Title
VEGF promotes tumorigenesis and angiogenesis of human
glioblastoma stem cells( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
岡, 直樹
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第721号
Issue Date
2007-09-12
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/23094
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【4】
氏名(本籍) 岡 直 樹 (岐阜県) 学位の種類 博 士(医学) 学位授与番号 甲第 721号 学位授与日付 平成19 年 9 月12 日 学位授与要件 学位規則第4条第1項該当学位論文題目 VEGF promotes tumorigenesis and angiogenesis of human glioblastoma stem
Cel】s
審 査 委 員 (主査)教授 岩 間 号
(副査)教授 森 秀 樹 教授 園 貞 隆 弘
論文内容の要旨
多型神経膠腫(glioblastoma multiforme(GBM))は悪性脳腫瘍の中でも最も悪性度の高い腫瘍であ る。近年,悪性脳腫瘍における癌幹細胞(cancer stem cell(CSC))の存在を支持する研究成果が数多
く報告されており,腫瘍形成や再発に重要な役割を演じると考えられている。Vascular endothelial growth factor(VEGF)と VEGF receptor(VEGFR)は血管増生に関わる重要な因子であり腫瘍に対する
分子標的療法のtarget として重要視されているが,それらのCSCに対する影響はまだ十分に解明さ
れていない。
我々はhuman GBMの手術検体から多分化能,自己複製能を有する細胞群を同定し長期培養を行った。 これらの細胞群(Ⅹ01GB)は,epidermalgrowth factor(EGF)及びfibroblast growth factor(FGト2) 存在下で浮遊培養するとtumor sphereを形成し,血清培養液で培養するとneuronとgliaの両方へ
の分化を示し,更に免疫不全マウスの脳へ移植すると元のGBMと全く同じ表現型を示す腫瘍を形成す ることから,CSCであると考えられた。retrOVirusを用いてXOIGBにVEGFを形質導入し強発現させ, CSCにおけるVEGFの役割を1D Vltz・0と1n vIvoで検討した。
方法
(1)recombinant retrovirus:human VEGFを発現するretrovirus vector(pDNhVEGF)を作成し,
markerとしてenhanced green fluorescent protein(EGFP)を発現するようにした。paCkage
細胞株はvesicular stomatitis virus G(VSV-G)を産生する293gpgを使用した。
(2)CSCの樹立とVEGFの形質導入:患者から摘出したGBM組織片に0.05%tripsin処理を加え,
pipettingにより dissociate した。EGF,FGF-2,1eukemiainhibitory factor(LIF)を加え
たDMEM/F12培養液にて37℃,5%CO2条件下で浮遊培養を行った。50回継代後にDNEGFP-VEGF を形質導入し,その後FACS及び免疫染色を行った。
(3)免疫不全マウスへの移植と生存期間の検討:2×105のEGFP-VEGF-XOIGB又はEGFP-Ⅹ01GBを
non-Obese diabetic-SeVere COmbinedimmunodeficiency(NOD-SCID)マウス脳に定位的に移
植し観察を行い,mObidityの徴候が見られた時点で脳を摘出した。Kaplan-Meier生存曲線を 作成し統計学的解析を行った。
(4)免疫染色:組織はparaffin標本または凍結標本とし,hematoxylin-eOSin染色,各種免疫染 色(nestin,GFAP,TUJl,Ki67,CD31),periodic acid-Schiff(PAS)染色を行った。
-7-結果 (1)VEGFはID VltroTCCSCの腫瘍形成能に影響を与えなかった: XOIGBのtumor sphereは神経幹細胞markerであるnestinに陽性を示した。また,neurOnや gliaへの分化を示すことが免疫染色で証明された。NOD-SCIDマウス脳へ移植すると強い浸潤 性の腫瘍を形成し,元のGBMと全く同じ表現型を示した。EGFP-VEGF-XOIGBはVEGF-Aを強発 現しており,XOIGBと同様にtumor sphereを形成したが,その形成能に有意差は認められな かった。またEGFP-VEGF-XOIGBはXOIGBと同様にneuronやgliaへの分化を示した。これら
のことからVEGFはin vitroにおいてCSCのtumor sphere形成能や多分化能に影響を与えな いことが明らかになった。 (2)VEGFを発現したCSCは腫瘍出血を伴う血管豊富な腫瘍を形成し生存期間を短縮させた: EGFP-VEGF-Ⅹ01GBを移植された群(n=8)は移植後64 日以内に全て腫瘍死し,有意な生存期間 の短縮が認められた。その摘出脳では肉眼的腫瘍出血が多く観察された(5/8)。EGFP-Ⅹ01GB を移植された群(n=6)では腫瘍出血は認められなかった(0/6)。組織学的検索では,EGFP-VEGF-XOIGBから形成された二次腫瘍は,元のGBMの表現型に加え,著明な腫瘍内血管増生と 出血が認められた。PAS染色では腫瘍細胞の間に網状に広がる血管内皮基底膜のmeshworkの 形成がみられた。これらの血管内皮細胞(vascular endothelialcell(VEC))はanti-mOuSe CD31に陽性で,CSC由来ではなくマウス脳の血管由来であると考えられた。これらのことか ら,VEGFはVECの増生を促進しCSCからより血管豊富で腫瘍出血を来しやすく致命的な腫瘍 を形成させることが明らかになった。 考察■結語
VEGFを発現するhuman GBM stem cellはID Vl'voT血管増生の豊富な,出血しやすい腫瘍を形成し,
生存期間に影響を与えることが示された。VEGFは血管増生を促進しGBMの活動性に影響を与えること が知られており,これを裏付ける結果となった。CSCはneuralstem cell(NSC)と同様に,その微 小環境(niche)により厳密に維持されていると考えられている。VECはneurotrophic factor等の interactionを介してNSCの維持,運命決定に関わるnicheとして重要であると考えられている。CSC はNSCの性質を示す腫瘍細胞であり,VECがnicheとして重要と考えられるが,CSCとVECの関係は 未解明な部分が多い。 本研究では,VEGFを発現するCSCはVECの増殖を促進し,血管豊富な出血性のagressiveな腫瘍を 形成することが示された。VEGFをはじめとする血管増生因子や,VECのsignaling moleculesは分子 標的療法の有効なtargetとなり得ると考えられる。今後,CSCやnicheをtargetとした治療法の開 発・応用が期待される。 論文審査の結果の要旨
申請者 岡 直樹は,VEGFはID Vltroではhuman GBM stem cellのtumor sphere形成能や多分化
能に影響を与えないが,VEGFを発現するhuman GBM stem cellをマウス脳内に移植すると,腫瘍内出
血を伴う血管増生の豊富なGBMを形成し,生存期間を有意に短縮させることを明らかにした。 本研究の成果は,CSCやVEGFが分子標的療法の有効なtargetとなり得ることを示すものであり, 悪性脳腫瘍患者に対する治療の進歩,脳神経外科学の発展に少なからず寄与するものと認める。
[主論文公表誌]
VEGF promotes tumorigenesis and angiogenesis of human glioblastoma stem cells
Biochemicaland BiophysicalResearch Communications360(3),553-559(2007).