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バレーのパススキルにおける行動的コーチングがその遂行とスポーツに対するイメージに及ぼす効果

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-18 156

-バレーのパススキルにおける行動的コーチングが

その遂行とスポーツに対するイメージに及ぼす効果

○土居 正人1)、延岡 優美2)、後閑 聖也1)、松岡 莉穂1)、日上 耕司3) 1 )吉備国際大学心理学部心理学科、 2 )福山市農業協同組合、 3 )大阪人間科学大学人間科学部 【問題と目的】 行動的コーチングとは,応用行動分析の理論に基づ いたコーチングすることである(Martin & Hyrcaiko, 1983)。本研究の目的は,バレー初心者である大学生 に対して行動的コーチングを行い,バレーのパススキ ルを改善することで,バレーやスポーツに対するイ メージが実験前後でどのように変化するかについて検 討することである。 【方法】 実験計画として,参加者は大学生 2 名(男性 1 名, 女性 1 名)であり,両参加者はスポーツ経験を有して いるが,バレーボールの経験はほぼ無かった。バレー の指導者は第 2 著者であり,11年間,クラブや部活動 の経験を有していた。標的行動はパススキル(オー バーハンドパスとアンダーハンドパス)とし,課題分 析したチェックリストを作成した。これは大きく分け て「構え」,「レシーブ前」,「レシーブ」,「フォールス ロー」の 4 つの段階からなり,それらが10のステップ に分かれている。研究デザインは実験参加者間多層 ベースライン法からなるABAデザインを用いた。実験 の様子はタブレット端末によって録画し,全てのセッ ションにおいて記録された。的当て課題では, 1 試行 につきオーバーハンドパス 5 球とアンダーハンドパス 5 球を指導者から球を出し,参加者に打ち返しても らった。的は参加者から見て正面にあり,大きさの異 なる 4 段階( 3 点, 2 点, 1 点, 0 点)に区切られ, その中に打つよう教示した。ラリー課題は 1 試行当た り 1 分30秒とし,その時間制限の間で何回ラリーが続 いたかを記録した。実験手続きとして,ベースライン 期とポストテスト期では通常のコーチングとして見立 て,フォームの誤反応のみを口頭で指示するのみとし た。介入期では行動的コーチングを行った。まず,プ ロのバレーのフォームを動画で確認し,その後ベース ライン期の参加者のフォームの録画映像を共に確認し て,その違いを参加者に伝えた(ビデオフィードバッ ク)。そして,チェックリストに沿ってフォームの解 説を行い(インストラクション),指導者が的当ての 見本を数回行った(モデリング)。その後,参加者と 共にチェックリストの各ステップを 1 つずつ確認し あった。実際に球を打ってもらい(ロールプレイ), 数回の練習を行った(リハーサル)。フォームが正反 応であった箇所は承認や賞賛を与えた(正の強化)。 社会的妥当性の測定と信頼性について,社会的妥当性 を検討するため,実験後に参加者から,行動的コーチ ングについて自由記述で評価してもらった。信頼性に ついては,参加者の的当て課題の録画映像について 2 人の測定者がフォームチェックを行い,下位スキルご とに一致率を算出した。イメージ測定の手続きについ ては,バレーやスポーツに対するイメージの測定をす るためにSD法(semantic differential method)を用 い,実験前後に調査を実施した。倫理的配慮につい て,参加者に研究目的,内容を説明し,実験参加は自 由意志であること,結果の使用用途(論文や学会の発 表等による公開),個人名は匿名にすることなどを説 明し,署名による同意(承諾書)を得た。 【結果】 行動的コーチングの結果について記述する。的当て 得点(図中-●-:得点範囲 0 〜15点)について,両参 加者のオーバーハンドパスとアンダーハンドパスは, ベースライン期において得点は低かったが,介入期に 入ると得点が高まり,ポストテスト期においても高い 水準が維持されていた。フォーム得点(図中-□-:得 点範囲 0 〜10点)においても,同様の傾向が見られた。 ラリー回数(図中棒グラフ)は,両参加者はベースラ イン期では得点が低く,ポストテスト期では得点が上 昇していた。イメージ変化の結果では,SD法( 7 件法) により測定した結果,実験前の両参加者の「バレー ボール」に対しては,「どちらでもない( 4 点)」より 2 点以上の大きさで,「明るい」,「難しい」,「複雑な」 というイメージであると評定され,実験後の変化とし て「良い⇔悪い」,「親切な⇔不親切な」,「信頼できる ⇔信頼できない」,「易しい⇔難しい」の 2 対で,より 前者よりに 1 点以上の大きさで変化した。次に,「ス ポーツ」へのイメージの変化として,両参加者は,「ど ちらでもない( 4 点)」より 2 点以上の大きさで,「良 い」,「明るい」,「深い」,「複雑な」,「速い」といった イメージであると評価された。実験後の変化として は,「親切な⇔不親切な」,「単純な⇔複雑な」の 3 対 は,より前者に 1 点以上の大きさで変化した。社会的 妥当性と信頼性について,自由記述の解答では,両参 加者共に,指導方法について好印象であり,実験自体 が楽しかったと評価され,社会的妥当性が確認され た。そして,フォームの正反応得点の信頼性を検討し た結果,一致率は95.2%であった。

(2)

日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-18 157 -【考察】 行動的コーチングの効果について,本研究では,参 加者間多層ベースライン法を用いた。これは各参加者 のベースライン期の得点が低く,かつ変動が見られな い状態で介入後になって初めて得点の上昇が見られた 場合,その介入は効果があると,より確証されること になる。本実験結果では,両参加者ともに的当て得点 とフォーム得点において,ベースライン期の得点は上 昇せず,介入期に入ってから得点が上がり,そして, 高い得点がポストテスト期まで維持されていた。さら にラリー回数は,ベースライン期に比べてポストテス ト期の方が高かった。これらのことから,行動的コー チングがバレーのパススキルの改善に効果があったと 言えよう。SD法のイメージについて,結果から,当初 両参加者の「スポーツ」に対するイメージは,「明る くて良いものだ」と捉えており,スポーツは日々の健 康面などの観点から必要不可欠なものであり,一般的 な価値観を反映していると推察される。その一方で, 「速く,複雑で深いものだ」といったイメージを抱え ており,実際にやってみたり,技術を習得したりする ことは簡単なことではないと受け止めていると捉えら れていると考えられる。そして,「バレーボール」に 対しては,スポーツと同様に「明るい」イメージを 持っており,「複雑で難しいものだ」と捉えていた。 次に,実験後におけるバレーボールへの変化として, 「良いもので,親切で信頼できる,そして易しいもの」 とのイメージが高まっていた。これは行動的コーチン グによる指導を受けることによって,実際のスキルが 向上したことに起因すると考えられる。次にスポーツ に対するイメージにおいて実験後では,バレーのイ メージと同様に,「親切であり,そして単純で易しい もの」であるとポジティブなイメージが高まってい た。本研究の結果,行動的コーチングにより技能が高 まれば,スポーツに対するイメージも良い方向へと向 上することが確認された。行動的コーチングは,ス ポーツを始めるきっかけの一つとして,新たな視座を もたらしてくれるであろう。

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