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(1) 作成上の留意点 清潔で衛生的な食品の製造あるいは加工環境を確保するための要件を わが国では 一般的衛生管理プログラム と称しています このプログラムの内容は コーデックス委員会による 食品衛生の一般的原則 に示されたものと同じであり 安全で良い品質の食品を製造あるいは加工するための設備や器具

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Academic year: 2021

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(1)

衛生標準作業手順書

(SSOP)の作り方

(2)

第4章

(1)作成上の留意点

 清潔で衛生的な食品の製造あるいは加工環境を確保するための要件を、わが 国では「一般的衛生管理プログラム」と称しています。このプログラムの内容は、 コーデックス委員会による「食品衛生の一般的原則」に示されたものと同じであ り、安全で良い品質の食品を製造あるいは加工するための設備や器具(ハード) およびその管理(ソフト)について規定したものです。したがって、このプロ グラムは、食品の製造あるいは加工する施設として当然備わっていなければな らない要件であり、HACCPシステムの適用の前提条件プログラム(Prerequisite Program)として位置付けられています。  一般的衛生管理プログラムのうち、食品の製造あるいは加工に使用する設 備や器具の保守管理の手順を決めて、正常に作動させたり、食品に微生物の 汚染や異物の混入がないようにするために標準作業手順書(SOP:Standard Operating Procedure)を作成します。SOPのうち、特に使用機器や手指の洗浄・ 殺菌や機器の衛生管理など、食品の取扱環境から危害要因の汚染や混入を防 ぐための手順書を衛生標準作業手順書(SSOP:Sanitation Standard Operating Procedure)といいます。SOPとSSOPにより食品取扱環境を管理し、さらに CCPにおけるHACCPプランによる管理を併せることによって、一層確実な衛 生管理が可能になります。  一般的衛生管理プログラムに相当するコーデックス委員会の「食品衛生の一 般的原則」には、1.一次生産(原材料)、2.施設の設計および設備の要件、3. 食品の取扱い、4.施設の保守および衛生管理、5.人の衛生、6.食品の運搬、7. 製品に関する情報および消費者の意識、8.食品従事者の教育・訓練の8要件が 規定されています。これらの8項目の作業内容を吟味し、共通項目をまとめて みますと、表3に示したように「環境の衛生管理」、「食品の衛生管理」および「従 事者の衛生管理」の三つの管理分野に分類されます。  また、表3の個々の要求事項を、一般的衛生管理プログラムのチェックリス トの形式にして示したものが第7章の表12です。  要求事項はかなりのものになりますが、これらが常に適切に満たされた状 態にあることが必要です。ただ、「立地」のようなものは工場の建設時や建設 後に環境の大きな変化があった場合にのみ考慮したり、あるいは見直しが必要

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第4章 という性格のものです。「施設内部のデザイン、配置および構造」なども建設 時に要求事項を満たしておけば、あとは年に一度程度、状況に変化がないかを チェックするだけで十分でしょう。  一方で、「危害要因の管理(衛生管理):時間/温度、特定の製造加工、交 差汚染」のようなものは、製造加工の工程で常に満たされるべき要求事項で す。これらについては、要求事項を満たすべくSOPあるいはSSOPを作成して おき、さらに最終製品の安全性から考えて特に重要な管理を必要とする場合は HACCPプランを作成し、これらの手順書と管理記録様式を作成して、それに 基づく管理が必要となります。特に、危害リストで“SSOP(またはSOP)で 管理できる”と判断した危害要因に対しては、「食品衛生の一般的原則」をよ く吟味して、どのような内容のSSOP(またはSOP)を作成して対応しなけれ ばならないかをはっきりさせる必要があります。 ●表3 「食品衛生の一般的原則」を三つの管理項目に整理した表 管理分野 内容 環境の衛生管理 1.施設の設計および設備の条件 1)施設の立地および装置の設備 2)施設内部のデザイン、配置お よび構造 3)食品と接触する装置デザイン、 配置、構造 4)給水・排水設備とその処理 5)温度管理、空調および換気 6)照明 7)貯蔵設備 8)人のトイレなどの衛生設備 2.施設の保守および衛生管理 1)保守管理:手順および方法 2)洗浄・消毒プログラム 3)そ族・昆虫の管理システム 4)廃棄物の処理 5)効果的なモニタリング 食品の衛生管理 3.一次生産(原材料) 1)生産環境とそこでの衛生的な 取り扱い 2)保管および輸送 3)生産時の保守管理および人の 衛生 4.食品の取り扱い 1)危害要因の管理(衛生管理): 時間/温度、特定の製造加工、 交差汚染 2)搬入される生原材料の要件 3)包装のデザインおよび材質 4)使用水、氷、蒸気 5)文書化および記録 6)回収手順 5.食品の運搬 1)車両・容器の必要条件 2)車両の保守管理 6.製品に関する情報および消費者の 意識 1)ロットの識別 2)製品の情報 3)表示 4)消費者教育 従事者の衛生管理 7.従事者の衛生 1)健康状態:外傷 2)人の清潔:手洗い 3)人の品行(行動規範・基準) 4)訪問者(外来者の衛生) 8.従事者の教育訓練 1)衛生意識および責任感 2)教育・訓練プログラム 3)研修および管理(教育効果の 確認) 4)再教育・訓練

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第4章 ① SSOPの対象  各工程における交差汚染や二次汚染を防止するための管理項目として、一般 的衛生管理プログラムから抽出されたSSOPの対象には次のような例がありま すが、各施設では必要に応じてさらに項目を追加することもあるでしょう。 (A)使用水の管理 (B)機械器具の洗浄・殺菌 (C)従事者の手指、作業服、機械器具などから食品への汚染防止 (D)従事者の手指の洗浄・殺菌 (E)従事者の健康管理 (F)有毒・有害物質、金属異物などの食品への混入防止 (G)トイレの清潔維持 (H)ネズミ、昆虫などの防除  これらは食品の製造加工の多くの場面で共通項目として要求されるもので、 食品に対して直接手を加えるというものではなく、その周辺に対する措置とし て性格づけられるものです。しかし、その際、トイレの清潔維持や従事者の衛 生管理のような基本的なものについては一つの手順書で事足りるかもしれませ んが、機械器具の洗浄・殺菌のような場合は個別の機械器具についての手順書 が必要であり、現場の実態に即した手順書の作成が必要になります。  一方、食品に対して直接手を加えて作用を及ぼすような一般的な作業内容に ついても、一般的衛生管理プログラムとして、製造あるいは加工ごとに適切な SOPを作成しておき、その通り作業を行う必要があります。 ② SSOPの内容  原則的には、以下に例示した要件を満たすことを求められますが、日常的な 簡単な作業については、一部省略してもよいでしょう。 (A)適用範囲 (B)使用する薬剤(濃度、温度を含む) (C)使用する設備、機械器具 (D)作業者および点検者 (E)作業方法、作業条件、作業場の注意事項 (F)作業開始時刻 (G)作業頻度

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第4章 (H)作業上の管理項目および点検項目 (I )異状時の措置 (J )施設の衛生管理状態を検証するシステム (K)衛生管理上の欠陥を修正することを保証するシステム (L)作業内容の記録方法 (M)点検結果および修正内容の記録方法

(2)例示

 SSOPの手順書は文章であっても、また要点を表や図としてまとめた形でも 構いません。(A)~(F)に SSOPの例のいくつかを示しました。 (A)使用水の管理 ⓐ 弊社は、氷の製造を含むすべての工程に(原則として)市の水道水を使 います(会社の品質責任者は、市に水質証明書を要求し、それをファイ ルに保管します)。 ⓑ 井戸水を使用する場合は、水質検査を実施し飲用適であることを確認し ます。水質検査は、公的機関、厚生労働大臣の登録検査機関等に依頼して、 年に2回以上実施します。検査結果は1年間保管します。 ⓒ 検査結果で飲用不適とされた場合は、直ちに使用を中止し保健所に届け 出て指示を受けます。 ⓓ 毎日、始業前に残留塩素を測定し、日次衛生点検表に記録します。残留 塩素が規定どおり検出されなかったら、まず製造をストップします。残 留塩素供給装置の点検を実施し、残留塩素が規定どおり供給できたら製 造を再開します。 (B)従事者の手指の洗浄殺菌  手洗い設備には、石けん、爪ブラシ、逆性石けん(1%液)、ペーパータ オルを定期的に補充し、常に使用できる状態にしておきます。 ⓐ 流水で手をぬらし、石けんをつけます。 ⓑ 石けんで泡立てて両手の指、腕(ヒジから下)を、30秒以上かけて洗います。 特に指の間、指先を良く洗います。また、爪ブラシを用いて爪の間をよ くこすり洗いをします。 ⓒ 流水で石けん分を、完全に洗い落とします。

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第4章 ⓓ 1%逆性石けん液を手につけ、30秒間よくこすります。 ⓔ 水で手を洗い、逆性石けん液をよく洗い落とします。 ⓕ ペーパータオルで手を拭きます。 ⓖ ライン監督者が従事者の手指洗浄・殺菌の様子を始業時、休憩後などの タイミングで観察し、日次衛生点検表に記録します。洗浄・殺菌の手順 を守らない従事者がいた場合には指導・訓練を行います。 (C)トイレの清潔維持  適切で使用しやすいトイレは、固有の下水処理につながっていて、いつで も使え、衛生的でよく手入れされていなければなりません。   手順は以下の通りです。 ⓐ 製造区域に隣接した休憩区域の中に、男女別々のトイレを設置します。 各トイレは、内側に開く二重ドアがついており、換気がよく、設置する トイレの数は、従業員の数に基づき男女別を考慮して別々に設置します。 ABCエビ会社の従業員は、男125人、女135人です。男子用トイレは8、 女子用トイレは9です。従業員の数が増えたら、トイレを増設します。 ⓑ 製造時間中、ライン監督者はトイレ施設が衛生的で備品が足りているこ とを点検します。結果は、日次衛生管理点検表に記録します。 ⓒ 製造終了後、YXZ清掃消毒会社がトイレ施設を清掃し、消毒し、備品を 補充する責任を持ちます。 ⓓ 保守部門は、トイレ施設がいつでも使えるよう、手入れをよくします。 (D)機械器具の洗浄殺菌  作業を始める前に、前日の洗浄結果の状態を確認し、確実に洗浄されてい ることが確認できたら、次の作業に入ります。 ⓐ 70%アルコールを、乾いた状態の作業台に噴霧します。 ⓑ アルコール分は蒸発が速いので、噴霧した後は水拭きしません。 作業が終わったあと ⓒ 洗浄剤メーカーの処方に従って希釈した洗浄剤(洗浄剤名:○×)をフ キンに浸し、表面をこすり洗いして、汚れを落とします。 ⓓ 清潔なフキンで水拭きして、汚れと洗浄剤を完全に拭き取ります。 ⓔ 70%アルコールを、乾いた台の上に満遍なく噴霧して殺菌します。 ⓕ ライン監督者は終了後、台の状態を目視点検します。洗浄が不十分な箇 所があれば作業をやり直させます。点検結果は日次衛生管理点検表に記

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第4章 録します。 ⓖ 品質管理担当者が定期的にラインのふき取り検査を実施して、洗浄・殺 菌の手順が適切であるか検証します。 (E)従事者の健康管理 健康診断および検便 ⓐ 従業員は定期的な健康診断、および月に1回以上検便を受け、その結果 を1年間保管するとともに、検便・検診記録表に記録します。 ⓑ 検便には、赤痢菌、サルモネラ菌の検査に加え、腸管出血性大腸菌O157 の検査を含めます。 ⓒ 従業員が海外から帰国した際には、必要に応じて検便を受けます。 ⓓ 病気等で長期休業した者は、必要に応じて検便を受けます。 健康管理  健康診断または監督者の観察の結果、食品、食品に接する表面または食品 包装材を汚染する可能性のある病気、感染した傷、腫れ物またはタダレのよ うな外傷、または他の問題を持つものはすべて、その状態が治癒または改善 されるまでは、いかなる作業にもつかせてはいけません。  手順は以下の通りです。 ⓐ 新しい従業員のオリエンテーションの一部として、製造工程のいかなる 部分をも汚染する可能性のある病気または傷については、直ちに監督者 に報告する必要があることを、スタッフには指示します。従業員は、も しもサルモネラ、A型肝炎あるいは赤痢などの確実な病気の発症を見つ けたら、直ちに監督者に報告しなければいけません。さらに、従業員には、 もし可能ならば、製造作業以外の他の勤務につくことができることを知 らせます。訓練の結果は、書類にし、ファイルに保管します。 ⓑ すべての監督者は、彼らの配下の従業員に明らかに健康であることを観 察する責任があります。監督者は、毎日の作業が始まる前、従業員の健 康の異状の兆候をよく調べます。汚染によって作業を危うくするかもし れない傷や病気の兆候がある場合は、監督者はその人をラインから外し、 工場長に報告します。もしその従業員を他の勤務に就けられない場合は、 その状態が軽くなるか医者が職場復帰してよいというまでは、その人を 自宅待機させます。観察結果は、日時衛生点検表に記録します。

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(F)入室管理  図3は入室管理のSSOPをやや簡略化したものです。 ●図3 SSOP の例(入室管理) ◆入室管理マニュアル◆ ・過度の汚れは入室 �禁止 ・時計、指輪、イヤ �リング、香水等の �禁止 調理用手袋等を着用 する つめが長く不衛生な 時 手洗いマニュアルに 従う 手指に傷がある時 つめを切る 服�装 傷・つめ・毛髪 チェック要点� 注意点 手洗い 粘着テープを踏む ローラーで髪、 ほこりを取る 靴を履きかえる 鏡を見る 前掛けをつける 上着を着る 帽子をかぶる マスクをつける 指定の衣服を着る 作業工程

参照

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