震災が観光入込客数に
与える影響に関する定量分析
西村 泰紀
1・梶谷 義雄
2・多々納 裕一
3 1学生会員 京都大学大学院 情報学研究科(〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄) E-mail: [email protected] 2正会員 京都大学准教授 防災研究所(〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄) E-mail: [email protected] 3正会員 京都大学教授 防災研究所(〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄) E-mail: [email protected] 大地震等の自然災害では,サービスの供給停止に加え,消費者の需要減少によっても産業部門に被害が 生じる.特に観光産業では,直接的な被害が比較的少ない地域においても需要が減少することもあり,需 要減少の影響が大きいとされる産業である.このような需要減少の背景には,被災地におけるサービス水 準に関する情報の不確実性や娯楽を回避する心理的要素など様々な要因が考えられるが,そもそもこうし た需要減少の規模や実態自体が十分に把握されていない.そこで,本研究では,観光需要の減少の時間的 継続性や影響範囲の空間的な拡がりを定量的に把握するための分析フレームを検討し,既往災害における 観光入込客数の変化を対象に実証分析を行う.Key Words : time series analysis, statistical test, natural disaster, tourism
1. はじめに 我が国は世界有数の地震災害発生頻度の高い国であ り,これまでも各地で発生する大規模地震によって多 大な人的,経済的被害を受けてきた.こうした震災に よって発生する大きな問題であり,かつ十分な実態把 握が行われていない現象の一つに,災害発生後におけ る観光需要の落ち込みが挙げられる.これは当該施設 の被害や立ち入り禁止規制に起因する営業停止の影響 だけでなく,そのような直接的な被害を受けなかった 地域に立地する観光産業においても,訪問客の減少等 による間接被害が発生するという問題を含んでいる. 観光需要の落ち込みへの対策については廣井 1) や関 谷 2) により検討されているが,需要減少の発生要因や 実態を完全に解明することは困難とされてきた3).それ はこうした観光需要の変化については,サービスの停 止の影響だけでなく,地震災害の影響に対する人々の 認知,季節,天候,経済状態などの複数の要因による 複雑な影響を受けていると考えられているからである. たとえば,関谷4)では,観光客数減少の主要な原因の一 つとして,「被災地への遠慮」を挙げることができる のではないかと指摘している.さらに関谷 4) は,「被 害量は報道量の増加とともに増大する」とも述べてい る.また,前田5)は「被害地区がイメージとして広い範 囲に拡大してしまうと敬遠してしまう」,「こんなと きにこんな行動はすべきではない」という心理が働く ことが,需要減少の発生要因になると推察している. このように,観光需要の落ち込みについては,主に直 観的なイメージによる理由付けがなされている. しかし,震災が観光入込客数に与えた実際の影響に ついては,旅館等の施設への入込客数が前年度比で減 少しているといった報道がある程度であり,そもそも 各災害に共通する需要減少の特徴について十分な検討 が行われていないのが実情である.たとえば,震災に よる観光入込客数の減少について,その大きさだけで なく,影響の継続性や災害規模との関係についての考 察などは検討事例が見当たらない状況にある.また, 需要減少の空間的な影響範囲を把握することも必要で あり,これにより観光需要の減少の拡がり方やその対 策の重要性を検討することができると考えられる. 以上のような問題意識を背景として,本研究では既 往の地震災害を対象に,その前後における観光入込客 数の時系列データを分析することで,震災による観光 需要現象の特徴についての実態把握を行うことを目的
とする.この際,時系列データの構造変化の検定の手 法をベースに,需要減少の有無の判定や定量化,継続 期間の特定を行うための分析フレームを構築し,実デ ータに適用するアプローチをとる.対象とする地震災 害としては,震災前後の被災地域を中心とした周辺地 域を含む観光客数データが比較的整備されている兵庫 県南部地震,新潟中越沖地震,能登半島地震,岩手宮 城内陸地震をとりあげる. 以上の分析を通じて得られ た結果に基づき,地震災害の規模,立地する地域の特 徴などを考慮しながら災害の影響の空間的広がりを決 定する要因について考察する. 2. 本研究の基本的な考え方 (1) 震災による観光産業の需要減少に関する報告 1995年に発生した兵庫県南部地震後に実施された調 査を含む平成6年度兵庫県観光客動態調査結果6)では 「兵庫県下の観光地への総入込数は,1億887万人であ り,前年度と比較すると409万人減少している.これは, 平成7年1月17日に起こった阪神・淡路大震災により, 直接被害を受けた神戸,阪神,東播磨の一部,淡路の 各地域の入込客数が減少したことによるものである」 と記述されている.また,2007年の新潟県中越沖地震 に関連して,新潟県7)による記述の中に,観光入込客数 が「平成19年度は,7月に発生した中越沖地震の影響に より前年度を下回った」と報告されている.2011年に 発生した東日本大震災においても,観光産業での需要 減少が報告されている.たとえば,平成23年度の観光 施策8)では「様々な活動の自粛等もあり,直接の被災地 だけでなく,それ以外の観光地においても旅行者が著 しく減少するなど,各地域にとって深刻な状況となっ た.東日本大震災以降,3~4月の宿泊予約が東北地方 で約61%,関東地方で約48%,全国では約36%の宿泊予 約がキャンセルされた.国内旅行については,主な被 災地である東北方面ツアーはもとより,西日本方面か ら首都圏方面へのツアーキャンセルが相次ぎ,主要旅 行業者の国内旅行取扱額が対前年同月比で31.5%の減少 となった(6ヶ月ぶりの減少).また,各地の観光関連施 設についても,前年に比べて入込客数が減少した」と の記述がある.これらの観光需要の減少が原因となり, 例えば東日本大震災では震災後の旅行会社の倒産数が 前年比で40%増加したとの報道9)がある.東日本大震災 の事例は,原子力発電所被災の影響もあって,これま での地震災害とは明らかに様相が大きく異なるものの, こうした前例からも災害が観光産業に与える影響は大 きいものと予想される. (2) 本研究で対象とするデータ 本研究では先に挙げた地震災害の主な被災地となっ た兵庫県,新潟県,石川県,宮城県,岩手県の各県が 公表している観光入込客数の月別,地域別のデータを 分析対象とする.分析に用いるデータの一覧を表-1に示 す.これらのデータは主として各県が指定する観光地, 行事等への入込客数を延べ人数として集計したもので あり,県ごとに集計の基準が異なり,県別の数値の単 純比較はできないことに留意しなければならない.表-1 の地域区分は各県が公表している観光統計における区 分によるものであり,兵庫県が7地域,石川県が4地域, 新潟県が7地域,宮城県が7地域,岩手県が5地域に分け られている. これらのデータから需要減少の有無を判断する最も 簡易な方法として,データからグラフを作成し,目視 による判断をするという方法が考えられる.しかし, 図-1は取得したデータから作成した新潟県中越地域の観 光入込客数の推移を示すグラフであるが,実際の時系 列には季節性,トレンド等が含まれるため目視だけで は観光入込客数の減少の有無すら判別が困難であるこ とがわかる.そのため,科学的に観光需要の減少を定 量化するための何らかの統計的な分析が必要となる. (3) 本研究のアプローチ 自然災害が様々な経済活動に及ぼす影響の期間を統 計データ(時系列)を元に分析している研究自体はこれま でも数多く存在する.例えば,Worthington and
Valadkha-ni10)は自然災害が資本市場へ与える影響の継続期間を評 価しており,梶谷ら11)は兵庫県南部地震による港湾活動 表-1 本研究で使用するデータ 兵庫県 石川県 新潟県 宮城県 岩手県 期 間 1986 / 4 ~ 1997 / 3 2001 / 1 ~ 2009 /12 2005 / 4 ~ 2010 / 3 2003 / 1 ~ 2009 /12 2001 / 1 ~ 2009 /12 地 域 区 分 神戸 能登 中越 栗原 北上川 流域 阪神 金沢 魚沼・ 東頸城 登米 陸中海 岸南部 ・遠野 東播磨 白山 新潟・ 弥彦 大崎 盛岡・ 八幡平 淡路 加賀 阿賀野 川 石巻 陸中海 岸中部 西播磨 上越 気仙沼 ・本吉 県北・ 陸中海 岸北部 丹波 佐渡 仙台 但馬 岩船・ 胎内 仙南
への長期的影響について分析を行っている.また,本 研究のように観光入込客数を対象とした研究としては,
Kim and Wong12)による外生的なショックが観光需要のボ
ラティリティに与える影響について分析した事例が挙 げられる. しかしながら,観光入込客数についてショック後の 時系列の構造変化,需要減少の継続期間,減少量を推 計し,かつ影響の空間的広がりを定量的に把握するこ とを試みる研究はこれまでになされていない.本研究 では,既往研究にみられる時系列分析による外生的シ ョックの分析手法を参考にするが,被害影響を可能な 限り小さな空間スケールで計量化することで被害の空 間的影響を把握するアプローチをとる. 分析の概略は 以下のようになる. まず,時系列分析のベースとなるモデルとしては, 過去の値と誤差項から当期の値を表すARMA (Auto Re-gressive Moving Average)モデルを用いる.図-1に示すよう に観光入込客数のトレンドには季節性や定常性がみら れ,この種の時系列データはARMAモデルにより,少 ないパラメーターによって表現が可能となる.一方, 災害による影響は,干渉分析(intervention analysis)の方法 でモデル化する. ARMAモデルのみでは災害による外 生的なショックとその持続する影響を表現することは 困難であるが,干渉分析の手法を加えることで,ショ ックのモデル化が可能となる.干渉分析とは,ARMA モデルにかく乱項を加えることで災害等の特異な事象 の発生の影響の評価をモデルに組み込む手法である. 本研究では,災害発生後の各期にダミー変数を適用す る.このとき震災によるショックを表すダミーパラメ ータが0とみなせるならば,ショックは無いと判断でき, 0とみなせないならば,ショックは存在すると判断でき る.
この手法はBox and Tiao13)により提案されたが,当初は
金融に関する分野で利用されていた.例えばHo and
Wan14)の1997年のアジア通貨危機によるストックリター
ンの構造破壊に対する係数の安定性の検定等がある. 近年では自然災害への適用例がみられ,干渉分析の自
然災害への適用はFox15)のハリケーン・フーゴの環境事
業への影響の調査やWorthington and Valadkhani10)らの 自然
災害がオーストラリアの資産価格に与える影響の測定 に関する例が挙げられ,トレンド成分などの元々の時 系列が有する特性を考慮した分析結果を提供している. 3. 本研究の分析の枠組み 本研究で検討する観光需要の減少を定量化するため の分析フレームを図-2に示す.分析フレームは1から6ま での6つの手順で構成されており,図のフローチャート に沿って操作を行うことで,需要減少の定量化が可能 となる.以下に各手順の詳細を記述する. < 手順1 > 震災前の時系列から以下のARMAモデルを 含むARIMAモデルを推定する.まずARMA (Auto Regres-sive Moving Average)過程は以下のように表される. t t B y B (1) Φはラグ演算子による多項式であり,過去の値から当 期の値を表すARモデルを表現する.同様にΘは過去の 誤差項から当期の値を表現するMAモデルを表す.使用 するデータが単位根を持つ場合(階差定常の場合)は階差 をとったデータにARMAモデルを適用すると,式(2)の ARIMAモデルとなる.dは階差の次数を表す. t t dy B B (2) ARIMAモデルをデータに当てはめる方法は主として
Box and Jenkins16)により発展させられており(ボックス=
ジェンキンス法),手順1においてもこれを利用して, まず震災発生以前の安定した時系列データにARIMAモ デルを当てはめる.震災前の時系列のみを使用するの は震災後の時系列が震災の影響で構造変化を起こして いる場合に,震災前後で同一のモデルを当てはめるこ とが不適切である可能性を考慮するためである. 手順1で行うモデルの推定を具体的に説明する.まず, AR過程の次数とMA過程の次数であるがWorthington and Valadkhani10)によると,これは経験則に従うが,一般的 に次数は小さな値でよいものとしている.そこで本研 究ではAR,MAの次数は0~10の値でモデル推定を行う. またデータには季節性が存在するが,本研究では事前 にデータに季節調整を実施し分析に用いる.具体的に は,震災前のデータの変動を傾向変動,季節変動,不 年次 観光入 込客数 2006 2007 2008 2009 2010 1 e+ 0 6 2 e+ 0 6 3 e+ 06 4e+ 06 図-1 新潟県中越地域の観光入込客数の推移
図-2 需要減少を定量化するための分析フレーム 規則変動の3つに分解し,このうち季節変動の成分を除 去するために移動平均をとることにより季節調整を実 施した.図-3に季節調整を施した結果を示す.青線が原 系列であり,赤線が季節調整後の系列である. 次に時系列過程が単位根を含むか否かを調べ,階差
の次数を決定する.Maddala and Kim17)によると「タイム
トレンドを適用するのか,もしくは階差をとるのかは 時系列の派生過程の決定上非常に大きな問題である」 とある.よってトレンドの種類を判別し,階差定常な Time 人 2006 2007 2008 2009 2010 1e+ 06 2e+ 0 6 3e+ 0 6 4e+ 06 図-3 観光入込客数の季節調整前後の比較(中越地域) のかを客観的かつ厳密に判断する必要がある.そこで
Dickey and Fuller18),Said and Dickey19)に基づくADF検定によ
り時系列の単位根の有無を判断する. 階差の次数が決まるとAR,MAの次数の全ての組み 合わせ(121通り)に対して最尤推定法を用いてモデルを 推計する.ここで推計されたモデルに対して以下の2つ の診断を実施し,最終的なモデルを絞っていく. 診断1)ARIMAモデルのパラメータの最尤推定値は多 変量正規分布に近似的に従うことが知られている (田中20))ため,これを利用してパラメータの推定結果が 有意に0と異なるか否かをt- 検定する(本研究では5%有 意). 診断2)モデルの推定式の残差はホワイトノイズであ ると考えられるため,その残差系列に系統的な傾向が 発生しないランダムな時系列でなければならない.残 差系列がホワイトノイズか否かの検定としてLjung - Box 検定を実施する.これは残差系列の標本自己相関係数 の平方和を統計量Qとする.あらかじめ設定した相関係 数の最高次数をjとしj 次までの自己相関係数の推定値を
r
1…r
jとするとQ値は
j l l r l n n n j Q 1 2 1 ) 2 ( ) ( (3) と定義される.このQはすべての母自己相関が0という 帰無仮説のもとで漸近的にχ2 分布に従う.そしてこれら の診断結果とAIC(赤池情報量基準)により最終的なモデ ルをひとつに決定する. このようなプロセスを踏まえモデルを推定すること により,手順1ではモデルの制約条件に反しない適合度 の高いモデルを選ぶこととなる. < 手順2, 3 > 手順2, 3では震災前後の時系列に構造変 化が存在するか検定する.本研究における構造変化と は,ある変化発生点を境に時系列モデルの構造,及び パラメータが有意に変化することと定義する.時系列 データがある時点から構造変化していれば構造変化の NO < 手順 1 > 震災前の時系列から式(2)のモデル (ARIMAモデル)を推定 < 手順 2 >震災前の時系列と震災後の長さ T時系列 で Chow テストを行う(T の初期値は震災直後の 1 期間) < 手順 3 > T=T+1 とする (Tの値を 1期間追加する) 構 造 変 化 は 存在するか ? < 手順 4-B > 少なくとも期間Tの 間にはもとの時系列 に回復しているた め,全てのデータを 用いて,式(5)を推 定.(ダミー変数は 期間Tに適用) < 手順 5 >式(6)を用いて被害期間を推計 < 手順 4-A > 震災後の時系列が震 災前の時系列に回復 しない. 震災後のデータすべ てにダミー変数を適 用して式(5)を推定 < 手順 6 > 被害期間における予測値と 実現値との差をとることで被害定量化 YES NO T 番目のデータが 存在するか?以前と以後に同じモデルを適用するのはふさわしくな い.構造変化の検出にはChow21)による構造変化の検定 (Chowテスト)が利用できる.本研究においては推定し た時系列モデルに対しChowテストによる検定を行う. Chowテストの検定統計量は,サンプルとなる時系列デ ータを2つに分割し全体の時系列データに選択したモデ ルを分割した各データにおいて推定し,その残差平方 和をRSS u 1 ,RSS u 2とし,全体の残差平方和をRSS rとする と, ) 1 ( 2 / ( ) 1 /( ) ( ) 2 1 2 1 q p n RSS RSS q p RSS RSS RSS F u u u u r (4) と計算できる.本研究では有意水準5%で検定を行った. p, qはそれぞれAR,MA部分の次数でありnはサンプルと なったデータの個数である.このときの帰無仮説は 「構造変化は存在しない」である.このChowテストを 利用し,震災の影響があると考えられる期間を推定す る. 手順2では震災前の時系列と震災後の長さTの時系列 でChowテストを行う.このときT の初期値は一期間の みとし,構造変化が確認されると手順3でT の長さを1期 間づつ増加させていく.この操作のねらいは,震災後 の期間を徐々に長くさせていくことで震災の影響を薄 めていき,最終的に構造変化が発見されないようなT を みつけることである.そのようなT が見つかれば,手順 4以降のモデル推計において震災前のデータに震災後の データの一部を加えて推計可能であるため,よりモデ ルの精度が向上すると考えられる. < 手順4 > 手順4では手順3の結果を踏まえ,需要減 少の期間を定量化するためのモデルを推計する.本研 究ではARIMAモデルに上で述べたように,干渉分析の 手法を加えることで,災害によるショックとその影響 を表現する.干渉分析の一手法として,式(5)のように ダミー変数をARMAモデルに加えることで災害等の特 異な事象の発生の影響の評価をモデルに組み込む方法 で手法である.
N i it i t t dy B D B 1 (5) Dit がダミー変数,βi がそのパラメータである.D1 は発災後第一期目のダミー変数であり,以下同様に Dt は発災後t 期目のダミー変数である.これらの変数はt 期目にのみ1の値をとり,それ以外では0の値をとる. このダミー変数が1の値をとるときにダミーパラメータ ーが適切な値をとることで式(2)では表現できない震災 のショックを表す. 手順4では,手順3により構造変化の回復が認められ るとそのTの期間内に震災の影響が無くなっていること がわかるため,手順4-Bに進み,T 期以降のデータを震 災前のデータに加え,期間T にダミー変数を適用し,手 順1と同様にして式(5)が推計できる.一方,そのような Tが発見されなければ,それは震災の影響が無くなって いるとはいえない,ということがわかる.そのため手 順4-Aに進み,震災後の全データにダミー変数を適用し, 手順1と同様に式(5)を推計する. < 手順5 > 手順5では手順4で推計したモデルのダミ ーパラメータから需要減少の期間を定量化する.定量 化にはダミーパラメータがゼロであるかどうかの検定 を用いる.まず,「すべてのダミーパラメータが0であ る」という帰無仮説を検定する.このとき帰無仮説が 棄却されたならば,すべてのダミーパラメータが0とは いえず,少なくとも震災直後の1期間はダミーパラメー タが有意に0ではない(被害が存在する)と考えられる. 棄却されなければすべてのダミーパラメータは0ではな いと言えないため,観光需要の減少は存在しないとみ なす.帰無仮説が棄却された場合,次に「震災後1期目 を除外したすべてのダミーパラメータが0である」とい う帰無仮説を検定する.帰無仮説が棄却されたならば 同様に「震災後1, 2期目をのぞいたすべてのダミーパラ メータが0である」という帰無仮説を検定する.以下こ の操作を帰無仮説が棄却されなくなるまで同様に続け ていく. 一般化すると,震災直後から震災の影響が発生して いると考えられる期間をtとし,kを1からtまでの整数と すると, 帰無仮説H0: 0,, 0 t k (震災後第k 期以降のダミーパラメータはすべてゼロ) 対立仮説H1: 少なくとも帰無仮説中のパラメータ の一つはゼロではない 以上の仮説を,kの値が1からt まで検定していき,帰無 仮説が初めて棄却されなかったときのk が震災後初めて 需要の減少が現れない期であり,k - 1 が需要減少の発生 期間となる.検定は,もとのモデルでの残差平方和を RSS (1),帰無仮説のもとで推計したモデルの残差平方 和をRSS (2)とすると ) /( ) 1 ( / )) 1 ( ) 2 ( ( K n RSS m RSS RSS F (6) としてF値が求められる.m は帰無仮説中の変数の数, n はデータの総数,K はモデル中の変数の総数である. このF値に対してF検定を行うことで帰無仮説が棄却で きるかどうかを判断する. < 手順6 > 手順6では需要減少量の推計を行う.需要 減少の期間が判明すると,その期間のデータをすべて 欠損値として扱い,ダミーを入れずに手順1と同様にモ デルを推計する.このモデルにより欠損部分の予測(震 災が発生しなかった場合の観光入込客数の予測)を行い,これと実現値との差をとり需要減少量とする.この手 順をもって,分析フレームの一連の操作を終える. 4. 観光需要への影響の定量化とその特徴の分析 (1) 分析フレームの各手順の適用結果 3.の分析フレームを用いて兵庫県,新潟県,石川県, 岩手県,宮城県の各地域の震災による観光入込客数へ の需要減少の影響を定量化した.以下では例として, 2007年に発生した新潟中越沖地震後の中越地域を対象 に各手順を適用した結果を詳細に示し,各手順の特徴 について紹介する.その他災害についても,分析フレ ームの適用によってモデルは一意に決定されている. まず,表-2 に新潟県中越地域の観光入込客数の時系列 データに分析フレームの手順1を適用した結果を示す. 表-2におけるMA1とはMA過程の1次のパラメータを 示す.以下同様に,AR1はAR過程の1次のパラメータを 表す.続いて手順2, 3の適用結果を図-4に示す.図-4の 赤線が検定統計量のP値(帰無仮説が棄却される有意水 準)であり,青線は5%の有意水準を表している.グラフ から震災直後の7期間はP値が5%を下回り,その後構造 変化は検出されなくなっていることがわかる.ここで, 1期は1カ月単位の期間を表す.有意水準を5%に設定し た場合では,構造が少なくともT=8の時点で回復してい るとみなせる.したがって,中越沖地震を対象とした 分析では,観光入込客数が元のトレンドに戻る時系列 データを分析する手順4-Bに進んだ. 表-3に手順4-B におけるモデルの推定結果を示す.β は式(5)における各期のダミーパラメータを表す.ダミ ー変数は,構造変化が発生している 7期間に設定した ARIMAモデルを想定し,手順1と同様にモデルの特定と パラメーターの値を推計している.表-3より,一期目の ダミーパラメータβ1が大きな値をとっているため,外生 的なショックがその期に発生していることがわかる. また,ダミーパラメータのt値が徐々に0に近づいている ことからショックの影響が時間の経過とともに薄まっ ていることがわかる. 次いで,手順5における需要の減少期間の推計結果を 表-4に示す.k=1のときは,すべてのダミーパラメータ が0であるという帰無仮説は棄却されている.一方で, 表-2 中越地域における分析フレーム手順1の適用結果 AR過程の次数 0 MA過程の次数 1 MA過程のパラメータ MA1 -0.432 パラメータのt値 -2.52 単位根 有り k=2のとき,つまり第一期のダミーパラメータ以外のす べてのダミーパラメータが0であるという帰無仮説をた てたときは,帰無仮説を棄却できなかった.よって, これらの結果から中越地域において,需要の減少は震 災後1期間(1カ月)続いたものとして検出された.これは 震災が発生した2007年7月の値の単純な前年度比が54.3%, 前々年度比が56.1%であったことからも明らかである. 一方,次の月の2007年8月は前年度比68.9%と大きく減少 しているようにみえるが前々年度比をとると2007年8月 は106.5%となる. 2007年8月に需要の減少が検出されな かったのは,過去の時系列全体の流れからみると, 2007年8月の値が特に外れているわけではないと判断さ れたからであると考えられる.実際,新潟県22) による と,2006年8月は好天等の影響により特に観光入込客が 増加したとの報告がある. 最後に手順6により,需要減少量を推計する.需要減 少の期間は1期間であるため,震災後の1期間(2007年7月 のデータ)を欠損値とし,全てのデータからその1期間の Time P 2007.5 2008.0 2008.5 2009.0 2009.5 2010.0 0. 0 0. 1 0. 2 0. 3 0. 4 0. 5 0. 6 図-4 中越地域における分析フレーム手順2,3の適用結果 表-3 中越地域における分析フレーム手順4-Bの適用結果 AR過程の次数 0 MA過程の次数 1 MA過程のパラメータ MA1 -0.534 パラメータのt値 -4.61 ダミーパラメータの数 7 ダミーパラメータの値 ()内はt値 β1 -0.512 (-5.152) β2 -0.198 (-1.861) β3 -0.151 (-1.346) β4 -0.130 (-1.119) β5 -0.066 (-0.558) β6 0.004 (0.032) β7 -0.040 (-0.031) 表-4 中越地域における分析フレーム手順4-Bの適用結果 F値 P値 k=1 2.250 0.024 k=2 0.700 0.731
表-5 中越地域における分析フレーム手順6の適用結果 AR過程の次数 0 MA過程の次数 1 MA過程のパラメータ -0.537 パラメータのt値 -4.52 欠損部分の実測値 797 欠損部分の予測値 1462 予測値の95%信頼区間 1175~1820 需要減少量 665 減少量の95%信頼区間 1023~377 標準誤差 177.89 相関係数 0.962 値を推定することで,震災が発生しなかった場合の観 光入込客数を推計した.この推計結果と,実測値との 差をとることで需要減少量を定量化した.手順6の結果 を表-5に示す. 実測値,予測値,需要減少量,標準誤差はすべて千 人単位で表現している.分析フレームを適用すること によって,中越地域では一カ月の間,需要の減少が継 続し,その間におよそ66万5千人の観光客が減少してい ると推計された.また相関係数をみると,本研究のモ デルが現況をかなり再現できていることがわかる.こ の操作により中越地域における観光客減少の定量化が 完了した.さらに手順6で推定したモデルと実現値を合 わせて描いたグラフを図-5,図-6に示す.図-5の黒線が 実際のデータの値(実測値)であり,赤線がモデルによる 推計結果である.また2本の緑点線の間が予測値の95% の信頼区間を表す.グラフの丸で示した1点が手順5で 検出された需要の減少期間であり,確かに信頼区間か らも外れていることがわかる.このときの赤線の値と 黒線の値の差が需要減少量となる.また,図-6は横軸に 実測値,縦軸に予測値をそれぞれ対数化してグラフに したものである.グラフ中の直線は45度線である.塗 りつぶした点が需要が減少していると判断された2007 年7月の値であり,それ以外の値はモデルによる予測値 とよく一致していることがわかる. (2) 震災による観光入込客数の減少・回復特性の分析 本研究で対象とした各地震災害ならびに被災中心部 を含む各地域への分析フレームの適用結果を表-6 に示 す.表-6 では,需要減少の継続期間(月単位)とその間に 発生した観光客減少数を,地域別に示している.震災 がないと仮定した場合における予測値からの減少率は, 本研究のモデルから予測される震災が発生しなかった 場合の予測に対して,実測値がどれほど落ち込んだの かを表す指標として定義している.また,中心被災地 からの距離は各県で最も直接的な被害の大きかった地 域(兵庫県南部地震―神戸地域,能登半島地震―能登地 新潟県 中越 年次 観光入込客数( 人) 2005 2006 2007 2008 2009 2010 1e+ 06 2e+ 06 3 e+ 06 4 e+ 06 5 e+ 06 図-5 手順6のモデルによる予測値と実現値の比較 1 13.0 13.5 14.0 14.5 15.0 1 3.0 13 .5 14 .0 14 .5 1 5.0 実現値 予測 値 図-6 手順6のモデルによる予測値と実現値の比較 2 域,新潟中越沖地震―中越地域,岩手・宮城内陸地震 -栗原地域,☆で表す)からそれぞれの地域の中で最も 観光入込客数が多い都市までの距離を表す.兵庫県で は阪神,神戸,淡路,但馬地域に需要の減少が検出さ れ,同様に新潟県では中越地域,石川県では能登地域, 岩手県では北上川流域,宮城県では栗原,大崎,仙台, 登米地域で需要の減少が検出された.また需要の減少 期間は最大のもので兵庫県南部地震の影響を受けた神 戸地域の11 カ月であり,次いで淡路地域の 9 カ月とな った.その他地域については概ね 5 カ月以内に収まっ ている. 消防庁23)によると兵庫県南部地震ではMw7. 3,死者
表-6 各地域における分析フレームによる需要減少の定量化の結果 兵庫県 神戸☆ 阪神 東播磨 淡路 西播磨 丹波 但馬 継続期間(月) 11 3 0 8 0 0 2 観光客減少数(千人) 10,541 1080 0 1,926 0 0 187 減少率(%) 54.7 12.3 0 25.0 0 0 10.0 中心被災地からの距離(km) 0 20.0 22.1 37.3 48.4 56.5 101.3 新潟県 中越☆ 魚沼・ 東頸城 新潟・ 弥彦 阿賀野川 上越 佐渡 岩船・ 胎内 継続期間(月) 1 0 0 0 0 0 0 観光客減少数(千人) 665 0 0 0 0 0 0 減少率(%) 45.5 0 0 0 0 0 0 中心被災地からの距離(km) 0 56.0 56.2 60.8 62.3 76.9 104.2 石川県 能登☆ 金沢 白山 加賀 継続期間(月) 2 0 0 0 観光客減少数(千人) 152 0 0 0 減少率(%) 14.1 0 0 0 中心被災地からの距離(km) 0 60.4 68.9 101.0 岩手県 北上川 流域☆ 陸中海岸 南部・ 遠野 盛岡・ 八幡平 陸中海岸 中部 県北・陸 中海岸 北部 継続期間(月) 4 0 0 0 0 観光客減少数(千人) 728 0 0 0 0 減少率(%) 13.7 0 0 0 0 中心被災地からの距離(km) 47.2 79.9 108.8 129.7 175.0 宮城県 栗原☆ 登米 大崎 石巻 気仙沼・ 本吉 仙台 仙南 継続期間(月) 5 1 2 0 0 3 0 観光客減少数(千人) 543 9 151 0 0 1,510 0 減少率(%) 59.5 4.5 9.8 0 0 15.8 0 中心被災地からの距離(km) 0 15.1 18.0 41.0 51.5 53.1 77.1 数6,434 名,全壊住家数は 104,906棟とあり,また能登半 島地震ではMw6. 9,死者 1名,全壊住家数は 686棟,新 潟中越沖地震では Mw6. 8,死者 15 名,全壊住家数は 1,331棟,岩手・宮城内陸地震では Mw7. 2,死者 17名, 全壊住家数30 棟と報告されている24).表-6 に示した観 光需要の減少率の推計値とこれらの被害を照らし合わせ ると,新潟中越沖地震に比べ死者数にそれほど差が無く, 全壊住家数がはるかに小さい岩手・宮城内陸地震のほう が減少期間が長く,減少率も大きくなっていることがわ かる.また,能登半島地震と岩手・宮城内陸地震を比べ た場合においても,全壊住家数が多い能登半島地震のほ うがはるかに小さな観光需要の減少で済んでいる.この ことから震災による観光客の減少と直接被害との間に大 きな関係があるとは言い難いと考えられる.またマグニ チュードで考えた場合も,マグニチュードの小さな新潟 中越沖地震のほうが,よりマグニチュード大きな能登半 島地震より観光客が減少しているため,地震そのものの 規模と強い相関を有していない. 神戸地域の場合は,観光業の直接被害を含む被災規模 の大きさが観光客数減少の大きな要因と考えられるが, それでも社会基盤の復旧が終わり,復興の初期段階とも いえる1年以内での需要回復が見られている.一方,栗 原地域では河道閉塞が大きな問題となり,周辺の温泉地 域などがハザードにさらされている継続期間自体も大き な影響を及ぼしたものと考えられる.なお,この二つの 地震では,但馬や仙台などの被災中心地から離れた比較 的被害自体が少なかったとされる地域においても観光客 数の減少が発生している.この理由としては,風評被害 的な要因も考えられるが,大都市と周辺地域の間で観光 の内容に補完性があると考えると,その構造次第では, ある地域の被災によって,直接被害の有無に関わらず周 辺地域にも影響が及ぶ可能性も考えられる.
表-7 推計した判別関数の適用結果 判別関数の適用結果 判別関数による予測 減少無 減少有 被害定量 化の結果 減少無 17 2 減少有 3 8 空間的な影響の範囲をより詳細に検討するために,中 心被災地からの距離に基づき観光需要の減少の有無を判 断する線形判別関数を推計した.結果として得られた関 数を以下に示す. 0.02936091 1.49972 DIndex DISTANCE (7) DISTANCE は中心被災地からの距離でεは誤差項を表す. この関数からは,中心被災地からおよそ51.07km離れる ところが需要減少の発生の有無に対する判別境界となる. 表-7は,この判別関数による的中の度合いを示した結果 である. 但馬や仙台は需要の減少が発生する確率が低いものと 予想されるが,実際には需要の減少が発生した地域に分 類される.一方,需要の減少が発生すると予想されるに も関わらず,実際には需要の減少がない地域もあり,東 播磨,西播磨,石巻などがこのような地域となる.この 理由は現時点では明らかではないが,そもそもの観光業 の規模や周辺地域との補完性,交通アクセスの方法など, 経済圏等の都市構造を考えた空間的な要因分析が必要と 考えられる. 5. おわりに 観光産業では,震災による直接的な被害が比較的少な い地域においても需要が減少することもあり,需要減少 の影響が大きいとされる産業である.しかし,その実態 については,十分に明らかになっているとは言い難く, 本研究では近年発生した既往地震災害発生後の観光入込 客数の減少量について,その継続性や空間的拡がりを特 定するという観点から分析を行った. 本研究で構築した分析フレームは,(1) 地震前の安定 的なデータを用いた時系列モデルの推定,(2) 震災によ る構造変化の発生の有無,(3) 震災影響期間の検出に応 じた需要減少量の推計(予測値-実測値)という手順を踏 む.このフレームを自動的に実施するためのプログラム を構築し,様々なタイプの震災発生前後の観光入込客数 の時系列データに適用を行った. 需要減少の継続期間の検定や観光客減少数の推計を行 った結果,大規模な阪神大震災クラスの災害でも観光入 込客数に長期的な構造変化は見られず,1年以内に元の 時系列と同じトレンドに復元されるという特性が見出さ れた.また,河道閉塞にともなう土砂災害の危険性があ る状態が続いた栗原地域では,直接被害の規模自体は小 さいが,観光需要が減少する期間が比較的長くなる傾向 となった.一方,被災地周辺を含む各地域への需要減少 の有無の検定結果に基づいて,空間的な影響についても 検討を行った.被災地域からおおよそ50km程度の範囲 内では需要の減少が発生しやすく,特に50kmの境界に 近いほど,直接的な被害の影響を含まない観光需要の減 少による間接的な影響が発生しやすいものと推察される. 一方,このような判別境界の外であっても需要の減少が 発生している地域もわずかではあるが存在し,兵庫県南 部地震後の但馬地域や岩手・宮城内陸地震発生後の仙台 地域がこのケースに相当する. このように観光産業の需要減少が,地震規模や直接被 害の規模に依存せず,直接被害のない周辺地域にも波及 する理由の一つに,地域の立地,経済圏,交通網の整備 状況,大都市と周辺地域の観光産業における補完性など の地域構造の問題が考えられる.被災地が地理的にアク セスしにくい地域に位置し,被災地に入るルートが少な かった場合や,人々が大都市と周辺地域の観光をセット として観光ルートを認知していることが考えられる.ま た,当該地域が海外などの遠方からの観光客を多く受け 入れていた場合,遠方地域に住む人々は当該地域への知 識不足,情報の不確さから,当該地域の安全性が判断で きないため,観光入込客が減少するといった理由も考え られる. 以上,本研究では,地震災害後の観光入込客数の減少 について,これまで蓄積されてきた災害後の時系列デー タを活用した分析手法を適用し,考察を行った.おおよ その需要減少の継続期間や空間的な影響についてその特 徴が整理されたものと考えられる.今後の課題としては, 都市構造の問題を考慮した地域特性の分析に発展させる とともに,既往の心理学研究の分野で指摘されているよ うな報道量との関係や観光を自粛する個人の意識調査な どが重要な課題として挙げられる. 参考文献 1) 廣井脩:風評被害にどう対応するか,月刊観光,p.21, 2005 年 6 月号 2) 関谷直也:風評被害の法政策-「風評被害」補償に おける法的論点・対応策とその改善案-,災害情報, No. 2,日本災害情報学会,pp. 102-113, 2004. 3) 国土交通省:防災と観光の共存に向けた国・地域間 の連携の在り方調査報告書,2005. 4) 関谷直也:「風評被害」の社会心理-「風評被害」 の実態とそのメカニズム-,災害情報,No. 1,日本 災害情報学会,pp. 78-89, 2003. 5) 前田勇:不安心理と観光-風評手控え行動のメカニ ズム,観光研究,Vol. 17, No. 1, pp. 37-38, 2005. 6) 兵庫県:兵庫県観光客動態調査,1994 年度 7) 新潟県:県の観光の現状と動向,2007 年度 8) 観光庁:観光施策,2011 年度
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DAMAGE ASSESSMENT IN TOURISM CAUSED BY AN EARTHQUAKE
DISASTER
Taiki NISHIMURA, Yoshio KAJITANI and Hirokazu TATANO
Natural Disasters such as a large-scale earthquake disaster can often reduce the number of tourists even in not seriously damaged places. It is said that this damage is caused by the psychological reasons such that people feel uncertainty in the information about a level of service and better refraining an amusement including traveling. However, the loss of tourists after an earthquake disaster and its characteristics are not even quantified and investigated and it is not clearly demonstrated how long the decrease continues and how many people cancel traveling in the earthquake-loss assessment field. In order to understand the damage in more correct manner, this study developed a framework by which we can estimate the periods of damage and an amount of people who call off their traveling. This is composed of the methods on time-series analysis and applied to the 5 cases of recent earthquake disasters. The results indicates the im-pact of the disaster exists even in an outside the damaged areas, but the number of tourists return to the original trend within at most a year at all the cases.