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Part 3 この症例にこの装置 ( 矯正装置の使用実例 ) 下顎前突 乳歯列期 混合歯列期反対咬合, 中切歯の反対被蓋の改善 拡大床装置 (3 方向拡大床装置 ) 下顎前突における前歯部被蓋の改善を目的として拡大床装置を使用した症例 症例の概要 患者 : 歳 10 カ月, 女児 主訴 : 受け口と

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Academic year: 2021

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(1)

後藤 滋巳

日本大学歯学部歯科矯正学講座教授

清水 典佳

昭和大学歯学部歯科矯正学講座教授

槇 宏太郎

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科

顎顔面頸部機能再建学講座顎顔面矯正学分野教授

森山 啓司

福岡歯科大学学長

石川 博之

(2)

Part 3 この症例にこの装置(矯正装置の使用実例)

下顎前突における前歯部被蓋の改善を目的として拡大床装置を使用した症例

症例の概要

患者:8 歳 10 カ月,女児

主訴:受け口と顎のずれが気になる

一般的所見:既往歴に特記事項はなかったが,家族歴として妹が下顎前突であった.RUS 骨年齢

は暦齢と一致していた.習癖として,歯ぎしり,舌突出癖が認められた.

顔貌所見:正貌ではオトガイ部の右方への偏位が認められた.45°および側貌は凹顔型であった(図 1).

口腔内所見:大臼歯の対向関係は左側が Angle Ⅲ級,右側が AngleⅠ級で,オーバージェットは

-2mm,オーバーバイトは+2.5mm であった.上顎歯列正中は顔面正中に対して 0.5mm 左方へ,

下顎歯列正中は顔面正中に対して 4.5mm 右方へ偏位していた(図 2).

模型分析所見:歯列弓長径および歯槽基底弓長径は上下顎ともに+1S.D. を超えて大きかった.萌

出している永久歯の歯冠幅径は上下顎中・側切歯が+1S.D. を超えて大きかった.現状歯列弓にお

けるスペース計測の結果,上顎は 2.8mm,下顎は 0.6mm のスペース不足であった(図 3).

パノラマエックス線写真所見:後継永久歯の欠損は認められず,上下顎左右側第二大臼歯の歯胚

も認められた.上顎右側犬歯は異所萌出の可能性が疑われた(図 4).

頭部エックス線規格写真所見:SNA は標準範囲内であったものの小傾向が認められ,SNB は標

準範囲内であったものの大傾向が認められた.Mandibular planeはほぼ標準値であった.歯系では,

U‒1 to FH plane は標準範囲内であったものの大傾向が認められ,U‒1 to SN plane は+1S.D. と

大きく,上顎中切歯はやや唇側傾斜していた.L‒1 to Mandibular はほぼ標準値であり,下顎中切

歯歯軸傾斜角は標準的であった(図 5, 6).

RUS 骨年齢:TW2 法による骨成熟度評価法のひとつで,橈骨,尺骨および手骨のエックス線写真から算出される生理的年齢

下顎前突

乳歯列期・混合歯列期

反対咬合,中切歯の反対被蓋の改善

拡大床装置(3 方向拡大床装置)

(3)

図 1 初診時顔面写真

図 2 初診時口腔内写真

50 40

Relation of Tooth Material to its Supporting Bone and Dental Arch (Female―Adults) Maxillary Arch 40 40 50 20 40 30 30 40 50 Mandibular Arch 20 30 40 40

Mesio-Distal Diameter of Permanent Teeth Maxillary Arch 8 7 7 4 5 6 6 6 7 8 9 6 5 Mandibular Arch 30 30 77 30 30 40 40 Mean 41.8 34.7 44.2 30.1 S.D. 3.2 2.4 3.1 2.6 Mean 34.0 31.3 40.0 28.0 S.D. 2.6 2.4 4.2 2.4  8.2  6.6  7.7 0.4 0.6 0.4  5.2  5.8  6.6 0.4 0.4 0.4 1st Bic. Cr. A. W. Cr. A. Length 1st Bic. B. A. W. Basal A. Length Central Incisor Lateral Incisor Canine 20 30 30 Available Required Difference Available Required Difference Available Required Difference Available Available 39.0 33.0 8.7 7.4   5.8 6.5 38.0 36.5 29.4 32.2 -2.8 22.6 22.6 0 22.7 22.6 22.6 0 -2.8mm -0.6mm 22.6

(4)

Part 3 この症例にこの装置(矯正装置の使用実例)

上顎前突と過蓋咬合の改善を目的としてバイオネーターを使用した症例

症例の概要

患者:9 歳 3 カ月,男児

主訴 :上の前歯が出ている

一般的所見:全身的な問題のない男児であり,家族歴にも特記事項はなかった.既往歴として咬唇

癖があり,咬爪癖も認められた.

顔貌所見 :正貌では左右の対称性はほぼ良好であったが,上下唇閉鎖にともないオトガイ筋の緊張

が認められた.45°および側貌は凸顔型で,上唇の突出感と下顎の後退感が認められた(図 1).

口腔内所見:大臼歯の対向関係は左右側ともに Angle Ⅱ級であった.上顎中切歯の唇側転位が認

められ,オーバージェットは+7.5mm で上顎前突を呈していた.また,オーバーバイトは+4.5mm で

過蓋咬合を呈していた.上下顎歯列正中はほぼ一致していた(図 2).

模型分析所見 :上下顎歯列弓長径,下顎歯槽基底弓長径は+1S.D. を超えて大きかった.萌出して

いる永久歯の歯冠幅径は上顎中・側切歯,第一大臼歯が+1S.D. を超えて大きかった.現状歯列弓

におけるスペース計測の結果,上顎は 5.9 mm のスペース不足,下顎は 2.3mm のスペース余剰であっ

た(図 3).

パノラマエックス線写真所見:歯数に異常は認められなかった(図 4).

頭部エックス線規格写真所見:SNA は標準範囲内であったが,SNB は-1S.D. を超えて小さく,

ANB は+7.6°で,骨格性の上顎前突であった.Mandibular plane は-1S.D. を超えて小さく,ロー

アングルを呈していた.歯系では,U-1 to FH plane,U-1 to SN plane ともに標準範囲内であったが,

模型所見にあるように歯列弓長径が大きく,上顎中切歯は唇側転位していた.L-1 to Mandibular

は標準範囲内であり,下顎中切歯歯軸傾斜角は標準的と判断した(図 5,6).

上顎前突

混合歯列期

下顎劣成長を伴う上顎前突の改善,過蓋咬合・臼歯関係の改善,下顎の後退の改善

バイオネーター

(5)

図 1 初診時顔面写真

図 2 初診時口腔内写真

Relation of Tooth Material to its Supporting Bone and Dental Arch (Male―Adults)

Maxillary Arch Mandibular Arch

Mesio-Distal Diameter of Permanent Teeth Maxillary Arch Mandibular Arch

35 50 25 45 55 25 40 30 40 40 50 25 40 30 50 40 40 60 40 30 40 40 50 20 40 40 30 7 5 6 6 8 7 7 5 6 6 8 8 9 6 8 6 8 9 5 7 5 7 7 88 66 50 50 4040 30 30 30 30 30 30 Mean 44.8 36.1 50.2 32.7 S.D. 2.6 2.2 3.0 2.7 Mean 36.3 31.9 41.8 30.2 S.D. 2.0 2.0 4.0 2.5 8.6 7.1 8.0 0.5 0.8 0.4 5.4 6.0 7.1 0.4 0.5 0.4 1st Bic. Cr. A. W. Cr. A. Length 1st Bic. B. A. W. Basal A. Length Central Incisor Lateral Incisor Canine Available Required Difference Available Required Difference Available Required Difference Available Available 31.6 35.2 -3.6 22.7 24.0 -1.3 24.7 23.0 24.0 -1.0 -5.9mm + 2.3mm 24.4 41.0 35.0 9.3 8.3 5.7 6.4 37.0 37.5

(6)

Part 3 この症例にこの装置(矯正装置の使用実例)

歯性上顎前突の改善を目的としてマルチブラケット装置を使用した症例

症例の概要

患者:12 歳 11 カ月,男児

主訴:下の前歯の歯ならびが悪い

一般的所見:全身的な問題はなく,既往歴,家族歴にも特記事項はなかった.

顔貌所見:正貌では左右の対称性はほぼ良好であった.45°および側貌は凸顔型で,上唇の突出感

が認められたが,比較的良好であった(図 1).

口腔内所見:大臼歯の対向関係は左右側ともに AngleⅠ級であった.上顎中切歯が著しく唇側に転

位し,オーバージェットが+6mm と上顎前突を呈しており,上顎左右側犬歯,小臼歯部にわずかな

空隙が認められた.また,オーバーバイトは+5mm で,下顎前歯部が上顎前歯部舌側歯肉にかみ

込み過蓋咬合を呈していた.下顎前歯部には叢生が認められ,下顎歯列正中は顔面正中に対して歯

性で 1.5mm 右方に偏位しており,また,下顎右側中切歯の唇側歯肉は著しく退縮していた(図 2).

模型分析所見:歯列弓幅径は上下顎とも-2 S.D. を超えて小さく,狭窄歯列を呈していた.歯列弓

長径は,上顎は+2 S.D. を超えて著しく大きく,下顎も+1S.D. を超えて大きかった.歯冠幅径は上

顎犬歯,下顎中切歯が-1S.D. を超えて小さかった.現状歯列弓におけるスペース計測の結果,上

顎は 1.7mm のスペース余剰,下顎は 4.3mm のスペース不足であった(図 3).

パノラマエックス線写真所見:上下顎左右側第三大臼歯が存在し,その他,歯数の異常は認めら

れなかった.全歯にわたり歯根は長い傾向にあり,下顎右側第一大臼歯近心には齲蝕が認められた

(図 4).

頭部エックス線規格写真所見:SNA,SNB,SNP はいずれも標準範囲内であったが,SNA はや

や 大 傾 向 で,ANB は+5.9 °であった.Ramus inclination は+1S.D. を超えて大きいものの,

Mandibular plane,Gonial angle はともに-1S.D. を超えて小さく,ローアングルであった.歯系では,

U-1 to FH plane,U-1 to SN plane,L-1 to Mandibular いずれも標準範囲内であり,上下顎中切

U-1 to FH plane,U-1 to SN plane,L-1 to Mandibular いずれも標準範囲内であり,上下顎中切

U-1 to FH plane,U-1 to SN plane,L-1 to Mandibular いずれも標準範囲内であり,上

歯歯軸傾斜角は標準的であった(図 5,6).

Ⅱ期治療

永久歯列期

上顎前突の非抜歯による改善

(7)

図 1 初診時顔面写真

図 2 初診時口腔内写真

Relation of Tooth Material to its Supporting Bone and Dental Arch (Male―Adults)

Maxillary Arch Mandibular Arch

Mesio-Distal Diameter of Permanent Teeth Maxillary Arch Mandibular Arch

35 50 25 45 55 25 40 30 40 40 50 25 40 30 50 40 40 60 40 30 40 40 50 20 40 40 30 7 5 6 6 8 7 7 5 6 6 8 8 9 6 8 6 8 9 5 7 5 7 7 88 66 50 50 4040 30 30 30 30 30 30 Mean 44.8 36.1 50.2 32.7 S.D. 2.6 2.2 3.0 2.7 Mean 36.3 31.9 41.8 30.2 S.D. 2.0 2.0 4.0 2.5 8.6 7.1 8.0 0.5 0.8 0.4 5.4 6.0 7.1 0.4 0.5 0.4 1st Bic. Cr. A. W. Cr. A. Length 1st Bic. B. A. W. Basal A. Length Central Incisor Lateral Incisor Canine Available Required Difference Available Required Difference Available Required Difference Available Available 30.1 30.6 - 0.5 22.7 21.6 + 1.1 21.5 22.7 21.6 + 1.1 + 1.7mm -4.3mm 21.5 38.5 42.5 48.5 34.5 8.2 7.1 7.5 4.9 6.0 7.2 30.5 36.0 34.5 31.5

図 1 初診時顔面写真
図 1 初診時顔面写真
図 1 初診時顔面写真

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