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18th Annual International Multisensory Research Forum参加報告

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Academic year: 2021

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DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.36.32

175 湯淺:「18th Annual International Multisensory Research Forum」参加報告

18th Annual International Multisensory Research Forum参加報告

湯 淺 健 一

a, b

a国立研究開発法人 情報通信研究機構脳 脳情報通信融合研究センター

b日本学術振興会

18th Annual International Multisensory Research Forum

Kenichi Yuasa

a, b

aCenter for Information and Neural Networks (CiNet), National Institute of Information and Communications Technology bJapan Society for the Promotion of Science

This short note is a report on “18th Annual International Multisensory Research Forum”. The forum was held at Vanderbilt University, located in Nashville, Tennessee, and organized by Professor Mark T. Wallace. Symposiums by faculties mainly accounted for the forum, which was useful to understand the research interest of each laboratory.

Keywords: IMRF2017, multimodal, multisensory, audio-visual

2017年5月19日∼5月22日の4日間にわたって,多感 覚知覚研究に関する国際会議である18th Annual Interna-tional Multisensory Research Forum (IMRF2017)が,米国 テネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学に て開催された(Figure 1)。本年は同大学大学院の長を務 め,多感覚知覚の分野で多大な功績を残されている Mark T. Wallace教授が主催を務め,John J. Foxe, Micah M. Murrayといった教授陣によるシンポジウムが行われた。 スケジュールの1日目はワークショップとレセプショ ンが中心となっており,2日目から4日目の3日間が本 番となる。構成は午前中に休憩を挟んで2つのシンポジ ウムとトーク,午後にシンポジウム,ポスター,レク チャーと進行する。驚いたのはポスターセッションで地 ビールやワインが提供されることで,互いにビール瓶片 手に白熱した議論をしている姿が至るところで見受けら れた。会議は3つのレクチャー,7つのシンポジウム,2 つのトーク,3つのポスターセッションで構成され,シ ンポジウム中心の会議である印象を受けた。1日目に開 催されたワークショップを除き,複数のセッションが同 時開催されることはなく,どちらを聞こうと悩む必要が なかったのがありがたかった。これは始めから多感覚と いう限られたトピックで開催されている会議なればこそ だろう。会場は隣接したシンポジウム会場とポスター会 場の2つに分かれ,大規模でなかったことから行き来が 容易であった。そのため,ポスターセッションが各1時 間15分と時間不足が否めないこともあり,会場間を往 復する姿もしばしば見受けられた。 学会に参加して感じたのが,視聴覚を題材とした研究 の多さだった。McGurk効果やBouba–Kiki効果を題材と した研究も多く,過去の多感覚研究の文脈に根差した研 究が多く見られた。次いでRubber hand illusionに代表さ The Japanese Journal of Psychonomic Science

2017, Vol. 36, No. 1, 175–176

報  告

Copyright 2017. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved. Corresponding address: Center for Information and Neural

Networks (CiNet), National Institute of Information and Communications Technology, 1–4 Yamadaoka, Suita-shi,

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176 基礎心理学研究 第36巻 第1号 れるような視触覚間の相互作用や,感覚運動連合に関す

る研究が見られた。近年の傾向として,神経科学系で最 も メ ジ ャ ー な国 際 学 会 で あ る Society for Neuroscience (SfN) の年次大会では,多感覚系のセッションは視触覚 および視覚運動間の感覚連合に関する研究報告が多く なっており,視聴覚の研究は近年減少していた。しか し,IMRFでの傾向を見ていると,視聴覚研究の分野が 縮小しているわけではなく,運動系など様々な分野で応 用として多感覚研究が始まり多彩化しているのだと考え られる。またSfNがポスター中心で進行中の研究報告が 比較的多い学会である一方,IMRFでは上述のようにシ ンポジウム中心であったことも,特色の違いの一因と なっていると思われる。ポスターセッションも,SfNで は生理学寄りの研究が比較的多かったのに対し,行動実 験のみの心理学寄りの発表や,多感覚統合のモデルに関 する計算論的アプローチの発表も多く見られた。一方で 脳機能計測を伴う研究は少なめで,EEGを用いた研究は 一定数あったものの,MEGやfMRIを用いた研究は余り 多くなかった。トークセッションは非常に限られてお り,学生のセッションとポスドク以上のセッションがそ れぞれ1時間半で1回ずつであった。演者は主催側で選 抜されており,試行ごとの脳波からその瞬間の視聴覚統 合の時間解像度を予測する研究など,挑戦的で興味深い 発表が多かった。シンポジウムの総合的な印象として は,病理学的アプローチによる自閉症患者との比較研究 や発達研究を用いた,多感覚情報統合に関する神経ネッ トワークの可塑性研究が多く見受けられた。また初期視 覚野−聴覚野間の相互作用に関して,視覚入力が阻害さ れた環境下での成長が及ぼす影響の検証も行われてい た。新しいアプローチとしては,仮想現実(VR)を取 り入れた研究も目に付いた。特に複数の感覚入力を必要 とする多感覚研究では,従来の実験室環境では難しかっ た研究を行うツールとして有用であると感じられた。 会議全体を振り返ると,シンポジウム中心のため進行 中の研究報告よりも,研究室を運営する教授陣による研 究成果の紹介を多く聞くことができるという印象が強 い。その中で最新のデータの紹介もあり,各演者の発表 後も非常に盛んに議論が交わされるなど,研究の流れと 各研究者の哲学が理解しやすい有意義な会議になってい たと思う。今回,Wallace教授からの招待を受け,海外 での研究活動を見据え滞在研究室を検討する目的も兼ね て参加したが,教授陣を中心としてこれまで行ってきた 研究と,それを踏まえて現在行っている研究を紹介する 本国際会議の形式は,研究室の比較,検討を行うのにと ても適していた。また3食すべて提供され,同じ会場で 食事を共にするため,同じ分野に興味を持つ研究者と親 交を深めるとてもよい機会となった。IMRFは門戸を広 げるために敢えて学会化していない一方,年会費などが ない分経営が困難だという話も聞こえてきた。本年初参 加し非常に魅力的な国際会議であると知ることができた ため,多感覚に興味を持っている方には是非積極的な参 加をお薦めしたい。

参照

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