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第4回 JISSスポーツ科学会議 ポスターセッション

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Academic year: 2021

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ポスターセッション タイムスケジュール

ブース 1(進行 : 松尾 彰文) 時 間 演     題 演  者 抄録掲載ページ P- 1 13 : 00∼13 : 05 海外強豪選手の映像収集及び選手へのフィードバックシステムの確立 木村  広 他 36 P- 2 13 : 05∼13 : 10 卓球の技術・戦術課題克服のための映像利用法に関する実践的検討 吉田 和人 他 36 P- 3 13 : 10∼13 : 15 低酸素トレーニングが自転車競技トラック選手の無酸素パワー出力に及ぼす影響 内丸  仁 他 37 P- 4 13 : 15∼13 : 20 ソフトボール・ウインドミル投法の踏み込み脚の動作分析 福島 豊司 他 37 P- 5 13 : 20∼13 : 25 旧ドイツ民主共和国における、タレント発掘および選手選抜システムに関する基礎的研究 上田 憲嗣 他 38 P- 6 13 : 25∼13 : 30 等尺性脚伸展筋力発揮時の関節角度が共同筋の疲労へ及ぼす影響 久保潤二郎 38 P- 7 13 : 30∼13 : 35 ボールゲームにおける知覚トレーニング法の基礎的研究―テニスの場合― 平田 大輔 他 39 P- 8 13 : 35∼13 : 40 投球の正確さを目的とした練習による投動作の変化 村田 正洋 39 P- 9 13 : 40∼13 : 45 スピードスケート長距離種目における疲労に伴うレース中のストレート滑走動作の変化 湯田  淳 他 40 P-29 13 : 45∼13 : 50 加速度計を用いた運動計測システムの開発 太田  憲 他 50 ブース 2(進行 : 髙橋 英幸) 時 間 演     題 演  者 抄録掲載ページ P-10 13 : 00∼13 : 05 国立スポーツ科学センター・低酸素施設の利用事例の紹介 ―高所順応を目的とした利用について― 前川 剛輝 40 P-11 13 : 05∼13 : 10 酸素濃度の違いが運動後の乳酸緩衝に与える影響について 榎木 泰介 41 P-12 13 : 10∼13 : 15 Head-up Tilt(HUT)試験を用いた低酸素環境が身体におよぼす影響の検討 菅生 貴之 他 41 P-13 13 : 15∼13 : 20 漸増負荷運動における運動持続時間に影響を及ぼす筋エネルギー代謝因子の検討 鈴木 康弘 他 42 P-14 13 : 20∼13 : 25 トップアスリートにおける血液生化学データの基準値設定のためのデータ解析 小松  裕 他 42 P-15 13 : 25∼13 : 30 医療用MRI装置を用いた生体内骨格筋における多成分横緩和時間(T2値)計測に関する可能性の検証に関する研究 俵  紀行 他 43 P-16 13 : 30∼13 : 35 芸術系スポーツにおける腰椎可動性について 瀬尾理利子 他 43 P-17 13 : 35∼13 : 40 アジア競技大会(ドーハ)におけるJISS栄養部門のサポート 栄養指導室 44 P-18 13 : 40∼13 : 45 個人参加型トレーニング・栄養一体型講習会に関する特別プロジェクト トレーニング体育館栄養指導室 44 P-19 13 : 45∼13 : 50 トレーニングサポート トレーニング体育館 45 ブース 3(進行 : 和久 貴洋) 時 間 演     題 演  者 抄録掲載ページ P-20 13 : 00∼13 : 05 国際競技力向上の人材発掘・育成戦略 和久 貴洋 他 45

P-21 13 : 05∼13 : 10 Asian Games Beijing 1990 to Pusan 2002 Tobias Beinert 46

P-22 13 : 10∼13 : 15 定常的な国際競技力把握のための情報活動 阿部 篤志 他 46 P-23 13 : 15∼13 : 20 競技者を対象にした自律訓練法の習得過程に関する研究―POMS短縮版とCSAI-2を用いて― 立谷 泰久 他 47 P-24 13 : 20∼13 : 25 競技者を対象にした自律訓練法の習得過程に関する研究(2)―呼吸数と脳波の変化― 橋本 絵美 他 47 P-25 13 : 25∼13 : 30 競技者を対象にした自律訓練法の習得過程に関する研究(3)―高頻度練習者と低頻度練習者の自律訓練遂行中における背 景脳波の事例的検討― 三村  覚 他 48 P-26 13 : 30∼13 : 35 心理的コンディショニングおよび心理的スキルに関する評価尺度の開発―心理的方略使用の現状と尺度項目の関連― 平木 貴子 他 48 P-27 13 : 35∼13 : 40 心理的コンディショニングおよび心理的スキルに関する評価尺度の開発―競技者の心理的方略尺度の開発― 村上 貴聡 他 49 P-28 13 : 40∼13 : 45 心理的コンディショニングおよび心理的スキルに関する評価尺度の開発―心身のコンディショニングへの認識と調整行動今井 恭子 他 49

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P-01 海外強豪選手の映像収集及び選手へのフィードバックシステムの確立 ○ 木 村 広、 射 手 矢 岬、 春 日 井 淳 夫、 中 村 勇、 南 條 充 寿、 矢 野 勝、 林 弘 典、 渡 邊 昌 史、 瀬 川 洋、久保田浩史、桐生習作、田中 勤、村山晴夫、 中 島 裕 幸、 奥 超 雄、 渡 辺 直 勇、 佐 藤 伸 一 郎、 坂本道人、小室宏二、曽我部晋哉、廣瀬伸良 全日本柔道連盟強化委員会科研部 【目 的】  今年度の委託研究では、昨年度の委託研究によ り開発したオンデマンド映像提供システムを実地 で運用し、対戦相手の情報を即時提供する体制を 整える。そのシステムの選手・コーチの使用感か ら、システムの改良点を探し、システム開発に フィードバックする。同時にエジプト世界選手権 大会全試合の映像を現地撮影し、データベースの 充実をはかる。昨年のオリンピックを区切りに各 国の代表選手が世代交代を迎えることが予想され ることから、急務となる強豪選手のデータベース の更新作業をおこなう。 【方 法】  世界のトップ選手が参加するヨーロッパ選手権、 韓国国内最終選考会、エジプト世界選手権大会、 福岡国際大会、嘉納杯国際大会にビデオ班を派遣 し、試合映像を収録した。  それらの映像は、過去の主要国際大会映像とと もに、編集、および、データベース化の作業をす すめ、強豪選手の試合傾向を分析した。  分析で得られた情報は、強化チームと連携をと り、DVDとオンライン上で提供した。  エジプト世界選手権大会においては、収録した 試合映像を即時的にチームにフィードバックする 体制で臨み、次試合へ臨む選手の心理的負担の軽 減につとめた。 【結 果】  必要な映像はデータベースからコピーし、DVD やPCのファイルとして携行できるようになった。 これにより、遠征先や合宿地など、オフラインと ならざるを得ない環境でも、選手・コーチは相手 情報を比較的容易に確認できるようになった。  エジプト世界大会では男子が金 2、銀 2、銅 2、 女子が金 1、銀 3、銅 1の好成績をおさめることが できた。 【考 察】  映像は重要な情報源であるが、編集や分析には 人手と時間、コストがかかる。それらをいかに克 服するかが今後の大きな課題である。柔道競技は、 ヨーロッパをはじめとし、各国の情報力は無視で きないものがある。我が国も情報戦で遅れをとっ てはならない。 P-02 卓球の技術・戦術課題克服のための映像利用法に関する実践的検討 ○ 吉 田 和 人1、 森 照 明2、 前 原 正 浩3、 辻  裕4 蛭田秀一5、飯本雄二6、葛西順一7、星野一朗8 須賀健二3 1静岡大学、2国立療養所西別府病院、3日本卓球協会、4大阪大学、 5名古屋大学、6中京女子大学、7早稲田大学、8立教大学 【目 的】  本研究は、日本卓球ナショナルチームの選手が、 技術・戦術課題を克服するために役立つ映像情報 を蓄積するとともに、その蓄積された映像情報の 利用方法を検討しようというものであった。選手 のサポートを通して、 国際競争力向上を目的とし た、卓球の技術・戦術課題克服のための映像利用 法を実践的に検討した。 【研究概要】  本研究では、以下の6つの作業を行った。 1. 試合映像の入手:国際大会で活躍が期待されて いる日本選手や、日本のライバルとなりうる外 国の一流選手に関する試合映像(男子168試合、 女子225試合)を入手した。 2. 編集映像の作成:男女ナショナルチームスタッ フおよび選手の要請に従い、編集映像を作成し た。試合映像の編集、及びDVDの作成について は、パーソナルコンピュータにおいて専用のア プリケーションを用いて行った。 3. 編集映像の配付:男女ナショナルチームスタッ フ、及び選手らに、編集映像を配付した。編集 映像の配付は全てDVD(男子64枚、女子16枚) により行った。 4. ナショナルチームスタッフへのプロジェクト内 容の説明:女子ナショナルチームの新スタッフら を対象に、本プロジェクト内容の説明を行った。 5. リアルタイム編集の試行:平成17年度全日本卓 球選手権大会会場において、リアルタイムでの 編集を試みた。約38分の試合のラリー集、得点 集、失点集をDVDにまとめるために、約100分 を要した。 6.卓球映像データベースの検索システムの構築: 平成14年度以降蓄積された、オリジナル試合 映像、及び編集映像を、選手やスタッフらもイ ンターネット上で検索することができるデータ ベースを構築した。 【成果と課題】  本研究では、ナショナルチームの選手やスタッ フからの要請に基づく編集映像がさらに蓄積され、 それらを技術・戦術課題克服に広く役立てられた ことが大きな成果であった。また、卓球映像デー タベースの検索システムが構築されたこと、及び スタッフの入れ替えがあった女子ナショナルチー ムからも多くの要請が寄せられるようになったこ となども、大きな成果と思われた。今後、本研究 で構築された卓球映像データベースの検索システ ムを本格的に稼動させ、システムの利便性を向上 させることにより、これまでに蓄積された映像が 十分に広く活用されるようになることが課題である。

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P-03 低酸素トレーニングが自転車競技トラック選手の無酸素パワー出力に及ぼす影響 ○内丸 仁1、形本静夫2、田畑昭秀3、福田公夫4 阿部良二4 1東北大学、2順天堂大学、3日本競輪学校、4㈶日本自転車競技連盟 【目 的】  自転車競技トラック選手を対象に、常圧低酸素 室を利用した 4 週間の低酸素環境下でのスプリン トインターバルトレーニングが、無酸素パワー出 力に及ぼす影響について検討した。 【方 法】  被験者は自転車競技トラック種目(短距離)を専 門とする競技選手19名であった。被験者は低酸素 環境下でトレーニングを行うHトライアルおよび常酸 素環境下でトレーニングするNトライアルの両トライ アルを、1ヶ月のwash-out期間を挟んで行った。被 験者は事前に計画された通常のトレーニングに加 え、週3回、4週間にわたって、常酸素および標高 2,000m(16.4%O2)相当の低酸素環境下でのスプリン トインターバルトレーニングを行った。スプリントイ ンターバルトレーニングは自転車エルゴメータ(エル ゴサイザー、CAT EYE社製)を用い、10秒間の全 力ペダリングと30秒間のリカバリーを10-15セッ ト繰り返すものとし、負荷値は体重の7.5%とした。 セット数は 1 週目に10セット、2 週目および 3 週目 は12セ ッ ト、4 週 目 は15セット行 わ せ た。 な お、 各トレーニング時には開始前に約10分間のウオー ムアップを行わせた。両トライアル前後に、自転 車エルゴメータを用いて、40秒間の全力ペダリン グによるパフォーマンステストを行い、無酸素パ ワー出力を測定・評価した。 【結 果】  最大パワー、平均パワーおよびテスト後半の30-40 秒での平均パワー出力においては、両トライアル で変化は観察されなかった。しかしながら、有意 な変化ではないものの、Hトライアルにおいて最大 パワーおよび30-40秒での平均パワー出力の変化率 (後値/前値)は、Nトライアルと比べて約 2 %の改善 傾向にあった。 【結 論】  2,000mに相当する低酸素環境下でのインターバ ルトレーニングは、40秒未満のパフォーマンス運 動種目における無酸素パワー出力を有意に改善し ないことが示された。しかしながら、低酸素環境 下でのトレーニング方法を工夫することで、無酸 素パフォーマンスを改善する可能性が推測される ことから、今後の研究においてさらに検討してい く必要がある。 P-04 ソフトボール・ウインドミル投法の踏み込み脚の動作分析 ○福島 豊司1、小嶋 武次2 1東京大学大学院、2東京大学 【目 的】  女子ソフトボールではこれまでアメリカチームが 好成績を収めてきた。最近では2000年のシドニー 五輪、2002年の世界選手権、2004年のアテネ五輪 での金メダル獲得が挙げられる。一方、女子日本 代表は上記の 3 つの大会で銀メダルと銅メダルを 獲得したものの、アメリカチームにわずかに及ばな かった。アメリカチームとの差のひとつに投手陣 の投球能力の違いが挙げられる。本研究の目的は、 ウインドミル投法を行う投手の踏み込み脚の動き の 3 次元的分析から、踏み込み脚が骨盤を回転さ せるためにどのように骨盤に作用しているのかを 明らかにすることである。 【方 法】  被験者は、ソフトボールの女子日本代表の投手4 名であった。投球動作を撮影するために、200コマ /秒の2台の高速度映画カメラを用い、投球動作開始 から、フォロースルーまでを撮影した。成功試技の ボールと身体各部位の測定点を経時的にデジタイズ し、3次元座標データを得た。得られた座標データ から速度、角度、各関節のトルクなどを算出した。 【結果と考察】  本研究におけるリリース時のボール速度の平均は 約94km/時であった。本研究ではフォースプレー トに踏み込み脚が接地してから、ボールリリースま でを分析した。踏み込み脚が地面から受ける力は体 重の約3∼4倍であり、その方向はほぼ足関節と股 関節を結ぶ線の方向と一致した。膝関節では伸展ト ルクと外反トルクが発揮されていた。伸展トルクは 膝関節を保とうとしており、外反トルクは膝関節の 内反に抵抗する受動的トルクと考えられた。靭帯や 結合組織などに負荷がかかっている可能性が考えら れるため、傷害という点から注意する必要があるか もしれない。股関節ではボールリリースに向けて内 転トルクが増大した。この内転トルクは骨盤の投球 方向への回転の一部を担っていると考えられた。骨 盤の回転への貢献を見ると股関節の関節トルクより も、踏み込み脚の関節間力による作用が大きく貢献 していることが示唆され、トップレベルの投手は地 面からの力を上手に利用して骨盤の回転に貢献させ ていることが考えられた。本研究で研究対象とした 投手が日本の女子ソフトボールのトップレベルの投 手であることから、踏み込み脚の共通の働きは指導 の面で有益な資料になると考えられる。

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P-05 旧ドイツ民主共和国における、タレント発掘および選手選抜システムに関する基礎的研究 ○綿引勝美1、上田憲嗣2、高橋日出二3 1鳴門教育大学、2吉備国際大学、3ライプチヒスポーツ科学交流 協会(KOLESPO) 【目 的】  スポーツ選手育成の基本システムとして、旧ド イツ民主共和国のタレント発掘、選手選抜システ ムに注目し、このシステムの科学的なサポートの 概略を描き出すこと。 【方 法】  機密機関誌「競技スポーツの理論と実践」に掲 載されたタレント発掘及び選手選抜システムに関 連する論文等の分析と、当時、タレント発掘、選 手選抜システムの科学サポートに携わった研究者 などからの聞き取り調査。 ●「競技スポーツの理論と実践」誌の論文分析  以下の「競技スポーツの理論と実践」(TPL)誌 における研究成果報告論文を分析した。  1971年 TPL特集:競技スポーツに適した青少年 の選抜について  1976年 Dr. K. Kupper博士論文  1980年 TPL Dr. K. Kupper論文  1984年 TPL特集(適性と選抜) ●インタビュー調査 ・ Dr. Christian Hartmann:ライプチヒ大学スポーツ 科学部 一般運動学/トレーニング学研究室 ・ Dr. Gunar Senf:ライプチヒ大学教育学部 学校 スポーツ 研究分野:発育発達学 ・ Dr. Sieghard Hofmann:ライプチヒ大学スポーツ 科学部 スポーツ心理学/スポーツ教育学研究室 ・ Dr. Frank Schiller:ライプチヒOSP(オリンピック 強化センター)トレーニング科学部 ・ Rudi Tischendorf:ライプチヒ・アスリート・陸上 クラブ 投擲部トレーナー ・ Dr. Karl-Heinz Bauersfeld:SC・DHfK( 総 合 ス ポーツクラブ)名誉会長、旧東独時代、DHfK副 学長。 ・ Dr. Klaus Rost:IAT(応用トレーニング学研究 所)ジュニア・競技スポーツ専門部長 ・ Dr. H.Wutscherk:研究分野:人体計測学 【結 果】  1973年から1974年にかけて、適性と選抜研究グ ループが、ドイツ体育大学第二セクション一般ト レーニング論分野に結成された。「競技スポーツ の理論と実践」誌にはこうした研究グループの成 果が発表された。なかでも、ジュニア期の選手の 将来のパフォーマンス予測法について、リザーブ 得点という概念を用い、体格的条件、筋力などを 得点化し、同年齢の選手と比較し追跡した調査研 究などが発表された。今後の課題は、これらの規 準値表や年齢指標の収集と分析である。一方、当 時の研究者に対するインタビューから、科学的サ ポートの実態が明確にされた。その上で、生物学 的発達に対応した具体的なトレーニングの負荷構 成などのより実践的な問題についての具体的資料 が提示された。これらの分析が次なる課題となった。 P-06 等尺性脚伸展筋力発揮時の関節角度が共同筋の疲労へ及ぼす影響 ○久保潤二郎 平成国際大学・前国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部 【緒 論】  平成16年度課題研究により等尺性脚伸展筋力発 揮時の膝関節角度をより屈曲位にすると大臀筋の 疲労が大きくなることが明らかとなった。しかし、 この時点でのプロトコールは、両脚で一定の筋力 を維持したときの片側の脚と臀部の筋電図を記録 する方法であった。そのため、純粋に力と筋電図 の対応関係を計測しているわけではなかった。そ こで平成17年度の課題研究では、被検筋とその 関節を介した力を計測するために、片足での等尺 性脚伸展筋力発揮時の膝関節角度が、共同筋間の 個々の筋疲労へ及ぼす影響を調査することとした。 【方 法】  被検者は、健康な男子大学生及び大学院生11名 であった。等速性筋力測定装置(Con-trex)を用い、 片足による等尺性最大脚伸展筋力(MVC)を計測 した。関節角度は、解剖学的完全伸展位を0°とし、 110°(屈曲位)と75°(伸展位)で実施した。大腿直 筋、外側広筋、内側広筋、大腿二頭筋及び大臀筋 の筋電図を記録した。十分な休息の後、MVCに対 して20%の力レベルをそれぞれの角度で 1 分間維 持させた(筋持久力の測定)。角度を変える際は、 さらに十分な休息をとらせた。筋電図は、1 秒毎 の積分値(iEMG)を算出し、筋持久力の測定では、 最初の20秒と後半の20秒のiEMG平均値から個人 ごとのiEMG増加率を求め、疲労の指標とした。 【結果と論議】  等尺性脚伸展最大筋力は、屈曲位より伸展位の 方が、有意に大きな値を示した(p<0.01)。屈曲位 での最大筋力発揮中のiEMGを基準に、伸展位で のiEMGを比較すると、大腿二頭筋及び大臀筋の iEMGが有意に大きな値を示した(p<0.05)。筋持 久力の測定では、屈曲位より伸展位の大腿二頭筋 iEMG増加率が大きかった(p<0.05)。また、同様に 伸展位の内側広筋の増加率が有意傾向に大きかっ た(p<0.1)。これらの結果は、昨年度の研究結果と 異なり、両足と片足での力発揮の違いが表れてい る可能性が考えられた。

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P-07 ボールゲームにおける知覚トレーニング法の基礎的研究 ―テニスの場合― ○平田大輔1、村上貴聡2、村松 憲3 1専修大学・前国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部、 2東京理科大学、3慶應義塾大学 【はじめに】  ボールゲームでは選手の外的状況が絶えず流動的に変 化する。そのような中で選手は状況を的確に認知し、状 況から得られた情報を処理し、プレーを決定・遂行して いる。このように時々刻々と変化する状況を認知・判断 してどのようにプレーするかは、ゲームのプランニング や予測の方略といった認知的側面が重要な要素となる。  ボールゲームでは、知覚的能力を向上させるために、 映像を利用したトレーニングが用いられることがある。テ ニス競技であればどういう打球フォームからはどういう 種類の打球がくるのかについて映像を用いることにより、 予測力が向上すると考えられる。その学習効果は認知の レベルに止まらず、的確な予測に基づいて正確な反応が できるようになることが期待される。  そこで本研究では映像を利用した知覚トレーニングを行 うことによりゲームのプランニングや予測の方略、知覚的 能力にどのような影響を与えるかについて検討を行った。 【方 法】 1)被験者:被験者は大学体育会に所属する男子3名(A 選手、22歳、テニス競技歴:16年、B選手、22歳、テ ニス競技歴:11年、C選手、21歳、テニス競技歴:10年) を対象に行った。予測能力テストではB選手がモデル となるため、C選手をコントロール群として比較する ことにした。 2)実験手続き ① 試合(A選手対B選手の1set match):コート後方に ICレコーダーを置き、各ポイント間に、どんなことを 考えてプレーしていたかについて対象者の内省報告を 採取した。これらを最初と最後に行い内省報告の比較 を行った。 ② 予測能力テスト、知覚トレーニング:プレ予測能力テ ストでは打球動作がインパクト前で遮蔽されている映 像を呈示した。被験者は、各ショットの球種とコースの 予測を行い、結果を回答用紙に記入するようにした。 【結 果】 1)予測能力テストの結果  ストロークの予測テストでは、トレーニング群のA選 手は85%から95%、コントロール群のC選手は75%から 80%の正答率であった。サーブの予測テストでは、ト レーニング群のA選手は30%から80%、コントロール群 のC選手は20%から35%の正答率であった。  サーブ、ストロークともに知覚トレーニング後の正答 率が上昇した。特にサーブの予測では球種・コースとも に動作やフォームが複雑であるため予測が困難であった と思われる。 2)内省報告の結果  分類した結果、トレーニング前の試合では目的、状 況、プレー、結果に関する項目が多くみられた。これは 自分自身のプレーや状況報告の内省が多く、それに対し ての改善策などがみられない行き当たりばったりの状態 であると考えられる。しかし、トレーニング後の内省報 告の結果では、状況、プレーに関する項目が減少し、調 整、判断、メンタルに関する項目が多くみられた。ト レーニング後では状況を認知するだけではなく、そこか ら相手選手のプレーから予測・判断を得てからプレーす るようなってきている。  このように、知覚トレーニングを行うことにより、自 分や相手の状況、プレー、動作を認知するだけでなく、 そこから状況を正しく判断し、予測しながらプレーがで きるようになると考えられる。 P-08 投球の正確さを目的とした練習による投動作の変化 ○村田 正洋 国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部  投球の正確性を向上させることを目的として練習 を行ったとき、投動作がどのように変化するのかを みるために、投動作の練習を普段行っていない大学 生 5 名を対象としてトレーニング実験を行った。被 験者には 3 つの同心円が描かれた的の中心を狙うこ とのみ指示し、オーバースローでボール投げを行っ てもらい、1日30投を3日間実施した。被験者に反 射マーカーを貼付し、VICONシステムで投動作中の マーカーの位置をキャプチャーした。ボールが的に 当たった位置と的の中心からの距離は、ビデオカメ ラで撮影した映像から算出した。的の中心からボー ルまでの距離を練習日ごとの平均値でみると、一 名の被験者のみ 3 日間で中心に近づいてきたが、他 の被験者には変化がなかった。また、最も外側の 円(中心から60cm)の内側に当たった数は2名のみ 増加するに留まり、今回の練習でパフォーマンスの 向上は確認されなかった。手の甲に貼ったマーカー のボールリリースまでの軌跡をみると、1日目より 3日目の方が的に向かって直線的になってきた被験 者もみられ、的に当てることを目的とすることで投 動作を変えようとしていることは確認された。しか し、パフォーマンスに変化の無かったことから、投 球方向の正確さに関与するボールリリース付近の微 細な調整を巧みにするまでには至らなかったことが 窺がえた。 図1 手の軌跡の変化 被験者Aの1日目と3日目の各30試行をボールリ リース0.2秒前からボールリリースまで表示した。 点線は的の中心方向を表す。 50cm 投球方向 1 日目 3 日目

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P-09 スピードスケート長距離種目における疲労に伴うレース中のストレート滑走動作の変化 ○湯田 淳1、結城匡啓2、阿江通良3 1国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部、2信州大学、 3筑波大学 【目 的】  世界一流スピードスケート長距離選手のレース中 におけるストレート滑走動作の変化をキネマティク ス的に分析し、疲労に伴う変化の様相を明らかにす ることによって、長距離種目における滑走速度の持 続に役立つ知見を得ることを目的とした。 【方 法】  計測範囲(35m×4m×2m)をホームストレート インレーンに設定し、2000年世界距離別選手権大 会における男子5000m競技上位16名を 2 台のVTR カメラで側方および後方から撮影した。得られた 画像からパンニングDLT法によって分析点25点の 3次元座標を求め、キネマティクス的パラメータを 算出した。分析はレース前半および後半での左支 持脚について行った。 【結果および考察】  レース後半ではストローク頻度は有意に増大し たが、前方および側方滑走距離は有意に減少して いた。また、レース後半のストロークパラメータ では、重心水平速度と前方滑走距離とにのみ有意 な正の相関がみられ、ストローク中盤での大腿お よび下腿角が増大していた(図1)。これらのこと から、滑走速度低下の要因の一つとしてストロー ク長の減少が挙げられ、これには大腿および下腿 が起き上がることによる重心高の増大が影響を及 ぼしていることが明らかとなった。 Figure 1

Averaged patterns of the change in segment angle of the support leg during the first and second halves of the races.

P-10 国立スポーツ科学センター・低酸素施設の利用事例の紹介 ―高所順応を目的とした利用について― ○前川剛輝 国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部  平地に住むヒトが高所に赴いた場合、生体はそ の環境に順応しようとして様々な生理応答を示す。 その一連の過程を高所順応と言い、主に急性期、 亜急性期、慢性期に分けられる。高所に順応する ため、心臓、肺、血管、血液などは、それぞれが 適切な時期にその機能を亢進させる。  競技スポーツにおける高所トレーニングでは、 高所順応によって得られた能力(すなわち高所順 応)をパフォーマンス向上に応用するものである。 しかし、高所順応の急性期や亜急性期においては、 急性高山病に代表されるような高所特有のトラブ ルが生じやすく、意図する高所順応が得られない 場合もある。そのため、国立スポーツ科学セン ター(以下JISS)では、そのようなリスクを逓減さ せるために、高所に赴いてトレーニングを行う選 手には、事前にJISSの低酸素宿泊施設や低酸素ト レーニング室を利用した低酸素環境に対する順応 トレーニングを行うことを勧めている。  事前に低酸素環境下での睡眠や運動を繰り返し 行うことで、低酸素環境に対する順応を速めるこ とができる。また、併せて直前に同様の順応ト レーニングを行うことで、急性期の順応をほぼ済 ませ現地に赴くことも可能である。  本発表では、JISSの低酸素施設を用いておこなっ た順応トレーニングの実践事例と、人工低酸素環 境(疑似高所)を利用する際の注意点(高度設定、 利用の限界など)について報告する。 Torso Thigh Shank Se gm en ta ng le (d eg ) % stroke 50 60 70 70 90 100 110 80 20 30 0 20 40 60 80 100 40 60 50 80 30 40 [First half] [Second half] First half Second half First half Second half Shank Thigh Torso Y’ Z’ CM

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P-11 酸素濃度の違いが運動後の乳酸緩衝に与える影響について ○榎木泰介 国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部生化学研究室 【目 的】  本研究の目的は、運動によって上昇した血中乳 酸濃度が通常濃度へと低下する過程において、酸 素濃度が与える影響を検討することである。運動 を行うと、エネルギーを得る過程の一部で乳酸が つくられる。このつくられる乳酸の量は、運動の ために必要とするエネルギーの量に応じて変化す る。例えば短時間に高強度の運動を行うと、血液 中の乳酸濃度が急激に上昇するが、これは必要と するエネルギー量が大きいからであって、乳酸の 産生に酸素濃度は関係しない。しかし一方、乳酸 の分解(酸化代謝)と酸素濃度について、その関係 は十分に解明されていない。そこで本研究では、 乳酸の酸化代謝において酸素濃度が与える影響を 検討する。 【方 法】  通常酸素濃度の環境下において、被験者に短時間、 高強度の運動を行わせ、疲労困憊まで到達させた。 運動終了直後から、被験者に低酸素濃度(14.5% O2)もしくは通常酸素濃度の環境下で呼吸させ、 仰臥位で安静を保持させた。運動終了後60分間、 血液中のガス成分(HCO3、pCo2、pO2、pH)と血中 乳酸濃度を経時的に測定した。 【結 果】  呼気ガス分析と血液ガス分析から、低酸素環境 では体内を循環する酸素濃度は有意に低い値を示 した。また低酸素環境下では、pHおよびHCO3にお いて低い値を示す傾向にあった。一方、血中乳酸 濃度は低・常酸素環境下で変化はみられなかった が、運動終了30分後以降、低酸素環境において低 い値を示す傾向にあった。 【考 察】  本研究では、乳酸を分解(酸化代謝)する過程 において、酸素濃度の違いがどのような影響を与 えるのかを検討した。低酸素環境では、常酸素環 境と比較して運動後のpHおよびHCO3が常に低く、 酸塩基平衡がより酸性へ傾いていると考えられる。 しかしながら、運動後の安静時における血中乳酸 値の低下(乳酸の酸化代謝)と酸塩基緩衝を示す指 標の変化は常に一致したわけではなかった。乳酸 の酸化には血液における酸塩基平衡の恒常性を保 つ機構だけでなく、その他の要因も関与している と考えられる。 P-12 Head-up Tilt(HUT)試験を用いた低酸素環境が身体におよぼす影響の検討 ○菅生貴之1、前川剛輝2、粉川朋子2 1大阪体育大学・前国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部、 2国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部  本研究においては、常圧常酸素環境及び常圧低 酸素環境下への急性曝露における身体機能への影 響を、自律神経機能を指標としたHead-up Tilt試験 (以下、HUT試験とする)の結果から検討すること を目的として実験を行った。  継続的にトレーニングを行っている競技者10名 を対象として、常圧常酸素環境及び低圧低酸素環境 下( 高 度3,000m相 当 )へ の 急 性 曝 露 時 に お い て HUT試験を実施した。実験室にて安静時間を10分 程度保ったのち、仰臥位安静にて5分間(Rest)、 60°Tilt位にて5分間測定を行った(Tilt-up)。自律 神経機能の指標として心電図R-R間隔変動の周波数 解析及び圧受容器反射機能の指標として心拍・血 圧の圧受容器反射感受性高周波成分(Gain HF)を 算出した。  図 1 は常圧常酸素及び低圧低酸素環境下におけ るHUT実施時のGain HFの平均値を示したもの である。両環境下において、HUTにともないGain HFは1%の水準で有意に減少した。また低圧低酸 素環境下においてはRest、Tilt-upともに常圧常酸 素環境下よりも反射感受性が低いという先行研究 と同様の傾向が認められたが、有意な差は認めら れなかった。今後は常圧常酸素下での検討も進め てさらにその傾向の違いを明らかにする予定である。 図 1 常圧常酸素および低圧低酸素時における Tilt-upによるGain HFの変化 0 10 20 30 40 50

Rest Tilt-up Rest Tilt-up

常圧常酸素 低圧低酸素 G ai n H F ( m se c / m m H g) Gain HF * * * * **: p<.01

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P-13 漸増負荷運動における運動持続時間に影響を及ぼす筋エネルギー代謝因子の検討 ○鈴木康弘、本間俊行、髙橋英幸 国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部 【目 的】  本研究では、運動時の筋エネルギー代謝を非侵 襲的に観察することができるリンの磁気共鳴分光 法(31P-MRS)を用いて、漸増負荷運動中における クレアチンリン酸(PCr)およびpHの変化について 検討し、疲労困憊に至るまでの運動持続時間に及 ぼす因子を明らかにすることを目的とした。 【方 法】  被検者には日常的にトレーニングを行っている 男子大学生10名を用いた。超電導 MR装置内での 運動形態は、自家製の装置を用いた仰臥位での右 脚の膝伸展運動であり、運動頻度は40回/分で、 負荷は最初の2分間を4kgとし、その後疲労困憊に 至るまで1分毎に0.5kgずつ漸増させた。 31P-MRS の測定は、直径10cmのサーフェスコイルを大腿四 頭筋上に装着し、安静時および運動中に連続的に 行い、10秒で一つのスペクトルを得た。得られた スペクトルからPCrおよび無機リン酸(Pi)のピー ク面積を測定し、PCr/(PCr+Pi)の比を算出した。 また、PCrとPiのケミカルシフトより細胞内pHを 算出した。 【結果および考察】  漸増負荷運動における疲労困憊時間は11分50秒 から26分20秒の範囲にあった。また、運動持続時 間に影響する要因を明らかにするために、運動持 続時間を基準として被検者を上位群(n=5)と下位 群(n=5)に分けて比較した。その結果、安静時お よび疲労困憊時におけるPCr/(PCr+Pi)とpHはい ずれも両群間で有意差は認められなかったが、運 動開始から12分目までのPCr/(PCr+Pi)は、上位 群が下位群と比較して有意に高値を示した。その 一方で、運動中における細胞内pHは両群間で有意 差は認められなかった。  上述の結果から、漸増負荷運動における運動 持続時間は、運動初期におけるPCr/(PCr+Pi)の 低下の程度に依存している可能性が示唆された。 PCr/(PCr+Pi)は、筋血流による酸素供給の状態 やミトコンドリアにおける有酸素性のATP再合成 能力によって左右されることから、上位群は下位 群と比較して筋における酸素供給能力および酸化 能力が高かったことが示唆される。 P-14 トップアスリートにおける血液生化学データの基準値設定のためのデータ解析 ○小松 裕、熊井康こ 国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部 【目 的】  トップアスリートの血液生化学データを解析し、 健常人とは異なると推測されるトップアスリート における血液生化学データの基準値を設定すること、 および競技種目、トレーニング強度などの因子と CKなどの血液生化学データとの関連を解析、検討 することを目的とした。 【方 法】 1) 2004 年 4 月 1 日 か ら2005年 3 月31日 の 間 にJISS にて血液検査を行った同意の得られたTSCチェッ ク対象トップアスリート1,016人(男性657、女性 359人)を対象に、血液データ(WBC, RBC, Hb, Ht, MCV, MCH, MCHC, PLT, reticulocyte, TP, GOT, GPT, ALP, γGTP, CK, T.Chol, HDL-Chol, CRE, UA, Fe)、その分布型を解析、NCCLS指針 をもとに統計処理し、トップアスリートにおける 血液生化学データの男女別の基準値を設定した。 2) 2005年6月から10月にメディカルチェックを行っ た751人(男性446人、女性305人)のトップアス リートに対し、血液検査前日、前々日のトレー ニング強度の調査を行い、トレーニング強度と CK, GOT, GPTとの関連を解析、検討した。 【結 果】 1) トップアスリートの血液生化学データから解析し た基準値は、一般のそれとは異なることが判明 した。統計学的にはUA, CRE,CKなどが一般人 の基準値を超えた場合でも、トップアスリート としては基準値内と判断可能であった。とくに、 CKは男性では1,545U/ℓ、女性では463U/ℓまでが 基準値内であった。 2) CKとトレーニング強度の関係では、前日、およ び前々日の主観的トレーニング強度が高くなる につれCK値も高くなる傾向にあった。また、CK 値はGOT, GPTと有意に相関した。 【考 察】  今回の研究で、トップアスリートにおける血 液検査データの傾向が明らかになった。CK, UA, CREなどが一般人にくらべ高いことは、日常的 なトレーニングや骨格筋量が多いことなどがかか わっていると推測されるが、今回設定したトップ アスリートの血液生化学検査基準値を用いること により、より的確なデータの解釈の仕方、アドバ イスが可能になると考えられる。また、CK値と前 日、前々日のトレーニング量が相関することや、 CK値がGOT, GPTと相関することも明らかになっ たが、今後はより客観的なトレーニング強度やト レーニングの質とCKの関係や、トレーニングに よるCKの経時的推移などを検討することにより、 「コンディショニングの指標としてのCK」の役割、 解釈の仕方などを明らかにしてゆきたい。

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P-15 医療用MRI装置を用いた生体内骨格筋における多成分横緩和時間(T2値)計測の可能 性に関する研究 ○俵 紀行 国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部 【目 的】  運動によるヒト骨格筋の活動様相の評価に多用 される磁気共鳴画像法(MRI)の横緩和時間(T2 値)は、“単一値ではなく、複数値である”という可 能性を検証するため、医療用MRI装置による計測 方法の精度を評価した。具体的には、MR画像の雑 音がT2値算出時に与える影響をについて検討した。 【方 法】  計測対象には、均一な物質で充填された 2 種類 のファントムとして、それぞれ、直径160mmの円 筒型画質較正用ファントム(以下、画質校正用ファ ントム:T2値=250ms)と、MRIファントム90-401 型(以下、PVAゲルファントム:T2値=100ms)を 用いた。2種類の信号受信コイル(ボディコイル、 サーフェスコイル)を用いることで、それぞれ画質 の異なるファントムのMR画像を取得した。撮像 シークエンスは、スピンエコー(SE)法を用いた。 TR = 2000ms、TE = 15, 30, 45, …, 480msの32エ コー、スライス厚10 mm、スライス数1枚、積算 1 回、撮像時間8分30秒であった。  MR信号の関心領域(ROI)には、ファントム部 分と空気部分とをそれぞれ選択し、ROI内の平均信 号値をそれぞれSIp,SIairとした。ディジタル画像の

信号成分は、計測対象物の信号に雑音成分が重畳 されるため、本研究では真のファントムの信号値

(SIp_true)は、SIp_true = SIp - SIairであるとした。その

後、エコー時間(TE)の増加によるMR信号の減衰 をグラフ化し、SIp_trueおよびSIpの変化を比較した。

【結果及び考察】

 画質較正用ファントムのほうは、信号受信コイ ルの選択の如何にかかわらず、SIp_trueとSIpの減衰

は全てのTEにて一致したが、PVAゲルファント ムのほうは、SNRの高いサーフェスコイルでは TE=380ms付近から、SNRの低いボディコイルの 場合にはTE=200msの付近から、SIp_trueとSIpの減衰

は一致しなくなった。この結果より、T2値の短い 物質の場合は、雑音成分の影響を無視できない場 合があることが示された。また骨格筋はPVAゲル のT2値よりもさらに短い物質なので、TEの早い時 間でも影響を受けることが示唆された。 【結 語】  骨格筋のT2値計測では、雑音成分を無視するこ とができないことが示唆された。 P-16 芸術系スポーツにおける腰椎可動性について ○瀬尾理利子 国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部 【目 的】  腰椎の動きが大きいと思われる芸術系のスポーツ における実際の腰椎の可動性を評価し、腰椎疾患 の有無を確認し、可動性と疾患とに関連があるの かについて検討することである。 【対象と方法】  対象は、新体操全日本団体選手 6 名とダンスス ポーツ全日本レベルの女性選手 7 名とした。レン トゲン撮影時に腰椎機能撮影を行い、その前弯角、 腰仙角、椎間の角度を測定し、両選手間での可動 性の違いについて検討した。また選手の腰痛の有 無とレントゲンによる椎体変形や分離症の有無を 確認し、腰椎の可動性と腰椎椎体の変形の関連に ついて検討した。 【結 果】  新体操選手は平均年齢17才、ダンススポーツ選 手は平均年齢18才であった。腰痛の有無について は新体操 2 名、ダンススポーツ4名であり、腰椎椎 体辺縁変化の有無と腰痛の有無とは一致しなかっ た。腰椎の可動性はL1/2からL4/5で徐々に拡大 し、L5/S椎間で減少した。分離症のある椎間は可 動性が大きかった。L1/2間は新体操選手の可動性 が大きく、逆にL5/S間の可動性はダンススポーツ 選手が大きかった。 【考 察】  芸術系スポーツはパフォーマンスの中での腰背部 の動きが大きく見える。実際、同じ芸術系スポー ツのダンススポーツ選手と比較すると新体操選手 では頚胸部・上部腰椎の可動域大きく、ダンス スポーツではL5/S間の可動性が大きいものと思わ れ、競技間での違いがあるものと思われた。  関節弛緩性テストは新体操選手4.3/7、ダンスス ポーツ選手3/7であり、腰椎の可動性の平均値を 比較すると、新体操選手の可動性が大きく、また 新体操で最も可動性があった選手とダンススポー ツで最も可動性のある選手との差は大きかった。  腰椎分離症がある椎間は可動性が大きかったが、 腰痛の有無は可動性に関係せず、また可動性と椎 体変化は関係しなかった。以前より言われている ように、椎体の変化に腰痛は関連しなかった。

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P-17 アジア競技大会(ドーハ)におけるJISS栄養部門のサポート ○中嶋佳子、横田由香里、小清水孝子、上村香久子、 米田早希、小松 裕 国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部 栄養指導室 1.はじめに  食事はコンディション調整において重要な要因 であるが、海外遠征では食環境が日本とは異なる ため、事前の情報収集と準備が必要となる。そこ でJISS栄養部門では、2006年12月にカタール ドー ハにて開催された第15回アジア競技大会にむけて、 ドーハの食環境や選手村食堂などに関する情報を提 供し、サポート活動をおこなった。 2.サポート内容 (1)現地食環境調査  2006年9月にドーハで食環境の事前調査を実施し た。主にスーパーマーケットやレストランをまわり、 現地で食べられている食品や料理を調査した。また ドーハ在住の日本人に話を聞き、生活環境などにつ いても調査した。 (2)食環境情報の展示  現地での食品選択や日本から持参するとよい食品 の参考になるよう、飲料各種やアルファ米などを、 11月初旬から大会期間までJISSレストラン「R3」にて 展示した。 (3)食環境に関する資料の配布  事前調査で得られた情報を中心に、食環境に関 する資料を作成した。資料は主に、大会前の日本オ リンピック委員会主催の監督会議、対策セミナー、 ドーハフェア開催時に、チームスタッフや選手に 配布した。また大会期間中には選手村内の日本チー ムのメディカルルームなどに置き、配布した。 (4)選手村食堂メニューの和訳と配布  選手村食堂の予定メニューを和訳し、資料とし、 食環境に関する資料と同様に配布した。なお、両資 料は、JISSのホームページでも公開し、PDF形式で ダウンロードできるようにした。 (5)「アジア大会における食情報と対策セミナー」の 開催  競技団体に希望を募り、食環境に関する栄養セ ミナーを開催した。セミナーは 5 回48名(13競技団 体)の参加であった。 (6)「ドーハフェア」の開催  11月15日の夕食時に、JISSレストラン「R3」を選 手村の食堂に想定し、料理提供をおこなう栄養教 育的なフェアを開催した。選手村食堂での提供方 法や料理の種類、味などを体験し、大会本番でも 必要な料理や食品を選択できることを目的にした。 参加人数は90名(21競技団体)であった。 3.まとめ  アジア大会期間中に選手村の食堂で、選手の食事 の様子を見る機会が得られた。選手村の食堂では、 日本とかわらず食べることができる選手と、「食の知 識がない」「味覚が合わない」ために選択することが できず、必要な料理や食品が食べられない選手がい るなどの現実を見ることができた。今回のサポート で提供した情報を選手が活用するためには、基本的 な食事や栄養に関する知識が身についていることが 必須であると感じた。日頃からの栄養教育の重要性 をあらためて認識し、今後の課題としたい。 P-18 個人参加型トレーニング・栄養一体型講習会に関する特別プロジェクト ○国立スポーツ科学センター トレーニング体育館/栄養指導室 【目 的】  これまではNFからの要望によるトレーニングと 栄養別々の講習会は実施してきたが、個人の競技 者及び指導者が申し込んで参加することが出来る ジュニア選手対象のトレーニングと栄養一体型の 講習会は実施されていなかった。  身体の成長が著しく、食習慣を形成するジュニ ア期にトレーニングと栄養の正しい知識の習得と 実践力の養成は大切である。トレーニングと栄養 に関して講義と実技を一体とした講習を実施する ことにより、トレーニングと栄養の大切さを理解 してもらうとともに、科学的な理論と実践を習得 してもらうことを目的とした。 【方 法】実施概要 (1)開催日及び参加者   第 1 回 2006 年 6 月 25 日(日)      指導者 9 名 選手11名(6 種目)   第 2 回 2006 年10 月 29 日(日)      指導者 11 名 選手 5 名(7 種目) (2)栄 養  講義と実習の構成で実施した。「競技者として望 ましい食事の形とその整え方」について演習も交え た内容の講習を行った後、「身体組成測定実習」を 行った。終了後はレストラン「R3」に設置されてい る栄養チェックシステムe-diaryを利用し、その場 で選択した食事内容の評価を実施し、管理栄養士 がアドバイスを実施した。 (3)トレーニング  講義と実技の構成で実施した。前半の講義では トレーニング体育館の活動概要を紹介した後、「競 技力向上とスポーツ傷害の予防を目的とした体力 向上トレーニングの考え方」についての講習を行っ た。後半は会場をトレーニング体育館に移し、まず フリーウエイト種目の基礎であるスクワット、ベン チプレス及びクイックリフトのテクニックについて 実技を行った。その後上肢、下肢、体幹のトレー ニング種目を自重負荷を中心に紹介した。 【考 察】まとめ  「1日だけではなく何日かにわけて実施して欲し い」旨の意見が第 1 回、第 2 回講習終了後に出た。 本活動のような競技力向上に欠かせない要素であ る「食」と「体」に関する講習は競技現場においても 重要視されている。今後は更にテーマ、対象を細分 化し、開催日の増加も視野にいれつつ競技現場で求 められている情報を提供する必要性が感じられた。

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P-19 トレーニングサポート ○国立スポーツ科学センター トレーニング体育館 【目 的】  トレーニング体育館の活動目的は主として国内 のトップレベルのアスリートに対し、競技特異性、 選手個人の身体特性やその他の必要性に応じて JISS内の各研究部と連携しスポーツ科学分野の研 究成果に基づいたストレングス&コンディショニン グプログラムを計画、提供、実施し、スポーツ傷 害の予防とより高い運動能力の獲得をサポートし、 アスリートのさらなる競技パフォーマンスの向上に 寄与することである。  【方 法】 実施概要 (1)個別サポート  コーチを交えた選手との面談を経て体力水準、 競技的水準などを把握し、個々のトレーニング目 的、課題を明確にした上でトレーニングプログラム の作成、及びその指導を実施した。 (2)団体サポート ①シンクロナイズドスイミング  2006年度の最大目標は日本で開催されたワール ドカップでのメダル獲得であり、トレーニング目 的として陸上でのトレーニング効果を水中でのパ フォーマンスに転化することを最大の目的とした。 ②バドミントン  2006年度の最大の目標は男女共に日本で開催さ れたトマス杯&ユーバー杯でのメダル獲得であり、 そのために個別性を重要視し代表選手個々人の プログラムを作成した。 (3)各研究部との連携  栄養、リハビリテーション、科学、情報部門と連 携し、それぞれの部門と関係のあるアスリートに 対してプログラムの作成、及び指導を実施した。 (4)トレーニング体育館の利用状況  前年度に引き続き、競泳、レスリング、体操、 シンクロナイズドスイミングはJISSにおける強化合宿 が多かったためにトレーニング体育館の利用頻度 も多かった。また上記種目に関しては選手の個人 利用も多い傾向がみられた。 【考 察】 まとめ  来年度にはナショナルトレーニングセンターも完成 する。今後トレーニング体育館としては、各研究 部との綿密な連携による実践と研究の架け橋とし ての役割を担い、JISSならではのサポート体制を構 築する必要があると考えられる。 P-20 国際競技力向上の人材発掘・育成戦略 ○和久貴洋1、トビアス・バイネルト1、阿部篤志1 荒井和宏2 1国立スポーツ科学センタースポーツ情報研究部、2流通経済大学  世界各国の競技力の向上に伴い、オリンピック や世界選手権等におけるメダル獲得をかけた競争 はますます激化している。こうした背景におい て、優れた素質や才能を有する人材の発掘(talent identification/talent selection)及び発掘した人材の 組織的・計画的な育成(talent development)の重 要性が高まっている。  2006年 2 月のトリノオリンピック競技大会に出場 したある女子スケルトン競技者と、その競技者を 発掘・育成したオーストラリアのプログラムは世界 の冬季スポーツに衝撃を与えた。

 Jason Gulbin氏(National Talent Search Program Coordinator, Australian Institute of Sport)は、「統 計的に、10歳∼ 19歳の年齢層の人口の約10%は、 何らかに対する優れた素質や才能をもつ人材(タレ ント)である」という。   オーストラリアをはじめ、イギリス、ドイツ、ニュー ジーランド、香港、シンガポール、カナダ、カター ル、ナイジェリア、マレーシアなど、世界中の国々 が、この課題に取り組んでいる。  一方、我が国においても、2004年に開始された 「福岡県タレント発掘事業」が契機となり、その後、 地域におけるタレント発掘・育成の取組みが活性 化してきている。  今回の報告では、JISSスポーツ情報研究部がこれ まで収集・提供してきた競技力向上に関わる各種 情報の中で「タレント発掘・育成」に焦点をあて、 我が国を含む諸外国のトップスポーツにおける人 材発掘・育成戦略について、その動向と展望を考 えたい。

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P-21 Asian Games Beijing 1990 to Pusan 2002 ○ Tobias Beinert, Atsushi Abe, and Takahiro Waku

JISS Department of Sports Information

This poster presentation analyses the results of the Top 5 Nations (Gold Medal Ranking) of the Asian Games over a period of four Asian Games, from the 1990 Beijing Asian Games to the 2002 Pusan Asian Games. The analysis examines if there are different approaches to the Asian Games among the Top 5 Nations or any other notable differences. Olympic Sports and Non-Olympic Sports are separately examined with a focus on Olympic Sports.

The 2002 Pusan Asian Games experience a separate, more detailed, analysis also taking the efficiency of each Top 5 Nation into consideration.

Some questions this Analysis tries to solve are

 Is the home advantage influencing the results of the Asian Games?

 How do the Top 5 Nations approach the Asian Games?

 Are the Asian Games efficiently utilized as a tool for the preparation for Olympic Games? Is there a different approach to Olympic Sports and Non Olympic Sports?

 Do the Top 5 Nations focus their efforts on Olympic Sports?

 How efficient is each Top 5 Nations approach? This analysis is based on the results / information available from the Official Report of the respective Asian Games. In case results were corrected after the publishing of the Official Report these changes are not taken into consideration.

P-22 定常的な国際競技力把握のための情報活動 ○阿部篤志1、和久貴洋1、トビアス・バイネルト1 白井克佳1、小笠原一生1、勝田 隆2、久木留 毅2 山下修平2、粟木一博3、東海林和哉3、三宅隆史3 三宅 守4 1国立スポーツ科学センタースポーツ情報研究部、2JOC情報戦略 部会、3仙台大学、4筑波大学  日本は2004年アテネオリンピックにおいて金メダ ル16個を獲得し、金メダル獲得ランク世界第 5 位 となった。だが英国の分析によれば、2005年にオ リンピックが行なわれたと仮定した場合の世界ラ ンクで、日本は第13位と位置づけられている。  JISSスポーツ情報研究部・長期情報戦略事業 チームでは、国際競技力向上に関わる国内外の各 種情報を収集し、国内関係機関に提供する業務を 定常的に行なっている。その一環としてJISSは、 前述の英国分析レポートを日本オリンピック委員 会(JOC)に提供した。  JOCは、2006年トリノオリンピックでの惨敗を機 に、オリンピックイヤーだけではなく、毎年、定期 的に日本の国際競争力を的確に把握し、その情報 を国際競技力向上のための取り組みやステークホ ルダー(利害関係者)への提供に活かす取り組みの 必要性を検討し、JOC情報戦略部会内に「実力把握 ワーキンググループ」が開設された。  本報告では、JOC情報戦略部会とJISS情報研究部 が連携して行なっている、定常的な国際競技力把 握のための新たな情報活動の取り組みを紹介する とともに、今後の課題を検討する。

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P-23 競技者を対象にした自律訓練法の習得過程に関する研究−POMS短縮版とCSAI-2を 用いて− ○立谷泰久1、橋本絵美、三村 覚1・2、齋藤明博1・3 平木貴子1、石井源信4 1国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部、日本大学大学院 文学研究科、3埼玉県立川口高等学校、東京工業大学 【目 的】  本研究では、大学生競技者を対象に自律訓練 法(AT)の習得過程を心理・生理的指標を用いて 検討した。本発表では、心理的指標であるPOMS 短縮版と CSAI-2 (Competitive State Anxiety Inventory 2 :「身体的不安」「認知的不安」「自信」 を測定)の変化を中心に報告する。なお本研究は、 (1)、(2)、(3)の三部で構成されており、JISS・ 平成 18年度スポーツ医・科学研究事業「競技者支援の ための心理・生理学的指標に関する研究」の一環と して行われたものである。 【方 法】  実験参加者は、大学生女子競泳選手11名、AT 未経験者とした。期間は平成18年 5 月23日∼ 8月 25日であり、習得過程をみるため、この間に一人 4回の実験を行った。実験場所は、JISS・心理学研 究室内にあるシールドルームで、安楽椅子姿勢で 行われた。実験参加者は、実験の説明を受けた後、 心理的指標(POMS短縮版とCSAI-2)を記入し、生 理的指標を装着した。実験は、安静5分、AT重感 5 分、AT温感 5 分、安静 5 分の計20分間で行われ た。実験終了後、心理的指標と内省報告の記入を 求めた。また参加者は、実験期間中は自宅でATを 行い、その記録も求められた。 【結 果】  実験 4 回(習得過程)における POMS 短縮版の TMD(Total Mood Disturbance) score(「ネガティ ブ尺度」)と、CSAI-2の身体的不安、認知的不安、 自信のそれぞれの点数の分析(分散分析)を行った ところ、全ての実験前後に有意な差がみられた。 実験 4 回(習得過程)においては差がなかった。 【考 察】  ATは全ての実験(1∼4回)において、TMD score、 CSAI-2の認知的不安、身体的不安を軽減させ、 CSAI-2の自信を向上させた。ATによるネガティ ブ尺度やSTAIの状態不安の軽減については、先行 研究でもみられ、今回も同様の結果が得られたと いえる。一方で、ATによる「自信の向上」が示唆 された。「自信をつけたい」という選手から要望は 多数聞かれるが、どのメンタルの技法を用いるの が有効なのかを指摘する文献はあまりみられない。 今回の結果は、「ATは自信を向上させる」という可 能性が示唆できるものと思われる。本研究では、 心理的指標から習得過程を追ったが、結果には現 れなかった。今後は、別の心理的指標を用いて検 討していく必要があると思われる。 P-24 競技者を対象にした自律訓練法の習得過程に関する研究(2)−呼吸数と脳波の変化− ○橋本絵美1、立谷泰久1、三村 覚1・2、齋藤明博1・3 平木貴子1、石井源信4 1国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部、日本大学大学院 文学研究科、3埼玉県立川口高等学校、4東京工業大学 【目 的】  スポーツメンタルトレーニング(SMT)において 自律訓練法(AT)をリラクセーション技法として用 いる場合、重感および温感公式を用いることが多 いが、その習得にかかる期間は2週間とも2 ヶ月と も言われ個人差が大きい。しかしSMTの指導者が 実際に指導する場合を考えると、競技者がATを習 得するまでの期間、頻繁に直接の指導を行うこと は現実的に困難であることが多い。このことから AT習得の程度を判断する客観的な指標が存在する ことは、SMT指導者にとって大きな意味を持つと 考えられる。そこで本報告では同演題の研究プロ ジェクトより、生理的指標である呼吸数および背 景脳波(EEG)に着目し、ATの習得過程における生 理的変化を検討した。 【方 法】  実験参加者等に関しては同演題(1)を参照された い。呼吸は炭素粉末バンドを参加者の胸部に装着し、 時定数3.0秒でPowerLabシステム(AD Instrument 社製)を介し記録した。EEGの記録は国際基準10 -20法にしたがい頭頂のCzから時定数0.3秒で単極 導出を行った。得られたデータは生体アンプで増 幅し、呼吸と同様にPowerLabシステムを介してサ ンプリング周波数1kHzでパーソナルコンピュータ に取り込み記録した。その後、周波数分析を行い、 得られたパワー値のうち 4∼20Hzを分析の対象と した。 【結 果】  安静時を0とした各条件の呼吸数変化分の平均 値を2要因分散分析で比較したところ、測定回数 に主効果がみられ(F(3、30)=5.70、p<.01)、すべ ての条件で2−4 回目の測定に比べ、1 回目測定時 の呼吸数の変化分が大きいという結果が示された。 その後、約3週間の練習期間を経た 2 回目以降の測 定時では、安静時とAT時に呼吸数の変化はなかっ た。またEEG周波数分析の結果では、1 回目の測 定では重感および温感のピーク周波数の変動がみ られなかったが、2 回目では温感時に除波化が起こ り、3 回目・4 回目の測定時では重感からピーク周 波数が低く、その後の温感でも変化がなかった。 【考 察】  ATの練習開始から3週間後の練習初期には呼吸数 の安定が、その約1ヶ月後においては短時間のAT実 施でEEGに徐波化が起こり、また3回目・4回目の 測定では重感と温感にピーク周波数の変動がみられ なかった。これらよりATの練習を開始して約3週間 後が習得過程の転機である可能性が考えられる。

参照

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