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群馬県に産するオナガミジンコ(Diaphanosoma)属3種の1956年からの出現状況とその分布について

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(1)

報告

群馬県に産するオナガミジンコ(

Diaphanosoma)属3種の

1956年からの出現状況とその分布について

Occurrence and distribution of three species of genus Diaphanosoma (Cladocera),

since 1956 from Gunma Prefecture, Japan

井田宏一

Koichi Ida

はじめに Diaphanosoma属(オナガミジンコ属)のミジン コは,日本では2017年現在,7種が報告されている (田 中・ 牧 田,2017). ま た, こ れ と は 別 に,D. brachyurum s. str. (Lievin, 1848)が様々な文献から報 告されている.この属のミジンコは群馬県内の湖 沼,ため池,山地の池塘などにも広く分布している が, 従 来 群 馬 県 内 に 分 布 し て い る 種 は 全 てD. brachyurum s. str. で あ る と さ れ て い た(栗 田, 1985).しかし筆者が1980年代から群馬県東部地域 (邑楽郡,館林市,板倉町)の動物プランクトンを 調べ始めたところ,ほとんどの湖沼で後頭部が大き く突出した個体が多数採集された.そこで筆者は, この群馬県東部地域に生息しているDiaphanosoma 属は,D. leuchtenbergianum Fischer, 1850ではないか と の 疑 義 を 呈 し た が 結 論 は 出 な か っ た(井 田, 1982). その後,1997年に館林市城沼で採集した標本を, ロシア科学アカデミーのKorovchinsky博士に同定し

ていただいたところ,Diaphanosoma dubium

Manu-ilova, 1964であることが判明した. そこで,この種が何年前から群馬県内に生息して いるかを調べるため,群馬県立自然史博物館に収蔵 されている動物プランクトン試料(五味礼夫標本 (以下五味標本), 片山満秋標本(以下片山標本))を 借り受け,Diaphanosoma属のミジンコを同定した.

そ の 同 定 作 業 中 に,Diaphanosoma orientalis

Koro-vchinsky, 1986が赤城大沼と榛名湖の試料の中から 見つかった.一方で,山岳地帯の池塘等に分布する Diaphanosoma属は,その種を確定することができ なかったが,Korovchinsky (1992)に従い,D. brachyurum species groupとした. 本稿では,群馬県内に生息するDiaphanosoma属3 種の形態的特徴と検索表を示すと共に,五味標本, 片山標本によるDiaphanosoma属の1956年からの出 現状況と分布について報告する.なお,筆者が調査 した2000~2014年の群馬県内でのDiaphanosoma属 の出現状況についても付記した(井田,2001, 2003, 2006, 2009, 2014, 2015). 材料および方法 Korovchinsky博士に送付した標本は群馬県館林市 城沼において,1997年6月21日に,リゴー社の小 型プランクトンネット(ネット地NXX13)を用い て沼西部の中央部で採集し,5%ホルマリンで固 定・保存した. 五味標本と片山標本は群馬県立自然史博物館開館 当初(1996年)に,五味標本はご子息の五味孝雄 氏から,片山標本は御本人より寄贈されたもので, ホルマリン溶液中に保存されていた. 動物プランクトン試料(ロット標本)の中には枝 日本甲殻類学会会員 〒371–0034 群馬県前橋市昭和町三丁目24–9 A Member of Carcinological Society of Japan, 3–24–9

Shouwamachi, Maebashi, Gunma 371–0034, Japan E-mail: k-ida@mail.wind.ne.jp

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井田宏一 角類や輪虫類など様々な種が混在しているため,そ の中からDiaphanosoma属の個体を拾い出し,50% グリセリン中で,20~30倍の双眼実体顕微鏡(オ リンパスX-TR)下で,00番の昆虫針を取り付けた 柄付き針で,触角や後腹部等をミジンコ本体から切 り離し,ガムクロラールで封入してプレパラートを 作製し,100~400倍の透過型光学顕微鏡(オリン パスBH-2)で観察して種の同定を行った. 同定には主にKorovchinsky (1992), 田中晋(1995) を 用 い た が,Korinek (1987), Korovchinsky (1986,

1998), Korovchinsky & Mirabdullaev (1994), Lievin (1848), Manuilova (1964)にもあたった.また,近年 発行された田中(2002),田中・小鹿(2009),田 中・牧田(2017)も同定に用いた. スケッチはアッベの描画装置(日本製)を用い た. 結 果 各種の記載 1) Diaphanosoma dubium(オオアタマミジンコ) 単為生殖雌(図1, 図2) 命 名: 当 初ManuilovaによりDiaphanosoma dubia と命名されたが(Manuilova, 1964), Korovchinskyに より種小名が女性形から中性形のD. dubiumに変更

された (Korovchinsky & Mirabdullaev, 1994).ただ,

その後もD. dubiaの学名を使っている文献(田中, 2002)も見られる. サイズ:掩卵している単為生殖雌個体に対して頭 部 先 端 か ら 甲 殻 末 端 の 長 さ を 測 定 し た. 筆 者 が 1997年に城沼で採集した標本と,五味標本・片山 標本の測定を合わせて行った.結果は0.8~1.3 mm (平均±平均分散=1.07±0.036 mm, N=13)であっ た. た だ し,1997年 の み の 標 本 の 長 さ は1.1~ 1.3 mm(1.19±0.006 mm, N=9)であったのに対し, 五 味・ 片 山 標 本(1956~1960年)で は0.8~0.9 mm (0.82±0.001 mm, N=4)であり,新しい標本に比 べ古い標本はサイズが小さかった. 全体形状(図2-A):頭部が非常に大きく,全長 の約1/3を占める.眼は頭部の腹側中央部に位置し ている. 第2触角(図2-A, B, C):強大で殻の後端に達す るかそれを超えている.剛毛 (seta) 式は4-8/0-1-4で ある.基節の末端に細くて短い刺(spine, 図2-B) が ある.外肢末節末端背側には1個のフック状に曲 がった刺がある(図2-C).このフック状の刺は本 種の特徴の一つである. 後腹部(図2-D):後腹部末端の刺は強大で強く カーブし,内側に太い櫛状歯 (comb) が並んでいる. また,大きな3本のゆるやかにカーブした基刺 (bas-al spine) がある.さらに後腹部の側面には,短い刺 列群が多数生えている. 甲殻の後腹部辺縁(図2-E):甲殻の後腹部辺縁 に生えている剛毛 (seta), 刺状突起 (spin), 歯状突起 (denticle) が,Diaphanosoma属の分類に重要である. 城沼産のD. dubiumでは甲殻辺縁に20~25本の短く ややカーブした歯状突起が並んでいる.またこの歯 状突起が生え始める場所の前部には4~5本の剛毛 が生えている.そして甲殻辺縁の内側に小刺列があ る. 分布:Korovchinskyならびに田中晋によると,ア ムール川地域,中国東部,モンゴル東部,バングラ ディシュに分布しており,日本にも分布する可能性 を示している (Korovchinsky, 1992; 田中,1995).田 中正明は,本種は「全国の湖沼,溜池などに広く見 られる」としている(田中・牧田,2017).群馬県 内では,後に述べるように平野部の池沼に分布する (図7). 雄は,群馬県では発見されていない. 2) Diaphanosoma orientalis(トウヨウオナガミジ ンコ)単為生殖雌(図3, 図4) 命名:

Korovchinskにより新種記載された(Koro-図1. Diaphanosoma dubium Maunilova, 1964. 単為

生殖雌(IC-516, スケールは100 μm).

注: IC-516は 群 馬 県 立 自 然 史 博 物 館 の 標

本 番 号 の 省 略 形. 正 式 に は

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2. Diaphanosoma dubium Maunilova, 1964. 単為生殖雌.A:側面図(IC-516).B:第2触角基節(IC-519). C:第2触角外肢末節末端(IC-520).D:後腹部(IC-518).E:甲殻後腹部辺縁(IC-517).(スケール: A=100 μm, B–E=50 μm).

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井田宏一 vchinsky, 1986). サイズ:掩卵している単為生殖雌個体の頭部先端 から甲殻末端の長さを五味標本・片山標本に対して 測 定 し た. 結 果 は0.7~0.9 mm(0.78±0.006 mm, N=7)であった. 全体形状(図4-A):頭部は小さく全長の1/4程度 である.眼は頭部の先端近くに位置する. 第2触角(図4-A, B, C):第2触角はD. dubiumと 比較すると細くて短く,甲殻を超えることはない. 剛毛式は4–8/0–1–4である.基節の末端に細くて短 い刺がある(図4-B).外肢末節末端背側には1個の 刺があるが,この刺はD. dubiumと異なり直線状で ある(図4-C). 後腹部(図4-D):後腹部末端の刺は強大で強く カーブし,内側に櫛状歯を有する.また,3本のゆ るやかにカーブした基刺がある.さらに後腹部の側 面には,短い刺列群が数群生えている. 甲殻の後腹部辺縁(図4-E):約30本程度の歯状 突起があり,その前端から後端にかけて10本程度 の剛毛がまばらに生じている.甲殻辺縁の後部内側 には小刺列がある. 分布:Korovchinskyならびに田中晋によると日本 の檜原湖(福島県)とHatori-ko(本州)に分布して い る と あ る が(Korovchinsky, 1986, 1992; 田 中, 1995),インターネットを用いて「はとり湖」で検 索したところ,猪苗代湖の南に「羽鳥湖」という湖 が存在することがわかった.檜原湖との距離を考え ると,「Hatori-ko(本州)」とは,羽鳥湖(福島県) のことと推測される.田中正明は「本種は琵琶湖, 青森県,山形県などからも知られているが,検討を 要する」としている(田中・牧田,2017).群馬県 内 で は, 赤 城 大 沼 と 榛 名 湖 か ら 採 集 さ れ て い る (図7). 雄は群馬県では発見されていない.

3) Diaphanosoma brachyurum species group(オナ

ガミジンコ種群)単為生殖雌(図5, 図6) 分布と命名:この種群は世界に広く分布している が,地域ごとに変異があり,詳しく研究すれば,い くつかの種に分類されると考えられている.本種群 についての以下の記載は,五味・片山標本に基づ く. サイズ:掩卵している単為生殖雌個体の頭部先端 から甲殻末端の長さを測定した結果は0.9~1.2 mm0.96±0.014 mm, N=7)であった. 全体形状(図6-A):頭部は小さく全長の1/4程度 である.眼は頭部の先端近くに位置し.D. orientalis よりも大きいが,全体形状からどちらであるかを同 定することは難しい. 第2触 角(図6-A, B, C):D. orientalisと 同 様 で, D. dubiumと比較すると細く短い.剛毛式は4-8/0-1-4である.基節の末端に細くて短い刺がある(図 6-B).外肢末節末端背側には1個の刺があるが,こ の刺はD. orientalisと同じく直線状である(図6-C). 後腹部(図6-D):後腹部もD. orientalisと類似し ている.後腹部末端の刺は強大で強くカーブし,内 側に櫛状歯を有する.また,3本のゆるやかにカー ブした基刺がある.さらに後腹部の側面には,短い 刺列群が数群生えている. 甲殻の後腹部辺縁(図6-E):約10本程度の比較 的長い歯状突起があり,その1本1本の後ろに1~3 本 の 短 い 歯 状 突 起 を 持 ち2~4本の歯状突起のグ ループを形成している.この歯列の前部に2~3本 の剛毛が生えている.また,甲殻後部辺縁の内側に は,甲殻辺縁と平行な比較的長い刺がある. 分布:世界各地に分布している.本県では主に北 部山岳地帯の池沼に分布している(図7). 雄は本県では発見されていない. 本種は,田中・小鹿(2009)が新種として発表し

Diaphanosoma nipponica Tanaka & Ojika, 2009 (ニッポンオナガミジンコ)と酷似するが,雌の尾

爪の内側に櫛状歯があるため(図6-D),

Diaphanoso-ma nipponicaと は 別 種 のDiaphanosoDiaphanoso-ma brachyurum 3. Diaphanosoma orientalis Korovchinsky, 1986.

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species group種群とした.今後の詳しい検討が必要 である. 4) 群馬県に産するDiaphanosoma属の検索表 1 頭部は大きく突出し体長の1/3程度を占め,眼 は頭部の中央腹面にある(図2-A).第2触角外 肢末節末端背側には1本のフック状の刺がある (図2-C).甲殻の後腹部辺縁には20~25本の短 くややカーブした歯状突起が並んでいる(図

2-E) D. dubium Manuilova, 1964

―頭部は体長の1/4以下

2 第2触角外肢末節末端背側には1本の直線状の刺

がある(図4-C).甲殻の後腹部辺縁は約30本程

4. Diaphanosoma orientalis Korovchinsky, 1986. 単為生殖雌A:側面図(IC-532).B:第2触角基節(IC-533).

C:第2触角外肢末節末端(IC-533).D:後腹部(IC-534).E:甲殻後腹部辺縁(IC-535).(スケール:A

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井田宏一

度の歯状突起が生えており,その前端から後端

にかけて10本程度の剛毛がまばらに生じている

(図4-E) D. orientalis Korovchinsky, 1986

―第2触角外肢末節末端背側には1本の直線状の刺 がある(図6-C).甲殻の後腹部辺縁には約10本 程度の比較的長い歯状突起があり,その1本1本 の後ろに1~3本の短い歯状突起を持つ.甲殻の 後部辺縁の内側には,甲殻辺縁と平行な比較的長 い刺がある(図6-E)

D. brachyurum species group

5) 五味・片山標本の検鏡結果 五味標本の動物プランクトン標本は1953年の榛 名湖から1970年の尾瀬ヶ原までの県内各地の動物 プランクトンのロット標本35本,片山標本は1956 年の尾瀬沼から1993年の榛名湖までの県内各地の 動物プランクトンのロット標本31本が保管されて いた.合計 66本のロット標本を調べたところ,Di-aphanosoma属のミジンコが見いだせたものが31本 あった.そのうち,単為生殖成体雌個体が見いだ せ,同定することができたのが26本であった.こ れに筆者が1997年に城沼で採集したD. dubiumの標 本を合わせると27本のロット標本のDiaphanosoma 属が同定できたことになる(表1.注:1997年に井 田が採集したデータを含む).なお,これらの標本 の中に雄個体を見いだすことはできなかった. 表1の 標 本 番 号 は 群 馬 県 立 自 然 史 博 物 館 (GMNH)のものである.地域名のうち,板倉沼と びるだ沼は埋め立てられて現存しない.三次メッ シュは現在のものを用いている. この表1によると,D. dubiumは群馬県の東部地 域の平地湖沼に,D. orientalisは赤城大沼と榛名湖

に,D. brachyurum species groupは尾瀬地域に分布し ていることがわかる.

五味標本・片山標本からわかる出現年代はD.

du-biumが1956年から,D. orientalisは1953年から,D. brachyurum species groupは1956年からであることが わかる.実際には採集された標本の年代以前から, 県内の各地に3種が生息していたものと考えられ る. 考 察 D. dubiumのサイズは,五味標本や片山標本の古 い標本は小さく,1997年に採集した新しい標本は 大きい.これは,古い標本の長年にわたるホルマリ ンの影響か,ホルマリン濃度の濃さによる影響が考 えられる.実際,五味・片山標本には強いホルマリ ン臭がした.しかし過去の個体は実際に小さく,最 近の個体が大きくなったことも排除できない. 表2に2000年以降の,筆者が群馬県内の各地湖沼 のDiaphanosoma属動物プランクトンを調査した結 果を示した.また図 7に五味標本,片山標本のDi-aphanosoma属の出現結果を合わせた分布図を示し た.これを見ると,安中市や富岡市の群馬県西部の 平地湖沼にもD. dubiumが分布しており,草津白根

山の池沼にはD. brachyurum species groupが生息し

ていることがわかる.表2のN01, 新山溜池(安中

市) の よ う にD. dubiumとD. brachyurum species

groupが混在する場所もあるが,群馬県の平野部の

湖沼には主にD. dubiumが,北部山岳地帯の池沼に

は主にD. brachyurum species groupが分布している と考えられる. D. orientalisについては,筆者が2006年8月23日 と2008年7月13日に榛名湖で動物プランクトンの 採集を行ったが,Diaphanosoma属のミジンコは見 いだせなかった.赤城大沼では近年採集は行ってい ない. 以上述べてきたように,群馬県には少なくとも3 種のDiaphanosoma属のミジンコが生息しており, 各種の生息年代については,五味標本,片山標本の 検鏡結果から,各種とも1950年代以前から群馬県 内に生息していたと考えられる. またその分布については,D. dubiumは平地湖沼

5.  Diaphanosoma brachyurum species group単為生殖

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に,D. orientalisは榛名湖や赤城大沼などの大きな

山地湖沼に,D. brachyurum species groupは北部山岳

地帯の池塘や池沼に主に生息していると考えられ

る.ただしD. orientalisについては近年の調査では,

榛名湖には出現しておらず,赤城大沼の調査は行わ

れていないので,今後夏季の榛名湖と赤城大沼の動 物プランクトンの調査を行う必要があると考える.

また北部山岳地帯のD. brachyurum species group

についても今後の詳細な種の検討が必要と考える.

なお,田中正明らはD. dubiumに「オオアタマミ

6. Diaphanosoma brachyurum species group単為生殖雌.A:側面図(IC-542).B:第2触角基節(IC-543). C:第2触角外肢末節末端(IC-543).D:後腹部(IC-544).E:甲殻後腹部辺縁(IC-545).(スケール: A=100 μm, B–E=50 μm).

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井田宏一 表1.  五味標本・片山標本  Diaphanosoma 属 標本リスト NO. 群馬県立自然史 博物館ロット標本番号 群馬県立自然史博物館甲殻類 プレパラート標本番号 Diaphanosoma  種名 地域名 三次メッシュ 採集年月日 採集者氏名 1 ZK0000304 IC0000546 D. dubium 多々良沼 5439–3309 ・ 3400 1956/8/3 五味礼夫 2 ZK0000295 IC0000547 D. dubium 城沼 5439–2484 ・ 85 1956/8/4 五味礼夫 3 ZK0000566 IC0000548 D. dubium 城沼 5439–2484 ・ 85 1956/8/4 片山満秋 4 ZK0000303 IC0000510 D. dubium 多々良沼 5439–3309 ・ 3400 1957/7/19 五味礼夫 5 ZK0000563 IC000051 1 D. dubium 板倉沼 5439–2560 付近  *1 1957/10/13 片山満秋 6 ZK0000296 IC0000512 D. dubium 城沼 5439–2484 ・ 85 1961/9/24 五味礼夫 7 ZK0000564 IC0000513 D. dubium びるだ沼 5439–2457 付近  *2 1993/8/4 片山満秋 8 ZK0000528 IC0000514 D. dubium 波志江沼 5439–4125 ・ 35 1993/8/24 片山満秋 9 ZK0000322 IC0000515 D. dubium 近藤沼 5439–2460 1960/8/4 五味礼夫 10 IC0000516, 517, 518, 519, 520 D. dubium 城沼 5439–2484 ・ 85 1997/6/21 井田宏一 11 ZK0000347 IC0000521 D. orientalis 榛名湖 5438–5669 ・ 70 1953/8/22 五味礼夫 12 ZK0000286 IC0000522 D. orientalis 赤城大沼 5439–6154 ・ 64 1956/7/29 五味礼夫 13 ZK0000353 IC0000523 D. orientalis 赤城大沼 5439–6154 ・ 64 1962/7/31 五味礼夫 14 ZK0000349 IC0000524 D. orientalis 榛名湖 5438–5669 ・ 70 1962/8/4 五味礼夫 15 ZK0000476 IC0000525 D. orientalis 赤城大沼 5439–6154 ・ 64 1969/8/20 片山満秋 16 ZK0000478 IC0000526, 533 D. orientalis 赤城大沼 5439–6154 ・ 64 1970/8/25 片山満秋 17 ZK0000480 IC0000527 D. orientalis 赤城大沼 5439–6154 ・ 64 1972/8/18 片山満秋 18 ZK0000556 IC0000528, 529, 535 D. orientalis 榛名湖 5438–5669 ・ 70 1991/8/7 片山満秋 19 ZK0000405 IC0000530 D. orientalis 榛名湖 5438–5669 ・ 70 1991/8/17 片山満秋 20 ZK0000557 IC0000531 D. orientalis 榛名湖 5438–5669 ・ 70 1993/8/24 片山満秋 21 ZK0000482 IC0000532, 534 D. orientalis 赤城大沼 5439–6154 ・ 64 1991/8/16 片山満秋 22 ZK0000460 IC0000536, 545 D. brachyurum species group 尾瀬沼 5539–3204 ・ 14 1956/7/16 片山満秋 23 ZK0000445 IC0000537 D. brachyurum species group 尾瀬アヤメ平池塘 5539–2179 1956/7/17 片山満秋 24 ZK0000446 IC0000538, 539 D. brachyurum species group 尾瀬アヤメ平池塘 5539–2179 1956/7/18 片山満秋 25 ZK0000461 IC0000540 D. brachyurum species group 尾瀬沼 5539–3204 ・ 14 1962/8/23 片山満秋 26 ZK0000355 IC0000541, 542, 543 D. brachyurum species group 尾瀬中田代池 5539–31 18 付近 1970/8/5 五味礼夫 27 ZK0000357 IC0000544 D. brachyurum species group 尾瀬見本園 5539–2195 1968/7/6 五味礼夫 注: *1, *2は埋め立てられ 2019 年現在,存在しない.また, 1997 年に井田が採集した標本も含む (NO.10)

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2.   2000 年以降の Diaphanosoma 属出現種リスト. NO. 地域名 三次メッシュ 採集年月日 Diaphanosoma  出現結果 文献 備考 1 新山溜池(安中市) 5438–3766 2000/7/27 D. dubium , D. brachyurum species group 井田 (2001) D. dubiumD. brachyurum が混在 2 谷田川本流(板倉町八軒樋) 5439–2540 2002/8/1 D. dubium 井田 (2003) 3 一の坂 1(st2) (富岡市) 5438–3746 2004/7/27 D. dubium 井田 (2006) 4 一の坂 2(st3) (富岡市) 5438–3745 2004/7/27 D. dubium 井田 (2006) 5 一の坂 3(st4) (富岡市) 5438–3745 2004/7/27 D. dubium 井田 (2006) 6 蕨 (st8) (富岡市) 5438–3746 2004/7/27 D. dubium 井田 (2006) 7 天神池(板倉町) 5439–2549 2008/8/14 D. dubium 井田 (2009) 8 肘曲り池(板倉町) 5439–2540 2008/8/14 D. dubium 井田 (2009) 9 外柄池(板倉町) 5439–2540 ・ 50 2008/8/14 D. dubium 井田 (2009) 10 行人沼(板倉町) 5439–2550 ・ 51 2008/8/14 D. dubium 井田 (2009) 11 東洋大北調整池(板倉町) 5439–2561 ・ 71 2008/8/14 D. dubium 井田 (2009) 12 茂林寺沼(館林市) 5439–2462 2013/8/27 D. dubium 井田 (2014) 13 武具脱の池(草津町) 5438–7445 ・ 55 2014/9/15 D. b ra ch yu ru m sp ec ie s group 井田 (2015) 14 イモリ池(草津町) 5438–7453 2014/9/15 D. b ra ch yu ru m sp ec ie s group 井田 (2015) 注: 2006 年 8 月 23 日と 2008 年 7 月 13 日に榛名湖の動物プランクトンを調査したが, Diap hanosoma 属は見い出せなかった

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井田宏一 ジンコ」の和名を与えている(田中,2002;田中・ 牧田2017) が,筆者は本種の和名は「オオアタマオ ナガミジンコ」と改称するべきだと考える. Diaph-anosoma属の和名は「オナガミジンコ」属であるか らであり,単なる「ミジンコ」属の学名はDaphnia であるからである.Daphnia属の種にも,たとえば D. galeataのように頭部の大きな種が存在するので, 混乱を招きやすいと思われる. 謝 辞 本稿を執筆するにあたり,D. dubiumを同定して いただいたロシア科学アカデミーのKorovchinsky博 士,ならびにKorovchinsky博士に標本を送っていた だき,さらに本稿を通読して助言をいただいた元富 山大学教授田中晋博士に深謝する. 引用文献 井田宏一,1982. オナガミジンコ(Diapanosoma brachy-urum)の 大 頭 型 は 別 種D. leuchtenbergianumか?  群馬生物,31: 34. 井田宏一,2001. 谷津田(西毛地区), ク.動物プラン クトン.良好な自然環境を有する地域学術調査報 告書(XXVII), 群馬県自然環境課:41–42. 井田宏一,2003.谷田川下流域(動物), イ.谷田川下 流部の動物プランクトン.良好な自然環境を有す る地域学術調査報告書(XXIX), 群馬県自然環境 課:409–411. 井田宏一,2006.鏑川以北の里山地域,(6)動物プラン クトン.良好な自然環境を有する地域学術調査報 告書(XXXI), 群馬県自然環境課:70–72. 井田宏一,2009.板倉地域ウエットランド,(9)動物プ ランクトン,良好な自然環境を有する地域学術調 査報告書(XXXV), 群馬県自然環境課:59–63. 井田宏一,2014.茂林寺沼湿原周辺,(8)動物プランク トン,良好な自然環境を有する地域学術調査報告 書(XXXX), 群馬県自然環境課:77–79. 井田宏一,2015.草津白根山およびその周辺,(4)動物 プランクトン,良好な自然環境を有する地域学術 調査報告書(41号), 群馬県自然環境課:147–148.

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図 1.   Diaphanosoma dubium Maunilova, 1964.  単為 生殖雌( IC-516,  スケールは 100 μm ) . 注:  IC-516 は 群 馬 県 立 自 然 史 博 物 館 の 標
図 2.   Diaphanosoma dubium Maunilova, 1964.  単為生殖雌. A :側面図( IC-516 ) . B :第 2 触角基節( IC-519 ) . C :第 2 触角外肢末節末端( IC-520 ) . D :後腹部( IC-518 ) . E :甲殻後腹部辺縁( IC-517 ) . (スケール:
表 1. 五味標本・片山標本 Diaphanosoma属 標本リスト NO.群馬県立自然史 博物館ロット標本番号群馬県立自然史博物館甲殻類プレパラート標本番号Diaphanosoma 種名地域名三次メッシュ採集年月日採集者氏名 1ZK0000304IC0000546D

参照

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