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宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の成 立(二)

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(1)

佐古田 彰

一 .問 題 の所 在

1.宇 宙 条 約6条 第 一 文 前 段 に お け る 特 別 の 帰 属 の 規 則 2.本 稿 の 目 的

3.一 般 国 際 法 の 観 点 か ら見 た6条 第 一 文 前 段 に 関 す る 疑 問 二.1963年 宇 宙 法 原 則 宣 言5項 及 び1967年 宇 宙 条 約6条 の 審 議

1.宇 宙 条 約 と宇 宙 法 原 則 宣 言

2.法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 の 審 議

(以 上 本 誌 第52巻 第4号) 3.1967年 宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の 審 議

4.法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 と宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・ 第 二 文 の 相 違 点

三.学 会 ・シ ン ポ ジ ウ ム 等 の 動 向 1.1961年 以 前 の 議 論

2.1962年 の 動 き 3.1963年 の 動 き

4.1964年 〜1966年 宇 宙 条 約 の 採 択 まで(以 上 本 号)

3.1967年 宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の審 議 (1)1966年7〜8月 法 律 小 委 員 会 第5会 期 第 一 部

宇 宙 活 動 に関 す る 法 原 則 を 条 約 化 す る こ と は,宇 宙 法 原 則 宣 言 の成 立 当 初 か らの 目標 で あ っ た89)。 し か し,宇 宙 条 約 の作 成 に 向 け て 国 連 内 で 具 体 的 な 動 きが 見 られ る の は,や や 時 間 を お い て,1966年 に入 っ て か らの こ と で あ る 。6

89)法 原 則 宣 言 と同 時 に採 択 さ れ た 国 連 総 会 決 議1963号(XV皿)1の1項 参 照 。

〔385〕

(2)

月 に米 国 と ソ連 が そ れ ぞ れ 同 日 に条 約 案 を提 出go),7月 か ら8月 に か け て 法 律 小 委 員 会 第5会 期 第 一 部 が ジ ュ ネ ー ブ で 開 催 さ れ,条 約 作 成 の 具 体 的 な 審 議 が 開 始 した。 この 会 期 で,法 律 小 委 員 会 は,米 ソ案 を対 照 させ な が ら しか し主 と して ソ連 案 を基 礎 に逐 条 的 に審 議 を進 め た91)。

そ の ソ連 案 の 規 定 の うち 本 稿 の 問 題 と関係 す る部 分 は6条 で あ り,そ れ は 以 下 の 規 定 で あ る 。

「 条約 の 当事 者 は ,宇 宙 空 間にお け る又 は天体 上 の 自国の活 動 につ いて,そ れが政 府 機 関 に よって行 われ る か非政 府会社 に よって行 わ れ るか を問わず,国 際 的責任 を有す る。 宇宙 空 間 にお ける非 政府 会社 の活 動 は,関 係 国の許 可及 び継 続 的監督 を必要 とす る もの とす る。 国際 機 関が宇 宙空 間 にお いて活 動 を行 う場合 には,そ の国 際機 関及 び これ に参 加す る条約 の 当事 国の双 方が この条約 を遵 守す る責任 を 有 す る。 」

こ の 規 定 は,法 原 則 宣 言5項 と ほ ぼ 同 一 で あ る が,3点 異 な る 部 分 が あ る 。 す な わ ち,第 一 に,「 非 政 府 団 体(non‑governmentalentities)」 の 語 を 「非 政 府 会 社(non‑governmentalbodiescorporate)」 に 換 え た こ と,第 二 に,5項 第 一 文 後 段 に 対 応 す る 規 定 が な い こ と,第 三 に,第 一 文 の み 「宇 宙 空 間 に お け

る 」 を 「宇 宙 空 間 に お け る 又 は 天 体 上 の 」 に 換 え た こ と で あ る 。 な ぜ こ の3点 に つ い て5項 と 異 な る 条 文 案 を 提 案 し た の か に つ い て,ソ 連 は 説 明 し て い な い 。

ソ 連 案 の こ の 条 に 対 応 す る 米 国 案 の 規 定 は な く,な ぜ そ の よ う な 規 定 を 設 け な か っ た の か に つ い て 米 国 代 表 か ら説 明 は な か っ た 。

90)米 国 案 「月 そ の 他 の 天 体 の 探 査 を 律 す る 条 約 案 」(A/AC.105/32(rep.in A/AC.105/C2/L.12andalsoinA/AC.105/35,AnnexI)),ソ 連 案 「 宇 宙 空 間 及

び 月 そ の 他 の 天 体 の 探 査 及 び 利 用 に お け る 国 家 活 動 を 律 す る 原 則 に 関 す る 条 約 案 」(A/6352(rep.inA/AC.105/C.2/L13andalsoinA/AC.105/35,AnnexI))。

91)ソ 連 案 を 基 礎 に 審 議 を行 っ た の は,ポ ー ラ ン ド出 身 のLachs委 員 長 が ソ 連 に 近

か っ た た め とい う 見 方 も あ る。 外 務 省 国 際 連 合 局 科 学 課 「国 連 宇 宙 法 律 小 委 員 会

に お け る 『 宇 宙 天 体 条 約 』 の 審 議 一ll」 『国 際 科 学 情 報 』3巻3号(1968年)41頁 。

(3)

ソ 連 案6条 に 関 す る 審 議 で は,米 国 か ら こ の3点 に つ い て 修 正 意 見 が 出 さ れ た 。す な わ ち,米 国 は,第 一 の 点 に つ い て,"non‑governmentalbodiescorporate"

の 語 を"non‑governmentalentities"の 語 に 置 き 換 え る べ き で あ る,な ぜ な ら 米 国 法 で は"bodiescorporate"は 限 定 的 な 意 味 を 持 つ か ら で あ る,第 二 の 点 に つ い て,法 原 則 宣 言 の 条 文 の よ う に,第 一 文 の 末 尾 に 「自 国 の 活 動 が こ の

マ マ

(条 約)に お い て 定 め られ る諸 原 則 に従 っ て行 わ れ る こ と を確 保 す る」 とい う 文 言 を加 え るべ き で あ る,そ して,第 三 の 点 につ い て,将 来 の起 草 段 階 で は 「 宇 宙 空 間 にお け る 又 は天 体 上 の 」 とす るか 「 月 そ の 他 の 天 体 を含 む宇 宙 空 間 に お

け る」 とす る か を決 定 す る必 要 が あ る,と い う意 見 を述 べ た92)。

こ れ に対 し,ソ 連 は,米 国 の提 案 を基 本 的 に受 け入 れ つ つ,第 二 の 点 に つ い て,「 この 条 約 に お い て 定 め られ る 諸 原 則 に従 って 」 を 「この 条 約 の 規 定 に従 っ て」 に置 き換 え るべ き こ と を 提 案 し た93)。 この ソ 連 か ら の提 案 を 米 国 が 受 け 入 れ94),審 議 は ソ連 案6条 第 三 文 の 定 め る 国 際 組 織 の 活 動 の 問題 に移 っ た 。

と ころ が,こ の や り取 りの あ っ た 日の 翌 日 に ソ連 は,第 一 の点 に つ い て の 同 意 を撤 回 し,「非 政 府 会 社 」の 表 現 を用 い る よ う再 度提 案 を行 っ た 。そ の 理 由 は,

「"entities"の 語 は"bodiescorporate"に 対 応 す る ロ シ ア 語 よ り も曖 昧 な も の を 意 味 す る 。"bodiescorporate"は,国 内 法 に従 っ て"bodiescorporate"

と して 適切 に認 可 され た 人 の集 団 ま た は組 織 を意 味 す る。 」 とい う こ とで あ る95)。

こ れ に対 して,米 国 そ の他 の 国 か らは 意 見 は 出 され な か っ た 。

宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の起 草 に関 して,記 録 に残 され て い る範 囲 で 審 議 ら しい 審 議 は,こ れ が す べ て で あ る 。

92)lbid.,SR.66,p.12.後 日,米 国 は こ の3点 の 修 正 を 文 書 で 正 式 に 提 案 し た (WorkingPaperNo.14)。 こ のWorkingPaperNo.14は 国 連 文 書 に 記 さ れ て い な い が,池 田 文 雄 『 宇 宙 法 論 』(成 文 堂,1971年)372頁 に 再 録 さ れ て い る 。 93)A/AC.105/C2/SR66,p.12.

94)Ibid.,SR.66,p.12.

95)ibid.,SR.67,p.4.な お,ソ 連 が"entities"の 語 は 曖 昧 で 法 人 格 の 観 点 か ら 何 ら 意

味 を 持 た な い こ と が あ る と 発 言 し た と し て,こ れ を 理 由 と し て 挙 げ る 見 方 も あ る

(池 田 『 前 掲 書 』(注92)197‑198頁 脚 注)。 た だ し,こ の 発 言 は 国 連 文 書 に 記 録

さ れ て い な い 。

(4)

法 律 小 委 員 会 で は,7月 末 か ら8月 初 め にか け て,合 意 が 成 立 した 部 分 に つ い て作 業 部 会 に よ る 条 文 作 成 作 業 が 行 わ れ た96>。 こ こ に お い て,「 ジ ュ ネ ー ブ 合 意 案 」 と呼 ば れ る9の 条 文 案 が 作 成 さ れ た97)。 本 稿 に 関 係 す る の は,6番

目の 条 文 案(L.6)で あ り,次 の規 定 で あ る 。

「 条 約 の当事 者 は,月 その他の天体を含む宇宙空聞における自国の活動について, それ が政府 機 関 に よって行 われ る か非政 府 団体 に よって行 わ れ るか を問わず,国 際 的責 任 を有 し,自 国 の活動 が この条約 の規 定 に従 って行 わ れる こ とを確 保 す る

国際 的責任 を有 す る。 月そ の他 の天体 を含 む宇宙 空 間に おけ る非政 府 団体 の活動 は,関 係 国の 許可 及 び継 続 的監 督 を必要 とす る もの とす る。 国際機 関が 月 その他 の天体 を含 む宇 宙空 間 にお い て活動 を行 う場 合 に は,そ の国際 機 関及 び これ に参 加 す る条約 の 当事 国の双 方 が この条約 を遵 守 す る責任 を有 す る。 」

これ で ほ ぼ 案 文 が確 定 した と言 っ て よい 。 な お,結 局 の と こ ろ,ソ 連 は 「 非 政 府 団 体 」 の 語 に 同 意 し た の で あ ろ う。

こ の作 業 部 会 後 に 再 開 さ れ た 小 委 員 会 全 体 会 合 で は,各 国 が 自 国 の 立 場 に つ い て意 見 を述 べ た 。 上 記 合 意 案L.6の 第 一 文 ・第 二 文 につ い て は,第 一 文 と国 家 の 賠 償 責 任 との 関 係 を指 摘 した ブ ラ ジ ル 代 表 の 発 言98)以 外 は,意 見 は 出 さ れ なか っ た 。

こ の会 期 は こ こ で 一 時 休 会 し,後 日第 二 部 と して 再 開 す る こ と とな っ た99)。

96)こ の 作 業 部 会 の 審 議 は 公 開 さ れ て い た が,そ の 記 録 は と ら れ て い な い と の こ と で あ る 。 遠 藤 哲 也 「国 連 宇 宙 空 間 平 和 利 用 委 員 会 の 歩 み(上)」 『 国 際 衛 星 通 信 時 代 』10号(1987年)44頁 。

97)そ の9の 条 文 案 は,WorkingGroup/L.1‑L.9(rep.inA/AC.105/C2/L:16, AnnexIandalsoinA/AC.105/35,AnnexH).

98)A/AC105/C2/SR.71andAdd.1,p.17.

99)こ の 第5会 期 第 一 部 で 承 認 さ れ た 「委 員 長 に よ る 中 間 報 告 書 」 は,A/AC.105/

C.2/L.16.

(5)

(2)1966年9月 法 律 小 委 員 会第5会 期 第 二 部 〜1967年1月 宇 宙条 約 の 署 名 開放 未合 意 事 項 に つ い て 審 議 す る た め,1966年9月 に法 律 小 委 員 会 第5会 期 第 二 部 が ニ ュー ヨー クで 開 か れ100),同 月 親 委 員 会 第8会 期 が 開 催 さ れ た101)。他 方, こ れ と並 行 して 米 ソ 間 で 非 公 式 協 議 が 進 め られ,米 国 と ソ連 が 上 記 ジ ュ ネ ー ブ 合 意 案 を全 面 的 に取 り入 れ た 改 訂 条 約 案 を そ れ ぞ れ9月 及 び10月 に 提 出 す る と い う動 きを 経 て102),よ う や く12月 上 旬 に 全 文 に つ い て 関 係 国 に よ る 合 意 が 得

られ た 。

第 一 委 員 会 に提 出 さ れ た,宇 宙 条 約 案 を付 属 書 とす る43力 国 共 同 決 議 案103) は,12月17日 に 決 議 本 文 に 若 干 の語 句 が 追 加 され て(条 約 文 自体 は 修 正 な く) 同 委 員 会 に よ り採 択 さ れ,決 議 案IIと し て成 立104),こ の 決 議 案llは,12月19 日 の 国 連 総 会 に よ り採 択 さ れ105),宇 宙 条 約 を付 属 書 とす る 総 会 決 議2222号

(XXI)が 成 立 した 。 翌 年1967年1月 に,宇 宙 条 約 が 署 名 開 放 さ れ た 。 こ の 問,6条 第 一 文 ・第 二 文 につ い て 議 論 は な く,ま た こ の規 定 の 具 体 的 内 容 を述 べ る よ うな発 言 も行 わ れ な か っ た106)。

宇 宙 条 約6条 で 上 記 ジ ュ ネ ー ブ合 意 案L.6と 異 な る 点 は,第 一 文 冒 頭 の 「条

100)こ こ で は 何 ら 合 意 は 成 ら な か っ た 。 こ の 第5会 期 で 作 成 さ れ た 報 告 書 は, A/AC.105/35(rep.inA/6431,AnnexIII).

101)こ こ で も 見 る べ き 進 展 は な か っ た 。 こ の 第8会 期 で 作 成 さ れ た 報 告 書 は, A/6431(rep.inGAOR,7'ω θ礎yッ6癬session,Annexes,Agendaitems30,89

and91,pp。8ff.).

102)米 国 改 訂 案(A/6392(rep.inGAOLR,ψ 砿pp。5‑8))9条 は,上 記 ジ ュ ネ ー ブ 合 意 案L6の 冒 頭 部 分 が 「条 約 の 当 事 国 」 と な っ て い る 他 は 同 文,ソ 連 改 訂 案 (A/6352/Rev.1(rep.inGAOR,ibid.,pp.3‑5))6条 は,L.6と 全 く 同 文 で あ る 。 103)A/C.1/L.396andAdd.1,2。

104)採 択 に つ い て,GAOR,Twenty‑firstsession,FirstCommittee,p.445,para.86, 決 議 案Hは,第 一 委 員 会 の 報 告 書A/6621,pp.10‑1&

105)GAOR,7「wenty‑firstsession,1499thPlenaryMeeting,voL皿,pp.15‑16,para.

174.

106)第 一 委 員 会 で,イ タ リ ア が,6条 と7条 は 損 害 賠 償(damage)と 賠 償 責 任 (liability)の 考 え を 定 め た も の で あ る が こ の 主 題 に 関 す る 協 定 を 早 期 に 作 成 す べ き,と 述 べ た 発 言 が あ る(GAOLR,supranote104(FirstCommittee),p.431,

para37)だ け で あ る 。

(6)

約 の 当 事 者(ThePartiestotheTreaty)」 が 「条 約 の 当 事 国(StatesParties totheTreaty)」 に,第 二 文 の 「関 係 国(Stateconcerned)」 が 「条 約 の 関 係 当 事 国(appropriateStatePartytotheTreaty)」 に 修 正 さ れ た こ と の み で あ る107)。

4.法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 と宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の 相 違 点 以 上 見 た よ う に,宇 宙 条 約6条 は,1963年11月 の 米 ソ非 公 式 協 議 案5項,1963 年12月 法 原 則 宣 言5項,1966年 夏 の ジ ュ ネ ー ブ合 意 案6条 を経 て 成 立 した 。 宇 宙 条 約6条 は,米 ソ非 公 式 協 議 案5項 と比 べ る と,実 質 的 に また 結 果 的 に ほ ぼ 同 文 で あ る。 また,実 際 に もこ の 非 公 式 協 議 案 以 降 は,宇 宙 条 約 の 成 立 に至 る ま で,条 文 の解 釈 に役 立 つ よ うな 内 容 を持 つ 議 論 は な され て い な い 。

こ こで,法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 と宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の 主 な相 違 点 を確 認 して お きた い 。

① 第 一 文 冒 頭 の 「国(States)」 が 「 条 約 の 当 事 国(StatesPartiestothe Treaty)」 に 変 わ っ た こ と,

② 第 一 文 の動 詞 部 分"bear"が"shallbear"に 変 わ っ た こ と,

③ 第 一 文 末 尾 の 「こ の 宣 言 に お い て 定 め られ る諸 原 則 」 が 「この 条 約 の規 定」 に変 わ っ た こ と,

107)な お,「 条 約 の 関 係 当 事 国 」 に修 正 さ れ た 経 緯 は,国 連 の 記 録 か ら は 確 認 で き な か っ た 。 こ こ で 正 確 に 経 過 を辿 る と,第 一 委 員 会 に提 出 さ れ た 決 議 案 が 記 載 さ れ て い る12月15日 付 け の 国 連 文 書(A/C.1/L396,Annex,pp.5‑6)及 び 同 委 員 会 に よ り採 択 され た 決 議 案llが 記 載 さ れ て い る12月17日 付 け の 第 一 委 員 会 報 告 書 (A/6621,p.14)で は,「 関 係 国 」 で あ っ た 。12月 ユ9日の 国 連 総 会 で は,条 約 案 そ の も の は 無 修 正 で 採 択 さ れ て い る(GAOR,smpranote101(Annexes),p.26,

para19.ま た,国 連 総 会 で の 審 議 記 録(GAOR,supranote107(Plenary

Meetings),pp.11‑15)参 照)。 と こ ろ が,こ の 国 連 総 会 決 議 を 再 録 す る 多 くの 公 的 な 資 料 で は,「 条 約 の 関 係 当 事 国 」 と な っ て い る(GAOR,Twenty‑first session,SuPplementNo.16(A/6316),p.14;YearbookoftheUnitedNations

1966,p.42;外 務 省 国 際 連 合 局 政 治 課 『 国 際 連 合 第21回 総 会 の 事 業(上 巻)』(1967

年)269‑270頁)。 つ ま り,成 立 し た 決 議 は,記 録 上 は 無 修 正 で 採 択 さ れ た 原 案

と 文 言 が 異 な っ て い る と い う こ とで あ る 。 した が っ て,い つ い か な る 理 由 に よ

り原 案 の 「関 係 国 」 が 「条 約 の 関 係 当 事 国 」 に 修 正 さ れ た の か,記 録 上 は 謎 で

あ る 。

(7)

④ 第 二 文 末 尾 の 「 関 係 国」 が 「 条 約 の 関 係 当事 国 」 に変 わ っ た こ と,

⑤ 仏 文 テ キ ス トの 条 文 構 造 に つ い て で あ る が,法 原 則 宣 言108)5項 第 一 文 で は,「 国 際 的 責 任 」 の 語 は前 段 に しか 係 ら ない,つ ま り直 訳 す る と 「自 国 の 活 動 に つ い て 国 際 的 責 任 を有 し,か つ,確 保 しな け れ ば な らな い。」

と い う条 文 構 造 で あ っ た が,宇 宙 条 約 で は,英 文 テ キ ス トと 同 じ く 「 国 際 的 責 任 」 の 語 が 前 段 と後 段 に 係 る構 造 に変 わ っ た こ と,

で あ る。 こ れ らの 変 更 に よ る意 味 の 違 い に つ い て,検 討 して み よ う。

まず,第 一 文 に 関 わ る① 〜 ③ の 変 更 は,総 会 決 議 か ら法 的 拘 束 力 を持 つ 条 約 へ と変 わ っ た こ と に伴 う変 更 以 上 の もの で は ない 。

④ につ い て は,英 文 テ キ ス トで は上 述 の よ う に表 現 が変 わ っ て い る109)が,露 文 テ キス トで は,直 訳 す る と法 原則 宣 言110)の 「 適 当 な 国(cooTBeTcTByroIIIero

rocynaPCTBa)」(格 は 原 文 の ま ま)に 対 し宇 宙 条 約 で は 「 条 約 加 盟 国 で あ る 適 当 な 国(cooTBeTcTBylomerorocylEapcTBa‑yqacTHMKanoroBopa)」(同)

で あ り,こ れ も総 会 決 議 か ら条 約 に 変 わ っ た こ と に伴 う変 更 の域 を 出 な い 。 し た が っ て,英 文 テ キ ス トで の 文 言 の 変 更 は,「 各 正 文 に お い て 同 一 の 意 味 を 有 す る と推 定 さ れ る」とす る条 約 法 条 約33条3項 の規 定 に照 ら して 考 え る な ら ば, ま た 本 稿 で見 て き た よ う に宇 宙 条 約 作 成 に お け る ソ連 の 中 心 的役 割 に伴 う露 文 テ キ ス トの重 要 性 に鑑 み る な らば,少 な く と も条 約 成 立 時 点 で は 意 味 を持 た な い と言 っ て よ い 。

⑤ は,本 稿 の 「 一.3.(2)」 で 指 摘 した疑 問 と 関係 す る。 こ の 点 につ い て, 露 文 テ キ ス トで は,法 原則 宣 言 も宇 宙 条 約 も,英 文 テ キ ス トと同 じ く 「国 際 的 責 任 」 が 前 段 と後段 の 両 方 に係 る構 造 に な っ て い る。 繰 り返 す よ う に,宇 宙 条 約 の作 成 過 程,特 に1963年11月 の 米 ソ非 公 式 協 議 案 の持 つ 重 要 性 に 鑑 み る と,

108)仏 文 テ キ ス ト は,P.deLaPradelle,"EspaceetRelationsInternationales",26 五〜evueg2n2raledel'air(1963),331,pp.343‑345.

109)仏 文 テ キ ス ト も,法 原 則 宣 言 が 「関 係 国(Etatint6ress6)」 で あ る の に 対 し, 宇 宙 条 約 は 「 条 約 の 関 係 当 事 国(Etatappropri6partieauTrait6)」 で あ り, 英 文 テ キ ス ト と 同 様 の 変 更 が な さ れ て い る 。

110)露 文 テ キ ス ト は,SovietYearbookOflnternationalLaw1963,pp.621‑622.

(8)

少 な く と も宇 宙 条 約 の準 備 作 業 の段 階 で は仏 文 テ キ ス トは ほ とん ど解 釈 上 意 味 を持 たず,英 文 及 び露 文 テ キ ス トの 方 が 決 定 的 に重 要 で あ る。 した が っ て,仏 文 テ キ ス トの 条 文 構 造 の 変 更 は,宇 宙 条 約 の解 釈 に影 響 を与 え な い とい うべ き で あ ろ う。 た だ,強 い て い う と,法 原 則 宣 言 の 各 国語 と も 「同一 の 意 味 を有 す る と推 定 さ れ る 」(条 約 法 条 約33条3項)と す る な らば,英 文 と露 文 の 「 確 保 す る国 際 的責 任 」 は仏 文 と 同 じ く 「 確 保 しな けれ ば な ら ない 」 とい う義 務 の 意 味 の み 持 つ(つ ま り違 法 行 為 責 任 を含 ま な い)と い う解 釈 が 成 り立 つ と い え な い こ と もな い 。

以 上 の こ とか ら,宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 は,英 文 テ キ ス トと露 文 テ キ ス トを 中心 に 置 い て 考 え る と,法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 と比 べ て 内容 を 変 え る よ う な 変 更 は な され て い な い とい う こ とが で きる 。 前 述 した よ う に法 原 則 宣 言5項 は 米 ソ非 公 式 協 議 案5項 と ほ ぼ 同 文 で あ る か ら,結 局 の と こ ろ,宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 は,文 言 の 相 違 を 考 慮 して も,米 ソ非 公 式 協 議 案5 項 第 一 文 ・第 二 文 か ら何 も変 わ っ て い な い と結 論 づ け る こ とが で き る。

しか し,こ れ まで 見 て きた 条 約 ・法 原 則 宣 言 の 審 議 か ら,条 約6条 の 「 活 動 につ い て の責 任 」 とい う特 別 の帰 属 の 規 則 の基 準 や 冒頭 で 指 摘 した い くつ か の 疑 問 点 は,果 た して ど こ まで 明 らか にで きる の で あ ろ うか 。

三.学 会 ・シ ン ポ ジ ウ ム 等 の 動 向111)

次 に,法 原 則 宣 言 ・宇 宙 条 約 の作 成 当 時 の学 会 ・シ ンポ ジ ウ ム等 の 動 向 を 詳

111)宇 宙 法 の 形 成 に 関係 した 学 会 ・シ ンポ ジ ウ ム 等 に 関 す る情 報 を 記 す も の と して, 必 ず し も網 羅 的 で は な い が,S.旺Lay/H.J.Taubenfeld,TheLawRelatingto

ActivitiesofManinSpace(1970),pp.304‑306及 びK.L.LLWorldWideSpace

Law.Bibliography(1978),pp.104‑109が 有 用 で あ る 。 な お,以 下 で 紹 介 す る 学

会 ・シ ンポ ジ ウ ム 等 は,宇 宙 法 に 関 す る 当 時 の す べ て の 学 会 等 を 網 羅 して お ら

ず,資 料 ・文 献 を入 手 し そ の 内 容 の 詳 細 が 確 認 し え た 範 囲 に 限 定 し て い る。 し

か し,宇 宙 条 約(な い し法 原 則 宣 言)の 形 成 に 影 響 を 与 え た と い う 意 味 で 宇 宙

条 約 の 解 釈 の 参 考 と な り う る ほ ど の 重 要 な も の と い う 点 か ら 考 え る と,そ の 範

囲 で 十 分 に そ の 目 的 が 達 成 で き よ う 。

(9)

し く見 て み よ う。 冒 頭 で指 摘 した よ うに,宇 宙 条 約 の 成 立 を考 え る に あ た って は こ れ ら学 会 等 の 議 論 を無 視 す る こ とは で き な い 。 実 際 の と こ ろ,6条 に つ い て も,国 連 で の 審 議 と国連 外 で の 議 論 とが 相 互 に作 用 し,そ の 内 容 に一 定 の 方 向 性 を 与 え て い る 。 これ らの 学 会 等 に お け る議 論 は,宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の作 成 に 関 して 具 体 的 に どの よ うに 関 わ りを 持 ち,ま た この 規 定 を解 釈 す る に あ た り どこ まで 参 考 に し う る の で あ ろ う か。 以 下,法 原 則 宣 言 及 び 宇 宙 条 約 が 成 立 した 当 時 の 学 会 等 の 動 向 につ い て,本 稿 との 関 心 に 絞 っ て詳 し く見 て い きた い 。

1.1961年 以 前 の 議 論

1961年 以 前,つ ま り1962年 に ソ連 が 私 企 業 活 動 の 禁 止 を 主 張 す る ま で は,私 企 業 の宇 宙 活 動 に つ い て は い くつ か の 論 考 に お い て 一 応 の簡 単 な言 及 が な さ れ つ つ も,そ れ ほ ど大 き な 関心 は寄 せ られ なか っ た 。 宇 宙 空 間 ・宇 宙 活 動 へ の 国 際 法 の適 用 可 能 性,宇 宙 空 間 の 法 的 地位,宇 宙 空 間 と領 空 の境 界,宇 宙 の 軍 事 的 利 用 の 問 題 な ど,宇 宙 空 間 ・宇 宙 活 動 の 国 際 法 制 度 に お け る よ り基 本 的 な 問 題 が 未 解 決 で あ っ た こ と,そ し て私 企 業 が 宇 宙 活 動 に従 事 す る こ とは 当 面 の と こ ろ不 可 能 で あ る と思 わ れ て い た112)こ とか ら考 え る と,む しろ 当 然 で あ ろ う。

しか しそ れ で もな お,本 稿 の 関 心 か ら看 過 で きな い い くつ か の 論 考 が,こ の 時 期 に示 され て い る 。

(1)1956年 ア メ リカ 国 際 法 学 会 第51会 期113)

宇 宙 条 約6条 に 示 さ れ た よ う な,私 企 業 の 宇 宙 活 動 につ い て 国 家 が 国 際 法 上

112)CW.Jenks;"lnternationalLawandActivitiesinSpace",51nternationaland

Co〃zparativeLawQnarterly(hereinaftercitedas  ICL(?")(1956),99,pp.104‑

105;H.A.Colclaser,PプoceedingsOfthe/1〃zericanSocietyoffnternationalLaw

atits50thAnnualMeetingヱ956(1956)(hereinaftercitedas『ASZ乙 、Pプo‑

ceedings1956"),p.100;MS.McDougal/L.Lipson,"PerspectivesforaLawof OuterSpace",52A∫ 乙乙(1958),407,pp.413‑414.

113)ノ1SZ乙Proceedingsヱ956,ibid.,84.

(10)

の 責 任 を負 う とい う表 現 ・考 え 方 は,確 認 で き た範 囲 で は,1956年 の ア メ リ カ 国 際 法 学 会 第51会 期 で のCooperの 発 言 が 最 初 で あ る。

彼 は,海 洋 法 分 野 に お い て,船 舶 に 自国 の 国旗 を 用 い る権 利 を与 え た 国 は公 海 上 及 び外 国 港 で の 「 そ の 船 舶 の 善 良 な 行 動(goodconduct)に つ い て 一 定 の 国 際 責 任(certaininternationalresponsibilities)を 負 い」,同 時 に そ の 船 舶 の 守 護 者 と して そ の 国 際 的 権 利 を実 施 す る た め に行 動 す る と い う こ と,ま た [1944年 の]シ カ ゴ条 約 で も航 空 機 は 同様 の 国 籍 の性 格 が 与 え られ る こ と,に 触 れ て,宇 宙 空 間 が 公 海 の よ うに 自 由 で あ る な ら,国 家 は 「自国 の ロ ケ ッ トと 衛 星 の 国 際 的 な 善 良 な 行 動 につ い て 責 任 を負 う(responsible)用 意 を し な け れ ば な らな い 」,し た が っ て 国籍 は こ れ ら新 型 の飛 行 手 段 が 国 際 規 制 の 分 野 に 持 ち 込 ま れ る 時 に は検 討 され な け れ ば な らな い,と い う考 え を述 べ た114)。

この 学 会 の場 で は,彼 の 意 見 を め ぐ りい くつ か の 意見 が 出 さ れ た 。 例 え ば, 一 方 で ,国 籍 概 念 を検 討 す べ き と い う彼 の 意 見 に 同 意 す る 立 場 が あ り115),他 方 で,こ れ らの 意 見 に 反 対 し,現 時 点 で は 政 府 以 外 に衛 星 を打 ち 上 げ る に 必 要 な経 済 的 地 位 を有 す る 団 体 が 存 在 し な い か ら,政 府 以外 の 団体 が打 ち上 げ を行 う こ とが 物 理 的 に 可 能 に な る ま で は 国 籍 の 問題 は重 要 で は な い とい う意 見 もあ っ た116)。 ま た,衛 星 の 落 下 事 故 に つ い て の 賠 償 責 任 に 関 して,物 体 を打 ち 上 げ させ た こ と に つ い て 責 任 を負 う(responsible)国 が 賠 償 金 を支 払 う よ う義 務 づ け られ る の か,そ れ と も妥 当 な 予 防 措 置 が と られ ネ グ リ ジ ェ ンス が な い場 合 に は賠償 責 任 は ない とい うべ きか,と い っ た問 題提 起 をす る立 場 もあ っ た117)。

こ こで は,落 下 事 故 に よ り生 じた 損 害 につ い て の 賠 償 責 任 と は 区 別 され る 「 物 体 を打 ち上 げ させ た こ と につ い て の 責 任 」とい う観 念 が 用 い られ て い る こ と に, 注 意 が 必 要 で あ る。

この よ う に,Cooperが 「 活 動 につ い て の 責 任 」 とい う観 念 を用 い て い る こ

114)J.C.Cooper,"LegalProblemsofUpperSpace",ibid.,85,pp.92‑93.

115)A.Meyer,ibid.,p.98。

116)H.A.Colclaser,ibid.,pp.99‑100.

117)Q.Wright,ibid.,p.107.

(11)

と,そ して そ れ は,彼 の 問 題 提 起 を め ぐ る討 論 が 明 らか に して い る よ うに,こ の 観 念 は私 企 業 に よっ て 宇 宙 活 動 が 行 わ れ る と い う状 況 に 関係 して い る とい う こ とが,本 稿 の 関心 か ら注 目さ れ る。

と こ ろ で,彼 の い う 「ロ ケ ッ トと衛 星 の 国 際 的 な 善 良 な行 動 に つ い て の責 任 」 は,彼 自身 述 べ る よ う に 「 公 海 上 の 船 舶 の 善 良 な行 動 につ い て の 責 任 」 と同 じ 性 格 を持 つ 。 海 洋 法 分 野 で は,慣 習 法 上 は も と よ り,ち ょ う ど この 時 期 に作 成

され 採 択 され た 公 海 条 約(1956年ILC草 案 作 成,1958年 採 択)で も,国 家 が 自国 籍 を持 つ 船 舶 の行 為 につ い て,そ れ が 自国 の行 為 とみ な され(つ ま り 自国 に 帰 属 して)国 際 法 上 の 責 任 を負 う とい う規 則 は存 在 しな い が,他 方,国 家 は, 自国 籍 を有 す る船 舶 に 対 し有 効 に 管 轄 権 を行 使 し規 制 を行 わ な け れ ば な らな い と さ れ る(公 海 条 約5条1項 第 三 文 後 段)。 した が っ て,ま た 「 責 任 」 が 複 数 形 で あ る こ と も考 慮 す る と,Cooperの い う 「ロ ケ ッ トと衛 星 の 国 際 的 な 善 良 な 行 動 につ い て の責 任 」 は,違 法 行 為 責 任 や 帰 属 の 規 則 につ い て 述 べ た もの で は な く,公 海 条 約 の よ う な私 企 業 の 活 動 を規 制 す べ き国 家 の義 務 と い う意 味 と 思 わ れ る。

(2)1958年McDougat1Lipson118)

1958年 にMcDougalとLipsonは,宇 宙 法 に 関 す る様 々 な 問 題 点 を 多 角 的 に 論 じる論 文 を発 表 した 。 彼 らは,宇 宙 活 動 の 主 要 な行 為 者 は 国家 で あ り民 間 団 体 は 資 金 提 供 とい う役 割 に止 ま る とい う認 識 に 立 ち つ つ も119),宇 宙 空 間 は 共 有 可 能(sharable)な い し非 排 他 的(inclusive)で あ る限 度 で 自 由 に利 用 され るべ きで あ るが,こ れ は世 界 社 会 の 公 的秩 序 を確 保 す る た め制 限 さ れ る と した 上 で,そ の 制 限 方 法 の 一 つ と し て,「 無 責 任 な(つ ま り 旗 の な い) (unaccountable(flagless))宇 宙 物 体 ま た は宇 宙 船 」 の 活 動 を 防止 す る こ とを 挙 げ,こ れ が 公 海 上 の 海 賊 に対 す る措 置 と比 較 され る と い う考 え を示 した120)。

118)McDougal/Lipson,smpranotell2,407.

119)Ibid.,pp.413‑414,427.

120)Ibid.,pp.415‑416.

(12)

こ こ で も海 洋 法 分 野 との ア ナ ロ ジ ー が用 い られ て お り,無 責 任 で あ る こ と と 旗 国 の 不 存 在 とが 結 び つ け られ て い る こ とが 注 目 され る。 た だ し,こ の 考 え の 正 確 な意 味 は 必 ず し も明 確 で は な い 。 海 賊 に対 す る 措 置 と の比 較 で あ れ ば,普 遍 的 管 轄 権 に 基 づ きす べ て の 国 が 当 該 「 無 責 任 な」 活 動 を規 制 し処 罰 す る権 限 を 有 す る とい う こ とに な ろ う が,当 該 活 動 が 宇 宙 空 間 で 行 わ れ る場 合 で あ っ て も地 上 か らの衛 星 の 運 用 を指 す 場 合 で あ っ て もそ れ を す べ て の 国 が 規 制 し処 罰 し う る とい う状 況 は現 実 に は想 定 しが た い。 恐 ら く,Cooperと 同様,公 海 条 約5条1項 第 三 文 後 段 の よ う な 国 家 の 義 務 を念 頭 に置 い て,当 該 宇 宙 活 動 を 少 な く と も1国 の 管 轄 下 に置 きそ の 国 が 当該 活 動 に対 し規 制 を行 う とい う趣 旨 で あ ろ う。

(3)1960年 ニ ュー ヨ ー ク 市 法 曹 協 会 「 宇 宙 活 動 協 定 試 案 」121) 1960年 に ニ ュー ヨ ー ク 市 法 曹 協 会(AssociationoftheBaroftheCityof

NewYork)航 空 委 員 会 が 作 成 した 「 宇 宙 活 動 協 定 試 案 」 は,あ るべ き宇 宙 法 規 則 を 条 文 形 式 で 示 した恐 ら く初 め て の 試 み で あ ろ う。 この 試 案 は,宇 宙 条 約 が 成 立 して い る今 日の 目か ら見 て も驚 くほ ど優 れ た 詳 細 な 内 容 を持 つ 。 そ の う ち,「 損 害 につ い て の賠 償 責 任(Liability)」 と題 す るS項 の み が,責 任 の 語 を 用 い て い る。 こ の 項 は,次 の よ う な規 定 で あ る 。

「締 約 国 は ,宇 宙 活動 に よ り引 き起 こされ る被 害又 は損 害が,そ の宇 宙活動 につ い て 責 任 を 負 う(responsible)国 に よ っ て,将 来 特 定 さ れ る 責 任 制 限 の 下 で,過 失 の 有 無 を 問 わ ず,賠 償 さ れ る(bereimbursed)こ と を 考 慮 す る 。(以 下 略)」

こ の 規 定 に お い て,「 宇 宙 活 動 に つ い て 責 任 を負 う」 とい う文 言 が 用 い られ

121)"SomeTentativeProvisionsforInternationalAgreementsonSpaceActivi‑

ties".原 典 は,For〃monSpaceLaw(March24,1960)と い う 謄 写 版(mimeo.) で あ り 今 日 一 般 に は 入 手 困 難 で あ る が,C.W.Jenks,SpaceLaw(1965),pp.

440‑445に 再 録 さ れ て い る 。 こ の 協 定 試 案 に 言 及 す る 文 献 は ほ と ん ど な い が,

(13)

て い る が,損 害 に つ い て の賠 償 責 任 と区 別 さ れ る 「 活 動 に つ い て の責 任 」 の 概 念 が 持 ち 込 まれ て い る点 に注 意 が 必 要 で あ る。 た だ し,こ の 表 現 の意 味 す る こ と は 明 らか で は な い 。 ま た,こ の 試 案 の どの 条 項 も私 企 業 活 動 につ い て触 れ て い な い た め,私 企 業 活 動 を どの よ う に捉 え て い る の か も明 らか で は な い 。

(4)そ の 他

そ の 他,1960年8月 の 国 際 法 協 会 第49会 期(ハ ン ブ ル グ)の 「空 法 及 び 宇 宙 法 」 に 関 す る 討 議122),国 際 宇 宙 法 学 会(lnternationalInstituteofSpace

Law;HSL)の 各 集 会123),ア メ リ カ 国 際 法 学 会 の1961年 第55会 期124)と い っ た 定 期 的 に 開 催 さ れ る 学 会 の ほ か,1961年2月 に 全 米 法 曹 協 会(lnter‑American BarAssociation)が コ ロ ン ビ ア ・ボ ゴ タ で 採 択 し た 「宇 宙 の マ グ ナ カ ル タ

(MagnaCartaofSpace)」 と 題 す る 条 文 形 式 の 決 議125),同 年8月 の ア メ リ

Jenks,ibid.,PP.131‑132とC.Q.Christol,"TheInternationalLawofOuter

Space",551nternationalLawStudies1962(1966),1,pp。239‑241,377‑378カ ミこ れ を 取 り 上 げ て い る 。

122)InternationalLawAssociation,Reportofthe49thConferenceヱ960(1961)

(hereinaftercitedas"491LAReport1960"),pp.245ff.決 議 文 は,Ibid.,pp.

267‑269.

123)1960年8月 第3集 会(ス ト ッ ク ホ ル ム)(3SpaceLawColloquium1960(1961)), 1961年10月 第4集 会(ワ シ ン ト ン)(4SpaceLawColloquiumヱ961(1963))。

な お,同 学 会 は,1960年4月 に11の 法 律 問 題 を 研 究 す る た め11の 作 業 部 会 を 設 置 し,各 作 業 部 会 は そ の 後 数 年 に わ た っ て 報 告 書 を 提 出 し た 。 こ れ ら の 法 律 問 題 は,私 企 業 活 動 の 問 題 を 直 接 扱 っ て い な い が,私 企 業 の 宇 宙 活 動 を 前 提 と す る よ う な 問 題 設 定 が な さ れ て い る(法 律 問 題 第5号1(a),第8号1,2)。 こ れ ら の 法 律 問 題 と 作 業 部 会 に つ い て,2SPaceLawColloquium1959(1960),

pp.IH‑VII,ま た,H、Berger,"LegalProblems‑SubjectsofCosmicSpaceEx‑

ploration",36TempleLawQuarterly(1962),54,pp.58‑65参 照 。 各 作 業 部 会 の 報 告 書 は,4SPaceLawColloquium1961以 下 の 各 巻 に 掲 載 さ れ て い る 。 124)55ASILProceedings1961(1961),162.

125)決 議 全 文 は,Yearbookof.4irandSpaceLaw1965,pp.645‑647.こ の 決 議 に 言 及 す る 文 献 は 少 な い が,こ の 決 議 は,賠 償 金 支 払 い の た め の 国 際 保 険 基 金 を 提 唱 し て い る(14条)点 で 注 目 さ れ る(Christol,smpranote121,p.243;LP.

Bloomfield,"TheProspectsforLawandOrder",Bloomfielded.,infranote127, p.161)。 ま た,W.A.Hyman,"TheMagnaCartaofSpace",5SpaceLawCol‑

loquium1962,infranote135参 照 。

(14)

力 法 曹 協 会(AmericanBarAssociation;ABA)の 国 際 法 ・比 較 法 分 科 会 宇 宙 法 委 員 会 報 告 書126),及 び,同 年10月 に コ ロ ン ビ ア 大 学 で 開 催 さ れ た 第20回 ア メ リ カ 会 議(AmericanAssembly)「 宇 宙 空 間:人 類 と 社 会 の 展 望 」127)が,宇 宙 法 の 問 題 に つ い て 詳 細 に あ る い は 簡 単 に 取 り上 げ,そ の い くつ か は 何 ら か の 提 言 な い し決 議 を 行 っ て い る が,本 稿 の 関 心 か ら は 特 に 注 目す べ き 内 容 は な い 。

2.1962年 の 動 き

1962年6月 に ソ連 宣 言 案7項 が 公 表 され て か ら,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 の 問 題 が,解 決 さ れ る べ き問題 点 の 一 つ と して 明確 な 形 を現 す よ う に な っ た 。

個 々 の 学 者 は,こ の 問 題 につ い て 国 連 内 で の議 論 の動 向 を紹 介 す る に と どま り,そ れ 以 上 に ソ 連 宣 言 案 や他 の 代 表 の 意 見 に つ い て詳 論 して お らず,国 連 内 の 議 論 の 動 向 を静 観 す る とい う立 場 を 堅 持 した よ う で あ る128)。 しか し,万 国 国 際 法 学 会 を始 め様 々 な学 会 組 織 が こ の 問 題 を重 視 し積 極 的 に論 じた 。

(1)1962年8月 万 国 国 際 法 学 会Jenks予 備 報 告 書129)

万 国 国 際 法 学 会 は,1963年9月 の 第50会 期(ブ ラ ッ セ ル)で の 決 議 の 採 択 に 向 け て,C.W.Jenksを 報 告 者 と し て そ の 準 備 を 進 め た 。Jenksは1962年8月 に,「 宇 宙 空 間 の 国 際 法 」 と 題 す る 予 備 報 告 書(rapportpr61iminaire)を 提 出

126)AmericanBarAssociation,SectionofInternationalandComparativeLaw (hereinaftercitedas"ABAICL"),Proceedings1961,pp.292‑304.

127)L.P.Bloomfielded。,OuterSpace:ProsPectsforManandSociety(1962).

128)J.F.McMahon,"LegalAspectsofOuterSpace",38BritishYearBookofInter‑

nationalLaw1962(1964),339,pp.381‑382;J.Simsarian,"OuterSpaceCo‑

operationintheUnitedNations",57A/Z乙(1963),854,pp.857‑860;J.C.

Cooper,"GegenwartigeEntwicklungimWeltraumrecht",12Zeitschrzftfitr

、LuftundJ7Veltrazamrecht(1963),199,S。201‑202.

129)50Annuairedel'Tnstitutde1)roitfnternational1963‑1(hereinaftercitedas

"IZ)LA

nnuaire1963‑1'),128,こ の 公 表 さ れ て い る 報 告 書 は 仏 文 で あ る が,

Jenks自 身 に よ る 原 著 は 英 文 で あ る(lbid.,p.12&fn.1;p.441,fn.1)。 こ の 英 文

報 告 書 を 大 幅 に 加 筆 修 正 し た も の が,Jenks,supranote121(SpαceLaw)で あ

る と 思 わ れ る 。

(15)

した 。 学 会 は,Jenksの 研 究 に 基 づ き議 論 を行 い,翌 年9月 に決 議 「 宇 宙 空 間 の 法 制 度 」 を採 択 した 。 こ の学 会 決 議 は,そ の直 後 の11月 に宇 宙 空 間平 和 利 用 委 員 会 第5会 期 に提 出 され た宣 言 案(つ ま り米 ソ非 公 式 協 議 案)に 反 映 され て い る こ とが 明 らか に さ れ て お り130),本 稿 の扱 う 問 題 につ い て も,学 会 で の 議 論,特 にJenksの 予 備 報 告 書 が 国 連 内 の 議 論 に 影 響 を与 え た と思 わ れ る 部 分 が 少 な くな い131)。 こ こ で は,先 にJenks予 備 報 告 書 につ い て 取 り上 げ,後 の 「3.(4)」 で 万 国 国 際 法 学 会 で の 議 論 とそ の 決 議 に つ い て紹 介 す る。

Jenksは,予 備 報 告 書 に お い て,「 宇 宙 活 動 につ い て の責 任(Responsabilit6 pourlesop6rationsspaciales)」 と題 す る 一 節 で,前 記 ソ連 旧 宣 言 案7項 を 引 用 しつ つ,こ れ と対 比 させ て,米 国 が 打 ち上 げ た 通 信 衛 星 が 私 企 業 に よ り運 用 さ れ た 事 実 を指 摘 した上 で,米 ソ の合 意 の可 能 性 を探 る た め に二 つ の 原 則 を提 唱 した 。 す な わ ち,第 一 に,宇 宙 物 体 を軌 道 上 に ま た は 軌 道 を越 え て 配 置 す る こ とが で きる の は,国 際 組 織 と国 に 限 る こ と,第 二 に,国 際 組 織 また は 国 が, い か な る状 況 に お い て も,打 ち上 げ られ た物 に つ い て責 任 を負 い続 け る こ と, で あ る 。 こ の 責 任(responsabilit6)は,一 方 で,す べ て の 適 用 可 能 な規 則 が そ の 活 動 を 行 う 団 体 に よ り 尊 重 さ れ る こ と を 継 続 的 に 確 保 す る 義 務 (obligationd'assurer)と,他 方 で,す べ て の 損 害 に つ い て の 国 自 身 の 直 接 責 任(responsabilit6directe)と を含 む 。 これ らの 原則 を必 要 とす る理 由 と して, 第 一 の 原 則 につ い て は,物 体 の 打 ち 上 げ は 国 際 の 平 和 と安 全 の 問題 に 非 常 に密 接 な 関 係 が あ る た め,こ れ を私 企 業 に委 ね る こ と は適 当 で な い こ と,ま た 第 二 の 原 則 につ い て は,打 ち 上 げ を行 う国 際 組 織 ・国 の 責 任 を肯 定 す る こ と に よっ て の み,宇 宙 船 の 作 動 に真 の 責 任(v6ritableresponsabilit6)を 結 び つ け る こ

とが で き る こ と,が 挙 げ られ て い る 。 こ の 「 責 任 」 に つ い て,Jenksは,運

130)1963年11月 の 親 委 員 会 第5会 期 で のLachs法 律 小 委 員 会 委 員 長 の 発 言(A/AC.105 /PV.24,p.6)。 ま た,Cheng,supranote73("UNRes.onOuterSpace"),p.

28,fn.30;S。Bhatt,LegalControls〔]fOuterSpace'Lαw,FreedomαndRespon‑

sibility(1973),p.38参 照 。

131)Jenks,supranote121(SpaceLaw),P.210参 照 。

(16)

用 団 体 に規 定 を適 用 す るた め に 必 要 な措 置 を と る とい う国 際 電 気 通信 条 約 上 の 義 務 に相 応 す る も の で あ り,こ の 責 任 は,私 企 業 に宇 宙 活 動 に お い て 重 要 な役 割 を果 た させ よ う と考 え て い る米 国 の よ うな 国 に とっ て,新 しい 原則 の 導 入 を

もた らす もの で は な い,と 述 べ て い る132)。

私 企 業 活 動 の 可 否 を め ぐ る米 ソ の 見 解 の 対 立 の 解 消 に 向 け た 具 体 的 な 提 案 は,国 連 内 で の 議 論 も含 め,こ れ が 初 め て の もの で あ る 。Jenks案 の 骨 子 は, 宇 宙 物 体 の打 ち 上 げ は 国 と国 際 組 織 の み と し,宇 宙 物 体 の 運 用 は民 間 で も よ い が 宇 宙 活 動 ・宇 宙 物 体 に つ い て 国 が 責 任(つ ま り規 則 の遵 守 の 継 続 的 な確 保 と 賠 償 責 任)を 負 う とす る もの で あ る 。 この 案 そ れ 自体 は法 原 則 宣 言5項 ・宇 宙 条 約6条 と は異 な る内 容 で は あ る が,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 の 問 題 と 「 責 任 」 の 概 念 をか な り明確 な形 で結 び つ け て い る こ とに,強 く注 目 し な け れ ば な らな い 。 た だ し,彼 の 説 明 の 中 に は,特 別 の 帰 属 の規 則 は含 意 され て い な い こ とに 注 意 が 必 要 で あ る 。

Jenksの 提 出 した 予 備 報 告 書 に は,学 会 第 二 委 員 会 の検 討 に付 され るべ く, い くつ か の 質 問 が付 され て い た 。 そ の 質 問 に は,次 の も の が含 まれ て い た 。

「13.決 議 は,次 の こ と を 規 定 す べ きか 。

a)国 家 間 国 際 組 織 ま た は 国 の み が,軌 道 上 ま た は軌 道 を 越 え て 物 体 を 打 ち 上 げ る こ とが で きる 。

b)軌 道 上 へ の ま た は 軌 道 を 越 え て の 物 体 の 打 ち 上 げ に つ い て 責 任 を 負 う (responsable)国 家 間 国 際 組 織 ま た は 国 が,行 わ れ る 活 動 が 国 際 法 規 則,適 用 可 能 なす べ て の 国 際 協 定 並 び に 宇 宙 に お け る 活 動 を規 律 す る 国 際 規 則 及 び規 範 に従 っ て 行 わ れ 続 け る こ と を確 保 す る(s'assurer)。 」133)

この13.a)は 上 記 第 一 の 原 則 を示 して い る が,b)は 第 二 の 原 則 と内 容 が 異

132)IDI/lnnuaire1963‑1,smφranote129,PP.338‑339, 133)Ibid.,pp.377‑37&

(17)

な っ て い る こ と に 留 意 す る 必 要 が あ ろ う134)。

(2)1962年9月 国 際 宇 宙 法 学 会 第5集 会135)

1962年9月 に 開 催 さ れ た 国 際 宇 宙 法 学 会 の 第5集 会 で は,ソ 連 の 立場 につ い て そ れ ほ ど注 目 され て お らず,東 側 諸 国 か らの学 者 の み が ソ連 案7項 に言 及 し た136)。

そ の 中 で,チ ェ コス ロバ キ ア のKopalは,「 責 任 」 の 語 を用 い て こ の ソ連 案 を支 持 した 。 彼 は,ソ 連 案7項 を支 持 す る理 由 の 中 で,国 家 が 宇 宙 空 間 にお け る平 和 共 存 を維 持 す る どい う利益 に お い て 負 うべ き義 務 の性 格 は,こ れ ら の義 務 が そ の 履 行 な い し違 反 につ い て 直 接 に責 任 を 負 う(responsible)国 に よ っ て 遂 行 され る とい う こ と を 必 要 とす る,こ の 責 任(responsibility)は ま た, 国 際 的規 模 で の宇 宙 飛 行,事 故 の 際 に与 え られ る援 助,宇 宙 飛 行 士 と宇 宙 船 の 返 還,及 び 損 害 につ い て の 賠 償 責 任(liability)を 促 進 す る こ と を 目的 とす る そ の他 の 義 務 に も関 係 す る,と 述 べ た137)。 彼 は,「 責 任 」 の 語 を意 味 あ る も の と して 用 い て い る よ うで あ る が,そ の 具 体 的 な 意 味 は 明確 で は な い。

134)な お,Jenksは,「 責 任 」 は 損 害 に つ い て の 責 任(つ ま り 賠 償 責 任)を 含 む と し て い る が,彼 は 別 の 箇 所(lbid.,pp.345‑350)で 損 害 に つ い て の 責 任 の 問 題 を こ こ で の 「責 任 」 と の 関 係 を 説 明 す る こ と な く詳 し く論 じ て お り,し か も,質 問13は 損 害 に つ い て の 責 任 の 問 題 を 含 ん で い な い(こ れ は 質 問16で 取 り 扱 わ れ て い る(lbid.,p.379))。 そ の た め,彼 が こ こ で の 「責 任 」 と 損 害 に つ い て の 責 任 を ど の よ う に 関 係 づ け て い る の か 必 ず し も 明 ら か で な い 。 ま た,そ の 後 の 万 国 国 際 法 学 会 で の 一 連 の 審 議(後 述 「3.(4)」)で は,私 企 業 活 動 の 問 題 に お い て 損 害 に つ い て の 責 任 の 問 題 は 取 り 上 げ ら れ て い な い こ と に 留 意 し な け れ ば な ら な い 。

135)5SpaceLawColloquiumZ962(1963).な お,こ れ は 通 し ペ ー ジ が 付 さ れ て い な い た め,以 下 の 引 用 ペ ー ジ は 各 論 文 ご と に 付 さ れ た ペ ー ジ で あ る 。

136)ソ 連 のGP.Zhukov,"ProblemsofSpaceLawatthePresentStage",ibid.,pp.

24‑25及 び ハ ン ガ リ ー の1.Csabafi,"CurrentProblemsofSpaceLawin1962",

ibid.,p.3.Zhukovの 示 し た 考 え は,法 律 小 委 員 会 第1会 期 で の ソ 連 案7項 に つ い て の ソ 連 代 表 の 説 明(注25)と ほ ぼ 同 じ で あ る 。

137)V.Kopal,"QuestionsRaisedattheSessionsoftheUnitedNationsCommittee

onthePeacefulUsesofOuterSpaceandItsLegalSub‑Committee,1962",

ibid.,P.4.

(18)

(3)1962年DavidDaviesMemoriallnstitute規 則 案138)

英 国 のDavidDaviesMemorialInstituteofInternationalStudies(以 下

"D

avidDaviesMemoriallnstitute"と す る)の 宇 宙 法 研 究 グ ル ー プ (Jennings議 長,Fawcett報 告 者)は,「 宇 宙 空 間 の 探 査 及 び 利 用 に 関 す る 規 則 案 」 を 作 成 し た(翌 年 改 訂,後 述 「3.(6)参 照 」)。 こ の 規 則 案(改 訂 版)は, 前 述 し た よ う に,私 企 業 活 動 と の 関 連 で 国 連 内 で 英 国 代 表 か ら何 度 か 言 及 さ れ た だ け で な く1962年12月 の 英 国 宣 言 案 に も 取 り 入 れ ら れ て お り139),国 連 で の 審 議 に 影 響 を 与 え て い る 。

こ の 規 則 案 は,2.2項 で 自 国 民 が 宇 宙 の 探 査 と 利 用 を 行 う こ と を 国 家 の 権 利 と し て 明 示 的 に 認 め つ つ,5.3項 で,私 人 ・民 間 会 社 に よ る 宇 宙 船 の 運 用 は 国 籍 国 の ラ イ セ ン ス を 条 件 と す る 旨 規 定 し た 。 こ の5.3項 の 注 釈 に よ る と,「 こ の 項 は,… 国 と 民 間 運 用 者 と の 間 で い か な る 取 り決 め が な さ れ よ う と,宇 宙 運 用 活 動(spaceoperations)の 性 質 は そ の 運 用 活 動 に つ い て の 継 続 的 な 責 任 状 態(acontinuingstateofresponsibility)を 必 要 と す る,と い う 原 則 に 依 拠

し て い る 。」 と い う 。

こ の 規 則 案 は,前 述 の 万 国 国 際 法 学 会Jenks予 備 報 告 書 と 同 様,米 ソ の 見 解 の 対 立 を 調 整 す る た め の 試 み で あ る と 言 っ て よ く,特 に,私 企 業 の 宇 宙 活 動 と の 関 連 で 責 任 と ラ イ セ ン ス 制 度 と を 結 び つ け て い る 点 に 特 徴 が あ る 。た だ し, こ の 「責 任 状 態 」 が 具 体 的 に ど う い う 状 態 を 指 す の か 示 さ れ て い な い 。 ま た, 私 企 業 活 動 の 文 脈 と は 別 に 「打 ち 上 げ に つ い て 責 任 を 負 う 国 」(4.2項 コ メ ン ト

138)こ の 規 則 案 と こ れ に付 さ れ た 注 釈 は 冊 子 と して 出 版 さ れ た が,そ の 入 手 は 今 日 で は 困 難 で あ る 。 し か し,こ の 規 則 案 は 非 常 に 注 目 を 集 め 多 くの 雑 誌 ・単 行 書 で 再 録 ・翻 訳 さ れ て お り,こ れ ら か ら こ の 規 則 案 ・注 釈 を 入 手 す る こ と が で き る 。 確 認 し得 た 範 囲 で 最 初 に こ の 規 則 案 ・注 釈 を 掲 載 した 文 献 は,前 述 の 国 際 宇 宙 法 学 会 第5集 会 講 演 集 に掲 載 さ れ たC.Horsford,"StatementandTextof

theDraftCodeofRulesontheExplorationandUsesofOuterSpacePre‑

paredbyDavidDaviesMemorialInstituteofInternationalStudies",5Space

LawCo〃oquiumヱ962で あ る。 な お,後 述 す る よ う に,翌 年 こ の 規 則 案 の 改 訂 版 が作 成 さ れ て い る。

139)英 国 代 表 の 発 言 は,注66及 び 注86。 英 国 宣 言 案(注51)4項 第 一 文 は,後 述 の

規 則 案2.2項 と ほ ぼ 同 文 で あ る 。

(19)

xxiv.,5.2項a,6.1項)や 「 字 宙 船 の 飛 行 につ い て 責 任 を負 う国 」(6.1項a) の 表 現 も見 られ る が,こ れ らの 「 責 任 」 の 意 味 や 上 記 の 「 責 任 状 態 」 との 関 係

も説 明 が な い 。 な お,私 企 業 に よ る衛 星 の 打 ち上 げ 行 為 は こ こで い う 「 宇 宙 運 用 活 動 」 に含 ま れ て い な い よ うで あ り,私 企 業 の打 ち上 げ行 為 を こ の規 則 案 が

どの よ うに 考 え て い る の か は 明 らか で な い 。

(4)そ の 他

そ の他,1962年8月 の ア メ リカ法 曹 協会 国際法 ・比 較 法分 科 会宇 宙 法委 員 会140), 同8月 の 国 際 法 協 会 第50会 期(ブ ラ ッセ ル)141)な ど,い くつ か の 団 体 が 宇 宙 法 に 関 す る会 合 ・シ ンポ ジ ウ ム を 開催 しあ る い は報 告 書 を作 成 した が,こ れ

ら は,本 稿 の 関 心 か ら は特 に見 るべ き もの が な い 。

3.1963年 の 動 き

翌1963年 は,こ れ まで 以 上 に 多 くの学 会 ・シ ンポ ジ ウ ム が 開 か れ,宇 宙 法 の 問 題 が 論 じ られ た。 な お,個 々 の 学 者 の 論 考 で は,こ れ ま で と 同 じ く国 連 内 の 議 論 を紹 介 す る とい う傾 向 が基 本 的 に維 持 さ れ た142)。

140)ABAICL,Proceedings1962,pp.294‑305.な お,8月 の 年 次 会 合 期 間 中 に,同 宇 宙 法 委 員 会 主 催 に よ る シ ン ポ ジ ウ ム 「 宇 宙 に お け る 科 学,生 命 及 び 法 の 現 代 的 発 展 」 が 開 か れ た 。 そ の 各 報 告 の 簡 単 な 内 容 紹 介 と し て,7‑1ABAICLBul‑

letin(1963),pp.10‑11.

141)501LAReport1962(1963),pp.31ff.決 議 文 は,Ibid.,p.viiL 142)Haley,smpranote72,pp.326‑327;M.S、V毒zquez(translatedbyE,Malley),

CosmicZntemationalLaw(1965),p.124.McDougal/Lasswell/Vlasicは,「 宇 宙 冒 険 活 動 へ の 広 範 な 参 加 の 可 能 性 を 妨 げ る よ う な 制 限 を 国 に 課 す こ と は,経 済 的 に も 政 治 的 に も 不 適 当 で あ る 」(M.S.McDougal/H.D.Lasswel1/工A.Vlasic,

LawandPublicOrderinSPace(1963),p.555)と い う 立 場 か ら,ソ 連 案7項 を 批 判 的 に 繰 り 返 し 取 り 上 げ た(lbi4.,p.226,fn.98;p.386,fn.70;p.531,fn.41;

pp.555‑556,fn.95)が,米 ソ の 妥 協 の た め の あ る い は 私 企 業 の 宇 宙 活 動 に 関 す

る 定 式 に 向 け た 具 体 的 な 提 案 は 行 っ て い な い 。

(20)

(1)1963年4月 マ ギ ル 大 学 宇 宙 法 会 議143)

国連 の 法 律 小 委 員 会 第2会 期 の直 前 の1963年4月 に,マ ギ ル 大 学 航 空 宇 宙 法 研 究 所 主 催 に よ る 「 宇 宙 法 にお け る特 定 か つ 緊 急 の 諸 問 題 」 と題 す る会 議 が,

2日 間 に 亘 っ て 開 催 さ れ た。 こ こ で 本 稿 に 関係 す る の は,「 通 信 と宇 宙 」 と題 す る部 で の 一 般 討 議 で あ る 。

こ の 一 般 討 議 の場 で,ソ 連 案 旧7項 の 定 め る 原 則 に つ い て,「 この 原 則 の正 確 な意 味 は,明 白 で な い。 も し,こ れ が 単 に,国 家 責 任 の 原 則 が 米 国 か ら打 ち 上 げ られ る衛 星(私 的 所 有 か 公 的 所 有 か を問 わ ず)に 適 用 され る とい う こ との み を意 味 す る の で あ れ ば,こ れ は恐 ら く受 け入 れ られ る で あ ろ う。 この 国家 の 国 際 責 任 を 強 調 す る た め に は,DavidDaviesMemorialInstituteが 作 成 し た 規 則 案 で 考 え られ た よ う な何 らか の ラ イ セ ンス 制 度 の 方 式 を採 用 す る こ とが, 賢 明 で あ ろ う。 」 とい う指 摘 が な され て い る144)。

この 「 国家 責 任 の 原 則 が 衛 星 に適 用 され る」 の 一 節 の正 確 な 意 味 が 明 らか で は な く,ま た 国 家 責 任 と ラ イ セ ンス 制 度 とが ど う結 び つ くの か の 説 明 もな い が, こ こで も,私 企 業 活 動 と国 家 責 任 と ラ イ セ ンス 制 度 とが 関連 づ け られ て い る点 が,注 目 され る。

(2)1963年4月 ア メ リカ 国 際 法 学 会 第57会 期145)

国 連 の 法 律 小 委 員 会 第2会 期 の 開 催 中 に 開 か れ た1963年4月 の ア メ リ カ 国際 法 学 会 は,2人 の ソ 連 人 学 者(G.Zhukovと 工Cheprov)ほ か を招 聰 して 宇 宙 法 に 関 す る討 論 を行 っ た。 こ こ で も上 記 の ソ連 宣 言 案7項 は,大 きな注 目を集 め

た146)。

こ こ で,こ の 問 題 に 関 し て,W.G.Carterと こ の ソ連 人 学 者 の 間 で 興 味 深

143)M.Cohened.,Lawand1)oliticsinSpace(1964).

144)Ibid.,p.32.発 言 者 は 記 さ れ て い な い 。

145)57ASILProceedings.Z963(1963),pp.173ff.

146)H.J.Taubenfeld,"TheStatusofCompetingClaimstoUseOuterSpace:An AmericanPointofView",ibid.,173,pp.177‑178;G.Zhukov,"TheProblemof OuterSpaceLawQualifications",ibid.,193,p.195.

(21)

い 討 論 が 交 わ さ れ て い る。Carterは,こ の2入 に 対 し,す べ て の宇 宙 活 動 は 国 に よ っ て の み 行 わ れ るべ き で あ る と言 う ソ連 の 主 張 は,国 が 自国 民 の 宇 宙 活 動 に 対 して ライ セ ンス を与 え る とい う原 則 に よ り満 足 され る か と質 問 した の に 対 し,Cheprovは,自 動 車 免 許 は 活 動 に つ い て の 責 任(responsibility)を 保 証 し な い が,同 じこ とが 宇 宙 に つ い て い え る と答 え た 。Carterは 質 問 を言 い 換 え,自 分 の 関 心 は責 任(responsibility)と 賠 償 責 任(liability)に つ い て で あ り,ラ イ セ ンス が 政 府 の 責 任 ま た は賠 償 責 任 を設 定 す るた め の もの で あ る な ら ど う か,と 再 度 質 問 した が,Cheprovは,も し こ の ラ イ セ ン ス が 政 府 の 責 任 を伴 うの な ら この 提 案 は 注 意 深 い検 討 が 必 要 で あ ろ う,し か し この よ う な効 果 に 向 け られ た 政 府 の単 な る宣 言 は 国 際 法 上 の 地 位 を持 た な い,な ぜ な ら一 方 的宣 言 は撤 回 が 可 能 で あ るた め だ,そ の 宣 言 の 意 味 す る こ と の理 解 が 必 要 で あ る,と 慎 重 に答 え て い る147)。

こ の や り取 り は か な り省 略 され て い る よ うで,Cheprovの 最 後 の 回 答 部 分 の 意 味 が よ く分 か らな い。 た だ,い ず れ にせ よ,Carterは 私 企 業 活 動 と の 関 連 で ライ セ ンス と責 任 ・賠 償 責 任 を 結 びつ け る と い う形 で 米 ソ の妥 協 を 図 る 考 え方 を 示 し て お り,し か も彼 の い う 「 責 任 」 は,明 らか に,ラ イ セ ンス に よ る 何 らか の 規 制 す べ き義 務 と は 区別 さ れ た 意 味 で 用 い られ て い る。

(3)1963年5月 宇 宙 法 ・衛 星 通 信 法 会 議148)

5月 に,ノ ー ス ウ ェス タ ン大 学 が,シ カ ゴ で 「 宇 宙 法 と衛 星 通 信 法 に 関 す る 会 議 」 を2日 間 の 日程 で 開催 した。 こ こで も,ソ 連 の私 企 業 活 動 に対 す る立 場

は注 目 され た149)。

そ の 中 で,最 初 の 報 告 者 で あ るMcDouga1は,宇 宙 は 必 要 な 能 力 を持 つ す べ て の 人 の 自 由 か つ 平 等 な参 入 に 開放 され るべ き とい う こ と は国 際 法 の 受 け入

147)Ibid.,p.205.

148)NASA,ProceedingsoftheConferenceontheLα ωOfSPaceand(ゾSatellite

Co〃z〃zunications(1964).

149)C.Q.Christol,"Comments",ibid.,認,p.33;M.Cohen,"Co㎜ents",ibid.,49,p.53.

(22)

れ られ た 原 則 で あ る とい う考 え を示 しつ つ,ソ 連 新 宣 言 案7項 第 一 文 を引 用 し て,こ れ が この コ ン セ ンサ ス を大 き く侵 害 す る で あ ろ う こ と を指 摘 し,「 宇 宙 活 動 に つ い て の 責 任(responsibility)は,宇 宙 活 動 を 国 家 の み に 限 定 す る こ と な く設 け る(befixed)こ とが で きる」 と主 張 した150)。

こ の 引 用 部 分 の 「 責 任 」 の 語 が 意 味 す る と ころ は,前 後 の 文 脈 か ら考 え て も 明 確 で な い 。 宇 宙 物 体 の 落 下事 故 か ら生 じる損 害 につ い て の 賠 償 責 任 の 意 味 と も思 わ れ るが,民 間 企 業 が 活 動 を行 っ て も無 秩 序 な状 態 は 回 避 し うる とい う 意 味 に も解 され う る 。

(4)1963年9月 万 国 国 際 法 学 会 決 議

万 国 国 際 法 学 会 で は,1962年 末 か ら1963年 初 め にか け て,学 会 第 二 委 員 会 の 委 員 がJenks予 備 報 告 書 に付 さ れ た各 質 問 に 回 答 す る と い う形 で 意 見 を提 出 した151)。 質 問13.a)に つ い て な,打 ち 上 げ を 国 ・国 際 組 織 に独 占 させ るべ きで な い と して 反 対 す る意 見 も少 な くな か っ た152)。 他 方,b)に つ い て は異 論 は 出 さ れ ず,特 に 国 が 責 任 を負 うべ き こ と を指 摘 し た委 員 もい た153)。

Jenksは こ れ ら の 意 見 を 踏 ま え て,1963年3月 に 最 終 報 告 書(rapPort definitif)と 決 議 案 を提 出 した154)。 決 議 案 の 条 文 の う ち,本 稿 に 関 係 す る の

は 以 下 の 規 定 で あ る 。

150)M.S.McDougal,"TheEmergingCustomaryLawofSpace",ibid.,2,pp.12‑13.

151)ZZ)∫Annuaire1963‑1,sul)ranote129,PP.434ff'

152)P.deLaPradelle,ibid.,p。477;RQuadri,ibid.,p.484;正LValladao,ibid.,p.490.

た だ し,賛 成 は8人 で あ る 。 な お,Jenningsは,Jenks案 に 賛 成 し つ つ も, 現 時 点 で そ れ を 法 と し て 提 案 す る こ と に 疑 問 を 示 し て い る(RY.Jennings, ibid.,p.452)。

153)Jennings,ibid.,P.452;J.H.W.Verzijl,ibid.,P.494.ソ 連 のTunkinは,よ り 明 確 に,国 が,宇 宙 活 動 が 国 際 法 規 則 に 従 っ て 行 わ れ る こ と を 確 保 す る 十 分 な 責 任 を 負 う(responsibleforensuring)と す べ き と 主 張 し た(G.Tunkin,ibid.,p.

488)。

154)最 終 報 告 書 はIbid.,pp.384ff.,決 議 案 はIbid.,pp.429‑432.

(23)

「5 .い か な る 物 体 も,こ れ が 国 の 許 可(autorisation)を 伴 わ ず か つ 国 の 責 任 の 下(soussaresponsabilit6)に な い 場 合 に は,軌 道 上 へ 又 は 軌 道 を 越 え て 打 ち 上 げ ら れ る こ と は な い 。

6.軌 道 上 又 は 軌 道 を越 え た 物 体 の 打 上 げ につ い て 責 任 を負 う 国(Etatrespons‑

able)は,ま た,そ の 物 体 に 由 来 す る活 動 が,国 際 連 合 憲 章,国 際 法 の 諸 規 則, 適 用 可 能 な す べ て の 国 際 協 定 並 び に 承 認 され た 国際 規 則 及 び 宇 宙 空 間 に お け る 活 動 を 律 す る 一 般 規 則 に 従 っ て 行 わ れ 続 け る こ と を 確 保 す る 責 任 を 負 う

(responsabledegarantir)。 」

これ は,前 述 の 質 問13.と 比 べ る と,第 一 に 私 企 業 に よ る物 体 の 打 ち 上 げ を禁 止 して い な い こ と,第 二 に 国際 組 織 に 関 す る部 分 を取 り除 い た こ と,第 三 に責 任 の 観 念 を よ り強 調 した 形 に な っ て い る こ とが 伺 え る。

そ の 後,Jenksは,全 体 会 合 の 直 前 の 同 年9月 に 修 正 決 議 案 を提 出 した 。 そ の修 正 決 議 案3項 の規 定 は,以 下 で あ る 。

「 各 国 は ,宇 宙 物 体 が 国 の 許 可(autorisation)を 伴 わ ず か つ そ の 国 の 責 任 の 下 (soussaresponsabilit6)に な い 場 合 に は,こ れ が 自 国 の 領 域 か ら打 ち 上 げ られ な い こ と を 確 保 す る(assure)よ う義 務 づ け ら れ る 。各 国 は,こ の 物 体 の 利 用 が, 国 際 連 合 憲 章 並 び に 国 際 法 の 諸 原 則 並 び に適 用 可 能 な 条 約 及 び 規 則 の 規 定 の 全 体 に 従 っ て 行 わ れ る こ とを 確 保 し(garantir)な け れ ば な ら な い 。」155)

こ れ は 旧 案 と比 べ て,基 本 的 な趣 旨 は変 わ らな い が,国 の 義 務 が 強 調 さ れ る規 定 ぶ りに な っ て い る一 方 で,第 二 文 か ら 「 責 任 」 の語 が 取 り外 され て い る こ と が 伺 え る。

全 体 会 合 に お い て,報 告 者 で あ るJenksは,こ の 規 定 は,宇 宙 空 間 に お け る私 企 業 の 活 動 の 合 法 性 に 関 す る二 つ の 異 な る 主 張 の均 衡 を とる こ と を試 み た

155)501DI/1n〃uaireヱ963‑IJ,pp.114‑115.

(24)

も の で あ り,こ の均 衡 は,二 つ の 原 則 に 依 拠 して い る と説 明 した 。 す な わ ち, 一 つ は ,国 の 許 可 の ない 宇 宙 空 間 に お け るい か な る活 動 もあ りえ な い こ と,も う一 つ は,宇 宙 物 体 の 利 用 は この 条 文 に 列 挙 さ れ て い る様 々 な 規 則 に従 っ て 行 わ れ る よ う確 保 す る(garantir)こ とが,国 に義 務 づ け られ る こ と で あ る156)。

こ の 二 つ の 原 則 は,Jenks予 備 報 告 書 で 示 さ れ た 二 つ の 原 則(国 ま た は 国 際 組 織 の み が打 ち上 げ を行 う こ と,及 び,国 ・国 際 組 織 が 打 ち上 げ ら れ た物 につ い て 責 任 を負 う こ と)と 異 な っ て い る こ と に注 意 す る必 要 が あ ろ う。

全 体 会 合 で は こ の 項 に関 して様 々 な 意見 が 出 さ れ た が,本 稿 に と っ て 関 心 が あ る こ とは この 規 定 の 定 め る 「 責 任 」 を め ぐる議 論 で あ る。 この 責 任 を,違 法 行 為 責 任 な い し損 害 賠 償 責 任 の 意 味 で 理 解 して意 見 を述 べ た立 場 もあ っ た157)。

特 に,注 目 され る の は,海 洋 法 な い し航 空 法 は 国 の 許 可(autorisation)を 要 求 す るが 国 の 責 任 を発 生 させ る もの で は な い,し た が って こ の3項 は法 の新 し

い 原 則 に 関 す る もの で あ る,と す るValladaoの 見 解 で あ る158)。Jenksは, 最 終 報 告 書 で は 責 任 の 言 葉 の 意 味 につ い て 説 明 を して い な い が,予 備 報 告 書 で

は 「 責 任 」 は 義 務 を意 味 し新 しい 原 則 を もた らす もの で は な い とい う立 場 で あ っ た か ら,仮 に 同 じ意 味 で 用 い られ て い る とす る な らば,こ の 点 の 見 解 の違 い は結 局 「 責 任 」 の 意 味 の 理 解 に よ る,と い え る159)。

議 長 は,「 許 可 」 は 私 企 業 活 動 に 対 して の み 用 い られ 国 自身 が 行 う場 合 に は 関係 しな くな る と い う意 見 もあ っ た こ と か ら,「 権 限 の 下(undertheauthor‑

ity)」 の 表 現 を提 案 し160),こ れ を も っ て3項 に 関 す る 議 論 は 終 了 し起 草 委 員 会 に 回 さ れ た 。 な お,そ の後,deVisscherは,他 の 規 定 で用 い られ た 責 任 の 語(特 に 「 打 ち 上 げ につ い て責 任 を 負 う(responsable)国 」)の 用 い 方 につ い て起 草 委 員 会 に 注 意 を促 した 。 彼 は,「(「打 ち 上 げ につ い て 責 任 を負 う国 」 の

156)Ibid.,p.115.

157)J.Zourek,ibid.,p.118;Valladao,ibid.,pp.119‑120.

158)Valladao.,ibid.,pp.119‑120.

159)山 本 『前 掲 書(宇 宙 通 信 の 国 際 法)』(注56)313‑314頁 参 照 。

160)IDIAnnuaire1963‑II,supranote155,P.120.

(25)

用 語 法 は,)国 際 責 任 の 一 般 理 論 の 観 点 か ら 批 判 さ れ る べ き で あ る 。 帰 属 (imputation)は,ま ず 取 り除 か れ な け れ ば な ら な い 。 帰 属 は,国 の 権 限 か ら 生 じる。国 の 責 任 は,そ の 結 果 で あ る。」 とい う意 見 を示 した161)。彼 の考 え は, や や 分 か りに くい と こ ろが あ る が,基 本 的 に,責 任 の 語 は帰 属 の 規 則 と結 び つ け て 用 い られ るべ き とい う理 解 を示 した もの で あ り,注 目に値 す る。

起 草 委 員 会 に よ り作 成 さ れ た 決 議 案 は,全 体 会 合 で 逐 条 的 に 審 議 さ れ,全 会 一 致 で 決 議 「 宇 宙 空 間 の 法 制 度 」 がi採択 され た162)。そ の2条 は,以 下 の規定 で あ る。

「い か な る宇 宙 物 体 も ,国 の権 限の 下(sout1'autorit6;undertheauthority)に な い 場 合 は,打 ち 上 げ られ な い 。 各 国 は,自 国 の 権 限 の 下 で 打 ち 上 げ ら れ る す べ て の 宇 宙 物 体 の 利 用 が 適 用 可 能 な 国 際 規 則 に 従 っ て 行 わ れ る こ と を 確 保 し

(garantir;ensure)な け れ ば な ら な い。」

こ の よ う に,第 一 文 は,Jenks旧 案5項 を基 礎 と しつ つ,上 記 議 長 の 意 見 が 採 用 さ れJenks修 正 案 の 「許 可 を伴 わ ず か つ そ の 国 の責 任 の 下 に な い 場 合 」 が 「国 の 権 限 の 下 に な い 場 合 」 と変 更 さ れ,第 二 文 は ほ ぼJenks修 正 案3項 第 二 文 を採 用 した結 果,学 会 決 議2項 で は 「 責 任 」 の 語 が 姿 を消 した。 した が っ て,許 可 と責 任 を 結 び つ け る とい う新 しい 原 則 が 採 用 さ れ た と解 釈 す る 余 地 は これ に よ り無 くな り,全 体 と して 国 の 義 務 の み が 定 め られ た とい う こ と に な る 。 そ の た め,こ の 学 会 決 議 そ れ 自体 は,宇 宙 法 原 則 宣 言5項 第 一 文 前 段 に結 び つ く よ うな 内 容 で は な くな っ た,と い え よ う。

こ の 万 国 国 際 法 学 会 で の 議 論 は,一 方 で は,Jenks予 備 報 告 書 以 降 の 何 度 か の 決 議 案 で 用 い られ た 「 活 動 につ い て の 責 任 」 と 「 確 保 す る 責 任 」 の 表 現 が 法 原 則 宣 言 に 取 り入 れ られ た とい う点 で 高 く評 価 さ れ るべ きで あ ろ う。しか し,

161)C.deVisscher,ibid.,p.123.

162)決 議 文 は,Ibid.,pp.361‑364,369‑372.

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