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-50-

不均一系光反応器における散乱光強度の測定

船山 斉・菅原拓男*

MesurementofScattermgLightlntensity

mOuterlrradiatedHeterogeneousPhotochemicalReactors

HitoshiFuNAYAMA andTakuoSuGAwARA*

(平成元年10月30日受理)

Themesurement ofscatteringlight intensityinouter irradiatedheterogeneous photochemicalreactorhasbeencarriedouttoobtainthefoundamentalinformationabout for light intensitydistributionswithuseoftitaniumdioxidesuspendedsystemsand Raschigringpackedsystems.

Asforthetitaniumdioxidesuspendedsystems, theintegratedvaluesofscattering light intensitydicreasedwiththeconcentrationoftitaniumdioxidefollowingwiththe Beer's lawat thediluteconcentration, but thesevaluesshiftedgraduallydeveloping withareflectionandascattering.

AsfortheRaschigringpackedsystems, thereflectingandscatteringeffectswere remarkablyobserved in thegas‑solidsystems・ Theratioof transmitted lightwas increasedintheliquid‑solidsystemscomparingwiththegas‑solidsystems.

1. 緒 言 収を繰り返す不均一系光反応器内の光強度を定量的

に取扱うための基礎的情報を得ることを目的とし,

外部照射型の不均一系光反応器として分散相に二酸 化チタン光触媒の微粒子を懸濁した系およびラシヒ リングを充填した系を取り上げ,光反応器から散逸 する散乱光強度を測定し,若干の検討を加えた。

近年,通常の熱反応では分解が困難とされていた 反応を光触媒の強力な酸化還元作用を利用して分解 する'、2,3) プロセスが注目を浴びてきている。これ らの系にみられるような光触媒の微粒子が水溶液中 に懸濁している反応系においては,光反応器内の光 強度が反応に大きな影響を及ぼすと考えられる。

一方,不均一系光反応器内の光強度の取扱い方法 については, これまで二光束モデルなど比較的簡単 な不均一系光強度分布モデルを用いた方法4) ,光分 散過程をモンテカルロシミュレーションによって確 立的に算出する方法5) ,あるいは分散相の影響を総 括的に捕らえた有効吸収係数6)を用いて取り扱う方 法などが提案されてきている。しかしながら,いず れの方法においてもモデルパラメータは実測によら なければならず, しかも各パラメータといわゆる物 性との関係が未だ必ずしも明確でないことから,精度 の高い実測値をもとにした情報の畜積が望まれている。

そこで,本研究では,光源から出た光が連続相に よる吸収とともに分散相によっても反射・散乱・吸

2. 実験装置および方法

本研究で使用した実験装置の概略を図1に示す。

500wの高圧水銀灯(ToshibaH‑500D)を光源と する平行光線照射装置(USHIO,UI‑501C)①とモ ノクロメータ(Jasco,CT‑25N)②を用いて平行光 線を反応器④に照射した。反応器には内径35.3m, 高さ79mのパイレックス製ガラス管を用いた。一方,

反応器の中心を回転軸として回転できる散乱光強度

検出器(IntenationalLight, IL‑200)⑥の前面に

は指向性を向上させるために小孔(内径6m,長さ 13m)を有する塩化ビニール板を設置した。なお,

スリット③を用いて反応器への照射面積を幅8nnn, 高さ30mになるように調節した。なお,二酸化チタ

ン光触媒の微粒子はマグネティックスターラー⑤を

*)秋田大学鉱山学部資源化学工学科

秋田高専研究紀要25号

(2)

−51−

不均一系光反器における散乱光強度の測定

用いて撹伴した。

実験は,所定濃度の二酸化チタン光触媒の微粒子 (東北化学㈱製,TCA‑123P,平均径0.1"m以下)

を水中に懸濁した系と,パイレックスガラス製ある いは半透明で光透過性があり反射.散乱効果の大き

いテフロンFEp7)製のラシヒリングを充填した系に ついて,検出器の回転角6における光電流i6を測 定した。光電流iと光強度Iとの関係8)は,290nm

以上の波長について, (1)式で表される。

IR=(I6/IO)=(i6/iO)o.979(1)

ここで, IRは相対光強度, iOは分散相を含ま

ない均一系において検出器が光源と正対した時(6

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光強度である。

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図1 実験装置の概略

3. 実験結果および考察

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3. 1 二酸化チタン微粒子を懸濁した系 図2は,検出器の回転角6と散乱光強度との関係 が二酸化チタン濃度とともにどのように変化するか 検討した結果の一例である。図中には,比較のため に二酸化チタンを含まない均一系で測定した結果も

○印で示した。この図より,二酸化チタンを含まな いときには反応器を透過する光と反応器から反射す る光のみが測定されるのに対して,二酸化チタンを 懸濁することにより散乱も増加し,二酸化チタン濃 度が0.025mg/9‑H20の時には,全測定点で散乱 光が検出されることがわかる。二酸化チタン濃度が さらに増加すると,検出器の回転角が25.以下の反 応器を透過する光量が減少し,反射光が検出される 回転角140。以上の実測値にも影響を及ぼすことが わかる。

そこで,均一系での全区間の測定値を積分した積 分光強度に対する各区間での積分光強度の相対値が 二酸化チタン濃度とともにどのように変化するか検 討した結果が図3である。●印が全区間を積分した 結果であり,○印・△印および▽印はそれぞれ全区 間を積分した積分光強度に対する各々の二酸化チタ ン濃度における吸収・散乱・反射の寄与を表すと考 えられる。図3より,二酸化チタン濃度が極めて低 いときには吸収が支配的で相対値はBeer則に従い,

二酸化チタン濃度の増加とともに片対数紙紙上で直 線的に減少することがわかる。二酸化チタン濃度が さらに増加すると散乱が発達し相対値はBeer則から 次第に偏筒すること,および,二酸化チタン濃度が 0.025mg/9‑H20以上の領域においては散乱.反

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図2散乱光強度の角度分布

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図3散乱光強度の積分値に及ぼす二酸化 チタン濃度の影響

平成2年2月

(3)

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船山斉・菅原拓男

射の影響を表す△印と▽印の値がほぼ一定となるこ とがわかる。

そこで,吸収・散乱・反射の割合が二酸化チタン 濃度とともにどのように変化するかを整理した結果

が図4である。 この図より,二酸化チタン濃度の増

加とともに吸収の影響が増大し反応器を透過する割 合が減少すること,それとともに,反射・散乱の割 合が増加してくることがわかる。さらに,二酸化チ タン濃度が0. 1mg/9‑H20のときの結果から反射 光の割合が57%程度まで増加しているが, この原因 としては反応器に入射した光が反応器の入り口付近 でのみ反射・散乱されたためと考えられる。

3 . 2 ラシヒリングを充填した系

図5は,連続相に空気・水あるいはメタノールを,

分散相に二種類のラシヒリング(内径10m,高さ10 mm)を充填した気一固系および液一固系について,

測定した散乱光強度の測定値を全区間にわたって積 分し,均一系におけるこの値との相対値を求め整理 した結果である。相対値は連続相の違いにかかわら ずラシヒリングを充填することにより減少し,特に テフロン製ラシヒリングを充填したときにこの減少 の度合いが大きいことがわかる。 この原因は, テフ ロン製ラシヒリングが反射・散乱効果の大きい材料 で入射した光がラシヒリング内で多重散乱を繰り返 しげんすいする7)ため反応器から散逸する散乱光が 減少したと考えられる。また,気一固系の場合の積 分値が液一固系の場合より大きくなっているが, こ れはラシヒリングの空気に対する屈折率と液体に対 する屈折率との相違によると考えられる。

図6と図7は,分散相にそれぞれガラス製ラシヒ

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図4 二酸化チタンを懸濁した不均一系光

反応器における散乱割合

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図5 ラシヒリングを充填した不均一系光 反応器における散乱光強度の積分値

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図6 ガラス製ラシヒリングを充填した不 均一系光反応器における散乱割合

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図7 テフロン製ラシヒリングを充填した 不均一系光反応器における散乱割合

秋田高専研究紀要25号 諏型

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(4)

−53−

不均一系光反器における散乱光強度の測定

リングとテフロン製ラシヒリングを充填したときの 散乱光強度の測定値をもとに図4と同様に整理した

結果である。図6より,ガラス製ラシヒリングを充 填したときには,気一固系の場合に反射光・散乱光

がわずかながら観測される程度で大部分の光が反応 器を透過することがわかる。一方,テフロン製ラシ ヒリングを充填した図7の結果より,気一固系の場 合に反射・散乱の割合が約50%まで達しておりテフ ロンがガラスよりは反射・散乱効果の大きい材料で あることがわかる。また,液一固系の場合にはガラ ス製ラシヒリングを充填した場合と同様に90%以上 の光が反応器を透過することがわかる。

謝 辞

本研究を行うにあたり,実験装置の製作に協力し て下さった本校文部技官進藤錦悦氏,ならびに当時 卒業研究をともに行った佐々木真悦,高階砂羽子,

松嶋諭の諸兄に厚く感謝の意を表します。

使用記号

C :二酸化チタン濃度 [mg‑TiO/g‑H20]

IR:相対光強度(式(1)参照)

[−]

IO :検出器が光源と正対したときの光強度 [mol/c㎡sec]

I6 :回転角βにおける光強度 [mol/c㎡sec]

iO :検出器が光源と正対したときの光電流[nA]

i6 :回転角βにおける光電流

[nA]

4. 結 論

不均一系光反応器内の光強度を定量的に取り扱う ための基礎的情報を得ることを目的とし,外部照射 型の不均一系光反応器として分散相に二酸化チタン 光触媒の微粒子を懸濁した系および二種類の光透過 性ラシヒリングを充填した系を取り上げ,光反応器 から散逸する散乱光強度を測定した。その結果,以 下のことがわかった。

分散相に二酸化チタン光触媒の微粒子を懸濁した 系の実験結果より,本実験条件下では散乱光強度の 積分値は二酸化チタン濃度が稀薄な時には吸収が支 配的でBeer則に従って減少するが,反射・散乱が発 達するとともにBeer則から次第に偏椅することがわ かった。また,反射・散乱の効果はある濃度以上で ほぼ一定となることがわかった。

一方,二種類の光透過性ラシヒリングを充填した 系の実験結果より,全区間の測定値を積分した積分 光強度はラシヒリングを充填することにより減少す ることがわかった。さらに,気一固系において反射

・散乱効果が顕著に現れること,および,液一固系 においては透過光の割合が増大することがわかった。

参考文献

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Chem.,88,3386(1984)

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5)横田,岩野,出口,只木:化学工学論文集, 7,

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6)大竹,東稔,樋口,中尾:化学工学論文集, 7,

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7) Funayama.H・andT.Sugawara:J.Chem.

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8)船山,荻原,菅原,大橋:秋田高専研究紀要,

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平成2年2月

参照

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