(付録)
「コイルと磁場 (1)」
coil and magnetic field part 1
1. ソレノイドコイルのエネルギー
2. エネルギー密度の比較:電場と磁場
3. 磁場のエネルギーとベクトルポテンシャル
4. 相互作用エネルギー:電場と磁場
5. 資料1、2:電源について
暫定版 修正・加筆の可能性あり 注意 1. 電磁波を記述する「マクスウェル方程式」の理解に必要を思われるトピックスに限定 2. 定常電流が作る磁場、準定常電流が作る磁場を考慮 3. 準定常電流:「時間変化が極めて遅いため」、定常電流で成立する法則が「そのまま」適用可となる電流 4. 静磁場(magnetostatic)と書かない理由については404-15を参照して下さい。 5. 磁化(magnetization)は取り扱いません。磁場でお馴染みの「H」と「B」
注意:英語ではHもBも「magnetic field」
本付録では「磁場H」、「磁場B」と記す。 単位
•
磁場H:magnetic H field
•
磁場の強さ:magnetic field intensity
•
磁場B:magnetic B field
•
磁束密度:magnetic flux density
•
T:テスラ、Wb:ウェーバー
A m
2
T
=
Wb m
おことわり
電場でお馴染みの「E」と「D」
本付録では「電場E」、「電束密度D」と記す。 単位
•
電場E:electric field
•
電界E
•
電束密度D:electric flux density
•
電気変位D:electric displacement field
•
C:クーロン
V m
2
C m
ソレノイドコイルのエネルギー
2
0
2
2
0
0
1
2
1
1
,
2
2
m
i I
i
di
U
pdt
ivdt
i L
dt
dt
Lidi
LI
B Sl
Sl
Sl
µ
µ
=
=
=
=
=
=
=
=
=
∫
∫
∫
∫
B
コイルのエネルギー:電源の消費エネルギーに等しい 単位時間当たりの消費エネルギー(消費パワー) 電源電流と電源電圧の積 終状態の電流:Ip
=
iv
電流増加 電源:電流 充電前:零 充電後:I 電源とコイルのみの回路:非現実的 コイルも無限長ソレノイド近似0
d
di
V
L
v
V
dt
dt
Φ
= −
= −
< → = −
ファラデーの電磁誘導の法則:402-17 レンツ(Lentz)の法則 1. 起電力は磁束Φの変化を妨げる向きに発生 2. 起電力は電流変化を妨げる向きに発生 注意:電流増加中はコイルの起電力は負 • 電源の起電力(電圧)と大きさは同じ • 電源の起電力(電圧)と向き(赤矢印)が異なる 電源電圧:正極 電源電圧: 負極 コイルの起電力:高 コイルの起電力:低v
V
お詫び:導線の抵抗は零を仮定しているから終状態到達後 1. 電流は定常電流Iとなる(永遠に電流が流れる) 2. 電流変化なし、コイルの起電力は零 3. コイルの起電力が零なら電源電圧も零 4. 実際には内部抵抗により終状態電源電圧は零にならないで オームの法則に従い定常電流Iが流れるl
1
l
2
2
0
1
1
2
2
m
U
LI
Sl
µ
=
=
B
コイルの体積 参照:405-9 電源:406-13,14エネルギーは誰のもの?
コイルのエネルギー2
2
2
0
0
1
1
1
2
2
2
m
U
LI
B
Sl
µ
H
Sl
µ
=
=
× =
×
コイルを流れる定常電流を 構成する電子? コイル内の空間に蓄えられた? コイルの体積電場Eの場合を思い出すと:
•
エネルギーは電気力線が存在する空間(非零電場E)
に充ちている。
コイルのエネルギー:磁場のエネルギー
•
エネルギーは磁束線(磁力線)が存在する空間(非零磁場)に充ち
ている。
•
磁場のエネルギー密度
2
2
0
0
1
1
2
2
m
u
B
µ
H
µ
=
=
B:磁場 H:磁場
⊗⊗ ⊗⊗⊗ ⊗⊗⊗
無限長ソレノイドコイル(断面図)⊗⊗ ⊗
簡単に言えば、磁束線(磁力線)が密なら磁束Φが大きい 磁束線(磁力線)の本数:n0
n
∝ Φ =
BS
=
µ
HS
ソレノイドコイルのエネルギー 1. 電源が消費したエネルギー 2. コイルのエネルギー 3. 磁場のエネルギー 皆、同じエネルギー 質問:磁力線と磁束線は同じ、異なる? 磁力線は磁場H、磁束線は磁場B(磁束密度B)と対応しますが、本付録では「背景」=「真空」と しているので両者を区別しません。同様に、磁場Hと磁場Bも単位が異なることを除いて区別しませ ん。棒磁石内のように「背景」=「磁性体」では区別が必要になります。 406-4エネルギー密度の比較:電場と磁場
静電エネルギー密度 静電場Eのエネルギー密度( )
2
( )
(
)
0
1
, ,
2
e
u
r
=
ε
E
r
r
=
x y z
静電エネルギー:空間積分 電場Eベクトル:位置依存性 位置rベクトル( )
2
0
1
2
e
U
=
ε
∫
E
r
dV
dV
=
dxdydz
重要なお約束!
•
静電エネルギーは電気力線が存在する空間に充ちている。
•
磁場のエネルギーは磁束線(磁力線)が存在する空間に充ちている。
重ね合わせの原理:2個の正電荷の例( )
( )
2
0
1
2
1
2
e
U
=
ε
∫
E r
+
E
r
dV
電場E:個々の正電荷による電場E1とE2の和 定常磁場のエネルギー密度 定常電流が作る磁場B( )
2
( )
(
)
0
1
, ,
2
m
u
x y z
µ
=
=
r
B
r
r
磁場Bベクトル:位置依存性 位置rベクトル 定常磁場のエネルギー:空間積分( )
2
0
1
2
m
U
dV
dV
dxdydz
µ
=
∫
B
r
=
重ね合わせの原理 :例えば、2個のコイル( )
( )
2
1
2
0
1
2
m
U
dV
µ
=
∫
B r
+
B
r
磁場B:個々のコイルによる磁場B1とB2の和 参照:402-8磁場のエネルギーとベクトルポテンシャル(1)
磁場のエネルギー:2個のコイルの例( )
( )
2
1
2
0
1
2
m
U
dV
µ
=
∫
B r
+
B
r
コイル1による磁場B( )
1
B r
コイル2による磁場B( )
( )
( ) ( )
2
1
0
2
2
0
1
2
0
1
2
1
2
1
dV
dV
dV
µ
µ
µ
=
+
+
∫
∫
∫
B
r
B
r
B r B
r
コイル1:磁場のエネルギー(単独) 係数(1/2)は有 コイル2:磁場のエネルギー(単独) 係数(1/2)は有 展開 相互作用による磁場のエネルギー 係数(1/2)は無( )
2
B
r
イメージ:2個の一巻コイル 緑色:コイル1による磁束線(磁力線) 青色:コイル2による磁束線(磁力線) • 一巻コイル(ループ電流)が作る磁束線(磁力線) • 遠方では棒磁石による磁束線(磁力線)と同一 コイルの位置:省略 コイル1:ループ電流(電流密度) コイル2:ループ電流(電流密度)( )
2
J
r
( )
1
J r
406-6磁場のエネルギーとベクトルポテンシャル(2)
相互作用による磁場のエネルギー:2個のコイルの例( ) ( )
( ) ( )
( )
(
( )
)
1
2
1
2
1
2
0
2
2
2
2
2
2
1
2
2
2
2
2
2
1
1
1
1
2
1
,
,
y
x
y
x
z
z
y
x
y
x
z
z
x
y
z
z
x
y
z
dV
dV
dV
A
A
A
A
A
A
dV
y
z
z
x
x
y
A
A
A
A
A
A
H
H
H
dV
y
z
z
x
x
y
H A
µ
=+∞
=−∞
=
=
∇×
∂
∂
∂
∂
∂
∂
=
−
−
−
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∂
=
−
+
−
+
−
∂
∂
∂
∂
∂
∂
=
∫
∫
∫
∫
∫
∫
B r B
r
H r B
r
H r
A
r
H
[
1
2
]
y
x
z
y
dxdy
−
∫
H A
=+∞
=−∞
[ ]
1
1
2
2
x
x
z
y
H
H
dxdz
A
A
dV
y
z
∂
∂
−
−
∂
∂
+
∫
∫
[ ]
1
1
2
2
y
y
x
z
H
H
A
A
dV
z
x
∂
∂
−
−
∂
∂
+
∫
∫
1
1
2
2
z
z
y
x
H
H
A
A
dV
x
y
∂
∂
−
−
∂
∂
∫
定義:ベクトルポテンシャル(コイル2) 条件:距離無限大で磁場Hやベクトルポテン シャルAは存在しない。( )
(
)
( )
( ) ( )
( )
0
1
1
2
2
1
2
1
2
1
1
2
1
4
I d
I d
dV
dV
I d
R
µ
π
= ∇×
∫
H r
A
r
=
∫
J r A
r
=
∫
s A
r
=
∫∫
s
s
磁場のエネルギーとベクトルポテンシャル(3)
計算:続き1
1
1
1
1
1
2
2
2
2
2
2
y
x
y
x
z
z
x
x
y
y
z
z
H
H
H
H
H
H
A
A
A
A
A
A
dV
y
z
z
x
x
y
∂
∂
∂
∂
∂
∂
→
−
+
−
+
−
∂
∂
∂
∂
∂
∂
∫
( ) ( )
( ) ( )
0
1
1
2
2
1
2
1
2
0
1
4
I d
I d
dV
dV
R
µ
µ
∫
=
∫
=
π
∫∫
s
s
B r B
r
J r A
r
お詫び 1. 相互作用による磁場のエネルギーは電流密度とベク トルポテンシャルで与えられる。 2. 現時点ではベクトルポテンシャルの有用性は実感で きません。 3. 静電場Eの静電ポテンシャルと定常磁場Bのベクト ルポテンシャルを対応させましょう(406-11) コイル1:アンペールの法則(微分型) コイル1の電流密度 2個のコイルの例 406-8 コイル1の電流素片( )
0 2
2
2
2
2
,
4
I
d
R
µ
π
=
=
−
−
∫
1
1
1
A
r
s
r
r
r
r
R:コイル1の電流素片とコイル2の 電流素片間の距離 コイル2に流れる電流がコイル1上に 作るベクトルポテンシャル。ベクトル r1は常にコイル1の位置を示す。 添字に注意磁場のエネルギーとベクトルポテンシャル(4)
添字に注意:位置関係( ) ( )
( )
1
2
1
1
2
1
0
1
1
2
2
0
1
1
2
2
1
2
4
4
dV
I d
I d
I d
R
I d
I d
µ
π
µ
π
=
=
=
−
∫
∫
∫∫
∫∫
J r A
r
s A
r
s
s
s
s
r
r
1
I
1
2
= −
R
r
r
背景:真空2
r
1
r
O
原点1
ds
2
I
( )
2
1
A
r
電流1 電流2 電流2:ベクトルポテンシャルの意味 • 電流2が電流1上の位置r1に作るベクトルポテンシャル • 電流2の電流素片ds2に沿って線積分( )
0 2
0 2
2
1
2
2
1
2
4
4
I
I
d
d
R
µ
µ
π
π
=
=
−
∫
∫
A
r
s
s
r
r
2
ds
コイル1の一部 コイル2の一部 注意:位置ベクトルがr1に変化 注意:積分の意味 • 電流1の電流素片ds2に沿って線積分しながら • 電流2の電流素片ds2に沿って線積分 • 積分中、r1、r2、Rは変化 積分:全空間ポテンシャルエネルギー(静電場)と静電エネルギー
静電エネルギー:2個の点電荷の例( )
( )
2
0
1
2
1
2
e
U
=
ε
∫
E r
+
E
r
dV
電荷q1による電場E( )
1
E r
電荷q2による電場E( )
( )
( ) ( )
2
0
1
2
0
2
0
1
2
1
2
1
2
dV
dV
dV
ε
ε
ε
=
+
+
∫
∫
∫
E
r
E
r
E r E
r
電荷q1:静電エネルギー(単独) 係数(1/2)は有 電荷q2:静電エネルギー(単独) 係数(1/2)は有 展開 相互作用による静電エネルギー 係数(1/2)は無( )
2
E
r
注目:相互作用による静電エネルギー( ) ( )
[
]
[
]
1
0
1
2
0
2
1
0
2
0
2
1
x
x
V
dV
V dV
E
dV
x
E V
ε
ε
ε
ε
∂
=
−∇
= −
+
∂
= −
∫
E r E
r
∫
E
∫
(
)
( )
2
0
1
0
2
1
2 1
2 1
2
x
E
V dV
V dV
V dV
q V
x
ε
∂
ε
ρ
+
+
→
∇
=
=
∂
∫
∫
E
∫
r
条件:点電荷の場合、距離無限大で電場Eは存在 しない。静電ポテンシャル(電位)は零 定義:静電ポテンシャル(電位) ガウスの法則:微分型 r:点電荷q2の位置(
)
2
q
2
2
ρ
=
δ
r r
−
点電荷q2の電荷密度 注意:デルタ関数(403-5) 参照:403-8 406-10相互作用エネルギー:電場と磁場(1)
相互作用による静電エネルギー:403-9 相互作用による磁場のエネルギー( ) ( )
( ) ( )
( ) ( )
2
1
1
2
1
2
0
1
dV
dV
dV
µ
⇔
⇔
∫
J
r A r
∫
B r B
r
∫
J r A
r
コイル2の電流密度と コイル1のベクトルポテンシャルの積 変数r:体積分 コイル1の電流密度と コイル2のベクトルポテンシャルの積( ) ( )
( ) ( )
( ) ( )
2
1
dV
0
1
2
dV
1
2
dV
ρ
φ
⇔
ε
⇔
ρ
φ
∫
r
r
∫
E r E
r
∫
r
r
電荷密度ρ 電荷q2の電荷密度と 電荷q1の静電ポテンシャルの積 変数r:体積分 電荷q1の電荷密度と 電荷q2の静電ポテンシャルの積 静電場Eの世界 電荷密度 静電ポテンシャル( )
( )
ρ
r
⇔
J r
電流密度 定常磁場Bの世界( )
( )
φ
r
⇔
A r
ベクトルポテンシャル相互作用エネルギー:電場と磁場(2)
相互作用による静電エネルギー:403-9 相互作用による磁場のエネルギー( ) ( )
0
1
1
2
2
0
1
( ) ( )
1
2
2
1
2
1
2
1
2
1
2
4
4
I d
I d
dV
µ
µ
dV dV
π
π
⇔
⇔
−
−
∫
J r A
r
∫∫
s
s
∫∫
J r
J
r
r
r
r
r
コイル1の電流密度と コイル2のベクトルポテンシャルの積( ) ( )
1( ) ( )
1 2 2 1 2 1 2 0 1 21
4
dV
ρ
ρ
dV dV
ρ
φ
πε
⇔
−
∫
r
r
∫
r
r
r
r
電荷密度ρ 電荷q1の電荷密度と 電荷q2の静電ポテンシャルの積 静電場Eの世界 電荷密度 静電ポテンシャル( )
( )
ρ
r
⇔
J r
電流密度 定常磁場Bの世界( )
( )
φ
r
⇔
A r
ベクトルポテンシャル 406-12 電荷q1の電荷密度と電荷q2の電荷密度:413-4 コイル1の電流密度とコイル2の電流密度 参照:406-9資料1:電源について
定電圧源 • どんな素子(負荷)に対しても定電圧 • 素子が無くても定電圧0
V
電源 素子 例:抵抗値が時間変化 時間 黒:抵抗値0
V
青:電圧値 例:電流も時間変化(オームの法則) 定電流源 • どんな素子(負荷)に対しても定電流 • 素子が無くても定電流(電圧零) 電源 素子 例:抵抗値が時間変化 時間 黒:抵抗値0
I
赤:電流値 例:電圧も時間変化(オームの法則)0
I
素子無0
V
素子無0
I
0
I
0
I
I
0
406-14