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Academic year: 2021

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(1)

カム・リンク機構の設計

カム機構は、半導体や電子部品などを高速かつ多量に製造

する機械に数多く用いられている重要な機構の一つである。

カム機構の設計・製作を正しく行えば、

長期間にわたって信頼性の高い性能を発揮できる。

そこで、カム機構の設計を進めていく上での、

いくつかの留意点を示そう。

テクファ・ジャパン(株) 香取英男 2010/02/02

(2)

氏名 : 香取英男(かとりひでお) 出身地 : 神奈川県横浜市 現住所 : 埼玉県日高市 出身校 : 明治大学大学院理工学研究科博士課程終了 専門分野 : コンピュータ支援による機構設計手法の研究・開発 本職 : テクファ・ジャパン(株)代表取締役社長 URL : http://tecpha.com mail : [email protected] 兼職 : 青山学院大学理工学部講師(図形科学など) 明治大学理工学部講師(機械システム設計など) その他 :ISO委員 :日本カム工業会会長 など 主な著書 ・非円形歯車の設計・製作と応用 (日刊工業新聞社、2001年) ・カム機構ハンドブック (共著、日刊工業新聞社、2001年) ・カム機構図例集 (共著、日刊工業新聞社、2006年) ・3次元CAD実践活用法 (共著、コロナ社、2006年)

(3)

目次

1. カム機構とは 1)カムの設計法 2)カム機構の構成要件 3)カム機構の機構学的要件 2. カム曲線 1)無次元単位と実次元単位での運動 2)カム曲線の種類 3)カム曲線による変位、速度、加速度のパターン 4)カム曲線の対称性、停留性などの特性 3. カム機構の設計 1)カム機構の構成要素 2)カム設計の手順 3)カム機構における設計限界 4)カム設計の基本チェック項目 5)カム機構用設計支援ツールに要求される機能と利用

(4)

目次

•演習 1.カム曲線 1)割付け角と変位量 2)曲線の種類 3)無次元単位と実次元単位での運動の定義 4)各曲線の変位、速度、加速度の算出 2.カム機構 1)機構形式の識別 2)圧力角の算出 3)カム軸トルクの算出 4)カム機構のベクトル表現による変位の解 •まとめ 1質疑応答 2参考文献の紹介

(5)

カム・リンク機構とは

カム機構は基本的には、

カムの回転に対して、

作業を行わせる位置の要素が、意図した変位、速度、 加速度

などを満たす運動を得る目的で用いられる。

このために、カム設計において、その処理を行うには、

シンセチックな機構解析をベースにした処理がまず必要になる。

(6)

カム機構とは

カム機構の例-サイン形 回転板カム ローラフォロア

(7)

カム機構における運動速度のレベル

カム機構においては、

速度はカム(カム軸)の時間あたりの回転数で区分する。

私見では、つぎのようにレベル分けしている

低速度

300 min

-1

以下

中速度

300 ~ 800 min

-1

高速度

800 ~ 2000 min

-1

超高速度 2000 min

-1

以上

(8)

指定した変位、速度、加速度などによる運動を

発生させることができる

----タイミング線図(カム曲線)

各種の機構構成に対応可能な

----機構形式の定義

が行えることが必要である。

カム機構の機構学的要件

(9)

タイミング線図の例

MS MS 126 207 288 360 0 変位 (mm) 0 -90 カム曲線のタイプ MS : 変形正弦曲線

(10)

カム曲線の種類

単弦曲線 サイクロイド曲線 片停留サイクロイド曲線 変位 速度 加速度 時間(割付け角) 量

(11)
(12)
(13)
(14)

カム曲線における実次元単位と無次元単位の関係

1 0 時間 変位 1 T th t θh θ h (τh ) s (τ) S

T = t / t

h

= θ / θ

h

S = s / h または

τ /τ

h s = s (t) v = ds / dt a = d2s / d2t V = dS / dT

A = dV / dT = d

2

S / dT

2 s = h・S v = h / th ・V a = h / th2 A

(15)

カム曲線の一般形ーユニバーサル曲線

時間(割付け角) 量 変位 速度 加速度 0 0 0 1

(16)
(17)

カム曲線を選定する際のポイント

変位、速度、加速度に関わる

1.連続性

2.対称性

3.停留性

について、検討すればよい。

(18)

カム曲線の分類

― 対称性

対称曲線と非対称曲線

S = S(T) において、

S(1 - T) = 1-S(T)

V(1 - T) = V(T)

A(1 - T)

= -A(T)

になる曲線を対称曲線といい、

そうでないものを非対称曲線という。

対称曲線では、

T = 0.5 において S = 0.5 である。

(19)

カム曲線の分類

― 停留性

・両停留曲線

T=0で S=0 V=0 A=0

T=1で S=1 V=0 A=0

・片停留曲線

T=0で S=0 V=0 A=0

T=1で S=1 V=0 A

≠0

・無停留曲線

T=0で S=0 V=0 A

≠ 0

T=1で S=1 V=0 A

≠ 0

(20)

カム曲線の種類ー停留性による分類

単弦曲線 サイクロイド曲線 片停留サイクロイド曲線 変位 速度 加速度 両停留曲線 片停留曲線 無停留曲線 時間(割付け角) 量

(21)
(22)
(23)
(24)
(25)

カム機構の構成要素

作動端要素 直動形 揺動形 ラジアン形 タンジェント形 サイン形 リンク形 中間リンク要素 中間リンク組数 従動端要素 円端 カム本体要素 回転板カム 円筒カム ローラギアカム

(26)

カム機構の構成要素-

作動端

タンジェント形 リンク形 ラジアン形

(27)

カム機構の構成要素-

中間リンク

(28)

カム機構の構成要素-

カム本体

(29)
(30)
(31)
(32)

機構のレイアウト-1

e

e

は、なるべく 0 にしたほうが無難である。

e

(33)

機構のレイアウト-2

s

s

サイン形 タンジェント形

s

s

s

s

リンク形

(34)

機構のレイアウト-3

r1

リンクの動作条件が 途中で変わらないようにすべきである。

r2

中間リンク形 レバー比 r2 > r1 のとき、 r2 / r1 ≦ 3 にしたほうが無難である。

(35)

カム機構ー

各種のカム

(36)

電子制御 機械制御 (パルスモータ、サーボモータなど) (カム・リンク、非円形歯車など) 条件判定によるプログラム制御可 固定的な運動サイクル 組み立て時の調整が楽 組み立て時の調整が難 設計が容易 十分な機構解析的な検討を要する 所要容積大 所要容積小 なめらかな加減速が難しい 加速度を考慮した、なめらかな運動が可 高速化が難しい 高速化がしやすい 使用環境に注意要する 使用環境に比較的強い 耐久性に留意する必要ある 耐久性がある

それぞれの特性をうまく使い分けて応用することが必要であろう。

運動機構における電子制御と機械制御の相対比較

(37)

カム設計の手順 ー

全体の流れ

機構の形式を選択 出力運動の詳細を決定 機構(カム)諸元の決定 幾何特性の詳細な確認 設計の手順

(38)

カム設計の手順 ー

出力の運動の決定

タイミング線図の作成 (運動特性値の検討) 運動曲線の選択 運動の割り付け 機構の出力で作用する力、 入力に必要な力の検討 幾何特性の詳細な確認 出力運動の詳細を決める

(39)

カム設計の手順 ー

機構諸元の決定

圧力角、機構の大きさ、機構の 強度などの制約条件を満たす 諸元の決定 揺動中心位置、アーム長さ、 フォロア径の決定 機構(カム)諸元の決定

(40)

カム設計の手順 ー

幾何特性の確認

圧力角、曲率半径などを求め 制約条件をチェック インデックスドライブカムなどでは カム面同士の干渉を確認 幾何特性の詳細確認

(41)

圧力角 ー 直動形

接点 フォロア

ψ

tan ψ = {h / (θ

h

r

p

) }・V

m

r

p

: ( r

min

+ r

max

) / 2

(注:近似式) 実用的な設計限界は、 Ψ ≦ 30 ° といわれている。 目安としておくとよい。

(42)

圧力角 ー 揺動形

カム回転中心 接点 フォロ ア アーム揺動中心 アーム

ψ

tan ψ = {τ

h

l / (θ

h

r

p

) }・V

m

l : アームの長さ

r

p

: ( r

min

+ r

max

) / 2

(注:近似式) 実用的な設計限界は、 Ψ ≦ 45 ° といわれている。 目安としておくとよい。 42

(43)

カム機構における設計限界-切り下げ

フォロア

フォロアの中心軌跡

カムのプロフィル

(44)

カム設計の手順 ー

強度、耐久性、剛性の確認

カムに作用する接触応力(面 圧) 強度、耐久性、剛性などの確認 カム面の転がり疲労寿命 フォロアの強度 (静負荷容量などに対して) 構成要素(レバー、軸など)の曲 げ、ねじりなどの強度 フォロアの転がり疲労寿命 (動負荷容量などに対して)

(45)

カム設計の基本チェック項目

カム機構 駆動源伝達要素 チェーン、ベルトなどを使うな バネ、溝面は極力使うな 拘束機構 カムの回転バランスを取れ 速度・加速度の連続性を取れ 圧力角・曲率半径は許容値内か カム本体 カム曲線 タイミング線図 割付角・リフト

(46)

カム軸のトルクの算出

c k m f y W

(47)

カム軸のトルクの算出

c k m f y W

(48)

カム軸のトルクの算出

c k m f y W

(49)
(50)

カム機構における複合機構化の必要性

1) 原動軸(カム軸)と従動軸間の距離が離れている場合。 カム機構では、通常中間リンク(4つ棒リンク)が用いられる。 2) カム本体とフォロア間を スプリングなどの外力によらないで拘束する場合。 共役カムという方式が考えられる。 3) 1つの装置内で複数の運動を同期させて発生させたい場合。 原動軸(カム軸)を共用して、同期性の向上と機構の簡略化を図る。 ①1つのカム軸に複数のカム本体を並列配置 ②1つのカム本体に複数の平面運動を発生させ、 結果的に3次元的な運動を得る-旋回と直進の運動

(51)

カム機構における複合機構化-

平面溝カム+円筒溝カム

(52)
(53)
(54)
(55)
(56)

ベクトルによる三角の解

A ベクトル 直交座標系では、( x , y ) で表わされる 極座標系では、 ( r , θ ) で表わされる θ r x y 機構の解析では、極座標系表示ベクトルで取り扱うほうが 簡単になる場合が多い。 ( x , y ) > ( r , θ ) r = sqrt ( x2 + y2 ) θ = tan-1 ( y / x ) ( r , θ ) > ( x , y ) x = r cos θ y = r sin θ

(57)

ベクトルによる三角の解

Case 1 Case 4 Case 3 Case 2 C = A + B A A B B B B ベクトル 黒 -> 長さと方向が共に既知 ベクトル 青 -> 長さが未知で方向が既知 ベクトル 紫 -> 長さが既知で方向が未知 ベクトル 赤 -> 長さと方向が共に未知 C C C C (2直線の交点) (直線と円の交点) (2円の交点)

(58)
(59)

ベクトルによる三角の解による簡単な機構解析の例

θ r A B C 右図のインボリュート曲線は、 ベクトル C の先端の軌跡で 表わされる。 A : ( r , θ ) B : ( rθ , θ - π / 2 ) したがって、 Case 1 により、 C = A + B

(60)
(61)

演習ー 1

1.カムの回転100rpmのとき、割り付け角100度の運動は、何秒要するか 2.カムの回転100rpmで割り付け角100度、変位50mmの運動において、 サイクロイド曲線を用いた場合、 カム回転角度が0、25,50、75,100のときの 無次元単位および実次元単位の変位、速度、加速度を求めよ。 3.カムの回転100rpmで割り付け角100度、変位50mmの運動において、 サイクロイド曲線、変形正弦曲線、変形等速度曲線、変形台形曲線の 無次元単位および実次元単位の速度、加速度の各最大値を求めよ 4.100 mmの長さを1秒間で送るとき、 サイクロイド曲線で送るとすれば、最大加速度は何g(ジー)になるか 5.最大加速度を1gまでとして、100 mmをサイクロイド曲線で送るとき、 何秒で送れるか 6.従節の加速度の最大値を同じ値に抑えるものとして、 カム曲線をサイクロイド曲線から変形台形曲線に変えるだけで、

(62)

演習ー 2

7.機構図例にある3種類のカム機構を各モジュールに展開せよ 8.直動形において、 カム最小半径注*)50mm、割付け角100°変位50mmのとき、 カム曲線がサイクロイドおよび変形正弦をそれぞれ用いると、 最大圧力角はいくらか 9.揺動形において、 カム最小半径50mm、レバー長さ50mm、割付け角100°変位50°のとき、 カム曲線にサイクロイドおよび変形正弦をそれぞれ用いると、 最大圧力角はいくらか 注 *)ここでいうカム最小半径とは、 カム回転中心からフォロア中心までの距離をいう。

(63)

演習ー 3

10.送りざお方式の直進移送機構で 32 個のワークをいっせいに移動させるものとする。 ワークの重量はパレットを含めて 14 kg、送りストロークは 200 mm、 送りに要する時間が 1.2 秒、この間のカム回転角が 180 °で、 カム曲線は変形正弦曲線(V m = 1.76 、 ( A * V )m = 5.46 )である。 パレットとレールの間の動摩擦係数は 0.15 ぐらいが予測される。 カム軸の最大トルクを求めよ。 11.直径 600 mm、厚さ25 mmの鋳鉄製テーブル[ I = 25.3kg・cm・s2]を用いて、 0.5 秒の間に 60 °回転させるものとする。割付角θを 120 °とするとき、 カム軸の最大トルクを求めよ。 ただし、カム曲線は変形台形曲線(( A * V )m = 8.09 )を用いるものとする。 12.図に示すいくつかの機構について、ベクトル表現で変位解を求めよ

(64)

参考文献

1) 牧野 洋、自動機械機構学、日刊工業新聞社刊(1976) 2) 日本カム工業会技術委員会編、設計者のためのカム機構図例集、日刊工業新聞社、 2006/06 (2,000 円+税) 3) 日本カム工業会編、カム機構ハンドブック、日刊工業新聞社、2001/12 (6,600 円+税) 4) 香取英男、カム機構の基礎と応用事例、機械設計、Vol46,No.8,2002/05、 日刊工業新聞社

参照

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