学 習 環 境 に 関 す る 研 究 人間教育専攻 現代教育課題総合コース 粛藤ことみ はじめに 2009年 11月に日米フレンドシッフ事業の 一環として行われたアメリカのテネシー州 の小判交を訪問した。アメリカの小学校の教 室は、まるで幼稚園を初梯させるような掲示 物、カーペットやソファーなどがあり、日本 の小学校との違いに驚いた。アメリカでは 「小1プロプレムj問題をほとんど聞かない ということを聞き、元々「小 1プロプレム」 に関心を抱いていた私は、その秘密が幼稚園 と小学校の学習環境にあるのではなし、かと 思ったことがきっかけとなり、教室の学習環 境について研究するに至った。 第1章 今日では、小 1プロプレム・中 1ギャップ・ 高 1クライシスの接続問題があり、各問題に は個々の鞘教が現れている。接続問題は、環 境への不適応が後々まで続いていくものも 多く、早い段階で、の対策が鍵を握っているの ではなし、かと思い、義務教育期間で日本国民 で、あれば誰もが通る小学校に焦点をあて、接 続問題でもとりわけ初期段階である「小1プ ロブレム」について考えてし、く。 ここ 10年くらい前から低学年における 問題として「学級崩壊j とは異なった「小 1 プロプレム」があがってきている。「小 1プ ロブレム」には正式な定義はないが、入学当 初の集団スタイルに適応出来ていない子ど 指導教員 近森憲助 もの発達の未熟さが背景となり、授業中にじ っと座っていられない、集団行動に馴染めな いなどの児童によって学習が成立しない状 態をし、う。 最近の動向からわかったことは、「小 1プ ロプレム」問題の原因には、子どもの生活習 慣、教師の対応・カリキュラム編成の違いな ど、様々な要素が含まれており、これに付随 した対策も様々で、ソフト面に焦点をあてた ものが多いことが分かった。 第2章 『イギリスの初等学校のカリキュラム改 革』を様々な面から捉えた著書を手がかりと して、学校建築や教室の空間デザインと「子 ども中心主義J~
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づ教育観、あるし、は耕受 学的アイディアとの関係について論じてい る。ここで明らかになったことは、第二次世 界大戦直後のイギリスにおいて、初等学校の カリキュラム改革をリードした教育の理想、 が、学校や教室空間のデザインにまで波及し たこと、言い換えれば、教育というソフトコ ンポーネントと校舎や教室のようなハード コンポーネントの統合が試みられたという ことである。こうした建築と教育観との関係 性を宮崎駿やJ.デ、ューイ、シュタイナーの建 築物を例に挙げて考察している。子どもへの 思い、教育観の詰まった建築で、あるというこ とは、無機物の「校舎・学校Jが有機的に人-63-に作用し、これは教室においても同様で、子 どもの身近にいる学級担任の教育観や教育 方針をもとに教室全体を構成することで、教 室が子どもの教育に有効なものとなり得る のではないかということを考えた。 家庭と似通った教室の構成は、子どもに安 心感を与えるということ、また、色彩やカー ペットなど教室内に置かれるものと、それら がどのように人に作用しているかの関係性 についても述べている。 さらに、シュタイナー学校の教室のフオル ムからは、構成要素の連続と非連続の教室を 作り出すことで徐々に教室に変化を持たせ ることで、より子どもの発達段階に沿ったス ムーズな教育の移行が可能となるのではな いかということも考えられた。 第3章 ここでは、実際に私が体験したことをもと に、日本とアメリカの小学校の教室を比較し、 掲示物や机の配置などの人工的に作られる 学習環境について検討を加えている。 アメリカの教室環境が家庭的で、「教室の 持つテーマjがあるとし、うことと、保育所や 幼稚園では環掛献に力を入れており、子ど もたちが生活に馴染みゃすい、つまり家庭空 間と学習空間が別物になっておらず、上手く 接続できていることが表れているというこ とを述べてきた。 こうしたハード面の教育的効果について 考えると共に、「小 1プロブFレムJ問題が、 保育所や幼稚園と小学校の環境の激変によ るものではなし、かという視点と、教室全体の 構成に徐々に変化を持たせることで、視覚が 優位に働くこの時期の子どもたちの混乱を 緩和するための(学習環境の主な場となる)教 室の全体の構成が「小 1プロブ、レムJ問題解 決のための一つの手立てとなるのではない かという考えを論じた。 おわりに ヴ、アルドルア学校の教室のフオノレムで、あ っても、アメリカの小学校の教室の構成で、あ っても、どちらも段階を踏んで少しずつ変化 する教室であり、また、家庭的な側面を取り 入れていた。保育所に関しても、園児を受け 入れるための環境構成に取り組んでいる。 学校建築の3つの条件のうちの一つ「楽し めるjという点は、単に楽しかったらいし1も のではなく、子どもの「興味・関心・意欲j をひきだすもので、かつ、安心できる場であ ること。そして、学級担任の教育観を反映し て「教室にテーマ」を持つことで、ただの無 機物である掲示物や机などは、子どもに作用 する有機物として捉えることができ、これら には教育的効果があるということを強調し たい。 さらに、子どもの発達段階を考慮した教育 観を持つことも重要なのではないだろうか。 以上のことから、子どもたちの身近にある 学習環境としての教室空間に手を加えるこ とで、教室の全体的な環境構成を通した教育 的アプローチは可能となり、これが今日的教 育課題となっている「小 1プロプPレムJ問題 解決の一手段となるというのが私の考えで ある。 小学校低学年における少人数学級制の導 入は、教室空間に余裕ができ、また子どもた ちの個性を把握することが比較的容易にな ることから、こうした学習環境の構成に、幅 広い視点を持って様々な教室のあり方を展 開していくことを可能にすると思われる。