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小動物の心不全に対するβ遮断薬の有効性の検討

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Academic year: 2021

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Title 小動物の心不全に対するβ遮断薬の有効性の検討( 内容の要旨 ) Author(s) 小林, 正行 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第187号 Issue Date 2005-03-14 Type 博士論文 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/2241 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与.の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 (26) 小 林 正 行(埼玉県) 博士(獣医) 獣医博甲第187号 平成17年3月14日 学位規則第4粂第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 ノ東京農工大学 小動物の心不全に対するβ遮断薬の有効性の検討 主査 岩手大学 教 授 山 根 義 副査 帯広畜産大学 教 授 山 田 明 副査 岩手大学 教 授 安 田 副査 東京農工大学 教 授 岩 崎 利 副査 岐阜大学 教 授 工 藤 忠 久夫準郎明 論 文 の 内 容 の 要 旨 β遮断薬は交感神経β受容体を遮断し、陰性変力・変時作用を発揮することから、心機 能の低下した慢性心不全には使用禁忌とされてきた。しかしながら人医額域では大規模臨 床試験によって、β遮断薬が虚血性ならびに拡張型心筋症患者の心機能および予後改善効 呆を有することが実証され、慢性心不全の基本治療薬としての位置を確立しつつある。一 方、小動物臨床の分野では、これまで慢性心不全へのβ速断薬の長期投与はほとんど行わ れておらず、その有効性は明らかにされていない。そこで本研究では、小動物で多く遭遇 する圧負荷ならびに容量負荷に続発する慢性心不全に対するβ速断薬の作用効果を、特に 心筋リモデリングに着日して明らかにするとともに、小動物臨床において最重要課題であ る犬の僧帽弁閉鎖不全症に伴う僧幅弁逆流0鵬血鮎gwgぬ血n;MR)ぺの鯨床応用を目指 してβ遮断薬の有効性を検討した。 第1章では圧負荷による心不全モデルとして、食塩感受性高血圧ラット(グールラット) を用いて■β遮断薬の慢性投与実験を行った。7適齢から高食塩食を給餌したダールラット は、高血圧を発症するとともに左童心室壁の肥厚および内腔狭小化を特徴とする求心性心 肥大を呈し、収繚不全を伴わない拡張機能障害によって、知遇鍔削こはうっ血性心不全へと 移行した。一方、メトプロロール(100mg耽釘血y)を投与した群では、非投与群と同等の 高血圧が経められたが、求心性心肥大および心筋諒維化の程度が有意に軽く、また機能的 にも拡張不全の進行が抑制され、有意な生存率の改善が経められた。この結果から、β遮

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断薬は庄負荷に伴う心肥大および線推化を抑制することによって、代償性心肥大から心不 全への進展を遅らせることが明らかとなった。 第2章では容量負荷による心不全モデルとして、外科的に動静脈シャントを作出したラ ットを用いて、メトプロロール(100m釘短/血y)の慢性投与を行った。12週間後の非投与 シャント群ではシャム群と比較して、左重畳の罪薄化を伴う内腔拡張を特徴とする遠心性 心肥大および左童拡張末期庄の上昇が認められた。一方、メトプロロール投与シャント群 では、細胞レベルにおいて心筋細胞の太さの増加が促進されており、結果として左室内腔 拡張は認められたものの左室壁の厚さは維持され、左童心筋重量のさらなる増加が認めら れた。また非投与シャント群と比べ左童拡張末期圧の上昇が軽度であった。このこ辛から β遮断薬は容量負荷に伴う左童壁の罪薄化を抑御し、負荷に適した心肥大を維持すること によって、心不全の進行を抑制することが示された。 以上の第1章および第2章の結果から、β遮断薬は圧負荷、容量負荷に伴う慢性心不全 に対しても有効であった。β遮断薬は単に心拍数を低下させ血行動態を改善させる効果だ けでなく、直接的な心筋保護効果を発揮することによって、心筋細胞の変性・脱落および 心筋線推化といった不適切な心筋リモデリングの進行を抑制し、慢性心不全の進展を細制 することが明らかとなった。 第3章では実験的に作出したMRモデル犬(軽度3例および重度4例)を用いて、比較 的高用量の酒石酸メトプロロール(45mg/短/血y)の長期投与を実施した。その結果、軽 度および重度MR犬ともに心拍数、血圧、および左童短縮率の低下が認められた。投与後 6か月において、軽度MR犬では左室負荷に大きな変化なく、左壷内腔に対する相対的な 左童壁の厚さが維持されており、ラットの容量負荷モデルでの結果と同様の作用効果が認 められた。一方、重度MR犬では僧帽弁逆流量の増加および左壷壁の罪薄化を伴う心拡張 の進行とともに臨床症状の悪化が認められた。この結果から、β遮断薬はMRの軽度病態 に対しては心機能を悪化させることなく有効性を発揮するが、重度病態へのβ遮断薬の単 剤治療は、病態をさらに恵化させ鯨床症状を増悪させる危険性があることが示唆された。 第4章では、実際の犬のMR臨床例に対するβ遮断薬の有効性と安全性を評価する目的 で、東京農工大学付属家畜病院にてβ遮断薬治療を行ったMR犬26症例を対象とし遡及 的検討を行った。症例はジゴキシン、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬を含む標 準的な心不全治療が行われており、投与開始時のNewYorkⅢ田鷹A5$00iad00(m)の心 機能分類はⅡ度が10例、Ⅲ度またはⅣ度が16例であった。酒石酸メトプロロールは原則 として05m釘短/血yから開始され、目標投与量2.Om釘晦/血yに漸増された。投与前と投 与後のデータと比較した括果、投与1か月、3か月およぴかか月後で、それぞれ40.0%、45.0%、 30.8%の症例でNYHAの改善が認められた。また心拍数低下および左童短締率の低下傾向 を示したが、左墓前負荷に悪化は認められなかった。胸部Ⅹ線検査おいて心拡大傾向が認 められたが、心臓超音波検査では左室壁厚は妊持されており、心拡張は抑制されていた。 重度な副作用(心不全増悪)は1例で認められただけであり、犬のMR梅床症例に対して 従来の標準的な心不全治療に加えβ遮断薬を併用することは有効である可能性が示唆され た。

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以上の研究結果からβ速断薬は小動物臨床額域で多く遭遇する慢性心不全に対しても適 応が可能であり、その長期投与の有効性が示唆された。 審 査 結 果 の 要 旨 β遮断薬は心機能の低下した慢性心不全には使用禁忌とされてきたが、人医額域 では慢性心不全患者への有効性が実証され、新たな心不全治療薬としての位置を確 立しつつある。一方、小動物臨床では心不全に対するβ遮断薬の有効性は未解明で ある。そこで本研究では、小動物で多く遭遇する圧負荷ならびに容量負荷に続発す

る慢性心不全に対するβ遮断薬の作用効果を、特に心筋リモデリングに着目して明

らかにするとともに、小動物臨床において最重要課題である犬の僧帽弁閉鎖不全症 に伴う僧帽弁逆流(MR)への臨床応用を目指してβ遮断薬の有効性を検討した。

第1章では圧負荷心不全毛デルとして食塩感受性高血圧ラットを用いた。高食塩

食を給餌した群は、高血圧を発症し求心性心肥大からうっ血性心不全へと移行した。 一方、同時にメトプロロール(100mg此釘day)を投与した群では同等の高血圧が・ 認められたが、心筋線維化が抑制され有意な生存率の改善が認められた。第2章で は容量負荷心不全モデルとして、動静脈シャントを作出したラットを用いた。非投 与群では、左室壁の罪薄化を伴う内腔拡張を特徴とする遠心性心肥大および左室拡 張末期圧の上昇が認められたのに対し、メトプロロール(100mg此g/day)投与群

で乱心筋鱒胞の太さの増加が促進され左室壁の厚さが維持されていた。また左室

拡襲来期圧の上昇が軽度であった。第1章および第2章の結果から、β遮断薬は圧 負荷、容量負荷に伴う慢性心不全に対しても有効であることが示唆された。β遮断 薬は単に心拍数を低下させ血行動態を改善させる効果だけでなく、直接的な心筋保 護効果を発揮することによって、心筋細胞の変性および心筋線維化などの心筋リモ デリングの進行を抑制し、慢性心不全の進展を抑制することが明らかとなった。 第3章では実験的に作出したMRモデル犬(軽度および重度)を用いて、比較 的高用量の酒石酸メトプロロール(4.5m釘k釘day)の6か月間の投与を実施した。

その結果、軽度および重度MR犬ともに心拍数、血圧および左室短締率の低下が

認められた。軽度MR犬では左室負荷に変化なく、内腔に対する相対的な左室壁 の厚さが維持されていたのに対し、重度MR犬では逆流量の増加、壁の罪薄化を 伴う心拡張の進行とともに臨床症状の悪化が認められた。この結果から、β遮断薬

はMRの軽度病態に対しては心機能を悪化させるととなく有効性を発揮するが、

重度病態へのβ遮断其の単剤治療は、病態をさらに悪化させる危険性があることが 示唆された。

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第4章ではこれまでにβ遮断英治療を行ったMR犬加症例を対象とし遡及的検 討を行った。症例には従来の標準的な心不全治療が行われており、投与開始時の臨 床症状は軽症が10例、重症が16例であった。酒石酸メトプロロールは低量0.5 mg耽g/dayから開始され、目標投与量2.Omg此g/dayに漸増された。投与前後のデ⊥ 夕を比較した結果、投与後1か月から6か月にわたり有意な臨床症状の改善が認め られた。また心拍数および左室短措率の低下傾向を示したが、左墓前負荷の悪化は 認められなかった。また左室壁厚は維持されむ拡張は抑制されていた。重度な副作 用(心不全増悪)が1例で認められたが、MR臨床症例に対して従来の標準的な心 不全治療に加えβ遮断薬を併用することは有効である可能性が示唆された。 以上の研究結果からβ遮断薬は小動物臨床額域で多く遭遇する慢性心不全に対し ても適応が可能であり、その長期投与の有効性が示唆された。 以上について、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の 学位論文として十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文 1)題 目:β遮断薬(メトプロロール)の投与で長期観察を行った 僧帽弁閉鎖不全症の犬の1例 著 者 名:小林正行,星 克一郎,平尾秀博,清水美希,島村俊介, 秋山緑,田中綾,丸尾幸嗣,山根義久 学術雑誌名:動物臨床医学 巻・号・貢・発行年:12(3):151-1部仁2∝8 2)題 目:僧帽弁閉鎖不全症モデル犬に対するβ遮断薬(メトプロロール) の作用効果の検討 、 著 者 名:小林正行,渡辺清見平尾秀博,清水美希,島村俊介, 田中綾,山根義久 学術雑誌名:動物の循環器 巻・号・貢・発行年:36(2):(箔ノ指,2∝拘 3)題 目:β-blodkerimprovessurYival,1eftvemicularfunction.andmyocardial remddinginhypertensiveratswithdiastolicheartfailure 著 者 名:Kobayashi,M.,Machida,N・,Mitsuishi,M・andYamane,Y・ 学術雑誌名:AmericanJournalofHypertenSion 巻・号・頁・発行年:17(12):1112-1119,2∝拘

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既発表学術論文 1)題 目:レースバトとドバトにおける不整脈の観察 著 者 名:小林正行,種田陽子,町田登,桐生啓治

学術雑誌名:動物の循環器

巻・号・貢・発行年:31(1):2ふ33,1瑛格′ 2)題 目:レースバトにみられるスポーツ心臓に関する形態計測学的解析 著 者 名:小林正行,町田登 学術雑誌名:動物の循環器 巻・号・頁・発行年:35(1):1-12,2002 3)題 目:経皮的バルーン弁口拡大術を行った大動脈弁下狭窄症の犬の2例 著 者 名:小林正行,町田登,星克一郎,平尾秀博,清水美希,島村俊介, 秋山緑,田中綾,丸尾幸嗣,山根義久 学術雑誌名:動物の循環器 巻・号・貢・発行年:35(1):ご裕一節,2002 4)題 目:心室中隔欠損症の関心術後に第二度房室ブロックが消失した 犬の1治験例 著 者 名:星 克一郎,永島由紀子,平尾秀博,小林正行,清水美希, 秋山緑,田中綾,丸尾幸嗣,山根義久 学術雑誌名:動物臨床医学 巻・号・頁・発行年:11(2):労一卯,2∝泣 5)題 目:人工心肺装置による体外循環開心術によって根治した 犬の右室二腔症の1例 著 者 名:清水美希,永島由紀子,星 寛一郎,平尾秀博,小林正行, 田中綾,丸尾幸嗣,山根義久 学術雑誌名:動物臨床医学 巻・号・頁・発行年:11(3):137-142,2002 6)題 目:和Aコイルオクルージョンが実施できず開胸下での結染術 を実施した犬の2例 著 者 名:田中綾,平尾秀博,清水美希,小林正行,島村俊介,町田登, 丸尾幸嗣,山根義久 学術雑誌名:動物の循環器 巻・号・貢・発行年:36(1):㌘-35,オXB 7)題 目:犬の特発性腸リンパ管拡張症の2例 著 者 名:清水美希,田中綾,星克一郎,平尾秀博,小林正行,丸尾幸嗣, 岩崎利郎,町田登,山根義久

学術雑誌名:動物臨床医季

巻・号・貢・発行年:12(1):13-17,2003

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8)題 目:Surgicalcorrecdonofcortriatriatumdexterinadogunder ¢畑aco叩併飴h加ml鵬on 著 者●名:Tanaka,R.,Hoshi,K.,Shimizu,M.,tLrao,H.,Akiyama,M・, Kobayashi,M・,Machida,N・,Maru0,K・indYamane・Y・

学術雑誌名:JownddSmallAnimal甲Cdc¢

巻・号・貢・発行年:41:370-3乃,2αB 9)題 目:僧帽弁閉鎖不全症に併発した左心房破裂に外科的修復術を行 った犬の1例 著 者 名:清水美希,田中綾,星寛一郎,平尾秀博,小林正行,丸尾幸嗣, 桐原信之,山根義久 学術雑誌名:動物臨床医学 巻・号・貢・発行年:12(2):10ilO8,2003 10)題 目:Implantationofpermanenttransvenousendocardialpacemaker inadogwithatrioventricularblock 著 者 名:Kobayashi,M.,Hoshi,K.,Hirao,H・,Shimi21u,M・,Shimamura,S・, Akiyama,M.,Tanaka,R.,Maru0,K・andYamane,Y・ 学術雑誌名:JoⅥmalofVetednaryMedicalScience 巻・号・貢・発行年:65(10):113ト1134,2003 11)題 目:大動脈弁下部狭窄の線維輪上に認められた嚢状物により心畠 中隔欠損症の短絡の消失がみられた犬の1例 著 者 名:島村俊介,高島一昭,星克一郎,平尾秀博,小林正行,清水美希, 秋山緑,田中綾,丸尾幸嗣,山頼義久 学術雑誌名:動物臨床医学 巻・号・貢・発行年:12(3):161-165,2∝B 12)題 目:PrimaTymalignaJltmixedmesen?hymaltumoroftheheartinadog 著 者,名:Machida,N.,Kobayashi,M.,Tanaka,R・,Katsuda,S・andMitsumori,K・ 学術雑誌名:JoⅧm血=ガComparaかe臨地0logy 巻・卑・貢・発行年:128:71-74,2∝B 13)題 目:Cardiacmyxomaofthetrituspidvalveinado早 着 著 名:Machida,N.,Hoshi,K.,Kobayashi,M.,Kat$uda,S・andYamane,Y・ 学術雑誌名:JournalofComparadverbthology 巻・号・貢・発行年:129:320-3礼 2003 14)題 目:SurgicalcorrectionofsubYalvularaordcstenosisusingcardiopulmary bypassinad6g 著 者 名:Ⅲmo,H.,Hos帆K.,Eobayas帆M.,Sbi血訊,M・,S血imam廿指,S・, Tanaka,R.,Machida,N.,Maru0,K.andYaJnane,Y・ 学術雑誌名:JoumalぱVetednaⅣMedicalScience 巻・号・貢・発行年:(詭(5):559-ご箔2,加

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