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平均場近似による核物質の性質 利用統計を見る

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(1)

平均場近似による核物質の性質

著者名(日)

手塚 洋一

雑誌名

東洋大学紀要. 自然科学篇

45

ページ

1-27

発行年

2001-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00002456/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

平均場近似による核物質の性質

手 塚 、﹃羊 _*

Bulk Properties of Nuclear Matter

with Mean Field Approximation

Hirokazu TEzuKA

Abstract

  Properties of nuclear matter are discussed relativistically, Nuclear matter is assumed to consist of equal number protons and neutrons which interact through scalar mesons and vector mesons. Scalar mesons and vector mesons are assumed to be distributed uniformly and are applied mean丘eld approximation. As a result, the nucleons form Fermi gas distribution, aIld bulk properties of nuclear matter are calculated with nucleon Fermi gas distribution.   Asimpleσ一ωmodel can reproduce the bulk properties of nuclear matter except for its incompressibility. To make up for disagreement of incompressibility, models including self−interaction of scalar mesons or derivative coupling between scalar mesons and nucleons are investigated. These models succeed to reproduce the bulk properties of nuclear matter.

1 はじめに

 原子核の細かな構造を無視し,全体としての基本的な性質ならびに核力を調べるのに便 利な理想模型として核物質という概念がある.これは等しい数の陽子と中性子からなる無 限に大きな原子核を想定するもので,原子核の表面の効果は無視できるものと考える.ま た陽子間に働くクーロンカの効果も無視する.なぜなら,一つの陽子の受けるクーロンエ ネルギーは陽子間距離rの関数として 1・c。ulomb一Σ手 (1.1) *東洋大学自然科学研究室 〒351−8510埼玉県朝霞市岡2−11−10 Natural Science Laboratory、 Toyo UIliversity,11−100ka 2, Asaka−shi, Saitama,351−8510,

JAPAN

(3)

2 手 塚  洋 となるが,この和をすべての陽子対について実行しようとすると,距離rに関して0∼oc の積分をすることに相当し,対数発散する.核力の議論をするためにはこの発散はじゃま になるので,核物質の議論では一般にクーロンカの影響は無視される.  実験によれば,原子核の中心部の密度はその質量数によらずほぼ一定でρo=O.19fm 3 程度である(原子核の飽和性).また,原子核の結合エネルギーB(1V, Z)(原子核をその構 成粒子である陽子と中性子にバラバラにするために必要なエネルギー)は細かな構造によ る微視的な効果を無視すれば,平均的に次の経験公式         B(IV,Z)一・A・一・bA・/・一;(¥)2−i(寄2 (1・・) で近似できることがわかっている.A「, Z, Aはそれぞれ原子核の中性子数,陽子数(原子番 号),質量数(核子数)であり,R。は原子核の荷電半径である.係数a,b,cは実験によっ て決められるべき定数である.  第1項は体積項と呼ばれ,飽和性を反映して核子数.4に比例し,結合エネルギーの主 要項である.第2項は原子核の表面張力に相当するもので,表面積に比例し,表面エネル ギー項と呼ばれる.核物質の議論では,表面効果は無視するのでこの項は無視される.第 3項は対称エネルギー項と呼ばれるが,陽子数Zと中性子数Nの等しい核物質では消え る.最後の項はクーロンエネルギーであるが,この項も核物質では無視される.すなわち 核物質で考慮される結合エネルギーは第1項の体積項だけで,実験結果によれば,核物質 の核子あたりの結合エネルギーは B(。・,・。)一。竺16M。V (1.3) と想定される.  さらに核物質の性質を規定する実験量として,非圧縮率Kがある.非圧縮率は微小な密 度変化に対する安定核の反応の強さ,すなわち曲率を表す量で,核子あたりの束縛エネル ギー(結合エネルギーの符号を逆にしたもの)をB,核子密度をρ,結合エネルギーを極 小にする核子密度をρoとおくと K−・ρ (1.4) で定義される.後に,式(2.25)などで示されるような核子密度と核物質のフェルミ運動量 kFとの関係       暗        (1.5)        ρ=㍗       6π2 を使って,kFの微分に書き換えると(?・は核子のスピン,アイソスピン自由度で,核物質 では7=4ととられる)

(4)

平均場近似による核物質の性質 3

K−・ρ1鰐)P.,。

一一・片

R +鴎

      ∂B となる.エネルギーの極小値では右辺の第1項は       ∂kF

K一

kF=kFO kF=hFO kF=kFO =0で消えるから (1.6) (1.7) である.ただし,kFOは核子密度ρoに対応するフェルミ運動量である.原子核の振動モー ドの解析などから,核物質では通常K=200MeV程度であると考えられている.  この論文では核物質の性質として,核子密度ρo=O.19fm}3に対応するフェルミ運動 量kFO=1.42〃mで最も安定になり(最低のエネルギーを持ち),そこで束縛エネルギー

がB=−15.75MeV,非圧縮率K=200MeV位となるように決める.

 核物質は同数の陽子と中性子からなり,それらの核子は中性スカラー中間子と中性ベク トル中間子を媒介として相互作用しているものと考える.核物質は無限に大きく,その中 でスカラー中間子とベクトル中間子は一様に分布しているものと仮定され,平均場近似が 適用される.その結果,核子は運動量の固有関数となり,フェルミガス分布をすることに なる.  スカラー中間子と核子の相互作用として最も簡単なスカラー結合,ベクトル中間子と核 子の間にベクトル結合を仮定したWaleckaの模型がまず議論される.ついで,スカラー中 間子間に相互作用を導入したBoguta−Bodmerの模型と,スカラー中間子と核子の間に微 分結合を仮定するZimanyi−Moszkowskiの模型が平均場近似の範囲内で議論される.

2Simpleσ一ωModel

2.1 運動方程式  全系の相対論的ラグランジ密度をJ.D.Waleckaに従って ∠二=ψ{7,, (i∂μ一9. vμ)一(M−9σφ)}ψ   +;(∂,φ∂・φ…;φ2)一記・F・・+;m卸・ (2.1) ととる.ただし Fl、 u=∂1、 Vu−∂。 Vl、 (2.2) である.ψは質量Mの核子の場であり,7μはDiracのガンマ行列である.φは質量mσ の中性スカラー中間子であり,中性スカラー中間子と核子との相互作用には結合定数gσの スカラー結合が仮定されている.中性ベクトル中間子VUは質量mωで,中性ベクトル中 間子と核子との相互作用には結合定数gωのベクトル結合が考えられている.

(5)

4       手 塚  洋 一  まず核子の運動方程式(Dirac方程式)を式(2.1)から求めると       (わμ∂μ一M+9σφ一9、vtγμVμ)ψ(r)=0 となる.中性スカラー中間子に関する運動方程式(Klein−Gordon方程式)は       (∂μ∂μ+m9)φ=9σψ(r)ψ(r) 中性ベクトル中間子に関する運動方程式(Klein−Gordon方程式)は       ∂μ.Fμレ+mZγu=9ωψ(r)tyUth(r) である.  ここで中間子に対して時間・空間的に一様であるという平均場近似を適用する. カラー中間子に対し       φ→〈φ〉=σ すると式(2.4)から       ・一嘉・ψ(・)ψ(・)・        ρs=・〈ψ(r)ψ(r)〉 はスカラー密度と呼ばれる.  ベクトル中間子に関しては第0成分(第4成分)のみを考え       vu→〈vu>=δuoω と平均場に置き換えると

       ・一器・酬ψ(・)・

      一器・ψ†(・)ψ(・)・ となる.       ρB=〈v,†(r)ψ(r)〉 は核子の密度分布を表し,核子密度またはバリオン密度と呼ばれる.  これらを使うと,核子の運動方程式は       {わμ∂μ一(M−9σσ)−9」,70ω}th(r)=0 となり,核子の質量は有効質量        M*=M−9σσ (2.3) (2.4) (2.5) まずス (2.6) (2.7) となる.ただし,〈ψ(r)ψ(r)〉は核子分布に関しても期待値を取ったことを意味し (2.8) (2.9) (2ユ0) (2.11) (2.12) (2.13)

(6)

平均場近似による核物質の性質 5 に置き換わる,さらに       70=β       7=βδ と書き直しβ2=1を使うと       (po一δ・∬一βハィ*−9、vω)ψ(’r)=0 となる.  相互作用は時間に依存しないから,核子状態に対して定常状態       ψ(r)=e−iEtgn(iつ の解が得られる.この解を使って,運動方程式はさらに (2.14) (2.15) (2.16) (2.17)       ((i.ρ十βハ∫*十g」,ω){tP(iり=Eψ(り      (2ユ8) となる.これは,有効質量Af*,エネルギーEがgωωだけ加算された自由粒子の運動方程 式となる.核子は運動量の固有状態となり,核子の分布はフェルミガス分布となる.この ようにスカラー中間子とベクトル中間子をその平均場σ,ωに置き換える模型はσ一ω模 型と呼ばれる. 2.2 核子密度  フェルミガス分布を構成する自由核子の波動関数は平面波で記述されるが,核子の平面 波解は粒子,反粒子のオペレータα瓦。,β瓦sを使って

ψ⑰一Σ

   獅、8 M* E*(P)v {・∬、…(豆,・)eZ戸〆+t31−、。z,(属・)・一声} (2.19)

      豆⑰一Σ蒜{・;恥)・一ぽ戸+β緬司 (・…)

      P・s と書ける.核子のエネルギーは核子の有効質量を考慮してE*(切と表記されている.〃は 考えている空間の体積で,u(P・・s),妖瓦5)は運動量瓦スピンsの正エネルギーおよび負 エネルギーのスピノールである.  フェルミガス状態の核子分布での期待値として,核子のスカラー密度は          ρs=〈F]9・(r)9(r)117>        一くFlΣE蒜γ{α;、。Q恥日(瓦3)・(内        1)・s       +βρ.3詩(互,s)こ・(ρ,s)}rF・    (2.21)

(7)

6       手  塚  洋  一 となる.反粒子状態に関しては無視すると(<Flβ戸、,β勾F・一・)・噸・)・(飼一1だ から      ρs=<FIψ(F)ψ(戸)]F>

       一Σr晶(蒜・

       一Σ;峯{嘱+M・2−M・2bgい喋+M*2}

       一裟{“+・・f・2一晦⊇『(222)

である.7は核子の自由度でそれぞれスピン1/2の陽子と中性子が同数存在する核物質で は7=4ととられる.∬は核子の持つ3次元の運動量であり,kFはその上限(フェルミ運 動量)を表す.  同様に        E*       u†(P,s)u(瓦5)=⑰(瓦5)        u(P,s)      (2.23)        M* であり        A4*     ・FI・†(r)・(・)IF>一ΣE・②γ・鴫・α…†(醐亘・)       P,s       +β瓦sβ;,v†(P,s)v(瓦8)IF> となるので,反粒子状態を無視すると核子密度(バリオン密度)は       ρB=<Fl9†(Dg(rl IF>

       一ゾ(碧・

       一Σ農

       一壷       6π2 となる.また,これを使って (2.24) (2.25)

(8)

       平均場近似による核物質の性質

嚇芸{as−(芸己1+割

     躍{1+(:)2−(芸)21・91≒(芸)2}

とも書ける.  以上より中間子の平均場       9σ       σ=巧ρs       9ω       ω=譲ρB        w はスカラー密度ρs,核子密度ρBを計算することによって求まる. 2.3 核子有効質量  核子の有効質量は(2.13)式に(2.27)を代入して       M*−M一嘉・s        σ で定義される.これに(2.22)を代入すると

       M・_M一旦w*

       鳩4π2

      ・(曜+・担一輌⊇+凡つ

となる.この式を解いて有効質量M*をkFの関数として決める. 2.4 束縛エネルギー  平均場近似を適用した有効ラグランジアンは     L…一輌∂・一・’・9..・w−(A・・一・9a・)}ψ一;・・:・・+lmL?,・・ となる.σ,ωは平均場で,時間・空間依存性を持たない. 7 (2.26) (2.27) (2.28) (2.29) (2.30) (2.31) これからエネルギー・運動量テ

(9)

8      手 塚 洋 一 ンソルを計算すると

   T・u=袖・+券∂襟)

     一一[ψ{…i・・・…一・’r・9・・一(M− 9a・)}ψ一lm;σ壌ω2レ       十乞ψ7μ∂”ψ       (2.32) となる.故に,ハミルトニアンは        n一ψ・(一τ(1・▽+β」s・f*+9ωω)ψ+lmZσ2 一 1・三ω2 (・・33) である.このハミルトニアンの期待値を計算することによって全系のエネルギーを求める ことができる.  フェルミガス状態でのエネルギーEは       E=<F1冗|F>

      193、193、

         +亘房ρB+ラ巧ρs ただしE}= 碍+A㍗2である. Mを引くことによって求められる.A/V=ρBを考慮して

      B=E/A−M

       −16鼻,。{・

        +;鵠・・+耀一M

一商    

・︸

一レ

o・ズ繊働

  楓評+iM・(γn2ρs)一ラ鴨(厄四)・}

−y

u{購+噸一M・4b・kF+EP}

       ] (2.34) 核子あたりの束縛エネルギーは,全系のエネルギーを核子数Aで割り,核子の静止質量 ・・(…+…2)EP−M・41・9んF

・ピ

(2.35)

(10)

平均場近似による核物質の性質 9 V﹁

eO

M2

10 0 一10 一20  Binding Energy (Simpleσ一ωModel)

図1

となる.  核物質に対してはty=4ととり,通常核子密度に対応するフェルミ運動量kFO=1.42/fm で束縛エネルギーが最小の値をとり,B=−15.75Meγとなるように結合係数を決めると

      cZ・一(9σM)・−266.9    (2.36)

       Mσ

      。Z−(・・M)・−195.7    (・.37)

       Mω となる.このパラメータを使って計算した結合エネルギーと核子の有効質量が図1,図2 に示されている.パラメータはそれぞれの中間子に対して,その結合定数と質量の比の形 でしか決めることができず,結合定数と質量を独立に決定することはできない.  核物質では通常K=200Meレ位であると考えられている非圧縮率

      ⇒纏   (・・38)

をこれらの結合定数を使って計算するとK=541.96MeVとなり,大きすぎる値が求ま る.また核子有効質量もk・FO=1.42/fmで』∫*=0.56Mとなり,殻模型などの計算に よって予想されている値に比べ,小さくなりすぎていると考えられている.

3Nonlinearσ一ωModel

 Waleckaの簡単なσ一ω模型では束縛エネルギーに関しては非常によい値が得られたが, 非圧縮率に関しては望ましい値とならなかった.これに対して補正として考えられたのが

(11)

10 M*/M 1,0 0.8 0,6 0.4  手 塚  洋 一 Effective Nucleon Mass (Simpleσ一ωModel) 0,0 0.5      LO      1.5  Fermi運動量(1/6n)

   図2

JBogutaとA.R.Bodmerによるσの自己相互作用を含める非線形σ一ω模型である. 3.1 運動方程式 全系のラグランジ密度を とおく.ただし L=ψ{7μ(i∂μ一9ω vμ)一(M+9σφ)}ψ   +;・。φ∂・φ一u(φ)−IF。・F・・ + 1・nZ v.v・     u(φ)±Zφ2+i・φ3+;・φ4 (3.1) (3.2) である.Waleckaの模型との違いはこの式の第2,第3項の存在である.運動方程式はそ れぞれ       (乞㌢μ∂μ一M−gσφ一gω7μレ『μ)ψ(r)=0      (3.3)          ∂μ∂μφ+mZφ+6ψ2+cφ3=−9σψ(r)ψ(r)         (3.4)        ∂μ、FPtU+m3,yiノ=9、ρψ(r)プノψぴ)      (3.5) となる.

(12)

      平均場近似による核物質の性質 3.2 フェルミガス状態  中性スカラー中間子に対して時間・空間一様であるという平均場近似       φ→〈φ〉=σ を適用すると,式(3.4)から       mZσ+bσ2+Cσ3=−9σ〈ψ(r)ψ(r)〉        =−9σρs となる.ベクトル中間子に関しては第0成分(第4成分)のみを考え        vu→<vu>=δvoω と平均場に置き換えると

       ω一嵩・酬ψ(・)・

      一荒・ψ†酬)・

      9w       =πρB       ω である.  核子の運動方程式は       恒。∂tt 一(M+9。σ)−9、、・ty・ω}ψ(r)=0 となり,σの運動方程式(3.7)以外はWaleckaの模型と同じになる. 由粒子の運動方程式となるから核子分布はフェルミガス状態になる. 3.3 核子の有効質量と平均場σ できて       ρs=〈FKう(iつ9(戸りF>

       一Σズ鵠(鵠

       一裟{喘・…2一輌い砦解

11 (3.6) (3.7) (3.8) (3.9)        (3.10) 核子の運動方程式(3.10)はWaleckaの模型と同じく,有効質量M*=M+gσσの自 フェルミガス状態の核子分布に対しては,スカラー密度はWaleckaの模型と同じく計算       }(3・11) である.核物質ではty=4ととられる.∬は核子の持つ3次元の運動量であり.kFはその

(13)

       H一ψ†(一乞δ・▽+βM* + g・ cv)ψ+σ(・)−5m9ω2 となる.  フェルミガス状態でのエネルギーEは       E=<Fi7−iliF>        −v{ぱ(il子・(E・+・・ω)+u(・)一;m三・・}

       −V[、㌫、{綱+M・2)E蒼一M・41・9たF元ピ

        +;農・;+σ(・)] となる.ただしE;= kT?.+M*2である. 12      手 塚 洋 一 上限(フェルミ運動量)を表す.  この式と核子の有効質量       M『*=凡∬十9σσ      (3.12) および(3.7)式の

       mZσ+bσ2+・σ3−−9。ρ5     (3.13)

を連立して解き,σ,ハf*を決める.  核子密度も同じく        ρB−<FI9†(輌⑰IF>

       一藷     (・.14)

である. 3.4 束縛エネルギー  平均場近似を適用した有効ラグランジアンは

       L…一輌∂・一一一M・}ψ一σ(・)+;m三ω2 (・・15)

ただし       σ(・)−lm9σ2 + lb・・+;・σ・  (・・16) である.これからエネルギー・運動量テンソルを計算し,ハミルトニアンを求めると       →       1        (3.17)

(3.18)

(14)

平均場近似による核物質の性質 核子あたりの束縛エネルギーは,A/V=ρBを使って

     B=Eμ一M

       16当,。{瞬+・・f・2)E;一・・’4 1・・        +;農・・+u(・)/・・−M

kF+E}

M*

13 (3.19) となる.核物質に対してはty=4ととり,通常核子密度(ρo=0.19fmm3)に対応するフェ ルミ運動量kF=1.42/fmで束縛エネルギーB=−15.75MeVとなるように結合係数を 決める. 3.5 結合定数  核物質では通常K=200MeV位であると考えられている非圧縮率をBoguta−Bodmer の論文では        K=150士50MeV       (3.20) となるように,各種の結合係数を決めた.

       ・。一≡−8土1     (3.21)

      鑑        =1」:1      (3.22)        0ω=       Mw       b       =0.445      (3.23)        gu3 M

       元一・・465    (・・24)

       mσ=250∼t4eV      (3.25)  ρsは正であるから,σを決めるべき式        f(σ)=mZσ十bσ2十cσ3十gσρs=0      (3.26) はgσ,9w、b, cが正ならば負の解のみ存在する.数値計算すると上のパラメータではσとし ては解が1つだけ存在する.また計算結果はmσに依存しない.すなわち,スカラー中間 子,ベクトル中間子の質量はWaleckaの計算と同様に決めることができない.  上に与えられた,Boguta−Bodmerの論文のパラメータを使うと,実際には非圧縮率は 95.OMeVとなり,小さすぎる.  決めるべき物理量は,エネルギー最低状態のフェルミ運動量kF=L42/fm,そこで束

縛エネルギーB=−15.75MeV,非圧縮率K=150士50Meγの3つであるのに,パラ

・一タはα一

Y=讐㍍言の・つあり・唯一に決め・・とはできな…

(15)

14 手 塚  洋 MeV 15 10 5 0 一5 一10 一15 一20   Binding Energy (Nonlinearσ一ωModel)

図3

MRufa et al.はパラメータを C3−(9σMmσ)2−3732・・ ・3−(9ωMMω)2−・41・439  b   =−0.00279222 99 M 言一一・…393463 (3.27) (3.28) (3,29) (3.30) とおいて,たF=1.30/fmで極小の結合エネルギーB=−16.17Meγ,非圧縮率K= 168.57MeVを得た.このときの核子有効質量はM*/M=0.5855となる.結果は,図3,図 4に示されている.このパラメータでは安定状態での核子密度が予想されるk・F=1.42〃m に比べ,少し小さくなりすぎていると考えられる.  このパラメータセットでは,核子の有効質量M*=M+gσσが正となる範囲でσは2 つ求まる.図5の実線は(3.13)式の左辺m弓σ + bσ2 + cσ3を表す.点線,破線などはい ろいろなフェルミ運動量に対する右辺一gσρsの計算値を表し,このグラフの交点がσの 解となる.σが正となる解も求まるが,その解では核子の有効質量は真空での核子質量M より大きくなり(M*/M∼1.5∼2.0),束縛エネルギーも870MeV以上と正の値になり, 束縛状態を作らない.有効な解はσ<0の領域にkFの値に応じて1つだけ求まる.  我々はk;F=1.42/f・mで極小の束縛エネルギーB=−15.75MeVをもち,非圧縮率

(16)

M*/M 1.0 0.8 0.6 0.4 0,2 平均場近似による核物質の性質 Effective Nucleon Mass (Nonlinearσ一ωModel) 0,0 0.5       1.0       1.5   Fermi運動量(1/丘n)       図4 15 ×108Me∨3 05 0.0 一〇.5 一1.0     Solution ofσ (Nonlinearσ一ωModel) σ+bσ2+cσ3

Eト\

一100 \ \.    ・、●●_一.  0 σ(MeV)

図5

100

(17)

16 手 塚 洋 一 MeV 5 0 一5 一10 一15   Binding Energy (Nonlinearσ一ωModel)

図6

K=177.9MeVとなるようにパラメータを

      ・。−1巫一8.・     (3.31)

       鑑

       =3.542       (3.32)

      Cw=

       Mw

       b        =0.247      (3.33)

      99M

      毒一・・449    (・・34)

と決めた.核子の有効質量はkF=1.42/fmでM*/M=0.9135となる.このパラメー タは核子有効質量が大きく求まるのが特徴である.このパラメータを使って計算された結 合エネルギーと核子有効質量が図6,図7に示されている.  このパラメータセットでは,σは1つだけに決まる.図8に(3.13)式の解を表すグラフ を表示した.このグラフの交点がσの解を表す. 3.6 結合定数の符号  この模型はWaleckaの模型とラグランジアンにおけるgσの符号が異なっている.この 符号をWaleckaの模型と一致させると,ラグランジ密度は

(18)

M*/M l.00 095 0.90 平均場近似による核物質の性質 Effective Nucleon Mass (Nonlinearσ一ωMode1) 0,0 O.5     1.0     1.5    Fermi運動量(1/丘n)        図7 2.0 17 ×107MeV 3 2 1 0 一1 一2 一3     Solution ofσ (Nonlinearσ一ωModel) σ +bσ2 +cσ3 一100   0 σ(MeV)

図8

100

(19)

18      手 塚 洋 一         L=ψ{7μ(i∂μ一9wvμ)一(λ∫−9σφ)}ψ       +;∂。φ・・φ一σ(φ)−IF。・F…+;嚇γ・ (・・35) となり

      σ(φ)−lm9φ・+1φ・+1・φ4  (・36)

は同じである.  運動方程式は       (乞午μ∂μ一M十gσφ一gω7μγμ)ψ(r)=0         (337)       ∂μ∂μφ+m9φ+bφ2+cφ3=9σ di (r)ψ(r)         (3・38) となり,ベクトル中間子に関しては変化はない.  中性スカラー中間子に対して平均場近似       φ→〈φ〉=σ       (339) を適用すると,式(3.38)から        mZσ十bσ2十cσ3=9σρs       (3.40) となり,核子の運動方程式は       {わμ∂μ一(」↓f−9σσ)−9ω午oω}ψ(r)=0         (3・41) となる.  スカラー密度

     ・・一笥曜+M’2 一 ILf’2 lo・い箒『(・・2)

は(3.11)と同じであるが,この式と核子の有効質量        M*=A∫−gσσ      (3.43) および(3.40)を変形した        f(σ)−mZσ+bσ2⊥・σ3−9。ρs−0    (3・44) を連立して解くことになる.前章までと異なるのは,有効質量と(3.44)式におけるgσの 前の符号だけである.

(20)

      平均場近似による核物質の性質  核子あたりの束縛エネルギーは(3.19)と変化なく

      B=E/N−M

        =  7          16π2ρB          +霊・・+u(・)/・・−M       ω であり,係数を同じく       9σM        cσ=        =8.O       Mσ       9ωM        Cw=        =3.542       Mw       b       =−0.247        鵬M        蕗=3・449

{綱+M*2)E]p一職んF誤}

19 (3.45)        (3.46)        (3.47)        (3.48)        (3.49) とbの符号だけを変えると,σの符号が正となって同じ束縛エネルギー,非圧縮率,核子 有効質量が求まる.

4Derivative Couplingσ一ωModel

 JZimanyiとS.A.Moszkowskiは,やはりWaleckaの簡単なσ一ω模型に対して,非 圧縮率の計算値を実験予測値に近づけるため,スカラー中間子と核子の間に微分型の相互 作用を導入した. 4.1 運動方程式  スカラー中間子と核子の相互作用に微分型相互作用

       …一緩φw∂μψ

を導入し,全系のラグランジ密度として        L一ψh・i∂μψ一ψ励+器φ玩・∂・ψ一・疏γ・ψ       +;∂。φ∂・φ一SmZip2一払・F・・+;m卸・         一{1+緩φ}w∂・ψ一ψMψ一・・w・ψ       +;∂。・∂・φ一;m;φ・一;ぴFμ+;刷レ・ ととる.ここで        ψ一{1+堕φ   M}−1/2・ (4.1) (4.2) (4.3)

(21)

20       手 塚 洋 一 と置きなおせば,ラグランジ密度は      L一ψ・,・∂・ψ一{1+器φ}一1ψ・・ψ一{・+告φ}一’g・・1]’)t・W        +;∂。φ∂・φ一;mZip・一拓〃F・・+;m批 となるが,これではベクトルカレントが保存しない.そのためさらに        ・一ψ・。・∂・ψ一{1橿φ} 吻・ψ一・岨・W          +;∂、φ∂・φ一lmZip2一れ〃F・〃+i尾w・ と直し,これをオリジナルのラグランジアン密度と考える.  これから求まる運動方程式は         (i7。∂・−M{1+箒φ}一L・…’・Vtt)ψ(・)一・          ∂。∂・ip・+・m3・ip−・・{1+緩φ}−2ψ(r)ψ(r)        ∂μFμv+m三γu=9ωψ(r)tyUzb(r) である.  中性スカラー中間子に対して時間・空間一様であるという平均場近似        φ→〈φ〉=σ を適用すると,式(4.7)から       ・9・一・・{1+互σ  M}−2<ψ(r)ψ(r)・        一・・{1+旦σ   M} 2ρs となる.ここで       m*一{1+旦σ   M}−1 なる記号m’を導入すると       1−−n’1,’

       9・σ=m・M

と書けるから,これを使って,(4.10)は       B。企m・3−1−m・        ρo と書き換えられる.ただし

      Bs一ぱ)2緩

(4.4) (4.5) (4.6) (4.7) (4.8) (4.9) (4.10) (4、11) (4.12) (4.13) (4.14)

(22)

      平均場近似による核物質の性質      21 である.  ベクトル中間子に関しては第0成分(第4成分)のみを考え        vv→<vv>=δレoω       (4.15) と平均場に置き換えると        ω一帯・ψ(・)・°ip(r)・       一嵩・ψ†(・)ψ(・)・

      一嘉・・     (…6)

とWaleckaの模型と変化はない.  核子の運動方程式も       {わμ∂μ一M*−gω70ω}ψ(r)=0      (4.17) と書けるが,核子の有効質量は       M*−M{1+堕σ   M}−1       =凡4・γア1*       (4.18) と定義される.  σの運動方程式(4.10),核子の有効質量(4,18)以外はWaleckaの模型と同じになる. 核子の運動方程式(4.17)はWaleckaの模型と同じく,自由粒子の運動方程式となるから 核子はフェルミガス分布になる. 4.2 核子の有効質量と平均場σ 核子の有効質量(・・18)は㌃・が1より小さいとして展開すると        M*−AI{1+堕σ   M}−1        −M{1−k・+(㌃・)2−・一一}

       一・・噛・+fl・・一…   (・.19)

と,、Mlecka模型(この式の第2項まで)に比べ高次の展開が考慮されていることに相当 する.  フェルミガス状態の核子分布に対しては,スカラー密度はWaleckaの模型と同じく計算 できて

(23)

22

     3 M*

    =豆ρB ’EI; となる.ただし核子密度は       手 塚 洋 一 ρs=〈FIψ(F)ψ(戸りIF>

一Σ麗蒜・

一㍊刷+・・f・2一輌r『

一裟{曜+一曲・r『

      :)2 1・・’ltyv−lii’,1.(M*hF)2        ρB−〈Fl9†(輌⑰IF>        _喝       6π2 である.  (4.20)を使って(4.10)と(4.18)を連立して解き,σを求める. 4.3 束縛エネルギー  平均場近似を施した有効ラグランジアンは        LMF=ψ{”〉’Pt i∂μ一tyo9ωcv−M*}ψ        一lm9σ2 + lmZ・2 となり,Waleckaと同じになる.これからハミルトニアンは        π一ψ・(一…▽+βM・+⑭ψ+im:σ2 一 gmgω2 となるから,フェルミガス状態でのエネルギー、Eは       E=〈F17−t1F>

       一γ{Σ艦(一)鐘一詞

       一V[副瞬+M・2)E;一…41・9κF;判

        +鵠・露司

(4.20) (4.21) (4.22) (4.23) (4.24)

(24)

      平均場近似による核物質の性質 と求まる.ただしE蒼= 碍+M*2である.  核子あたりの束縛エネルギーは

       B=E/A−M

        −16当,。{・・(・輌・2)EP−M・41・9んF蒜ピ        }          +;鴎・・+1−z・・/・・−M となる.ここで        2       9diPO        Bv=       鳩M を導入して

       鵠・・一;⊇

また        lmz・・/・・一;誓(9a・)・/・・       一霊(1−m*      AI m*)2/・・       一裟(1−m* m*)2㌃ となることを使うと

      B=E/A−M

       −i6}.32,。{瞬+A4・2)EP−M・41・9たFえピ       }

        +;繊㌃婿(1−m*  m*)2㌃一M

となる. 23 (4.25) (4.26) (4.27) (4.28) (4.29)  核物質に対してはty=4ととり,通常核子密度(ρo=O.19fm−3)に対応するフェルミ運 動量んF=1.42/fn’tで束縛エネルギーB=−15.75MeVとなるように結合係数を決めた. 4.4 結合定数  Zilllanyi−Moszkowskiの論文では結合係数を       99ρ。        =0.252      (4.30)        Bs=       rn}’ M       93ρ。        =O.888       (4.31)        Bv=       m乙M

(25)

24 手 塚 洋 ととられている.しかし,このパラメータでは正しい束縛状態が再現できない.おそらく,

   2

   9∪ρO

Bv=

      =O.0888    πn2.M    ω (4.32) の間違いではないかと思われる.このパラメータでたF=1.36/fmで極小の束縛エネル ギーB=−12.48MeV,非圧縮率K=236.6MeVが得られる.  Barranco−LoInbard−Moszkowskiはパラメータを ・ξ一(  M9σ  Mσ)2−1692・(Bs−・3・3) ・…(  Mgdi  ηTZω)2−591・(Bv−・1・6) (4.33)

ととりkF=1.33/fnzで極小の束縛エネルギーB=−15.95MeV,非圧縮率K=

304.4MeVを得ている.このパラメータもkFOが少し小さすぎると思われる.  Sharma−Moszkowski−Ringのパラメータセットでは C…一(  M9σ  Mσ)2−143・・(Bs−・256)

昧場)2−466・(Bv−・・83)

(4.34) でkF=1.42/fmで極小の束縛エネルギーB=−15,75MeV,非圧縮率K=222.9MeV を得ている.ここでは正しい核子密度を再現しているこのパラメータを使って,束縛エネ ルギー,核子の有効質量が図示されている(図9,図10).核子有効質量もM*/M=0.85 とほぼ望ましい値を出しているものと考えられる.

5 結論

 平均場近似を適用したσ一ω模型を使って核物質の束縛エネルギー,非圧縮率,核子有 効質量などを評価した.Waleckaの模型は非常に簡単であるにもかかわらず,かなりよく 核物質の性質を説明したため,この分野における発展の基礎となった.この模型は,中間 子凝縮,中性子星内部の構造,クオークーグルーオンプラズマの解析などに基本的な役割 をになった.二つのパラメータcσ,c、、を調節することによって束縛エネルギーを正しく 計算することに成功したが,非圧縮率が大きくなりすぎることと,核子有効質量が小さく なりすぎることが欠点であると考えられた.  Boguta−Bodmerの非線形σ一ω模型およびZimanyi−Moszkowskiの微分結合σ一ω 模型はこの欠点を改良するために導入された.非線形模型では新たにパラメータが二つ増 え,それらをうまく調節することによって束縛エネルギーだけではなく,非圧縮率の値も 望ましい値を得ることができる.しかしながら,核物質の性質だけからはパラメータを完 全に決めることができず,複数個のパラメータセットが存在しうる.この模型は有限核の

(26)

平均場近似による核物質の性質 25 V﹁

eO

Ml

5 0 一5 一10 一15 一20     Binding Energy (Derivative C皿pling Model)

図9

M*/M 1.0 0.9 0.8 0.7  Effective Nucleon Mass (Derivative Coupling Mode1) 0.0 0.5     1.0     1.5    Fermi運動量(1/㎞)        図10 2.0

(27)

26 手 、﹁羊 性質を議論するのにも使われるようになっており,これらのパラメータセットを1つに決 定できる可能性がある.しかし,有限核の計算には擬スカラー中間子(π中間子),荷電ベ クトル中間子(ρ中間子)なども考慮しなくてはならず,これらに付随する結合定数も含 めて,パラメータを完全に決定する努力が必要とされる.  微分結合型の模型もパラメータの数を増やさずに非圧縮率の値を再現することができた. 最近では,核力の荷電対称性の破れの議論などにも使われ,魅力的な模型と見なされてい る.平均場近似の範囲内では問題ないが,相対論的なHartree−Fock計算をしようとした 場合には,この結合は繰り込み不可能であり,発散の問題を回避できなくなるという欠点 を持つ.   なお,平均場として使われたσ,ωなどは現実的なσ中間子,ω中間子を意味するわけ ではなく,このような相互作用を平均的に表現したものと理解されるべきであり,これら の結合定数,質量は必ずしも実験で決定されている中間子のものと一致する必要はない.

参考文献

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