ができていない.

ü 公表された症例のみをレビューに含んでいるため、過小 評価している可能性がある.

Conclusion

ü 今回のレビューは生命を脅かす抗がん剤関連有害事象 を呈する患者の管理及び転帰に関する実質的な情報提 供となった.

ü 免疫チェックポイント阻害薬は有害事象の予測バイオ マーカーを確認した上で、最適な治療用量やスケジュー ルを立てる必要がある.

ü 分子標的薬の有効性は広く知られているが、有害事象に 対するモニタリングも必要である.

ドキュメント内 分子標的薬の重篤な副作用 外部用 (ページ 46-65)

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