IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems Vol.134 No.8 pp.1010–1015 DOI: 10.1541/ieejeiss.134.1010
論 文
初期位相のランダム化による CPM-OFDM システムの
PAPR
低減効果の評価
学生員
森岡 和行
∗,∗∗a) 非会員アサノ デービッド
∗A PAPR Reduction Method for CPM-OFDM Systems using Initial Phase Randomization
Kazuyuki Morioka∗,∗∗a), Student Member, David Asano∗, Non-member(2013年11月26日受付,2014年2月18日再受付)
In this paper, CPM-OFDM systems which use CPM (Continuous Phase Modulation) as the first modulation scheme of OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) are considered. As is the case for conventional OFDM sys-tems, PAPR (Peak to Average Power Ratio) reduction is the most important task in CPM-OFDM systems. PAPR reduction by varying the initial phase of each sub-carrier with a fixed offset and a random offset are proposed. In the random offset method, the initial phase of each sub-carrier is not known at the receiver side, so we propose a demodu-lation algorithm using the phase continuity property of CPM and MLSD (Maximum Likelihood Sequence Detection). Simulation results show that the PAPR performance is improved if we use the random offset method. Also, we found that even though the initial phase is unknown at the receiver, the proposed algorithm can demodulate CPM-OFDM symbols as well as an algorithm where the initial phase is known.
キーワード:位相連続変調(CPM),直交周波数分割多重(OFDM),ピーク対平均電力比(PAPR)
Keywords: Continuous phase modulation, Orthogonal frequency division multiplexing, Peak to average power ratio
1. はじめに
近年の移動体通信システムでは,直交周波数分割多重 (OFDM : Orthogonal frequency division multiplexing)が主
流になっている。OFDMでは,低シンボルレートで変調さ
れたサブキャリアを互いに直交するように密に並べること で,フェージング環境下においても高速通信を実現可能であ
る。現在実現されているOFDMシステムにおいては,各サ
ブキャリアは,位相偏移変調(PSK : Phase shift keying)や直
角位相振幅変調(QAM : Quadrature amplitude modulation)
で変調されるのが一般的である。
一方,位相連続変調(CPM : Continuous phase
modula-tion)(1) (2)は,位相が連続的に変化するため,スペクトル特 a) Correspondence to: Kazuyuki Morioka. E-mail: Kazuyuki.
∗信州大学
〒380-8553長野市若里4-17-1
Shinshu University
4-17-1, Wakasato, Nagano 380-8553, Japan ∗∗電子航法研究所
〒182-0012東京都調布市深大寺東町7-42-23
Electronic Navigation Research Institute
7-42-23, Jindaiji-higashi, Chofu, Tokyo 182-0012, Japan
性に優れ,また,位相が過去のシンボルに依存するため,複 数シンボルを用いた復調を行うことで,誤り率特性を改善 できるというメリットがある。そこで,OFDMシステムに CPMを用いる方式の研究が行われている(3)∼(14). 本論文で は,今後の発展が期待できるセンサネットワークへの適用 を想定して,CPM-OFDMシステムの検討を行う。 OFDMとCPMを組み合わせた方式は2つに分類するこ とができる。1つめは,OFDMで変調された信号をCPM変 調することにより,定包絡線信号を生成し,OFDMで問題
となるピーク対平均電力比(PAPR : Peak to average power
ratio)を0 dBにすることを目的としたシステムである(3)∼(5). OFDM変調器の後段にCPM変調器が接続される構成のた め,本論文ではOFDM-CPM方式と呼ぶことにする。この 方式では,PAPRを0 dBとすることができるが,OFDM変 調の後に,振幅を一定にするために,サブキャリア間の直 交性が崩れ,サブキャリア間干渉が発生し,誤り率特性が 悪化してしまう。 2つめは,OFDMの一次変調方式としてCPMを用いる システムである(6)∼(14). CPM変調器の後段にOFDM変調器 が接続される構成のため,本論文ではCPM-OFDM方式と 呼ぶことにする。この方式では,複数シンボルを用いて復 調を行うことで,誤り率特性が改善できるというCPMの
特徴を生かすことができる。また,サブキャリア単体での スペクトル特性が良いことも,周波数オフセット等により 直交性が崩れた場合における他のサブキャリアへ与える影 響(ICI : Inter carrier interference)を低減でき,誤り率特性 の改善につながることが期待できる。
例えば,文献(9)では,2波モデルにてD/U比(Desired
to Undesired signal ratio)が4 dBの場合に,ビット誤り率
10−6を実現するSNRが従来のPSK-OFDM方式に比較し て3.5 dB優れていることが示されている。また,文献(10) で は,位相雑音と周波数オフセットの存在する環境下にて比 較を行い,CPMの一種であるMSKを用いた方が,従来の QPSKを用いた場合に比べて優れたビット誤り率特性を示 すことが確認されている。さらに,文献(11)においても,周 波数オフセットの存在下,およびフェージング環境下にお けるビット誤り率特性の評価を行い,MSKを用いた方が, 従来のQPSKを用いた場合に比べて優れたビット誤り率特 性を示すことが確認されている。このように,CPM-OFDM 方式では,より信頼性の高い通信を実現可能であるという メリットがある。しかし,CPM-OFDM方式では,従来の OFDM方式と同様,PAPRが高くなるというデメリットが ある。 本論文では,後者のCPM-OFDM方式に着目し,PAPR を低減する手法を提案する。CPM-OFDMシステムは,最 初にTasadduqら(6) によって提案され,Yangら(10) やWeng ら(11)によって拡張されている。また近年,光通信分野にお いて,CPM-OFDMシステムを用いた実験結果が報告され ており(15)∼(19), CPM-OFDMシステムにおけるPAPR低減が 課題となっている。 これまでに,PSK/QAM-OFDMシステムにおけるPAPR の低減手法に関する提案は多くある(22) (23)が,CPM-OFDM システムにおけるPAPRの低減手法に関する研究はあまり 見られない。Tasadduqら(20)は,多振幅のCPMを用いて, CPM-OFDMシステムにおける,PAPRを低減する手法を提 案している。しかし,多振幅のCPMを用いることで,CPM のメリットである定包絡線特性が犠牲となっている。さら に,文献(20)の手法では,サブブロック数を多くするにつれ てPAPR特性が改善されるが,送信器の回路規模が大きく なってしまう。本論文では,初期位相をずらすという文献(20) の手法に比べてシンプルな処理でPAPRを低減し,受信器 側で多少複雑な信号処理を行うことでビット誤り率の低下 を防ぐ方法を提案する。これは,センサネットワーク等,受 信側に比べて送信側における電力制約が厳しいシステムに おいて有効である。 本論文の構成は以下のようになっている。まず,第2章 において,CPM-OFDM方式のシステムモデルについて述 べる。次に,第3章において,CPM-OFDM方式における PAPR削減手法とCPMの復調アルゴリズムについて述べ る。第4章では,本論文で提案したPAPR削減手法の有効 性をコンピュータシミュレーションによって確認する。最 後に,第5章において結論を述べる。 2. システムモデル CPM-OFDMのシステムモデルは,次のように記述する ことができる(6).まず,サブキャリア nにおける1次変調信 号は, Xn(t) = ejΦn(t,a),· · · (1) と表すことができる。ここで,位相Φn(t, a)は,文献(21) に示されているように,次のように三つの部分に分割する ことができ, Φn(t, a) = θn(t, an,k)+ θn,k+ φ0.· · · (2) と表される。ここで,θn(t, an,k)は,最新のLシンボルによっ て定まる位相(instant phase)であり, θn(t, an,k)= 2πh k i=k−L+1 an,iq(t − iTs)· · · (3) と表される。また,θn,kは,k − Lシンボルまでに積み上げ られた位相(cumulate phase)であり, θn,k = [hπk−L i=−∞ an,i] (mod 2π),· · · (4) と表される。最後に,φ0は初期位相を表している。また, 式(3)における関数q(t)は,以下で定義される位相連続関 数である。 q(t) = t −∞g(τ)dτ.· · · (5) an,i∈ (−1, +1)は,サブキャリアnのi番目における送信シ ンボルを表している。さらに,hはCPMにおける変調指 数,Lは,CPMシンボルが過去Lシンボルに依存すること を示すパラメータである(21) . ここで,g(t)が以下で表される方形パルスであり,L = 1
の場合には,CPFSK (Continuous phase frequency shift key-ing)と呼ばれる(21) . g(t) =⎧⎪⎪⎨⎪⎪⎩ 2LT1s, 0 ≤ t ≤ LTs 0, その他の場合 · · · (6) 特に,h = 0.5の場合,CPFSK信号はMSK (Minimum shift keying)となる(21). 最後に,CPM-OFDM信号は,CPM出力をIFFTするこ とで以下のように表すことができる。 S (t) = N−1 n=0 Xn(t) × ej 2πnt NTs, 0≤ t ≤ T.· · · (7) ここで,T = NTsで,Nはサブキャリア数,Tsは,OFDM のシンボルインタバルを表している。図1にCPM-OFDM の送信器の構成を示す。図中のCPは,OFDMにおけるサ イクリックプレフィックスを表している。 次に,OFDMシステムで問題となるPAPRは,
Fig. 1. Structure of CPM-OFDM transmitter. PAPR(S (t)) = max0≤t≤T[|S (t)| 2] E[|S (t)|2] .· · · (8) と表すことができる。ここで,E[|S (t)|2]は,平均電力を表 している。また,PAPR特性の評価指標となる,PAPRの累
積確率分布(CCDF:Complementary cumulative distribution function)は, CCDF(z) = Pr(PAPR > z)· · · (9) と表すことができる。すなわち,PAPRのCCDFは,PAPR がある値(z)を超える確率として定義される。 3. 提案手法 これまでに提案されているCPM-OFDMシステム(6)∼(13) では,初期位相がすべてのサブキャリアにおいて同じもの として扱われている。しかし,初期位相が同じであると,初 期時点において,すべてのサブキャリアの位相がそろって しまうため,ピーク電力が高くなってしまうという問題が ある。そこで,本論文では,CPM-OFDMシステムにおい て初期位相をサブキャリアごとにずらす手法を提案する。 はじめに,固定オフセットによる手法を提案し,次に,ラ ンダムオフセットによる手法を提案する。最後に,初期位 相が未知の受信系列からCPM信号を復調するアルゴリズ ムを示す。 〈3・1〉 固定オフセットによる手法 サブキャリアnに おける初期位相をφ0(n), n = 0, . . . , N − 1と表す。また,初 期位相の取りうる値の数をV個とし,0から2πまで等間隔 にV個の値をとるものとする。例えば,V = 4の場合,初 期位相の取り得る値は,0, π/2, π, 3π/2となる。このとき, サブキャリアnにおける初期位相を以下で表す。 φ0(n) = 2π V × (n mod V).· · · (10) この場合,受信器において初期位相は既知であるため,既 存のCPM受信器で復調可能である。 〈3・2〉 ランダムオフセットによる手法 同様に,サ ブキャリアnにおける初期位相をφ0(n), n = 0, . . . , N − 1と 表し,初期位相の取りうる値の数をV個とする。このとき, ランダムオフセットによるサブキャリアnにおける初期位 相を以下で表す。 φ0(n) = 2π V × (rand() mod V).· · · (11) ここで,rand()は,乱数(0∼N − 1の整数)の生成を表して いる。ランダムオフセットによる場合,どのサブキャリアで どのオフセットを用いたかを受信側へ伝える必要があるが, この情報を受信器へ伝えるとオーバヘッドが大きくなってし まうという問題がでてくる。しかし,CPMの場合,位相の
連続性を利用して,MLSD (Maximum likelihood sequence
detection)を適用することにより,初期位相が未知の場合に も,復調することが可能である(25) (26).ただし,初期位相の とりうる値の数Vは,受信側で既知であると仮定する。次 節に初期位相が未知の系列からCPMシンボルを復調する アルゴリズムを示す。 〈3・3〉 初期位相が未知の場合の受信アルゴリズム CPMの場合,位相が過去のシンボルに依存するため, MLSDを適用することにより,初期位相の情報を受信側 へ伝えなくても,復調が可能である(25) (26). 従来のPSK/QAM-OFDMシステムにおけるSLM (Se-lected mapping)およびPTS (Partial transmit sequence)に
よるPAPR削減手法で,受信器側でMLSDを用いることで 復調のための予備情報を受信側へ伝える必要のないPAPR 削減手法が提案されている(24) . 本論文における提案は,文 献(24)における手法をCPM-OFDMシステムの初期位相へ 適用したものと考えることができる。次に,受信アルゴリ ズムを示す。 [受信アルゴリズム] f or n = 0, . . . , N − 1 f or v = 0, . . . , V − 1 初期位相をφ0(n) = 2πV × (v mod V)として rn(t)とXn(t, a, φ0(n))の相関λa,φ0(n)を計算。 end 相関が最大となる(a∗, φ0(n))∗)を選択。 end ここで,rn(t)は,受信器における,FFT後の第n サブ キャリアにおける信号系列を示しており,Xn(t, a, φ0(n))は, 式(1)において,シンボルaと初期位相φ0を明示的に記 述したものである。また,λa,φ0(n)は,それらの相関を示し ている。初期位相が既知の場合に比べて,V倍の相関計算 が必要となるが,FPGA等のハードウエアを用いて並列に 実行することで,処理遅延は問題とならない。ただし,受 信器の回路規模と消費電力が大きくなる。ここで,本シス テムが対象と想定するセンサネットワークにおいては,送 信側ノードは電池で駆動するため電力制約は非常に厳しい が,受信側は電源に接続されていることが多く,電力制約 は送信側程厳しくないことに着目することができる。図2 にV = 4の場合の受信器の構成を示す。
Fig. 2. Structure of CPM receiver. 4. 性能評価 本章では,本論文で提案したPAPR低減手法をコンピュー タシミュレーションによって評価した結果を示す。CPMの パラメータは,変調指数h = 0.25, 0.375, 0.5, 0.625, 0.75, L = 3とし,パルス関数は方形パルスとした。また,OFDM のサブキャリア数はN = 64とした。文献(27)に,PAPR を正確に測定するためのオーバーサンプリング数は4倍で 十分であることが示されているため,本論文でもオーバー サンプリング数4を採用した。したがって,FFTポイント 数は,64× 4 = 256ポイントである。 図3-図7に,変調指数hがそれぞれ,0.25, 0.375, 0.5, 0.625, 0.75の場合の,PAPRの評価結果を示した。縦軸は, PAPRのCCDFを示している。図中のVは,初期位相の取 り得る値を表している。V = 1の場合は,すべてのサブキャ リアの初期位相が同じ場合,すなわち既存のCPM-OFDM システムの場合を表している。V = 2, 4, 8は,それぞれ初 期位相の取り得る値が2, 4, 8であることを意味し,「Const」 は,〈3・1〉節で提案した固定オフセットによる手法,「Rand」 は,〈3・2〉節で提案したランダムオフセットによる手法を示 している。 図3-図7より,初期位相がすべてのサブキャリアで同じ 場合(V = 1, Const)に比べて,サブキャリアごとに初期位相
をずらした場合(V = 2, Const, V = 4, Const, V = 8, Const)
の方が,大幅にPAPR特性が改善される様子が分かる。ま た,特にh = 0.25の場合に顕著に表れている。これは,変 調指数が小さいと,位相の遷移幅も小さいため,初期位相 近辺での遷移が支配的となり,各サブキャリアで電力を強 めあう確率が大きくなるためと考えられる。次に,固定オ フセットの場合と,ランダムオフセットの場合を比べると, ランダムオフセットにすることによって,さらにPAPR特 性が改善されている様子が分かる。また,ランダムオフセッ トの場合,h = 0.5, 0.625, 0.75では,V = 2, V = 4, V = 8 の場合で,ほぼ同じ特性を示すことが分かった。これは,初 期位相のランダム化によって,各サブキャリアのCPMに
Fig. 3. CCDF of PAPR for h = 0.25.
Fig. 4. CCDF of PAPR for h = 0.375.
Fig. 5. CCDF of PAPR for h = 0.5.
おける位相の移動軌跡が平均化されたためと考えられる。 一方,h = 0.25, 0.375の場合には,V = 4, V = 8に比べ てV = 2の場合の特性が若干劣化している様子が分かる。 したがって,ランダムオフセットによる手法を用いた場合, h = 0.5, 0.625, 0.75では初期位相の取り得る値Vは,2で 十分であり,h = 0.25, 0.375の場合には,V は,4を用い ればよいといえる。さらに,ランダムオフセットを用いた 場合のPAPR特性は,変調指数hの値によらず,ほぼ同様 の特性を示しており,初期位相をランダム化した効果が表 れていることが分かる。
Fig. 6. CCDF of PAPR for h = 0.625.
Fig. 7. CCDF of PAPR for h = 0.75.
次に,受信性能についての評価を行った。図8に,変調 指数h =0.25, 0.375, 0.5, 0.625, 0.75で,AWGNチャネル におけるビット誤り率を評価した結果を示した。図3-図7 の考察から,h = 0.25, 0.375の場合には,初期位相の取り 得る値はV = 4を用い,h = 0.5, 0.625, 0.75の場合には, V = 2を用いた。図中の「Const」は,固定オフセットの場 合,すなわち,受信側で初期位相の情報が既知の場合を示 している。また,「Rand」は,ランダムオフセットの場合, すなわち,受信側で初期位相の情報が未知の場合を示して いる。図8より,〈3・3〉節で提案した,MLSDを用いるこ とで受信側で初期位相が未知の場合でも,既知の場合と同 程度のビット誤り率を達成できることが分かる。このとき の,受信器における回路規模の増加はV = 4の場合,高々 4倍程度である。なお,CPMにおけるMLSDの計算量は, ビタビアルゴリズムを適用することにより,低減すること が可能である(21). 最後に,図9に,変調指数h =0.25, 0.375, 0.5, 0.625, 0.75 で,ランダムオフセットの場合について,シングルパスレ イリーフェージング環境におけるビット誤り率を評価した 結果を示した。h = 0.25, 0.375の場合には,初期位相の取 り得る値はV = 4を用い,h = 0.5, 0.625, 0.75の場合には, V = 2を用いた。図中には参考のために,ランダムオフセッ トの場合のAWGN環境下におけるビット誤り率も示して
Fig. 8. BER comparison of fixed offset method and ran-dom offset method.
Fig. 9. BER of CPM-OFDM systems in AWGN and Rayleigh fading channel.
いる。図より,変調指数h = 0.75の場合が最も良好な誤り 率特性を示すことが分かった。 5. おわりに 本論文では,CPM-OFDMシステムで問題となるPAPR の低減手法について検討した。CPM-OFDMシステムでは, 初期位相がそろうことによるPAPRの増大が問題となる。 本論文では,サブキャリアごとに固定のオフセットを持た せる固定オフセットによる手法と,ランダムなオフセット を持たせるランダムオフセットによる手法を提案した。固 定オフセットの場合,受信側で初期位相の情報が既知とな るため,既存の受信アルゴリズムが適用可能である。しか し,ランダムオフセットの場合,受信側で初期位相の情報 が未知となるため,既存の受信アルゴリズムを適用するこ とができない。そこで,CPMにおける位相の連続性を利用 して,複数シンボルを用いたMLSDを適用することで,初 期位相が未知の場合でも復調可能なアルゴリズムを提案し た。コンピュータシミュレーションの結果,ランダムオフ セットを用いた場合,PAPR特性を大幅に改善できること が分かった。また,受信側で初期位相の情報が未知であっ ても,多少の計算量の増加によって,初期位相が既知の場
合と同程度の受信性能を達成できることが分かった。本提 案手法では,初期位相をランダム化するという単純な手法 で平均的にPAPRを改善することを目指した。今後の展開 として,送信シンボルに応じて,最小のPAPRを実現する 最適な初期位相の組み合わせを探索する手法も考えられる。 その場合においても,付加情報を受信側へ伝えることなく 復調可能であることが本論文の検証により明らかとなった。 謝 辞 本研究の一部はJSPS科研費25889076の助成により行 われた。 文 献
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アサノ デービッド (非会員) 1994 年トロント大学電子情報工 学研究科博士課程修了 (Ph.D.). 1994 年郵政省通 信総合研究所 (STA フェロー). 1996 年 4 月信州大 学工学部情報工学科講師。現在,同准教授。主と してディジタル無線通信や情報システムに関する 研究に従事。IEEE Senior Member, 電子情報通信 学会各会員。