1 リフォームビジネス拡大に向けた勉強会報告書(案) 1 2 平成26年5月取りまとめ 3 4 Ⅰ.検討の目的 5 人口の減少、少子高齢化の進展などにより、将来的に新築需要の減少が見込まれる。成熟 6 した社会の中で、住宅分野においても、これまでの新築主体からリソースシフトを行い、既 7 築ストックを有効に活用することが求められる時代になってきている。 8 政府においても、中古住宅の流通活性化と既存ストックのリフォーム拡大に向け、今後の施 9 策の検討を本格化したところ。 10 一方で、リフォーム分野において、これまでにない事業手法、異業種との連携といった新し 11 いビジネスモデルにより、新たな空間価値創造等を消費者に訴求し、成功してきている事例 12 が出てきている。 13 こうした状況を受けて、リフォームビジネスの一層の拡大・推進に向けて、改めてリフォーム 14 を「消費者の住まいに関する多様なニーズに応えるビジネス(サービス)」として注目し、先 15 進的なリフォームビジネスの実例分析等を通じ、リフォームビジネスの拡大に向けて有効な 16 施策の検討を行った。 17 18 19 Ⅱ.検討の対象としたリフォームの内容 20 ・ リフォームを種別に見ると、増改築等や大規模修繕などの大規模なものから、建物の性能 21 の向上や機能の高度化を図るリフォーム、そして、需要の過半数を占める住宅設備等の維 22 持・修繕といったメンテナンスのための小規模なものまで幅広くある。 23 本勉強会においては、実質的な住宅ストックの資産価値の大幅な向上につながる、以下の 24 ようなリフォームを主な検討の対象とした。 25 増改築、大規模修繕 26 性能向上・機能高度化(耐震性の向上、エネルギー使用効率の改善、バリアフリー化、 27 エネルギー管理(IT)システムの導入、創エネ、防災・防犯機能の付加等) 28 生活の場としての居住空間における快適性・居住性向上 29 ・ また、上記に併せて需要喚起を促す観点から、いまだ顕在化していない新規需要の掘り起 30 こしや、リフォームをより安心してできるようにするために必要な市場環境の整備について 31 も検討の対象とした。 32 33 34 資料3-1
2 Ⅲ.住宅・リフォーム業界を巡る現状と社会環境の変化 1 ※【 】は参考図表のページを示す 2 ○住宅・リフォーム業界を巡る社会環境の変化 3 人口は、2010 年をピークに、2050 年時点で約1/4が減少。少子・高齢化が進行(住宅の一 4 次取得世代である 30 代が 2020 年には 2013 年比で約 300 万人減少。)。 5 【参考図表 P.2:日本の人口動態の推移と予測】 6 東京、名古屋、大阪を中心とした三大都市圏で人口集中が継続。高度経済成長期に立地し 7 た大規模団地では、一斉に高齢化。2050 年(推計)には、居住地域の 6 割以上の地点で現 8 在の半分以下に人口が減少。また、現在居住している地点の約 2 割は無居住化。 9 【参考図表 P.3:2050 年の人口増減状況、 10 参考図表 P.4:首都圏での高齢化の伸び率と大規模団地】 11 人口が一定規模を下回ると、維持できなくなるサービスが増え、そのことがさらなる人口流 12 出を招く可能性があり、自治体のサービス維持・提供にかかる負担がさらに増大。市町村で 13 は、中心部へのより集中した居住と各種機能の集約等によるコンパクトシティの形成が不可 14 欠。 15 【参考図表 P.5:市町村規模と提供できるサービス】 16 17 ○住宅関連市場の将来動向 18 2008 年時点で、住宅ストック数は、総世帯数に対し、約 15%多く、量的には既に充足。2030 19 年には約 3 割の超過の見込み。 20 【参考図表 P.7:住宅ストックと世帯数の推移】 21 民間推計によれば、2030 年に新築着工件数は 70.5 万戸まで減少。 22 【参考図表 P.8:2030 年の新築着工戸数】 23 一方で、既存ストックの多くは、耐震性の強化や省エネ化が必要。また、高齢者の居住する 24 住宅のバリアフリー化も必ずしも進んでいるとは言えない。 25 【参考図表 P.9:耐震性・省エネの基準から見た既存住宅の割合】 26 住宅の一次取得者層の大部分を占める 30 代の平均年収、金融資産はともに大きく減少。 27 【参考図表 P.10:30 代男性の平均年収推移】 28 29 ○消費者志向の変化 30 消費者のニーズは、近年、「多少値段が高くても品質が良いもの」に変化。特に若年層にお 31 いて、「自分が気に入った付加価値には対価を払う」こだわりが強い。 32 【参考図表 P.12:基本的な消費価値の推移、参考図表 P.13:4 つの消費スタイル】 33 東日本大震災後の意識変化として、住まいについては、「省エネ性能」、「安全・安心」を重 34 視する層が増加。 35
3 【参考図表 P.14:震災後の商品・サービスの選択基準の変化】 1 住宅の購入意識について、「予算面」や「築年数よりもスペック重視」等の理由から、中古住 2 宅へのシフトも見られる。 3 【参考図表 P.15:消費者住宅購入意識調査】 4 5 ○リフォームビジネス市場 6 市場全体では約 6.7 兆円(2012 年)と微増。このうち、設備等の修繕維持が過半を占め、増 7 築・改築工事を伴うリフォームは6%程度で横ばい推移。民間調査では、市場の定義が異 8 なるものの、2016 年の市場規模を 8.7 兆円(対 2012 年増減率 10.7%増)と予測。 9 【参考図表 P.17:新設住宅着工戸数・住宅リフォームの市場規模の推移】 10 市場の担い手は、地場工務店が最も多く、リフォーム専業系、住宅メーカー、住宅設備・建 11 材メーカーの系列企業が主なところ。このうち、売上に占めるリフォーム事業の比率では、 12 住宅メーカーは2割以下と新築重視の傾向にあるほか、建材メーカーにおいても依然として 13 低い状況。また、工務店の受注単価は小規模にとどまっている。 14 【参考図表 P.18:主要なリフォーム業者、参考図表 P.19:大手住宅関連企業のリフォーム関 15 連事業の状況 JERCO 会員企業実態調査の特徴、大手建材メーカーのリフォーム関連事業 16 の状況】 17 リフォームの施主は 60 代が最も多く、全体の約4 割を占める。また、約半数は初めてのリフ 18 ォーム。受注が多い部位はキッチン、トイレ、浴室といった水廻り。 19 【参考図表 P.20:施主の年齢、前回のリフォーム時期、リフォームの部位】 20 リフォームに当たり、消費者は何らかの不安を抱えている。半数近くが「適正価格がわから 21 ない(不透明)」と回答。「適正な施工」、「誠意ある対応」、「業者選び」などリフォーム業者に 22 関わる点について心配している。 23 【参考図表 P.21:リフォームの際の不安や心配事】 24 建設産業の就業者数の推移をみると、技術者は特に 30~40 代で減少、技能労働者は若年 25 層の占める比率は少なく、高齢化が進展。また、新規学卒者の理工系入職者数の推移をみ 26 ると、大学等は微減、高校は半減。 27 【参考図表 P.22:学歴別建設業新規入職者数の推移、建設産業就業者の年齢構成】 28 29 30
4 Ⅳ.リフォームの担い手の事業モデル分析 1 リフォーム分野において、これまでにない事業手法、異業種との連携といった新しいビジネ 2 スモデルにより、新たな空間価値創造等を実現し、成功してきている事例がある。 3 本勉強会では、大きく分けて、①リフォーム専業及び地場工務店、②インターネットを利用し 4 た事業や住宅設備・建材の流通分野での強みを活用する企業、③特定のビジネス領域に 5 おいて前線で活動する企業について、関東圏を中心に約30社へのヒアリングを通じて、そ 6 の手法や強み、抱える課題等を分析した。 7 【リフォーム専業及び地場工務店】 8 施工の内製化や自社による建材・設備製造を通じて低コスト化を図ったり、需要開拓のため 9 に会員制住宅メンテナンスサービス提供等の事業を行うことで他の事業者と差別化を図っ 10 ているケースがみられた。また、地場工務店において、リフォームの「見える化」として、戸 11 建てリフォーム物件を一定期間展示した後に売却するという手法を取っているところがあっ 12 たほか、モデルハウスを設計事業者と組んでリフォームした事例などがみられた。 13 【インターネットを利用した事業や住宅設備・建材の流通分野での強みを活用する企業】 14 家電量販店においてリフォームの新規需要の掘り起こしに取り組む例や、ホームセンター 15 において複数の工事を組み合わせたリフォーム提案する例、総合量販店がグループ内の 16 連携を強みとして提案力で差別化を図る例がみられた。インターネット上のストアにおいて 17 消費者が自由に建材を選べる環境づくりを目指している事例では、全国的に取り組む施工 18 業者が不在という課題に直面している。 19 【新しいビジネスモデルにより特定の客層・事業領域において強みを発揮する企業】 20 「中古マンション」にターゲットを絞り、「コーディネータ」を軸に、不動産仲介、リノベーション、 21 金融をワンストップで提案するモデルを始め、従来は利益相反があるとされた不動産事業 22 者と設計施工事業者が事業連携しているケース、設計事務所が事業領域を不動産に拡げ 23 ているケースなど、独自のモデルで他社との差別化を実現している事例がみられた。また、 24 消費者志向を捉える取り組みとして、住宅に関心のあるメール会員 60 万人から消費者ニー 25 ズの把握に努めている企業、こだわりを持つ層に焦点をあて、建材・設備等を消費者自ら 26 が選択できるサイトを運営する企業も見られた。 27 28 また、上記の企業に対するヒアリングを通じて、中古住宅やマンション等のリフォーム・リノ 29 ベーションを進める上で、様々な規制等が障害となっているケースがあることがわかった。 30 さらに、本勉強会の議論の中では、規制に関連してリフォームに対する金融支援が十分で 31 ない背景として、築年数のみを基準とした建物評価が一般的であり、リフォーム等をしても 32 建物評価に適正に反映されないことが注目された。 33 34
5 Ⅴ.現在の住宅リフォーム市場が抱える課題への対応 1 ○建物の評価基準づくり、インスペクション及び金融支援 2 【問題の所在】 3 • リフォーム市場が拡大しない大きな理由の1つに、リフォームの際、新築と同様のロー 4 ンなどの金融支援が受けられないことがあげられる。 5 • これは、中古住宅の資産価値が新築時を起算点とした耐用年数を重要な根拠としており、 6 例えば、木造戸建ての場合20年を超えると価値がゼロと評価されてしまうことによっ 7 て、その中古住宅が必要となる借入れに十分な担保とならず、借りる場合でも担保なし 8 の条件となるため。 9 • 一方で、木造住宅をはじめとして、適切な修繕を行うことで住宅が耐用年数以上に長期 10 に使用可能であることは明確であり、「実質的経過年数」あるいは「使用可能な残存期 11 間」などを適正に評価し、明確化することが必要。 12 • 但し、単純に耐用年数を伸ばすと、固定資産税の扱いなど、派生的に問題が発生し、か 13 えって負担増となる可能性があるため、バランスの良い仕組みとすることが重要。 14 • この建物価値の適正な評価を行うためには、物差しとなる評価基準と評価を行うための 15 仕組み(インスペクション)が車の両輪として機能することが必要。 16 • なお、こうした建物の評価基準とインスペクションは、市場の需給動向により価格決定 17 する中で機能するものでなければならないとの指摘があった。 18 • また、昭和56年以前に建築された旧耐震基準による建築物については、ストック住宅 19 の中でも分けて考える必要があるとの指摘もあった。 20 21 【基本的な考え方とアプローチ】 22 現在、国土交通省が主催している中古住宅市場活性化ラウンドテーブルでは、金融庁と 23 協力し、金融支援を主要なテーマの一つと位置づけて、金融支援の拡大・強化の可能性 24 や、新たな建物評価指針の不動産・金融市場への定着について検討を行っている。 25 具体的には、中古住宅の建物評価手法等に関連して、建物の性能、品質に着目した評価 26 について、「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に係る指針」を策定し、同指針の不 27 動産・金融市場への定着に向け、「既存住宅価格査定マニュアル」の改訂等に取り組む 28 こととしている。 29 しかしながら、昨年策定したインスペクションガイドラインの運用、新たな建物評価の 30 改善に向けた指針の策定やその利用者に対する既存住宅価格査定マニュアルを提示す 31 るだけでは、それらのガイドラインや指針の活用への拘束力が十分でなく、建物評価の 32 仕組みが自律して機能していくためには、更なる対応が必要である旨、国土交通省に対 33 して働きかけを行う。 34 こうした中、建物評価基準の策定及びインスペクションについての最新の検討を踏まえ 35 て、金融機関の立場からより実用的なものとし、それらを金融支援スキームの運用の中 36 で実際に活用し、運用実績を踏まえてその基準や仕組みを発展させていくための検討を 37
6 行う。 1 2 3 【取り組むべき方向性】 4 リフォーム等による性能向上を行った中古住宅、マンション等の流通を活性化するた 5 め、賃貸事業者や買取再販事業者等を対象に、民間金融機関又は政府系金融機関、信用 6 保証協会が連携して、新たな金融支援のモデル事業を検討し、立ち上げる。 7 具体的には、民間金融機関又は政府系金融機関がローンを提供する際、リフォーム等に 8 よる建物評価の改善が進んでいない点に着目し、その評価の基準や仕組みの最新の検討 9 をベースに、金融機関の立場からより実用的なものとし、金融支援スキームの運用の中 10 で実際に活用し、運用実績を踏まえてその基準や仕組みを発展させ、将来的にその成果 11 を他の金融機関と共有していく。 12 更に上記の取組に加えて、リフォーム等による工事履歴情報が共有化できるような家歴 13 制度や、評価方法としての「スムストック」の活用等も併せて検討する。 14 15 (具体的なイメージ) 16 ※支援対象としては、増改築等や大規模修繕などの大規模なもの及び建物の性能向上・機 17 能高度化をイメージ。 18 19 20 ○人材の育成 21 【問題の所在】 22 リフォームに限らず、建設分野の技術者、技能労働者の不足は深刻。事業者にとってそ 23 の確保は非常に重要な課題。 24 一方で、大工の不足を背景に、大手建材メーカーは、プレカット製品など現場において 25 簡単に施工可能な商品の普及・利用を推し進めており、これが結果として大工を育成し 26 ても活躍する場/さらに技能を向上させる場を奪う悪循環を生み出している。 27
7 また、大学(建築)を卒業しても現場を全然知らない、建築分野に定着しないという問 1 題もあり、大学と地域の工務店等の連携により、学生の現場体験等を通じた建築業界へ 2 の人材定着、能力向上を図るとともに、当該分野で働くことの魅力発信を併せて行う必 3 要がある。 4 5 【基本的な考え方とアプローチ】 6 大手住宅メーカーは、職人の高齢化、不足が課題となる中、品質の維持・向上、技術の 7 伝承を図るため、若手人材の養成機関を設けるなどの活動を実施しており、引き続き継 8 続していく必要がある。 9 国土交通省では、建設産業の担い手の確保・育成のあり方を検討する中で、特に技能労 10 働者に対する教育訓練について、教育訓練センター(※)の充実強化を図る等の検討を 11 行っている。 12 ※「富士教育訓練センター」は、建設専門工事会社等が、平成 9 年に静岡県富士宮市 13 に開校した、建設技術者・技能者のための教育訓練施設。業界全体で共同利用が可 14 能な施設として、平成 26 年度末までの建替工事着手を予定。この中で、国交省から 15 の委託事業により、「リフォーム・メンテナンス技能者育成カリキュラム」を作成、 16 今年度、リフォームコース(内装施工、建築配管施工)の研修が実施される予定。 17 • 他方、大学等と地域の中小工務店では雇用のミスマッチ等が生じており、必ずしも建築 18 業界への人材定着等が十分でなく、更なる対応が必要であると考えられる。 19 20 【取り組むべき方向性】 21 大学等と地域の中小工務店のマッチングを通じて現場実習等の連携活動を中小企業施 22 策等の活用等により実施、その効果を見つつ規模を拡大し、建築業界への技術者の人材定 23 着、能力向上を図っていく。また、その中で女性ならではのきめ細かな配慮・感性等を活 24 かすための環境作りも検討していく。 25 26 ○規制改革 27 【取り組むべき方向性】 28 中古住宅やマンション等のリフォームやリノベーションを進める上で障害となってい 29 る様々な規制等について、関係省庁に規制緩和の働きかけを行うとともに、規制改革会議 30 や特区制度への提案、産業競争力強化法に基づく企業実証特例制度やグレーゾーン解消制 31 度の活用を促していく。 32 33 <具体的な項目例> 34 区分所有法(第 31 条 規約の設定、変更及び廃止):法務省 35 マンション標準管理規約(第 8 条 共用部分の範囲、別表第 2):国土交通省 36 築年数が経過しているマンション等の管理規約は、ただちに変更が難しく、リフォ 37 ーム等の妨げとなっているケースが存在(例:防音の観点でフローリングへの変更 38
8 が出来ない、壁にエアコンの穴を空けられない、共用部のサッシ交換ができない、 1 室内の古い給湯器をバルコニーに出せない等)。 2 管理規約における共用部・専有部の区分が不明確となっているケースが存在(例: 3 個別配水管の扱い等)。 4 5 減価償却資産の耐用年数に関する省令(財務省令):財務省 6 中古物件等は、現状の耐用年数で評価されてしまい、リフォーム等がなされても建 7 物価値が評価されないため、融資等において、担保価値が正当に評価されないこと 8 や貸付期間が短く設定される等の傾向あり。 9 10 割賦販売法(第 35 条の 3 の 23 個別信用購入あっせん業者の登録義務):経済産業省、 11 消費者庁 12 平成 20 年に規制強化され、金融機関等が提携ローンを行う場合は、個別あっせん 13 業者の登録を行わなければならず手続コスト等が増加。その結果、銀行ではリフォ 14 ーム提携ローンの提供を取り止めたケースが存在。 15 16 建設業法(第 3 条 建設業の許可): 国土交通省 17 500 万円以上の建設工事を請け負うためには、あらかじめ建設事業者としての許可 18 を受ける必要があるが、この金額より低い工事であれば、参入障壁なく誰でも行え 19 る。このため、悪徳リフォーム事業の存在を完全に排除することができない。 20 21 建築基準法(第 86 条の 7 既存の建築物に対する制限の緩和):国土交通省 22 リノベーションや増改築等に際し、確認申請が必要な建築物は、既存部分が適法か 23 否かの判断を求められ、事業者による確認等に大きなコストがかかる。又、その結 24 果、施主がリフォームを断念するケースも存在。 25 26 建築基準法(第 87 条 用途の変更に対するこの法律の準用) 27 検査済証のない建築物の用途変更ができない。 28 オフィスから住宅(共同住宅)への転用(コンバージョン)の場合は、特殊建築物 29 への転用に該当し、基準が厳しくなるため、用途変更が進まない要因となっている。 30 31 建築基準法施行令(第 119 条 通路の幅) 32 安全確保の観点から、リフォーム等を行う際に、通路にエアコンの室外機を置けな 33 いケースが存在。 34 35 ○優良なリフォーム事業者の見える化/認証 36 【問題の所在】 37 これまでリフォーム事業は、その効果と仕上がりが目に見えないだけでなく、価格につ 38
9 いても明確でない場合があり、結果として消費者は「どの事業者に頼んだら良いか分か 1 らない」という問題に常に直面している。 2 リフォームに係る様々なサービスを消費者が安心して選択できるよう、優良な事業者の 3 見える化を行い、さらにそれらの事業者の活動を積極的に後押ししていくことで、健全 4 なリフォーム市場を整備していくべきである。 5 また、優良なリフォーム事業者が取り扱った物件が明確となることも建物評価を行う上 6 で有用である。 7 8 【基本的な考え方とアプローチ】 9 優良な事業者の見える化を図るためには、リフォーム事業を幅広く対象として、その中 10 で真に優良な事業者が認証される仕組みを機能させることが必要である。 11 一方で、既に様々な団体や地方公共団体において、優良なリフォーム業者を区別するた 12 めの仕組みの運用が開始されている。また、国土交通省においては、「リフォーム評価 13 ナビ」へのリフォーム事業者の登録が既に実施されているほか、新たに事業者団体を通 14 じた適正なリフォーム事業者の登録の仕組みを検討中にある。その際、施工品質のみな 15 らず、消費者への提案力を兼ね備えた優良な事業者の見える化には、母数の絶対数の十 16 分な確保、その中から真に優良な事業者を選別するための要件の厳格化等を行っていく 17 必要がある。 18 19 【取り組むべき方向性】 20 今後、国土交通省で検討中の登録の仕組みが確立し、その運用実績を踏まえ、登録要 21 件の精緻化・厳格化等の見直しを行った上で、第三者認証の仕組みを構築することの 22 可能性・是否を検討するよう、国土交通省に働きかけを行う。 23 更に、第三者認証の仕組みが確立した場合には、認証された事業者を優良な事業者と 24 みなし、他の制度と組み合わせる(連動させる)ことにより、一定のインセンティブ 25 を付与する可能性を追求する。 26 27 ○普及広報の促進 28 【問題の所在】 29 リフォーム市場を現在の延長線ではないレベルで成長させるためには、住まい手・消費 30 者側の住宅の価値向上、最新リフォームの効果等に対する意識の向上が不可欠。 31 リフォームは、あらかじめその効果を実感することが難しい。特に新築の場合にモデル 32 住宅を見る際の「空間的なひろがり」を体験することができない。 33 また、中古住宅に住む/中古住宅を買うことに対するイメージを改善していく必要があ 34 る。 35 36 【基本的な考え方とアプローチ/取り組むべき方向性】 37 リフォームの効果について、企業が商品・サービスを消費者に訴求することについて、 38
10 関係する業界が一体的に取り組むことで、効果をあげられないか。政府としてもこうし 1 た取組を積極的に支援していく。 2 例えば、リフォームに携わる企業、関係団体等が連携してオールジャパンで、メディア 3 等を活用してリフォームによる「生活が変わる」ということについて社会的認知を高め 4 ることも効果がある(例:リフォームウィークの制定、建築・建材展や中小企業総合展 5 の活用等)。 6 リフォーム事業者が消費者に対して、リフォーム後の空間を実感できるようにするため 7 の取組の成功事例を収集し共有する。 8 また、企業はWEBサイト等で建材の組み合わせや価格などを提示する際に、各々の消 9 費者が嗜好に応じて選択できるようにし、あわせてリフォームによる生活価値(健康・ 10 快適性)の向上、商品情報、施工情報等をわかりやすく発信していく(例:カタらボに 11 よる普及等)。 12 13 14 Ⅵ.社会ニーズに対応したリフォーム市場拡大の方向性 15 少子高齢化など、Ⅲ.において示された住まいに関する社会環境変化と将来の動向を踏 16 まえて、住宅・リフォームが、社会ニーズに対応していく中でどのような役割を果たす 17 ことができるか、そのためにどのような取組が必要かについて検討した。 18 19 ○魅力的なまちづくり・住環境の向上 20 今後も三大都市圏への人口集中が続く中、地域では都市部からの人口の積極的な受入れ 21 を通じた活力の維持・活性化が課題となる。その際に住宅は、人口受入れのための基本 22 インフラとなる。これにリフォームや空きストックの活用を含む住環境の改善を通じて、 23 地域の魅力を高めていくことができる。 24 地方や郊外では、地方への移住者、その職の確保、住み続けたいと思う魅力的なまちづ 25 くりに向けて、今後、地域毎のテーマの設定とそれに向けた地域ぐるみの取組が重要と 26 なる。その際、地域の特徴やコンセプトを踏まえた、まち全体のリノベーションを行う 27 ことも有効な方法の一つ。こうした各地の取組の成功事例をとりまとめ、情報発信して 28 いくことが重要。 29 また、住環境を向上させる取り組みとして、例えば、安全・安心の向上、耐震の強化、 30 暮らしやすさの改善といった社会ニーズに対応した製品・サービスの開発等が個別企業 31 により取り組まれており、住宅をプラットフォームとした需要の拡大が必要。 32 33 【取り組むべき方向性】 34 魅力的なまちづくりの中で、産学官の連携等を通じて、住宅・リフォーム、住環境の果た 35 す役割をさらに高めていく。また、社会ニーズに対応した製品・サービスの開発等の促 36 進等を含めて、未来型の住環境を検討する場を設けるなど、引き続き需要の拡大に向け 37
11 た方策を検討していく。 1 2 ○地域のものづくりと住まいの連携 3 地域の中小企業等が有するものづくり力や地域材を活用した、地域独自の商品やサービ 4 スの提供を支援する、また、新たなサービスを提供するベンチャー企業の育成、大学等 5 によるコミュニティビジネス創出などの環境を整備するといった手法を通じて、住ま 6 い・暮らしの充実を促進することも重要。 7 その際、経済産業省が行っている中小企業支援や地域産業支援の枠組等を活用して、新 8 ビジネスを創出する仕組みを構築していく。具体的な展開例としては、ビジネスマッチ 9 ングの実施やリフォーム市場が有するポテンシャルをビジネスチャンスとして提示す 10 るといったことがあげられる。 11 更に、従来の住宅・リフォーム分野のプレーヤーに加えて、地域に根ざした企業など多 12 様な主体が参画し、プレーヤー間の新たな連携を通じて、新商品や新サービスの開発、 13 販路拡大等を地域の実情に併せて進めるなど、地域中小企業の挑戦の機会を創出する環 14 境を整えていくことが必要。 15 16 【取り組むべき方向性】 17 地域の中小企業等の持つ強みをリフォーム分野で発揮し、新ビジネスが創出できるよ 18 う、新たな事業者間の連携を促進する環境整備に取り組む。 19 20 ○エネルギーマネジメント 21 我が国の民生部門におけるエネルギー消費量は全体の 3 割以上を占め、産業分野と比し 22 てこれまでの増加も顕著であり、省エネルギー対策の強化が求められている。 23 また、東日本大震災以降、消費者のエネルギーに対する意識はさらに高まり、政府とし 24 て、「規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、2020 年までに新築住宅・ 25 建築物について段階的に省エネルギー基準の適合を義務化する。」ことを掲げている。 26 こうした状況を踏まえ、住宅ストックの省エネ性能改善の可能性に着目すると、現行基 27 準と比較して省エネルギー性能が十分でない昭和55年、平成4年基準で建築された住 28 宅を断熱向上等のリフォームをすることで効果が高いと考えられる。 29 エコポイント制度を契機として、新築における省エネルギー基準への適合の割合は著し 30 く改善してきているものの、依然省エネリフォームに対する各種支援制度等の整備・改 31 善を求める声が大きい。 32 また、省エネルギーリフォームを促進するに当たり、特に断熱性の効果が把握しにくい 33 中、可能な範囲でその見える化(例:住宅の燃費表示)に向けて努力しつつ、併せて、 34 住まい手の住宅のエネルギー面での性能向上に対する意識向上と責任の自覚に向けて 35 取り組むことが重要。 36 37
12 【取り組むべき方向性】 1 住宅ストックの省エネルギー性能向上が求められる中、各種支援制度の改善やその効果 2 の「見える化」に引き続き取り組む。 3 4 ○より安全・安心な住まいの実現 5 東日本大震災以降、「安全性」を重視する消費者が増加。消費者の意識は、「より品質が 6 良いもの」、「より自分のライフスタイルにあったもの」に必要な対価を払う方向に変化。 7 一方、耐震や耐久性向上のための改修効果は「目に見えにくい」という問題がある。ま 8 た、これらの技術については、依然として新たな改修技術の開発とその検証が必要。 9 より安全・安心な暮らしを実現するための住宅関連サービス、住宅設備の導入等に対す 10 る各種補助制度の充実や情報提供による消費者の更なる啓発が求められる。 11 12 【取り組むべき方向性】 13 より安全・安心な暮らしが求められる中、耐震・耐久性向上のための住宅関連のサービ 14 ス、住宅設備の導入等に対する支援や情報提供による更なる啓発を図っていく。 15 16 ○高齢化・在宅医療への対応 17 高齢化の進展、要介護者の増加に対する対応に加えて、健康寿命延長のための病気・ト 18 ラブルの防止に向けて、住宅及びリフォームが果たす役割は大きい。また、今後、必要 19 性が高まってくると考えられる在宅医療への対応も期待される。 20 バリアフリー、要介護者対応の需要が少ないことにより、関連する設備や建材が高価格 21 であることが市場拡大につながらない要因の一つと考えられる。 22 また、高断熱、高気密による適切な室内温度の維持が健康に与える影響に対する認知度 23 を高めることや、関連する補助制度の拡充が対応策として考えられる。 24 25 【取り組むべき方向性】 26 住宅における健康環境増進に向けたリフォームの重要性についての認知度を高める。 27 28 29 30
13 Ⅶ.リフォーム関連産業の今後の方向性について 1 2 今後のリフォームビジネスの拡大に当たっては、リフォーム市場の各プレーヤーがその 3 期待される役割を果たしていくとともに、異なる業界からの新たな参入を受け入れつつ、 4 プレーヤー間の連携を深めることにより、市場の活性化を図り、さらに魅力的な提案を行 5 いながら住まい手のニーズにきめ細かに対応していくことが重要である。 6 7 ○中小工務店・リフォーム事業者に期待される役割 8 これまで地域に根ざして住宅を建築し、関連するサービスを供給してきた中小工務店が、 9 これまでの地域とのつながりを活かし、家守的な役割として存在する意義は大きい。 10 また、リフォームは、住まい手の多様で複雑なニーズに対し、可能な工法、必要な建材 11 と住宅設備を利用してソリューションを与える高度なサービス業と言える。そのサービ 12 ス提供には、建築、不動産、金融など多岐にわたる分野の知識と経験が必要である。 13 地域の中小工務店、リフォーム事業者は、効果的なビジネスモデルにより、きめ細かく 14 消費者ニーズを汲み取り、そこで自らの強みを活かしてニーズに対応していくことが求 15 められる。 16 17 ○大手住宅メーカーに期待される役割 18 大量生産・大量供給の新築住宅とは異なり個別対応となるリフォームでは、大手メーカ 19 ーが得意とする規模の経済が機能せず、利益率の低さや職人不足も伴い、全国一律での 20 サービス提供・品質確保に課題がある。 21 将来の住宅需要を踏まえて、現在の事業状況を打開する、リフォーム分野で十分な利益 22 創出が可能な事業モデルを開発し、新築重視であった企業活動を思い切ってリフォーム 23 事業への意識改革を行い、具体的な組織、人員等のリソースをシフトしていくことが求 24 められる。 25 26 ○建材・住宅設備メーカーに期待される役割 27 建材・住宅設備メーカーでは、職人の減少や低コスト化への対応などから、省施工化に 28 つながるリフォーム建材・住宅設備開発が大きなテーマとなっている。一方、優良なリ 29 フォーム事業者からは、シンプルな建材や半製品に自ら付加価値を与えて施工したいと 30 の要望がある。こうした両面からのニーズに対し、リフォームの魅力訴求とリフォーム 31 分野の人材育成の活性化の観点から、バランスのとれた対応が求められる。 32 また、建材・設備の調達は利益重視やクレーム回避のためクローズドなシステムになっ 33 ている。このため、顧客が真に使いたいものを自由に選ぶことができていない。インタ 34 ーネットで消費者が自ら建材を選択する際、セレクトショップでモノを買い、自由に組 35 み合わせるといった手法が増えていることから、本分野でそうした市場の形成に協力し、 36 その中で「選ばれる」企業となるための努力が必要である。 37 リフォーム用建材・設備は、販売ルートの違いによる二重価格差の問題がある。また、 38
14 大量供給される新築用建材とは異なり、価格が高い。これら流通に関する課題の解消や 1 商品の標準化等について産業界において踏み込んだ対応に向けて検討することが必要 2 である。 3 4 ○地方自治体に期待される役割 5 都市部と比較して、地方部における中古住宅流通の活性化は容易でない。地方自治体に 6 おいては、一棟単位でのリフォーム、空き家対策という視点ではなく、地域単位で独自 7 のテーマを打ち出し、まちづくりという共通の横串を持って、周辺環境の整備や雇用創 8 出などの課題に取り組むことにより、まず住みたい街になることで、リフォーム需要が 9 掘り起こされると考えられる。 10 11 12 リフォームは新築にはない満足感が得られるチャンスであり、こうした供給側における 13 市場活性化の取り組みとともに、住まい手への普及啓発策と相まった消費者自身の意識の 14 向上が必要である。 15 16 ○住まい手(消費者)の責任 17 住宅は個人の所有物であるが、同時に社会で保有している資産であるとの意識を消費者 18 が持ち、住宅の定期的なメンテナンスによる性能維持等にも取り組むべきである。また、 19 家庭部門のエネルギー消費量が増加傾向であるという状況も鑑み、省エネ建材・設備の 20 利用にも積極的に取り組む自覚を持つことが重要である。 21 リフォームにより生活水準や利便性の向上、豊かな生活を見込むことができる。愛着感 22 を持って、古いものを長く、修理しながら大切に使うという意識を常に持つことが求め 23 られる。 24 25 26