Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
巻頭言 「
デザ イ
ン
教 育
の
新
し
い
動
き
」
Preface:
New
Trends
in
Design
Education
君島昌之 Masayuki
KIMIJIMA
東 京 純 心 女 子 大 学本 特 集 号は 「デ ザ イン教 育の新 しい 動 き」 を テ
ー
マ に編 集 した。指導
要 領の 改 定 を 機に小学
校で は 「総合 的 な 学 習の時 問 」、
中学
校で は技 術・
家
庭で「
情 報 とコ ンピュー
タ」
、高
校で は普
通 教 科の 「情 報 」 な どで全員
が コ ンピュー
タ を 学ぶ こ と になっ た。 小学校
か らコ ン ピュー
タ の操 作に慣れ親し み、
高等
学 校 卒 業の頃に は ほ とん どの 生 徒が 自 由に駆 使で きるよ うに な る。 高 等学
校の新
しい 科 目 「情報」
は、
国 語や数
学 の よう
な科 目と異 り、 高 等学
校入学
以前
に ほ と ん どの生徒が ある程 度の知
識・
技 能 を会 得 して い るこ と になる。
勿 論、新
科 目の 「情 報 」はコ ン ピュー
タの操
作技
術以外に学ぶ こ とがある が、
そ れ が今
回の パ ネル デ ィ ス カ ッ シ ョ ンで も論 議 の 中 心となっ た。コ ン ピュ
ー
タを唯
な るツー
ル と して、 古 くか ら使われて い る道具
と 同じ レベ ル で捕 らえる考 え 方 もある が、
1
午
の道
具は長 年 使 用 してい る と、
正に自 分の手
足の代
わ りに 自 由自在
に使
い こな すことがで きた。 とこ ろが、 コ ン ピュー
タの場 合、
新しい ソ フ ト を熟知
す る前
に次々 と開 発さ れ るの で、
本 当に 自分
の もの と して使い こ なす ことが不
可能
と な る。 まだ、 開 発 途 上である が、
永 久に未 完 成の道 具とい うのが コ ン ピュー
タの特
徴とい え るのか も知 れ ない 。日進 月歩の情 報 機
器
の発 達に追われてい る指導
者に比べ、
若い 人はコ ン ピュー
タや携 帯 電 話 を唯一・
の情報源
の よう
に用い 、 大 量の情 報 を得
てい る。 し か し、直接 、
他 人との 会話
は苦手
で、
人問
関 係をう ま く作るこ とができ
ない という
話 も聞 く
。実
際の自然に触れず
に画 面上の バー
チ ャル な世 界で の体
験で済
まし て しま う人 もい る。 人 間に は 五感が あ る が、
こ のよ うに眼 と耳し か 機 能 し ない体
験で、
すべ て を理解
し た かの よう な錯覚
を起
こす 危 険に陥っ て し ま う。 また、
最 近は大 箪:の情報
が流 れ 込ん でく
る が、 そ れを き ちん とコ ン トロー
ルするこ とは不可能に近い 。特
に年
少 者は多
くの情 報に流 さ れて し まい 、 自 分の正 確 な判断力
で消 化 する こ とがで きに くい 。 以前
は情 報や知 識の 多 く を学 校で順 序だて て学 び、 基 礎 か ら応 用へ と自
分の力で理 解で きる よう
になっ てい た。 しか し、
現在
の情 報の氾 濫は 金てが 混 沌 とし て お り、
こ れを 分 析、
理 解 する のは困 難 な 状 態と なっ てい る。今
回の指導
要 領 改 定によると 高等
学 校の 芸 術科
卜1
の 選 択で 音 楽、
美術、
1
.
L
:芸、書
道の内 か ら1 科
目2
単 位 が 必 修 とい うこ とになっ てい る。 高 等 学 校3
年
問で わず
か2
時 間 しか 芸術 に触れ る機 会が ない とい うこ と は、
高等学
校で は芸 衛 的感
性 を磨
くこ とは 期待で きない。
そ れ に反し情
報 教 育は小 学 校 から学
び、触
れ る機 会 が 多 く な る。 また、
家 庭におい て もイ ン ター
ネッ トな どコ ン ピュー
タは身
近 な存
在となっ て くる。 現 状 を 踏 ま えて高等学
校の「
情 報」
の指導
要 領で も生徒
の健康
と望 ま しい習 慣 を身
につ け る と か、
情
報モ ラル の育 成 を 図るとなっ て い る。専 門 学 校
、
大 学で も情報
教育
の 充 実が 見ら れ、
情 報 関 係 学部
を創 設
し た り、 学 科、 コー
ス とし て独 立さ せ、
人気
のあ る分 野と なっ てい る。 し か し、
そ の情報
教 育で 大 切 なのは、情報
機 器の 操 作 技 術 より も、 広い 視野 に 立っ てお 互 い が 尊 重で きる 人間 社 会の構築、 自然
の偉 大さ・
大 切 さが 実 感できる ような豊
か な 感 性 を 磨 く 訓 練が 必要であると考
える。本 号で は小
・
中・
高 等 学 校の 「情 報」
重視の指導
要 領 改 定 を受 けて専門学校、
大学 などで検 討 する際の 資 料 と なる よう、高等
学 校 を中
心 と した 現 在の デ ザ イン教育
の問 題 提 起 と高等学校
か ら大 学 までの各学
校のカリキュ ラ ム を紹介
し た。今後
の 教 育の指 針 を 立て る 上 で参考
に して い た だけれ ば幸い である。デ ザ イン学 研 究 特 棊 号 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vol