植 物 防 疫 第 63 巻 第 10 号 (2009 年) Fusarium 属菌の病原性および遺伝的分化について,筆 者らが調査した結果を紹介する。なお,本稿では,接種 試験によってネギおよびタマネギに対する病原性を確認 した F. oxysporum であっても,他の Allium 属の植物に 対する病原性を確認していない分離株については FOC とせず,「ネギ病原性 F. oxysporum」とした。 I 分 離 菌 ネギに萎凋を引き起こす病原菌には,FOC のほかに 根腐萎凋病菌(F. redolens)がある(新村ら,1998)。 ネギ根腐萎凋病の罹病個体は,根部が激しく腐敗するが, 盤茎部や葉鞘部には異変が見られない。筆者らが得た罹 病ネギ個体は,根部に腐敗が観察されず,盤茎部に褐変 を呈するものが多かったことから(口絵②),根腐萎凋 病ではないと考えられた。 2006 年および 07 年に,11 道府県 21 圃場で採集した 萎 凋 病 類 似 の 外 観 を 示 す ネ ギ の 盤 茎 部 か ら 6 2 株 の Fusarium 属菌を分離し,形態的特徴に基づいて同定を 行った。その結果,これらの 62 株は F. oxysporum(36 株),F. solani(19 株),および F. proliferatum(7 株) と同定された。圃場別に見ると,1 種の菌のみが分離さ れる場合もあったが,一つの圃場から 3 種の菌がすべて 分離されることもあった(表― 1)。しかしながら,一つ の盤茎部からは複数の菌種が分離されることはなく,1 種の菌のみが分離された。 F. proliferatum については,形態学的特徴だけでは F. verticillioides と区別しにくい場合があったため,2 種を 判別できるとされる特異的プライマーペア(VERT1/2 および PRO1/2)(PATIÑOet al., 2004 ; MULE˙ et al., 2004) に よ る P C R も 行 っ た 。 そ の 結 果 , 7 株 す べ て が VERT1/2 によって増幅バンドを生じ,PRO1/2 では増 幅バンドを生じなかった。このため,当初これらは F. verticillioides とみなされた。しかしながら,ミトコンド リア小サブユニットリボソーム RNA(mtSSUrDNA)の 塩基配列を解析したところ,いずれも F. proliferatum の 配列と高い相同性をもつことがわかり,最終的には F. proliferatum と同定した(DISSANAYAKEet al., 2009 c)。こ のように,VERT1/2 および PRO1/2 を用いた PCR は信 頼性に問題があるため,F. proliferatum および F. verti-は じ め に ネギは,中国北西部を栽培起源地とする野菜で,日本, 中国,韓国等,主に東アジアの国々で栽培されている。 我が国では,ネギは年間を通して市場に供給されてお り,その産出額(1,202 億円)は野菜の中で第 5 位を占 める(2006 年農林水産省統計)。ネギを大別すると,根 深ネギ(白ネギ)と葉ネギ(青ネギ)の 2 種類に分けら れる。根深ネギは,葉鞘部を土寄せ・軟白し,軟白部を 利用する。葉ネギは,土寄せ・軟白をせず,分げつした 緑葉を利用する。ネギには,ビタミン A および C,β― カロテン,植物繊維,ミネラル等の栄養成分のほか,ネ ギ独特の香気成分である含硫化合物が含まれている。最 近,ネギの含硫化合物が血小板凝集を抑制する効果(血 栓予防効果)をもつことがわかり(GRIFFITHSet al., 2002), 機能性野菜としても注目されている。
ネギ萎凋病は,Fusarium oxysporum f. sp. cepae(FOC) によって引き起こされる土壌伝染病で,児玉(1977)に よって最初に報告された。罹病すると,外葉が黄化・萎 凋し,生育不良となる。本菌が種子発芽前後に感染する と,発芽不全や苗立枯症状が引き起こされる。しかしな がら,ネギは一般的に土壌伝染病に罹りにくい作物で, 萎凋病に関しても散発的な発生は知られていたが(竹内 ら,1983),大きな被害はほとんど報告されていない。 この点は,同じ Allium 属野菜であるタマネギが世界各 地で FOC によって大きな被害(乾腐病)を受けている のとは対照的である。このようなことから,タマネギ乾 腐病抵抗性品種の育種素材として,ネギが有望視されて いる(GALVÁNet al., 2008)。 ところが,2006 年および 07 年の夏季(6 ∼ 8 月)に, 西日本の複数の葉ネギ生産地で萎凋病類似の病徴を示す ネギが多数見つかった(口絵①)。被害の激しい圃場で は,半数以上の個体が枯死するほどであった。筆者らの 研究室に持ち込まれた罹病個体からは常に Fusarium 属 菌が分離されたため,本病の原因として Fusarium 属菌 の感染が疑われた。本稿では,罹病ネギから分離された Pathogenicity and Genetic Differentiation of Fusarium Species Isolated from Japanese Bunching Onion. By Shin ― ichi ITO
(キーワード:ネギ,萎凋病,多様性,フザリウム)
ネギから分離される Fusarium 属菌の
病原性と遺伝的分化
伊
い藤
とう真
しん一
いち 山口大学農学部測定し,0 ∼ 4 の 5 段階(0:無接種対照区と差がない, 1:無接種対照区の 75%,2:無接種対照区の 50%,3: 無接種対照区の 25%以下,4:枯死)の病徴に基づいて
病徴指数を算出し(DISSANAYAKEet al., 2009 a),各株の病
原力を比較した(表― 1)。得られた平均病徴指数に基づ いて,弱病原力菌(平均病徴指数が 2 未満),中病原力 菌(2 以上 3 未満),および強病原力菌(3 以上)の 3 グ ループに分けた。その結果,F. oxysporum は 18 株中 12 株が強病原力菌(5 株)あるいは中病原力(7 株)のグ ループに属したが,F. solani および F. proliferatum はす べて弱病原力菌に属した。すなわち,F. oxysporum のほ cillioides の同定・判別には使用しないほうがよい。 II 病 原 性 2006 年に分離した 32 株の Fusarium 属菌(F. oxyspo-rum18 株,F. solani 7 株,および F. proliferatum 7 株) を用いて,ネギ 5 品種(Y7,Y13,Y17,Y27,および Y50:日産種苗)に対する病原性を調査した。方法を簡 単に述べると,ネギ種子を胞子懸濁液(5 × 105個/ml) に浸漬した後,セルトレイに入れた人工培土(ココナッ ツ繊維と川砂を 5:1 で混合したもの)に播種し,ガラ ス温室内で生育させた。3 週間後に植物長および根長を 表 −1 2006 年に萎凋ネギから分離された Fusarium 属菌 分離 株番号 分離地(圃場) 種 病徴指数 Y7 Y13 Y17 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33a) 34a) 埼玉(越谷 1) 埼玉(越谷 1) 埼玉(越谷 1) 埼玉(越谷 1) 埼玉(越谷 1) 埼玉(越谷 1) 埼玉(越谷 1) 埼玉(越谷 1) 京都(伏見 1) 京都(伏見 1) 京都(伏見 2) 京都(伏見 3) 京都(伏見 3) 京都(伏見 3) 京都(伏見 3) 鹿児島(大崎 1) 鹿児島(大崎 1) 鹿児島(大崎 1) 鹿児島(大崎 1) 鹿児島(大崎 2) 鹿児島(大崎 2) 鹿児島(大崎 2) 鹿児島(大崎 2) 岡山(岡山 1) 岡山(岡山 1) 岡山(岡山 1) 岡山(岡山 1) 宮崎(宮崎 1) 宮崎(宮崎 1) 兵庫(西宮 1) 兵庫(西宮 1) 兵庫(西宮 1) 北海道 鳥取 F. oxysporum F. solani F. proliferatum F. oxysporum F. solani F. proliferatum F. oxysporum F. oxysporum F. proliferatum F. proliferatum F. proliferatum F. proliferatum F. oxysporum F. proliferatum F. oxysporum F. solani F. oxysporum F. oxysporum F. oxysporum F. oxysporum F. solani F. oxysporum F. solani F. solani F. oxysporum F. oxysporum F. oxysporum F. oxysporum F. solani F. oxysporum F. oxysporum F. oxysporum F. oxysporumf. sp. cepae A F. oxysporumf. sp. cepae B 1.9 1.7 1.2 0.9 1.3 0.7 1.9 2.9 1.6 1.1 1.8 2.0 2.1 2.2 2.9 1.0 3.5 2.9 2.2 2.0 1.4 3.7 0.8 1.6 2.7 2.0 1.3 2.9 1.4 3.2 2.5 0.6 2.0 2.5 1.5 0.9 0.9 1.0 0.7 1.3 1.4 2.8 1.7 1.0 1.2 0.7 2.4 0.8 3.5 1.3 3.4 1.6 1.2 1.5 0.8 3.8 0.9 1.0 1.5 0.6 2.9 1.8 0.9 2.9 2.1 1.4 3.0 3.0 2.1 1.4 1.6 1.3 1.3 2.2 1.2 3.8 2.0 1.5 1.0 2.0 2.7 1.6 3.0 1.5 3.5 2.4 2.4 2.1 1.2 3.7 1.0 1.3 2.5 2.2 1.1 2.7 1.3 3.1 2.5 2.3 2.0 1.8
a)既知の Fusarium oxysporum f. sp. cepae 研究室保存株.b)同一文字の平均値には有意差がないこ
とを示す(Dunnett’s t ― test). Y27 Y50 平均b) 1.8 1.6 1.6 1.9 1.6 1.6 1.7 3.2 2.0 1.8 1.6 2.3 2.9 3.0 3.6 1.7 3.4 3.0 2.8 2.9 2.6 3.4 1.6 1.5 2.6 2.5 1.2 2.5 1.3 3.2 2.1 1.5 3.6 2.9 1.6 1.3 1.7 1.0 1.3 0.7 1.2 2.5 1.8 1.5 1.7 2.2 3.0 1.5 2.7 1.5 3.6 2.1 1.8 2.1 0.4 3.8 1.0 1.8 2.6 2.3 1.2 2.4 1.7 3.3 2.5 2.8 2.5 2.5 1.78x 1.40x 1.40x 1.23x 1.24x 1.30x 1.49x 3.03z 1.83x 1.39x 1.46x 1.83x 2.61y 1.81x 3.13z 1.40x 3.47z 2.40y 2.07y 2.11y 1.29x 3.68z 1.07x 1.44x 2.37y 1.92x 1.54x 2.45y 1.32x 3.13z 2.34y 1.72x 2.62y 2.54y I V VIII I VII VIII IV I VIII VIII VIII VIII I VIII IV V I IV I I VI I V VI IV I I I VI I III II I I RFLP 型
植 物 防 疫 第 63 巻 第 10 号 (2009 年) 上述のように,F. solani および F. proliferatum もネギ に萎凋病に似た病徴を引き起こすことが明らかになっ た。これら 2 種の Fusarium 属菌の分離株はすべて弱病 原力グループに属したが,ネギ品種によっては強い病原 力を示す場合もあった(例えば分離株番号 14)。この結 果は,ネギの品種によっては F. solani および F. prolifer-atum も萎凋病の原因菌になりうることを示唆している。 F. proliferatum は,ネギだけでなく,タマネギ(米国, セルビア,アルゼンチン,オランダ)およびニンニク (ハンガリー)に萎凋病を引き起こすことが報告されて おり(DUGANet al., 2003 ; du TOITet al., 2003),我が国で も今後注意が必要である。また,F. proliferatum は,ヒ トに対する発ガン性が疑われているマイコトキシン(フ モニシン)を生産する。実際,筆者らが分離した 15 株 の F. proliferatum のフモニシン生産能を調べたところ, 12 株がフモシシン B1 生産能を示した(DISSANAYAKE et al., 2009 c)。F. proliferatum は,ネギの種子からしばし ば検出されるが,このような種子をスプラウトやネギの 生産に使用した場合,本菌が植物体に感染あるいは付着 することが懸念される。本菌のネギ植物体内あるいは体 表面におけるフモシシン B1 生産については不明である が,食品の安全性確保の観点から早急な調査が望まれる。 うが,F. solani および F. proliferatum よりも,ネギに対 して強い病原力をもっていることがわかった。この結果 は,問題となっている「ネギ萎凋病類似症状」の原因菌 が主として F. oxysporum であることを示唆した。 F. oxysporum 各分離株(18 株)の各ネギ品種に対す る病原力を比較すると,供試した品種すべてに同等の病 原力を示す株もあったが,品種によって異なる病原力を 示す株も存在した(例えば,表― 1 の分離株番号 32)。 そこで,レースの分化もありうると考え,さらに多くの 品種(ネギ 15 品種,タマネギ 5 品種)を用いて各 F. oxysporum 分離株の病原力を調査した。しかしながら, 程度に差はあるものの,F. oxysporum はどの品種に対し ても病原力を有していた(データは示していない)。す なわち,完全な抵抗性応答を示す「菌株と品種の組み合 わせ」は見いだされず,レース分化を示すデータは得ら れなかった。世界的に見ても,FOC 菌株間の病原力バ リエーションは知られているが,レースの存在は報告さ れていない。病原力バリエーションの原因は不明である が,筆者らが分離した強病原力菌と弱病原力菌について 見ると,根および盤茎部における菌の定着程度は両者で 差がなかったことから,侵入力や定着力以外の病原性因 子(抵抗性抑制力や発病力)が関係するのかもしれない。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 100 100 87 87 96 100 100 01 04 08 13 17 19 20 22 26 27 28 30 33 34 32 31 07 15 18 25 02 16 23 21 24 29 05 03 06 09 10 11 12 14 I II III IV V VI VII VIII F. oxysporum F. solani F. proliferatum 図 −1 リボソーム RNA 遺伝子(rDNA)ITS 領域の PCR ― RFLP パターンに基づ くネギ病原性 Fusarium 属菌の UPGMA 法による分子系統樹
2 ネギから分離した F. oxysporum の遺伝的分化
国内に分布するネギ病原性 F. oxysporum の遺伝的分 化については,北海道で分離された 2 株の FOC の菌糸 和合性群(vegetative compatibility group : VCG)が単一 であったことを述べた報告(兪ら,1993)があるのみで, その実態はほとんどわかっていない。そこで,2006 年 および 07 年に分離した 30 株の F. oxysporum(表― 2)を 用いて,遺伝的分化の実態を調べた。方法を簡単に述べ ると,各 F. oxysporum 分離株のリボソーム RNA 遺伝子 (rDNA)IGS 領域の部分塩基配列を決定し,得られた各 塩基配列およびデータベース中の IGS 配列を Clastal X を用いて多重整列した後,NEIGHBOR― JOINING法(NJ 法) によって系統樹を作製した(DISSANAYAKEet al., 2009 b)。 この結果,供試したネギ病原性 F. oxysporum は,遺伝 的に差異のある四つのグループに分けられた(図― 2)。 ネギに対して強病原力を示した 8 株の F. oxysporum(08, 15,22,30,37,41,および 45)について見ると,5 株 (22,30,37,41,および 45)は単一グループ(クレー ド CI)を形成していたが,残りの 3 株(08,15,およ び 17)は別のグループ(クレード A)に属した。すな わち,強病原力に属する F. oxysporum も単一系統では ないことが示唆された。GALVÁNet al.(2008)は,オラ III 遺 伝 的 分 化 1 ITS領域の PCR ― RFLP 解析 2006 年に分離した 32 株の Fusarium 属菌の遺伝的多 様性を明らかにするために,リボソーム RNA 遺伝子 (rDNA)の ITS 領域を PCR で増幅し,増幅産物を 5 種 類の制限酵素(RsaI,ScrFI,HinfI,HaeIII,および MspI)で消化し,得られた DNA 断片の電気泳動パター ンの多型(RFLP)を比較した。Fusarium 属菌の RFLP は 8 パターンに類別され(表― 1),それぞれの種ごとに グループを形成した(図― 1)。ITS 領域の塩基配列の差 異は,種の判別に有効なことが知られているが,RFLP 解析によってもそのことが裏付けられた。興味深いこと に,F. proliferatum は単一の RFLP 型(VIII)を示した のに対し,F. oxysporum および F. solani はそれぞれ複数 の型を示した。すなわち,F. oxysporum および F. solani における遺伝的多様性が示唆された。さらに,これら 2 種 の菌においては,同じ圃場から複数の RFLP 型を示 す菌が検出される場合があり(例えば,表― 1 の分離株 番号 30,31,および 32),同じ圃場内に遺伝的に多用な 個体群が共存していることが強く示唆された。 表 −2 分子系統解析に使用した菌株 種,分化型,レース 分離株番号 分離年 採集地(圃場) Fusarium oxysporum 01 07 08 13 15 17 18 19 20 22 25 26 27 28 30 31 32 37 39 40 41 45 46 48 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2006 2007 2007 2007 2007 2007 2007 2007 埼玉(越谷 1),日本 埼玉(越谷 1),日本 埼玉(越谷 1),日本 京都(伏見 3),日本 京都(伏見 3),日本 鹿児島(大崎 1),日本 鹿児島(大崎 1),日本 鹿児島(大崎 1),日本 鹿児島(大崎 2),日本 鹿児島(大崎 2),日本 岡山(岡山 1),日本 岡山(岡山 1),日本 岡山(岡山 1),日本 宮崎(宮崎 1),日本 兵庫(西宮 1),日本 兵庫(西宮 1),日本 兵庫(西宮 1),日本 静岡(浜松 1),日本 静岡(浜松 2),日本 静岡(浜松 2),日本 静岡(浜松 2),日本 北海道(旭川),日本 長野(松本 1),日本 徳島(阿南 1),日本 分離株番号 分離年 採集地(圃場) 50 52 54 56 60 62 63 7866 NRRL22538 0 ― 17 103044 26034 6531 12575 103038 4287 DA1/7 SB1 ― 1 100027 AK13 PFOL002 FOL067 26024 7610 2007 2007 2007 2007 2007 2007 徳島(阿南 2),日本 徳島(阿南 3),日本 長野(長野 1),日本 長野(長野 1),日本 高知(香南 1),日本 高知(香南 1),日本 北海道,日本 千葉,日本 米国 茨城,日本 岐阜,日本 イタリア 九州,日本 栃木,日本 茨城,日本 スペイン フロリダ,米国 長野,日本 千葉,日本 秋田,日本 台湾 台湾 ホンジュラス 米国 種,分化型,レース Fusarium oxysporum batatas radis ― lycopersici lycopersici レース 1 lycopersici レース 2 lycopersici レース 3 lactucae spinaciae lilii cubense Gibberella fujikuroi
植 物 防 疫 第 63 巻 第 10 号 (2009 年) 位置した(図― 2)。 興味深いことに,クレード C には強病原力系統(C1) と弱病原力系統(C2)の菌が含まれている。F. oxyspo-rum のネギに対する病原性分化のメカニズムについて は全くわかっていないが,クレード C に属する菌株の ゲノム解析・比較によって新しい情報が得られる可能性 がある。 F. oxysporum は,有性世代が確認されていない菌 (mitosporic fungi)であるが,ゲノム上には交配型遺伝 子 ( M A T ) が 存 在 し , 2 種 類 の イ デ ィ オ モ ル フ (MAT1 ―1 および MAT1 ― 2)のうちのどちらかを有す
る(ARIEet al., 2000)。そこで,ネギ病原性の F.
oxyspo-rum(30 株)の MAT イディオモルフを調べたところ, いずれの株も MAT1― 1 タイプであった。この結果は, ンダおよびウルグアイのタマネギから分離した F. oxy-sporum の AFLP フィンガープリント解析を行い,ネギ 病原性 F. oxysporum が大きく二つの系統からなること を述べている。また,SWIFTet al.(2002)は,米国のコ ロラドで分離された FOC の VCG を調査し,複数(5 種 類)の VCG 系統から成ることを明らかにしている。こ れらの結果は,ネギ(あるいはタマネギ)病原性の F. oxysporum が,複数の遺伝系統を含んでいることを示し ている。 ITS 領域の PCR ― RFLP 解析と同様,同一圃場内に遺 伝的に多様なネギ病原性 F. oxysporum が存在すること が,IGS 領域の塩基配列解析によっても確認された。例 えば,異なる RFLP 型を示した 30,31,および 32 番の 株(表― 1)は,それぞれクレード C,B,および D に
FGSC7610 Gibberella fujikuroi out group 0 ― 17 batatas 15 07 08 18 19 52 17 99 99 103044 radicis ― lycopersici 4287 lycopersici race 2 6531 lycopersici race 1 SB1 ― 1 lactucae 88 7866 cepae 100027 spinaciae 12575 lycopersici race 2 103038 lycopersici race 2 6531 lycopersici race 1 63 27 AK13 spinaciae PFOL002 lilii FOL067 lilii 46 48 25 28 26 56 31 13 85 90 87 22 45 30 41 37
96DA1/7 lycopersici race 362
54 50 60 01 92 NRRL 22538 cepae 26024 cubense 82 32 39 40 0.02 C1 C2 Clade A Clade B Clade C Clade D 図 −2 リボソーム RNA 遺伝子(rDNA)IGS 領域に基づくネギ病原性 Fusarium oxysporum の近隣
結合法による分子系統樹
枝下の数字はブートストラップ値(%)の 80%以上の値を示す.各菌株は表― 2 の分離株番号 を参照.
本稿では,FOC を中心にネギ病原性 Fusarium 属菌の 病原性および遺伝的分化の実態を述べた。しかしなが ら,本稿で紹介した知見は,ごく一部の地域から得たサ ンプルに基づいたものであり,我が国に分布する当該菌 の病原性および遺伝的分化の全体像が把握できたとは言 えない。今後さらに多数のサンプルを全国的に収集し, それらの全体像をより明確なものにしていく必要がある。 引 用 文 献
1)ARIE, T. et al.(2000): Mol. Plant ― Microbe Interact. 13 : 1330 ∼
1339.
2)DISSANAYAKE, M. L. M. C. et al.(2009 a): J. Gen. Plant Pathol.
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3)―――― et al.(2009 b): ibid. 75 : 125 ∼ 130.
4)―――― et al.(2009 c): Lett. Appl. Microbiol. 48 : 598 ∼ 604. 5)DUGAN, F. M. et al.(2003): Plant Pathol. 52 : 426 ∼ 432.
6)du TOIT, L. J. et al.(2003): Plant Dis. 87 : 750.
7)GALVÁN, G. A. et al.(2008): Eur. J. Plant Pathol. 121 : 499 ∼
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8)GRIFFITHS, G. et al.(2002): Phytother. Res. 16 : 603 ∼ 615. 9)MULE˙, G. et al.(2004): Eur. J. Plant Pathol. 110 : 495 ∼ 502. 10)児玉不二雄(1977): 日植病報 43 : 340.
11)――――(1983): 北海道立農試報告 39 : 1 ∼ 65. 12)PATIÑO, B. et al.(2004): J. Food Protect. 67 : 1278 ∼ 1283. 13)新村昭憲ら(1998): 北海道立農試集報 74 : 35 ∼ 41. 14)SWIFT, C. E. et al.(2002): Plant Dis. 86 : 606 ∼ 610.
15)竹内妙子ら(1983): 千葉農試研報 24 : 1 ∼ 6. 16)兪 晟濬ら(1993): 日植病報 59 : 3 ∼ 9. 国内のネギ病原性 F. oxysporum が無性生殖のみによっ て増殖していることを示唆している。 お わ り に 従来あまり問題になっていなかったネギ萎凋病が,こ こ数年比較的大規模で発生するようになった原因は明ら かではない。しかしながら,本病が夏季に多発すること から,発病と高温との関連が示唆される。実際,タマネ ギでは,FOC による乾腐病の発病が高温によって促進 されることが知られている(児玉,1983)。本病のもう 一つの特徴は,長期にわたって連作・周年栽培を行って いる圃場で激しい被害が出ている点である。本稿で述べ たように,圃場には遺伝的にも病原力的にも多様なネギ 病原性 F. oxysporum 個体群が生息している。それらの 中に夏季の高温に適応し,かつネギに対して強い病原力 を有したものが生じた可能性もある。このほか,種子を 通じて採種地などから新たな菌系統が侵入した点につい ても調査したが,ネギの品種や種子ロットと発病および 菌系統との関連性は認められなかった。いずれにして も,本病の発生生態については不明な部分が多く,今後 の詳細な解析が望まれる。 なし:シンクイムシ類,カメムシ類,アブラムシ類:収穫前 日まで くるみ:アメリカシロヒトリ,シロテンクロマイコガ:収穫 7 日前まで マルメロ:シンクイムシ類:収穫 14 日前まで ブルーベリー:オウトウショウジョウバエ:収穫前日まで アスパラガス:ヨトウムシ,ハスモンヨトウ:収穫前日まで きく:アブラムシ類:― ばら:アブラムシ類:― カーネーション:アブラムシ類:― 宿根かすみそう:アブラムシ類,ヨトウムシ:― スターチス:ヨトウムシ:― りんどう:リンドウホソハマキ,ヒラズハナアザミウマ:― トルコギキョウ:ヒラズハナアザミウマ:― つつじ類:ツツジグンバイ:― 「殺虫殺菌剤」 蘆ジノテフラン・トリシクラゾール粉粒剤 22426: ビ ー ム ス タ ー ク ル 微 粒 剤 F ( ク ミ ア イ 化 学 ) 09/08/05 ジノテフラン:0.35%,トリシクラゾール:0.50% 稲:いもち病,ウンカ類,ツマグロヨコバイ,カメムシ類: 収穫 7 日前まで 蘆ジノテフラン・ブプロフェジン・トリシクラゾール粉粒剤 22427:ビームアプロードスタークル微粒剤 F(クミアイ化 学)09/08/05 (30 ページに続く) (新しく登録された農薬 19 ページからの続き) 食用ゆり:アブラムシ類:収穫前日まで 葉ごぼう:アブラムシ類:収穫 14 日前まで 食用亜麻:ヨトウガ:収穫 14 日前まで ごま:アブラムシ類:収穫 3 日前まで アロニア:シンクイムシ類:収穫 14 日前まで しゅんぎく:アブラムシ類:収穫 21 日前まで さといも(葉柄):ハスモンヨトウ,アブラムシ類:収穫 7 日前まで 花き類・観葉植物(はぼたんを除く):カメムシ類,ハマキ ムシ類,ヨトウムシ類:発生初期 はぼたん:カメムシ類,ハマキムシ類,ヨトウムシ類,アオ ムシ:発生初期 くちなし:アザミウマ類:発生初期 蘆ペルメトリン水和剤 22436: M I C ア デ ィ オ ン フ ロ ア ブ ル ( 三 井 化 学 ア グ ロ ) 09/08/19 ペルメトリン:10.0% ぶどう:チャノキイロアザミウマ,コガネムシ類,フタテン ヒメヨコバイ:収穫 7 日前まで おうとう:オウトウハマダラミバエ,ショウジョウバエ:収 穫前日まで もも:モモハモグリガ,シンクイムシ類,アブラムシ類:収 穫 7 日前まで すもも:アブラムシ類:収穫 7 日前まで りんご:キンモンホソガ,ケムシ類,アブラムシ類,ハマキ ムシ類,モモチョッキリゾウムシ,シンクイムシ類:収穫 14 日前まで