Mem. Schoo .lB. O. S. T. Kinki University No. 23: 31 ~ 38 (2009) 31
酵母刺激応答性プロモーター/遺伝子単離ベクターの開発
同 南 政 宏1,2, 三 園 恭 平1
要旨
転写活性化因子とレポーター遺伝子を利用し、刺激に曝された時に生育できる酵母の遺伝子発現系を開 発することを計画した。酵母転写因子GAL4のDNA結合ドメイン(a.a.1 ‑147)と転写活性化ドメイン(a.a. 768‑881)を直接融合させた、改変型GAL4 (a.a. 1‑1471768‑881) をコードする遺伝子を構築し、その 上流にCYCl最小フ。ロモーターおよびマルチクローニングサイトを持たせたプラスミドを作製した。この プラスミドに酵母染色体DNAを組み込み構築したゲノムライブラリーを、上流の GAL4結合配列によっ て制御される HIS3遺伝子を持つ酵母株に導入した。カドミウム存在下においてヒスチジン欠乏培地で生 育できる形質転換体の単離を試みた結果、複数種の陽性クローンが単離された。それらの中には、カドミ
ウム応答遺伝子として知られる遺伝子(品m2)が含まれ、また、重複した陽性クローンも含まれていた。
これらのことから、酵母で刺激応答性プロモーター/遺伝子を単離するためのプラスミドベクターを構築 できたと考えられる。
1 .緒論
遺伝子の発現角科斤において、 DNAマイクロアレイ法は、遺伝子発現を一挙に、かつ、網羅的に角軌庁できる優れ た方法である (1)0 DNAマイクロアレイ法を用いれば、 DNAチッフ。に固定されたオリゴヌクレオチドを、刺激に曝 された細胞から調製したmRNAをcDNA化し、蛍光ラベル標識したフ。ローブとハイブリダイゼーションさせ、そ のシグナノレをレーザースキャンすることにより定量的に解析することができ、その細胞で発現している多くの遺伝 子発現の動態を一挙に解析することができる。しかし、対象生物に関するオリゴヌクレオチド、がスポットされた DNAチッフ。の入手、専用の読み取り機器の操作を必要とし、また、ごく寸品的な遺伝子発現をみることが困難であ ることが稀にある。生物の束Ijj跡む答の根幹をなす転写市時機構を利用すれば、安価に、かつ、高感度に発現誘導を 検出できる可能性が考えられる。実際に、枇素抵抗遺伝子フOロモーターの下流に繋がれたルシフエラーゼ遺伝子を
もっ大腸菌が、 1x 1O~5M の枇素によって、ル、ンフエラーゼを発現することが報告されている(2)
細胞が重金属に曝されたときも、抵抗するために様々な遺伝子が応答し、その発現が貯性化あるいは抑制される ことが知られている σ)。現在までに発見されている重金属応答メカニズムの中で、も、メタロチオネイン、グルタチ オンによる応答メカニズ、ムがもっとも有名である。メタロチオネインは金属結合タンパク質として知られており、
転写因子MTF (metal‑responsive transcription factor)が孔但Es (metal‑responsive elements)に結合することによって、
その遺伝子の発現が制御されている(日)。グルタチオンはフリーラジカルの捕捉分子として働き、重金属イオンに よる酸化ストレス誘導に対する細胞保護において重要な役割を果たしているのO また、グ、ルタチオン遺伝子の発現 メカニズムはよく解明されており、様々な重金属応答転写因子との関係、が報告されている但‑‑9)。これらのメタロチ オネインとグ、ルタチオンの転写制御メカニズムは酵母から晴乳類に至るまで保存されていることから、生物にとっ て非常に重要なストレス応答メカニズムであると考えられる (10)。
DNAマイクロアレイ角軌庁によって60以上のカドミウム誘導遺伝子がmet4の欠失変異による影響を受けること
原稿受付 2008年 11月 20日
本研究は近畿大学生物理工学部戦略的研究No.06‑III‑1,2007‑2008の助成を受けた.
1.近畿大学生物理工学部生物工学科,干649‑6493和歌山県紀の川市西三谷930
2.近畿大学大学院生物理工学研究科生物工学専攻,子649‑6493和歌山県紀の川市西三谷930
が酵母で示されている(11)。したがって、 Met4による調節は、カドミウムに対する細胞内応答の重要な構成要素とな っている。カドミウム誘導性含硫アミノ酸合成経路の構成要素タンパク質は転写因子 Met4に依存して誘導されて いる。 Met4の活性化は細胞内のメチオニンレベルに影響されるが、 Met4の活性化を制御する主要なエフェクタ一 分子はS・アデノシルメチオニン (SAM)であると考えられている(12)0 SAMは、メチオニンとATPから合成される 細胞内で重要なメチル基供給分子で、あるoSAMと遊離しているシステインやメチオニンの細胞内の濃度との関係は 非常に密接で、細胞内のSAMレベルが含硫アミノ酸量に非常に影響することから、逆に、 SAMもMet4の活性を 制御していると考えられている (13)。
本研究では、刺臨む答遺伝子のスクリーニング方法として、 DNAマイクロアレイ法に頼らない、転写活性化因 子とレポーター遺伝子を利用する系を考案した。この系を構築し、まず、試験的にカドミウム応答配列のスクリー ニングを行い、カドミウム応答遺伝子の同定を試みた。その結果、カドミウム応答遺伝子として知られる Sam2が 実際に同定されてきた。また、重複する遺伝子断片も同定されてきた。したがって、酵母で刺激応答性プロモー ターを単離するための系を構築できたと考えられる。
2.材料および方法 2. 1 酵母と培養培地
酵母Y190株 [MATa,ura3‑52, his3‑D200, ade2‑101, lys2司801,印1‑901,1ω2‑3, ,112, gal4LJ, ga180LJ,
URA3::GAL1ωf>GAL1 TATA‑lacZ,のIhr2,LYS2: :GAL1 UAf>H1S3TATA‑HIS3]の培養は、YPD培地Cl%y'回stex加ct、2%peptone、 2%glucose)およびSD培地 (6.7g!l yeast r首位ogenbase without amino acids、2%glucose、0.02%ad巴mne、0.02%山 田il、 0.003%砂sine、0.003%leucine、0.002%histidine、0.002%町pωphan)を用いた。 SD培地は、特定のアミノ酸を添加
しないものを必要に応じて使用した。
2. 2 pGBAD0508の作製
DNAを用いたすべての操作は、 Sambrookらの方法に従った (14)
pGBTヲ(Clontech)を 争hIとHind皿で消化し、 2本鎖化したSp手SI‑Xh‑Bm‑Hdを挿入し、 pGB‑MCSを作製し た。pGB‑MCSをHind聞で消化し、 CYCl・CoreProを挿入し、 pGB‑MCS‑CYCを作製した。
GAL4転写活性化ドメイン (a.a.768‑881)をコードするDNA断片を取得するため、 pGADlO(Clontech)を
昂'nd凹 と 劫01で消化した後、Klenow酵素で平滑末端ヒした。この平滑末端化断片を、 pGBT9の平滑末端七され た おmHIサイトとPstIサイトの聞に挿入した。作製した中間プラスミドをHind皿で消化し、 GAL4DNA結合ド メイン (a.a.1 ‑147)と転写活性化ドメインをコードするDNA断片およびプラスミドの一部を得た。このHind皿 断片を、 Hind皿で消化されたpGB‑MCS‑CYCに挿入し、 pGBAD0508を構築した。
2. 3 オリゴヌクレオチドのリン酸化と 2本鎖化
合成オリゴヌクレオチドはすべて、シグマジェノシスより入手した。
Sp‑P‑Sl・沼1・Bm‑Hdについて、Upp巴r鎖(タ‑CTGCAGTCGACTCGAGGATCCA‑3')とLowぽ鎖(タ・AGCITGGATCC‑
TCGAGTCGACTGCAGCATG‑3')を、それぞれ100酬になるよう混合し、T4ポリヌクレオチドキナーゼで1時間、
370Cで即芯させ、 5'末端をリン酸化した。 1MになるようにNaClを添加し5分間煮沸したのち、 700Cで3時間保温 した後、自然冷却し、 2本鎖に会合させた。
CYCI‑CoreProについても、 Uppぽ鎖 (5'‑AGCTCTGTATGTATATAAAACTCITGITITCITCITITCTCTAAAT‑
AπcπTCCπATA‑3')とIρ附 鎖 (5にAGCITATAAGGAAAGAATATITAGAGAAAAGAAGAAAACAAGAG‑
ITITATATACATACAG ‑3')を、同様に処理した。
(A)
MC (8)
<Iibrary>
唱 し
)1激→工~司~
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;>DBD ADゲノム川 町 ~ ~Ub
alllp' AD / GAL4(1‑147/768‑881) pGBAD0508
くrepo口ers>
HIS3
図i構築したpGBAD0508とスクリーニングストラテジー
(A) pGBAD0508の十悩1.MCS,マノレチクローニングサイト ;P口',C"CYCll刷、プロモ ー タ ‑;DBD, GAL4 DNA結合ドメイン;AD,
GAL4 転写括イ'iftドメイン TAI),II/ADHI転ち:終結・ングナノレ TRP人トリプ卜ファン合成経路泣伝子 ColE1, Col E 1 oirgin; alll,〆,アン ピシリン時陀伝立伝子 2μ,2μoirgil1o(8)スクリーニングストラテジー。pGBA凶508のMCSに何人したゲノムDNA内に京1臓に応符す る両[gi)lがあれば、転写が誘導され、 GAL4(a.a.1ー147/768‑881)タンハク質が産生される。このタンパク質は、 2つのレポーター逃伝 子
加7S3&lacZ)を所性化する。GAL4(1‑14 7n68‑881 、)GAL4(a.a.1ー147/768‑881
2. 4 ゲノムライブラリーの作製とスクリーニング
33
Saccharomyces cerevisiaeから抽出した染色体DNAをSau3A[で完全消化し、 pGBAD0508のBamHIサイトに挿 入し、S.cerevisiae Sau3A 1 pGBAD0508ライブラリーを作製した。
大腸菌内で‑lL増幅したライブラリーを、酵母YI90株に酢酸リチウムIPEG法により導入した(15)。形質転換酵 母を、 トリプ卜ファンおよびヒスチジン未添却のSD培地 (SD‑WH培地)に終濃度5凶1CdS04と終濃度20μM のヒスチジン生合成経路阻害斉IJ3‑アミノトリアゾーノレ (3‑AT)を加えた寒天情地上に塗布し、 300C、4ーづ 日間培養
した。生育した酵母を、 5μMCdS04と20μM3‑ATを含むSD‑WH培地に塗布しなおし、確実に生育した酵母を陽 性クローンとしてl:ìi~lIÊ した。
2. 5
s
ーガラクトシダーゼアッセイトリプトファン未添加のSD培地 (SD‑W培i也)で終夜培養された陽性クローンの酵母を、 YPD培地と 5凶4 CdS04を添加した SD‑W培地に300μlずつ移し、波長600omでの吸光度が0.5一1.0になるまで培養した。室祖、
15,000巾mで約l分間、遠心分離を行い集菌し、Z‑bu仔er(60 mM NaJIP04、40mMN出2P04、10mMIくCI、1m M MgS04) による洗浄後、菌体をO.陥 TritonX‑100を添加したZ‑buffer300μlに再懸濁した。これを液体窒素によって凍結し、
‑800Cにて保存した。370Cでの溶解と液体窒素での7刺古からなる溶解凍結作業を5‑7回
F
副支繰り返し、最後の溶解 の後、室温、 15,000中mで5分間、遠心分離を行った。上澄みから l∞
μlずつ、 ーガラクトシダーゼ活性測定用と。 タンパク質濃度測定用に分取した。。ーガラクトシダーゼ活性測定用には、 700μlの86111M 2‑mer回ptoe出anolを含む Z‑buf:ferを加え、さらに、 160μlの4mglml 0刊t:rophenyl‑s‑D‑galactoPYT加osideを加え、300Cにて4‑5時間j見芯させ た。400μlの1MNa2C03を加え反応を停止し、15,000巾mで10分間、遠心分離した後、波長420nmでの吸光度を 測定した。タンパク質濃度測定用の100凶に対しては、 Bradford法に従い、 700μlの滅菌水と200μlのプロテイン アッセイ染色液 (Bio-Rad) を加え、 q~河台l混和を行い、 5分間、静置して反応させた(16) 。 その後、波長595nmでの 吸光度を測定した。2. 6 RT‑PCR
2 5
転 写 1
5
活
, 性
化 能 5
12
3 6 4 0
434 4 4 6 4 7 4 8 4 9 5 0
クローン
図2 カドミウムにより転写が誘導されるクローンの転写活性化能
5 2 5 8
各クローンの転写活性化能を、 。ーガラクトシダーゼ活性を信機として定量した。5μMCdS04カドミウム存在下(斜線 塗り棒)および非存在下(向抜き体)における活性を、ゲノムDNAが帰入されていないpGBAD0508をもっ酵母がそ れぞれの時に示す活性を !とした相対値で示す。
YPD
培地および5
μMC
四04を含むSD
‑W
培地で3 0
0C、6
時間培養した陽性クローンの酵母Y
19 0
株から抽出 した 附サAを用いた。 抽出した町~Aに対しDNase処理を行った後、 1 ngのRNA
をAc
四ssQ u i c k ™
RT ‑PCRS y
stem(Promega)を用い、
4 5
0C、45分間、A M V ‑ R e v e r s eT r a n
sc r i p t a s
eと閃芯させcDNA
を合成した。PCRは、9 5
0Cでl分、
6 5
0Cで3 0
秒、n O c
でl分を lサイクノレとして2 7
サイクノレとした。また、コントローノレとしてβアクチン遺伝 子を用い、9 5
0Cでl分、6 5
0Cで3 0
秒、n O c
でl分を lサイクノレとしたPCRを2 5
サイクノレ行った。3.結 果
3. 1 スクリーニング用酵母発現用ベクターの構築
DNAマイクロアレイ法に代えて、安価に一過的な発現誘導をも捉えることができるよう、転写活性化因子とレ ポーター遺伝子
U
召'S3&lacZ)を利用する系を構築することを討みた。酵母発現用ベクターを構築するため、 GAlADNA結合ドメイン (
a
.a
.1一147)と転写活性化ドメイン (a . a
.7 6 8
‑88 1
)をもっ改変型G A L A ( a
.a
.l一147/76
8‑8 8
りをコードする遺伝子を構築し、その上流に、
MCS
と CYCJ最小プロモーターを組み込んだ、ベクターpGBAD0508
を 構築した(図 1A)。なお、 pGBAD0508のマルチクローニングサイト (MCS
)には、 Pst1、SalI、X万o1、BamH1の各制限葬素のユニークサイトを持たせた。因みに、Pstlサイトのすぐ上流のSph1サイト、および、 BamHIサイ トのすぐ下流のHind田サイトは、ユニークサイトではないためクローニングには使用で、きない。
スクリーニングには、 GAlAの支配下にある選択マーカー辿伝子をレポーター遺伝子としてもつ酵長路
K
Zl>適当で ある。 本研究で用いたY190株は、 GALJ プロモーターの制御下に置かれたHJS3遺伝子およひ~/acZ遺伝子をもっ酵 母株である。このことは、スクリーニングの過程において、ヒスチジン欠乏培地での生存酵母の選抜に基づいた l 次スクリーニング1
こ続いて、 βガラクトシダーゼ活性を宇崩粟とした2次スクリーニング を可能とする。このような 株であればどのような株(例えばAH
I0 9
株)でも使用が可能である。pGBAD0508に挿入されたゲノムDNA内に 刺激応答性プロモーターを含む場合、刺激柄主下では、刺激応答配列により転写の活性化が起こり、改変型G
AlA タンパク質の合成が誘導される。改変型GAlAは、レポーター遺伝子の上、流に結合し、レポーター遺伝子の発現を 誘導する。つまり、Y
19 0
株は、刺激に曝されたときにヒスチジン欠乏培地で生育することができ、また、 βガラク卜シ夕、ーゼ活性を示すようになる(図1B)。
表 l 単離されたクローンの塩基配列解析の結果 クローン 遺伝子名
KM12反M40 YDL241W K恥136 ND KM43 CHZl K孔144 RPS26B KM46 YGL220W KM47 YGL007W KM48 ADRl KM49 SAM2 K恥150 ND KM52 YPR157W KM58 NOBl ND, not determined
3. 2 カドミウム応答クローンの単離試験
タンパク質機能 unknown unknown 分子シャベロン
40Sリボソームサブユニット構成タンパク質 unknown
unknown
炭素源応答zinc‑finger転写因子
S‑アデノシノレメチオニンシンセターゼ unknown
unknown
40Sリボソームサブユニット合成核タンパク質
35
転写活性化因子とレポーター遺伝子四'S3およびlacZを利用する系を用いて、カドミウム応答配列のスクリーニ ングを試みた。pGBAD0508のMCS内のBamHIサイトに、酵母Y190株の染色体DNAをSau3AIで部分消化した 断片を組み込み、ゲノミックライブラリーを構築した。これを、 GAL4結合配列をそれぞれの上流に繋がれたレポ ーター遺伝子HlS3および、lacZを染色体上にもつ酵母Y190株に導入し、カドミウム存在下において、ヒスチジン欠 乏培地で生育でき、かっ、戸ーガラクトシダーゼ活性を示す形質転換体の単離を試みた。 1次スクリーニング、として、
5耐 CdS04を添加したSD‑WH培地でHIS3発明朱の単離を試みた。 3x106個のクローンをスクリーニングした結 果、 2122個の陽性クローンが単離された。次に、 2次スクリーニングとして、 5凶1CdS04を添加したSD‑W培地 で6時間培養した l次スクリーニング陽性クローンに対してドーガラクトシダーゼアッセイを行ない、 lacZの発現誘 導が2倍以上のクローンの単離を行なったO その結果、 67個の陽性クローンが単離された。 2次スクリーニングで、
単離された陽性クローンの中で、も、 4倍以上のlacZ発現誘導を示す陽性クローンは12個で、あった(図2)。 カドミウム応答遺伝子を同定するため、得られた陽性クローンの挿入断片の塩基配列を決定したO その結果、ま ず、重複するクローン(即日2とKM40)が含まれていることが明らかlこなった(表1)。これは、このスクリーニ ング、法の再現性と有効性を示す結果であった。次に、決定された塩基配列の近傍に存在する遺伝子を丘 cerevisiae のゲノムデータベースSGD(SaccharomycωGenome Database)により調べた。これは、酵母の調節配列と遺伝子は 互いに近傍に柄主していることが多く、したがって、調節配列を同定すれば、最も近傍に存在する遺伝子がそれに 制御される遺伝子の有力候補と考えることができるためである。その結果、機能未知の遺伝子の他に、カドミウム により発現が活性化することが報告されているS仰 2が含まれていた(表1)0 これも、このスクリーニング法の有 効性を示す結果であったO
3. 3 カドミウム応答能の確認
表 1で示された遺伝子の発現がカドミウムによって誘導されるかどうかを確認するため、カドミウムを含む条件 またはカドミウムを含まない条件で士音養した酵母から貯‑TAを抽出し、 RT‑PCRを行なった。 m陪‑TAの発現レベル は、カドミウム非相生下での各遺伝子のmRNAの発現量の
s ‑
アクチンのmRNAの発現量に対する比を1として、カドミウム荷主下ではその比がどう変化するかで比較した。その結呆、カドミウム応答遺伝子として知られるS
品 。
が、カドミウム荷主下では約1.8倍のm貯仙の発現量を示した(図3)0 一方、カドミウムによって、 YDL241Wが 約1.7倍、 YGL220Wが約1.9倍、 ADRlが約1.9倍のmRNAの発現量増加を示し、これはSAM2と同じ程度の発現
c¥one
園 圃
s‑actin
2.0
1.0 1.5
0.5
ヨ 同
Z﹀一四︿由一
+ + +
O
+
CdS04
カドミウムによる mRNAの誘導
5μM CdS04存在下 (+)における各クローンのmRNAの発現量を、 RT‑PCRにより確認した。上段 は、 mRJ司Aの電気泳動写真を示す。下段は、写真をもとに、発現盆を数値化してグラフ化したもの である。発現レベルは、 CdSO,非存在下(‑)における各遺伝子とs‑actinのmRNAの発現盆の比を
!とした時の相対値を示す。
図3
量増加で、あった(図3) (17ー19)。これらの結果から、 ゆIL241W、YGL220W、および、 ADRIは、カドミウム応答遺 伝子であると考えた。また、 CHZl、RPS26B、NOBIも、カドミウムによって 1.3倍程度の発現誘導が見られた(デ ータは省略) (2ト'22)。
5.結論
酵母転写因子GAL4のDNA結合ドメイン (a.a.¥‑147)と転写活性化ドメイン (a.a.768 ‑881)を直接 融合させた、改変型GAL4(a.a.1一1471768‑881)をコードする遺伝子を構築し、その上流にCYCl最IJ プロモーターおよびMCSを持たせたプラスミドを作製した。MCSに染色体DNAを組込んでゲノムライ ブラリーを作製し、GAL4結合配列によって制御される HIS3遺伝子を持つ酵母株に導入すれば、刺激依存 的にヒスチジン欠乏培地で生育できる形質転換体が得られることがわかった。この系を用いれば、 MCSに 挿入された DNA断片が刺激応答性プロモーターの一部として単離でき、その塩基配列情報とゲノム情報 から、近傍に存在する刺激応答遺伝子を同定することができる。今回は、カドミワムを刺激の例としてこ の系が機能することを証明できたので、他の刺激においても利用できるものと考えられる。
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英文抄録
Construction ofa Novel Screening Vector for Stimulus‑Inducible Promoters and Genes in Yeast Cells
Masahiro Okanami1,2 and Kyohei Mikuni1
We aimed to construct a novel screening system using a modified transcriptional activator protein and (a) reporter gene(s). We generated a plasmid vector carrying the sequence encoding a modified GAL4 (a.a. 1‑147/768‑881), the fusion protein consisting of the DNA‑binding (a.a. 1・147)and the activation (a.a. 768‑881) domains of yeast transcription factor GAL4, following the CYCl core promoter and multiple cloning sites (MCS). A yeast genomic DNA library was constructed in this plasmid, transfected into yeast cells which caηy the HlS3 gene driven by the upstream GAL4‑binding sequence. Some transformants viable on histidine‑depleted culture plates were isolated in the presence of an appropriate concentration of cadmium. Nucleotide sequence analysis revealed that a well‑known cadmium‑inducible gene (Sam2) was also isolated. Moreover, duplicate clones were isolated as positives. Taken together, we have success白llyconstructed a novel plasmid vector to isolate environmental stimulus‑inducible promoters and genes in yeast cells.
1. Departrnent ofBiotechnological Science, School ofBiology‑Oriented Science and Technology, Kinki University, Wakayarna 649‑6493, Japan
2. Departrnent of Biotechnological Science, Graduate School of Biology‑Oriented Science and Technology, Kinki University, Wakayarna
649‑6493, Japan