Title
非遺伝毒性肝発がん物質の発がんメカニズムに関する分子
病理学的研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
出羽, 康明
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第277号
Issue Date
2009-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/33589
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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学
位
記 番 号学位授与年月
日 学位授与の要件 研究科及び専攻研究指導を受けた大学
学位
論 文 題 目審
査 委 員 (19) 出 羽 康 明(栃木県) 博士(獣医)獣医博甲第277号
平成21年3月13日学位規則第3粂第1項該当
連合獣医学研究科 獣医学専攻東京農工大学
非遺伝毒性肝発がん物質の発がんメカニズムに関する分 子病理学的研究 主査 東京農工大学 副査帯広畜産大学
副査 岩 手 大学 副査東京農工大学
副査岐 阜
大 学 敏 峯 助 実 昭 国 高幸
利森
井 田 田 木 三 松 岡 下柵
授授料授授
教教
教
教教
論 文 の 内 容 の要
旨 肝酵素誘導は,異物の解毒排泄を促進するための適応反応とみなされているが, CYPIA酵素誘導作用を有する化学物質には,その代謝過程に起因して活性酸素種(ROS) の産生をみるものがあり,ROSによる酸化ストレスの肝発がんへの関与も示唆されている。 しかしながら,その分子メカニズムの詳細は明らかではない。そこで本研究では,CYPIA 誘導作用を示す非遺伝毒性発がん物質の内,動物用駆虫薬オクスフェンダゾール(0Ⅹ)及び 合成フラボンである β-ナフトフラボン(BNF)の肝発がん機序について,酸化ストレスに着 目して解析を行った。 第一に,0Ⅹをラットに反復投与した肝臓における変動遺伝子群の同定を行った。雄 性F344ラットに0ないし0.05%の0Ⅹを3週間混餌投与した肝臓についてマイクロアレ イ及びreal-timeRT・PCR法を用いた定量的mRNA発現解析を行った結果,第Ⅰ相薬物代 謝酵素である 伽JaJや酸化ストレス応答性転写因子Nr佗により発現調節される遭伝子 (伸g2,A嵐n】七動こおいて,対照群と比較して2倍以上の発現増加が確認された。さら に投与期間を9週間,投与濃度を0.1%とす.ることにより,投与期間・濃度に関連した遺 伝子発現増加がみられた。以上の結果から,0Ⅹ投与肝では酸化ストレス応答性反応が惹 起されており,発がん促進作用への関与が示唆された。第二に,0Ⅹの肝発がん促進機序における酸化ストレスの役割についてさらに検討す
るため,二段階肝発がんモデルを用いて実験を行った。雄性F344ラットにDENを単回 腹腔内投与し,投与2週後から0ないし0.05%の0Ⅹを6週間混餌投与した。0Ⅹ投与1 週間後には2/3部分肝切除を施した。その結果,0Ⅹ投与により,肝前がん病変指標であ る GST-P陽性細胞数の有意な増加並びに伽JβJ,qpJβ2及び抗酸化酵素関連遺伝子
((和才2,A鬼r,旅功のmRNA発現増加が確認された。また酸化ストレス指標である脂質過 酸化量,酸化的DNA(8・OHdG)量及び単離肝ミクロソームからの活性酸素種(ROS)産生量 並びにPCNA陽性細胞数は,いずれも0Ⅹ投与により有意な増加を示した。以上の結果か ら,0Ⅹによる肝発がん促進機序にはその代謝過程で生じる酸化ストレス及び細胞増殖の 冗進が関与している可能性が示唆された。 第三に,BNFの肝発がん促進機序における酸化ストレスの関与について検討した。ラ ットニ段階肝発がんモデルを用いてBNFの0,0.05ないし1%を6週間投与し,0Ⅹと同 様の解析を行った。その結果,GST・P陽性細胞巣(数・面積)の有意な増加が認められ,マ
イクロアレイ及び定量的遺伝子発現解析の結果から,第Ⅰ相(q〆β∫,¢直方J)・第ⅠⅠ相
((和才g,A点れ
二陀劇薬物代謝酵素の発現増加及び細胞増殖抑制遺伝子p21(仙J8)の発現 減少が認められた。同時に測定した脂質過酸化量,酸化的DNA量及び単離肝ミクロソー ムからの活性酸素種産生量並びにPCNA陽性細胞数についても有意な増加が認められた。 以上の結果から,BN甘の肝発がん促進には,0Ⅹと同様の作用機序が関与していることが 示唆された。 第四に,0Ⅹ及びBNFの発がん促進過程において確認された酸化ストレス応答・細胞 増殖冗進の腫瘍形成への関与を検討するため,BNf-の長期投与により腫瘍を形成させた肝 臓において,これらの分子の発現変動を解析した。二段階肝発がんモデルにおいて0ない し1%のBNf'を28週間投与した結果,対照群と比較して,肝細胞変異巣・腺腫の発生率・ 発生頻度に有意な増加が認められた。また肝細胞変異巣・腺腫では,周辺組織と比較して PCNA陽性細胞数の明らかな増加が認められる共に,細胞増殖抑制因子であるC/EBPα及 びp21の染色性低下が確認された。薬物代謝酵素については,CYPIAl,CYPIBlの染色 性低下と共にAFAR,GPX2の染色性増強が認められた。これらの変動と各mRNA発現変 動との間には良好な相関が認められた。以上の結果から,BNFによって誘発された肝細胞 変異巣・腺腫では,酸化ストレスからの回避並びに増殖活性の克進が認められ,これらの 変化の発がん機序への寄与が示唆された。 以上のように,CYPIA誘導作用を示す0Ⅹ及びBNFの肝発がん促進機序には,その 代謝過程に起因したROSの産生による酸化ストレスの誘発並びに細胞増殖の克進が寄与 していることが示唆された。非道伝毒性肝発がん物質の中には,CYPIA誘導作用を有す るものが多くみられるが,今回の研究成果は今後の非遺伝毒性肝発がん物質の機序解明の 一助となるものと考えられた。審
査 結 果 の要
旨
本研究は・非迫伝毒性肝寛がん物質とみなされている化合物の内,m仏酵素誘導作用を
有する化学物質の肝発がん促進機序について検討することを目的として,動物用駆虫薬オクスフ ェンダゾール(0Ⅹ)及び合成フラボンであるβサフトフラボン(BNF)を用い,これらの代雛過程 において生じると考えられる酸化的ストレスの関与に着日して解析を行った。第一章では,0Ⅹをラットに反復投与し,肝臓における変動遼伝子群の解析を行った。その
結果,第Ⅰ相薬物代酎酵素C沖1Aや酸化ストレス応答性転写因子Nrf2により発現明節される 抗酸化遺伝子群の発現上昇が投与期間及び投与濃度に関連して認められたことから,0Ⅹ投与肝 では酸化ストレス応答性反応が惹起されており,その発がん促進機序への関与が示唆された。 第二章では,0Ⅹの肝発がん促進機序における酸化ストレ.スの役割についてさらに検討する ため,二段階肝発がんモデルを用いて実験を行った。その結果,肝前がん病変巣の増加と共に抗 酸化酵素の遺伝子発現や酸化ストレス指標の増加,細胞増殖活性の上昇がみられたことから, 0Ⅹの肝発がん促進機序における酸化ストレス及び細胞増殖冗進の関与が示唆された。第三章では,BNFの肝発がん促進機序における酸化ストレスの関与について,ラットニ段 階肝発がんモデルを用いて検討を行った。その結果,第二章と同様の結果が認められ,BNf、の 肝発がん促進においても0Ⅹと同様の作用機序が関与しているこ七が示唆された。 第四章では,確欝された酸化ストレス応答・細胞増殖克進の腫瘍形成への関与を検討するた め,BNF投与により腫瘍を形成させた肝臓において,これらの分子の発現変動を解析した。そ の結果,BNFによって誘発された肝細胞変異巣・腺腫では,酸化ストレスからの回避及び増殖
活性の克進が認められ,これらの変化の轟がん機序への寄与が示唆された。
以上の結果から,CYPIA誘導作用を示す0Ⅹ及びBNFの肝発がん促進機序には,その代 新通程に関連した酸化ストレスの誘発及び細胞増殖の克進が寄与していることが示唆された。本 研究は,酵素誘導作用を示す非遺伝毒性肝発がん物質の機序解明の一助となるものと考えられた。以上について,審査委貞全員一致で本論耳が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論文と
して十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文 1)題 目著
者
名 Geneexpressionanalysesoftheliverinratstreatedwith0Ⅹ氏ndazole Dewa,Y・,Nishlmura,J・,Muguruma,M・,Matsumoto,S・,Takahashi,M・, Jin,M.andMitsumori,K.学術雑誌名:ArchivesofToxicology
巻・号・貫・発行年:鋸(9):647・654,2007 2)題 目: β-NaphthonavoneenhanCeSOXidativestressresponsesandtheinduction Ofpreneoplasticlesionsinadiethyln如osamine-initiated hepatocaqcinogenesismodelinpartiallyhepatectomizedrats著
者 名:Dewa,Y,Nishimura,J.,Muguruma,M.,Jin,M・,Saegusa,Y,Okamura, T.,Thsaki,M.,Umemura,TandMitsunOri,K. 学術雑誌名:To裏colo訂 巻・号・頁・発行年:244(2-3):179-1$9,2008 3)題 目: hvoIvementofoxidativestressinhepatocellulartumor-PrOmOting activityofoxfendazoleinrats著
者 名:Dewa,Y.,Nishimura,J.,Mugtmma,M.,Jin,M.,Kawai,M.,Saegusa,Y., Okamura,T.,Umemura,T.andMitsumori,K. 学術雑誌名:ArchivesofToxicology 巻・号・貢・発行年:bI〉ress 既発表学術論文 1)題 目: Molecularanalysisonthepossiblemechanismofβ-naPhthonavone・inducedhepatocarcinogenesisinrats
著 者 名:Ybkouchi,Y,Muguruma,M.,Moto,M.,Thkahashi,M.,Jin,M., Kenmochi,Y,Kolm0,T.,Dewa,YandMitsum0ri,K.学術雑誌名:JournalofTbxicologicPath0logy
巻・号・頁・発行年:20(1):29・37,2007 2)題 目: E飴ctoffeno丘brateonoxidativeDNA.damageandongeneexpression relatedtoce11proliferationandapoptosisinrats 著 者 名:Nishimura,J.,Dewa,Y.,Muguruma,M.,Kuroiwa,Y.,Yasuno,H., Shima,T.,Jin,M.,Takahashi,M.,Umemura,T.andMitsumori,K.学術雑誌名:ToxicologicalSciences
巻・号・貫・発行年:97(1):44-54,2007 3)題 目: PossibleinvoIvementofoxidativestressinplperOnylbutoxideinduced hepatocarcinogenesisinrats 著 者 名:Muguruma,M.,Unami,A.,Kanki,M.,Kuroiwa,Y,Nishimura,J・,Dewa, Y,Umemura,T.,Oishi,YandMitsum0ri,K.学術雑誌名:To裏colo訂
巻・号・貢・発行年‥ 23叫1・2):61・75,20074)題 目: ConcurrentadministrationofascQrbicacidenhanCeSliver