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国内・海外での製品リサイクルの取組み

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Academic year: 2021

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国内・海外での製品リサイクルの取組み

Fujitsu Group Activities for Global Product Recycling

あ ら ま し 国内の動きがゼロエミッションと廃製品のリサイクルに向かう状況の中,1998年12月に 国内業界初のリサイクルシステム(富士通リサイクルシステム)を構築した。これは,富士 通グループが事業系向けのお客様に対して廃製品を回収し,処分するスキームである。子会 社,パートナ会社が運営する富士通リサイクルセンターを全国5箇所に設置し,お客様の窓 口として富士通ロジスティクス(当時)が担当して運用を開始した。現在は,廃棄物処理法 に基づいて,広域認定を取得し,事業系と個人のお客様向けの廃製品回収のスキームを構築 し,製品リサイクルサービスとして運用している。また,海外におけるリサイクルスキーム 構築を2002年より開始し,2007年12月までに米国,カナダ,オーストラリア,フィリピン, シンガポールの5箇国7拠点でリサイクルサービスを実施している。 Abstract

In line with a domestic environmental movement aimed at zero emissions and the recycling of waste products, Fujitsu in December 1998 became the first company in the industry to establish a recycling system in Japan (known as the Fujitsu recycling system). This was a scheme whereby Fujitsu Group collects waste products from industrial users for disposal and recycling. We began a recycling operation by setting up Fujitsu recycling centers in five bases nationwide, with Fujitsu Logistics Ltd. in charge of customer relations. We now offer a recycling service as a certified, wide-area waste disposal agent under the Waste Disposal and Public Cleansing Law, and have established a scheme to collect waste products from both industrial and individual users. Moreover, we launched a recycle scheme overseas from 2002, and have implemented recycling services through seven bases in the US, Canada, Australia, the Philippines, and Singapore until December 2007.

工藤 孝(くどう たかし) 環境技術統括部 所属 現在,富士通リサイクルシステムの 運用管理に従事。 市村 真(いちむら まこと) 環境・リサイクルサービス部 所属 現在,事業系のリサイクルサービス に従事。

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国内・海外での製品リサイクルの取組み

ま え が き 1991年にリサイクルの促進を目的とする「再生 資源の利用促進に関する法律(再生資源利用促進 法)」が制定された。1993年から1998年にかけて, 不法投棄の問題が顕著化し,廃棄物処理法による規 制がかけられてきた(図-1)。大量消費・大量廃棄 型の経済活動により,廃棄物の最終処分場のひっ迫 などが問題となるとともに,世界的には各種資源の 枯渇も懸念されてきた。国は環境保全と経済成長を 両立させる循環型社会を形成することが重要な課題 であると認識し,2000年に循環型社会形成推進基 本法を制定した。この法律では,事業者についても 事業活動のすべての段階において循環型社会の形成 のために努力することを責務として規定している。 また,循環型社会形成推進基本法に基づき,講じる べき施策などを定めた循環型社会形成推進基本計画 が2003年に策定された。2000年の循環型社会形成 推進基本法の制定以降,家電リサイクル法などの各 種リサイクル法が整備された。また,2000年に1R (リサイクル)から3R(リデュース,リユース,リ サイクル)に取組みを拡大するために従来の「再生 資源利用促進法」が「資源有効利用促進法(改正リ サイクル法)」へ大幅な改正が行われた。国の動き を先取りする形で,1999年から2002年には工場廃 棄物を最終埋立て処分しない動きとして,ゼロエ ミッションが製造系事業所に広がった。リサイクル を推進するために,資源有効利用促進法(改正リサ イクル法)では指定再資源化製品としてパソコンを 指定しており,企業系パソコンは2001年4月に,家 庭系パソコンは2003年10月に施行された(図-2)。 欧州においては,販売会社に製品の回収を義務付け るWEEE指令(注 )1がでてきている。 富士通の資源循環に対する取組み 国内の動きがゼロエミッションと廃製品のリサイ クルに向かう状況の中,1998年12月に国内業界初 のリサイクルシステム(富士通リサイクルシステ ム)を構築した。これは,富士通が事業系のお客様

(注1) Waste electrical and electronic equipmentの略。電気・ 電子機器の廃棄物に関するEUの指令で,製造者に電 気・電子機器を回収してリサイクルすることを義務付け たもの。 に対して廃製品を回収し,処分するスキームである。 子会社,パートナ会社が運営する富士通リサイクル センターを全国5箇所に設置し,お客様の窓口とし て収集運搬業を持つ富士通ロジスティクス(当時) が担当して運用を開始した。以下,富士通のリサイ クルセンターについて述べる。 (1) 富士通リサイクルシステム(FRS)の拡充 当初,5箇所で始まったFRSは,現在は,図-3に 示すように6箇所(東日本リサイクルセンター,首 都圏相模原リサイクルセンター,首都圏綾瀬リサイ クルセンター,中部リサイクルセンター,西日本リ サイクルセンター,九州リサイクルセンター)へ拡 充し,お客様の利便性を高めるために提携リサイク ルセンター3箇所(札幌,金沢,沖縄)を新たに設 置した。 (2) お客様向け回収スキーム お客様向け廃製品の回収スキームとして,家庭系 リサイクルスキームと事業系リサイクルスキームが ある。富士通は,「廃棄物広域再生利用認定制度」 の認定業者として,環境省から認可を受けて,回 収・再資源化スキームを構築している。広域認定制 度としては,事業系のお客様向けの「事業系IT製 品リサイクルサービス」と個人のお客様向けの「家 庭系パソコンリサイクルサービス」がある。これら のサービスについては,別章で仕組みを述べる。 (3) 富士通リサイクルセンターの特徴 お客様のリスクを回避するために安心・安全を基 本として下記の活動を実践している。 ・統一処理基準(解体基準)による適正処理の実施。 IT機器ごとに,解体基準を定めて,ユーザ情報 の抹消,HDDなどの記憶媒体の取外し・破壊を 規定。また,機器の機能破壊も規定。富士通のリ サイクルセンターであれば,どこでも同じ解体 基準で解体処理を実施。 ・お客様情報の漏えい防止(お客様名などのお客様 情報の抹消,HDDのデータ消去とHDDの破壊) (図-4)。IT機器に貼られている機器管理番号シー ルなどのユーザ情報をはがすことによりユーザ情 報を抹消。また,HDDはボール盤による穴あけ 破壊,クラッシャによる破壊を実施。 ・受入れから最終処分までのトレーサビリティの確 保(これを支援するために,リサイクル統合情報 管理システムを導入)。リサイクル統合情報管理

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国内・海外での製品リサイクルの取組み

家電 リサイクル法 建設資材 リサイクル法 容器包装 リサイクル法 食品 リサイクル法 グリーン 購入法 循環型社会形成推進基本法 廃棄物処理法 (改正) 資源有効利用促進法 (改正リサイクル法) 一般的な仕組みの確立 個別物品の特性に応じた規制 (2000年施行) (2001年施行) (2002年施行) (2001年施行) (2000年施行) (2001年施行) (2001年施行) (2001年施行) -家電4商品- ・洗濯機 ・テレビ  ・エアコン ・冷蔵庫 ・ゴミ処理の取組みに優先順位 ・排出者責任と拡大生産者責任 ・マニフェスト制度の見直し強化 ・不正処分に関する罰則強化 ・1R(リサイクル)⇒3R(リデュース,リユース,リサイクル) ・指定再資源化製品分野の新設 図-1 国内環境法規制

Fig.1-Environmental law and regulation in Japan.

・再資源化状況 : 公表回収実績[回収重量・台数・資源再利用率]を家庭系       と事業系を合わせて毎年公表   2001年3月の経済産業省/環境省令第1号で定められた資源再利用率目標値          a) 50%  b) 20%  c) 55%  d) 55% パソコン(指定再資源化製品) :新設分野 ・対 象 : a) デスクトップパソコン本体  b) ノートブックパソコン      c) CRTディスプレイ装置   d) 液晶ディスプレイ ・回収方法 : 製造事業者による自主回収システム構築 家庭系と事業系のリサイクルスキームによる運用        ・適 用     : 企業系パソコン 2001年4月施行           家庭系パソコン 2003年10月施行  図-2 資源有効利用促進法(改正リサイクル法) Fig.2-Law for promotion of effective utilization of resources.

システムは,お客様ごと,マニフェストごとに受 け入れた廃製品をリサイクルセンターの各工程に 配置された端末装置で入力し,リサイクルセン ターの処理工程のどこにあるかを管理し,選別資 源化されるまでを記録。 ・セキュリティの確保。各リサイクルセンターに監 視カメラを設置し,映像を保存。また,HDDの データ消去・破壊のために専用の部屋を設けて, IDカードによる入退室管理を実施。 ・徹底した手解体による選別を行い,廃プラスチッ クの破砕,発泡剤の減溶ペレット化などを実施し, 素材への再資源化を実施。富士通の資源再利用率 (再生部品・再生資源量/廃IT製品の処理量)は, 90%を超えている。 家庭系パソコンリサイクルサービス 本サービスは,日本郵便による業界共通の回収 ルートをベースに構築されている。個人のお客様が パソコン4品目(デスクトップパソコン,ノートパ ソコン,CRTディスプレイ,液晶ディスプレイ) を廃棄したいときは,販売したメーカの窓口に廃棄 の申込みをすると,エコゆうパック伝票がお客様へ 送付され,対象のパソコンをゆうパックで戸口回収 するか郵便局へ持ち込むかをお客様が選択して回収 される。回収されたパソコンは集配郵便局経由で集 荷場に集められて,そこから各メーカの再資源化拠 点(リサイクルセンター:富士通は3拠点)へ配送 され,再資源化される仕組みとなっている(図-5)。

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富士通西日本 リサイクルセンター 富士通中部 リサイクルセンター 富士通首都圏相模原 リサイクルセンター 富士通九州 リサイクルセンター 富士通周辺機(株) エコー電子工業(株) FDKエコテック(株) 富士通化成(株) 富士通首都圏綾瀬 リサイクルセンター PFUライフビジネス(株) :富士通リサイクルセンター 富士通東日本 リサイクルセンター (株)エフアイティフロンティア :提携リサイクルセンター 札幌 金沢 沖縄 図-3 富士通リサイクルセンター(事業系) Fig.3-Fujitsu recycling center for enterprise.

顧客データ・個人情報の消去 マテリアルリサイクル 10 mm 使用済みパソコン データ消去ソフトでディスク全領域に ダミーデータを上書き(JEITAガイドライン準拠) ハードディスクの物理的破壊 ディスク部を電動ドリルで貫通穴あけ    破壊ディスク 手解体  ・鉄  ・アルミニウム  ・銅   リユース  保守・修理用 HDDクラッシャで圧縮破壊 または 図-4 ハードディスクのデータ消去・物理破壊 Fig.4-Data erasing and physical destruction of HDD. 2003年10月以降に個人に販売したパソコンは,資 源有効利用促進法および省令改正(2003年4月公 布)に基づき,メーカが廃棄時に無料(無償)で回 収・再資源化し,2003年10月以前に販売したパソ コンは,有償で回収・再資源化している。 事業系IT製品リサイクルサービス 事業系IT製品リサイクルサービスは,環境省の 広域認定制度にのっとり,国内の官公庁,自治体, 企業,病院など,事業系のお客様で不要となった IT機器の廃棄を製造メーカの富士通が受託する サービスである(図-6)。 事業系のお客様がIT製品の廃棄処理を行う場合, 廃棄物処理法に基づき都道府県(政令指定都市)の 許可を取得した産業廃棄物の運送業者と処分業者の それぞれと直接契約が必要となるが,本サービスの

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国内・海外での製品リサイクルの取組み

出典:パソコン3R推進センター <仕組> 日本郵便 「コンビニエンスストア」・「郵便 切手類販売所」・「簡易郵便局」 ・「郵便局以外のゆうパック取扱 所」では取扱できません。 カード支払時は②不要 ・郵便局(ゆうちょ銀行) (1) 図-5 家庭系パソコンの回収・リサイクル Fig.5-Recycling for home-use PC.

お客様 富士通 収集運搬会社 (28社) 富士通リサイクルセンター (6拠点) 契約 収集 運搬 契約 処分 契 お客様と富士通の契約 処理責任は富士通 [特徴] (富士通製IT製品) 「産業廃棄物広域再生利用認定制度(広域認定制度) 」にのっとった,富士通(生産者) による使用済みIT製品の回収・運搬・廃棄処理サービス。 提携リサイクルセンター (3拠点) 図-6 事業系IT製品リサイクルサービス Fig.6-Recycling services for enterprise-use IT products. 場合,富士通との契約1本のみとなる。また,全国 に拠点を持つお客様は,地区ごとに認可のある運送 業者,産業廃棄物処理業者を探し,複数の契約が必 要となるが,この場合も,契約1本のみで対応が可 能となる。 さらに,産業廃棄物を処理する上で,お客様はマ ニフェストと呼ばれる伝票の発行と管理が必要とな るが,広域認定制度ではマニフェストに代わるエビ デンスが認められているため,本サービスでは契約 書と完了報告書をもって,お客様のマニフェスト手 続きを不要としている。 実際の廃棄物の運送と処分については,広域認定 制度で申請している業者のみを利用し,安心・安全 なサービスを継続的に提供している。運送会社は

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国内・海外での製品リサイクルの取組み

リサイクル法制定済みの国

富士通が自主的にリサイクルサービスを提供する国

図-7 海外での製品リサイクルサービス状況 Fig.7-Worldwide product recycling service. IT機器の運搬を行うスキルのある富士通の協力会

社,処分はすべて富士通のリサイクルセンターで実 施している。

なお,富士通はIT機器の新規導入,運用,廃棄 の一連の流れをLCM(Life Cycle Management) サービスとしてお客様に提案している。IT機器の ライフサイクルの終末で産業廃棄物の適正な処理 サービスを提供することで,循環型社会の形成と地 球環境保護にも貢献していく。 海外リサイクルのグローバル体制構築 IT製品の廃棄量増加や情報セキュリティに関し ては,世界的に問題視されている。このような状況 を受け,日本・欧州など一部の国々では,拡大生産 者責任という考えを取り入れ,特定の使用済み電 気・電子機器の適切な処理を生産者の責務とする法 律が制定されてきている。欧州では2005年8月に WEEE指令が施行され,廃電気・電子機器の回収 が義務化された。富士通では,上記指令に対応する ため2004年から他社に先駆けて欧州域内で廃IT機 器のリサイクルシステムを構築してきた。近年,廃 電気・電子機器の回収義務化の動きが加速しており, 北米,アジアなどでも回収義務化の動きがでてき ている。 本章では,これから廃電気・電子機器リサイクル の法的義務化が進むと予測される北米・アジア(一 部の州・国では既に義務化)での先行的な富士通グ ループの廃IT機器の回収の取組みについて簡単に 説明する(図-7)。 富士通グループは,第4期富士通グループ環境行 動計画における目標の一つとして,北米・アジアで の廃IT機器のリサイクル体制構築に取り組んでき た。その成果として,2007年12月までに米国・カ ナダ・オーストラリア・フィリピン・シンガポール の5箇国7拠点で,リサイクルサービスを実施して いる。 廃IT機器のリサイクル体制の構築に当たっては, 日本での経験や海外政府のガイドラインなどを参考 に統一されたリサイクル業者選定基準を作成し,そ の基準によって各国でリサイクルパートナを選定し, 契約した。このシステムにより,富士通グループは お客様から回収した廃IT機器をリサイクルパート ナで,適切に処理するサービスを提供可能となった。 以下具体的な活動事例を紹介する。

Fujitsu Transaction Solutions Inc.(米国)では, 2002年より,使用済みのPOSシステムなどを回収 し,自社工場で整備した後,再度使用してもらうな どのサービスを提供し,お客様数ベースで約40% のお客様に利用されている。

Fujitsu Australia Ltd.(オーストラリア)がIT 製品リサイクルサービスを2006年4月より開始し, 2007年2月までに同国の大手小売企業を対象に約 250トン(以下,t)の使用済みPOSシステムのリ サイクルを行った。

Fujitsu Philippines, Inc.(フィリピン)グルー プでは,パイロットプロジェクトとして,2006年6

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国内・海外での製品リサイクルの取組み

月から2007年2月までの間にFPIグループおよびそ のお客様からの電子廃棄物27 tのリサイクルを行っ ている。2007年5月からは,IT製品リサイクルサー ビスを正式に開始し,廃IT製品を環境に配慮され た方法で処理している。 香港では電機業界他社や小売業者と協力し, 2008年1月から始まったコンピュータリサイクルプ ログラムに立上げ当初から積極的に参加している。 また,タイでは,2008年度内に廃IT機器リサイク ルサービスの提供を計画している。 これで,欧州,アジア,北米,オセアニア域内で の廃電子機器の回収体制がほぼ整ったことになる。 今後も,富士通は廃IT機器の不法投機による環 境破壊防止のために生産者としての社会的責任をき ちんと果たしていく。また,グローバル体制(情報 網)を利用し,高効率な廃IT機器回収スキームを 構築し,お客様への信頼できるリサイクルサービス の提供と廃棄された資源の再利用や少ない投入資源 で製造可能な環境配慮型製品の技術開発に役立てて いく。 む す び 富士通における製品リサイクルはお客様の安心・ 安全を基本に適正処理の確保が大きなサービスであ ると認識し,対応している。 また,海外リサイクルを拡大していくとともに, 法令遵守のための適正処理を確保するための仕組み の見直しに,今後とも継続して取り組んでいく。 参 考 文 献 (1) パソコン3R推進センター:PCリサイクルマニュア ル(平成17年3月現在).

参照

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