• 検索結果がありません。

新規殺菌剤トルプロカルブの特長

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "新規殺菌剤トルプロカルブの特長"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

植 物 防 疫  第 70 巻 第 5 号 (2016 年) ― 64 ― 342 は じ め に トルプロカルブは三井化学アグロ株式会社が開発した 新規イネいもち病防除剤である。トルプロカルブはイネ いもち病菌のメラニン生合成を阻害することでイネへの 感染を阻止し,防除効果を発揮する。これまでにメラニ ン生合成を阻害するイネいもち病防除剤(Melanin Bio-synthesis Inhibitor, MBI 剤)として,メラニン生合成経 路の還元酵素を阻害する MBI―R 剤と脱水酵素を阻害す る MBI―D 剤の二つのグループが知られているが,トル プロカルブは既存の MBI 剤とは異なる酵素を阻害する 新規の作用機構を持っている。トルプロカルブは浸透移 行性を有し,育苗箱処理剤や本田処理粒剤として開発を 進めており,2015 年 9 月 18 日にトルプロカルブ 3 キロ 粒剤の「サンブラス®粒剤」,トルプロカルブ・シメコ ナゾール・ジノテフラン混合剤の「ガッツスター® 剤」,トルプロカルブ・ジノテフラン・クロラントラニ リプロール混合剤の「サントリプル®箱粒剤」の農薬登 録を取得した。また,北興化学工業株式会社がサンブラ ス粒剤と同成分の「ゴウケツ®粒剤」,ガッツスター粒 剤と同成分の「ゴウケツ®モンスター®粒剤」の農薬登 録を取得した。これら以外にも,様々な製剤や混合剤を 開発中である。 【有効成分と性状】 一般名:トルプロカルブ(tolprocarb) CAS 登録番号:911499―62―2 化学名(IUPAC):2,2,2,―トリフルオロエチル=(S)―[2 ―メチル―1―(p―トルオイルアミノメチル)プロピル]カ ルバマート 分子式:C16H21F3N2O3  分子量:346.34 性状:白色固体 水溶解度:41.2 mg/L(20℃) 分配係数:log Pow = 3.28(25℃) 【安全性】 トルプロカルブは毒物・劇物に相当しない。魚類,藻 類等水生生物に対する安全性も高く,ミツバチ,マルハ ナバチ,蚕および天敵等の有用生物に対してもほとんど 影響は認められない。 【トルプロカルブの作用機構】 イネいもち病菌はトルプロカルブを加えた PDA 培地 で生育を阻害されることなく菌糸を伸長させるが,菌叢 はほぼ完全に無色(白色)になる。このため,本剤の作 用機構は,リード化合物の発見時からメラニン生合成阻 害と推定されていた。ただし,菌叢の着色状態が既存の MBI 剤と明らかに異なっており(図―1),本剤は既存剤 と異なる酵素を阻害していると考えられた。詳細な試験 で,本剤はマロニル CoA から 1,3,6,8―THN を合成する ポリケチド合成酵素(Poliketide Synthase)を阻害する ことが明らかとなった。この結果,FRAC のグループ名 は MBI―P,コ ー ド は 16.3 と し て 承 認 さ れ た。現 在, MBI―P 剤として開発された化合物はトルプロカルブだ けである。トルプロカルブはイネいもち病菌の胞子発 芽,発芽管伸長および付着器形成を阻害しないが,付着 器のメラニン化を阻害する(図―2)。この結果,イネい もち病菌はイネ体へ侵入できなくなる。一方,本剤には, 既存の MBI 剤と同様,イネいもち病菌の胞子離脱を阻 害する作用があることも確認されている。したがって, トルプロカルブはイネいもち病菌のイネ体への侵入阻止 と胞子離脱阻害による二次感染阻止の 2 点で,防除効果 を発揮していると考えられる(図―3)。 【トルプロカルブの特長】 1. 葉いもち,穂いもちの両方に効く トルプロカルブの作用機構は MBI―P であり,葉いも ち,穂いもちの両方に防除効果を示す。 2. 既存の耐性菌にも有効 2006 ∼ 15 年までの間に 47 都道府県から 284 菌株を 採取して感受性検定を実施したが,耐性菌は確認されて いない。集めた菌株の中には MBI―D 剤耐性菌や QoI 剤 耐性菌もあったが,トルプロカルブはこれらの薬剤とは 交差耐性を示さず,いずれの菌株に対しても高い活性を 示した。 3. 黒ボク土でも高い効果を発揮 トルプロカルブの防除効果に対する土質の影響は小さ いため,本剤は黒ボク土でも高い効果を発揮する。

新規殺菌剤トルプロカルブの特長

新農薬の紹介

津田 幹雄

(つだ みきお)

三井化学アグロ株式会社

O N H O H N O F F F 構造式:

(2)

新農薬の紹介 ― 65 ― 343 お わ り に イネいもち病は日本の水稲栽培において,最も重要な 病害の一つである。本病の防除はいもち病菌の伝染環を 絶つことが重要であり,種子消毒から育苗箱や本田での 防除などで異なる作用機構の薬剤を組合せた防除体系を 構築する必要がある。トルプロカルブは新規作用機構の 殺菌剤であり,その一助になれば幸いである。 A B C D 図−1  各種 MBI 剤を 10 ppm 処理した PDA 培地上でのイネいもち病菌の菌叢

(A:無処理,B:トルプロカルブ/MBI―P 剤,C : MBI―R 剤,D : MBI―D 剤)

A B

図−2  イネいもち病菌の付着器形成およびメラニン化に対するトルプロカルブの影響/

セロファン法

(A:トルプロカルブ 0.05 ppm 処理,B:無処理)

参照

関連したドキュメント

色で陰性化した菌体の中に核様体だけが塩基性色素に

或はBifidobacteriumとして3)1つのnew genus

の点を 明 らか にす るに は処 理 後の 細菌 内DNA合... に存 在す る

たらした。ただ、PPI に比較して P-CAB はより強 い腸内細菌叢の構成の変化を誘導した。両薬剤とも Bacteroidetes 門と Streptococcus 属の有意な増加(PPI

特に、耐熱性に優れた二次可塑剤です(DOSより良好)。ゴム軟化剤と

はじめに

証明の内容については、過去2年間に、優良認定・優良確認を受けようとする都道府県(政

都調査において、稲わら等のバイオ燃焼については、検出された元素数が少なか