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僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療の実験研究並びに臨床経験 : 特に榊原第1法、第2法及び第3法の基礎的研究について

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(1)

倭幕窒墾魏難面骨)

僧帽弁閉鎖不全症に対する外・科治療

の実験研究並びに臨床経験

一特に榊原第1法,第2法及び第3法の基礎的研究について一一

助 東京女子医科大学外科教室(主任 榊原任教授) 手 吉 Hシ 原 バラ 好 ヨシ 之 nキ

(受付昭和33年2月24日)

緒言並びに:文献的弓寮 僧帽弁々膜症のうちでは,従来,僧帽弁閉鎖不 全が狭窄に比し極めて数多いものと老えられてい た。しかし手術が行われるようになってみると, 純粋の閉鎖不全はむしろ少なく,多くは狭窄と併 存していることが判った。従来僧帽弁閉鎖不全と 狭窄とは往々にして全然違った種類の状態である かのごとく老えられ勝ちであったが,同じ変化が 弁尖またはその附属装置に起って,時には純粋の 狭窄となり,ある時には純粋の閉鎖不全となる。 またその中間に種々の程度の狭窄と閉鎖不全との 組合わせをもった状態が存在することが判った。 閉鎖不全を伴なう僧帽弁狭窄の場合に,狭窄旧 聞を行うと閉鎖不全も治癒することがある。また この揚合に狭窄切開を行って,逆流が軽減乃至消 失しなくても臨床的には軽快することもある。そ れ故,狭窄が主で閉鎖不全を伴っている時には, 少なくとも現在の殺階では狭窄切開を行うことが 望ましい。 然るに逆流が圭で,殆んど狭窄を認めぬもの や,狭窄の程度が軽いものは,当然逆流に対する 処置を行う必要がある。 僧帽弁閉鎖不全は概して予後がよいとされてい る。しかし事実はそうでない。本症は若年者に多 い傾向があるが,これ等のものが青年期に達する までに,厳重な内科治療にもかかわらず心不全で 艶れるものが多いのである。 僧帽弁閉鎖不金は理論的に考えると,何等かの 外科処置によって矯正し得るように思われるが, 実際上の問題としては華々困難なのである。 僧帽弁閉鎖不全の手術方渋に関しては,最近に なって漸く数多く発表されて来た。しかしこれ等 の発表者がそれぞれ或程度良好な成績を収めてい るというだけで,相互に追試して術式を検討し, 最も良い方法が決定されたという段階には未だ達 していない。結局術式が困難なことに主因がある と思う。 僧帽弁閉鎖不全の手術は,既に!944年揃原亨1)が 心臓鏡を用い,左心室に於て僧帽弁の腱索をクリップ をもつて結合する手術を多数の犬を以て実験し,2例 の患者に実施したが不幸跳者は死亡した。 吾々の教室で僧帽弁閉鎖不全の手術を工夫し始めた 1952年頃にはMurray,Baileyの術式だけが発表され ていた。即ち,1938年及び1950年忌urray 1)5)らは 静脈片を融転して内側を外側にしたものの中に腱鞘を 入れたものを左心室に挿入する手術を行った。この静 脈片は緩かにぶらぶらとハンモック様に挿入してある ので心室収縮期には上昇して,僧帽弁の逆流部を閉鎖 するが,拡張期には心房からの血液で押し下げられて 血液を自由に通過させる。即ち挿入した静脈片をし て弁の作用を営ませようという手術である。1951年 Bailey4)は静脈片は線維化して,弾力性を失い弁とし ての作用を営まなくなるとして,心膜を以って代用せ んとした。心膜の並L流を断たないようにしておけば, 静脈のように線維化しないと考えた。ここに特色があ

Yo曲iyuki YOS皿IHARA(Department of Surgery, Tokyo Women’s Medical College):Experimental

study and clinical experjence of surgical treatment for mitral insufficiency. 一Espec{ally fundamental study of Sakakibara’s lst, 2nd and 3rd methods.一

(2)

78 る。しかし手術法の原理はMurrayのそれと全く同じ であった。 その後Morre, Schumacker 5・らが心膜の血流を断 たぬように工夫して管伏にした心膜片といえども,結 極は短時日の間に線維化して弾力性を失い弁作用を期 待し得ないことを明らかにした。 吾々はBaileyの方法を2例の患者に実施したが, 何れも:重症であったためか不幸死亡した。 次ぎにBailey 6は弁口の逆流の著しい側の前後両 脚尖を心膜片を以って縫合する手術を発表した。弁の 閉鎖には弁膜の可動性があることが必要である。弁を 縫合することはこの重要な弁尖の可動性を制限するこ とになるからこの方法は良くないという多くの批判が 現われた。しかしBaijeyは,僧帽弁狭窄の時,前後交 連の癒着があるのに前方交連だけを切開し,しかも逆 流を生じないではないかと反対している。ただBailey の方法では,縫合した心膜片の一端は心室又は心房に 固定されている。Baileyは始め,心膜片を心室に固定 する方法を発表した。吾々は心室に固定することは, 前述の様な欠点があると考え,心房に固定する方法を 案出しBailey変法として2例の患者に施行,1例は 死亡したが,1例は著効を得た。その後B掘ey自身も 心室に固定する方法は左心室に障害を与える程度が強 いということを理由に,心房に固定する方法を用いて いるようである。

1954年Harken 7)らはMurray, Baileyの手術の 線に沿った別の手術法を発表した。Luciteで作った 紡錘県営はビン型の調節栓を弁口に挿入する方法であ る。原理はMurrayの手術と同じで,収縮期には逆流 を阻止し,拡張期には血流を通ずるのである。その成 績は,ビン型の栓子を入れたもの24例申13例死亡:, 紡錘型の栓子を入れたもの26例中7例死亡,死亡例 以外は概して良好ということであった。吾々は彼の方 法は追試していない。 又Carter 8}らの方法は, Harkenの術式とその原理 が全く同じである。」血流を断たぬようにした心膜片を 折りたたみ,縫合し,管状にしたものの中にプラスチ ック製の小球を入れ,これを僧帽弁の直下に挿入する のである。収縮期には小球で逆流が阻止され,拡張期 には」血流を通ずるのである。 以上は直接iに弁膜を処置しようという考えを基礎と した手術であるが,間接的に症状の軽快を期待する方 法として阪大小沢外科の9/10)11・) 12」15)14)人工的卵 円孔作製法がある。卵円孔を作ることによって左心の 負担を軽減しようというものである。星田働はこの 場含卵円孔の至適大ききを考慮に入れねばならぬと報 省している。これが仲々困難な問題である。吾々は2 例の患者に実施し,1例死亡,1例悪化という成績を みたため,その後追試していない。 以上述べたように,現在の段階では数人の人々か, 夫々各自の方法を実施しているという状態で,この方 法が最良であると断定する訳にはいかない。吾々も独 自の考えから後尖挙上術なる方法を考案し,動物実験 の上臨床例に応用し効果を挙げた。この方法を樋原第 1法(後尖挙上術)と仮称し1953年に発表した16)ユ7) 18)2b後尖挙上の効果を一層大きくするためにその変 法を考案し,これを榊原第2法と仮称し第7回胸部外 科学会に発表した。 更に吾々は吾々の提唱した後尖挙上法を検討した結 果,僧帽弁の線維輪を必要な部位だけ縫縮する方法が 効果があると考え,線維輪を縫縮する術式を考案して 実施した。これを榊原第3法(選択的線維輪縫縮術) と仮称し,第14國=1本医学会総会(特別講演)に発表 した19, 2021)。 以下吾々の行った術式,即ち,榊原第1,第2及び 第3法に就て,その手術の基礎となった実験研究並び に臨床経験を報告する。 第1編:実験編 第1輩:後尖を挙上する方法 第1節:原理 弓術時僧帽弁の動きを触診したり,心臓鏡で観 察したり,また病理標本で確めたところによる と僧帽弁の運動は次のように老えられる。

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第1図 僧帽弁の動 き

弁の開放は瞬時に狩われるが,閉鎖はこれに比 べて時聞をかけて行われる。’閉鎖の状況は正常の 一 40di 一

(3)

閉合,図ユ(A)に示すようにこれを2殺に分け て考えられる。教室の飯川22は心臓鏡を用いて僧 帽弁を観察し,且つ油画に撮影した。その結果, 僧帽弁の閉鎖の際には2段階の動きを示すもので あると述べている。即ち,収縮期に入ると,弁膜 下に加わる一血圧によって前後論弁尖が次々に上昇 して行く。両法尖が相接すると血圧が十分に弁尖 に加わるようになるので弁尖は心房側に膨隆して 来る。その結果両弁尖は弁腹と弁腹とが面で相接 して逆流が阻止せられる。この際弁口を塞ぐのは 主に前尖の膨隆した弁論であって,心尖は単に補 助的な役割を果しているに過ぎない。この様に考 える時に,閉鎖不全の殆んど大部分が前尖と後尖 との接着する部分が減じていることに原因を有し ていると老えられる。

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(3) 第2図 後尖挙.tii法の原理 後飛を指先で前方に延長した形にしていると逆 流が止まる,(2)の如く,弁が上昇して来た時 に指を突出させると,(3)の如く前尖の膨脹運 動が起って来る。 逆流のあるものに対して図2のごとく左心房内 に挿入した指先きを後尖の側から丁度後尖を指先 きで前方に延長した形にしてみると,逆流が減少 または消:失する結果,弁尖下に加わる血圧が上昇 して,あたかも正常な揚合前後両弁尖がその弁腹 と素腹とを相接した状態,即ち,第1段目運動が 指:低きと前面とによって行われ,弁沢下に加わる 血圧が更に上昇して前回が膨隆,即ち第2段の運 動が起り弁口を完全に閉鎖することが判った。こ の場合,指先を突出させるために必要な程度は約 3mmあれば十分である。この事実が判ったので, 著者らは後尖を少しく拳上し魚田の尖端を前尖に 近づける方法を考えた。それには後尖を紐のよう なもので前上方に引き上げれば図1(C)に示すよ うになって両三尖が相接し,前念の膨隆が起り, 逆流が減少または消失することが判った。 第2節:実験的僧帽弁閉鎖不全(略僧不全) 作成法 先ず予備実験として,成犬を用い僧不全犬を作成し た。人体に於ける僧帽弁の変化に類似した状態を作成 することを目的とした。即ち,弁尖の肥厚,或は癒合, 腱索,乳頭筋の短縮又は癒合等の変化を示し,且つ, 慢性の写像を現わすことが必要である。 そこで著者らは10kg前後の成犬を用い,ラボナー ル静脈麻酔を行い,気管内チュ r・ブを挿入し,間激的 陽圧呼扱を行いつつ左第4肋閥を開胸,心臓を十分露 出せしめるために左翼5肋骨を骨軟骨部に於て切断し た。しかる野次の方法を行った。 (1)後引部ホルマリン原液注射法

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第3図 実験的僧帽弁閉鎖不全作成法 (後尖部ホルマリン注射) 図3の如く左心耳より指を挿入その指頭を以て僧帽 弁を触知しつつ,外部より僧帽弁後尖の弁腹,或は腱 索,乳頭筋に相当する部分にホルマリン原液約1ccを 注射した。 結果は表1の如く,成犬24匹のうち9例(38%)に 2 ・V12 il後に一一の癒合或は短縮,腱索,乳頭筋の短 縮又は癒合等の変化が認められた(図4)。挿入指頭に 逆流を触知し,左心房直接穿刺による描写圧曲線は, 僧不全の波型を示していた(図5)。 しかるに前述の如く本法による僧不全犬作成々績は 38%に過ぎず,又,僧不全を認めた成犬の多くは短時 日のうちに死亡するためこのものを用いての各術式の 検索は甚だ困難を来した。そこで著者らは次の方法を 考案,実施した。 〔2)腱索切断法 著者らは図6の如き切断刀を考案した。この刀を左 心室より刺入し,触診下に下学を切断することによ り,急性に僧不全を作成した。この方法は偶然にも Haller 25)やK:ay 24,らの方法と同一であった。結果 は表2の如く,成犬8匹のうち7例(88%)に明らか に逆流を触知した。 従って,著者らは本法の方が僧不全作成に確実性が あることを認め,以下述べる各術式をこの方法による 僧不全犬により実施した。 一 406 一

(4)

80 第1表 心尖部ホルマiJン注射による実験的僧帽弁閉鎖不全作成々績

甘鯛1僧不全

),lo. 6 7 8 9 10 11 12 13 一一 一F 十 十 14 不 明 15 16 17 18 19 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 十 不 明 十 十 旨不 明

1不明

i+

1 不 明 十

僧帽弁の変化

(剖 検) 不 tl 変 不 変

前方交連部軽度癒含

不 変 不 変

後尖腱索乳頭筋癒舎硬化

後 後 不 不 不 不 義 尖 不 予 肥 後 尖 腱 索 不 義 不 ゲ グ 癒 二 丁 変 変 変 厚 短 変 癒 合 短 明 変 羽 合 縮 縮

後方交連部に腱索癒合

不 明

先天的に前後尖短縮,腱索

小数で短い,乳頭筋小さい

生.存1 死 因・期’聞 4 7 8 10’ 1 日 肺・炎 日1膿 胸 日… 〃

日旨屡殺

1時間1心衰弱 1時間i心衰弱

12日剛堅

6町屠殺

1時間1心衰弱 10 日.膿 胸 7 目 心衰弱 1時間、心衰弱 1 7 10 3 6 3 術 5 2 術 2 日田農 三 日 グ 日i心衰弱

日 膿胸

日 心衰弱 中 心衰弱

月 膿胸

目燭明

中…心衰弱 日 ク 1 日i 〃 i 術 中旨心細動 1 備 軽度逆流角虫矢L; 1

考 1

}一.l I … 前方交連部逆流触知 左房壁に猫喘触知 軽度逆流触知 生存中起坐呼吸 三尖弁にも不全あり J

第3節:実験方法

第1項:後尖を挙上させるもの 後尖を引き上げる紐のようなものとして如何なるも のが適当であるかということに就いて,教室の松田25) はMorre, Shumackerらの如く,各種組織片を犬の 心臓内即ち左心室内に挿入してその運命を組織学的に 検索し,その優劣を検討した。組織片として犬の自家 及び他家大伏在動,静脈片,有柄及び無柄の心膜片, 腱鞘等を使用した。最:長360日まで調べた結果,自家静 脈片を内側が外側になるように練乾したものが,その 挿入部心壁内に於いても,挿入移行部に於いても又心 室腔内においても,均しく退行II生及び進行性変化,:炎症 等最も軽微で,内被細胞の被覆も約30日で完成され・ 叉血栓形成も他のものに比べて最も軽微であり,心臓 内に挿入する組織片としては,自家醗転静脈片が最も 適当しているという成績を得た。そこで著者らは後尖 を引き上げるのに翻転静脈片を使用した。(詳細は松 田の報告に譲る)。術前に犬の大腿静脈より無菌的に静 脈片を約5cm採取し,ヘパリンを混じた食塩水に浸 す。この静脈片を内側を外側になるように融転ずる。 それには先ず,細い消息子を静脈片内に通し,静脈片 の一端に針糸をかけ,この糸を消息子の耳に結びつけ る。消息子を引き抜くと静脈片は融転される。この中 に太い絹糸数本を通す。絹糸と静脈片とは別の糸で結 び照せる。絹糸の尖端に消息子を結び付ける。出来上 ったものを「静脈一絹糸片」と名付けナこ(図7)。この 一 4・06 一

(5)

弁口の中央部附近に逆洗がある場合は,左冠動脈の 室間枝(Ramus interventricularis)と回旋枝(Ramus circumflexus)との間にかこまれた部分で,両者の分 岐点に近い所の左心室壁で血管の少い部分を選び,こ

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ノ1, ク \左門 第4図 後尖部ホルマリン注射法による実験的 僧帽弁閉鎖不全作成例(犬) 後尖は癒着し,可動性がない。

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議射直宿

一 一

qs......=一=一一一一一(c =) 切町刀 第6図 実験的僧帽弁閉鎖不全作成法 (腱索切断法及び切断刀) 第2表腱索切断による実験的僧帽弁 閉鎖不全作成成績 .,一....一rVVLN一,NN一一’ s一“・・ig ’z∼8騨瞥 第5図 後尖部ホルマリン注射法による実験的僧 帽弁閉鎖不全作成例の左心房圧の変化 ものをヘパリン加ペニシリン液中に浸しておく。 第2項:術式 前述の方法にて作成した僧不全犬に対して本法を施 行した。 ラボナール静脈麻酔を行い,気管内チューブを挿入 し,間歓的陽圧呼吸を行い,左第4肋間を開胸,心臓 を十分露出せしめるために左第5肋骨を骨軟骨部で切 断した。心膜を切開し,左心耳を露出する。左心耳か ら心房内に右指を挿入し,次いで静脈一絹糸片の一端 につけた消息子を左心室壁をへて,後置の腱索下に挿 入するのである。しかしこの場合,逆流の存在部位に よって挿入場所が違って来る。

播号i購臨画細面購1備考

No. 42 as 44 45 ca 47 as 49 前後連部門索

二二二二

前方交連部腱索 後方交連部腱索 後方交連部腱索 後方交連部門索 前方交連叢誌索 前方交連部腱索 十 十 十 十 十 不明 十 十 2日 13日 術直後 30分 9日 1日 1日 20日 20日 左心房壁に 猫喘触知 ケ

一anp

.........一一一==一==a 第7図 静脈一絹糸片作成法

(6)

82 こから消息子を左心室内に挿人する。 左心房内に挿入した指を僧帽弁を通って左心室に入 れ,消息子の先端を確認する。消息子の尖端が後尖の 三訂下を通過するように指先きで導き乍ら,消息子を 後方に向って押し進める。挿入した消息子の先端が, 心室内に挿入した指先きの誘導で後尖腱三下を通り, 三冠動脈血間枝の附近に達したと思われるところで, ここに消息子の先端を突出す。しかる後に静かに消息 子を引くと,静脈一絹糸片は後尖の腱索下に入る。そ こで絹糸の両端をもつて強く緊張させる。この操作が 極めて重要である。かくて両端を縫合糸で左心室壁に 夫々固定する。手術の終了した像は図8の如くである。

第8図 後尖を挙上する方法の手術終了図

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第3表 後尖挙上法施行動物実験(犬)例

1一

Nα歎灘「整耀綴臨窩死

因 備 考 31 32 ss 34 35 sa 113 ・ 114 115 1 116 , F 117 118 ’ 119 可 良 良 良

良好

艮 不 可 良 良 良

良好

良 良 良 良 良 良 良

良好

1251 良

126;良好

良 良 一 1 良 一 i

l良好1一

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良 一

良好:一

o o o o o o 12 11 2 250 2 1 7

M

15 屠 屠 屠 屠 屠 屠 殺 殺 殺 殺 殺 殺 肺炎,膿胸 術直後挿入状況観察 e ケ v v v 餓 肺 屠 心 i衰 死 炎 殺 弱 出血一心衰弱 膿 胸 屠 殺 肺 炎 むしろ術後の狭窄を合併した 静脈片挿入部より術中出血多量 術中心房破損し出血(静脈片が固定位置 が冠血管分枝に近い) 一ro8一

(7)

以上の操作中1特に冠動静脈を損傷しないように注 意することが必要である。又左心室内に指を長く入れ ておくことは危険であるから,特に消息子を後尖腱索 下に誘導する場合には,指を何回か心房内に抜いて操 作を続けることが必要である。 心臓に挿入した消息子が出る右冠動脈室間枝附近は 心臓の後方に当るので,どうしても心臓を逆立てて操 作しなければならない。これは極めて危険なことであ るから,心臓の色,搏.動の状態等に細心の注意を払い つつ,危険と患われる時には直ちに正常位に復し,恢 復を待ってから次の操作に移ることが肝要である。 逆流が主に前方交連部附近にある場合或は後方交連 部にある場合には,前方では右心室より挿入し,心筋 内を斜に走って左心室に入り,後尖腱種下を通って左 心室中央に出さねばならない。後方の逆流に対しては 右心室の後壁から同様に挿入して左心室に入り,後尖 腱一下を通って左心室の中央に出すのである。 術後リンゲル面癖乃至5%ブドウ糖液による補液及 び水性乃至油性ペニシリンの筋肉内注射を行った。 街,手術操作は凡て無菌的に行った。 第4節:実験成績 」5匹の成犬に就いて本法を施行した(表3)。そ のうち6例は静脈一絹糸片の挿入固定に成功し, 術直後逆流阻止の効呆を判定する意味でエレクト ロマノメーターにて左心房圧曲線を測定描写し, 次いで静脈一絹糸片の挿入状況を観察する目的で 直ちに屠殺剖検した。1例は静脈一一絹糸片の約半 分が後尖腱索隠を通過してお1),残りの半分は腱 幅下を通らず,かえって腱索の…部を心室内壁に 寄せた形となり,むしろ逆流の増加を見た。他の 5例は大体目的通り挿入され,逆流阻止の効果が 殆んど消:失したもの1例,その減少をみたもの4 例という成績を得アニ。 他の9例は静脈一一絹糸片は目的に沿って挿入さ れており,逆流阻止の効果も梢良好であった。1 週問以内に死亡したものが4例あり,このうち1 例は逆流阻止効果は良好で殆んど逆流の消失をみ た。しかし心臓後壁の静脈一絹糸片挿入個所より の出血が多量(消息子による削壁断裂)で,縫合 により止.為し得たが,一時心搏緩徐となり,輸液 及び強心剤にて恢復を待ち閉面したが翌日死亡し た。2例が術後2日目に死亡した。そのうち1例 は静脈一絹糸片挿入後,樹,軽度の逆流を残した 例で,剖検にて強い肺炎橡がみられた。他の1例 は殆んど逆流の消失をみたが,術後全身状態が不 良で脈捧微弱となり結局心衰弱で死亡した。この 例は静脈一絹糸片の挿入により狭窄を作ったこと も原因しているものと思われる。1例は逆流阻止 効果も良好で殆んどその消失をみたが,術後7日 目に膿胸にて死亡した。すべて一血栓形成は認めら れなかった。

2例は術後夫々54日,250日目に屠殺剖検し

た。挿入した静脈一絹糸片は共に目的に沿って挿 入されており,その一部は密に後尖と結合しこれ を挙上せしめていた。組織学的には静脈一絹糸片 挿入心逸内,挿入移行部及び心室内においても, 何れも結合組織化されていた。血.栓形成は認めら れなかった。2例とも前尖の機能障害は認められ なかった。 逆流阻止効果の判定は,直接穿刺にて左心房圧 曲線をエレクトロマノメーターにて測定描写し た。図9は明らかに逆流波V波が消失しているの を認める。

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画細洲 嚇∼ヘノ.

射前 /7一、/∼〃〃》〆知翌,』 第9図 肉鎖不慶 術後 th一・加解・牌ノ /7’一”一目!か噂2 後尖を挙上する方法施行動物実験(犬) 例に於ける左心房圧曲線の変化。 第5節:小息並びに考按 僧帽弁閉鎖不全症に対して生体内組織を使用し て逆流阻止をはかる吾々独自の術式を考案し,動 物実験を行った。

1950年Murrayが腱鞘を醗転静脈片で被覆し

たものを,195!年Baileyが有董心膜片を左心室 内に挿入する術式を発表した。これは挿入物で閉 鎖不全部を心室収縮期に閉塞させるのが目的であ るが,吾々の方法は,後鼻を前上方に挙げること により前尖との接着を行わせ弁口を閉鎖させるの を目的とした。 後幅を挙上せしめるものとしては,Moore, Shumacker並びに教室の松田の実験で静脈片が 最もよいことを確認しこれを使用した。しかし, 心室内に挿入した静脈片は,数週間後には弾力性 が消失し,線維化し,萎縮する傾向を示すと報告 している。Murray, Baileyらの方法にはこれで 一 409 一一

(8)

84 は不適当であるが,吾々の方法は,後尖腱索下に 通した静脈片が緊振されることにより後尖が挙上 されるので,むしろこれが線維化し萎縮すること により,常に後陣が挙上きれている状態を保つこ とになり益々乎術効果が挙る訳である。これが本 法の理想である。 1955年Ben三choux, Chalnot 26) ら0)発=表した 術式は,後学を挙上させることにより,前後両二 二の接着を行わせるということで吾々の後出挙上 法と偶然にも根本理念がt.一一致している。彼等はプ ラスチック製の小球にネジ脚の附着しているもの を左心耳より左心房を介して後尖下に挿入,脚を 四壁を貫いて外に出し,同製の鋲にて固定する方 法を行った。小球は’O・室収縮期に山偏の方に向 い,僧帽弁口を閉鎖せしめるわけである。これに よって逆流波は消失したと述べている。 吾々の後尖挙上法においても,僧不全犬に施行 した結果,明らかに逆流の消失をみた。 第2章=後尖を前上方に挙上する方法 第1節:原理 後述の臨床編で述べるごとく後覆挙上法を施行 した症例で静脈一絹糸片を目的の通り後尖腱索下 を通し,しかもそれを十分緊張せしめたにもかか わらず逆流が止まらぬものがあった。斯様に効果 の悪かった例は逆流阻止が不十分であったと考え られたので,著者らはかかる逆流の著しいものに 対して徹底的に後追を挙上せしめると同時に,こ れを前方に移動せしめる:方法を考えた。即ち,後 記が前上方に固定され,このために前尖との接着 が十分可能となり,逆流を阻止させるのである。 第2節:実験方法 前述の方法にて作成した僧不全犬に対して本法を行 った。著者らは手術前に犬の大腿静脈より無菌的に約 8cmの静脈片を採取し,これを内外に醗如し静脈一 絹糸片となしその両端に消息子を着ける。術式は左心 房内に指を挿入するまでは前述の後尖挙上法と全く同 一である。 左心房内に指を挿入しつつ,静脈一絹糸片の一端A につけた消息子を左心室側壁から挿入し,後尖腱索の 下を通して後方交連部附近で後馬を貫通し,一旦左心 誤読に出す。静脈一絹糸片の他端Bにつけた消息子を 同じ穴から後頚腱索の下に通し,前方交連部附近で後 払を貫通し同じく左心耳外に出す。 次にAの消息子を再び左心耳より挿入し,心房中隔 を貫通して右心房から右心耳に出す。他端Bを大動脈 と肺動脈との間を通って右側に通し,AとBとを緊張 し結び合せる。手術の終了したところは図10の如く である。 肺動眠 第10図 後尖を前上法に挙上する方法の手術終了図 第4表 後尖を前上方に挙上する方法の 施行動物(犬)実験例

L幡諜縢謙生醐間備

! 1入状況効果 一. 考 No. 37 38 39 40 41 良 良好 可 良好 良好 良 臭 不良 良好 良好 1 直後屠殺挿入状況観察の為屠殺 tl t/ Il tl ケ 〃(灘難貴三方) ll q 第3節:実験成績 5匹の成犬について本法を施行した(表4)。全 例静脈一難糸片挿入後,逆流阻止効果を判定する 意味で,エレクトロマノメーターにて左心房圧曲 線を測定描写し,次いで,静脈一絹糸片の挿入状 況を観察する目的で,直ちに屠殺剖検した。 静脈一絹糸片の挿入状況は,1例を除いて概し て良好,逆流阻止効果も同様であった。即ち,左 心房圧曲線で僧不全の波型が消失しているのを認 めた(図11)。 逆流阻止が不良であったNo.39は,静脈一絹 糸片が,前:方は良好に前方交連部附近の後尖を貫 一 410 一

(9)

いていたが,後方のそれは後尖当腹の中央を貫い ており,このため逆流阻止が不完全であったo

auOv pmAs

術前 肉鎖不全 術后 第11図 後尖を前上方に挙上する方法施行 動物実験(犬)例に於ける左心房 圧曲線の変化 第4節:小野並びに考按 後尖挙上法で効果のなかった症例を検討した結 果,逆流阻止が不十分であったと老えられた。そ こで,1954年5月以来,徹底的に後尖を挙.Eする 方法を考案し,動物実験を行った。 実験にあたり,挿入静脈一絹糸片の運命に関し ては長期観察をしなかった。しかし,逆流阻止に 関しては単に後尖を拳上する方法より更に効果的 であると思われる。問題は後置下を通した静脈一 絹糸片を心臓の右側に緊張するので,後押は著し く前上:方に引き上げられるため,逆流の程度や弁 尖,特に前尖の可動性等の障害の程度によって は,単に後門を挙上する方法に比べて術後狭窄を 起す可能性が多いように思われる。 第3章:線維輪2縫縮する方法 第1節:原理 後尖を挙上する方法を後述するごとく臨床例に 施行して効果を収めているものと,狭窄症状を現 わしたもの,或はその傾向を現わして結果が不変 または悪化を示す症例があるのでその原因を更に 検討した。 叢.,、.ノ

ー鰭膿

赫張期 牧縮期

第12図健康僧帽弁三二型図

僧帽弁は貝殻のように2枚の弁膜が開閉するの ではなく,模型的に画くと図12のごとく角型を している。前触には余裕があるので或程度までの 前後尖の短縮では逆流は起らない。この度を超え ると逆流を生ずるのである。主に弁口の中央部に 逆流があれば後尖挙上法が逆流阻止の効巣を示 す。しかし後方または前:方に逆流がある時に1ま挙 上法で逆流を止めようとすると余程搾めなければ ならず,斯くする時には狭窄を起す危険を生ず る(図13)。仮りに(3)図のように線維輪を縫 縮することが出来れば逆流を止めて,しかも狭窄 は殆んど起らないことが判った。そこで著者らは 逆流のある部分のみ線維輪を縫縮する:方法を考案 した。 (igllij) ノ沢_一ノ (2) (3) .tf”tf’ (1) 第13図 線維輪を縫縮する方法の原理 (1)のような閉鎖不全に対し, 〔2)のように後下挙上法を行うと狭窄が起る可能性 があるが線維輪を縮める, 〔3)の方法では起らぬ。

第2節:実験方法

第1項:縫縮に使用するもの 縫縮にはポリエチレンチューブ(以下チューブと略 す)に銀線を通したもの,これを更に自家静脈片(術 前,大腿静脈約8c;n切除し内外に醗転)で被覆した もの,及びチューブに太い絹糸を通したものを使用し た。又固定用ボタンは径2.・0×1.5mm厚さ0.・2・mmの メチルメタアクリレ4b合成樹脂(以下アクリルと略 す)で作ったものを使用した。先ずチューブの中央に 筋肉片を通し,次にボタンをつける。更に両端に消息 子をつける。 第2項:術式 前述の方法にて作成した僧不全犬に対して本法を施 行した。心臓内に指を挿入するところまでは前述の方 法の場合と全く同一である。 左冠動脈に近いところで,最も逆流の強い部分の左 心室側壁の血管の少いところを選び心筋内に一方の消 息子を刺入する。左心房より左心室内に挿入した指で 触診しつつ,消息子を,心筋内を心膜直下に近いとこ ろを通し右心室の方向に向う。左冠動脈後下行枝の下 を通りこれを損傷しないように右心室に達し血管の少 いところを選んで表面に突き出す。これに筋肉片を通 し,更にボタンを通し,逆流の止まる程度に緊張させ て心壁に固定する。固定を確実にするために他端につ

一4U一

(10)

as けた消息子を同じようにして心筋内を縫い,筋肉片と ボタンを通すが,それ程緊めずに心畷に固定する。こ の場合後方のものが逆流を止めるのに役、Zつのであ る。指で触診していると逆流が極めて細くなるか,消 失するのが判った。ボダンの固定にあたり,左冠動脈 は勿論その分枝を圧迫或いは損傷しないように充分注 意した。手術が終了したところは図14.15の如くで ある。

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第14図 線維輪を縫縮する方法 第5表

睡聖醐1羅離鰐蓉難聴死

騨勃脈 (A 更別陣 首聯彼 右’ド耳 却身 (B)

隙色

後下存瓶 左壇皇 第15図 線維輪を縫縮する方法の固定位置と 心臓血管との関係 術後リンゲル氏液乃至5%ブドウ糖液により補液 を,叉水性或いは油性ペニシリンの筋肉内注射を行っ た。爾,手術操作は凡て無菌的に行った。 第3節:実験成績 成犬18匹について本法を施行した(表5)。この 中5例にチュ 一一ブに銀線を通したもの,9例にこ No. 毛δ一 511 52 53 54 55 57 ss 線維輪を縫縮する方法施行動物実験(犬)例 因 隊+銀 ポ+銀 ポ+銀 ポ+銀+自静 ポ+銀+自静 ポ+銀+白静 1 ’@Fr.@T.,.f@1

・・銀 l

I・+銀・

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1 1不.Q l 良 良 良 良 不明 良 3061ポ+銀+自静i良好 ,。,1。.銀.自静 310 311 312 320 321 322 323 324 ポ+銀+自静 ポ+銀+自静 ポ+銀+白静 ポ+銀 ポ+絹糸 ポ+絹糸 ポ+絹糸 ポ+絹糸 奥 戸 臭 良好 良好 良好 良好 臭 不良 不 明 7 14 1 1 18 0 370 2 303 7 22 1 37 10 屠 殺 屠 殺 心 衰 弱 心 衰 弱 膿 胸 心室細動 屠 殺 肺 炎 屠 殺 肺炎,膿胸 膿 胸 心 衰 弱 屠 ∬i魔 34 i Fd− 3 消市 1 ト出 55 餓 殺 胸 殺 炎 血 死 備 考, チューブの固定不良のためボタンがゆるむ 心筋内操作中心細動を発生死亡 註ポ:ポリエチVンチューブ 銀:銀線(径0.4mm) 餓死寸前のため屠殺 l I チュ ・一ブが心室内に入ったため挿入部より・ 出血多量,翌日死亡 絹糸が操作中にチューブより抜ける,.よつ1 .て2ユ.二三乙の魯で鋒縮せるたφ固定不充分.! 臼静:自家静脈片 一412一

(11)

れを更に自家醗転静脈片で被覆したものを,また 4例にチ,一ブに太い絹糸を通したものを使用し た。 1例は心筋内の操作巾突然心室細動を発生し, 心臓マッサージ,電気ショックを施行するも恢復 せず死亡した。この例に就いては逆流阻止効果の 判定,術後狭窄の合併の有無等は不明である。逆 流阻止効果の不良であったものが2例あった。そ の1例は7日目に屠殺,剖検にてチューブの固定 が不良であったためか,ボタンがゆるんでおり縫 縮の効果を認めなかった。他の1例は55日目栄養 不良で餓死したが,チューブ内挿入絹糸の固定が 不十分であったため心筋内操作終了直後,それを 緊張しようとした際に絹糸が抜け,止むなくチュ ーブのみで縫縮したもので,これも明らかに逆流 阻止は不良と断定した。2例共術後の狭窄の合併 は認められなかった。 以上の3例を除いた15例のうち4例は手術の 翌日死亡した。その3例は心衰弱が死因であると 判断した。1例は心筋内操作中戸って消息子の一 部が心室内に入ったため,チューブ挿入部より多 :量の出血をみた。術後直ちに補液を行い状態の恢 復後閉庁したが翌日死亡した。 6例は術後夫々2日,3日,7日,10日,18日 及び22日と生存したが,何れも肺炎,膿胸等で死 亡した。 5例は術後夫々14日,34日,37日,303日及び 360日目に屠殺した。 一v・一w一一一v一・ny一一・v−y..,...ny ノ

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第1項:心内圧(左心房圧)の変化 逆流阻rFの効果の判定は左心房圧曲線を噴接穿 刺にてエレクトロマノメーターにて測定描写し た。術前認められていた左心房の逆流波は明らか に減少乃至は消失し,正常形を示しているのを認 めた(図16)。 第2項:心電図の変化 本法の施行にあたっては心室壁のボタン固定, また心筋内操作を行うという意味から心筋障害が 大いに考えられる。そこで心電図の変化を観察し た(図17,18)。 ら 術前 直佑 f l s “ 1 ∫鞠{「「y・e『脚 二 ilダ航1乳:曙 n .“S 一... v t へげ ん ・ ㌧i’ノ≦ぎ唖凄

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4%ua’v”vxvvv・一一一vv’N・一xM.“rv. 第16図 線維輪を縫縮する方法施行動物実験 (犬)例に於ける左心房圧曲線の変化 これら15例はすべて術後狭窄の合併は認められ なかった。 一一 418 一

瓢17図

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第18図

線維輪を縫縮する方法施行動物実験(犬)例 に於ける心電図変化。

(12)

gg 手術終了直後より側壁高位の心筋障害を思わせ るSTの上昇がn:, IH,,.VFに,あるいはSTの

下降がaVL,aVFに,またaVFに冠性T乃至II

。VFに陰性T等の所謂冠不全の所見が急激に起 る。しかし,かかる冠不全を思わせる所見も2乃 至3日後には消失し,ただaVR, VFにTの陰性 化のみの変化が残存する所見を認めた。これも日 時を経るに従い漸次減退の傾向をとってゆくのを 認めた。 不整脈,Qの変化等は殆んど認められなかっ た(表6)。 第6表 線維輪を縫縮する方法施行による 心電図の変化(1) 動物実験(犬)例 これにより隔てられているのが認められた(図 20)。肺,肝,脾,及び腎臓等には異常が認めら れなかった。 第19図 No.312.37日目屠殺例 ポリエチVンチュ Ptブ挿入部心筋の変化 チ入 ユ部 1の ブー 挿部 術 術

前 後 ST下降.

冠性T

陰性T

病的Ql

不整脈

・T上昇叶 ’・一・一 十 閣 後 十 一1十 1 十 1 日 目 3 日 目 十 十 十 10 日 目 十 第3項:組織学的所見 本法は心筋内にチューブを通すため,.これによ る心筋の変化を組織学的に検討した。術後2日同 より最長370日迄の変化を観察した。 術後2日ではチュ 一一ブ挿入部の周囲の広範囲に 心筋変性乃至白血球の浸潤が著明に認められた。 7日乃至14日と経過したものでは,心筋変性乃 至壊死の変化は漸次その範囲を狭めてゆく傾向を 示している所見が認められた。しかし周囲組織の 中性嗜好性白血球の浸潤はなほかなり強い変化を 示していた。 40日目頃より心筋変性,壊死等の変化は大体処 理され,残った心筋炎が脱落巣の中に島状に認め られた。周囲組織の白.血i球浸潤は,まだかなり広 範にわたっているが,線維芽細胞の増加があり, 一部では疲痕形成の傾向を示しているのが認めら れた(図19)。 370日を経過したものでは殆んど心筋変性,壊 死等の変化は認められず,チューブは周囲の心筋 との間に結合組織の破包(カプセル)が形成され, 轟が 第120図 No.57. W. 370目屠殺例 ポリエチVンチュ・一一ブ挿入部心筋の変化 チ入 ユ部 】の プー 乙部

e

第4節:小括並びに老按 臨床編で述べるごとく後尖挙上法を臨床例に施 行しその効果を検討した結果,挙上法では逆流が 弁口の中央部に存する場合に効果があり,交連部 附近の逆流に対しては逆流を阻止しようとする と,健全な部分まで冷めるようになり,狭窄を起 す恐れがあることが判った。そこで,1954年10 月以来,逆流のある部位だけの線維輪を縫縮する 方法を考案し,動物実験を行った。 本法の原理は,後尖挙上法のように,雛尖に対 して直接処置を行い逆流を阻止するのではなく, 逆流のある部位だけの心筋内に通したチュ・’一ブを 緊張させることにより,線維輪を縫縮し,前後両 雛尖の接着を行わせて逆流を阻止しようとしたも のである。 吾々は犬を用いて僧不全を作り,これに本法を 施行した結果,逆流が減少あるいは消失するのを 認めた。 縫縮にはチューブに銀線または太い絹糸を通し 一 414 一

(13)

たもの,更に,これに自家翻転静脈片を被覆した ものを用いた。固定にはメチルメタアクリレイト 合成樹脂で作ったボタンを使用した。 エ947年Hufnagel 27)は各種:合成樹脂を.由L管内 に挿入し,その経過を観察した結果,アクリル合 成樹脂が最も良かったことを報告し,教室の長谷 も28),アクリルやポリエチレン合成樹脂は純粋の ものであれば生体組織の刺激性がないと報告して いる。 成犬18匹に施行し,:最長370冒間観察した。心 筋内にチ。。・・一ブを通すため,心電図弓術直後より 側壁高位の心筋障害を思わせる特徴あるSTの変 化が認められたが,3日目迄には消失し,以後は 全i誘導にST, Tの変化が存続するのを認めた。 チューブ挿入部の心筋の変化は,醗転静脈片で 被覆したものでも,単にチ=.・一ブのみのもので も,30∼40日経過した頃より心筋変性,壊死等 の変化はおよそ処理され,チューブは周囲の心筋 との間に結合組織の被包が形成され,これによっ て隔てられている所見を認めた。従って縫縮に使 用するチューブは,特に静脈片にて被覆する必要 はないものと思われる○ チューブに通すものとして,銀線あるいは太い 絹糸を用いたが,銀線を通しkものは,縫縮の際 チ= ・一ブを緊張させることにより,挿入部の心筋 を損傷することがあり,更に,心壁に固定する際 困難がある。絹糸を通したものでは斯様なことは 比較的少ないが,二審固定後,縫縮が緩む恐れが あるように思われる。しかし,両者の闇には特に 大きな差異は認められないように思うが,今・後な わ一考を要する。 第2編:臨床編 第1章:緒言 吾々は第1編の実験成績によって,吾々の創案 した3つの方法を臨床例に応用した。 後尖を挙上させる方法を棚1原第1法とし,後尖 挙上術と仮称して15例に,後尖を前方に挙上させ る方法を榊原第・2法とし8例に,更に線維輪を縫 縮する方法を榊原第3法とし,選択的に逆流のあ る部位の線維輪を縫縮することが出来るところが ら,これを選択的線維輪縫縮術と仮称して26例に 実施した。 以下,症例及びその遠隔成績,夏に手術的立場 より検討を加えたので報告する。 なお,1957年9月30日迄に榊原外科教室並びに 心臓tiJl圧研究所において実施した僧帽弁閉鎖不全 症の手術症例は73例で,各術式別は表7のごとく である。 第7表 僧帽弁閉鎖不全症各術式別 手術施行全症例

柵 回 心 卵 民 心 直 そ 式 tl rl 膜 円 尖 房 視 第 第 2 第 3 片 挿 孔 作 縫 合 縫 縮 下 手 の 計

、法}

入 成 法 法 衛 術 術 術 術 他 症 例 数 15 8 26 2 2 3 2 12 3 73 第2章:榊原第1法(後尖挙上術)施行臨床例 第1飾:症例及びその遠隔成績 榊原第1法(後尖挙上術)を施行した症例が15 例ある(表8)。男子・7例女子8例,年齢は20∼ 30歳にわたっている。手術による直接死亡例はな い。3例(20%)の晩期死をみた。そのうち2例 は退院後数カ月を経て死亡しナこという報せを受け たのみで,その原因等詳細は不明である。1例は 術後より原因不明の高熱が持続し敗血症の疑いの 下に諸検査を施行したが不明のまま遂に術後3月 で死亡した。 以上の3例を除いたユ2例について,その遠隔成 績(1957年12月末現在)を検討してみると,最高 は術後4年4カ月,最低術後2年4カ月であるQそ の中明らかに術前より自覚症状がよくなったとい う訴えをしたものを「優」とすると3例(20%), ややよくなったという訴えをしたものを「良」と すると4例(27%),はっきりしないという訴え をしたものを「可」とすると2例(13%),少し も良くならないという訴えをしたものを「:不可」 とすると1例,手術をしたが変りがないという訴 えのものを「不変」とすると1例,及び手術をし てかえって悪くなったという訴えをしたものを 「悪化」とすると1例である。 一一 4/.5 一

(14)

90

第8以下榊原第1法(後尖挙上術)施行臨床例

無性1年令謙新’.直3∵貢調繍腿奮論

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以上のうち「優」群に属するものは殆んど普通 の人と変りない生活をしている。「良」群に属す るものも殆んど普通と変りない程度の生活をして いる。「可」及び「不変」群に属するものは運動や 仕事は無理な状態で,所謂寝たり起きたりという 生活をしている。 第2節:逆流阻止効果 静脈一絹糸片挿入により狭窄を作らず,完全に 逆流を阻止しえた症例が1例ある。前方交連部附 近のものは消失したが,後方のものは旧く少量乃 至線状に残留した症例が3例あり,他はすべて, 術前の逆流の程度のi/3∼%に減少したのを認めて いるが,その程度は,夫々の症例によって異なっ ている。しかし,概して逆流阻止効果は良好とい える。 図21は,後尖挙上術施行臨床例No.14内0例 の術前後の左心房圧の変化をエレクトロマノメー ターにて描写記録しtものである。術前に見られ

る逆流波V波は術後消失し,圧も42mmHg(中

間笹)のものが30mmH9に下し降している。 第3節:手術的立揚よりの検討 表9のごとく,術後の経過が良好で遠隔成績が 「優」及び「良」に属する症例は7例(47%)あ る。このうち術前狭窄を認めちれたものが3例 一416一

(15)

一一一“一一一一〇p V.vA..JVVT」’X

二二

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第21図

一一一一一十一一一一一“一一.

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3z∼22聯駅3・・噂) 榊原第1法(後尖挙上術)施行臨床例に於 ける左心房圧曲線の変化No.14内○例 (43%)あったが,何れも狭窄は軽度であった。逆 流の部位は弁口全長にわたって触知されたもの4 例(57%),単に後方交連部附近にのみ触知され たものが3例(48%)あった。 手術効果が悪く,遠隔成績が「可」に属する2 例では,何れも術前に狭窄を認め1例は極めて狭 窄が強かった。逆流の部位は1例は後方にのみ強 く,他の1例は全長にわたっていたが主に後方に 強い逆流を触診した。 「不可」乃至「悪化」に属する症例は3例で,何 れも狭窄は認められなかったが逆流は何れも全長 にわたって触知され,1例は前方及び後方に著し く2例は中央部から後方に強い逆流を触知した。 術後「死亡」した3例(何れも晩期死)につい て見ると,術前狭窄の認められ71ものが2例で, 逆流は全長にわたって触知きれたもの1例,前方 にのみ強く触知されたもの1例,後方にのみ触知 されたもの1例であった。 狭窄を合併した症例はすべて交連切開術施行後 本法を施行した。 第4節:小品並びに考按 第 9 表 榊原第1法(後尖挙上術)施行臨床例の手術的立場よりの検討 逆 流 部 位 L

平均して撫椙

魚田の・つた・聯漁離の一

丁 窄 1狭 窄 狭 窄 狭 窄 (+) i (一) 1 (“) 1 (一) 死 亡 (但し晩期死) 全 長

狭窄 狭窄

(+) ii (一) 2 1

主に中央部に強い

1 G

主・・働輪方確・冒

1 1 3

後方∼前方交連部附近のみ〕 2

t 1 1 1 1 計 7 5 3 臨床例15例に後尖挙上術を施行した。47%で効 果を収めている◎しかし,遠隔成績が「不可」乃 至「悪化」した症例(33%)がある。これらを更 に検討すると,明らかに狭窄症状を起したもの, あるいはその傾向にあるものが判った。即ち,逆 流が主に前方または後方交連部附近にある場合, 更にこれにかなり強い狭窄を伴なっているような 場合には,後尖逆流を止める程に拳上すると狭窄 を起す恐れがあることを知った。しかしこのよう な場合でも,前尖の可動性が問題であり,弁尖の 変化が%以上に及ばない限り,本法はその効巣を 期待出来るものと思われる55。 第2章;榊原第2法施行臨床例 第1節:症例及びその遠隔成績 榊原第2法を施行した症例が8例ある。男子5 例,女子3例,年齢は19∼28歳にわたっている。 表10のごとく7例(88%)の死亡をみた。こ のうちNo. 5中○例は,術中多量の出1血を来たし 心衰弱のため死亡した。No.3中○例は,手術は 順調に経過し逆流も極めて少量を残すだけの効果 をえたが,術直後より胸腔内留置ドレーンよりの 出血量が極めて多く,よって再開胸を行い出1血部 位を探索し,完全に止血を行ったが,出一極による シヨツクの為か,3日目心衰弱を来たし死亡した, No.2土○例は,術後9ヵ月を経て当内科入院中, 心不全と共に肺水腫を惹起死亡(晩期死)した。 一’?467 一

(16)

92.

第10表 樋原第2法施行臨床例

No. 1 2 3 4 5 6 7 8 姓名 丁年令一・一1

1.逆調位

・前方申央後方 ト 1 山σ ♂ 土○ 中○ 朝○ 中○ 新○ 外○

小O

9− 6・

8

9

9

19 17 26 28 19 19

8122

s12i

十・ 十 十 十 十 十 卦 十 十 十 十 十 ・十 僧 帽 弁 所 見

「舗鹸L後

駆尖可動性良好 腱索後方異常なし前方やや 内側寄り + 前尖短縮 十 昔 十 十 十 十 前尖可動性欠如 弁口1.1cm→2.4cm 弁口小 弁尖可動性良 弁腱索異常なし 後方交連部拡大した感じ 弁証可動性良好 即下異常なし 十 十 十 十 前方消失 後方線状残

沙燃残

少量残

少量残

不 明

線状残

減 少 消 失 死 刑 死 生 死 死 死 死

砥:翻遠望績

不明 発熱 心不全 肺水腫 後出血 (再雪術. 1カ 月 9カ 月 3貝 出血 不明 発熱 不明 発熱 ’不明 術申 1カ 月 発熱[ 14日 29目 晩期死

馬鱗年

No.1山○例, No.6新○例, No.7外○例及び No. 8小○例は,何れも早いもので,10日前後, 遅いもので,・2週聞を経て,原因不明の高熱(38。 ∼39。C前後)が持続し,漸次衰弱し死亡した。 本法施行唯一の生存側であるNo.4朝○例は, 術後の経過極めて良好である。術後3年5カ月を 経た現在,普通の人と全く変りない生活をしてい る。 第2節:逆流阻止効=果 榊原第:念法施行による逆流阻止効果は,術中死 亡した1例を除いて3例は殆んど消失,他の4例 も極めて減少せしめることが出来た。図盟は榊原 第2法施行臨床例No.2土○例の術前後の左心房 圧の変化をエレクトロマノメ一旦ーにて描写記録 したものである。術前に見られる逆流波は消失 し,心房圧も下降している。手術による術後狭窄 の合併は触診上認められなかった。 第3節:小括並びに考按 本法を8例の臨床例に応用した。その結果7例 (88%)の死亡をみた。手術直後の経過は極めて 順調で,逆流阻止の効果も第1法に比べ良好であ ったが,原因不明の高熱が持続し,衰弱して死亡 するものが相次いで4例に及んだ。よって本法は 廃止した。著効を示した1例はすべて症状が軽快 し,激務に堪えている。 』杵一一一一一一一→」一一一一一哺 一一一r齢一一一一一一一一一一一一 40. 30.

術 葡

40 30 20 術 後 第22図 榊原第2法施行臨床例に於ける 左心房圧曲線の変化。. No.2土○例 第3章:榊原第3法(選択的線維輪縫縮術)

施行臨床例

第1節:症例及びその遠隔成績 選択線維輪縫縮術を施行した症例は;現在まで 26例ある(表11)。男子10例,女子16例,㌧=牢齢 は13∼39歳にわたっている。 その中10例(38%)の死亡を見た。しがし手 術による直接死亡はない。2例の晩期死(術後4 ∼10ヵ月)があるが,何れも1退院後で1唯死亡の 一418一

(17)

第11表榊原第3法(選択的線維輪縫縮術)施行臨床例「

幽性懲鵜i

僧 帽 弁 所 見

識蕪ト国隔

÷i紫;茎四 ”一秩f1’2Vl1 3大○♀31

7鮫Ol軍39

5林○♂28 6立○♀30 一. 1“; V一 lt

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8池○ 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 吉○ 岡○ 李○ 飯○ 立○ 承○ 原一 田○ 江Ol 佐○ 伊○♂ 申OI♀ 平○♂

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H

十 什 十 甘 弁口小 袖 十 十

1

一”一’P 前尖可動性良

漏壷鑑f弓台土

弁尖可動性良 弁口小 + 鮪節組割性良好 一事万腱索や」艶月華厚 一一 弁口小 + 弁口小 + 弁口1.6cm→2.6cm 十前方交連部癒合

翻蓋繍鵜30cm・

後方面前短縮強い 今時可動性良 十 弁口小 + 弁尖可動性良 弁口小 + +1弁口小

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+ 弁口小

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陶術後 一一… x8ヵ月 「 愈て学院・二一1 :化術後7ヵ月 註: ポ:ポリエチレンチューブ 銀:銀線 通知を受けたのみで,原因,病状等詳細は不明で ある。1例は肺=炎にて術後54日目に死亡した。ま た,術後15∼72時間で心衰弱にて死亡したもの が3例ある。術後2塒間に急性肺水腫を併発し死 亡レたも.のが.1例ある。、 .術後25日,47.日及び20日目に心不全で死亡し 静:自家静脈湿 たものが3例あり,特に後者1例は脳栓塞を併発 した。 以上の五三を除いた15例について,その遠隔 成績(1例は不明のため除外,1957年工2月末現 在)を検討すると,最高は術後3年1ヵ月,・最低 術後7カ月である。このうち「優」に属するもの1 一, 419 一

(18)

94 例(7%),「良」に属するもの9例(60%),「可」 に属するもの3例(20%),「不可」に属するもの 1例,「悪化」したもの1例である。 第2節:逆流阻止効果及び心電図所見 縫縮にはチューブに銀線または太い絹糸を通し たものに,更にこれを翻転自家大伏在静脈片で被 覆したものを使用した例が14例,静脈片の代りに 心膜片を使用した例が1例,単にチューブに銀線 を通したものを使用した例が2心ある。最近の9 例はチューブに太い絹糸を通したものを使用し た。 これらのものを使って本法を施行し,逆流が完 全に消失乃至細く少量残存した症例が13例(50 %),他の13例(50 %)は,すべて術前の逆流の 程度に比べて,その1/3∼%に減少したのを認め た。しかし,その程度はそれぞれ症例によって異 なっているが,概して逆流阻止効果は良好といえ る。

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BD〃P吻 9P97・吻 第23図 榊原第3法(選択的線維輪縫縮術) 施行臨床例に於ける左心房圧曲線の 変化 No.3.大○例

証 前 桁 修

t−vif.XX....x’v....・.一v..,・」 4㌻∼3y・吻で3〃厭惚ノ 23へ!”捌吻θみ・吻♪ 第24図 榊原第3法(選択的線維輪縫縮術) 施行臨床例に於ける左心房圧曲線の 変化 No.10.岡○例

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第25図

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第26図

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榊原第3法(選択的線維輪縫縮術)施行臨床例 に於ける心電図の変化 No.1.城○例 図23は,本法施行臨床例No.3大○例,図24 はNo.10岡○例の術前後の左心房圧の変化を,エ レクトロマノメーターにて記録描写したものであ る。共に,術前に見られる逆流波V波は消失し,

圧醐㎜Hg(中間値)が8 mmHg lc,30㎜Hg

が18mmH9に下降している。

図25,26は,臨床例No.1城○例の術前及び術 後24時間,3日,7日,15日,27日,45日目の心 一 420 一

(19)

電図の変化である。術直後より動物実験に見られ たごとく,著明のST上昇,冠性Tの変化が出現 しているが,凡そ3日目迄に消失し以後はSTの 下降が持続している所見を認める。他の症例もこ れとほぼ同様の変化及び経過を認めた(表12)。 第12表榊原第3法(選択的線維輪縫縮術) 施行による心電図の変化(1[() 臨床例No.1.城○例

ST上昇

ST下降

冠性丁

病的Q

術 前

不as脈1−

i 1 日 目 十 一lt 3 日 目 甘 十ト 7 日 目 十 15 日 目 十 27 1 45

L

日 目 十 日 目 十 第3節:手術的立場より検討 臨床例を手術野立揚より検討すると,表13のご とく,術後の経過が良好で,遠隔威績が「優」及 び「良」に属する症例は10例ある。このうち,術 前狭窄を触診したものが6例(60%)で,これ等 は何れも軽度のものであった。 逆流の部位は,弁口全長にわたって触知された もの4例(40%),単に前方∼後方交連部附近に のみ触知されたものが5例(50%)あった。弁口

全長にわたって逆流を触知した4例のうち3例

(75%)は,主に後方交連部附近に強い逆流を触 知した。 手術の効果が悪く,遠隔成績が「可」に属する 3例では,うち2例術前狭窄を認めず,逆流部位 は全長にわたり触知され,1例は主に後方交連附 近に著明であった。1例は狭窄を触診し,後方交 連部附近にのみ逆流を触知した。 第13表 榊原第3法(選択的線維輪縫縮術)施行臨床例の手術的立場よりの検討 (但し効果不明1例,晩期死3例を除く) 逆 流 部 位

搬のあっ。もの腰果の悪い、の

亡:

狭窄 狭窄 狭窄 狭窄 狭窄 狭窄

(+) (一) (+) (一) (+) (一) 全 長

平均して強い

1

主に申央部に強い

1 ユ 4 主に後方∼前方に強い 3 1 ユ 2

後方揃方交連部璽近のみ13

2 2 1 計 10 5 7 「不可」∼「悪化」に属する2例では,いずれも 術前狭窄を触診し,1例は全長にわたり逆流を触 知したが,主に後方に強く,他の1例は後方交連 部附近にのみ著明であった。 以上の検討から遠隔成績不明の1例は除外し た。 ・術後「死亡」をみた症例10回目,晩期死3例 はこの検討から除外し,7例についてみると,術 術前狭窄を合併したものが6例(86%)で,すべ て逆流が弁口全長にわたって触知された。このう ち,主に弁口中央部に著しかったもの4例(67%) 主に後方交連部附近に著しかったもの2例(33%) である。いずれも,心衰弱,肺水腫,脳栓塞等が 原因で死亡した。 他の1例は,狭窄は認められず,逆流部位は後 方交連部附近にのみ触知されたが,心衰弱にて死 亡した。 第4節二小智並びに考按 26例の臨床例に選択的線維輪縫縮術を施行し た。そのうち手術効,果を収めたものは46%であ る。手術効果の判然としないものが5例(23%) あり,死亡例(晩期死3例を除く)は約31%であ る。 手術効果の悪かった例及び死亡例を更に検討す るに,明らかに術前狭窄を合併していたものは成 績が悪い。特に狭窄を合併し,且つ逆流が主に弁 一421一

(20)

96 口中央部に触知され症例4例が何れも死亡したこ とから,前述した本法の原理から考え,本法は逆 流が前方∼後方後連部附近にある症例に対して行 うべきものと考えられる。 1954年Kay, Crossら24)29),及びBorrie50) の発表した術式は,本法と逆流を阻止させようと する根本理念が一致している。即ちKay, Cross らの術式は,心臓外部から逆流の存在する部位の 線維輪に直接絹糸を通し,これを緊張し,心室壁 に固定する方法で,4沁め患者に施行し1例の死 亡をみたと報告している。またBorrleの術式は, 線維輪の周囲に沿って絹糸を通し,それを緊張 し,結紮することにより線維輪を縫縮する方法 で,未だ実験的段階であるが,臨床的には,特に 僧帽弁線維輪の拡大している症例に対してこの方 法は試みられるべきであると推断したと述べてい る。 選択的線維輪縫縮術は,閉鎖不全兼狭窄でしか も狭窄が著しい場合,弁尖の可動性が欠如してい る振合等に対しては,なお一考を要する。 全編の総括並びに考按 憎帽弁閉鎖不全の手術は,数人の人々により各 自の創案になる術式が発表されているが,結局は 各報告者それぞれの威績であって,追試も少な く,未だ決定的な手術術式が確立されていない現 状である。 吾々も,吾々独自の方法を創案,実施しだ。手 術時の僧帽弁触診所見や,心臓鏡による襯察か ら,弁の運動は2つの段階によって閉鎖される。 閉鎖不全の盛合には,第2段の運動が起らず,こ の揚合,逆流の所で指先を後尖側から約3mm程 度突出させると第2段の運動がはっきり現われる ことを知った。そこで後尖を前上:方に挙上させる :方法を考案した。後年の挙上は,前尖の弁機能に 支障がない限り弁mの大きさに影響を与えず,従 って狭窄を生じない。 後尖を挙上するに用いるものとしては,松田の 実験報告で醗転静脈片が最もよいことを確認し た。 術式は,後鼻腱索下に静脈一絹糸片を挿入緊張 して心室前後壁に固定するのである。挿入した静 脈一絹糸片が,線維化し,萎縮すればする程,益 々手術効果が挙る結果となり,Bailyらの術式 のごとく,将来弁作用が消失するような心配がな い。 そこで,15匹の成犬を用い,先ず実験的僧帽弁 閉鎖不金犬を作成し,これに対し本法を施行し た。最長250日迄観察し,逆流阻止効果は良好で あった。左心房圧曲線で逆流が消失∼減少してい るのを認めた。よって15例の臨床例に応用した。 本法を榊原第1法とし,後々挙上術と名付けた。 術後経過良好なもの4・7 %,悪いもの33%,晩期 死20%という結果をみナこ。 第1法で逆流が止まらぬものに,後尖の両側交 連部附近でこれを貫通,静脈一絹糸片の一端は心 房中隔を貫通して右心房から右心耳に出し,他端 は左心耳に出し,これを更に肺動脈と大動脈との 聞を通して右心側に出し,両端を結び合わせるこ とにより,一層後極を前上方に挙上する方法を考 案した。 5匹の成犬で,先ず実験的僧帽弁不全犬作成後 本法を施行した。挿入静脈片の運命に関しては長 期朝煙を成し得なかったが,逆流阻止効果は極め て良好であった。しかし,第1法に比べて,本法 は狭窄を作る可能性が多いように思われた。これ を8例の臨床例に応用しナこ。本法を榊原第2法と した。術直後の経過は極めて良好で,逆流阻止効 果も良好,しかし原因不明の高熱で死亡するもの が相次ぎその原因が判然とせぬため,本法は廃止 した。 第1法施嘉例のうちには閉鎖不全は止まった が,狭窄症状を起して悪化したものがある。種々 検討してみると,逆流が主に弁口中央部附近にあ る場合には効果があるが,主に前方或いは後方交 連部附近にある揚合には,後渡を逆流を止める程 度に挙上させると,狭窄を起す恐れがあることを 知った。 そこで,かかる症例には,弁膜の附着している 線維輪を逆流のある部分で縫縮める方法を考案し た。 術式は,逆流の主に存する部位の線維輪を縫っ てポリエチレンチューブに絹糸または銀線を通し たものを刺入し,緊張し両端をボタンで心室壁に 固定するものである。 18匹の成犬を用い,実験的閉鎖不全犬作成後, 本法を施行した。最長370日迄観察,逆流阻止は 良好な効果を認めた。心電図上,実験直後より側 壁高位の心筋障害を息わせる特徴あるSTの上昇 一422一

参照

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