学はすべからく静なるべし
創立二○周年を迎えられ、おめでとうございます曇 二十年前、人類ははじめて地球以外の星である月におり立ちました。そのとき、アメリカ合衆国は、 ﹁惑星地球からの人間、ここ月に第一歩を印す。西暦一九六九年七月。われわれは全人類の代表として 平和のうちにやって来た。﹂︵アポロn号︶、と英語で刻んだ金属板を置いたそうです。人類が宇宙の一員 として第一歩を踏み出した年に中央学術研究所が設立されたことを、〃因縁和合〃という言葉を通して考 えてみると、その使命、役割の重大さはおのずから明らかに導き出されてくるように思います。 ﹁地球は青かった﹂という言葉を残したのは、人類最初の宇宙飛行士として地球を一周したガガリン 少佐でした。宇宙空間にみずみずしく輝いて見えるその地球が今、人間世界の無知と欲望によって、大 きな危機に瀕しています。アポロ9号に乗って地球を一五一周した元宇宙飛行士のシュワィヵト氏が 本会を来訪された折、その講演の中で、﹁先進国の住民たちが今すぐ生活様式と行動様式を改めたとして も、地球環境を回復するには三世代位の年月が必要であろう。﹂とい、7意味のことを話していました。世 界の平和と人類の幸福を願う私たちの祈りと行動について、今、改めて思いを巡らすとき、これからは、立正佼成会次代会長庭野日鑑
人類およびすべての生物莞すべての生命体の安全と存続を祈ることであるという、大いなる覚醒が必要 であることを痛感させられます。 その意味では、今後研究所が、教団の内外に果たすべき役割と期待は、ますます増大すると思われま す。教団に向けては、教団の現状や未来のあり方に、その研究成果を余すことなく還元してほしいと思 います。また、教団のみならず、研究所の設立趣旨にもあるように、広く人類の福祉と世界の平和に貢 献できるよう、地球的な視野にたって一層のご尽力を期待します。そしてこのためには、法華経の精神 を基盤に、東洋思想と西洋思想との対話に視点を据えつつ、諸学の連係をめざした国際的な共同研究の 推進、あるいは、それに伴う少壮にして創造力豊かな人材の養成も必要でありましょう。また、研究開 発部門が溌測としていると組織全体に活気が満ちあふれてくる、と言われていますが、これも研究所の 役割の一つと考えられます。 諸葛亮の言葉に﹁学はすべからく静なるべし﹂とあります。これは、学問するには、心を静め専念し て従事しなければならない、という意味ですが、中央学術研究所もこのようであってほしいものであり ます。現代社会の喧騒の中にあって、惑わされることなく、人類にとってより本質的な問題を深く静か に熟考し、進むべき指針を示し続けて欲しいと願うものであります。 幸いにも当研究所を支えて下さいます講師の諸先生は、今日の学界を代表される方々でありますので、 諸先生の叡智とご教導を一層賜りまして、益々充実した研究成果を数多く蓄積されることを念願して、 ご挨拶とさせて頂きます。