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原子炉異常診断装置の開発─ルースパーツモニタ─

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Academic year: 2021

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∪.D.C.d21.039.53る:534.8臥087.9

原子炉異常診断装置の開発

-ルースパーツモニター

DevelopmentofLoosePartsDiagnosticSYStem

PressureVessel-Loose

Parts

Monitor一

原子炉内の金属異物は炉内構造物と衝突し,機器に損傷を与える可能性があるo USNRCは,金属異物の監視装置の設置を勧告している。各国ではこの勧告を受け, 装置の開発を行なってきたが,金属異物の衝突位置を精度よく標定するには至って いない。そこで原子炉などの複雑な形状の構造物での未知音源位置を精度よく標定 する手法を開発した。その手法は,RPV表面に格子状に設置した複数の参照点にあ らかじめ衝撃を与え,このときの音響信号と未知音源からの音響信号とを比較し, その類似性から未知音源位置を標志する。この手法は確性試験の結果,参照点間距

維(確性試験では1m間隔で実施)の÷∼÷の精度で位置標走できることを確認した0

本間発は,通商産業省補助事業「原子力発電支援システム開発+の一環として行な ったものである。

ll

言 発電用原子炉冷却系内に金属異物が存在すると,それが冷 却水の流動により移動し,各種構造物に接触して損傷を与え る可能性があり,そのような例が報告されている1)。プラント の信頼性確保には,異物の有無をプラント運転中8こ常時監視 することが望ましく,USNRC(米国原子力規制委員会)は異物

を監視するためのLPM(Loose Parts Monitor:原子炉異常 診断装置)の設置を勧告している2)。この勧告に沿って,米国, 西ドイツ,フランスのほか国内でも開発が進行している3ト5)。 冷却系内の金属異物は,流れに伴って移動し圧力容器壁な どと衝突して発生する衝撃音により検知できる。LPMは圧力 容器や配管などの外壁に音響検出器を取り付けて,異物の衝 突音をモニタする方法を抹る。しかし,原子炉では異物の衝 突以外に冷却水の流動,制御棒などの動作,ポンプの回転な ど種々の原因で音が発生する。これらの音と異物の衝突音を, どのようにして確実に区別し誤検出をなくすかがLPM開発の 課題である。また,衝撃音を検知した場合の位置標走は,異 物の存在位置を知る上で重要であると同時に,機器動作時の 衝撃音と異物の衝撃音を区別するためにも必要である。原子 炉圧力容書芸外から衝撃音源位置を標定する方法に関Lては, 国内外で開発が進められているが,炉内構造物を含む複雑な 形状の系に対し,高精度で標走することは極めて難Lく実用 化されていない。これに対しH立グループは,実用炉での各 種音響雑音や電気雑音,及び衛撃音の伝搬特性のデータを採 取・解析し,雑音除去法や音源位置標定法を開発した。以下、 衝撃音の検出法,位置標走法及びそれを適用したLPMの構成 と確性試験結果について報告する。

衝撃音の検出法と位置標定法6ト8)

原子炉内で金属同士の衝突による衝撃音は一過性の音であ り,音響検出器で検出した出力信号は,数十ミリ秒から100ミ リ秒程度継続するバースト状の波形となる。したがって,出 力信号レベルが設定レベルを超えるか否かを監視すれば衝撃 音を検知できる。課題は設定レベルを下げてどのように検出

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Reactor

中野

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滋** lゞカ由gmた∼′ナ乃7 山元達男*** 血〟O yわ∽〟”7〔ノわ 佐々木正祥* ルわ叫、0∫ゐJS俗〟たぎ 感度を上げ,しかも誤検出を防止するかである。原子炉が通 常の運転状態で発生する雑音には,(1)冷却材の流動,ポンプ 回転などの連続雑音,(2)機器動作時の一過性の衝撃音,更に (3)電気的なスパイク雑乱などがある。このうち(1)の連続雑音 は,沸騰水型原子炉では原子炉出力あるいは再循環流量の増 加とともにレベルが上昇し,定格運転時には最も高レベルな 状態で監視することになる。しかし,連続雑音と衝撃音とは 周波数スペクトルに顕著な違いがあり,フィルタによる周波 数弁別で識別可能である。(2)の機器動作音は,異物衝撃音と ほぼ同一の発生機構に基づくため,その発生位置を標志して 区別する以外に方法はない。(3)の電気雑音は,衝撃音と同様 に一過性の信号であるが,周波数が高いので周波数弁別が有 効である。しかしこれだけでは不十分で,電気雑音による誤 検出は極めて多い。LPMは6∼12個の音響検出器を圧力容器 など外壁に設置するが,電気雑音は,それらの複数の信号線 に同時に発生する。これに対し衝撃音は,音源から各検出器 までの拒絶が異なるため同時には検出されず,通常数ミリ秒 の時間差をもつ。したがって,複数の信号線に0・5ms以内に検 出された信号は,電気雑書とみなして排除することで誤検出 を防止できる。以上に述べた連続雑音及び電気雑書のフィル タによる周波数弁別と電気雑音の同時性判定により,異物の 検出感度に関するUSNRCの要求値井)より5倍以上高い感度 で監視できることを,BWR(BoilingWaterReactor)実機の 音響データにより確認している。次に原子炉圧力容器上の衝 撃位置標走法について述べる。従来アコースティックエミッ ションの分野に三角法と呼ばれる位置標定法があり,LPMに も三角法を適用する試みがある。三角法は,妓体の音速が一 定であることと音の伝搬経路が明確に分かることを前提とし ※)USNRCグ)RegulatoryGuidel,133では,「0・68Jの運動エネルギー をもった異物が衝突して発生する衝撃音を,1m離れた点でSN比を 5以上で検出せよ+としている2)。 * H_立;出作析日立二L場 ** u_、ンニ製作所エネルギー研究所 *** R、ンニュンソニアリング株式会社 85

(2)

1012 日立評論 VOL.67 N。.12い985-12) 書源位置標定の原理 検出器 検出器 ■ 参照音源 参照菖源 ■

\/□

未知ヲ\。

参照音源 ■検出器 参照舌源 参照書源 音源間距離 未知音源 音響デー タ (パターン情報) データ類似性 (パターン距離) 音響デー タ (パターン情報) 図l参照音源を用いた音源位置標定法の原理 未知吉原は,参照 音源との位置関係から求められる!_、 ている0 しかし,原子炉圧力容器は形状が複雑なため,音速 が場所によって異な-),伝搬経路も明確でない。このことは BWR実機で当事者などによf)確認されており7),米国でも三 角法による麻子炉圧力容器の音源位置標定は不可能と結論L た報告がある1)。このため今回,参照音源を利用する方法を開 発Lた0 この方法は図lに示すように,対象構造物に音響検 出器を3個以上設置する。参照音源は格子状に設定L,その 場所にハンマなどで打撃を与え,各検出器で得られる音響到 達時刻のデータを記録する。未知普を検出した場合,未知音 データと参照音データより参照音源から未知音源までの距離 を求め未知音源位置を標定する。未知音源と参照音源との距 離は,それぞれの音響データの類似性から求める。類似性が 強ければ未知音源は参照音源に近く,類似性が乏しければ参 照音源と未知音源は離れていることになる。データの類似度 を定量的に示す指標を定義すれば,参照音源と任意位置との データの類似度の対応関係が事前に求められる。図2はその

▲ 確性試仏師容器 加速度計 (12チャネル) 86 加速度計入力 チャージアン7b (12チャネル) 異常検出部 警報表示 装 置 アナログ 信 号 処王里装置 1.1 1.0 0.9 0.6 0フ た■ 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 1-11.00.90.8 0.8 0.9 1.0 1.1 図2 参照点とその周囲の任意の位置との間の音響データの顆イ以 度マップ ニのマップを計算機に記憶Lておき,例えば,参照点亡と未知 書源の間の音響データの顆イ以度が0・6であったとすれば,未知音源は,図の0.6 の等高線上のいずれかの位置に存在することになる._. 対応関係の例で,参照音源gとのデータの類似度が一定となる 点の軌跡を等高線として表わしたもので,同図中の数値が類 似度を表わす。この等高線マップは検出器と参照点の位置関 係から求められるものである。LPMにより未知音が襖知され, そのデータと参照音源Eのデータの類似度が例えば0.6であっ たとき,未知音源は同図の0.6の等高線上に存在する。このよ うなマップを各参照音ごとに事前に用意することで,等高線 の交点とLて音源位置を標完できる。この方法は,音速や伝 搬経路に関係なく音源位置を標走できることが大きな特徴で ある。またデータの類似度が零に近ければ,その昔は参照点 と同一の音源であり,機器動作時の音を参照音源に組み込む ことで,衝撃音と機器動作音の識別が可能となる。

臣】ルースパーツモニタの構成

今回開発したLPMの構成を図3に,外観を図4に示す。本 装置は異常検出部,位置標定部,入出力装置から構成される。 プ ロ 入出力装置 波 形 ティシタイザ 位置標定部 グラフィック ディスプレイ

三 ̄1

位置標定 装 置

聖+

出力装置 図3 原子炉異常診断装 置のハードウェア構成 原子炉異常診断装置は,異常 検出郡,位置標定部及び周辺 機器から構成されるr、

(3)

原子炉異常診断装置の開発-ルースパーツモニター 1013

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報謂て

議妄

罵器顎鞘

-■. - 8 1 図4 原子炉異常診断装置の夕憾 今回完成Lた原子炉異常診断装置の外 雀見で,左からマイクロコンピュータ, 70リンタ,異常検出装置.位置標定装 置を示す‥ 異常検出部は,RPV(原子炉圧力容器)外壁に取り付けた加速 度計で得られた音響信号が,衝撃音か雑音かを判定し,衝撃 音と判定された場合は,音響信号を自動的に記録し,同時に 警報を発する。次に,衝撃音と判定された信号は,イ立置標宕 部でディジタル化され,計算機により未知音源位置の標完が 行なわれ,その情報はすべて記憶装置に記録される。

確性試験

今回開発した未知音i原位置襟足アルゴリズム,及び試作し

たLPMの確性試験を÷RPVモデルを剛、て実施Lた。以下に

÷RPVモデルの概要と試験結果を示す。

4.1 確性試験装置の概要

確性試験用÷RPVモデルは,電気出力1,100MW級沸騰水

型原子炉RPVの相似縮小モデルで,その概要を図5にホす。

確性試験としての検証性を考慮L,÷RPVモデルには,÷ン

ェソトポンプ及びその駆動ループ,CRD(制御棒駆動機構)案

内管,シュラウドが臥)付けられ,更に÷ジェットポンプ駆

動時の炉心流量は実機と相似である。また,÷RPVモデルの

胴体部,下鏡部,再循環水出人口ノズル店β,CRD案内管の外 壁に合計12個の加速度計が検出器として取り付けられている。 4.2 確性試験結果

確性試験では÷RPVモデル外壁に衝撃を与え,その標完精

度の確認を行なった。図6に確性試験での等高線マップの一

例を示す。図7は÷RPVモデル胴体部外壁に衝撃を与えたと

きの位置標完結果のCRT(Cathode Ray Tube)表示例であ

る。同図中米印が標完された未知音源位置であり,▲印は実 際に衝撃を与えた位置を記入したものである。同図の例は未 知音源に近いと判定された参照点1∼9([+印,約1m間隔で 設定)それぞれの等高線マップ(図6)から未知音i原の音響デー タに等しいものを抽出し,各参月軋車ごとに1本ずつ表示して いる。理想的にはこれらの等高線はすべて1点で ̄交わるが, 実際は誤差のため図7のように1点には交わらない。しかし, 各等高線の密集度の高い領]或に未知音源の存在が予想できる。 そこで図7の長方形部分(カーソルで指定)について各等高線 に最も近い点を計算し,その点を未知音i煉位置として標左す

る。図8は標完結果を÷RPVモデルの展開図上に表示した例

である。本試験の結果では,÷RPVモデルの胴体乱下鏡部

各部に衝撃を与えたときの平均標走誤差は0.2m以下であり, USNRCの要求を十分満足することが確認された。本装置を実 機に適用する場合,参照点データはRPV外壁にハンマなどで 衝撃を与えて採取するので,参照点は少ないほうが効率的で ある。そこで,参照点数を約半数とした場合についても同様 の試験を行なった。この結果,位置標定精度は0.25m以下であ り,実機適用時は高さ方向3m,円周方向60度の間隔で約30点 の参月軋在を設定することにより,0.6-0.75mの誤差範囲で十 分位置標走できる見通しを得た。 ′/-3,000 ルースパーツ 落下管 吉ジェット ポンプモデル † \ \ ジェットポンプ上 入口配管 制御棒駆動 機構案内管

喜l巨

\ 去原子炉圧力 容器モデル 55 シュラウド 再循環水出口

さ聖管

ヱ+

図5 確性試験用一吉原子炉圧力容器モデル 主原子炉圧力容器モテ ルは,実機電気出力l′川OMW級原子炉と極力相似になるようにした縮小モデル で,÷ジェットポンプモデル,シュラウド,制御棒駆動機構案内管などを含む_ノ 87

(4)

1014 日立評論 VOL.67 No.12(1985-1Z) 0 0 11 12 ‥■一′′ ●= ▲● ● ●● ■ ㌧□●・√ ′ ノ.・‥一口一‥●・・・

∴モ・‡二二:二:∴∴・:二三二∴

一● 一 ● ′ 一∴.・・=・‥・ ●-′ -● 一 一 -●●●●--■ ●● ■ 一■ ●、 - 一 -●一-●●●一 ● ′ ′●〆′一ノ.・・・・・‥-●・、 ・・.、ロヽ. 、--、1●. ●・●ヽ ● ヽ 、 ● ヽ ● ヽ ・. ヽ ヽ ヽ ヽ . ∴・・/.∴.・・・●二∴:こ二 ■●●●■● ●- ■t ■ ■ J ■ 一 ■ l ● ● ● ● -● ● ● ● ● 一 ■ ■ ● 一 ● -- ● ● - ● l ■ ● ● - 一 一 ●● ′ ′ ●●●▲ ■ ● ● t ∫● ▲ l・・一 -′ ′ ′ ・●・●・- ●.

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■ ● ● ■● ■ ● ノ■ ■∼ 図6 参照点周りの音響データ等高線図 参照点5に対Lての音響デ ータ等高線で,各参照点についてのデータが計算機に記憶してある。 * 警報データ表示 * 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 日付:85-03-09 時刻:11:12:2g 0 0 11 12 口 □ 3 2 ●-■●■ ■●■ .・.□ 一 口 ●′ ■′ ●.ロ′ ロ ロ 9 8 7 標定位置 衝撃点 図7 未知音源位置標定結果川 未知音源位置標定結果のCRT表示例 で,本例での実際の衝撃点との誤差は0.2m程度である。 3600 3150 270ロ 2258 18ぴ 1350 90。 45□

(う

6

標定点 3 2

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衝撃点 4 6 7

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8巨]

ll l 2 0 16 2(〕

19 18 2

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l l 2 6 0 キ:音源位置(DT),□:参只胃点位置,○:検出器位置 音源位置(高さ)ニ3,500 (角度): 700

l白

結 言 今回開発したLPMは,原子炉圧力容器外壁に加速度計を取 り付けることにより,RPV内部のルースパーツの存在を検知 する装置である。本開発ではルースパーツがRPV内部で衝突 したときの衝突位置を標走するアルゴリズムの開発に主眼を おいた。その結果,あらかじめ設定した参照点の音響データ と,ルースパーツの衝突による音響データを比較することに より,ルースパーツの衝突位置を標定するアルゴリズムを開

発し,÷RPVモデルによる確性試験で,アルゴリズムの有効

性及び参照点間隔の÷-÷の精度で標定できることを確認し

た。実機適用に当たっては,参照点データ採取作業の能率化 に関する検討が必要である。最後に,J京子炉異常診断装置の 開発に当たり,多大の御指導をいただいた通商産業省殿に対 し深〈感謝の意を表わす次第である。 88 参考文献 1 2 3 4 5 6 7 8 匡】8 未知音源位置標定結果(2) 未知書源位置標定結果を,原子炉圧力 容器の展開図上に示LたCRT表示例て ある〔 Marinけ,etal∴ProgressinNuclearEnergy,9,519(1981) U.S.NRC:Regulato叩Guidel.133(July1980) Kryter,R.C.,etal∴ORNしTM7967(1981)

Dio W.H.etal∴Progressin Nuclear Energy,1,747

(1977) FujitaK.,etal∴ibid.,9,531(1981) IzumiS.,etal.:J.Nucl.Sci.Technol.21〔2〕,94∼102(1984) 出海,外:原子力学会誌,26〔10〕,890一こ896(1984) IzumiSりetal∴ProgressinNuclearEnergy,15,553-560 (1985)

参照

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