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中学生の健康観に関する調査研究

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Academic year: 2021

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(1)

中学生の健康観に関する調査研究

新ヰ・領域教育専攻

生活・健康系コース(保健体育) 戸 出 久 美 恵

1.研究の目的

生涯にわたって健康を獲得するためには,自 らの健康観に基づき,主体的に健康行動を選択 していくことが必要である。この健康観の形成 に関して,自律心が発達する中学生での健康教 育は重要な役割を担っている。健康観の育成は,

健康教育の重要な目標でもあり,健康観を深め,

生活全体を見直しながら健康を考えることは,

健康行動実践の大きな起因となる。また,生涯 における健康観は,各ライフステージの健康課 題を達成しながら,次の段階へと進む,連続的 かっ発展的なもので、ある。従って,主体的な健 康観の形成が開始される思春期の健康観育成は,

生涯の健康において,重要な意義を持つことが 考えられる。そこで本研究では,1)文献研究 2)調査研究を用いて,健康観の実態およびそ の関連要因について分析をし,中学生の健康観 の育成の意義を明らかにすることを目的とした。

2.研究方法

1)文献研究:文献研究として,健康観の概念,

意義に関して歴史的経過とその背景の検討を行 った。また,その成果および先行研究から,中 学生の健康観の実態及びその関連要因を多面的 に把握するための方法について検討した。

2)調査研究:中学生における健康観育成の意 義を明らかにするため,中学生の健康観の実態 と,その健康観生成に関連すると考えられる要 因について質問紙を作成し,分析を行ったD

( 1 )調査内容:①生徒の属性に関する項目②

指導教員 吉 本 佐 雅 子

健康観に関する項目:健康観項目選択(身体的,

精神的,社会的,生きがい・幸福論,外見的の

5観長別意識20項目中 5項目複数選択回答) と「健康jイメージの自由記述 ③関連要因:

生活・行動領域,健康状態領域,健康意識領域,

その他領域,計90項目で構成し, 5イ牛法による 回答とした。

(2) 対象 :T県内の一中学校に在籍する生徒 798名 有 効 回 答 男 子 367名 女 子 355名

(計722名)有効回答率90.8%

(3)実施期間:2005年2月

(4) 統計処理:学年・男女間・群問比較は,

分散分析。関連要因3領域(生活行動・健康状 態・健康意識)は,領域毎に因子分析を行った。

因子の因子得点平均値により分散分析を用いて 比較検討したD 有意水準はすべて

5%

以下とし た。

3.結果と考察 1)文献研究から

( 1 )健康観の変遷から,健康の捉え方は, W H Oの健康定義を境に以前の病気とのかかわり を中心にした健康観(二元的健康観)から,

r

身 体的・精神的・社会的に完全に良好な状態・・・j

とするW H Oの健康概念(完全主義的健康観) となり,病気と質のよい健康を連続的に捉える 健康観(一元的・連続的健康観)や与えられた 環境の中で良好な状態を目指す健康観(循環 的・個別的健康観)へ変化している。今日的な 健康観として,生活全体を包括的に見ていく健

‑438‑

(2)

康観(全人的健康観)となってきている。

(2)先行研究から健康観の構造として,児童 期・思春期には,身体的健康観を主に,精神的・

社会的への広がりが見られる健康観となり,青 年期以降になるとQOLの概含、が主流となる健 康観へ発展してきでいる。関連要因には,

r

生活 行動J

r

健康状態J

r

健康意識jの各領域が浮か

び上がり,これらの領域を構成する要素と健康 観との因果関係を把握することで,中学生の健 康観の構造をさらに理解できると考えた。

2)調査研究から

( 1 )中学生の抱いている健康観として「規則 正しい生活をし,食事や睡眠に満足でき,心身 の病気にかかっていないことであり,元気で明 るく長生きできること」で、あったo観長別に捉 えると,身体的観点を主に精神的観長が加わり,

さらに社会的,生きがい・幸福論的観点が加わ っているo 中学生時期は自覚的健康意識の芽生 えの時期であり,自律的生活行動が形成される に従って,社会的,生きがい・幸福論的観点が さらに獲得され,健康観が深まってし、く状況が みられた。

(2)関連要因把握に関する結果:①「生活行 動j領域における結果:因子分析の結果,

r

家族

関係J

r

生活規則J

r

運動習慣J

r

友人関係J

r

学 校生活jの各因子が抽出された。中学生時期は,

家庭と学校での生活空間で人間関係のあり方を 模索しており,家族への依存的生活から自律的 生活行動の獲得と共に,社会的な視野への広が りを得ている。周囲の環境との相互作用によっ て,心身の健康を獲得していく様子がみられた。

②「健康状態」領域における結果:因子分析 の結果,

r

身体的状況J

r

社会規範J

r

精神的状況j

咋士会参加J

r

ストレス」の各国子が抽出された。

健康状態は,身体的,精神的,社会的側面にお ける総合的な健康状態として把握することが必

要である。特徴として,身体的,精神的健康度 やストレス対処においては男子に,社会的側面 においては女子が良好で、あったo さらに,社会 的側面においては, 3年生が良好な状態で、あっ た。心身の発達の著しし悟渚ミ期では,社会との 関わりを通して健康状態をより良好に導き,そ

して,健康観に広がりを持つことができる。

③ f健康意識j領域における結果:因子分析 の結果,

r

安心感J

r

知識と関心J

r

健康努力jの 各因子が抽出された。 3年生になると,知識の 獲得が容易となり,健康に対する関心が高まる。

しかし,その反面,将来の健康について考えら れるようになり,健康への不安が広がり安心感 が低下する結果となった。

(3)健康観と関連要因「生活行動J

r

健康状 態J

r

健康欝哉jとの関連性における結果

身体的観長の重要度が高い者は,身体面のみ という狭い概念での捉え方をしており,生活行 動・健康状態・健康意識の領域に有益に作用し ていない。健康観の広がりを得ることが各領域 に有効である。精神的観点重要度の高い者は,

精神的に安定しており,生活行動領域に有益な 影響を与えている。社会的観点重要度の高い者 は,周囲の環境にI}節芯することを強く求めてい る。周囲の環境を受け入れ,理解を示さなけれ ばならないと考えているが,一方では,自己に 対しては厳しい批判となる様子が窺える。生き がい・幸福論的観京の重要度の高い者は,人間 関係面に良好で、あり,各領域に良好な相乗効果 が期待されQ O L向上につながるといえる。外 見的観長の選択率は最も低いが,この観長重要 度の高い者は,健康に対する関心は低く,心身 の健康度も低いとし、う結果で、あった。

これらのことから,様々な健康の観点は,関 連要因との間に因果関係を示し,影響を与えて いることが示唆された。

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参照

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